呪術廻戦ー呪いを斬るー   作:先導

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無為転変

順平がイジメられる前のこと、彼は元々は映像研究部員の1人であった。彼は同じ部員と何気ない楽しい時間を過ごしていた。

 

「え?チョーゼツ絶叫計画って5まであんの?」

 

「7まであるよ」

 

「マジか。あれの7とかかなり来てそう」

 

「7までくると全くの別物だね。パロディ映画ですらないし」

 

「じゃあ何映画なの?」

 

「んー・・・グダグダなシットコム。+家系ホラーかな」

 

「何それ?」

 

「1の主人公の孫と2の犯人の孫と、3で最初に死ぬ奴の孫とかがひょんなことからシアハウスで住むことになったんだけど、そこが幽霊屋敷で霊媒師を呼ぶんだけどって話」

 

「うわっ、つまんなそ」

 

「死ぬほどつまんないよ」

 

「誰が見んだよそれ?」

 

と、このように部員たちと何気ない映画の会話で盛り上がりながら、楽しいひと時を過ごしていた。・・・今日、この日までは。

 

「あれー?なんでいんの?」

 

映画の話で盛り上がっていると、不良グループが部室に入ってきた。

 

「ここ俺らの部室にするから使うなって言ったよなぁ?」

 

「で、でも・・・最近使われてなかったから、もういいのかなって思って・・・」

 

順平が答えると、不良グループのリーダー格である男子生徒が積み上げていた映画のDVDを蹴とばし、そのうちの1本を踏んづけた。

 

「で?」

 

「いや・・・だから・・・」

 

ガンッ!

 

順平がまだ何か言おうとすると、大柄な不良が囲んでいた机を蹴り上げる。

 

「いいからさっさと出て行けよ、ゴキブリ共」

 

「お、おい・・・行こうぜ、吉野」

 

「・・・・・・」

 

「次使ったら、とんでもないからな」

 

映像研究部員たちは不良グループに従い、部室から出ようとする。すると、順平はリーダー格の男子生徒の前で止まる。

 

「おい、何やってんだよ!」

 

「・・・・・・」

 

「何?」

 

「・・・持って帰るから・・・」

 

「あ?」

 

順平はしゃがみこんでリーダー格の男子生徒が踏んでいるDVDケースに手を伸ばす。

 

「・・・足・・・どけて・・・」

 

「おい、やめろって・・・!」

 

「これ持って帰るから・・・足、どけてくれる・・・?」

 

部員の静止も聞かないで順平は彼に足をどけてほしいと頼んでいる。

 

「うっ!!」

 

リーダー格の男子生徒はこちらを睨んでくる順平の顔に蹴りを入れ込んだ。蹴とばされた順平は机と衝突し、蹴られた鼻を抑える。

 

「「・・・っ!やべぇよぉ!!」」

 

部員2人は不良グループを恐れて逃げるように部室の外から出ていった。リーダー格の男子生徒は順平に近づき、爽やかそうな笑みを浮かべて彼の肩をポンポンと叩く。

 

「・・・ドア閉めろ」

 

「りょうかーい」

 

不良の1人が部室のドアを閉めた後、リーダー格の男子生徒は面白いおもちゃを見つけたかのような笑みを浮かべた。

 

この日からだ。順平の横暴かつ理不尽極まりないいじめが始まったのは。

 

 

下水道。いじめが始まったあの日から、人間に対し何も期待しなくなった順平は自身の持論を真人に語る。

 

「好きの反対は無関心なんて言った人は、ちゃんと地獄に落ちたでしょうか?悪意を持って人と関わることが、関わらないより正しいなんて、ありえない。『好きの反対は嫌い』です。日本人って好きですよね。シンプルな答えを複雑にして、悦に浸るの」

 

「それ考えたの日本人じゃないよ?」

 

「僕が言ってるのは誤謬の方です」

 

「うん?」

 

真人は順平の話を1つ1つ漏らさず、耳を傾けている。

 

