苦楽を元にしてきた大切な友達の
「小僧が!!調子に乗ってんじゃねぇ!!」
サイボーグは斬られていない左腕で
「ぐぁ・・・!」
フィジカルギフテッドに目覚めてまだ間もない
「そんなに死にてぇなら望み通り、逝かせてやるぜぇ」
サイボーグは両手に電気の爪を創り上げ、
「ちぃ・・・!」
「いい加減てめぇも煩わしいんだよぉ!!」
サイボーグはレオーネの拳を受け止めたまま、彼女に蹴りを放ち、
「がは・・・!」
「うぜぇんだよてめぇら!!雑魚の癖にしゃしゃり出やがってよぉ!!どうにもならねぇ癖によぉ!!」
サイボーグは背中の装甲を展開し、砲台のような出現させ、狙いを
(こ、こいつはやべぇ・・・!せめて・・・
「逃がしやしねぇ!!!まとめて逝かせてやるぜぇ!!!」
ドオォォォン!!!!ドカアアアアアアアン!!!!!
レオーネは
「いいか!雑魚は刈られるためにあるんだよぉ!わかったかぁ!!」
2人がいた場所には大きな土煙が発せられており、状況がよく見えない。
「て、もう聞こえるわけねぇかぁ!!ぐわぁっはっはっはっはっはぁ!!」
サイボーグは2人を始末したと考え、高らかに笑っている。すると・・・
「何これ?これどういう状況?」
「!」
土煙から男の声が聞こえてきた。サイボーグは笑いを止め、土煙に注目する。土煙が晴れるとそこには・・・気を失った長門と重傷者の
「!!五条!!」
「や」
まさかの男の登場にレオーネは驚き、目隠し男、五条悟は長門を手放し、左手をあげて軽く会釈する。
「なんでここに・・・」
「いやー、本当は
悟はボロボロの様子のレオーネを見て、笑っている。
「ははっ!てかボロボロだねぇ。写メ撮って皆に見せよーっと」
「おいやめろふざけんな!」
悟は許可なく携帯を取り出し、パシャパシャと今のレオーネの姿を連写する。写真を撮っている間にもサイボーグは悟に向けて電気の爪を振るおうとする。
「!!五条、後だ!!」
レオーネが注意を入れるが、もうすでに遅く、サイボーグは電気の爪を振るい、悟に攻撃した。だが、電気の爪は悟に当たる直前で止まり、攻撃が当たらない。
「で、君何?」
ようやく悟の注目がサイボーグに向けられた。
「んだ、こりゃあ!!?当たらねぇ!!!」
攻撃が当たらず、困惑するサイボーグに悟は裏拳をかました。その直後、悟はサイボーグに拳の連撃を放ち、最後の一撃に力を込めて、サイボーグを殴り飛ばした。
「はぐぅああああああああ!!!」
悟の連撃、強烈な一撃を喰らったサイボーグは吹っ飛ばされて外に出た。
(すげぇ・・・私でも歯が立たなかった呪霊を赤子の手をひねるみたいに・・・!やっぱ五条は強ぇ・・・!)
自分でも勝つことが叶わなかった呪霊を相手に軽々と捻ってしまう悟に対し、レオーネは彼の強さを改めて実感する。悟はサイボーグを追いかけるように教室から飛び出し、地に着地する。
「五条・・・おめぇがあの五条悟か」
「そうだけど、最初の質問に答えてないよね?君、何者?」
悟はどうせ答えるはずがない質問をしつつ、サイボーグについて推察する。
(呪霊のくせにしっかりコミュニケーションが取れてる・・・その上この呪力量・・・未登録の特級か・・・。見た感じ最近生まれたってわけでもなさそうだし、何かの目的のためにここに来てるってのは間違いないっぽいね)
悟が推察している間にもサイボーグは彼の出現に忌々しく感じている。
(まさか最強の呪術師様が来るとはなぁ・・・。このまま続けてたら俺は祓われちまう・・・。お楽しみはまだまだ残ってるって―のによぉ・・・)
サイボーグは
(仕方ねぇ・・・命は惜しい。ここは逃げさせてもらうぜぇ)
サイボーグは逃げる算段を立てるために、自分の左手を掲げ、腕の装甲をパージした。放たれた腕の部品は形となり、数多くの機械生命体を生み出した。機械生命体は悟の周りを取り囲む。サイボーグのそばにも何体もいる。
「式神か⁉」
「目的の物は手に入ったぁ。てめぇと
サイボーグは武虎が持っていた小さな箱を悟たちに見せ、逃げることを宣言した。
「⁉特級呪物・・・!オッサンを刺した時か・・・!」
サイボーグは武虎を刺す際に、ちゃっかりと特級呪物を回収していたようで、それに気がついたレオーネは驚愕し、苦虫を食い潰したような顔になる。
「それ見せられて逃がすと思う?」
「いーや、逃げさせてもらうぜぇ!」
サイボーグが指示を出すと、悟を囲んでいた機械の式神は一斉に彼に襲い掛かろうとする。
「襲撃用と護衛用に分けたかぁ・・・あいつ、慣れてるねぇ。仕方ない」
襲い掛かってくる機械の式神の攻撃を自身の術式で寸前で止めた悟は肩をすくめ、持っていた手提げ袋を術式でレオーネの元まで送った。
「
「?これは?」
「北海道産名物スイーツの盛り合わせ。ここに来る回数も少なかったからさぁ。いろいろ目移りしちゃって、つい爆買いしちゃった♡」
(こ、こいつ・・・!!)
