呪術廻戦ー呪いを斬るー   作:先導

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私は禪院家が嫌い。

私たちがよそものの女だからって決まって突っかかってくる。

でもそれ以上に嫌いなのは・・・有象無象にわく非術師。

呪術師に非ずんば人にあらず。

私だってそうじゃないって信じたかったよ。あいつが大好きだっていう人間たちを信じてみたかったよ。

でも、それを壊したのは猿共の方だ。

だから・・・誰が何と言おうと・・・

私は猿の存在を否定する。


伍章『住古来今』
住古来今


2018年10月中旬

 

高専の職員室。赤女(あかめ)はここで1人で黙々とパソコンを打って資料の作成に集中している。生徒たちに出す課題、上層部に出す報告書。作成する資料はこの2つに絞られてくる。

 

「・・・ふぅ・・・」

 

ある程度の文章を打ち終えると、赤女(あかめ)は少し一息ついてチェアにもたれかかる。教員と言っても赤女(あかめ)も呪術師の1人。教員の仕事はもちろんのこと、斡旋された任務にも駆り出され、気が休まる時間がほとんどない。そのため赤女(あかめ)には少し疲労が溜まっているのだ。

 

コトッ

 

「ん?」

 

赤女(あかめ)が少しだけ休息をとっていると彼女のテーブルにお茶が置かれる。

 

「あんま根を詰めすぎると作業効率が悪くなるよ」

 

お茶を置いたのは高専唯一の医師、赤女(あかめ)の親友、家入硝子だ。

 

「硝子にだけは言われたくないな」

 

「はは、ごもっとも。だったら怪我作ってくんなよって話だけど」

 

「そればかりはどうしようもないだろう」

 

「まぁね」

 

軽い雑談での赤女(あかめ)の返答に硝子は軽く笑う。

 

「今日それ以外予定ねーだろ。ちょっと付き合え」

 

ある程度の資料の文字を打ち終えた赤女(あかめ)は特に断る理由もないためお茶を飲み干し、首を縦に頷いて了承する。

 

 

硝子が赤女(あかめ)を連れてきた場所とは都内にどこにでもある居酒屋だ。赤女(あかめ)はここで大量の料理(主に肉)を、硝子は日本酒を注文した。注文した日本酒を飲む硝子を見て赤女(あかめ)は疑問に思う。

 

「硝子といい直毘人といい、それの何がいいのかよくわからないな」

 

「?お前だって飲んでんだろ?たまに当主と酒盛りしてたって話、覚えてるぞ」

 

「ああ。だが好きじゃない」

 

「お子様だな」

 

「悟だって酒飲めないだろ」

 

「下戸を例に上げてもねぇ・・・」

 

雑談をする硝子は煙草を取り出して口に加え、ライターで火をつけようとする。しかし、液切れなのかいくらカチカチしてもライターに火がつかない。

 

「・・・硝子。お前また煙草を吸い始めたのか?やめたと言ってたはずだが」

 

「んー・・・なんかここ最近、学生時代のことを思い出してさ」

 

「硝子もか。・・・ライターならあるぞ。使うか?」

 

「ん」

 

硝子が口に咥えた煙草を差し出すと、赤女(あかめ)はライターを取り出して煙草に火をつけた。

 

「サンキュ」

 

「・・・学生時代・・・あの頃は本当に楽しかったな。なのに・・・どうしてこうなってしまったのだろう・・・」

 

「・・・術師失踪事件だっけ?ちょっと大人しくなったと思えばまた活発化したらしいな」

 

「ああ。そしてこの事件の犯人が・・・」

 

以前より呪術界の間で騒ぎになっている術師失踪事件。その事件の犯人を知っている赤女(あかめ)は少しもの悲し気な表情をしている。

 

「・・・ふぅ~・・・。たく・・・あのバカについていったと思えば・・・。マジで何がしたいんだか・・・」

 

硝子は学生時代に去ったかつての友と後輩の姿に想い馳せながら煙草を吸うのであった。

 

 

同時刻、高専の一室。任務帰りで束の間の休息をとっているシェーレは1人読書に勤しんでいた。そこへ後輩呪術師、猪野拓真が入室してきた。

 

「あ、おかえりなさい、猪野君」

 

「あ、お疲れさまっす、シェーレさん。七海さんどこにいるか知りません?」

 

「七海さんなら例の事件に駆り出されていますよ」

 

「うえ!!?また発生したんすか⁉ここ最近また増え始めてません?」

 

七海を探していた猪野は例の術師失踪事件がまた起きたことを聞き、勘弁してくれよと言いたげな顔をしている。

 

「百鬼夜行以降、音沙汰もなかったのですが・・・」

 

「つーか前から思ってたんっすけど、七海さんってやけにこの事件に夢中っすよね?シェーレさん、七海さんからなんか聞いてないんすか?」

 

