呪術廻戦ー呪いを斬るー   作:先導

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退屈

高専のメインイベント、京都姉妹校交流会に向けて特訓の日々を送っている恵と野薔薇は2年生(主に真希とマイン)にパシられて高専にある自動販売機で飲み物を買いに来ている。

 

「・・・自販機、もうちょい増やしてくんないかしら?」

 

「無理だろ。入れる業者も限られてるしな」

 

野薔薇は買うことができる飲み物のレパートリーの少なさから自販機を増やせないかとぼやいている。恵の言うとおり、世間で呪術師の存在を知っている非術師はかなり限られている。これも呪術師の存在を非術師に広めないための対策の1つだろう。

 

 

一方、2年生たちは寮から出て高専に続く道を歩いている。するとパンダはこの場に1年がいないことに気付いた。

 

「あれ?1年ズは?」

 

「「パシった」」

 

「おかか」

 

「うるさいわね。別にいいでしょ」

 

1年たちを先に行かせてパシらせた真希とマインに棘は咎めるように発言する。その発言にマインは少し煙たそうな顔をしている。

 

「・・・大丈夫か?」

 

「シャケ」

 

「3歳時じゃねぇんだ。おつかいくらいできるだろ」

 

「いや、そうじゃなくて・・・今日だろ?京都の学長が来るの。交流会の打ち合わせ」

 

「ツナ」

 

京都にあるもう1つの高専の学長がこの東京校に来る。その話に真希とマインはパンダに顔を向ける。

 

「特級案件に1年派遣の異常事態、悟とバチバチの上層部が仕組んだっていう話じゃん?京都の学長なんて、モロその上層部だろ?鉢合わせでもしたらさぁ・・・」

 

「ターゲットだった1年、虎杖は死んでんだ。今更恵たちをどうこうするつもりもねぇだろ」

 

「あそこのクソジジィ共もそこまでバカじゃないわよ。だったら京都のジジィだって表立って騒ぐわけないでしょ」

 

「シャケ」

 

確かに京都の学長が上層部でも、ターゲットである悠仁は死んだ(実際には生きてるが)のならば他の1年に手を下すことはないだろう。教員という立場ならばなおさらだ。だがパンダが問題視しているのはそこではない。

 

「教員は立場があるけど、生徒はそうでもないよな?」

 

パンダのこの発言に真希とマインが反応する。特にマインは、嫌悪感マシマシでだ。

 

「何それ?あの煽リストが来てるってこと?」

 

「憶測だよ。打ち合わせに生徒は関係ないからな。でもなぁ・・・あいつら、嫌がらせ大好きじゃん?」

 

パンダが口にする憶測に、先ほどまで楽観的だった真希とマインは嫌な予感が走る。

 

 

2年生が抱く嫌な予感は的中した。飲み物を買い終えた恵と野薔薇が運動場に移動しようとした矢先に、その京都校の生徒3人と鉢合わせをした。恵は3人の京都校の生徒の中で1人、真希と顔がそっくりな女子生徒には見覚えがある。なぜなら以前会ったことがあるからだ。

 

「なんで東京(こっち)にいるんですか?禪院先輩」

 

「あ、やっぱり?雰囲気近いわよね?姉妹?」

 

「双子のな」

 

野薔薇も彼女が真希の姉妹であるということを、顔と雰囲気だけで何となく理解できる。

 

「いやだなぁ、伏黒君。それじゃあ真希と区別がつかないわ。真衣って呼んで」

 

真希とよく似た顔を持つ黒い短髪の女子生徒の名は禪院真衣。京都校の2年生で真希の双子の妹である。

 

「野郎はともかく、東京(そっち)の1年の女の子、結構かわいいじゃん」

 

真衣の隣にいるジャケットを着込んだ緑髪の男子生徒は野薔薇に見惚れている。彼の名はラバック。京都校に所属する3年生だ。

 

「こいつらが乙骨と3年の代打・・・ね」

 

恵と野薔薇を品定めをしているのは、ドレッドヘアの筋肉質の巨体を持つ大男だ。彼の名は東堂葵。京都校に所属する3年でラバックと同級生。そして、京都校最強の呪術師でもある。

 

「あなたたちが心配で学長についてきちゃった。同級生が死んだんでしょ?辛かった?それともそうでもなかった?」

 

真衣の含みのある言い方に恵が問いかける。

 

「・・・何が言いたいんですか?」

 

「いいのよぉ。言い辛いことってあるわよね?代わりに言ってあげる。器なんて聞こえはいいけど、要は半分呪いの化け物でしょ?そんな汚らわしい人外が、隣でぶしつけで呪術師を名乗って、虫唾が走ってたのよね?死んで清々したんじゃない?」

 

高揚したような笑みを浮かべて煽る真衣の言葉に、恵と野薔薇は彼女に対して嫌悪感を抱いた。悠仁のことを何も知らないくせに知った風な口をきいてバカにする彼女が許せないのだ。

 

「それ真衣ちゃんの感想だよね?やめようぜ、こんな話。あっちすっごい殺気立ってるし」

 

真衣と止めたのはラバックだ。京都校の人間なのに東京校の生徒を庇うような姿勢に真衣は面白くなさそうな顔をする。

 

