ガールズ&パンツァー〜大洗女子学園のデストロイヤー〜 作:ReA-che 名義
何とか今月中に更新できた…
本編復帰一発目、よろしくお願いします
武部達からの遭難の報せは同隊あんこうチーム全員に届いており、生徒会を通して残る履修生達全員にアナウンスされた
「船の底なのは間違いないらしいが、どこにいるかまではわからないそうだ」
「大洗のサイズとは言え学園艦だしな、俺ら普通科は基本船内に降りることなく生活するし仕方ない部分もあるが…」
ちなみに幼馴染みの冷泉の元にはより詳しく、とはいえそもそも現在地が定かで無いため大雑把にではあるが送られてきているらしい
学園艦の底と言えば船の動力を管理する船舶科の管轄なのでまず普通科の生徒が足を延ばすことはない、そのため船内の経路を知らずに卒業する普通科生徒もざらにいるし迷宮のような作りになっているためよっぽど注意していないと初めて入った人はまず出てこれないだろう
こんなところで嫌な予感が的中するとはと杉野は思わず深くため息を吐いた
「周囲に何か目印になるものがある筈だ、それを探せと伝えろ」
「わかった」
「…俺ちっとアイツら探しに行ってくる」
「私も行くよ」
「私もお手伝いさせていただきます」
さて船内は船舶科の管轄であるため通常の生徒であれば船内、しかも船底の方には縁もゆかりもない場所であるが
生徒会はその限りでは無く諸用や見回り等で訪れる事がある
その為ある程度勝手のわかる河島が周囲に目印となるものがないかを探すよう冷泉を通して武部達に指示し
こちらも1年時に学園艦を探検したことのある杉野が救助隊に名乗りを上げ、西住秋山がそれに続く
「杉野ちゃん、探しに行くならこれ持っていきなよ」
「──すまん」
杉野を含む西住・冷泉・秋山・五十鈴の5人が早速向かおうとしたところで待ったをかけたのは生徒会長の角谷で、探しに行くのなら必要な筈と船内の地図を杉野に手渡す
その際にいつものように飄々とした表情を浮かべていたのだが、ずいぶんと地図の用意が早いと杉野は少し疑問に思った
(…あれ?コイツ…)
よく見てみれば角谷の額には僅かに汗が滲んでいるのと分かりにくいが息が少し乱れている、恐らくは武部が遭難したと連絡が来てから急いで地図を探しに行ったのだろう
「頼んだよ」
「任された、後はゆっくり休んでな」
しかし彼女は生徒会長である、また普段表向きに見せている態度からかけ離れた姿を他の履修生達に見られでもしたら不安な気持ちが伝播してしまうだろう
故に人前では動じていない素振りを見せなければならないとを杉野は想像して、彼女は彼女なりの苦労があるのだろうなと思い
至近距離の杉野でなければ気付かない程小さく、そして不安そうに揺れ動く瞳の角谷へ後は任されたと返して西住達を引き連れて移動を開始した
◆
「なんだかお化け屋敷みたいですね…」
「暗いだけだろ、そういうこと言うから怖くなるんだぜ?」
船内を探し始め、武部達がいると思われる場所を虱潰しに回っていると徐々に通路の電気が疎らに点灯された薄暗い場所へと入っていき不安そうな表情で呟いた秋山に対して思わずツッコミを入れる
同じく不安そうに縮こまって辺りへ視線をキョロキョロと動かすみほと白目を向いて今にもぶっ倒れそうな冷泉、5人の中で平気なのはどうやら俺と五十鈴だけらしい
「…ダメそうならお前ら引き返して良いぞ?」
「い、いえ…」
「大丈夫…」
遠くからカラーンとなにか金属のようなものを落とす音が響いただけでみほも秋山も悲鳴をあげ抱き合っていたので翌々ダメそうなら一次彼女たちを上まで送ってから探索を再開しようと提案してみるがそれでも彼女たちなりに武部達が心配なのか青い顔で大丈夫と言って後ろに続いた
五十鈴なんかはいつも通りのほほんとしているので秋山も先ほど言っていたが肝の座り方はずば抜けてる
「冷泉は──死んでるッ!?」
「生きてる…お、お化けは早起きより無理なんだ」
ふとあまりにも静かな冷泉が気になって後ろ、先ほどまで冷泉のいた列の最後方へ視線を向けると青い顔で白目を向いて口から煙のようなものを吐いている冷泉を見つけてぎょっとして叫べばそんな弱々しい言葉が帰ってくる
「杉野さんは怖くないのか?」
「別に?何で怖がる必要があんのさ」
冷泉が幽霊が怖くないかと聞いてくるが即答で返してやると少し苦々しく表情を歪めていた、別に幽霊の存在を否定するわけでは無い
もし見間違えじゃなければ科学では説明のつかないような経験をしたことがないわけではないが、少しばかり周りと考え方が違うだけだ
「…幽霊と言えど元は人間で、誰かにとっての大切な人だったんじゃねぇの?