「え?う~ん・・・これ言ってもいいんでしょうか・・・?」

 

猪野の何気なく聞かれた質問にシェーレは勝手に答えてもいいのだろうかと少し悩んだが、責任は自分が持とうと思い、軽く話すことに決めた。

 

「・・・私もそこまで詳しいことは知らないのですが・・・術師失踪事件の犯人は・・・七海さんの同級生だったらしいのです」

 

 

同時刻、術師失踪事件の現場。多くの補助監督や数名の術師がこの現場に残された残穢を調査している。その数名の術師の中に七海もいた。

 

「残穢の調査の結果、被害者は緑郷(ろくごう)1級呪術師。これまでの被害者と同様、犯人と交戦した後に姿を消しています」

 

「同行していた術師は?」

 

「2級術師が2名ほど。ですが、緑郷(ろくごう)1級呪術師と同様、残穢はここしか残っていません。ただ、犯人の痕跡が2つに分かれていることから、おそらくは・・・」

 

補助監督の報告の通り、残された残穢は二手に分かれている。

 

「これまでの被害者は準2級から2級、2級から準1級へと徐々に等級を上げてきています。つまり、現段階では犯人の狙いは、私を含めた1級術師。『彼女』の術式を考えると、彼らはもう・・・」

 

七海は術師失踪事件の犯人のことを赤女(あかめ)を除いて誰よりも知っている。ゆえにわかるのだ。失踪した術師はもう全員死んでいることを。

 

「残穢を2つに分けたのは、私たちの誘導のためか、あるいは追跡から逃れるためか・・・。いずれにせよ、無視するわけにもいきませんね。この先の残穢は私が調査します。残りの皆さんはもう片方の残穢をお願いします」

 

「七海さん1人でですか?しかし・・・」

 

「戦力をまとめすぎると、逆に勘づかれるかもしれません。多少のリスクを踏まなければ、事件は解決できません」

 

「わ、わかりました!」

 

「何かあれば連絡を」

 

リスクは承知の上で話す七海に補助監督は納得し、分かれた残穢の片方を辿り始める。七海ももう片方の残穢を辿って先へと進み始める。この残穢は彼女のものであるのは疑いようがない。そう確信している七海の脳裏に、彼女の声が浮かび上がる。

 

『七海、お菓子食べる?』

 

『私の背中は任せたよ、七海!』

 

『どっちが悪いと思う?』

 

『七海!』

 

(・・・仮に彼女に会ったとして・・・私は彼女に何と言えばいいんだ?彼女を止める・・・その気持ちに偽りはない。だが、彼女の処刑はもうすでに決定されている・・・。私は彼女を殺したいのか?いや・・・そもそも私は彼女に何を求めている?・・・わからない。いくら考えても答えがでない。終わりが見えない自問自答。その果てにあるものが何であるかも)

 

かつての友の姿を浮かべた七海は自身の行動に自問自答を繰り広げている。だがいくら考えても答えは出ない。七海はただ、目の前の現実に基づき、己を律する。ただそれだけだ。

 

「・・・黒女(くろめ)さん・・・」

 

かつての友の名を呟き、七海は思い返す。自分がまだ、呪術師として未熟な学生だった時の・・・友と共に苦難を乗り越えてきた出来事を。

 

 

2006年4月

 

桜の花びらが舞う東京都立呪術高等専門学校、通称呪術高専。そんな高専の教室で黒髪の長髪の女子生徒は非常にそわそわした様子で外を見つめている。まるで待ち人が来る瞬間を待ってるかのよう。

 

「・・・そわそわ・・・そわそわ・・・」

 

呪術高専東京校2年、禪院赤女(あかめ)  特級呪術師

 

「いつまでそわそわしてんだよ。落ち着きねーなー」

 

長い時間そわそわしている赤女(あかめ)に声をかけたのは学生の身でありながら煙草を口に咥えている栗毛のボブヘアの女子生徒だ。

 

呪術高専東京校2年、家入硝子

 

「無理を言わないでくれ硝子。私がこの日をどれだけ待っていたか知っているだろう?」

 

「興味ねぇ」

 

そわそわしつつ異議を唱える赤女(あかめ)に硝子は冷たい返答をする。

 

「けど、赤女(あかめ)の気持ちは理解できるよ。今日は新入生が来る日だからね」

 

赤女(あかめ)の気持ちに同意しているのはボンタンを履き、耳には大きめなピアスをつけている黒い髪を結んだ男子高生だ。

 

呪術高専東京校2年、夏油傑  特級呪術師

 

「その中に君の妹もいるんだろう?どんな子が来るのか私も楽しみだよ」

 

「ああ。すっごくかわいいんだ」

 

「それはもう何度も聞いたよ」

 

「だが・・・いくら傑でも妹はやらんぞ」

 

「話が飛躍しすぎだよ」

 

話の段階をすっ飛ばしている赤女(あかめ)に対して傑は少し呆れ気味である。

 

「ふぅ・・・いいかい赤女(あかめ)?新入生は君の妹1人だけじゃないんだ。今日から私たちも先輩になるんだから、先輩として相応しい立ち振る舞いを・・・」

 

「そのセリフは私じゃなく悟に・・・」

 

ドタドタドタドタ・・・

 

「噂をすれば・・・」

 

傑が赤女(あかめ)に先輩としての心構えを説いていると、廊下から忙しないドタバタ音を鳴らしながら1人の男子高生が教室に近づいてくる。先輩のせの字もないような、自分たち問題児の筆頭格が。

 

ガララララ!

