ふたりはプリキュア!! LEPUS☆GALAXY's 作:きゅー。
ヤバいですあれは。
(ちなみにライトなし版買ったので、懐中電灯を片手に応援してしました)
「さっきの話の続き、聞きたいプカ」
プーカは口元にかすかな笑みを浮かべ、柔らかな表情を見せた。
辛いことがあったら、声に出して言ってほしいし、何より僕に伝えてほしい──────
しっかりと自分を見つめる2つの瞳から、そんな意志をシュプリームは感じていた。
この星を訪れてから、ずっと胸の奥でつかえていたもの。
それを言葉にして、少しずつ、紡いでいく。
「プーカ、僕は…"星喰い"と同じなんだよ…プリキュアに出会う前、僕はただ"強くある"…それだけの為に存在していた」
「うん…君の事は、僕も知ってるプカ」
「…その時…僕は…たくさんの星を、壊したんだ」
その声が震えだしている事に、プーカは気づいた。
シュプリームはその視線を彷徨うように動かし、胸元で右手を握りしめていた。
普段のミステリアスでクールな印象からは想像もできないほど、心中で取り乱している様子であった。
「僕に闘いを挑む者がいれば、その星は戦場になった…最後はいつも決まっていた……闘いの果てに僕が勝ち、そして───」
「……星が、破滅する」
***
宇宙最強の生命体・シュプリーム。
それはある太古の昔、宇宙の片隅で生まれた存在。
惑星全てを塵へと還す《破壊の力》を始めとした、その圧倒的な力量は宇宙広しといえど、随一であった。
その存在意義はただ1つ。《己の力を証明する》、ただそれだけ。
故にシュプリームは、『強きもの』がいるとされる惑星の情報を掴むと、その星々へと飛来し、戦いを仕掛けた。
ある星は、星間軍事兵器を大量に所有する軍事惑星だった。
余りあるその火力は全てシュプリームに向けて放たれたが、体表すら焼き払えず、逆に全ての攻撃が惑星へと跳ね返され、自らの兵器で宇宙の塵となる末路を辿った。
またある星は、草木や水、花…美しい自然に囲まれた惑星。
そこでは最強の生命体がいる、という噂を聞きつけた、犯罪組織・宇宙ハンターの面々が、我先にシュプリームを討ち取ろうとしていた。
全ては、己の名を宇宙全土に轟かせるため。
その惑星には多くの住民がいたが、先に財宝や資源の略奪・根城にする目的で惑星に侵入したハンターたちによって支配された生活を余儀なくされていた。
天より現れたシュプリームの放った一条の光線が、星の核を突き破り、内部から木っ端微塵に砕く。
こうしてシュプリームとハンターたちの戦いは、一瞬でついた。
数えきれない、多大な犠牲を出しながら。
何度も。何度も。繰り返される、一方的な戦い。
勝利は断じて揺るがなかった。
その時、シュプリームは考えもしなかった。
いや、あまりに無関心だった…という方が正しいかもしれない。
多くの人々を犠牲にし、星を壊し続けたという、大罪について。
***
「プーカ、君は…こんな僕でもいつか本物のプリキュアになれると…本気でそう思っているのか?……僕はもともと、星の破壊者だ」
果てしないほどの、自己嫌悪の感情。
現在進行形で、宇宙生命体だった時からは考えられないほど、プリムの中では人間らしい心が芽生えつつある。
それは同時に、今まで経験したことのない負の感情を味わう事でもあった。
迷いに揺らぐ瞳が、静かにプーカを捉える。
少しの沈黙の後、プーカは口を開いた。
「たとえ誰が何を言おうと、プリムはもう、プリキュアの1人プカ」
「えっ…」
「僕も、君も…まだプリキュアの全部を知ってるわけじゃない…だけど君は"星喰い"を止めよう、って、僕に言ってくれたプカ…それは、誰のためプカ?」
「それは…」
シュプリームは自らの記憶を呼び起こす。
…"星喰い"を止める事をプーカに進言し、動いたのは、紛れもない自分だった。
"星喰い"をなんとかしなければ、宇宙が危機を迎える。
そんな事態は絶対に避けなければならない。
無性に、そう思えてならなかった。
「…分からない。けれど、やらなくちゃ、って思ったんだ」
シュプリームは胸に手を当てた。
ブローチのクリスタルに、そっと触れていく。
自分の気持ちを、しっかりと確認するように。
「きっと、それでいいプカ」
プーカが、にっこりと笑みを浮かべた。
「君の過去は、誰にも変えられない…だけど、今も君は、自分が信じた正しい事をしようって、誰よりも強く思っているプカ」
「プーカ…」
「本物とか、偽物とか、そんなことは関係ないプカ!その心があれば、プリムはもう、プリキュアプカ!」
プーカは惑う友に、優しく背中を押すようなエールを贈る。
その純粋な言葉は、シュプリームの心の中に、確実に届いていた。
「自分が信じた、正しい事…か…」
思い起こせば、今までの旅の中、シュプリームとプーカは、様々な星や人々を助けてきた。
ある時は、星に落下しそうな隕石を破壊し、その軌道を変えた。
またある時は、迷子になっていた子どもを親のもとへ送り届けた。
そしてまたある時は、邪悪な怪物を2人で浄化し、美しい星へ戻した。
そうした行為の後に、周りの人達から決まって聞く言葉がある。
「ありがとう」。
それを聞くと、何故かは分からないが、胸の奥がじんわりと温かくなるような感覚があった。
この世界に生まれてから、誰にも感謝された事はなかったシュプリームにとって、それは初めての経験だったのだ。
過去に囚われたばかりに、忘れかけていた大切なもの。
プーカと共に旅を始めてから芽生えた、その純粋な感覚に、いつしか強く惹かれていた事を思い出した。
「…ありがとう」
ふと口から出たのは、小さな声だった。
しかしそれは、目の前にいるかけがえのない存在に、しっかりと伝わっていた。
「どういたしまして、プカ!」
プーカはにっこりと太陽のような微笑みを浮かべ、手を差し出した。
その温かな手を、プリムは自らも手を差し出し、優しく、しっかりと繋いだ。