「元々どこかの外国の人が言ったのは・・・『愛の反対は無関心』ですよね?愛ってのはいろんな定義があるから、対義に無関心が成り立つと思うんです」

 

「まぁね~」

 

「でも、愛って普段使わないじゃないですか。だからそれがこの国ではいつの間にか好きに変換されて、愛、無関心の対義が成り立つかどうかなんて、誰も考えず広まったっていうか・・・」

 

「みんな、言葉遊びが好きなのさ。なぜなら人間は言い訳をしないと生きていけないからね」

 

真人は順平の話を聞きながら、下水道の奥に向かって行く。順平は真人の後についていく。辿り着いた場所で順平はそこにあったものに目を見開く。それは、呪霊のような見た目をした身体や顔がぶくぶく太ったような人間のような存在であった。

 

「これは?」

 

「1人の人間をどこまで大きくできるかの実験」

 

どうやら目の前にいるこれは本当に人間のようで、真人が興味本位で実験してこうなったようだ。真人は順平が持っている小物に目を向ける。

 

「逆にそっちはどこまで小さくできるのか試してみた」

 

「!これが・・・人間・・・」

 

自分の持っていたものが人間であると知り、順平はまじまじと人間だった小さなものをまじまじと見つめる。

 

「順平は死体に慣れてるの?」

 

真人の問いかけに順平は答える。

 

「どうでしょう・・・。それが僕の母だったら取り乱し、真人さんを憎んでいたかもしれません。でも僕は、人間の醜悪さを知っています。だから他人に何も期待していないし、他人の死に何も思うところはありませんし。無関心こそ、人間が行きつくべき美徳です」

 

「・・・そんな君が・・・復讐ねぇ・・・」

 

「矛盾してるって・・・言いたいんですか・・・?」

 

真人は順平の答えを聞き、1つの質問をする。

 

「順平は人に心があると思う?」

 

「え・・・ないん・・・ですか・・・?」

 

「ないよ。『魂』はある。でもそれは心じゃない」

 

「じゃあ、僕のこの・・・!」

 

人間には心がない。そう言い聞かされた順平は少し取り乱す。人に心がないとそう言い切れる根拠を真人は語る。

 

「俺はこの世界で唯一魂の構造を理解してる。それに触れることで生物の形を変えているからね。喜怒哀楽は全て、魂の代謝によるものだ。心と呼ぶにはあまりにも機械的だよ。人は目に見えないものを特別に考えすぎる。見える俺にとって、魂は肉体と同じで何も特別じゃない。ただそこに在るだけだ」

 

真人は順平に顔を向ける。

 

「わかる?命に価値や重さなんてないんだ。天地にとっての水のように、命もただ廻るだけだ。それは俺も君も同じ。無意味で無価値。だからこそ、何をしてもいい。どう生きようと自由なんだ。無関心という理想に囚われてはいけないよ。生き様に一貫性なんて必要ない。お腹が減ったら食べるように、憎いなら殺せばいい。俺は順平の全てを肯定するよ」

 

真人は手に持っていた小さくした人間をくしゃりと握りつぶした。真人のことに順平は少し救われたような気分になった。

 

 

時は悠仁たちが順平を発見し、車で追いかけているところまで戻る。

 

「いました」

 

「あれ?私服?」

 

「この時間って学校のはずじゃ・・・」

 

「高校にはしばらく行っていないみたいですね」

 

「それは俺らもそうだけどさ・・・あいつら、元気でやってる?」

 

悠仁は現在死んだことになっているため、しばらく恵たちとは会っていないし、連絡もできない状況下にある。恵たちの様子が気になる悠仁にちょくちょく恵や野薔薇と連絡を取っている(たつみ)が答える。

 

「相変わらず元気だよ。騒がしいってくらいにな」

 

2人が元気でやっていると聞いて悠仁は安心して笑みを浮かべている。

 

「で、どうすんの?」

 

「それを使います」

 

どうやって順平の事情聴取をするのか。その手順を説明をするために、伊地知はあるものに目を向ける。そのあるものとは、檻に入れられている非力そうな数匹の呪霊である。

 