 

「おいお前ら!新入生見にいこーぜ!」

 

教室に入ってきたのは美しい銀髪を持った青く輝く瞳をサングラスで覆った男子高生であった。彼は妙にテンションが高い。

 

呪術高専東京校2年、五条悟  特級呪術師

 

「やたらとテンション高いね、悟」

 

「だってよ、今日は新入生来るわけじゃん?その中に、赤女(あかめ)の妹もいるんだしよ」

 

赤女(あかめ)の妹。その一点をわざわざ強調していることから、赤女(あかめ)は嫌な予感がひしひしと湧き上がってくる。

 

「おいちょっと待て悟。お前黒女(くろめ)に何をする気だ?」

 

「別に~?ただ、俺が1つ先輩として後輩を鍛えてやるんだよ。手取り、足取りな」

 

嫌な予感的中。強さ第一主義の悟のことだ。いつかこういいだすだろうとは思ってはいたが、進級早々に言い出すとは思ってなかった。ゆえに赤女(あかめ)は必死になって反論する。

 

「バカ言うな!!入学して早々だろ⁉早すぎる!!」

 

「呪術師の特訓に遅いも早いもねぇっつーの。それにかわいい子には旅させようともいうだろ?かわいい妹なんだろ?谷底に落とすのも愛の1つだぜ?くく」

 

「ふざけるな!!だいたいお前は黒女(くろめ)とは初対面ではないだろう!!」

 

「そうだったかぁ~?記憶にねぇなぁ~?」

 

「このクズめ!!」

 

「くくく、なかなか面白い光景だね。赤女(あかめ)が取り乱すなんてよっぽどだよ」

 

「シスコン極まってんじゃん。ウケる」

 

ニタニタと笑っている悟を赤女(あかめ)は怒りを浮かべながら必死に止めようとする。その光景を傑と硝子は面白がって笑っている。

 

「つーわけで善は急げだ!行くぞ、傑!」

 

「え?私も?」

 

「おい、待て悟!!話は終わってないぞ!!コラ!!行くんじゃない!!」

 

悟は赤女(あかめ)の静止を全く聞かず、1年がいるであろう教室に向かって走っていく。赤女(あかめ)は必死になって悟を追いかける。

 

「やれやれ・・・2人ともはしゃいじゃって・・・」

 

「で?あんたはいかなくていいの?」

 

「ああ。時間的にも・・・ね?」

 

教室から出ようとしなかった傑は硝子の問いかけに対し、にっこりと笑っているだけだ。その理由はすぐにわかる。

 

ドンッ!

 

「うぁ・・・いってぇ・・・」

 

浮かれてて前を見ていなかった悟は曲がり角を曲がった先で誰かとぶつかった。そのぶつかった相手とは、悟たちの担任の教師だ。

 

「俺の授業をほっぽり出そうとするとは・・・いい度胸だな。悟、赤女(あかめ)

 

呪術高専東京校2年担任教諭、夜蛾正道

 

「げっ!夜蛾先!違うんです!赤女(あかめ)が1年を見に行こうって」

 

「おい嘘をつくな!私に罪を擦り付けるな!」

 

「あー、うるせーうるせー!だいたいお前が妹は妹はって言うからだろ!」

 

「妹を自慢して何が悪い!先生!!これは悟が・・・」

 

「ガッデーーム!!!言い訳するな見苦しい!!!」

 

ゴチーンッ!

 

鉄拳指導!!×2!!

 

「お前たち2人は特に徹底して指導するからな!覚悟しろ!」

 

夜蛾は2人にげんこつをおみまいし、2人まとめて担いで自分の教室へ向かって行く。

 

「ほらね?」

 

「はは、お前も大概だな、クズ2号」

 

「言っておくけど硝子も同類だよ?」

 

一部始終を教室で見ていた傑と硝子は今の光景を面白がって笑うのであった。

 

 

 

ほぼ同時刻。まだ誰も来ていない1年生の教室。教室には新入生が座るであろう席が3つ存在する。これだけで今日来る新入生は3人であるのがよくわかる。その教室に1人の男子生徒が入ってきた。七三分けを撫で付けたような金髪を持った細い目つきの男だ。

 