だったら怖がるのは違うかな、驚きはするかも知れないけど」
「そんな考え出来るのナオさんだけだと思う」
間に挟まれていたため必然的にみほも秋山も会話を聞く羽目になっていたからか少しあきれの混じった表情でみほがそんなことを呟いた
まぁ今は全く怖くなくても実物を前にしたら悲鳴くらい上げるかもしらんけど
「実際は俺でもわからねぇけどな、けどもしも現れた幽霊が自分の身内とかだったら怖いよりか死んだあとも会いに来てくれた嬉しさのが勝りそうだけど」
「そう…かもな」
何度ももう一度会いたいと願った相手ならばきっと、幽霊でも怖くない
俺はそういう考えな為にポツリと言えば珍しく肯定するように冷泉がそんな言葉が帰ってきた
「──だけど天国ってのは存外良いところらしくてさ、会いたいと願った奴らは中々会いに来てくれなくてよ」
「あ…」
しかし非情なことに会いたいと思った奴に限って会うことは叶わない、呟くように続けた俺の言葉に反応したのは秋山で
彼女の場合は俺の戦車道での活動期間中をほぼ全て知っているであろう数少ない人物だから、俺の言葉の意味を理解できてしまったのだろう
いけない、知ってる奴の目の前で俺は何を口走ってるんだか…
「──なぁ杉野さん、仮に会いに来てくれなくても
生きてる人の想いは死人にも届くと思うか?」
「…届くだろうさ、魂は消えないって言葉を俺は信じたい
想い続けてる限りきっと、例え死んでいても気持ちは届く筈だ」
言ってから切り替えるように、俺は後ろの3人へ振り返り
その中でも唯一ノッてくれそうな秋山へと視線を移してから続ける
「よっしゃ、アイツらが気付きやすいように歌でも歌おうか
秋山、手伝え」
「え?私で良いんですか?」
「むしろ秋山くらいしかわからねぇだろ」
困惑する彼女を横目に俺は声を張って歌を紡いだ
◆
「お腹空いたね…」
ここは学園艦の船底近辺、その一角でうさぎさんチームの6人とあんこうチームの通信手である武部は身を寄せあっていた
空腹と不安感に苛まれ、一年生達の中には泣き出す子が出る中
なんとかその不安を取り除こうと武部が手持ちのチョコレートを振る舞っていたその時
『───♪』
「…ん?」
武部の耳になにやら不思議な声が聞こえてきた
「どうかしたんですか?武部先輩」
「…何か聞こえる」
突如立ち上がり壁に耳を当てた武部にうさぎさんチーム車長の澤が不安そうな表情で訪ねると、なにやら難しい表情のまま武部は簡潔にそう返事をする
『──とを出でん』
『──送船───しばし守れや海の人』
「歌?」
「本当だ、どんどん近づいてきますよ」
声の主は二人、どんどんこちらに近づいて来るようで次第にその歌声がハッキリと聞こえてくる
この場に場違いな古い軍歌に一年生の半分は青い顔をし、もう半分と武部はどこか聞き覚えのある声に呆れ半分と安堵半分と言った表情で通路の先を眺めた
「万朶の桜か襟の色ー」
「花は吉野に嵐吹く~」
「大和おのこと生まれなばー」
「散兵戦の花と散れ~」
角を曲がって現れたのはやたら背筋をピンと伸ばして互いに歩幅を合わせて行進する杉野と秋山、そしてその後ろを歩くのはなんとも言えないような表情で前の二人を見つめる西住・五十鈴・冷泉の三人
当の秋山・杉野の二人は武部達に気付くと歌うのをやめてから7人の元へ近づき、無駄に洗礼された所作で敬礼して見せる
「…なにしてるの?」
「お迎えに上がりました」
少しひきつった表情で聞く武部に秋山は敬礼の体勢を崩さずに簡潔に告げる、そうだけどそうじゃないでしょと思わず武部は頭を抱えてその場に踞った
「だ、大丈夫ですか?武部殿」
「ごめんねゆかりん…ただ、こういう時どんな顔すればいいのか分からなくて」
「…笑えば良いと思うぞ?」
心配そうに覗き込む秋山に何でもないんだけどと前置きをしてから続けた武部に杉野が冗談めかしていうと途端に武部はムッとした表情になりジト目を向けた
「──ナオの差し金?」
「…ぴゅ、ぴゅーひゅる~♪」
「誤魔化すの下手ッ!!」
訴えるような武部の視線に素知らぬ振りをして目線を剃らし、カッスカスな口笛を吹いて誤魔化そうとする杉野に思わず武部がツッコミを入れるように叫んだ
無事に7人の救出が完了し、ついでに近くに戦車も発見してそれらを引き上げて時刻はすっかり辺りもくらくなった午後の20時
他の全員は風呂へ行ってから帰りとなったが杉野を含めた4人は素知らぬ振りをして再び戦車倉庫まで戻ってきていた
「お疲れッス」
「お、来たな」
既に自動車部の4人は各5輌の戦車に手をつけ始めており、声をかけた先頭の葛西を筆頭に杉野・宮崎・小高の順で入っていけば近くで作業をしていたホシノを筆頭に他三人も気づいた様子で一時作業をしていた手を止める
整備長の近藤は少し離れたところで誰かと電話しているようだった
ちなみに新たに見つかった2輌の戦車は今から部品出しをして発注をかけても2回戦に間に合わないことから出来れば準決勝・遅くても決勝に間に合えばよしと多少余裕を持った修理プランとなっている
「杉野さん、チハ改の方はウチらで最低限やっとくッスわ」
「頼もしいね、それじゃあ俺らは他の手伝いに行くか」
杉野たちの搭乗戦車であるチハ改は本日、いつもよりかは酷使したわけだが
それでも公式戦参戦までにほぼ全ての部品を入れ換えるためチハ改として現着している部品は軽い点検のみで済んでしまう
あとは油脂類等の消耗品の交換であるがそれも難しい作業では無いため葛西と宮崎が担当すると手を上げ杉野と小高は手が余った
その為二人は他の5輌を見ている自動車部の元へ行こうとしたところで杉野の方へ電話の終わった近藤から声が掛かった
「チョク、ちょっと来てくれるか?」
「はーい、今行きます」
はめ直したワークグローブを脱ぎながら近藤の元へ小走りで駆け寄った杉野が目の前に来てからゆっくりと近藤は続けた
「ひとまず、エンジンとミッション以外の部品は今週中に届く」
「…そしたらあとはその辺の部品待ちっすか?」
「それも今知り合いのところに総当たりで電話したら、部品じゃなくてエンジンとミッション一式丸々なら使ってなかったストックがあるらしいからそれをゴッソリ載せ変えるって形で良いか?