「何?あんたあっち側の味方をする気?」

 

「どっちの味方でもないよ。俺はそういう話にまったく興味ないし。俺はただ、今年入った東京の1年がどんな子なのか気になっただけ。うちの1年は野郎1人だけだし」

 

ラバックは歩き出し、野薔薇の前に立つ。

 

「何?」

 

「君ってかわいいよね。俺ラバックっていうんだよ。どう?連絡先交換しない?」

 

「えっ・・・何こいつ・・・チャラ・・・てかキモ」

 

自分をほめながら連絡先を聞いてくるラバックに対し、野薔薇はあまり好印象を抱けない様子である。

 

「真衣、ラバ、どうでもいい話を広げるな。俺はただ、こいつらが乙骨の代わり足りえるのか・・・それが知りたい!」

 

前に出てくる東堂に対し、ラバックは呆れたようにその場をどき、道をあける。恵は東堂の気迫に身構える。

 

「伏黒・・・とか言ったか?」

 

東堂は持っていた学ランを雑に放り投げ、恵にとある質問をする。

 

 

「どんな女がタイプだ!!」

 

 

「「・・・・・・???」」

 

戦闘とは全く関係なさそうな質問に対し、恵と野薔薇は疑問符を浮かべて首を傾げている。

 

「返答次第では、今ここで半殺しにして乙骨・・・最低でも3年は交流会に引っ張り出す!」

 

東堂は自身が着込んでいる1枚のシャツを破り捨て、上半身裸になる。

 

「ちなみに俺は・・・身長(タッパ)(ケツ)がデカい女がタイプです!!

 

聞いてもいないのに自身の女性の好みのタイプを明かす東堂。そんな東堂に恵は正論で返す。

 

「なんで初対面のあんたと女の趣味を話さないといけないんですか?」

 

「そうよ、ムッツリにはハードル高いわよ」

 

「お前は黙ってろ。ただでさえ意味わかんねー状況が余計ややこしくなる」

 

野薔薇に余計な一言に対し、恵はこめかみが引くつく。

 

「京都3年東堂葵!自己紹介終わり!これでお友達だな。早く答えろ。男でもいいぞ」

 

簡潔な自己紹介を済ませ、恵の女性の好みを促す東堂は語る。

 

「性癖にはそいつの全てが反映される。女の趣味がつまらん奴はそいつ自身もつまらん!俺はつまらん男が大嫌いだ!!交流会は血沸き肉躍る俺の魂の独壇場!最後の交流会で退屈なんてさせられたら何しでかすかわからんからな」

 

東堂の言う最後の交流会という発言に対し、野薔薇は恵に質問する。

 

「ねぇ、呪術高専って4年制でしょ?」

 

「交流会は3年までなんだよ」

 

「へぇー・・・」

 

野薔薇が納得したところで、本題に戻る。

 

「俺なりの優しさだ。今なら半殺しで済む。答えろ伏黒。どんな女がタイプだ?」

 

「なんだこれ大喜利かよ」

 

全く持って意味がわからない状況にわけのわからない質問に恵は困惑しっぱなしだ。

 

「あれ夏服かー?ムカつくけどいいなー。でもってあっちはなんで夏なのにジャケット?熱くないわけ?」

 

こんな状況に呑気な野薔薇は真衣が着ている服に興味を持ったり、夏なのにジャケットを着ているラバックに疑問を浮かべたりしている。

 

(釘崎は丸腰だ。揉め事は避けたい)

 

こういった揉め事を避けるためにはまずは質問に答えた方がいいと判断した恵の脳裏に浮かび上がるのは、自分がこの呪術師の世界に足を踏み入れるきっかけとなった女性の言葉だ。

 

『人を許せないのは悪いことじゃないよ。それも恵の優しさでしょ?』

 

「・・・別に、好みとかありませんよ。その人に揺るがない人間性があれば、それ以上は何も求めません」

 

恵が出した質問の答えに、真衣は好感触である。

 

「くっそつまんね」

 

逆にラバックは面白くないとして、白けたような顔をしている。

 

「悪くない答えねー。巨乳好きとか抜かしてたら私が殺してたわー」

 

「うるせぇ」

 

野薔薇も恵の答えには好感触のようだ。ただ、上から目線で余計な発言をするため、恵の怒りゲージは上がっていく。そして肝心の東堂はというと・・・どういうわけか一筋の涙を流している。

 

「・・・やっぱりだ・・・。退屈だよ・・・伏黒」

 

「・・・っ!」

 

東堂より凄まじい気迫を感じ取った恵は咄嗟に腕を交差して防御に徹する。その瞬間・・・

 

ドォォォン!!!!

 

もう目の前に東堂が迫り、恵に強烈なラリアットをくらわせる。防御したとはいえ、もろにラリアットをくらった恵は吹っ飛ばされる。

 

「!伏黒!!」

 

野薔薇が吹っ飛ばされた恵に駆け寄ろうとした時、真衣が背後から彼女に抱き着いてきた。

 

「あーあ、伏黒君かわいそう。2級術師として入学した天才も、1級相手の東堂先輩相手じゃただの1年生だもん。後で慰めてあげよーっと」

 

「・・・似てるって思ったけど全然だわ。真希さんの方が百倍美人。寝不足か?毛穴開いてんぞ」

 

「・・・口に利き方・・・教えてあげる」

 

カチャッ!