(・・・誰もいない・・・少し早く来すぎたか・・・)

 

呪術高専東京校1年、七海健人  3級呪術師

 

七海は教室と時刻を見て、予定の時刻よりも早く着いたことを理解した。特にそれ以上のことを追求することなく、彼は指定されている座席に座り込み、余った時間を潰すために資料を取り出し、呪術についての予習復習を行う。その際に、七海は自分の隣にある2つの席をちらっと見る。

 

(・・・私を含めて3人・・・本当に少ないんだな・・・)

 

七海自身、自分の同期となる呪術師がどんな人物なのか気にならないわけではないが、今は同期の素性よりも、少しでも呪術について頭に叩き込んでおかなければならないとして、予習を再開する。1人で黙々と予習復習。そんなつまらない時間がしばらく続いていると・・・

 

ガララッ

 

誰か1人、この教室の中に入ってきた。七海が少し視線を向けて見ると、そこには自分と同じ高専の制服を着込んだ女子生徒が立っていた。黒い短髪に刀を持った独特な雰囲気を持った女子生徒だ。女子生徒は辺りを見回し、自分の座席を見つけると席に向かい、着席する。七海の隣の席だ。

 

(・・・彼女も新入生・・・だよな・・・?)

 

七海が女子生徒に少し視線を向ける。対し女子生徒は自分の鞄の中から『くろめの』と書かれたお菓子袋を取り出し、中に入っているお菓子をつまんでポリポリと食べている。

 

「・・・・・・」

 

「!」

 

何とも言えないような表情をしている七海の視線に気がついた女子生徒はお菓子袋の縁を閉じ、お菓子を守るような態勢になる。

 

「このお菓子はあげない」

 

「いりません」

 

お菓子を取られると勘違いしている女子生徒に七海はハッキリといらないと主張する。

 

「・・・さっきから何?人のことじろじろ見て」

 

「いえ。不躾にすみません」

 

ずっと視線を向けていたことを謝罪した七海は予習を再開し、女子生徒は特に気にすることなく再びお菓子を食すのを再開する。

 

(・・・なかなかに癖が強いな・・・)

 

七海が女子生徒への第一印象はこれにつきる。しばらく待っていると予定の時刻になり、教室に1年の担任の教師が入室してきた。

 

「ん?1人は遅刻か?たく・・・たるんでいるな。まぁいい。先に進めるとしようか」

 

教師はまだ来ていない1人の新入生に少し毒づきつつも、待ってても仕方ないために朝礼を始める。

 

「あー・・・こほん。ようこそ、呪術高専へ。お前たちも知っての通り、日本国内での怪死者・行方不明者は年平均10000人を超える。そのほとんどが人間から流れ出た負の感情、呪いによる被害だ。中には呪詛師による呪殺も含まれる。お前たちはその呪いに対抗するために呪いを学ぶ呪術師の卵だ。しかし呪術高専に赴く理由は様々だ。呪いを祓い、その果てにあるものを己が手で掴めるように、尽力してもらいたい」

 

教師は朝礼の話を終わらせ、続けて生徒の自己紹介へと進行を進める。

 

「えー、まずは・・・苦楽を共にする仲間の親睦として・・・自己紹介を始めようか。まずは・・・禪院。お前からだ」

 

「はい」

 

(!・・・禪院・・・?この子が・・・?)

 

禪院と呼ばれた女子生徒は教師の指名で席を立ち、黒板に自分の名前を書き込んで自己紹介をする。

 

「禪院黒女(くろめ)。黒に女と書いて黒女(くろめ)。好きなものはお菓子。以上」

 

呪術高専東京校1年、禪院黒女(くろめ)  準2級術師

 

淡々とした自己紹介を終え、黒女(くろめ)は自分の席に戻って着席する。女子生徒、禪院黒女(くろめ)の禪院という苗字に七海は内心では驚いている。まだ呪術師として未熟の身でも禪院という苗字は知っている。呪術師の家系の中でも最も格式が高い御三家の一角、禪院家。その禪院家の人間が自分と同じ同期でなおかつ彼女がその禪院であったとは思っていなかったからなおさらだ。

 

「よし。じゃあ七海。前へ」

 

「はい」

 

指名された七海は席に立ち、黒女(くろめ)と同様に黒板に自分の名前を書いて自己紹介をする。

 

「七海健人です。よろしくお願いします」

 

あまりにも淡泊な自己紹介を済ませた七海は一礼した後に、自分の席に戻っていった。七海と黒女(くろめ)の面白みがない自己紹介に教師はこれからうまくやっていけるのかと少し不安になり、頭をかく。

 

「・・・あー・・・えっと・・・自己紹介が終わったところで午後の授業だが・・・」

 

ガララッ!