「って、それ呪霊じゃねーか⁉」

 

「蠅頭。4級にも満たない呪いです」

 

蠅頭という弱く、基本的に無害な呪霊をどう使うのか、今から伊知地が説明する。

 

「人気のないところに出たらこいつに彼を襲わせます」

 

「「えぇ!!?」」

 

「1、呪いを視認できない一般人の場合。虎杖君たちが救助してください。

2、視認できるが対処する術が持たない場合。同様に虎杖君たちが救助。事件当日の聴取をします。

3、呪術で蠅頭を祓った場合。即時拘束します」

 

「力づく?」

 

「力づくです。誤認ならそれでいい。後で謝りましょう。

ただ・・・4、2級術師以上のポテンシャルが吉野順平にあった場合。一度引いて七海さんたちに合流します」

 

ここまでの伊地知の説明の4の候補に(たつみ)が疑問を浮かべる。

 

「2級くらいだったら俺でもいけるレベルだと思うけど・・・」

 

「呪霊ならね」

 

「「え?」」

 

(たつみ)が抱く疑問にこれも伊地知が答える。

 

「以前伏黒君が言っていましたね。通常、呪霊と同等級の術師が任務にあたると。つまり、2級術師は2級霊に勝つのが当たり前。二級術師は一級呪霊に近い実力というわけです」

 

「・・・なんで俺らはそういう大事な情報知らないの?」

 

(五条さんが適当だから・・・)

 

担任なのにそんな大事な情報を伝えていない適当な悟に対し、伊地知はため息をこぼした。

 

「ここからは車を降りますよ」

 

「なんか自作自演みたいで気が乗らないなぁ・・・」

 

「そう言うなって・・・俺も同じなんだからさぁ・・・」

 

あまり気が乗らない作戦ではあるが、やらなければいけない以上やるしかない。3人は蠅頭の檻を持って順平にバレないように尾行を開始するのであった。

 

 

一方その頃下水道。この中にもかなりの数の改造人間がおり、この場所にやってきた七海とシェーレは迷うことなく改造人間を斬り倒していった。

 

「出てくるならさっさとしてください」

 

「異形、手遅れとはいえ・・・人を殺めるのは気分が悪いです」

 

七海とシェーレはこの下水道に潜んでいる者に出てくるように促した。すると、下水道の奥からツギハギの呪霊、真人が現れる。

 

「いやぁ、よかったよかった。五条悟や禪院赤女(あかめ)が来ても困るけど・・・あんまり弱いと実験にならないからさぁ」

 

「残業は嫌いなので手早く・・・済ませましょう」

 

真人の出現に七海は包帯でぐるぐるに巻いた切れ味の悪い鉈を、シェーレは大型のハサミを持って構える。そんな彼らの脳裏に浮かび上がるのは、『あはははーぶっ殺すぞー』と楽し気に笑う悟と無表情ながらに悟についていく赤女(あかめ)の姿であった。それだけ、この真人には2人との共通点があるのだ。

 

(似ている・・・絵にかいたような軽薄。その奥にあるどす黒い強さ)

 

真人が両手に呪力を纏ったその瞬間、先に先手を取ったのは七海だ。七海は真人に接近し、鉈を振るって攻撃を仕掛ける。七海の攻撃を真人は呪力を纏った腕で受け流しつつ、拳で七海に攻撃を仕掛ける。真人の攻撃を七海は躱し、鉈を振るう。真人はその攻撃を跳躍して躱し、下水道に着水する。

 

真人が着水したタイミングを狙ってシェーレが真人に接近して大型ハサミを振るう。真人は素早く動きシェーレの振るうハサミを躱し、呪力を纏った拳を彼女に放つ。シェーレは真人の拳を大型ハサミを盾のように使って防御に徹し、すぐさまハサミを振るって真人を攻撃する。真人はその攻撃を躱し、段に上がり、その先で待つ七海の振るう鉈を躱す。

 

鉈を振るった七海は蹴りを放ち、真人を蹴とばし、シェーレは真人の背後に立ち、挟み撃ちにする。真人を挟み撃ちにした七海とシェーレは術式で真人の両腕の線分を図る。真人はこれから来る2人の攻撃に備え、両腕に呪力を纏って攻撃を受け止めようとする。七海は鉈で前方から、シェーレはハサミで背後からで真人に攻撃を放つ。真人はその攻撃を呪力を纏った腕で両方を受け止めた。

 

ブシュッ!ブシュッ!