本戦用1基とストック用2基の計3基だ」
「最高じゃないっすか!」
第2戦のアンツィオとの試合は来週末に迫っており日時に換算すれば本日を含めて10日も無い位である、しかしようやく何とかなりそうな風向きになってきたことに杉野は安堵の表情を浮かべた
「3基とも早くて今週末、遅くても来週の頭には持ってきてくれるらしい」
「じゃあ急いで積み替えれば何とか2回戦に出せるってことっすよね」
「聴いて驚くなよ?エンジンはなんと3基とも7型*1のエンジンブロックだぞ」
7型のエンジンブロックと言う単語を聞き、思わずと言ったように杉野は目を見開いて
対照に近藤はイタズラの成功した子供のようにニヤリと笑った
「7型ブロックっすか…良くそんなのストックしてるとこありましたね」
「あぁ、それはほら──
驚いた表情のまま聞き返した杉野に近藤は少し言葉を濁しながらそう伝え、今度は杉野の表情がわずかに強ばった物となる
改良型九七式中戦車一型──通称一型チハは今や無期限活動休止となった日帝学園が配備していた公式戦基準で極限まで耐久性を削ぎ落として性能極振りに作り上げた改良戦車である
その心臓部に使われていたエンジンは───
「確か6型と7型のブロックを使ってたんっすよね…」
「あぁ、といっても7型ブロックは公式戦で使える最上級のブロックで元々から人気だからな
一型チハに載せてたのはほとんど6型で、それをこっちで手直しする際に7型と同じボア径まで広げて使ってた」
そしてこれが重要かもしれないが、そう前置きして近藤はこう続けた
「…どうやら3基とも、昔のアタシが組んだエンジンらしいんだよな」
「え」
再度驚いたように杉野は目を見開く、元々名の売れた整備士である近藤は剣部隊で戦301の整備長を勤めるまでは日帝学園の戦車道チームの車輌の面倒を見ていた
だからこそエンジンを組んだのが近藤であると言う事自体は別段驚くべき事ではない
杉野が引っ掛かったのは近藤ほどの整備士が組み上げたカスタムエンジンを使わずに保管していたという点である
「高性能な7型ブロックを使って作ったエンジンを、それも近藤さんが組んだものを…一体何故今の今まで使わずに?」
「──それなんだがな、チョク
お前は日帝学園の戦車道チームが末期の頃にどんなだったか覚えてるか?」
「…忘れられるわけねぇっすね」
当然の疑問を口にした杉野に、順を追って説明をしようと近藤があの当時の状況がいかに劣悪だったか
かつて日帝学園の傘下である江田島戦車スクールにて戦車道に勤しんでいた杉野へ聞くと今でもはっきりと覚えていると杉野が続けた
「一型チハが配備された頃、俺は群馬の中島車輌架装や小泉製作所を始め
…人手も部品も足りない中無理くり作った戦車はそのまんまの状態だととても乗れたものじゃなかったっすね」
その頃のことを思い出してか杉野は表情を曇らせてギリッと歯を食い縛る、従来戦車の引き取りとは試運転をして不具合が生じていないかをチェックすることが最初に含まれている
無論ちゃんと余裕のあるところで作られた戦車であるのならば一発クリアする車輌もあるが大抵は1〜2個ほど小さな不具合があったりする
しかし杉野が当時の現場で試運転をした車輌達はそんなものでは済まないものばかりだったのだ
「…計器はバタバタと落ち着かず、一度負荷を掛ければエンジンからはオイルと異音を撒き散らし
車体の異常振動と履帯のジャダーで真っ直ぐさえまともに走れない
そんな車輌ばかりっしたけど」
「……」
杉野の言葉に近藤はゆっくりと目を伏せて押し黙る
本来杉野が例に上げたような車輌は試験走行に挑めるような車輌ではなく、何度「搭乗員を殺す気かッ!」と怒鳴ったことか杉野本人が数えきれないほどだった
「──現場は現場で与えられた中でしか仕事は出来ない、そんなことはわかってるんすけど、これは…いくらなんでも」
「性能の保証された7型ブロックを使ったエンジンはそれだけで希少だ、恐らく上からすれば…
このエンジンすらも切るのが惜しい秘密兵器の一つだったんだろうな」
実際に杉野は当初部品も人手も足りていないということに気がつかず、一向に進まない試験走行の不合格車輌の改修作業に苛立ち