 

「すみません!!人助けをしていたら遅れました!!」

 

冷たい空気の中で教師が午後の授業内容を発表しようとした時、勢いよく教室の扉が開き、1人の男子高校生が元気いっぱいで入室してきた。遅刻したにも関わらず、黒髪の男子生徒は屈託のない笑顔を見せている。

 

「遅いぞ!!始業式から遅刻とはどういう了見だ!!」

 

「はい!!すみません!!」

 

怒鳴られているにもかかわらず、男子生徒は笑顔を絶やさない。

 

「他の2人はもう自己紹介を済ませたぞ!お前も自己紹介を!」

 

「はい!」

 

遅刻した男子生徒は黒板に自分の名前を書き、2人とは対照的に元気がいい自己紹介を始める。

 

「初めまして!!灰原雄です!!好きな食べ物はごはん!!自分にできることは何でもしたいと思っています!!よろしく!!」

 

呪術高専東京校1年、灰原雄  3級呪術師

 

 

午前の朝礼、座学を終え、今年度の1年生3人は午後の授業のために移動している。午後の授業は実践演習。演習と言っても呪術師の任務と大して変わらない。実質的にぶっつけ本番といっても過言ではない。

 

「午後は実践演習だね!今から燃えてきたよ僕は!」

 

「「・・・・・・」」

 

初めての実戦で燃え滾っている灰原に対し、七海と黒女(くろめ)は表情を変えず淡々としている。そんな2人に灰原は元気よく声をかける。

 

「一緒に頑張ろうね!七海君!」

 

「ええ。よろしくお願いします」

 

「禪院さんも!」

 

「苗字で呼ばないで。その苗字、嫌いなの」

 

「あ?そうなの?ごめん。気が利かなくて」

 

自分の苗字を呼ばれることを嫌がっている黒女(くろめ)に灰原は正直すぎるほどに素直に謝っている。

 

「じゃあ・・・黒女(くろめ)!他にも嫌だって思ったことはガンガン言ってよ!ちゃんと直すように頑張るよ!」

 

「・・・馴れ合うつもりで高専に来たわけじゃないから」

 

にこにこと笑う灰原に黒女(くろめ)は仲良くするつもりはないと主張して1人でさっさと先へ進んでいった。

 

「あ・・・行っちゃった・・・。う~ん・・・何がダメだったんだろう・・・?」

 

同期たちと仲良くしたいと考える灰原は何がダメだったのか頭を捻って考える。

 

「・・・ま、いいか!大事なのはこれからこれから!一歩ずつ頑張ろう!」

 

「頑張るのは結構ですが、空回りしないように」

 

が、どこまでもポジティブな灰原は深く考えることはやめて前向き行こうと考える。そんな彼に七海は頑張りが空回りしないように注意を促すのであった。

 

 

車で移動し、新入生3人は実習先である霊園に辿り着いた。車を運転していた補助監督が今回の実習という名の任務の目標を軽く説明する。

 

「窓の報告によりますと、この先の霊園で低級の呪いが多数発生している模様。皆さんにはこれらの低級の呪いの祓いを1体残らずお願いします」

 

「はい!質問です!窓ってなんですか⁉お墓がいっぱいのところにはやっぱり呪いが多く出るんですか⁉」

 

補助監督にぐいぐいと積極的に質問してくる灰原に対し、七海は若干ながら呆れている。黒女(くろめ)は無関心でお菓子を摘まんで食べている。

 

「窓とは呪いを視認できる高専関係者のことです。呪術師ではありませんのであしからず。それと、お墓から呪いが出てくるわけではありません」

 

「要するに、お墓が怖いっていう人の感情が呪いを生むの。学校とか病院とかもそう。基礎中の基礎だから覚えといた方がいいよ」

 

「なるほど!わかったよ!」

 

「本当にわかってるんですか?」

 

質問に答える補助監督の答えと黒女(くろめ)の補足を聞いた灰原は元気のいい返しをする。ほとんど同じ反応ゆえに本当に理解してるのか疑わしいが。

 

「続けます。管理の方が言うには、お墓参りに来た人たちが被害にあわないように、早く祓ってほしいとのことです」

 

「了解です!」

 

「では、帳を降ろします。ご武運を」

 

3人が霊園の地に足を踏み入れると、補助監督は帳の術を唱える。

 

「闇より出でて闇より黒く、その穢れを禊ぎ祓え」

 

術が唱え終わると、空に帳が出現し、この霊園全体を覆い尽くす。灰原はその光景に驚いている。

 

「おお!すごい!空が一気に夜に!」

 

「帳。一般人が私たちを見えなくする結界術。君本当に初心者なんだね」

 

「えへへ・・・お恥ずかしい・・・」

 

「笑い事じゃない」

 

「呑気におしゃべりしてる暇はありません。辺りに呪いの気が充満してます」

 

七海の言うとおり、呑気にしゃべっている暇はない。帳が降りたことによって、呪霊たちが彼らの存在に気付き、いつどこで襲い掛かってもおかしくないのだ。

 

「いいですか?まずはむやみに動かず、周囲に警戒を・・・」

 

七海は呪霊を警戒をしつつ、2人との連携を取ろうと試みるが・・・

 

「よーし!呪い!どこからでもかかってこい!僕が相手だ!」

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・(怒)」ビキッ!