 

「!」

 

だが呪力で防御したにも関わらず、真人の右腕は鉈で、左腕はハサミによって斬られる。両腕を斬られた真人は側面に跳躍し、2人から距離をとる。

 

「んん?俺ちゃんと受けたよね?両方とも呪力で。2人ともそういう術式?」

 

「そういうとはどういう意味ですか?」

 

「私は他人任せな抽象的な言葉は嫌いです」

 

「よかった。2人ともおしゃべりが嫌いなわけじゃないんだ」

 

「相手にもよります」

 

七海が真人と会話している間にも、シェーレは真人について考察する。

 

(ここまで会話が成り立つ呪霊・・・赤女(あかめ)と五条さんの報告にあった未登録の特級呪霊3体・・・無関係とする方が不自然ですね・・・)

 

シェーレが考察していると、真人は2人にあることを問いかけてきた。

 

「ねぇ、あんたたちはさ、魂と肉体、どっちが先だと思う?」

 

「「?」」

 

「ほら、あるでしょ?卵が先か鶏が先か、みたいな話。肉体に魂が宿るのかなぁ?それとも、魂に身体に肉付けされてるのかなぁ?」

 

(・・・七海さん)

 

(えぇ。聞くしかないでしょうね)

 

真人の問いかけに対し、シェーレは七海に耳打ちをし、2人は質問の問いに答える。

 

「「前者」」

 

「ブッブー。答えは後者。いつだって魂は肉体の先にある。肉体の形は魂の形に引っ張られる」

 

真人が問いの答え合わせをすると、彼の斬られた両腕が瞬く間に再生を始めた。ただこれは呪霊が呪力によって再生するものとは全く異なっている。

 

「治癒じゃない。己の魂の形を強く保っているんだ」

 

そう言って真人はポケットから人間を小さくしたものを取り出す。すると、人間だったものは真人に触られたことにより、その形を変えようとしている。

 

「もうわかったでしょ?俺の術式は魂に触れその形を変える」

 

魂を見ることができる真人にとって、魂に触れることは容易であり、術式によって人間を置物だったり、呪霊のような化け物に変えたりすることができる。この術式の名を・・・

 

「無為転変」

 

真人の術式、無為転変によって小さなものだった人間は異形の化け物へと形を変えた。

 

「人間をストックしてるんだ。結構難しいんだよ?」

 

真人は人間の魂に触れ、その形を変えることによって化け物だけでなく、武器にすることも可能だ。ゆえに真人は自分の術式を戦闘にフル活用するために人間の形を小さくして、持ち歩いているのだ。

 

「一般人は形変えちゃうとそのうち死んじゃうけど・・・呪術師はどうかな?」

 

笑みを浮かべる真人に対し、シェーレは七海にあることについて尋ねる。

 

「・・・七海さん、『お時間』の方は?」

 

「そうですね・・・現在17時半・・・今日は10時から働いていますので・・・何が何でも、『18時』には上がります」

 

「わかりました」

 

七海のこの時間に意味があるとわかっているシェーレは、何が何でもその18時までに真人を祓うか、もしくは『耐え切る』ことを視野に入れ、戦闘を再開させる。シェーレの後に七海も続く。

 

 

一方の住宅地、学校をサボっても特にやることがない順平は街を一通り歩いた後、自分の自宅に帰宅している。

 

「吉野ぉ、どこ行ってたんだ」

 

順平の自宅の前には、かなり太っていて恰幅のいい男性が段差に座って汗を拭いている。

 

