呪術廻戦ー呪いを斬るー   作:先導

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住古来今ー弐ー

私がまだ禪院家の人間になる前・・・4歳の頃・・・あの日の出来事は絶対に忘れないと思う。忘れたくても忘れられないあの失望を。

 

『ほら!お望みのガキ共だ!もういいだろ!さっさと金出してどこへなり行っちまえ!正直、迷惑なんだよ!』

 

家に知らない男がやってきて私たちを買いたいって言いだしてきたんだ。私たちの生みの親はそいつに私たちに向けられたものと同じ嫌悪感を出しながら私たちを差し出した。当時はまだ子供だったから詳しいことはよくわからなかったけど、これだけはわかった。生みの親は私たちを売ったんだと。

 

『・・・ひっでぇ奴だなぁ。お前ら、こいつらと離れて正解だぜ。が、安心しな。俺はこのクズ共とは違う。きっちり面倒見てやるさ』

 

『『・・・っ』』

 

『俺がお前の新しい家族だ』

 

こいつが・・・私たちの親?冗談じゃない・・・!そう思った時・・・

 

『ぶわぁっはっはっはっは!家族だぁ?小僧のくせして笑わせてくれるわ』

 

『『!』』

 

『な、なんだお前⁉』

 

『まぁ、俺も人のことは言えんがな。ん・・・ん・・・ぷはぁー』

 

『おいおい・・・あんたが来るとは聞いてねぇぞ・・・ジジィ』

 

いつの間にか机の上に着物を着込んでお酒を飲んでいる直角髭を生やしたおじいさんが座り込んで話に割り込んできた。

 

『おいそこの。小僧が出した金額の10倍・・・いや50倍はくれてやる。その子娘2人を俺によこせ』

 

『ご、50倍!!?』

 

『あ、あなた・・・!』

 

『はっ!男尊女卑の禪院家の当主様がどういう風の吹き回しだい?』

 

『そのガキ共は俺が最初に目を付けたんだ。それを横からかっさらうのはちと、無粋だと思わんか?』

 

『へいへい。あんたとやり合う気はねぇ。ここは大人しく引き下がるさ』

 

さっきまで私たちを引き取る気満々だった奴は手のひらを返して私たちをおじいさんの元に引き渡した。

 

『なぁに、悪いようにはせんよ』

 

おじいさんは意地の悪い笑みを浮かべながら、髭をいじっている。どっちにしても私たちは売られたという結果には変わりはなかった。そこからだ。私にとっての生き地獄は。

 

男尊女卑。まさに言葉の通りだった。女である私たちは禪院家の男たちにいいように雑用を押し付けられて、下手に逆らえば訓練場という名の禪院家が飼っている呪霊部屋に放り込まれたりもした。その時もずっとお姉ちゃんがいたからまだかわいいレベルだ。でも問題は当主有力候補の当主の息子。私たちが呪霊部屋に送り込まれる最大の原因。

 

躾と表して殴ったり蹴ったりと、好き放題に弄ばれた。その中でも同年代である私は執拗的にやられていた。その度にお姉ちゃんがそいつを殴り飛ばして、一緒に罰を受けたりして・・・そんな日々を繰り返し繰り返しに続いた。

 

私にはその時の痛みが今も残り続けている。高専に行くことになった時だって・・・

 

『聞いたで、黒女(くろめ)ちゃん。高専に行くんやってな?』

 

『・・・・・・』

 

赤女(あかめ)ちゃんと同じ東京校なんやろ?あんたら姉妹がいなくなんのはさみしいわぁ、ほんま。ま、せいぜい頑張ったらええわ』

 

寂しいなんてそんなこと微塵も思ってないくせに、いちいち突っかかってきて・・・

 

ガシッ

 

『・・・今に見とけ・・・ドブネズミが』

 

ギュウウウ・・・!!