 

灰原は考えなしに前に突き進んでいき、黒女(くろめ)黒女(くろめ)で気ままに呪霊を探しに向かって行く。連携のれの字もない。自分勝手に行動をする同期2人に七海はこめかみが引くつき、少しキレそうになる。

 

ガシッ!

 

「!」

 

七海も仕方なく行動に移そうとすると、彼の足が何か掴まれる。

 

【れれれの・・・れ?】

 

足元を見てみると、地面の中より、ゾンビのような腐った体を持った呪霊がゆっくりと現れている。

 

(っ!しまった!下から・・・!)

 

「!七海君!!」

 

ズンッ!

 

【れ・・・れ?】

 

右手で七海の足を掴む呪霊が左手を伸ばそうとした時、いつの間にか駆けつけた黒女(くろめ)が刀を抜いて呪霊の頭を突き刺された呪霊は力なく倒れ、塵となって消滅する。

 

「呆けない。死ぬよ」

 

「!え、ええ」

 

黒女(くろめ)が1体の呪霊を祓ったと同時に、この霊園に蔓延る数多くの呪霊たちが地面から次々と現れる。一瞬だけ呆けていた七海は気を引き締め直し、腰にかけていた包帯でぐるぐる巻きにした鉈を取り出し、構える。

 

「すごいなぁ、黒女(くろめ)は。あんなに速く・・・。僕も負けてられないな!」

 

灰原は黒女(くろめ)に感心しつつも、負けていられないかのように、襲い掛かってくる呪霊の群れに突っ込んでいく。呪霊の攻撃を躱しつつ灰原は拳や蹴りを放ち、呪霊を1体1体捌いていく。そして腰にかけていた黒い刀身の剣の呪具を手に持ち、とどめの一撃を放って呪霊を斬り祓っていく。

 

「うん!僕もなかなかやれるね!」

 

自分でうまく立ち回れてると思っている灰原は鼻を鳴らしている。一方の黒女(くろめ)は一斉に襲い掛かってくる呪霊に対しても、慌てることなく刀を構え、居合の体制に入っている。そして、呪霊が自身の間合いに入った瞬間・・・

 

ザンッ!!

 

刀を抜刀し、襲い来る呪霊を同時に横一閃に斬り倒す。そして、刀が鞘に収まると同時に、呪霊は倒れ、塵となって消滅する。

 

「3級・・・このくらいの雑魚なら呪術を使うまでもない」

 

呪霊を一斉に斬り祓った黒女(くろめ)は隙を見てお菓子を1つ摘まみ、一口齧る。そんな彼女の背後から半分骨、半分ゾンビの呪霊が現れ、攻撃を仕掛けようとする。

 

ズシャア!!

 

そこへ七海が駆け付け、鉈を振り下ろし、呪霊を縦一閃に両断する。鉈は鈍らながらも中々にいい切れ味を持っている。

 

「あまり油断しないでください。呪霊はまだまだ来ます」

 

「いや。気づいてたし」

 

七海は黒女(くろめ)に注意を促すが、彼女は呪霊に気付いていたのか素っ気ない返答を返した。その返答には七海はちょっとイラッとくる。

 

「それより・・・そろそろ本命が出てきたみたいだよ」

 

「「!」」

 

話している間にも、今回の演習の目標である本命の呪霊が地面から出現する。人の手足が生えたような腐った体を持つ巨大な蟲のような呪霊だ。蟲呪霊は大きな口を開けて威嚇している。

 

「うわぁ・・・大きいね!気持ち悪くて強そう!」

 

「でも強さはせいぜい3級。見かけ倒しだよ」

 

「ですがどんな攻撃を仕掛けるかわかりません。警戒は緩めずに」

 

【お・・・お・・・おぉ・・・】

 

警戒をする3人に蟲呪霊は呻き声を上げて身体を震わせている。すると、蟲呪霊の背中より複数の長い人の手が羽のように羽のように生えてきた。生えた長い手は3人に向けて伸ばし襲い掛かる。

 

「わ!わ!わ!」

 

灰原は持ち前の運動神経を活かし、伸びてきた手を1つずつ躱していく。黒女(くろめ)は躱しつつ、刀を振るって伸びた手に斬撃を放った。しかし意外と皮膚が厚いのか切れ傷ができる程度で斬り落とすまでは叶わなかった。

 

(こいつ・・・思ったより分厚い・・・!)