「ダメじゃないか、学校サボって」

 

「・・・外村・・・先生・・・」

 

彼の名前は外村。順平が通っている学校、里桜高校の教師を務めている男だ。ただ順平はこの外村がかなり苦手意識を持っている。というのもこの外村、遠くで順平が不良グループたちのいじめを受けている現場を目撃していたにも関わらず、不良グループに注意もせず、素通りしていったことがある。これはいじめを容認してるようなものだ。ゆえに順平は外村が苦手・・・というより嫌いなのだ。

 

「聞いたか?佐山、西村、本田、亡くなったって。お前・・・仲良かったよな?

 

「・・・は?」

 

不良グループの3人と仲がよかった。そんな外村の発言に順平は耳を疑った。

 

「友達がいないお前をよく構ってやってたろ?それなのに葬式にも出ないで・・・」

 

(仲良し?僕が?あいつらと?)

 

「一緒に行ってやるから、線香だけでも上げに行こう」

 

(正気じゃない・・・!)

 

イジメの現場を友達同士の戯れだと思い込んでいる外村に、順平の中の憎悪が増していく。

 

「・・・教師って・・・学校を卒業して学校に勤めるから、およそ社会と呼べるものを経験してないですよね・・・。だから・・・あんたみたいなでかい子供が出来上がるんでしょうね・・・!」

 

どいつも・・・こいつも・・・!!!

 

『俺は順平の全てを肯定するよ』

 

順平の中の憎悪が膨れ上がっていく時、彼の脳裏に浮かび上がったのは自分を認めてくれる真人の言葉であった。

 

「何をブツブツ言ってんだ?引きこもっておかしくなったか?なんて・・・ははは」

 

呑気に笑う外村に順平は強い殺意を抱き、真人によって引き出された力を解放しようとした時だった・・・

 

「ストーーーップ!!!!!」

 

この第一声に平常心を取り戻した順平と外村の間に、逃げ出した蠅頭を捕まえた悠仁が割って入ってきた。

 

(あ・・・こいつ・・・見えてるな)

 

ちらっと順平を見て、悠仁は彼が蠅頭が見えているのだと一目でわかった。悠仁は蠅頭を抱えたまま宙で一回転してきれいに着地しようとした。

 

ガンッ!!

 

「あてっ!!うおぉ・・・いってぇ・・・!!」

 

だが着地した際にバランスが崩れてすぐ後ろにあった電柱に頭をぶつけてしまう。頭をぶつけた悠仁はうずくまる。

 

「お、おい!虎杖!大丈夫か⁉」

 

「つぅあぁ・・・頭われそう・・・!」

 

うずくまる悠仁に同じく蠅頭を捕まえた(たつみ)が駆け寄る。

 

 

全ては作戦失敗までの5秒前まで遡る。

 

「行きますよ、虎杖君、和倉君」

 

「タンマ!誰かいる!」

 

「えっ⁉」

 

ビュンッ!!

 

「あ!!逃げやがったチクショウ!!」

 

伊地知が檻を解放したその瞬間に蠅頭が一斉に逃げ出し、悠仁と(たつみ)が捕まえに向かったのである。

 

 

そして今に至る。

 

「よかったぁ・・・大事にならなくて・・・」

 

蠅頭を2匹捕まえたことによって、大事にならなくてほっと安心する(たつみ)。ちなみに、蠅頭はもう1匹いるのだが、そちらは伊地知が追いかけている。

 

「なんだぁ?体操選手か?」

 

いきなり豪快に登場した悠仁に対し、外村は怪訝な顔をしている。すると悠仁は順平に顔をずずいっと顔を近づける。

 

「なぁ、ちょっと聞きたいことあっからさ・・・面貸して?」

 

「え・・・?」

 

急に話しかけられて戸惑う順平は悠仁の身に纏う制服についてるボタンに気付いた。

 

(!このボタン・・・)

 

「待て!今俺が話してるだろ!失礼だな!」

 

順平が悠仁のボタンに注目していると、急に割って入ってきた悠仁に外村が文句を言おうとしている。そんな彼に(たつみ)が割って入る。

 

「あー、悪いオッサン。俺らこいつにかなり大事な用があって・・・」

 

「大事な用?子供が何言ってんだ!」

 

「カッチーーン」

 

「だいたいお前らどこの制服・・・」

 

ズルンッ!!