 

『当主になるんは俺や!!俺だけだったんや!!それを・・・どこの馬の糞ともわからんような女がでしゃばりおってからに・・・!!』

 

ミシミシ・・・ブシュッ

 

『当主の座は誰にも渡さん!!どんな手を使ってでも!!あのクソ(アマ)の地位を引きずり下ろしたる!!そう伝えとけ!!』

 

 

「・・・はぁ!!」

 

2006年4月

 

入学初日の実習演習を終え、高専へ帰還する車に乗っている黒女(くろめ)は激しく動揺したように眠りから目を覚ます。

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

目を覚ました黒女(くろめ)の呼吸は大きく乱れ、嫌な汗が滴り落ちている。呼吸を整え、何とか冷静さを取り戻した黒女(くろめ)は冷や汗を拭う。

 

「・・・大丈夫ですか?顔色が悪いですよ」

 

「!」

 

隣に座る七海の声に反応し、黒女(くろめ)は彼に視線を向ける。七海は呪術関連の書物を手に持ちつつ、黒女(くろめ)の顔色を窺っている。ちなみに隣に座っている灰原は気持ちよさそうに居眠りをしている。

 

「・・・平気。ちょっと嫌な夢を見ただけ」

 

「・・・ならいいのですが」

 

素っ気ない返答を聞いた七海は彼女を気遣い、事情は聞かずに予習を再開する。平常になった黒女(くろめ)は背中を座席にもたれかかり、お菓子を1つ摘まんで一口齧る。お菓子を一口だけ齧った後、黒女(くろめ)は右肩を左手で撫でるように触れる。

 

(・・・本当に・・・嫌な夢。早く忘れてしまいたいのに・・・)

 

忘れてしまいたいほどの嫌な思い出。だが、どれだけ否定し、忘れようとしても・・・身体に刻まれた痛みは正直で、決して忘れることはない。それを理解している黒女(くろめ)は憂鬱を抱くのであった。

 

 

2006年6月

 

1年生が入学を果たしてからあっという間に2か月の時が流れた。暖かい季節の高専の校舎を七海と灰原が歩いている。

 

「はぁ~・・・来週からテストかぁ・・・。どうしよう・・・」

 

「どうしようも何も、テストに向けて予習復習する以外にないと思いますが」

 

「それはわかってるんだけどさ・・・数式?とか、因数分解?とかいろいろ複雑で頭がこんがらがっちゃうんだ・・・」

 

「灰原は難しく考えすぎです」

 

「はぁ・・・どうして七海も黒女(くろめ)も勉強ができるんだろう・・・」

 

灰原は来週から行われる予定の中間テストに頭を抱えて悩んでいる。お世辞にも灰原は勉学が得意ではない。それどころか3人の中で1番出来が悪いと本人も考えているくらいだ。考えるのが苦手な灰原にとってテストという時間は苦痛以外の何ものでもない。

 

「はぁ~あ~・・・・・・あっ」

 

「どうしました?」

 

黒女(くろめ)赤女(あかめ)さんだ」

 

項垂れる灰原は廊下の窓から運動場にあるベンチに座って何かを話している黒女(くろめ)と彼女の姉である赤女(あかめ)の姿を目撃する。赤女(あかめ)と話している時の黒女(くろめ)の顔は自分たちには見せたことのない笑顔で笑っている。

 

「あの2人、やっぱり仲がいいなー。羨ましいよ」

 

「ええ、そうですね」

 

「う~ん・・・どうしたらあんな風に仲良くできるんだろう?何か秘訣でもあるのかなぁ?」

 

「・・・・・・」

 

実践演習からというもの、2人と黒女(くろめ)との関係は全く進歩していない。というよりかは、黒女(くろめ)赤女(あかめ)に依存しすぎているおかげで依然2人との間に壁があり、付け入る隙がない。それが3人の現在の人間関係の進歩の妨げの原因になっているのだ。

 

(・・・あれは姉に依存しているだけなのか・・・?私には、どうもそれだけではないように見えるが・・・)

 

ただ七海は依存だけが壁になっている全ての原因ではないと考えているようだが、それがなんであるかまではわからない。いや・・・わかったところでどうしろというのか。黒女(くろめ)とは一定の距離を保とうとする七海はあまり深追いはよくないと考えるのだが・・・。

 

「そうだ!赤女(あかめ)さんなら何か秘訣を知ってるかも!ちょっと聞いてみるよ!」

 

「あ!ちょっと灰原!」

 

黒女(くろめ)のことを知りたいと考えている灰原は彼女と仲良くなるために赤女(あかめ)に秘訣を聞こうと運動場へと向かって走っていった。それを見た七海は仕方がないと彼の後を追いかけるのであった。

 

 

運動場にて、黒女(くろめ)赤女(あかめ)と他愛ない世間話などで会話に華を咲かせていた。赤女(あかめ)と話す時の彼女の顔は本当に楽しそうである。口調も淡々としたものではなく、年相応の女の子らしく明るい。これほど楽しそうにしている顔は他の誰にも見せたことがない。