人が死にかけてる時に呑気に土産を買いに行っていた悟に対し、レオーネは怒りが込み上げてきた。
「これ、結構疲れるんだけど・・・久々にやるか」
悟が両手を翳すと、掌の空気が青く染まっていく。青の空気は徐々に大きくなっていく。
「出力最大・・・術式順転―――"蒼"」
悟が青の空気を投げ放つと、青の空気は地面を、木を、そして機械の式神さえも・・・ありとあらゆるものを吸い込み、悟の周りを駆け巡る。周りのもの全てを吸い込み終え、悟は術式順転、蒼を解除する。蒼に巻き込まれた機械の式神は残骸となり、破片が至る所に落ちていく。
ヒュゥゥゥン!
それと同時に、遠くで黒い航空機のような物体が空を飛んだ。悟には一目でわかっていた。あれが、先ほどまでもサイボーグであるということを。航空機に変形したサイボーグは猛スピードで前線を離脱していった。
「・・・残念。逃げられたか」
術式を使ってももう追いかけることはできないと判断した悟は術式を使って一瞬でレオーネの元まで戻ってきた。
「状況は後で聞くとして・・・とんでもないことになったねぇ・・・本命も死んじゃってるし・・・刀、どうしよっかなぁ・・・。このまま帰ったら
これからどうしようかと悟が悩んでいる間にも、レオーネは
「・・・あんた・・・
「!」
「お?」
「
「・・・ああ。伝えといてやるよ」
レオーネは
「・・・この
「あの切り傷だったんだ。どの道助からなかったよ。もう気力だけで動いてたって感じだね」
「・・・・・・」
「で、ずっと気になってんだけど・・・この少年は?」
悟はようやく気絶している
「おっとそうだ・・・五条先生よ、この少年推挙ね」
「えぇ~?それってスカウトってこと?見込みあんの?」
「あるよ」
「・・・へぇ?」
「呪術師はいつだって人手不足。度胸も運もある。高専で育て上げれば、きっといい戦力になる」
「ほっほ~う。どれどれ・・・」
悟は
「ねぇ、この少年特級相手に傷をつけた?」
「ああ。この目で見た。間違いねぇよ」
質問の答えを聞いた悟は非常に愉快に笑い始める。
「・・・あっはははは!すごいなぁ。こんな事ってあるんだ。・・・うん。確かに逸材中の逸材だね。あいつと同じってのは気に入らないけど、育て上げれば間違いなく、いい呪術師になる」
質問の答えと
「オッケー。後は僕に任せない」
●
そして現在、北海道岩見沢市内にある病院で事の顛末を思い出した
「てなわけで、君、転校ね」
「?????」
最初悟が何を言っているのか理解が追い付かず、疑問符を浮かべる。そして、理解が追い付いた時、ムンクのような表情を浮かべて叫ぶ。
「なんでそうなるんだよ!!??」
「だって君普通とは違うんだもん。それをこのまま腐らせるのはもったいないでしょ」
「君だって薄々感づいてたんじゃない?他とは違うってさ。現に君は別の意味で持ってる側の人間だ」
「持ってる側・・・?」
悟の言葉を聞いて
「君のその力はね、呪力をなくす代わりに、驚異的な身体能力を得るってものだよ。その中でも呪具なしで呪いが見えるっていう結構強力なものだ。でもその力はまだ未完成でね、今はその感覚を取り戻している最中ってとこかな?呪術高専で呪いを学べば、その力は完全なものになる。どんな呪いにだって渡り合うことができるよ。どう?悪い話じゃないでしょ?」