改修作業待ちの車輌群の傍らで談笑に勤しむ整備士達を片っ端から木の棒で殴り飛ばした事もある
知らなかったとはいえ杉野の見てきた限りでは自身が抜けてる間にも試合で多くの仲間達が歯痒い思いを強いられており、そこに部品が無くやることのない整備士達がおちゃらけたように見える談笑に興じていたのが事情を知らなかった背景もあって我慢できなかった
それだけ当時の杉野は戦車道と言うものに真剣であったのだ
「そもそも…一型も二型のチハ改も元々は日帝学園が極秘の内に建造した3輌の主力戦車の護衛を意図に改良された物だから
言い方は悪いがそれ以外の部隊に割り当てる分にこのエンジンを使う気は無かったんじゃないか?」
「しかし戦局はその極秘に作った戦車をもってしてもどうにもなら無かったみたいっすけど…」
杉野が見てきたその頃の日帝学園はまさしくドン底であった
かつて日本国内で初めて戦車道を取り入れ、栄えた姿は見る影も無く
度重なる負け戦にスポンサーは離れ、学園の運営費さえ食い潰した
そこで日帝学園の上層部は極秘裏に開発・建造した3輌の戦車に希望を託す
この戦車が1輌でもあれば、戦況を覆すことは充分に可能な筈だと
その3輌…史実に置いてはあまりにもオーバーテクノロジーであった為に設計国の日本自体が扱いきれず、実用に至らなかった
一型チハの護衛の元、日帝学園が再び戦車道界隈に返り咲くための足掛かりとなる筈だった
───そう、
「チョクが剣部隊に異動になった頃には何が残ってた?」
「…しばらくは箝口令が敷かれてたっすけど、風の噂で色々と聞いたっすよ
俺が剣部隊に入った時には、もうイ号しか残ってなかったっす」
その結果は──惨敗。
最初に喪失した
これは反対にそうでもしなければまともに敵戦車を撃破することさえ叶わない程に日帝学園戦車道チームは追い詰められていたと言うわけである
後には練度不足の搭乗員と一部の高性能な改良戦車以外の大多数を占める性能不足な旧式戦車が残されており
たとえ高性能な戦車に搭乗員を載せたとて敵を撃破する前に撃破され、酷い場合は怪我によって離脱する
どうせなにも出来ずにやられるだけならば、最後に一矢報いる為に砲身の先に重戦車用の砲弾をくくりつけて体当たりすると言う戦法が生まれた背景はこういった事情からである
「結局、その後の日帝学園の公式戦からの撤退やら
後には出し渋った分、使いどころも無くなったエンジンが残ったわけだ」
「本末転倒っすけどね」
出し惜しみのあまり火力不足の限定兵力を逐次投入と言う軍事教訓上尤もやってはいけない事をやらかし、ふたを開けてみれば温存した兵力は使う機会を永遠に失い
それが巡りめぐって杉野達の目の前に転がり込んできたのだ
「だからこそ、そのエンジンをアタシらで貰い受ける」
言い放って口元をニヤリと歪める近藤とは対照的に、全くしたたかな人だと杉野は笑みこそ浮かべど少々ひきつり気味の表情をしていた
◆
翌日以降も日中は1日通しての訓練、放課後は夜遅くまでは整備というルーティンは変わらず
ただ新たに加わった2輌の部品も数日としない内に細々とではあるが届き始めた為空き時間を見つけてはコツコツと修理していくという中々にハードなスケジュールであった
それでも総数9名による整備であるため当初の予定よりかは進みが良く、上手く行けば2輌共準決勝には間に合うかもしれないと期待が膨らんだある日の夕方
大洗戦車道チームの戦車格納庫にパレットに載った三つの大きな木箱入りの荷物が届いた
「思ってたよりも早く来たッスね!」
「あぁ」
これでまず2回戦は間違いなく参加出来ると、届いた荷物───チハ改に載せる公式戦基準のエンジンを囲む5人の中から葛西がテンション高く呟くとその左隣にいた杉野がゆっくりと頷く
葛西を始めとした同じチームの3人は一様にワクワクした様だがその反面杉野と近藤は怪訝そうな顔をしていた
「…近藤さん、来るのってエンジンとミッションって話じゃなかったんすか?」
「…アタシはそう聞いてるんだがなぁ」
「じゃあなんで荷物は3個口で届いてるんすか!