 

「そうだ。喉渇いてないか?飲み物を買ってきてたんだが・・・」

 

「あ!コーラだ!うわぁ~、懐かしい~!飲んでもいいの?」

 

「もちろんだ」

 

黒女(くろめ)は受け取ったコーラの缶を懐かしそうに見つめ、赤女(あかめ)の許可をもらうと蓋を開けて飲んでいく。

 

「それで、どうだ黒女(くろめ)。高専での生活にはもう慣れたか?」

 

「・・・正直、まだ戸惑ってるよ。今までずっと我慢してきたから・・・」

 

「だがもう我慢する必要はないんだ。ここでは禪院家が直接関わってくることはまずない。もう痛みに脅える必要はない。何をするにしても自由だ。もちろん、学校のルールは守らないといけないが」

 

「・・・うん・・・」

 

コーラを半分ほど飲み干した黒女(くろめ)は頬を緩ませながら、高専の校舎を見上げる。

 

「いいところだろう?高専は。過度な雑用を押し付けられることはない。大人げない陰口もない。寮の部屋もとても広い。ご飯もうまい。いいことずくめだ。それから、ここの校舎の屋上から見える景色もまたよくてな。暇さえあれば、ずっとあそこでボーっとしてる」

 

「へぇー。お姉ちゃんがいいって言うんだからきっときれいなんだろうなー」

 

「後で行ってみるといい。私のお気に入りの1つだ。それから・・・」

 

高専について楽しそうに語る赤女(あかめ)につられて黒女(くろめ)は笑みを浮かべている。

 

「お姉ちゃん、すっごく楽しそうだね」

 

「ああ。すごく楽しいぞ。私の狭かった世界が大きく広げられた。そして何より・・・傑や硝子・・・夜蛾先生・・・それから京都校のみんな・・・かけがえのない仲間ができたんだ」

 

「・・・仲間?」

 

「まだ1年しかたっていないが、その1年が私にとって生涯の宝物だとハッキリ言える。だから黒女(くろめ)。お前もこの高専で、お前だけの仲間や宝物を見つけてほしい」

 

「お姉ちゃん・・・」

 

黒女(くろめ)は正面を向き、赤女(あかめ)の主張に少し異議を唱える。

 

「でももうすでに信用の欠片もない生ゴミがいるんだけど・・・」

 

「ああ、確かにあれは粗大ゴミだな。あれは数えなくていい」

 

「おい、俺の存在全否定かよ。俺泣くよ?大声であることないこと叫んで泣いちゃうよ?」

 

「勝手に泣けば?」

 

2人の目の前にはいつの間にか現れた悟がいた。2人の発言にこめかみを引くつかせる悟の隣には傑もいた。

 

「たく・・・お前は相変わらずクソ生意気なガキンチョだな。イミフな会食の時からちっとも変わってねぇ」

 

「そういうあなたはさらにムカつく男になったね」

 

「かーっ!かわいくねぇーなー!このグッドルッキングガイに向かって!俺先輩だよ?ちゃんと先輩ってつけろや」

 

「絶対嫌。近寄らないでキモメン。臭い」

 

「ぷっ・・・」

 

「そこまで言う?」

 

黒女(くろめ)の悟へのものすごい拒絶に傑は思わず吹ている。黒女(くろめ)からボロクソに悪口を叩かれている悟は怒りを通り越して地味にショックを受けている。

 

実を言うと悟と赤女(あかめ)黒女(くろめ)の姉妹は高専入学前に一度会っている。不仲なくせに御三家同士で顔合わせやら会食などで五条家の次期党首である悟は加茂家や禪院家の屋敷に訪れる機会が何度かある。赤女(あかめ)黒女(くろめ)の姉妹のとはその時からの顔見知りである。一目見ただけで圧倒的な威圧感や気迫は今も黒女(くろめ)に記憶し続けている。それに加えて性格に難ありと来た。たった1度とはいえ、その両方で自分たち姉妹を振り回した悟を黒女(くろめ)は毛嫌いしているのだ。ただでさえ性格が悪いのにそこにさらに軽薄さが増したから余計にだ。

 

「日頃の行いの結果だね。悟、これを機に少しは自分を見直したらどうだい?」

 

「言っておくけど五条悟と一緒にいるあなたも同類だから」

 

「えー・・・一緒にいるだけで?」

 