 

腕を斬り落とせなかった黒女(くろめ)は若干しかめた顔になる。対して七海は冷静に鉈を構え、伸びてきた手に真っ直ぐに視線を向ける。彼の視界には、腕の長さを線分した線が現れ出る。そして、伸びてきた腕を躱し、線分した長さの7対3の比率を狙って鉈を振り下ろす。

 

「ふん!!!」

 

ズシャアア!!!

 

振り下ろした鉈は分厚い皮膚を持つ腕をいとも容易く斬り落とした。伸びてきた腕はまだあり、迫ってきたが七海は1つずつ冷静に対処し、伸びてきた腕を斬り落としていく。

 

「すごい!すごいよ七海君!」

 

「・・・・・・」

 

避けることで精いっぱいの灰原は七海を称賛しているが、黒女(くろめ)はあまり伸びてくる腕に対処しつつも七海に視線を向けている。攻撃に使っている腕を斬り落とされ、蟲呪霊は怒りを示し、背中だけでなく、体の至る所に腕を生やし、全て七海に向けて襲わせる。迫ってきた腕を七海は避けつつ、伸びた腕を1つずつ鉈で斬り落としていく。これには蟲呪霊はさらに怒り、もっと手を生やして七海に攻撃しようとする。

 

「うおりゃああああああ!!」

 

そこへ蟲呪霊の攻撃を掻い潜った灰原が側面に回り、黒い剣の呪具で斬撃を放った。これによろめく蟲呪霊に全ての攻撃をすり抜けた黒女(くろめ)が刀で斬りつけた。

 

【おおおおぉ・・・】

 

「数多くの腕を伸ばして攻撃するだけな上に全部力任せ。だから見切られやすく、反撃しやすい。怒って七海に集中してたから余計にだね」

 

黒女(くろめ)は振るった刀を構え直し、蟲呪霊にもう一撃を放とうとする。さらにそこへ七海が蟲呪霊の腕を斬り落としながら接近する。七海の視界に蟲呪霊の顔の線分が現れ、七海はその線分のウィークポイント狙い・・・

 

ザシュウ!!!!

 

黒女(くろめ)が放った斬撃と共に鉈を振るい、蟲呪霊の顔を身体ごと両断する。顔と体が両断された蟲呪霊は黒い塵となって消滅した。これで今回の実習演習は終了した。そんな中で、七海と黒女(くろめ)はお互いを見つめている。

 

(禪院黒女(くろめ)・・・さすがは禪院の人間というべきだろうか・・・。敵の分析も立ち回り方も私たちの上を行っている。そして何より・・・1度も術式を使っていない。彼女は優秀だ。だが・・・)

 

(・・・灰原は完全に素人。動き方も危なっかしいし呪力の練り方も下手くそ。でも七海は初めての実戦とは思えないほどにそこそこ動けてる。慎重すぎるのが欠点だけど、後の動きは悪くなかったし、術式もなかなかいいものを持ってる。七海はいつかきっと、一級になれると思う。でも・・・)

 

((・・・私はこの人が(こいつが)気に入らない))

 

七海と黒女(くろめ)はお互いに実力は認めてはいるようではあるが、どういうわけか気に入っておらず、少ししかめた表情をしている。なぜこんな気持ちを抱くのかは本人たちもわかっていない。ただ1つ共通しているのは・・・負けたくないという気持ちであった。

 

「七海君!!黒女(くろめ)!!2人とも本当に強いんだね!!僕は今、猛烈に感動しているよ!!!」

 

「おわっ⁉」

 

「きゃっ⁉」

 

2人がお互いに睨みあっている時、灰原が2人の肩を組み、抱き合わせた。

 

「・・・急に抱き着かないでください。驚くでしょう」

 

「ごめんごめん。でもどうしても気持ちが抑えられなくて・・・」

 

「・・・無理やりにでも抑えてよ」

 

2人が苦情を並べても灰原は愉快そうに笑って感情を表現している。

 

「でも感動したのは本当のことだよ。僕なんてあのでかいのに避けてばっかりだったし・・・。一撃を与えられたのは2人がいたおかげだよ」

 

「「・・・・・・」」

 

「僕は誇らしい同期を持って嬉しいよ!だって2人がいるから、僕ももっと頑張ろうって気持ちになるんだ!だから・・・3人で一緒に、切磋琢磨に頑張ろうね!」

 

どこまでもバカ正直な灰原に文句を言うのもアホらしくなったのか2人は少し呆れたような表情をして、一息吐いた。

 

「それじゃあ、帰ろっか!」

 

灰原は笑顔を絶やさないまま、帳の外に向かって走り出す。

 

(・・・何て落ち着きのない人だ・・・)

 

「・・・七海、だっけ?」

 

「!」

 

「私、あなたには負けないから」

 

心からの本音。灰原に呆れる七海に対し、黒女(くろめ)は対抗心を燃やしながらも言い放った。

 

「・・・自分でもらしくないとは思います。しかし・・・私も、あなたには負けたくありません」

 

