ガールズ&パンツァー〜大洗女子学園のデストロイヤー〜   作:ReA-che 名義

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本来このお話は40話の一番下におまけとしてのせる予定でしたが思ったよりも長くなってしまった為、別話として区切りました
そのためいつもよりかは短いです




おまけパート【葛西智美の思い出話】

 

 

 

時を遡ること数時間前、次回の試合を踏まえた作戦会議が一段落ついて今日のところは解散となった西住みほは暇を持て余していた

 

(連絡が返ってこない…ナオさんの方はまだ終わっていないのかな)

 

同隊にて砲手を務める五十鈴と共に生徒会室へ向かった杉野の事が脳裏を過り、もし向こうも終わっているのならば落ち合おうと考えてメールを送ってみたものの返信は無く

寂しさと共に足を進めれば格納庫の辺りまで戻ってきていた

 

「…みんな熱心だなぁ」

 

周囲を見渡せば指導役に回った同隊の秋山・冷泉・武部の他杉野と同隊の宮崎・小高・葛西が残る履修生達に教鞭を振るっているのが見えた

──その中でも

 

「──冷泉さんは特殊な人なんよ、基本操縦に近道やらありまへんさかい

余計な理屈こねくり回すよかとにかく乗って経験で覚えた方がええやろうなってウチは思うッス

足周りの動きを熟知できりゃなおええッスね」

 

最年少である葛西には色々と聞きやすいからなのか周りには特に人が集まっており、しばらく様子を眺めていれば一段落ついた秋山・武部と二人の方へ流れていた履修生も集まり出し徐々に質問責めにあっていた

 

「葛西、君の思う理論で射撃の心得みたいなのはあるか?」

 

「ウチッスか?ウチよか小高さんに教わった方のんがええとは思うッスけど、強いて言えば編隊の動きと合わせる事は重視するッスね

先頭が仕掛けるまでは仕掛けよらんし、それこそ隊長車が撃つなら照準を合わせんでもええから撃てー習ったもんッスからね」

 

「あ、あの…前は杉野先輩の隊で車長をしてたって聞いたんですけど

車長として戦車に乗る際の心構えみたいなのありませんか?」

 

「はぁ、心構えッスか?

その辺は杉野さんから教わってることがあればウチが余計なこと教えるんはなんやろな…

編隊組んで走るんが基本ッスから編隊である以上は絶対に隊長車から離れんこと、これくらいッスかね

──それと澤さん別にタメでもええッスよ、同学年やしなんならウチのが1個下ッスよね?」

 

質問する人が変われば役職も異なるが、それらを含めても3人全員が対応できるのが杉野の隊の強みであり

そのせいか一度杉野に質問をしていた筈のエルヴィンや澤もなにか学べることがないかと積極的に質問を飛ばしている

 

「じゃあ智美ちゃんって呼んでも良い?」

 

「好きに呼んでくれてええッスよ」

 

「なんなら先輩って呼んでみて?」

 

「そりゃ質問とちゃいますやん大野先輩(・・・)

 

先程澤が質問をした際にこちらのが年下だからタメ口で良いと言った葛西にウサギさんチームの坂口と大野が乗っかり、大野に関しては質問でも何でも無いため笑いながらツッコミを入れる葛西は早くも大洗の戦車道チームに溶け込んでいるようにも見えた

 

「葛西殿、戦車道の実戦での経験談とか思い出話とかあれば聞いてみたいです」

 

「大雑把ッスね~、沢山あるッスけど」

 

「──じゃあ、ナオさんと出会った頃の話しとかないかな?」

 

続いて秋山が戦車道での話しを聞きたいとリクエストをするが葛西はまだ14歳と言え人生の半分近くを戦車道に費やして来た為に細かな指定がなければ話せることは沢山あり返って選べないと少しばかり苦い表情をする

そこで西住は集団に近づき未だ謎の多い杉野との出会いについて聞きたいとリクエストを飛ばした

 

「お、西住隊長さん帰ってきはったんすか

──で杉野さんと出会った頃の話しッスね?」

 

「うん、葛西さんの事も知りたいし

ナオさんあんまり自分のこと話さないから丁度良いかなって」

 

西住からのリクエストに葛西はそれならと少し唸って

そして続けた

 

「ほならウチに取ってはちょっち恥ずかしい話しッスけど、最後までお付き合い貰えんッスかね」

 

 

 

 

 

 

 

 

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【ウチが杉野さんに出会ったんは今から約6年前の事、秋山さんがこないだ触れた剣部隊よりももっと前の話しんなるッス