「後胡散臭い」

 

「付け足さないで?」

 

まさか自分にまで飛び火が来るとは思わなかった傑は黒女(くろめ)の発言に少なからずショックを受けている。

 

「仕方ない。傑も悟と似たり寄ったりだからな」

 

「やっぱり!」

 

「何自分は違うみたいに言ってるんだい?赤女(あかめ)も私たちとそう変わらないじゃないか」

 

「そうだそうだ!お前去年の桃鉄パーティの罰ゲームのこと、忘れたとは言わせねぇぞ!」

 

そう言って悟は去年起きた小さな争いの種の原因を語る。

 

 

去年の高専の寮、悟の部屋。

 

『いぇーい!俺が大株主だー!つーわけで最下位のアカ貧乏社長、罰ゲームな。期間限定のスイーツパン買って来いよ。コーヒー牛乳も添えてな』

 

『おい、今からだと店やってないだろ。どうやって買えと言うんだ』

 

『んなもん寝ずに並んでに決まってるでしょ。罰ゲームになんだから』

 

『くそ・・・』

 

『私の分も頼むよ。後硝子の分も』

 

『お前もか』

 

『命令権が悟だけだと誰が言ったんだい?』

 

『・・・お前たち覚えてろ』

 

翌日

 

ふぁってふぃた(買って来た)

 

『ご苦労様、赤女(あかめ)

 

『おっせーよ。後、買ってきましただろ』

 

ふぃました(来ました)

 

『たく・・・ん?』

 

紙袋の中身➡半分食べかけの限定パン+半分飲みかけのコーヒー牛乳

 

『・・・ねぇ。これ半分食べたでしょ?』

 

ふぁべてない(食べてない)

 

『こいつリスみてぇな顔しやがって・・・!』

 

 

悟の口より語られた罰ゲームに赤女(あかめ)は真剣な顔をして言葉を紡ぐ。

 

「・・・1つ弁解させてくれ。私も必死で我慢したさ。だが・・・あまりにもおいしそうだったからつい・・・というかむしろ、半分だけ無事だっただけでも褒めてくれ」

 

「開き直んじゃねーよ!」

 

「褒めてくれってむしろ図々しいにもほどがある」

 

弁解という名の開き直りに2人のその時に静まった怒りが蒸し返り、今にも呪術を放とうとしている。

 

「言っておくけど赤女(あかめ)、あの時のことまだ許してないよ」

 

「つーか許すつもりもねぇよ。楽しみにしてたパンを半分食われた虚しさがわかるか?え?」

 

「昔のことを掘り返すなんて、器が小さいぞ、お前たち」

 

対する赤女(あかめ)は呪力を解放し、2人に迎え撃とうとしている。

 

「うるせー!そもそも原因はお前にあんだよボケ!」

 

「罰ゲームで頼んだものを勝手に食べるなんて話聞いたことないよ?」

 

「お前たちはあの時の寒い夜を経験してないからそんなことが言える」

 

「パン1つで本当にやる奴がいるか!」

 

「・・・・・・」

 

大人げなく呪力を用いた大喧嘩を始めてしまった3人に対し、黒女(くろめ)は何とも言えない顔でジトーと諦観する。

 

「あ!いた!先輩!ちょっと聞きたいことが・・・」

 

「ちょ・・・灰原!今あれに声をかけては・・・」

 

そこへタイミング悪く灰原がやってきて声をかけてきた。七海が灰原を止めようとしたが・・・

 

【チューしようよおお】

 

「邪魔だ!」

 

バキッ!

 

【チューううううううう】

 

ぶっちゅううううううう

 

「ぎゃああああああああ!!!」

 

「「「「あ・・・」」」」

 

傑が召喚した呪霊を赤女(あかめ)が殴り飛ばし、それが灰原に飛んできて彼は呪霊のキスをまともにくらってしまった。これには4人はやってしまったといったような顔をしている。

 

 

「・・・なるほど。それで灰原に怪我を負ってしまったと」

 

その後、騒動を聞きつけた夜蛾が現れ、正座をしている元凶3人に指導という名のげんこつを与えて、3人の言い分を聞こうとする。彼らから離れた場所では七海と黒女(くろめ)がその様子を見ており、硝子が灰原の治療を行っている。

 

「ほい、治ったぞ」

 

「ありがとうございます!いやぁ、ひどい目にあったね、あはは」

 