 

野薔薇の挑発に触発された真衣は拳銃を取り出し、それを野薔薇の身体に突きつけた。こちらも一触即発の雰囲気だ。

 

「おいおいおい・・・取っ組み合いはするなって言っておいたのに・・・。巻き込まれたくねー・・・。こんな時、なんで東京の2年はいないんだよ・・・」

 

1人取り残され、とにかく乱闘に巻き込まれたくないラバックは今すぐにこの場で呼べそうな術師に電話を入れようとするのであった。

 

 

東堂に吹っ飛ばされた恵は、こちらに近づいてくる東堂に顔を向ける。

 

「一目見た時からわかってた。ああ、こいつは退屈だと。でも人を見た目で判断しちゃいけないよな?だからわざわざ質問したのに・・・。お前は俺の優しさを踏みにじったんだ」

 

東堂は恵に近づきながら、未だ溢れてくる涙を拭った。

 

「もしかして頭の中までパイナップルなのか?」

 

恵は東堂に対し、悪態をつきつつ彼の素性を考察する。

 

(東堂・・・あの東堂なのか?去年起きた呪詛師夏油による未曽有の呪術テロ、新宿京都百鬼夜行。京都に現れた一級呪霊5体、特級呪霊を1体祓ったっていう・・・あの東堂!だが特級に勝てる1級術師はいるにはいる。驚くべきは・・・)

 

起き上がった恵は噂が真意であるか否か、それを確かめる意味を込めて東堂にある問いかけをする。

 

「あんた、術式使わないんだってな」

 

「ん?ああ、あの噂はガセだ。特級相手には使ったぞ」

 

(1級相手には使ってねぇのかよ、化け物が!)

 

1級相手を術式を使わずに呪力を纏った武術で祓うことはなかなかできることではない。そして術式は特級相手にしか使っていない。この情報だけで東堂がどれほどの力量を持った術師であるのかがわかる。

 

「安心したよ!」

 

恵はもう戦闘は避けられないとしてわかり、さっそく式神を召喚するため、手影絵を二段構えに使用する。

 

「鵺+蝦蟇」

 

恵が鳥の手影絵とカエルの手影絵を創り出すと、影の中より、羽が生えたカエルが複数体召喚される。

 

不知井底(せいていしらず)

 

鵺とカエルの式神、蝦蟇の拡張術式による式神、不知井底の登場を前に、東堂は首を鳴らす。

 

(相手はゴリゴリの近接タイプ。距離を取り拘束する!)

 

恵が東堂の戦闘スタイルを考察している間にも東堂は動き出す。

 

ヒュンッ!ドォン!!

 

東堂は捉えきれないほどの素早い速さで不知井底を全員吹き飛ばし、恵の背後に立った。

 

(⁉速い!!さっきのが全速じゃ・・・)

 

恵が驚愕している間にも東堂は両腕で恵の胴体を掴み上げ、彼を持ち上げる。

 

「薄っぺらいんだよ・・・身体も・・・女の好みも!!!」

 

恵を持ち上げた東堂はそのままバックドロップを叩き込んだ。

 

「~~~~~!!!」

 

強大なダメージをくらった恵に東堂はさらに追撃するかのように跳躍し、上空から拳を叩き込もうとする。危機を察知した恵はバク転で東堂の強烈な拳を避け、距離を取ろうとする。しかし、素早く動く東堂はすぐに恵の懐に入り、拳の連撃を繰り出す。あまりに素早い東堂の攻撃に恵はただ防御に徹することしかできない。

 

(くそっ!なんてパワー!)

 

防御に徹し続ける恵に東堂は片手で彼の頭を鷲掴みにする。そしてその場で助走をつけて、力を込めて高専の建造物に恵を叩きつけた。

 

「ぐっ・・・!」

 

「終わりじゃ・・・ないぞ!!!」

 

ドォォォォン!!!

 

さらに東堂は鷲掴みにしている手に力を込めて、建造物を貫き、天井に穴を開けて恵を突き飛ばした。

 

「例に漏れず・・・退屈!!!」

 

ガシィッ!!!!

 

さらに東堂が恵に追撃の拳を放とうとした時、3匹の不知井底が長い舌を伸ばし、東堂の両手、右足を拘束する。不知井底が東堂を引っ張り上げようとした時、東堂は力を込め、右足の拘束を無理やり引きちぎり、着地する。

 

「やる気がまるで感じられん」

 

東堂は両手を拘束する下を両手に力を込め、舌を引きちぎって拘束を解く。

 

「・・・下手に出てりゃ偉そうに・・・。そこまでいうなら・・・やってやるよ

 

「!」

 

いいようにやられた恵はもう我慢ならないと言わんばかりに、自身に強大な呪力を練り込もうとする。東堂はそれを肌で感じ取り、好戦的な笑みを浮かべた。

 

「来い!!!」

 