 

「え・・・えぇぇ・・・」

 

「なっ・・・!」

 

外村の言い方に腹が立った(たつみ)は彼のズボンを勢いよく脱がした。その様子に順平はかなりドン引きした様子。

 

「何すんだこのガキ!!やめ・・・やめなさい!!」

 

パンツ一丁になった外村は必死になって抵抗するが、(たつみ)はズボンを奪い取り、それを持って即座に逃げ出した。

 

「待ってかないでーーー!!!待てぇーーーーー!!!!」

 

ズボンを持って行かれた外村はそれを取り戻そうと(たつみ)を追いかけていった。その場に残ったのは順平と悠仁だけだ。

 

「・・・なんなの・・・あれ・・・?」

 

「気持ちはわかる」

 

「わかるんだ・・・」

 

悠仁は(たつみ)の気持ちが理解できるようで、首をうんうんと縦に頷いている。すると、外村に追いかけられていた(たつみ)がもう一周して戻ってきた。

 

「そんじゃ行こうぜ」

 

「おー、撒いた?」

 

「撒いた撒いた」

 

「えっ!!?速っ!!?もう1週してきたの!!?」

 

「おう」

 

距離があったのにもう1周してきた(たつみ)に順平は驚愕している。

 

「わざわざあんなことしなくても、僕だけ引っ張っていけばよかったんじゃ・・・」

 

「まぁそりゃあ・・・な?でもお前、あいつ嫌いだろ?」

 

「え・・・?」

 

自分が外村が嫌いなことを(たつみ)に見抜かれた順平は驚いている。ちなみに悠仁もこのことを見抜いている。

 

「なんで・・・?」

 

「ん?なんとなく」

 

「あ、もしかして違った?」

 

「違くないけど・・・」

 

「嫌いな奴がいつまでも家の前にいるとか嫌だろ?」

 

「とりあえず・・・あっち行こうぜ?」

 

「・・・うん」

 

悠仁と(たつみ)は順平から話を聞くためにひとまず彼の家の前から離れることにした。順平は2人に従い、2人の後をついていった。

 

 

一方の下水道での戦いはさらに激しさを増している。真人は七海とシェーレが繰り出す攻撃をいなし、ストックした人間の形を変えて、これを攻撃に転じる。七海に迫ってくる改造人間をシェーレはハサミを振り下ろして斬り落とし、真人に近づいてハサミを振るう。真人はシェーレに呪力を帯びた拳を放つ。シェーレがハサミで拳を防御したタイミングで七海が真人に接近し、鉈を振るう。七海のこの攻撃を真人は跳躍して躱し、さらにストックした人間を取り出す。

 

「2人とも良く動くね。特にお姉さん、そのハサミ重くないわけ?」

 

真人はそう言いながら改造した人間の形を変え、七海とシェーレに攻撃を仕掛けた。迫ってくる改造人間の攻撃を七海とシェーレは跳躍して躱す。だが改造人間は軌道を変えてまだ迫ってくる。七海は鉈を壁に突き刺し、身体を屈んで攻撃を躱した。シェーレは天井にハサミを突き刺して身体を揺らして攻撃を躱し、改造人間の上に着地する。

 

(んーーー!楽しい!)