転校をする前提で話を進めようとする悟に
「だからなんで転校する前提で話すんだよ!俺はその呪術高専に行くなんて一言も・・・」
「でもさぁ・・・今の日常に戻っても、君のお友達やお父さんはもういないんだよ?」
「・・・っ!」
「しかも、彼らを殺した呪いもまだ生きていて、どこかを彷徨ってる」
「!!」
大事な友達と父が死んだ、そしてその原因を作ったサイボーグがまだ生きていると知り、
「あの呪いを放っておいたら他の人たちが同じようになるかもしれないよ?もしかしたら・・・君の大事な人がまたそうなる可能性もある。それでもいいの?」
「・・・俺は・・・」
悟の問いかけに対し、
「・・・それじゃあ、君に2つの選択肢をあげる。お友達や父親がいない今の空虚な地獄を進むか、呪いと戦う修羅の地獄を進むか。ま、どっちを選んでも地獄であることには変わらないから、よく考えて、好きな地獄を選びなよ」
中々に意地の悪い選択肢を迫られ、
●
悟との話が終わった後、
「長門・・・」
長門は1年にとっては嫌みったらしで誰も好きにはなれかなった。だが
『最後に1つ。君の持つ力は使いようによっては人を助けることができる。それを生かすか腐らせるかは・・・全部君次第だよ』
人を助けることができる。その言葉が頭がよぎり、
●
それから数日、無事退院を果たした
葬儀と火葬を全て終えた
「姉さん、ありがとうな。
「まぁ・・・結局守ることができなかったからな。せめてこれくらいはしないと」
「そっか・・・」
寂しそうな顔をしている
「
「!
「あのお嬢ちゃんは、あの呪いに対して臆しなかったらしいよ。だからお前も、何があっても屈しないでくれ・・・だってさ。いい友達なんだな」
「・・・
あの残虐で卑劣なサイボーグ相手でも弱音を吐かなかった
しばらく経ち、泣き止んだ
「姉さん・・・聞いてもいいか?」
「ん?なんだ?」
「呪いの被害って・・・結構多いのか?」
「今回みたいな特殊なケースは稀だけど・・・被害規模だけで言ったらザラにあるね。呪いに遭遇して普通に死ねたら御の字・・・ぐちゃぐちゃにされても死体が見つかったらまだマシといえる」
「あれで御の字・・・」
「呪術師になるなら今回以上の凄惨な現場を見るかもしれない。だから
「・・・・・・」
今回以上の悲惨な出来事が待っている可能性があると示唆されて、
「ま!1回でいいからやってみろって!時給も高いぞぉ~?」
「バイトかよ⁉」
呪術師という危険な仕事をバイト感覚でほのめかすレオーネに
『立派な刃になれ』
立派な刃というものが何なのか、
「・・・もう1つ質問いい?」
「なんだ?」
「呪いを祓い続けていれば、呪い殺される人たちは少しでも減るのか?」
「当然」
彼女の答えを聞いて、彼の決心がついた。
「だったらやってやる!俺は呪術師になる!呪いの存在がいて、それが人を殺すと知っちまった以上・・・それを理由に俺には関係ないってのうのうに過ごすなんてこと・・・俺にはできない!もしも
「覚悟は決まったってことでいいんだな?これ以上進んだら、もう二度と故郷に戻ってこれないかもしれないぞ」
「構わない。俺はもう、引き返さないと決めたんだ」
ムニュッ!