東堂が再び恵に接近し、攻撃を仕掛けようとした時・・・

 

動くな

 

「!!」

 

2人の間に棘が入ってきて、彼の術式、呪言を発した。東堂はその呪言に従うかのように、突然動きを止めた。

 

「「何やってんのぉ!!!!」」

 

東堂が止まったタイミングを見計らうかのように、床の空いた穴よりパンダとレオーネが現れ、東堂を殴り飛ばした。強烈な打撃を受けた東堂は後退り、態勢を整える。

 

「ふぅ。ギリギリセーフ!」

 

「おかか」

 

「いや、アウトっちゃあアウトですぜ、姉御」

 

「あ、そっか」

 

間に合ったと思い込んでいるようだが、恵がこうして多大なダメージを受けているのだから間に合ってはいない。久しぶりに見た顔を見て、東堂は血反吐を吐いて笑みを浮かべている。

 

「久しぶりだな、パンダ。そしてマイシスター(姉弟子)、獅子堂寺玲央奈」

 

「その名前は捨てたっつったろ。今はレオーネだ。そっちで呼べ」

 

自身の本名で呼ばれたレオーネは久しぶりに見た弟弟子に呆れた様子である。実はこの2人は同じ師匠を持った姉弟弟子であり、同じ修行を受けた仲である。

 

「たくっ・・・ラバから連絡受けて秒速で来てみれば・・・案の定かよ。何で交流会まで京都で大人しくできねぇんだよ。さっさと連れを連れて帰れっての」

 

「そういうわけだ。帰った帰った。大きい声出すぞ。いや~んって」

 

「言われなくても帰るところだ。・・・上着、どこだっけ・・・」

 

ある程度満足したのか東堂は自分が脱ぎ捨てた学ランを探して辺りを見回す。

 

「・・・どうやら退屈し通しってわけでもなさそうだ」

 

東堂は恵に視線を向けている。視線を向けられた恵は彼を睨みつけている。

 

「マイシスター。お前も早く1級術師になれ。俺はいつまでも待っているぞ」

 

「うるせーな。ジジィ共のせいで1年間1級の昇格資格剥奪されてんだよ。嫌味か」

 

東堂の言葉で任務失敗の影響によって1級術師昇格の資格を剥奪された際の上層部の嫌味を思い出したレオーネはイラッとしている。

 

「それから、パンダ。乙骨に伝えとけ。お前も出ろと」

 

(めんどくせ)

 

東堂はパンダに乙骨憂太への伝言を預けた。それに対しパンダはめんどくさがり・・・

 

「オレパンダ。ニンゲンノコトバワカラナイ」

 

「シャケ」

 

パンダはどういうわけか片言でしゃべり、わざとらしい返しをするのであった。

 

 

一方その頃、野薔薇に因縁をつけた真衣は持っている拳銃の呪具に弾を装填する。

 

「真衣ちゃんそのくらいにしときなって。やりすぎ。あーあ、こんなにボロボロ・・・もったいねぇ」

 

「やりすぎなくらいがちょうどいいのよ。この生意気な子にはね」

 

真衣はラバックが止める声を聞かず、拳銃をボロボロの状態になった野薔薇に突きつけた。

 

「呪術師続けるなら、喧嘩売る相手は選ぶことね」

 

真衣が野薔薇に向けて弾丸を撃ち校とした時・・・

 

カチャッ

 

「!」

 

真衣の頭にライフルガンの銃口が突き付けられた。真衣は一目でわかった。誰がこのライフルガンを突きつけているのかを。

 

「うちのパシリに何してんのよ、真衣」

 

「げっ・・・マインちゃん・・・!」

 

ライフルを突きつけた人物、マインの登場にラバックはかなりまずいと言ったような表情をしている。

 

「あら、いたのねマイン。小さすぎて気付かなかったわ」

 

マインにライフルを突きつけられた真衣は特に慌てた様子もなく彼女を煽っていく。

 

「さっき喧嘩を売る相手を選べって自分で言ってたわよね?呪具に呪力を籠めるばかりの奴が偉そうに言ってんじゃないわよ。あんたが術式を使ってるとこなんて見たことないわよ」

 

「真希みたいに呪力がないよりマシよ。上ばかり見てると首が痛くなるから、たまにはこうして下を見ないとね」

 

「下って、あんたはいつも下ばっかり見てるじゃない。そんな奴が何を上を見るって?バカじゃないの?」

 

「そういうあんたこそ、私みたいな落ちこぼれを見下して、よほど愉悦感に浸ってるんでしょうねぇ?天才様は底辺を見下すのが大好きだものねぇ?」

 

互いに煽り合いをするマインと真衣の間には誰もがわかるようにバチバチとしている。ラバックが真衣とマインが鉢合わせを避けたかった理由がこれである。

 

(ほーら、すぐ始まったよ・・・この2人が絡むとすぐこれだもん・・・胃が痛い・・・)

 

2人のいがみ合いの間に挟まっているラバックは何とも形容しがたい胃痛に苦しめられている。

 