「何で笑ってるんですか」

 

「同感」

 

ひどい目に遭ったというのに笑っている灰原に七海と黒女(くろめ)は呆れている。

 

「何か弁明があるのならば聞いておこうか」

 

「・・・この2人が悪いです」

 

「「・・・こいつが悪いです」」

 

「おい、この期に及んでまだ言うか」

 

「そりゃこっちのセリフだ。小学生かよ」

 

「先生、反省してますので私だけは許してください」

 

「あ、ずるいぞ傑」

 

「てめぇなに1人だけ助かろうとしてんだ!」

 

3人の責任の押し付け合いに夜蛾は聞くに堪えなかった。

 

「もういい、口を開くな・・・」

 

バキャァ!!

 

「お前たちが全く反省していないということがよくわかった!!」

 

夜蛾は鉄拳で醜い争いをする3人を吹っ飛ばして黙らせた。

 

「お前たち3人は指導室に!逃げるんじゃないぞ!いいな!」

 

3人に制裁を与え指導室送りを宣言した夜蛾は平静になり、1年生3人に顔を向ける。

 

「それから・・・1年。お前たちに新しい任務だ」

 

「「「!」」」

 

任務の話になった途端に1年生3人は気を引きしまった顔つきになる。

 

「正直、今回の任務はお前たちには少々重いものになるやもしれん」

 

「重い?」

 

「依頼は1つ。廃小学校校舎に蔓延る呪霊の討伐だ」

 

「いつもと変わらないように思いますが?」

 

任務目標だけを聞けばいつもの呪霊退治と変わらないように思えるが、夜蛾は黒女(くろめ)の問いかけに対し、3人にある質問をする。

 

「・・・お前たちは・・・人を殺したことがあるか?」

 

「!」

 

夜蛾の問いかけに対し、黒女(くろめ)はピクリと反応する。

 

「ありません」

 

「同じく」

 

灰原は七海は問いかけに答えるが、内容が内容ゆえにひどく淡々と答える。

 

「・・・その問いかけをするということは、怨霊の類ですか?」

 

対して黒女(くろめ)は問いかけには答えず、逆に核心を突くような問いかけをする。その問いに夜蛾は肯定する。

 

「そうだ」

 

「怨霊?」

 

「人間の負の感情によって呪霊が誕生するのは知っての通り。その呪霊にも等級とは別に、生まれ方によって種類が分類される。例えば、特定の病に対する負の感情で生まれる特定疾病呪霊。実在しないものへの負の感情で生まれる仮想怨霊。そして今回の任務の討伐対象は怨霊。人が呪いへと転じた元人間だ」

 

「人が・・・呪いに・・・?」

 

人間が呪いに転じ、呪霊と成ることもあり得る。それを聞かされた灰原は固唾を飲んでいる。

 

「ある時、小学校に現れた1人の男が数名の教員と児童大多数を虐殺したらしい。言葉では言い表せない惨状だそうだ。児童に至っては口で表すのも恐ろしい」

 

「んっ・・・」ゴク・・・

 

「・・・七海、敵対する術師にとどめを刺す際、注意しなければならないこととは何だ?」

 

廃小学校でなぜ怨霊が誕生したのか。その過程を語る前提として人が呪いに転じない方法を夜蛾は七海に問いかける。七海は表情を変えることなく淡々と答える。

 

「人が呪いに転じぬように、必ず呪力を用いて仕留めることです」

 

「その通りだ。呪霊が同じく呪いでしか祓えぬのと同じように、呪いでとどめを刺せば呪霊には転じない。それは非術師でも同じことだ。だがその犯人の男も非術師。呪術を持っていない。その結果、被害者の恨み辛みが募り、怨霊が誕生した。幸い姿を目撃しただけで被害はまだ出ていないようだが、時間の問題。放置すれば一個人に取り憑き、一般社会に影響を及ぼすだろう。そうなる前に、廃小学校の怨霊を取り除くのだ!」

 

改めて夜蛾より任務を託された1年生3人は気を引き絞めた表情になる。

 

 

任務へ向かう準備を整えた3人は高専敷地内の車道で補助監督の車が来るのを待っている。その間、灰原は廃小学校で起こった虐殺事件について非常に嘆いている。

 

「やっぱり許せないよ僕は!虐殺事件の犯人を!」

 

「いつまで言ってるんですか」

 