当時のウチは江田島戦車スクールの兵庫支部で戦車に乗っとって、兵庫263戦車隊──豹部隊と呼ばれとったチームの一車長をしとりました

 

当時豹部隊は兵庫屈指の精鋭でウチも技量優秀な先輩方に揉まれながら実戦で着実に腕を鍛え上げたッス

 

しかし───。】

 

「…え?解散…ッスか?」

 

兵庫戦車スクールの司令室、そこでスクール長から直々に告げられた内容に葛西は強ばった表情で思わず聞き返した

 

「あぁ、豹部隊は解散

葛西は残った甲10期と共に異動だ」

 

あまりにも唐突で信じがたい現実に何かの間違いではないかと口外に含んでスクール長の方をじっと見つめるものの答えは変わらない

ゆっくりと首を振って、少しばかり申し訳なさそうに続けたスクール長に葛西は言葉を失った

 

 

【ある日スクール長に呼び出されたウチに告げられたのは豹部隊の解散、それに伴った異動の話しやったッス

精鋭ではあったッスけど、豹部隊は荒い性格の戦車乗りが特に多く

試合の怪我や事故でいなくなる人や進学に伴った異動、又は問題行動の多さから他所の戦車スクールへ転属になるものなど理由は様々ッスけど、ウチが配属になった平成2×年11月23日から僅か数ヵ月で豹部隊は多くのベテランがおらへんようになり、代わりにウチらのような予科練を出てすぐの甲10期が大半を占め

その状況を打開するべく当時南太平洋地域の現地選抜隊としてラバウルの日本戦車道チームに所属していた菅田翔希さんが翌年4月に着任

知らん人のが多いと思うんで軽く触れるッスけど、菅田さんはウチの1個上の人で豹部隊へ合流したこの当時で総撃破数60輌を越える撃破王で【戦車戦の神様】なんて異名で呼ばれとった人ッスね

 

せやけど菅田さんが来てももはや人員の消耗や勝率の低下はどうにもならず、同年6月に部隊が解散

 

その後ウチら元263戦車隊の人員は一時的に愛媛県の松山にあった江田島戦車スクールの支部に異動、そこで1ヶ月程過ごしてから遠く離れた宮城支部

第201戦車隊の戦306へと配属されることになり──そこであの人に出会うたんッス】

 

「──聞いたか!?今度の私達の分隊長は江田島70期だってよ」

 

【翌7月、菅田さんを含めたウチら元豹部隊の面々は支部のあった仙台基地へ着任したッス

この頃のウチは菅田さんに憧れてよぅサングラスを掛けとりまして、この日はその事で同期の何人かに茶化されながら

話の流れでこの仙台支部で活動する際の直属上司───分隊長の話題となり、同期の飯田がどうやらその人は士官候補70期の出身やって教えてくれはったんッス

同じく甲10期の中で反応を示したんはウチを含めて結構な人数がおったッスけど

話が長くなりすぎるもんで、ある程度はかいつまんで話させて貰うッスね】】

 

「70期って言やぁ──世界リーグに向けて学部修了を早めた最初の学年やろ…!?」

 

「多分、ロクな技量も無いんじゃないかな?」

 

「菅田さんにみっちりしごかれてるあたしらは実戦には自信あるしな、そんな人にあたしらの分隊長が務まるのかな??」

 

葛西を筆頭に外の広間にて集団で集まっていた甲10期の中から日光や宮沢、タム(田村)など示す反応は様々で

次第に意地の悪い笑みを浮かべて顔を見合わせた

その直後、集団の横を小さな人影がスーッと横切って思わず皆の視線がそちらへと移る

 

「──君が菅田翔希だな?」

 

「…ん?」

 

集団から少し外れた木陰に腰をおろし、火をつけたタバコを片手にボーッとしていた菅田の前に一人の少女がどかりと腰をおろした

江田島戦車スクール所属を意味する明るいカーキ色のセパレートのPJに身を包んだその少女はうなじまでしかないショートカットに小柄な体躯で、一見して整っている顔をしている

…のだが、その目付きの悪さから彼女が振り撒く強烈な威圧感を後押しするのみとなっていた

 

 

【初めて見たときは、ちょっと足が竦んだッスよ

あの当時でこそ周りとはまだそこまで極端な身長差はあらへんかったッスけど

こまい(小さい)身体でずかずかと来て菅田さんと話すあの頃の杉野さんは独特な雰囲気と言うんか、ちょっと異様なオーラ言うべきか

見つめられただけで肉食獣に睨まれているような、そんなおっかねぇ人っちゅうんが第一印象でした】

 