「この際だから言ってあげる。あんた・・・真希よりよっぽど呪術師に向いてなさすぎ。落ちこぼれであることに満足してる。なんであんたが呪術師やってんのって感じ。さっさと引退して禪院家の皿洗いでもしたら?」

 

好きでもないことを嫌々やらされてるのに、それを大嫌いな人物に否定された真衣は怒りから拳銃を野薔薇からマインに向け直した。

 

「・・・私、真希のことは嫌いだけど、1番嫌いなのはあんたよ、マイン。五条家の血を引いてるばかりか相伝の術式まで持った天才様。技術も才能も何もかも・・・私にないものを全部持っていて・・・挙句の果てに五条悟からのスカウト?どこまで私をバカにすれば気が済むの?」

 

「何?悔しいわけ?だったら撃てばいいでしょ?あたしを倒したら、少しはバカにした奴を見返せるかもしれないわよ?」

 

「殺す!!!!」

 

マインの挑発に我慢の限界が来たのか真衣は拳銃の引き金を引こうとした。

 

カッ!カッ!

 

「やめろバカ共」

 

そこへ間に入ってきた真希が薙刀の木刀を振るって真衣の拳銃とマインのライフルを持ち上げさせた。

 

「真希・・・!」

 

「おっそいのよあんた!」

 

「お前が速すぎるんだよ。真衣が来てるって知った途端にこれだ。止める私の身にもなれっつーの」

 

2人のいざこざを止めた真希の顔は非常に面倒くさそうな顔をしている。

 

「ラバ、お前がいながらなんで止めねぇんだよ」

 

「東堂に関しては無理だよ。真衣ちゃんの方は止めたけど聞く耳持たなくて・・・」

 

「あっそ。役に立たねぇな。まぁいいや。野薔薇、立てるか?」

 

「無理よ。しばらく起きないわ。それなりに痛めつけたもの」

 

真衣が小ばかにしたような発言をすると、真希は彼女に薙刀の木刀を突きつけた。

 

「・・・何?あんたもやる気?」

 

真衣が真希を睨みつけると、先ほどまで気を失っていた野薔薇が真衣の背後にそーっと立ち・・・

 

ガッ!

 

「なっ⁉」

 

「ナイスサポート真希さん、マインさん!」

 

野薔薇は真衣の体制を崩し、そのまま裸絞をかける。

 

「卸したてのジャージにバカスカ穴開けやがって!てめぇのその制服置いてけよ、私の夏服にしてやるぅ!」

 

「次は体の穴増やしてやるわよ・・・!後、その足の長さじゃこれは着れないんじゃないの?」

 

「おとす!!!」

 

締め技を掛けられつつも未だに挑発する真衣に触発された野薔薇は力を強め、彼女をさらに締めようとすると、東堂が戻ってきた。

 

「帰るぞ、真衣、ラバ」

 

「なっ・・・」

 

この場に恵が戻ってきていないことに野薔薇は驚愕し、思わず裸絞を解除する。

 

「そんな・・・」

 

「お、上着あった」

 

「伏黒は・・・?」

 

「大丈夫だ。パンダたちがついてる」

 

「レオーネもまだここに留まってたから、一緒についていってるはずよ」

 

真希とマインは恵は無事であると言い聞かせ、野薔薇を落ち着かせる。

 

「たくっ・・・お前はやりすぎだよ」

 

「何を言う。真衣も、楽しんでいるようだぞ」

 

「ケホッ!冗談!私はこれからなんですけど」

 

「ダメだ。お前と違って俺にはまだ東京に大事な用があるんだよ」

 

拳銃を構える真衣は野薔薇たちを睨みつけ、揉めあいを続けようとする真衣だが、東堂に止められる。東堂はポケットの中からあるものを取り出し、一同に見せつけた。

 

「高田ちゃんの・・・個握がな!!!!!

 

「「「「・・・へぇ~・・・」」」」

 

東堂の発言に女子4人は何言ってんだこいつ?みたいな顔を向けている。ちなみに高田ちゃんとは東堂が推している高身長アイドルで個握とは、個別握手会のことである。

 

「乗り換えミスってもし会場に辿り着けなかったら、俺は何しでかすかわからんぞ。ついてこい、ラバ、真衣!」

 

「あ、おい待て!!俺の分のチケットはあるんだろうな!」

 

「ちょ・・・もう!勝手な人!」

 

東堂は学ランを拾い上げ、高専の出口に向かって歩き出す。それを見たラバは彼についていき、真衣も戸惑いつつも仕方なくついていく。

 

「はぁ・・・いつもの京都外れるとはな・・・」

 

「じゃあね、真希ちゃんたち。次は交流会で会おうぜ」

 

「あんたたち、交流会ではこんなもんじゃ済まないわよ」

 

ラバックは手を振りながら野薔薇たちと別れるが、真衣は挑発を吐き捨てた。その挑発にマインと野薔薇は怒りが沸き上がる。

 

「えらっそうに言ってんじゃないわよ!!私より等級下のくせに!!」

 

「なーに勝った感出してんだ!!制服置いてけコラァ!!」

 

「やめとけバカ」

 

いちゃもんをつけようとする野薔薇とマインを真希が止める。

 

「マインも真衣を挑発すんな」

 