普通6個口っすよね!?」
発送が同時ならばまず間違いなく荷物は6個口になる筈である、何せエンジンもミッションも大きく重たい
よほどの事がない限りはそれぞれ別でないと送れない筈だが…
「なーんか嫌~な予感するんすけど」
「奇遇だな、アタシもだよ」
互いにため息を吐きつつ包装を解いて木箱の天板を開ける
するとそこに現れたのは───
「あ、なんだちゃんとミッションもあるじゃないですか」
中身を確認して押し黙った二人の脇から他の3人も顔を覗かせて、小高がこれでひと安心だと声をあげる
本来6個口で送られてくる筈の荷物はエンジンとミッションを組んでつなぎ合わせた状態であったため3個口で届いていたのだ
「…近藤さん、ちゃんと6個口で送るように言ったんですよね?」
「あぁ、なんなら追跡伝票はちゃんと6枚になってるぞ」
しかしちゃんと物は届いている筈なのに杉野と近藤は思わずと言った様子でその場に崩れ落ち、残る3人は頭に疑問符を浮かべた
「…宮さん、指定した個数より少ないってどないなんッスか?」
「…多分、運送屋が気ィ回して組み込んだんじゃろ」
「まぁ、確かにこのサイズで着払いなら結構な金額行きますもんね」
杉野と近藤の二人を差し置いて3人はこそこそとなにやら話し込んでいる、恐らくは宮崎の読みが当たりで
エンジンやらミッションやらは単体でかなりの大きさがあり一つだけで送料はかなりの費用となる
特に学園艦なら別途で離島料金もかかる為、6個口の送料を取ることを不憫に思った業者がエンジンとミッションを一つに組み込み、3個口としてコンパクトに届けたのだと思われるが…
「ほな、安く上がったならそれでええんちゃいますの?」
「…はぁ、葛西───オメェちっと工具持ってきてこのエンジンとミッション切り離してみ?」
能天気にそんなことを言う葛西に再度ため息を吐いた杉野が指示をし、繋がったミッションとエンジンの切り離し作業が始まる
車輌に着いている状態では無いため本来ならミッションケースとエンジンブロック側を止めている大きなボルトを外周分外せば比較的用意に切り離せる筈であるが
「…固ッ!?なんやこれ全然抜けへん!」
「どれどれ…うっわホントだ!」
葛西が切り離しに四苦八苦していると小高がバールを持ってきて手伝いに入るもそれでも簡単に抜けて来ずあぁでもないこうでもないと言いながら作業に熱中し始める
尚、この時点で近藤と杉野の両名はとてつもなく嫌そうな表情をしていた
「なになに?どーしたの」
「え?そこ外れないなんてことある??」
ついには離れたところで車輌の整備に勤しんでいた自動車部の4人も見に来る始末で
工具と格闘する葛西と小高に長めのバールを片手に持ったナカジマと重機用の大型ハンマーを持ったホシノが助っ人に加わりツチヤとスズキは心配そうに見ている
「あっ!掛かるようになった」
葛西・小高・ナカジマが対角にバールを掛けてガッタガッタと揺さぶり、時折バールの底をホシノがハンマーで小突いて少しずつではあるが徐々に繋ぎ目に隙間が生まれ
すかさずバール先端を突っ込んだナカジマがホシノに目線で指示を送り、頷き返したホシノがナカジマの持っていたバールの底をハンマーで思いっきり叩く
──ガコンッ
すると小さな事を立ててようやくエンジンとミッションがそれぞれに分かれる、少し離れて見守っていた者達の中から杉野が無言で近づき
ミッションケースの中からなにやら小さな部品を拾い上げた
「やっぱりな…終わってるわ、本日の作業終了~」
がっくりと遠目で見ていた近藤もその言葉に肩を落とし、葛西が杉野に近づいて手の中の部品を覗き込む
「杉野さん…?なんか壊れとったんッスか?」
「…これ、エンジンとミッションを繋いでるシャフトのベアリングな?」
「…うっわ!?ごっつぅ
手の中にある部品──杉野曰くエンジンとミッションを繋いでる部品の一つであるが
ベアリング部は大きくひしゃげ、外周を覆っていたと思われるカラーは見るも無惨に砕け散っていた
「こんな酷い状況なのは見たこと無いな…
カラーは無理矢理引き剥がした時に割れたとしても、なんでベアリングまでこんなになっちゃうわけ??」
「…多分向きだとかそう言うの気にしないで無理矢理嵌め込んだんじゃない?