 

「黙ってても身体から滲み出てる殺気ですぐにわかったよ

──俺は今日から配属になった分隊長の杉野直緖だ、役職上は君らの上司でも実戦は素人みたいなものだから

色々と学ばせて貰うぞ、撃破王」

 

そうしてニッと笑みを浮かべる少女──杉野が菅田へ右手を差し出し、当の菅田は少し困惑の混じった表情でこれに応えて握手する

 

「…あの人が私らの分隊長か」

 

皆が杉野と言うその場にいる誰よりも小柄な少女の纏う雰囲気に気圧されている中、ポツリと震えの混じったような声で誰かが呟くとそれが聞こえていたのか杉野は口許をへの字にしてムスッとした表情で葛西達甲10期の方へくるりと振り返り

声を張り上げてこう言った

 

「まぁ俺はッ!?70期だからロクな技量がねェッ!

こりゃ昼間の訓練は厳しくやらんといかんなぁッ!!?」

 

まさか聞かれていたのかと意表を突かれ、あわてふためく甲10期へがははと豪快に笑い飛ばす杉野は年相応の悪戯っ子のようにわんぱくな表情を浮かべていた

 

【同期のタム(田村)なんかは真に受けよって凄い焦ってたのは覚えてるッス、初めて会ったときの会話がこんななもんで、多分最初は互いにあまり良い印象は持っとらんかったんとちゃうッスかねぇ

お恥ずかしい話やけど、当時のウチは豹部隊が解散になってすぐやったんで

イケイケやった周りの影響を受け、何かにつけて暴れるような悪ガキやったんッス

せやからそれが仇でこの年の冬、ある事件を起こしてまうんッスよね】

 

 

その日は朝から雪のちらつく寒い日だった

 

 

「──葛西、おまえまた何やったんだよ?」

 

「なんやねん藪から棒に」

 

「地元の風紀委員の子が先生連れておまえの事探してたぞ?」

 

「地元の風紀委員?──あっ」

 

朝一番に葛西の元へ焦った様子でやって来た飯田の言葉に葛西は訳がわからないといった表情ではあったものの

続く風紀委員という単語に思い当たる節があったのか表情を歪めた

 

「…そういや、昨日の晩飲み屋で飲んでたときに絡まれたかもしれへん」 

 

「かも?かもってどういう事よ」

 

「それが飛び飛びでしか覚えとらんねん

確か飲んでた時に『未成年の飲酒は禁止されてる』って肩掴まれたんよな

…そんでつい」

 

「つい…っておまえまさか」

 

「手、出てもうた気がする」

 

当時から身長の高かった葛西は実年齢は小学校低学年程しかなくてもその風貌から大人に見られることが多く、また本人もそれを悪用して完全に未成年ながら夜の飲み屋街に繰り出すことがあった

今回はそこで地元の学校で見回りをしていた風紀委員の子にそれを咎められつい手が出てしまったのが事の真相であった

 

「どうするのよ!?おまえだけの問題じゃなく完全に杉野分隊長まで飛び火食うぞ」

 

「…よなぁ、どないしよホンマに」

 

あちゃーと顔を手で覆いながら続ける飯田に葛西も次第に表情が焦ったものに変わっていく、というのも彼女たちを直接まとめ上げる上司が杉野で

分隊長と一部下であるためにそれほど話す機会は同隊所属となってもまだあまり無く、そんな中で問題を起こしたともなれば見限られるのも時間の問題であったとも言えるし

杉野は杉野で問題児であったが為にこれ幸いと監督者責任として何かしら罰せられる可能性まであった

 

「最悪、ウチは異動か退校処分になるんかな」

 

「まだわからないけど、可能性はあるわよね

…今のうちに分隊長に事情を説明しておきたいけど」

 

しかしタイミングの悪いことにこの日分隊長であった杉野は隊に来ていなかった、遠方から異動してきた葛西達は地元の学校に席こそ残しているが基本的には住み込みで所属している支部にて生活をしている

だが支部から同県内の実家がある杉野は何もない日は地元の学校に通い、休日や練習日や試合のある日に泊まり込みで来る程度で

この日は週末で、翌日には試合も控えていたが、まだ日中であったこのときは来ていなかったのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜になり杉野が仙台支部へやって来たが事が事の為に当事者である葛西他飯田を含めた甲10期の面々は中々杉野に事情を話せないでいた

 

「──杉野分隊長、ちょっと来てくれるか」

 

「ん?俺?」

 