「・・・ムカつくのよ。大した向上心もなく弱いくせに、偉そうにふんぞり返ってるのが」

 

「・・・・・・」

 

マインの発言に真希は真衣に思うところがあるのか、複雑そうな顔をしている。

 

「・・・どっちにしろ、ここじゃ勝っても負けても貧乏くじだ。交流会でボコボコにすんぞ」

 

「・・・だったら交流会で鬱憤を晴らすまでよ。ほら、野薔薇、家入さんとこに治療に行くわよ」

 

真希とマインは野薔薇を連れて硝子がいる保健室に向かう。

 

「・・・ねぇ真希さん。本当なの?呪力がないって」

 

野薔薇は真衣とマインが話していた会話内容を覚えていたようで、そのことを尋ねる。真希はその質問に答える。

 

「本当だよ。だからこのメガネがねぇと呪いも見えねぇ。私が使うのは呪具。初めから呪いが籠ってるもんだ。お前らみたいに、自分の呪力を流してどうこうしてるわけじゃねぇよ」

 

(和倉が持ってる奴と虎杖がもらってた奴と同じか・・・)

 

野薔薇は(たつみ)が持っていた怨念刈りと悠仁が悟からもらっていた屠坐魔を思い出す。呪力がないのに呪術師をやる理由。(たつみ)は前に聞いたことがあるからわかる。では真希はなぜ呪術師をやっているのか。野薔薇はそれが気になった。

 

「じゃあ、なんで呪術師なんか・・・」

 

「嫌がらせだよ。見下されてた私が大物術師になってみろ。家の連中、どんな顔すっかな?楽しみだ」

 

自分をバカにしてきた連中に見返すために術師をやっている。そんな真希の反骨精神に野薔薇は憧れ、尊敬を抱いた。

 

「だったら、さっさと1級に昇格しないとね。4級からだと厳しいわよ?」

 

「はっ、準2級術師様に励まされるなんて光栄だね」

 

「ふん、言ってなさい」

 

真希とマインは笑みを浮かべ、拳と拳をぶつけ合い、意気投合している。真希と仲がいいマインに野薔薇は彼女に関して気になる点を質問する。

 

「マインさんにも質問。五条先生と同じ血が流れてるって本当ですか?」

 

野薔薇の質問にマインは答える。

 

「正確には、五条家の血ね。仮だとしてもあいつの娘とか嫌すぎるでしょ。あんたみたいなクソ田舎出身でも御三家は知ってるでしょ?私のおじいちゃんがその御三家、五条家の人間でね。それで私の血には五条の血が4分の1流れてるし、相伝の術式も使える。けど割と不便なのよこれが」

 

「なんでですか?」

 

「さっきの煽リストを見たでしょ?偏見。嫉妬。侮辱。周りの術師に蔑まれるなんてしょっちゅうよ。元一般人が五条悟からのスカウトなんておかしい、五条の血を利用してるってね」

 

(才能はあるのにって奴か・・・真希さんと真逆・・・)

 

マインが実力派な呪術師であることは特訓を通して野薔薇も知っている。だが、呪術師としての才能はあるのに、五条の血があるだけで周りから蔑まされる。底辺と天才・・・違いはあれども、境遇は同じ。それを理解した野薔薇はもう1つマインに質問する。

 

「・・・呪術師やめようとは思わないんですか?」

 

「なんで?むしろやる気が上がるじゃない。実力で勝ち組に上れば、あたしをバカにしてきた連中も悔しがるでしょ?あたしは実力で野次馬を黙らせたいの」

 

マインもマインで反骨精神がある。その姿勢に野薔薇はマインがカッコよく見えた。

 

「と、無駄話したわね」

 

「ほら、さっさと硝子さんとこ行くぞ」

 

さっさと先に進む真希とマインに野薔薇はついていく。

 

「私はお2人のこと、尊敬してますよ♪」

 

「あっそ」

 

「・・・っ///」

 

本気で2人を尊敬している野薔薇の言葉に真希は素っ気なく返事し、マインは照れて顔を赤くしている。

 

 

一方その頃、高専にある応接室。そこのソファで1人の老人が座っている。白い着物を着込み、口元や鼻、耳などにピアスを多くつけ、あごひげを生やした眉毛の長い老人だ。

 

「・・・夜蛾はまだかのぅ。老い先短い年寄りの時間は高くつくぞ」

 

そう、この老人こそが、呪術界上層部の呪術師の1人であり、京都府立呪術高等専門学校の学長、楽厳寺嘉伸である。応接室の扉のそばには、楽厳寺のお付きの生徒が1人いる。スーツを着込み、水色髪が特徴の女子だ。

 

ガララッ

 

「夜蛾学長はしばらく来ないよ」

 

「・・・ほう?」

 

「嘘のスケジュールを伝えてあるからね」

 

(悟・・・伊地知を脅すなとあれほど言ったのに)

 

そこへ、何の前ぶれもなく悟と赤女(あかめ)が入室してきた。楽厳寺と相対するソファに赤女(あかめ)は礼儀正しく座り、悟は足を組んでがさつに座り込んだ。ソファに座り込んだ赤女(あかめ)は口を開く。