ほら、送り主は6個口で送る予定だったからそんなこと一々配達員に言わないだろうし」
自動車部の4人でさえこんなに酷いのは見たこと無いと貴重な
「──近藤さん、このベアリング今頼んだらいつ届きます?」
「…これだけなら多分2日3日か、けど今週中には載せたかったんだがなぁ~」
幸い元の部品は特に入手困難な部品と言う訳ではない、今から注文を入れても試合には余裕で間に合う
ただし、エンジンは年単位で動かしてない為一度開けて中身を見なければいけないし
内部は最低限パッキン等の交換で済むにしても出来れば慣らし運転もしておきたい
それを考えれば次の試合まで残り一週間を切った今になってこんな事態に陥るのはかなりの痛手と言えた
「もうさァッ無理だよ部品がねぇんだからさァッ!今日の今日で出来る作業なんてねぇよ!!」
「エンジン開けるんはイケるや無いッスか!?知らんけど!!」
「あっははは!他人事だなホントッ!!」
どうせ今日頑張っても出来ること等知れていると珍しくさっさと帰ろうと解散を促す杉野に葛西がテキトーな事を言って変にツボに入ったのかゲラゲラと笑う杉野に釣られてか
もしくはそのやり取りのコミカルさにやられてか辺りを囲んでいた者達も吹き出して肩を震わせた
「…はぁ~…現実逃避お~わり、やりますか~」
「うッス」
「それじゃウチら残りの2基手ェ着けますわ」
ひとしきり笑ったあと頬をバシバシと叩いて気合いを入れ直し、杉野は工具を片手にミッションと分離したエンジンに手をつけ始め
他の3人もそれに習って別のエンジンとミッションの元へ移動し、残された自動車部の4人は一息着くためかその様子をじっと見ていた
「エンジンスタンドは?」
「ひとまずバラすだけならいらんっすわ、ボルトとかは無くさないようにせにゃならんっすけど
ブロック単体で吊った方が楽でしょう?」
部品商にメールで追加注文を終えた近藤が座り込んでパレット台座の上で作業をしている杉野にエンジンスタンド──エンジン本体を吊ったまま分解作業が出来る台座を使わないのかと聞けば分解するだけなら無くても良いと帰ってきたために納得したようにゆっくりと頷いた
「…カム周りは軽度のサビが出てるっすけど、スラッジはそんな出てないんでパッキン交換だけでひとまず行けそうっすね」
「そうか、まぁ最悪エンジンブロックだけ無事ならあとはどうとでもなるからな
パッキン変えてひとまずチハに組み込んで、2回戦終わったら他の部品はゴソッと変えるでも良いし」
作業の片手間に今後の段取りを話す杉野と近藤にそれぞれ引っ掛かるところがあったのか自動車部の4人が疑問に思ったところを投げ掛け始める
「…あれ?そのエンジンって組み上げてから一度も使われてないんでしょ?
スラッジなんか貯まる??」
「そこまでやるなら新品でエンジン単体を買ってきた方がよかったんじゃ…」
当然と言えば当然の疑問、それに答えるべく杉野と近藤は目を合わせるが
実際にこのエンジンを組んだ近藤が話した方が伝わりやすいだろうと杉野の無言の訴えもあり、近藤はその疑問に対する理由をゆっくりと話し始めた
「…まずこのエンジンは一度も使われてないと言ったが、それは半分本当で半分違う
正しくは一度組み上げて慣らし運転まで終えてから出荷したエンジンだから、1万km程度動かしてはいる」
「1万km!?慣らしでそんなに動かすんですか!!?」
「その疑問に答える前に、ブロック以外は変えても良いと言った理由も説明しておくが
このエンジンに組み付けている部品で唯一特別な部品なのがエンジンブロックなんだよ
だからブロックは使いまわしたいが、他の部品はぶっちゃけどうでもいい」
「特別なエンジンブロック…ですか」
自動車部の4人、特に質問を投げ掛けたスズキとツチヤが驚いたように聞き返し
その様子を見て含んだような笑みを浮かべた近藤は続ける
「あぁ、実は材質が違う
普通のねずみ鋳鉄じゃなくて球状黒鉛鋳鉄製だ」
「え?使っちゃって良いんですか?カスタム部品ですよねそれ…」
従来のものと材質が違うと聞けば今までのグレーゾーンと違い明らかにアウトではないかとそれまで黙って話を聞いていたホシノが困惑したように聞き返す
「昔、それこそアタシも生まれるより前に純正の補修部品で出回ってた事があるんだよ
勿論、今は禁止でエンジン番号の残ってる当時物だけしか使えない
だからブロックだけは本当に特別なんだよ」
そして、近藤は話を慣らし運転を終えてから出荷したという下りまで戻す
「このエンジンはうちのチームの他の車輌で時間の都合上出来なかった特殊な加工をしてる、だから厳密には新品であって新品のエンジンではない」
「特殊な加工…?」
一様に頭に疑問符を浮かべた様子の4人へ
あぁ、と頷きその加工方法について近藤は続ける
「
「枯らし…?」
「聞いたことないんですけど、それってどう言った加工なんですか?」
加工法としては日本国内ではあまりメジャーなやり方では無いためか、皆一様にピンときた様子ではない
しかしこの枯らし作業こそが、実は高出力で尚且つ耐久性もあるエンジンを組むのに必要な加工方法なのである
「実はチハに限らずどんな戦車の純正エンジンブロックでも、単純な高出力化を求めて弄ることは特段難しい事じゃ無いんだよ」
そう言って順序を踏んで段階的に理由を述べていく近藤に4人は職業柄か真剣な表情で聞き入っていた