 

真人は純粋に、強い相手との戦いを楽しんでいる。

 

(形を変えるのに元の人間の質量は関係ないのでしょうか?どちらにしても、私と七海さんの術式ではかなり相性が悪いですね・・・)

 

【・・・け・・・て・・・】

 

「!」

 

シェーレが真人の術式について考察していると、妙な声が聞こえてきた。声は今シェーレが立っている改造人間から発せられている。七海もこの声に気付いた。

 

【・・・たす・・・けてぇ・・・】

 

シェーレの足元には元の人間だった顔が浮かび出ており、この人間は涙を流して助けを求めている。この改造人間の涙を見て、シェーレの頭に思い浮かべるのは、硝子の言葉である。

 

『一度改造された人間はまず助からん。襲われたら迷わず殺せ。それが被害者のためでもある』

 

改造された人間を助ける方法は殺す以外にない。シェーレは悪人を殺すことに対しては何の抵抗もない。だが何1つ罪のない人間を殺さなくてはいけないことに心を痛める良心は彼女には持ち合わせている。殺さなくてはいけない要因を作った真人に対し、シェーレは静かに怒りを覚えている。

 

「あー、ごめんごめん。いっぱい練習したからさー、大きさ変えてもすぐ死ぬことはないけど・・・脳?意識?の方はまだ制度悪くてさー。そうやって魂の汗が滲み出ることがあるんだ。気にせず続けよう」

 

「・・・気にしてなどいませんよ。仕事に私情を持ち込むのはよくないので」

 

「・・・右に同じく」

 

シェーレは改造された人間の涙を優しく拭き、真人を睨みつける。七海もサングラスなどで表情は見えていないが、明らかに怒りを示しているのがよくわかる。

 

「ぷはっ!嘘が下手!魂が揺らいでいるよ!」

 

私情を持ち込まないと言いつつも顔に感情が出ている2人に真人は笑う。

 

「えっと・・・あんたたち何級?」

 

「一級」

 

「二級」

 

問いかけに答えた七海とシェーレに対し、真人は疑問符を浮かべるように首を傾げている。

 

「んーーー?そこの七三術師はともかく、お姉さん本当に二級?一級くらいの強さだと思うんだけど?」

 

「・・・・・・」

 

「ま、いっか。強ければ等級なんてどうだって。だって実験台としては2人ともベストだもん。俺は運がいいね」

 

真人がにっと笑みを浮かべると、いつの間にか七海の懐に入り、片手を彼の腹部に触れていた。

 

「感謝するよ」

 

真人が術式を発動すると、彼が触れた腹部に強烈な痛みが発する。この激痛に七海は顔をしかめる。

 

「~~~~!!」

 

「七海さん!!」

 

七海は真人を振り払おうと咄嗟に鉈を振るって攻撃する。真人は鉈の一撃を跳躍して躱した。真人が着地したタイミングでシェーレは真人に向けてハサミを振るった。だがその攻撃は、またも跳躍して躱される。

 

(速い!!)

 

先ほどまでの動きと比べても真人は速くなっている。その原因はすぐに理解した。真人の足が人間の足ではなく、馬のような足に変わっているのだ。

 

「急にスピードが上がってビックリした?自分の魂の形だって変えられるんだよ」

 

真人はダメージを負って腹部を抑えている七海に視線を向ける。

 

「呪術師は呪力で身体を守ることはできても、魂を守ることはしてきてない。第一に己の魂を知覚する。これができなきゃそれは叶わない。でも多少は無意識に魂を呪力で覆ってるみたいだね。そうでなきゃあんたは今頃俺の手駒さ。まー、後2、3回触れて人間やめさせてあげる」

 

真人は自身の両手に呪力を纏い、七海に接近し彼に触れようとする。七海は跳躍して真人の背後に回り、鉈を振り下ろす。真人は体を捻って鉈の攻撃を躱し、七海に触れようと両腕を伸ばす。七海は真人の腕を躱し、後退して彼から距離をとる。七海が距離を取ったところで跳躍したシェーレがハサミを頭上から真人を突き刺そうとする。真人は馬の足を活かして跳躍して後退する。シェーレは地面に突き刺した瓦礫に自身の呪力を流し、ハサミを振り上げて真人に放つ。

 

「心配しなくても、お姉さんも人間やめさせてあげるよ!」

 