七海も自分らしくないと感じつつも、紛れもない本心を彼女に打ち明けた。互いに火花を散らした後、2人はこちらに向けて手を振る灰原の後を追い、霊園を後にするのであった。

 

 

再び2018年10月中旬

 

(禪院黒女(くろめ)・・・彼女はとても優秀だった。少なくとも、私などよりも遥かにずっと。もし彼女が高専に残っていれば、間違いなく一級術師になっていただろう。だが彼女は・・・堕ちてしまった。あの人と共に・・・)

 

術師失踪事件の犯人を追いかける七海は残された残穢を辿りながら、昔の出来事を振り返りつつ、自分のやるべきことを全うする。

 

(なぜ彼女が堕ちてしまったのかは私にはわからない。ただ、心当たりはある)

 

七海の脳裏に浮かび上がるのは、同じく自分の同期の男の姿。彼の屈託のない笑みと・・・彼の最期の瞬間であった。

 

(・・・彼女に高専に・・・いや・・・普通の女の子に戻ってほしいと願うのは・・・私のわがままなのでしょうか・・・灰原・・・)

 

自身の苦い思い出と共に同期の姿に想い馳せる七海。そんな彼が先に進んでいると、1人の男の背中が見えた。その人物は、今回行方不明になった術師、緑郷(ろくごう)の護衛をしていた術師だ。だが七海は彼に対し、違和感を感じ取り、警戒を露にして背中に隠し持っていた鉈を取り出し、構えながらじりじりと彼に近づく。そして・・・

 

「・・・っ!」

 

七海は走り出し、護衛術師に向かって鉈で薙ぎ払おうとする。

 

ガキンッ!

 

しかし、護衛術師は七海に感づいていたのか持っていたトンファーで鉈の一撃を受け止めた。この護衛術師から感じ取れる違和感・・・それは呪力。彼から発する呪力がこの護衛術師のものではない。それだけではない。彼の目にはすでに生の気が感じられない。これを見て、七海は確信する。

 

(やはり・・・死骸操術!)

 

死骸操術によって骸人形と化した護衛術師を押し退けた七海は距離を取り、頬の汗をぬぐう。

 

(彼女は・・・また罪を重ねて・・・。もはや、分かり合うことは不可能なのか・・・?・・・いや・・・今は考えるな。目の前のことに集中しろ)

 

護衛術を見て、七海は罪を重ね続ける同期を考えるが、今は目の前の問題を対処するために、戦闘を続行するのであった。

 

そんな七海の姿を遠くのビルの屋上に座り込み、お菓子袋に入っているお菓子を摘まんでいる女性が諦観していたいた。黒い服を着込んだ黒髪の短髪。20代とは思えない愛らしさが残った刀を持つ女性だ。

 

「やっぱり。私を追ってきたんだね・・・七海」

 

彼女の名は禪院黒女(くろめ)。七海の同期にして、この術師失踪事件の犯人。かつては高専の一員ではあった。しかし現在では呪詛師に堕ち、高専と敵対関係にある。

 

「最初はよく七海と張り合ってたっけ。なんだか初心に戻った気分だよ。懐かしいな」

 

黒女(くろめ)は七海と出会った日のこと、その後のことを思い出し、学生時代の出来事を思い返した。

 

そして、七海に骸人形をけしかけた黒女(くろめ)を見つめる存在がいた。その正体は傑であった。だが黒女(くろめ)は傑の存在に気付いていない。それもそのはずだ。現在傑は『その場にいるが、同じ空間にはいない』のだから。

 

「彼女がそうなのですか?」

 

傑の後ろに控えていたのは、アマテラス、ツクヨミの2人であった。

 

「ああ。彼女こそが禪院赤女(あかめ)の攻略の鍵だよ」

 

「・・・どうしてわざわざ?準備は万端なはず」

 

「まぁね。でも、成功はより確実なものにしたいのさ」

 

「「・・・・・・」」

 

「ふ~ん、モブの考えることはよくわかんないね」

 

(モブ・・・)

 

傑はウサギの呼び方にイラっとしながらも黒女(くろめ)の使う術式に注目している。

 

「やはり面白いね・・・彼女の術式は。興味がそそられるよ。それだけに・・・実に惜しいね。彼女さえ『もっと早くに死んで』いてくれれば、私も『妥協せずに済んだ』んだがね」

 

「「?」」

 

「ああ、こちらの話だ。気にしないでくれ」

 

傑の言っている意味が理解できず、2人は疑問符を浮かべている。怪しい笑みを浮かべる傑は、黒女(くろめ)との間に起きた出来事を思い返すのであった。

 

 

 

 

呪術廻戦ー呪いを斬るー

 

伍章

往古来今

 

 

 

 

それは、青く輝く青春の先にある、消えることのない苦い思い出。




今話が今年最後の投稿です。

よいお年を!
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