「おぉ⁉」
「よく言った!それでこそ私が見込んだ男だ!」
彼を引き寄せ、思いっきり抱きしめた。その際に顔が彼女の胸に埋まり、柔らかい感触が伝わってくる。
(うぉ・・・やっぱデカ・・・!すげぇ・・・)
思春期が出てしまっている
「いやぁ~、君熱いねぇ~。気持ちのいい決断だ。君みたいなタイプ、嫌いじゃないよ」
「うおおお!!??」
そこへいつの間にか悟が現れ、
「あんたいつから⁉」
「うんね~、葬儀に参加してくれての辺りからずっと」
「最初っからじゃねぇか!!」
割と最初からいたから今までの話を悟に聞かれ、そして先ほどの状況下を見られて、
「明日の朝一で出発するから、今日中に荷物纏めておいてよ」
「?朝一って・・・どこに行くんだ?」
「東京だよ。
「東京!!」
疑問に答えたレオーネの回答に、田舎者の
「その名も・・・東京都立呪術高等専門学校」
「ちなみに1年生は君で3人目」
「少な!!」
これから転校する学校の1年生の在学数の少なさに
●
翌日、全ての荷物をまとめた
「行くのか、
墓参りと
「おう。もう決めたことなんだ」
「そうか・・・。では・・・ワシからの最後の餞別じゃ。こいつを持って行け」
市長はそう言って、鞄の中からちょっと高価そうな小さな像を
「いざとなったらこれを・・・」
「売るんだな」
「違うわ!!!」
的外れな発言をした
「肌身離さず持っていろ。きっと神様が助けてくださる」
「・・・ああ!ありがとな、市長!」
市長なりの気遣いを受け取った
●
朝から昼にかけて、
「東京都立呪術高等専門学校。日本に2校しかない呪術教育機関の1校。表向きには私立の宗教系学校とされてるけど、多くの呪術師が卒業後もここを基点に活動していて、教育のみならず、任務の斡旋、サポートも行ってる呪術界の要だ」
「へぇ~・・・」
「にしても・・・結構山の中なんだな。ここってマジで東京?」
「東京も郊外はこんなもんよ?」
さらっと回答する悟に
「そういえば姉さんは?」
「今頃は呪術界のトップの老人共のとこかな。何せ盗られたものが盗られたものだからねぇ。責任は免れないだろうさ」
「責任・・・大丈夫かな・・・」
「ま、何とかなるでしょ」
レオーネを心配する
「とりあえず
「学長・・・」
「下手打つと入学拒否られるから気張ってね」
「えっ⁉そしたら俺浪人生!!?」
さらっと重要なこと言い放った悟に
「ま、そんなに難しいことは考えず、自分の思ったことを言えばいいから、気楽に行きなよ気楽に」
「俺は今から不安です・・・」
話している間にも、目的地にたどり着いた悟は扉を開け、
「遅いぞ、悟」
「!」
2人が入室すると、部屋の奥から男の声が聞こえてきた。奥にいる人物を見て、
「8分遅刻だ。責めるほどでもない遅刻をする癖、直せと言ったはずだぞ」
なぜなら、目の前にいる大柄でサングラスをかけた厳つい見た目の男が見た目に似合わず、お世辞にもかわいいとも言い難い人形を手作りしているからだ。大男のそばには黒い服でネクタイを着けたロングヘアの女性が男が作った人形をじーっと見ている。
(オッサンがかわいいを作っている!)
男のギャップが激しい光景に
人形を作っている男は夜蛾正道。この東京都立呪術高等専門学校の学長を務めている。
「責めるほどじゃないなら責めないでくださいよ。どーせ人形作ってんだからいいでしょ8分くらい」
反省の色なしの悟に対し、ロングヘアの女性が口を挟む。
「じゃあ逆に聞くが、お前が同じ立場だったら、どう感じる?」
「すげームカつく」
「そういうことだ。私も若干腹立ったからやめることだ」
「はいはいすみませんでしたー。はい、これでいいでしょ」
正論で返されて悟は反省なしで嫌みったらしな謝罪をして話を先に進めようと促している。
「・・・ところで、そいつがレオーネが言ってた武虎の?」
女性に話を振られて、
「和倉
「何しに来た?」
「え・・・」
予想していなかった夜蛾の問いかけに
「いや・・・だから面談・・・」
「呪術高専にだ」
「・・・呪いを習いに・・・」
「その先の話だ」
夜蛾の質問の意図を理解していない