いつ言い出すべきか、そんなモヤモヤを抱えたまま杉野へチラチラと視線を送る甲10期達を他所に同支部の他部隊の隊長から呼び出されたようで杉野は怪訝そうな表情をしていた

 

「仙台校の風紀委員長が君に話があるんだと、玄関にそこの学校の学年主任と一緒に来てるぞ」

 

「仙台の風紀委員に知り合いなんていないんだがなぁ、まあわかった」

 

(あ、お…終わった…)

 

まさかこんなにすぐに当該風紀委員の生徒が杉野の元へ来るとは思わず葛西は内心で頭を抱える、しかも学年主任まで連れてきて問題にする気満々である

もはや万事休す、せめて結末くらい自分で見届けようとめんどくさそうに頭を掻きながら席を立った杉野の後を少し送れて葛西はこっそりとついていった

 

「──君が杉野直緖か?」

 

「はぁ、そうだけど」

 

「ここじゃ場所が悪い、少し表まで来て貰おうか」

 

通路の角からこっそり玄関側を覗き込んだ葛西の目には玄関にたたずむ二人の男女に視線を移す、方や中年と思われる男性ともう一人は10代前半と思われる少女で葛西はその少女の方に微かな既視感を覚えた

 

(やっぱりこの間絡んできた風紀委員やんか…

良くて異動、運が悪けりゃ退校処分やむ無しやな)

 

相当憤慨しているのか眉間にシワを寄せて不快感を隠そうとせずやや高圧的に言う男性に特に反発する事もなく、杉野は心底つまらなそうな表情で了承して表へ出ていった

 

(行くしかないか…)

 

やはり見なかった事にして逃げ出したい気持ちを圧し殺し、葛西は躊躇しながらも遅れて三人の後を追いかけた

 

そしてそこで見たのは

 

「──よって君の部下の葛西智美の身柄を渡して貰う」

 

「…そんなやつは知らないな

どこかと勘違いしてるんじゃないか?──生憎こちとら暇をさせてやれる隊員はいないものでね」

 

身柄引き渡し要求を即答で拒否する杉野の姿だった、まさか断られるとは思っていなかったのだろう

杉野と対峙している二人は呆気にとられたようにぽかんとした表情をしていたが次第に怒りをにじませたものに変わっていく

 

「知らないだと!?とぼけられると思っているのか

お前の部下に葛西智美がいるのは調べがついてるんだぞッ」

 

「そうよッあんな不良生徒の肩を持つ気!?」

 

「──だから知らねぇッつってんだろ?いいからさっさと()ェれよ」

 

自身より遥かに背の高い二人に詰め寄られても杉野は堂々としており、深々とため息を吐いてからそう言いきってまともに取り合わず

次第に男性の方がヒートアップして杉野の肩を掴んだ

 

「貴様のことも話しに聞いてる、噂に違わぬ問題児だな

やはり上が上なら部下も部下と言うことか」

 

「ハッ──」

 

続く言葉に杉野は鼻で笑い、次の瞬間にはバシッと強くその手を払い除けてギロリと睨みを利かせて口火を切る

 

「何を言おうが同じだ、俺の部下は絶対に渡さねぇよ」

 

彼女特有の強烈な殺気を浴びせられてか二人はわずかにたじろいだ様子で、それでも引くのはプライドが許さないのか男性が再度続けた

 

「…それが貴様の本音か、この事は正式に我が校の方からそちらのスクールへ抗議させて貰う

勿論貴様の名も出させて貰うぞ」

 

「くどい、()ェれッつってんべ」

 

そこまで言っても取り合わない杉野にこれ以上は埒が明かないと感じてか、二人は苦々しい表情を浮かべてブツブツ何かを呟きながら帰っていった

 

そしてようやく全てが終わったとめんどくさそうな顔で戻ってくる杉野と物陰で隠れて様子を伺っていた葛西はばっちりと目が合ってしまう

 

【流石に怒られるって思ってたッスね

何せ江田島戦車スクールは何かにつけて鉄拳制裁が当たり前、なにもしてないのに理不尽な暴力を振るわれることだってあったッスからこんな揉め事を持ち込んだウチはしばきあげられるんも覚悟しとったッス

ところがそんな予想とは裏腹、杉野さんはウチの目の前で歩みを止めるとこう言ったんッスよ】

 

 

「…寒ィんだから早く部屋戻れ」

 

「──え?」

 

フッと小さく笑ってそれだけ言うと杉野は何もなかったかのように一足先に寄宿舎へ戻っていく、雪のちらつく冬の東北は関西出身の葛西の身には確かに堪えるが

──この時ばかりは不思議と寒さは感じなかった

 