何せ元から大排気量のエンジンであるため、耐久性重視で弄った大洗の戦車5輌とは反対に極限まで耐久性を削ぎ落として性能重視にしてやれば造作も無いことだ
重たい車体を引っ張るための巨大なエンジンは高出力化される事で低回転でもすさまじいトルクを放ち、10秒足らずで最高出力へ到達する
特段金は掛けずとも手間だけで下手な軽戦車を相手取っても瞬発力、加速力で敵なしになれる
しかし最高出力を維持しながらものの30秒も回せば、たちまち油温が急上昇する
それに気付かずそのまま走行を継続すれば油膜切れを起こしてメタルが焼き付き、下手をすればコンロッドやクランクシャフトが折れて文字通りエンジンが粉々に吹き飛んでしまう
何せ小柄なチハですらエンジン単体で1.2tもある超重量級
その大きさ、その重さが自分の首を絞めるのだ
「例えばそこのチハ──チハ改に載せられているエンジンは高出力化に伴ってターボ化してるが
それでも試合に使えなきゃ意味がない、よって開発時の性能要求項目には『発動機の全開状態にて一時間以上の継続戦闘能力』と言う厳しい要求がされてる」
ただパワーを出すだけではない、試合に使うための耐久性を備えその上で類を見ない高出力化を果たせなければ実用等到底不可能なのだ
「それをクリアするための土台作りが、さっき上げた枯らし作業となる」
さてその枯らし作業とは一体どんな物なのか、説明のために話を戻した近藤が続けるが
実は枯らし作業自体
手に入れたエンジンブロックをそのまま野外に放置しておくだけである
「え?そんなことしちゃって良いんですか!?」
説明の途中でツチヤが思わずと言った様子で声を上げる、折角手に入れた新品のエンジンブロックを事もあろうか野外に放置する
一見するとただエンジンブロックを腐食させて終わりそうな行為であり、行動としては矛盾していると考えたからだ
「鋳鉄にはどんな鋳鉄だろうと溶けた鉄が冷えて固まるときに起こるひずみが鋳鉄後も残っている、これを残留応力というんだが───
これを残したままエンジンを組み立てると、ひずみが抜けていくにしたがってエンジンが歪む」
ツチヤの挙げた当然と言えば当然な疑問に対し、近藤は理論的に
何故その行為が必要なのか鋳鉄の性質を例に上げて語る、呆気に取られたようなツチヤの傍らで他の自動車部3人は真剣な眼差しで頷きつつ聞いていた
「ブロックがゆがめば回転や作動の抵抗が増えてパワーが落ち、油温があがってエンジンは焼き付く
特に球状黒鉛鋳鉄は強靭性に優れ炭素鋼に近い強度がある、当然製造時に残った応力も通常の鋳鉄ブロックの比じゃない」
その為半年から1年放置することで残留応力が消えるのを気長に待つわけだが、中には土に埋めて数年放置する猛者までいる
こうして
これを適当な戦車に載せ、1万kmほど慣らし運転で普通に走らせる
死んでいたブロックに熱が加わりオイルや
その後慣らしが終われば再度エンジンを分解し、電磁探傷法*2や超音波検査法*3・浸透探傷法*4等のテストによって材料のヒビやキズ、欠陥を見つけて選別する
かつて一型チハに載せられていたエンジンは6型ブロックでもこの厳しい合格基準に満たした物が初めて搭載候補となるが、ここで製造時の欠陥を暴露するエンジンも多く
基準に満たないエンジンはストック用にすらなれない
この後もう一度入念な機械加工を施したのちブロック内面を研磨する事で晴れてエンジンブロックの加工は完了するのだが、今回届いた3基のエンジンの立ち位置はまさにここ
枯らし作業を終え、慣らしも終わって検査を合格
高圧縮な純正改良部品を使って高出力化され、いつでも戦車に載せることの出来る状態になってから放置されていた物である
「ちなみに元々枯らし作業は海の向こう──アメリカから渡ってきた技術だ
向こうでは数千~1万馬力級エンジンを載せてレースするモンスタータンクや800㎞をアクセル全開で競い合う耐久レース用のエンジン等で見られる手法だな」
日本の現代戦車道とそれに伴う公式戦、そこを軸に置いた基準が第一に置いた日本と違い
海を跨げば割と何でもありな戦車道が数多く存在し、特にアメリカはそれが顕著である
こちらでは考えられないような過激な改造にも耐える為に編み出された手法、当然その効果は折り紙つき
加えて近藤はエンジンの組立には山になるほど仕入れたそれぞれの各部品の中から特に精度に優れた一握りのパーツしか使わない
ありふれた凡庸品の中から見つけた最高のみ組み付ける事で、近藤の組むエンジンは例え大きく吹け上がりの眠たい戦車用のディーゼルエンジンであろうが谷無くフラットに
そしてスムーズでどこまでも回るエンジンへと変化する
「特に
だから高回転化する事で稼いだ余分な回転数分でパワーを上げる」
「ここまでやってどれくらい回せるんです?」
「そうだな、燃費も考慮して
例として試合に使える基準を『戦闘機動にて一時間以上の継続戦闘能力』とするのなら
5000回転まではアタシが保証する」
『ごっ!?』
本来ディーゼルエンジンは高回転に向かない、特に大きくて重たい戦車用のエンジンともなれば尚更でガソリンエンジンの物でも最高回転数は2000回転前後という超低回転エンジンである
その上ディーゼルエンジンの場合は、ガソリンエンジンよりも高圧縮比耐えるための各部品の重量が重く
そのせいで高回転回すことは通常不可能となっている