「呪いを学び、呪いを祓う術を身に着け、その先に何を求める?」
夜蛾の問いかけによって
「俺は・・・呪いのせいで大事な友達と親父が殺されたんだ。放っておいたら、他の人を・・・もしかしたら、俺の故郷の人たちが殺されるかもしれない。それを止めたい」
「なぜ?」
サングラスでどんな表情をしているかわからないが、夜蛾から発せられる圧力に
「事件、事故、病気・・・君の知っている人間のみならず、知らない人間が死ぬのは当たり前のことだ」
「始まった」
「・・・・・・」
夜蛾の教育方針をよく知っている2人、悟はこの状況を面白がり、女性は
「それが呪いの被害だと看過できないというわけか?」
「い、いや・・・それもあるけど・・・立派な刃になるっていう目標もあって・・・」
「その立派な刃とやら・・・遺言などではなかろうな?」
「それは・・・」
「遺言なのだな?」
「つまり君は、他人の指図で呪いに立ち向かうというわけだな?」
夜蛾はすっと立ち上がり、合否を言い渡す。下した合否は・・・
「不合格だ!」
ハッキリと不合格を言い渡した夜蛾は手を翳す。すると、そばに置いてあった人形の1つ、かっぱの皿をつけた変な人形が動き出した。
「う・・・動いた!!?人形じゃなかったのかよ!!?」
「呪骸・・・人形だよ。私の呪いが籠ってるがね」
夜蛾が人形、キャシィに指示を出したと同時に、キャシィは
(お・・・重てぇ・・・!これが人形の一撃かよ・・・⁉)
思っていた以上にキャシィの一撃が重く、防御していたにも関わらず、
「窮地にこそ人間の本音が出るものだ。納得がいく答えが聞けるまで攻撃は続くぞ」
「この野郎・・・!そもそも他人じゃなくて・・・家族の遺言だって―の!!」
「くそ・・・速ぇ・・・!」
「ぐあ・・・!痛ってぇ・・・!」
「家族も他人の内だろう」
キャシィは愉快な動きをして
(そうか・・・人形だから痛みとかねぇのか・・・!)
「呪術師は常に死と隣り合わせ」
夜蛾はマッチに火をつけ、消えた蝋燭の火を灯し直す。
「自分の死だけではない。呪いを殺された人を横目に、呪いの肉を切り裂かねばならぬ時もある。不快な仕事だ。ある程度のイカレ具合と高いモチベーションは不可欠だ。それを他人に言われたから?笑わさせるな!まだ復讐を果たすためだと言われた方が納得がいく」
「ふざけんな!!俺は・・・」
「君は、自分が呪いに殺された時も、そうやって父親のせいにするのか」
「!!」
夜蛾に痛いところを突かれた
「・・・あんた、すっげぇ嫌なこと言うな・・・」
「気付きを与えるのが教育だ」
「俺は・・・」
「ぐはぁ・・・!!」
「死に際の心の在り様を想像するのは難しい。だがこれだけは断言できる。今のままだと、大好きな父を呪うことになるかもしれんぞ。呪術師に悔いのない死などない。今一度問う。君は何しに呪術高専に来た」
(確かに俺は・・・親父の遺言に左右されてるのかもしれない。でも・・・立派な刃になれ・・・。この意味を教えてくれたことなんて、今まで1回もない。それは・・・人に頼るんじゃなくて・・・自分で答えを見つけろってことだ!!)
「自分だけの刃を見つける!そのためにも、立派な刃が何なのかっていう答えを、探さなくちゃいけない!」
これが正解なのは自分でもわからない。それでも、
「正直、親父の言う刃が何を意味してるのか、俺にはわからねぇ。その答えを、親父は教えてはくれなかった。それは、自分のことは自分で考えろってことだ。だからこそ、答えは自分で探さなきゃいけないんだ!」
「・・・・・・」
「もしかしたら答えが見つからないのかもしれない。そもそも正解なんてどこにもないのかもしれない。だけど・・・俺は生きてここにいる!それには何か意味があるのかもしれない!ならその意味を、俺自身の手で見つけたい!誰かに言われたからじゃねぇ・・・俺自身の意思だ!!自分の生き様で、後悔しないためにも!!」
「・・・
「はい」
「!それじゃあ・・・」
夜蛾は
「合格だ。ようこそ呪術高専へ」
呪術高専への入学が認められた。これによって
「よろ・・・」
バキィ!!!!