真人は迫ってくる瓦礫の隙間を見極めて、そこを通り抜けてシェーレに迫り、彼女に触ろうとする。シェーレは咄嗟にハサミを構えて防御に徹し、真人に触られるのを免れた。攻撃の衝撃で後退るシェーレに追撃するように真人は彼女に接近して腕を伸ばしていく。シェーレは機敏な動きで真人の攻撃を躱してく。

 

「シェーレさん!こちらに!」

 

七海は下水道の奥に向かって走りつつ、シェーレに声をかけた。この狭い場所では自分たちは不利な状況に立たされる。ならば広い場所に真人を誘導する。七海の意図を理解したシェーレは真人にハサミを斜め上に一閃に振り上げた。真人は後退してこの一撃を躱す。真人と距離を取り、シェーレは七海に続くように下水道の奥へと走り込む。

 

「逃がさないよ!」

 

真人は2人を追いかけに走り出した。足が馬の足なだけあってやはり速い。下水道の奥は広間になっており、到着した七海は段差から飛び、下に降りる。シェーレも後に続こうとした時、真人に追いつかれる。真人の伸ばす腕にシェーレはハサミで咄嗟に防御する。後退したシェーレはこの反動を利用して先に続く広間に向かって降りていき、七海と並び立つ。

 

「こんなもんか、一級術師、二級術師」

 

真人は階段の鉄柵に座り込み、自身の魂の形を変え、馬の足が人の足へと戻す。

 

「よく逃げ回ったけど、2人ともいろいろ限界でしょ」

 

余裕を見せている真人に対し、七海は自分の腕時計を見て、時刻を確認している。

 

「・・・七海さん、お時間は?」

 

「ふぅー・・・18時」

 

「そうですか・・・」

 

定時の18時越えを確認したシェーレは自身のハサミに収まっている鞘を抜き取り、切っ先の刃を露にした。一方の七海は自身のネクタイを外し、それを自身の右手にギュッと巻き付ける。すると、七海の呪力が一気に上がり、右手に呪力が上がっていく。

 

(なんだ?呪力が・・・増えていく)

 

「「残念ですが・・・ここからは・・・『時間外労働』です」」

 

シェーレは露にしたハサミの切っ先を真人に突きつけ、七海は帯びた呪力を全身に纏い、構えるのであった。




じゅじゅさんぽ

野薔薇「伏黒―、マインさんの学ラン知らない?」

恵「いや、知らん」

マイン「えー?おかしいわね・・・ここに置いておいたんだけど・・・。パンダ、あたしの学ラン知らない?」

パンダ「う~ん・・・見てないなぁ」

パンダ、学ランイン。

学ラン、ギチギチギチギチ・・・!

恵「・・・・・・」蔑んだ顔

マイン「ヘー、ソッカー。ドコイッチャッタノカナー?・・・野薔薇、トンカチ」ハイライトオフ

野薔薇「うす」ハイライトオフ

ドグシャア!!!!

パンダ「へぶぅあああああ!!!!」

マイン「おいコラ、野薔薇に至ってはスカートがないのよ?それは越えちゃいけない一線でしょうが・・・!!」

ガラララ!

棘「たかな!!」

棘、スカートイン

ドグシャア!!!!

棘「おかか!!!!」

マイン・野薔薇「たくっ、ゴミ共が・・・!!」

マイン、野薔薇、棘からスカートを回収

恵「絵面やば」

マイン「・・・あら?」

野薔薇「どうしたんですか?」

マイン「これ真希のスカートじゃない」

野薔薇「え?じゃあ私のスカートはどこに・・・?」

一方の高専の地下・・・

悟「こんばんはー!釘崎野薔薇でーす!」

悟、野薔薇のスカートイン

悠仁「プッハハハハハハハハ!!」

赤女(あかめ)「・・・・・・」冷めた顔





アンケート期限、弐章終了まで

起首雷同後の章を選ぶなら?(呪術廻戦のアカメが斬る!零の物語を入れるなら)【重要アンケート】

  • 赤女が主役の伍章
  • 七海と黒女が主役の伍章
  • それより渋谷事変が伍章
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