戦車の次に重いエンジンであるトラックで3000回転、乗用車でようやく5000回転回せるが乗用車と戦車では文字通りエンジン重量の桁が違う
自動車部の4人が口々に信じられないと言った顔をするがそれも仕方の無いことだった
「まぁ当然だが、こういう弄り方だからこそ
全開にしたら一時間
「ここまで言われたら耐えてる方な気がしますけど…」
「それでも純正とは比べられない程耐久力は落ちてるから、半端に弄るくらいならやらない方が断然良い
やるならとことん突き詰めねぇとな、中途半端は嫌いだ」
最高回転数が高々知れている純正ならばいかに長時間回しても余程粗悪な燃料やオイルを使わない限り壊れる事はないが、ここまで弄ったエンジンはその燃料やオイルも通常以上の高性能品を使わなければ思ったような性能が出ず
それらを使ってようやく一度の全開時間は一時間という耐久性を得られるわけだが、ぶっちゃけ近藤からすればお話にならない程耐久性は皆無
話の限りではそれでもすごいと続けたスズキへばっさりと切り捨てた
精密にひずみなく作らないと巨大なディーゼルエンジンでは5000回転回れない、5000回転回れなければNAのエンジンは高出力を出せない、高出力かつ高圧縮なディーゼルエンジンで高回転まで回す時
ひずみを取り払った精密な部品達でなければ自分の質量を支えていることができない
並みの改造ではダメだし並みの部品を使うではもっとダメ
それらを全て兼ね備えて、ようやく手に入るのが戦闘機動一時間という耐久力なのだ
公式戦基準という多くの制約の中で、高出力化に不向きなディーゼルエンジンを仕上げると言うことは
突き詰めていけば妥協を許さない職人技の産物なのである
エンジンは稼働時間が長ければピントンリングなどでシリンダー内に小傷を着けてしまう、それが大きくなると圧縮不良やオイル上がり等の原因となってしまい出力が低下する原因やエンジンブローの原因となる
その為ある程度傷が大きくなればボーリング加工などでボア径を広げてオーバーサイズピストンを組むことにより帳尻を合わせたり
メーカーの出している補修部品としてのエンジンブロックや社外のエンジンブロックに交換するとこで対処したりする
この世界においてはチハの製造メーカーである三菱はSA一二二〇〇VDエンジンに対して補修用エンジンブロックを1型〜9型まで用意しており
今新品で手に入れる事が出来るのは公式戦用の1型〜5型(前期・中期・後期、その他微細な仕様違いなど含む)のねずみ鋳鉄製エンジンブロックとタンカスロンを始めとするカスタム戦車用の8型〜9型のアルミ製エンジンブロックのみとなっており
6型と7型は現代戦車道の規定がまだ甘かった50年代後半の数年間のみ製造された球状黒鉛鋳鉄(高張力合金鋳鉄、又はノジュラー鋳鉄とも呼ぶ)製のエンジンブロックであり7型は6型をベースに新品時点で目一杯ボア径を広げてある言わば純正カスタムメイドである
初期の規定は割と工学精度の低かったことからカタログスペック同等なら素材の自由が多少効いたのだがある程度工作精度が上がると1〜5型と6、7型ではスペックの差が大きくなるため数年で生産が中止となったが
さすがにその数年間で市場に流れた全てを回収しきることは不可能なためこの期間内に製造され、尚且つ実際にエンジン番号が割り当てられて出荷されてしまった分のみ公式戦に使うことが許されている幻のエンジンブロックとなった
※余談ではあるが剣部隊で使われていたチハ改のエンジンブロックはメーカーである三菱が出している8型、9型のアルミブロックでさえ容量不足な為
社外のアルミ合金ビレット製を使っている
鉄鋼などの強磁性体に磁性を与えると傷のある部分から磁束が漏洩するが、この「漏洩磁束」に強磁性体の微粉末(磁粉)が引き寄せられ、磁粉模様となって傷の位置を知らせる
※磁石がくっつかない非磁性材料(ステンレス等)には適用不可
【渦流探傷試験】
導電性のある材料(金属等)の近くに交流電流を流したコイルを配置
電磁誘導の原理により材料内部に渦電流が発生し、その渦電流が欠陥や材料の性質によって変化することを検出する試験
位置や大きさ・形状等を検出・評価する非破壊検査の一種
音響インピーダンスの差が大きい試験体と欠陥部で超音波が反射する原理を利用し、波形表示から傷の状態を把握する
垂直法と斜角探傷法・フェーズドアレイ探傷があり、
高精度な断面画像化も可能
メカニカルな事は元本職なのでこうすれば実現できるんじゃないかな?(それに伴う莫大な費用に関しては目逸らし)って感じで書き上げてる究極な与太時空(ココ重要)です
でもガルパン好きな人はこういうメカニカルな話を深掘りしたのとか好きだと思うんだ、これでもそんなに興味無い人が着いてこれるように抑えてるんです
多分やろうと思えば話の頭から終わりまでずっとエンジンに関して喋ってる話で4話くらい掛けますがそれやったら一部の変態さんしか着いてこれないと思うのでやりません
似たようなことは閑話で書くかも…??
余談ですが大洗の他5輌の最初に積んでいたエンジンはブロックだけの状態にされ格納庫の奥の部品庫にて放置されています
今後に期待
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誤字脱字は見つけ次第直しますが、ページ下の報告から手伝っていただけますと幸いです
最後になりますがもしかしたら、次回閑話にするかもです
以上です