 

 

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「──なんて事があったッスね、あとは一切なんも言われんかったッス」

 

『か、カッコいい…』

 

懐かしむように語る葛西の思い出話が終わったとき不思議と聞いていた各々の感想は合致していた

 

「一歩間違えりゃ連帯責任で杉野さんの首も飛びかねない事態やったッスから、流石に反省して以降杉野さんに迷惑掛からんようにこれを気に暴れんようになったッス」

 

「その後は大丈夫だったの?」

 

思い出話の中で抗議すると帰った地元の学年主任の言葉があった為に少し心配そうに聞いた武部へ葛西はゆっくりと首を縦に振った

 

「その後も何度か来てたらしいんやけど、杉野さんがウチらを引き連れて挑んだ翌日の試合で隊全体で46輌撃破の戦果を上げたことでスクールのお偉方を黙らせたッス」

 

「よッ…46輌!?」

 

「えっ、あの時の試合の裏にはそんなエピソードがあったんですか!?」

 

別に公式の大会でこそ20輌のみ参加と規定があるだけでそれ以外での親善試合やらスクールの内々での大会に参加車輌の規定はない

それこそ時に1試合で各チーム100輌を越える戦車が乱戦を繰り広げる事すらあるためそれを知らないものは少し怪訝そうな顔を、動いている戦車を撃破するのは1輌だけでも難しいと知っている砲手達はその数に対して目を見開き

その試合がどの時を指していたのか検討のついた秋山は裏でそんな事が起こっていたのかと声を上げた

 

ちなみに当初抗議が入ったことで江田島戦車スクールの上層部も事態を重く見ており、葛西の処遇をどうするか考えていたが

杉野がその葛西を連れて試合で大暴れし支部の中でも一番の戦績を納め、それに貢献した優秀な技量を持つ搭乗員を処罰するとは何事かと訴えた為に今回だけはと話が流れたのだった

…余談だが杉野はこの日単独で17輌撃破を記録している、頭がおかしい

 

「杉野さんも杉野さんで気性の激しいとこがある人で、気に食わんことがあれば誰彼構わずつっ掛かるし時に上官を相手に暴れる事も屡々あったッス

なんせウチらからしたら怖すぎて話し掛けられんから遠巻きにしか見れんようなおっかねぇ先輩達が杉野さんの前では目線を反らして道を譲る程ッスから

──けどその反面、部下のウチらは殴られた事も怒られた事もなかったッスね」

 

「…あ」

 

大洗で戦車に乗る面々には馴染みのないが戦車道の名門校は往々にして訓練や規律が厳しいもので、江田島戦車スクールはそのもっともたるものであり前述のとおり鉄拳制裁が当たり前で暴力は日常茶飯事であった

しかし葛西を含む杉野の部下はそんな環境下で杉野に暴力を振るわれた事も叱られた事もなかったという

そのエピソードに心当たりがあるのは大洗での杉野の一番弟子であるウサギさんチームで、昔から一貫してそうだったのかと車長の澤は思わず笑みが溢れた

 

「…思えば、杉野さんに着いていこうって決めたんもこの時からッスね

度胸の見せ方言うんか、生き様も込みで戦車道なんやぞって言うんを杉野さんからは教わった気ィしますわ」

 

しみじみと語る葛西に他の面々も概ね良い話だと言わんばかりに深く頷いていた

 

(…まぁ思いっきり未成年飲酒で、それを咎められて逆ギレした挙げ句暴れた葛西殿が本当は一番悪いんですけどね)

 

思わずそう思った秋山であったが、そもそも話の趣旨が自身も飛び火で処罰を食らう可能性がある中

それを省みずに葛西を守った部下思いな隊長としての杉野の話であるため

口にするのは野暮だなと秋山はなにも言わなかった

 

 

 

 





細かい部分は改編してますが史実を元にしたほぼ実話です、しかも元ネタは風紀委員長なんて生ぬるいものではなく憲兵隊長が相手でした
思いっきり未成年の飲酒喫煙シーンありますけど当時の荒れてる戦車乗りはそういう物だと思ってください(史実でも思いっきり未成年の軍人がタバコ吸ったり酒飲んでるし今更な話です)

はい、話変えましてお気に入り登録、感想、評価等励みになりますので是非ともよろしくお願いします
モチベーション上げる為に是非とも下さい、作者単純なので少しでも増えるとやる気の漲りかたが全然違います

あと例の如く誤字脱字は発見次第直して行きます

以上です
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