 

「お久しぶりです、楽厳寺学長。その節ではお世話になりました」

 

「はて?その節とは?」

 

「とぼけないでください。虎杖悠仁のことです。保守派筆頭のあなたも1枚噛んでることはこちらも知っています」

 

「ははは、やってくれたよねぇ、おじーちゃん?」

 

本来赤女(あかめ)が上層部の決定には不満はあれど、覆そうという気はさらさらない。だが、一度決定を下した上層部自らが決定を覆し、東京側の生徒を殺そうとしたのならば話は別だ。ゆえに赤女(あかめ)は上層部の1人である楽厳寺に文句を言いにここに来たのだ。

 

「私は別にあなたたちの決定に口出しをするつもりはありません。宿儺の器ともなればなおさらです。ですが、今や虎杖悠仁はこちら側の生徒。上層部の決定を、何の知らせもなしに上層部自ら覆し、生徒を殺すのであれば話は別です。要するに・・・余計なことはするな、と言いたいのです」

 

赤女(あかめ)が怒るなんてよっぽどよ?どう責任とるのクソジジィ」

 

赤い瞳をぎらつかせ、珍しく怒りを見せて一言物申している赤女(あかめ)と全く敬語を使わない悟に楽厳寺はため息をこぼす。

 

「はぁ・・・やれやれ・・・最近の若者は敬語もろくに使えんのか」

 

「ハナから敬う気がねぇんだよ。最近の老人は主語がデカくて参るよホント」

 

「ちょっと」

 

先ほどから学長相手に失礼なことを言いまくっている悟、ついでに一緒に無断で応接室に入ってきた赤女(あかめ)に対し、スーツの女子生徒が苦言を入れようとする。彼女の名は三輪霞。高専京都校の2年の生徒である。

 

「これは問題行動ですよ。然るべきところに報告させてもらいますからね」

 

三輪の言動はかなり正当性があるものであるが・・・

 

(やっべー!生五条悟だ!生禪院赤女(あかめ)だ!)

 

と、このように内心では興奮で歓喜している様子である。そう、彼女は結構ミーハーな性格である。

 

「すまない。長話をするつもりはない。用が済めばすぐ退散する」

 

(しゃべっちった!しゃべっちった!)

 

表向きは仏頂面であるのは変わらないが、内心では赤女(あかめ)と一言会話しただけで三輪は大興奮である。

 

「愚痴ついでにもう1つ、報告があります」

 

「聞こうかの」

 

「先日、未登録の特級呪霊3体に襲われました。そのうちの1体は、悟が見たという特級呪霊です」

 

「!それは災難じゃったの」

 

「勘違いすんなよ。僕たちにとっては街でアンケートとるくらいのハプニングさ」

 

(くうぅぅ~・・・かっけぇ~!)

 

特級ほどの実力を持つ呪霊を相手に対して軽く見ている悟の発言に対し、三輪は内心感激している。

 

「その呪霊たちは意思疎通が図れました。同等級の仲間も、おそらくはいるでしょう。警戒を強めた方がよろしいかと」

 

「敵さんだけじゃないよ。秤に乙骨、そっちの東堂。生徒のレベルも急激に上がっている。去年の夏油傑の一件。未だに続く『禪院黒女(くろめ)』による『術師消失事件』。そして現れた宿儺の器」

 

「・・・何が言いたい?」

 

「くくっ、わかんないか?あんたらがしょうもない地位や伝統を守るためにせき止めていた力の波が、もうどうしようもなく大きくなって押し寄せてきてんだよ。これからの世代は特級なんて物差しじゃ測れない」

 

悟は楽厳寺に物怖じもせず、人を小ばかにしたような笑みを向けた。

 

「牙を剝くのが僕たちだけだと思ったら痛い目見るよ、おじーちゃん」

 

「・・・少し、おしゃべりがすぎるの」

 

楽厳寺は眉毛に隠れていた片目を見開き、悟を睨みつける。だがその睨みで怯むような悟ではない。

 

「おー怖」

 

「悟、もういいだろう。そろそろ・・・」

 

「そだね。僕も言いたいこと言ったし、退散しよっかー」

 

全部の要件を済ませた悟と赤女(あかめ)はソファから立ち上がり、応接室から退室しようとする。

 

「あ、今からの時間だと、夜蛾学長は2時間ほどで到着します。では」

 

「じゃーねー」

 

(2時間!!??)

 

さらっと2時間という長い時間を待たされるという事実に三輪は驚愕し、楽厳寺はため息をつく。

 

「ふぅ・・・。三輪、茶を買うてきてくれ」

 

「はい。失礼します」

 

三輪は楽厳寺の指示に従い、お茶を買いに応接室を後にした・・・のはいいのだが・・・

 

(追いつけたら、一緒に写真撮ってもらおーっと!)