「どおお!!??」
よろしくと言おうとしたタイミングでキャシィが
「あ、すまん。術式を解くの、忘れてた」
何はともあれ、こうして
●
面談後、
「おおお!めっちゃ広い!!」
「今日からここがお前の部屋だ。好きに使うといい」
「・・・先ほどの面談、いい答えだった。さすがは武虎の息子だな」
「!そういえばあんた、最初に会った時も親父のこと知ってるようだったけど・・・」
女性は改めて、
「禪院
「親父の・・・客・・・」
女性、禪院
「武虎は呪術師にとってはその名知らずの呪具職人だった。彼に呪具の製造を依頼する者は少なくなかった。私もそのうちの1人だ」
「そうだったのか・・・」
「だから今回、武虎が死んだという知らせは、非常に残念に思う」
武虎に黙祷を捧げている
「親父が作ったその刀、あんたの注文だったんだな」
「ああ。武虎の、最後の一品だ」
「・・・その刀、大事に使ってくれ。きっと親父も喜ぶ」
「もちろんだ。大事に使わせてもらう」
「お疲れサマンサ―!・・・て、何よこの空気?お通夜?」
「悟、ノックくらいしろといつも言ってるだろ」
「メンゴ♪
「俺と同じ1年?」
この呪術高専に在籍する同期の存在に
「スゥー・・・めっぐみいいいいいいいいい!!」
悟はスーッと息を吸い、大きな声で
ガチャッ
「部屋隣なんですから大きな声出さなくても聞こえてます」
すると、隣の部屋から1人の少年が出てきた。ツンツンした黒髪を持った少年は訝し気に目を細めている。
「ていうか、空室なんて他にいくらでもあったでしょ」
「だって賑やかな方がいいでしょ?よかれと思って」
「ちょうど両隣が空いてたからよかった」
「よくないです。ありがた迷惑です」
黒髪の少年は部屋割りについてあまり受け入れていない様子だ。とはいえ、もう決まったことだから受け入れるほかないのだが。
「紹介するよ。僕のかわいい息子・・・」
「さらっと嘘をつくのやめてください」
「伏黒恵。
悟の嘘は置いておいて、
「和倉
「・・・伏黒恵」
「・・・それだけ?他に言うことは?」
「別に。一緒なのは授業と任務で十分だろ」
「こいつ・・・!」
ドライな対応をする恵に
「もう1人の1年は少しバタバタしてるようでな。到着が遅れるそうだ。しばらくは、お前たち2人で任務にあたってもらうことになるからそのつもりで頼む」
「了解です」
「げー・・・」
もう1人の1年が遅れるため、2人で任務にあたることに対し、恵は冷静に受け止め、
「さてと・・・自己紹介も済んだことだし、親睦も兼ねて、2人にはさっそく任務に行ってもらいます!」
「い、いきなり実戦投入⁉」
転校して間もなくいきなり呪術師の任務にあたるとは思わなかった
「ま、実戦って言ってもただの回収任務だから、気楽にいきなよ」
「回収任務?」
「呪いによる被害は呪霊だけとは限らない」
呪術師の任務についてよくわかっていない
「呪物の中には、置いてるだけで周囲に呪いをまき散らしたり、呪いを呼び寄せたりする危険なものが多い。そういったものには大抵封印が施されてるものだが、長い年月が経って呪いが強まり、封印が緩み、周囲に被害を齎す可能性がある。その事態を防ぐために、呪物を回収する必要がある」
「先日、レオーネが当たっていた任務もこの回収任務にあたる。呪いの元を絶つという意味でも、大事な任務だ。そのことを胸に刻み込むようにな」
回収任務の重要性をよく理解した
「しかし・・・本当に2人にやらせるのか?特級が現れたばかりなのだろう?」
「そんな予定外なこと1回や2回起きるわけないでしょ?大丈夫、恵は強いんだから。何とかなるでしょ」
今回の回収任務で少し心配している
「その回収するべき呪物って、何なんだ?」
「・・・特級呪物『両面宿儺』」
「!!!!」
両面宿儺。その呪物の名を聞いた恵は驚愕で目を見開いている。呪いの世界に足を踏み入れたばかりの
●
一方その頃、宮城県仙台市にある杉沢第三高校。
「ん?なにこれ?」
杉沢第三高校に通う1人の男子生徒があるものを見つけた。それは小さな箱だ。男子生徒はその箱を開けて中を確認する。中身は札が巻かれていた何かであった。
「お、札が巻かれてる。怖」
男子生徒は軽い気持ちで札が巻かれた何かをまじまじと見つめている。
「これ、先輩に持って行ったら気に入るかな?持って帰ろ」
男子生徒は札に巻かれた何かを箱と一緒に持って行ってしまう。持って行った代物が男子生徒の人生を変える代物だとも知らずに。