 

三輪は自分の私情を優先し、悟と赤女(あかめ)を追いかけに廊下を走るのであった。

 

 

一方その頃、高田ちゃんの個別握手会に向かっていた東堂は、無事会場に辿り着いたようである。

 

「たかたんビーム・・・お願いします」

 

「はーい!いきますよー!たんたかたーん♡♡」

 

『おおお・・・!!』

 

東堂と握手を交わした高田ちゃんは彼の要望に応え、自身のキメポーズ、たかたんビームを放った。これには東堂をはじめ、後ろに並んでいるラバック、そして彼女の大ファンであるオタク一同は全員ご満悦な様子である。

 

「お時間でーす」

 

「次の方どうぞー」

 

時間が押しているのでスタッフたちはご満悦に固まっている東堂を無理やり押し退け、1人ずつ順番にお客を1人1人さばいていくのであった。

 

 

一方の三輪はと言うと、高専の入り口の前で悟と赤女(あかめ)に追いつき、スリーショット写真を撮ってもらっている。憧れの呪術師によるスリーショット写真に三輪はとてもご満悦の様子である。

 

「ありがとうございます!!」

 

「どういたしましてー」

 

「・・・変わった子だったな」

 

写真を撮り終えた悟と赤女(あかめ)は今度こそ高専を後にする。

 

「撮ったどー!」

 

ルンルンした様子で三輪は応接室に戻っていく。そして、応接室の前まで来た途端、三輪はスマホをしまい、礼儀正しくなって応接室に入り、楽厳寺のお付きの任を再開する。

 

「・・・茶は?」

 

「あ・・・」

 

楽厳寺からのおつかいをすっかり忘れていた三輪はやっちまったみたいな顔をするのであった。

 

 

一月後

 

記録

 

2018年9月

 

神奈川県川崎市

 

キネマシネマ

 

上映終了後、男子高校生3名の変死体を従業員が発見

 

死因 頭部変形による脳圧上昇 呼吸麻痺

 

 

2018年9月

 

神奈川県川崎市、キネマシネマの路地裏。雨が降り積もる中、白髪のツギハギの男が傘を差さずに歩いている。

 

「あの・・・」

 

するとそこに、1人の少年が男に声をかけてきた。その少年は黒髪で片目を前髪で隠している。

 

「映画館の・・・あなたがやったのですか・・・?」

 

「・・・へぇ・・・君、俺が見えるんだ」

 

ツギハギの男・・・いや呪霊の真人は少年、吉野順平に対し、興味を抱いた。

 

 

キネマシネマからそう遠くない路地裏。そこでは、キネマシネマの事件と同様な事件が起きている。被害者は2、3名。この被害者たちも、頭部が変形されており、こちらも脳圧上昇による呼吸困難によって死亡している。これを路地裏を通った非術師が発見し、大騒ぎ。

 

事件収拾のため、キネマシネマ、そしてこちらの路地裏に術師が2名ずつ派遣された。

 

この路地裏の事件を解決するために派遣されたのは、ブラートとの一月の特訓を終え、成長した(たつみ)。そして、チャイナドレスを着込み、赤渕メガネをかけた薄紫のロングヘアの女性だ。

 

「ここから先は凄惨な現場です。覚悟はいいですね?(たつみ)

 

「おう!!」

 

この難事件に挑む(たつみ)はやる気に満ち溢れているのであった。




じゅじゅさんぽ

高田ちゃん個別握手会会場

かなり不機嫌そうな真衣。

ファンA「おい、美人がゴミを見るような目で俺たちを・・・♡」

ファンB「興奮するな・・・」

ラバック「いやー、お待たせー、真衣ちゃん」

東堂「?どうした真衣?何か嫌なことでもあったか?」

真衣「自分の胸に聞いてみたら?」

東堂「ついにこの時が来たか・・・」

真衣「はあ?」

東堂、個握のチケットを真衣に渡す

真衣「何よ?」

東堂「次の握手会だ。お前も高田ちゃんのすばらしさを肌で感じてこい!」

真衣(普通にめんどくせぇ・・・)

東堂「これもまたファン・・・未来の夫たる者の務め!」

ラバック「東堂の気持ちわりぃ発言はともかくとして、一度行ってなって真衣ちゃん。絶対ハマるから!」

真衣(普通にキメぇ・・・。でもきっと断ったらもっとめんどくせぇことになるな・・・)

東堂「どうした?」

真衣、仕方なく列に並ぶ

ピィ―!ピィ―!ピィ―! 金属センサー反応あり

真衣「ああ、はいはい」

ガチャッ! 真衣、拳銃の呪具を置く

スタッフ「えぇ!!?」

真衣、会場に入場

高田ちゃん「わー!女の子ー!初めてでしょー?」

真衣「・・・まぁ・・・」

高田ちゃん、真衣と握手

高田ちゃん「ナミちゃん?」

真衣「真衣よ」

高田ちゃん「うふ、真衣ちゃん、お疲れ?列長かった?」

真衣「列というか・・・人に・・・」

高田ちゃん「じゃ、元気になったらまた来てね。覚えてるよ、ま~いちゃん」

個別握手会終了

ラバック「おかえりー、真衣ちゃん。どうだった?」

真衣「・・・別に・・・」

東堂「ふっ・・・確かに・・・高田ちゃんはそう簡単に言語化できる女ではない」

真衣(・・・悪くねぇ~・・・)



壱章『呪胎戴天』  完

次回
弐章『幼魚と逆罰』
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