「だって、人が人を殺すなんて・・・そんなの、人が1番やっちゃいけないことなのに・・・。お父さんやお母さんだって、子供の帰りを待ってるはずなのに・・・それを・・・」

 

「・・・・・・」

 

人のために嘆き、怒る灰原の主張に黒女(くろめ)はお菓子を1つ摘まんで意味ありげに耳を傾けている。

 

「気持ちは理解できなくもないです。しかし、わかっているのでしょう?呪術師をやる以上、早いにしろ遅いにしろ、人を殺さねばならないことを」

 

「・・・それはわかってるけど・・・」

 

「いざ自分の番が回ってきたら、その言い分は通用しなくなります。そうなる前に、腹はくくっておいてください。でなければ、この業界でやっていくことはできませんよ」

 

呪術師を続けるならば人を殺すことを躊躇ってはいけない。それができないなら呪術師は続けられない。七海のその主張に灰原は顔を俯かせる。七海の言うことは間違っていないし、自分が甘いことを言ってるのもわかっている。それでも灰原は殺したくないという気持ちが強かった。

 

「それでも僕は嫌だな・・・」

 

「灰原」

 

「うまくは言えないんだけど・・・それをやっちゃうと僕は僕じゃなくなってしまうような気がするんだ。命の価値がわからなくなって、本当に大事な人の価値までなくなって・・・自分は何のために戦ってるんだろうって・・・そう考えるのが・・・僕は怖い」

 

「灰原・・・」

 

「そんなのただのわがままだよ」

 

灰原の主張に対し、思うところがある七海は複雑な心境を抱えるが、黒女(くろめ)は甘すぎるとして一蹴する。

 

「もし殺さなくてはいけない相手が虐殺犯みたいな悪人だったら?その悪人を見過ごして大事な人が殺されてしまったらどうするわけ?」

 

「うっ・・・」

 

「・・・本当に甘すぎるよ。あなたは呪術師に向いてない」

 

黒女(くろめ)の容赦ない正論に灰原は何も言い返せなかった。

 

黒女(くろめ)さん、言いすぎです」

 

「私は事実を言っただけだけど?」

 

七海は黒女(くろめ)のきつい言動を咎めようとするが、彼女は淡々と言葉を返す。

 

「いいんだよ七海」

 

「ですが・・・」

 

黒女(くろめ)の言ってることは間違ってない」

 

口喧嘩に発展しそうになるところを灰原は止める。苦笑ではあるが、灰原はキツイことを言われても笑みを絶やさなかった。ギスギスした雰囲気の中、補助監督の車が到着する。

 

「すみません、おまたせ・・・どうかしましたか?」

 

「何でもない。行こう」

 

補助監督が戸惑う中、黒女(くろめ)は何でもないと主張し、車に乗り込む。腑に落ちない七海はしかめた表情ながらも車に乗り込み、灰原も乗り込む。3人が乗車したのを確認し、車は目的地である廃小学校に向かって出発する。

 

 

指導室。1年生を乗せた車が発車したところを2年の問題児3人と少しだけ顔を見せている硝子が目撃する。

 

「・・・ギスギスしてんなー、1年ズ」

 

「言わなくてもいいことを黒女(くろめ)が言っちゃうからね。まるで去年の悟みたいだ」

 

「あ?あいつと一緒にすんじゃねーよ。俺の方が親し気あんだろ」

 

「どっこいどっこいだよ」

 

実の妹である黒女(くろめ)の冷たい態度に姉の赤女(あかめ)は申し訳なさそうな顔をしている。

 

「・・・すまない・・・」

 

「いや、赤女(あかめ)が謝ることじゃないさ」

 

「いや、謝らなければいけないことだ。黒女(くろめ)がああいう態度をとるのは、私にも原因がある」

 

「原因?」

 

赤女(あかめ)黒女(くろめ)が心冷たくする原因について語る。

 

「本当ならば黒女(くろめ)は禪院家の総意で京都校に入学する予定だったんだ。それを私が反発し、禪院家の当主、禪院直毘人に異議を申し立てたんだ。そこで直毘人は私や黒女(くろめ)に1つの条件を出したんだ」

 

「条件?」

 

「私が高専に在籍している1年の間、どんな理由や事情があろうとも、互いの接触を禁ずる。それが条件だ」

 

「それだけ?」

 

「ああ。だが禪院家にはある男がいる。そいつは禪院家の腐敗を体現させたような奴で、私や黒女(くろめ)のように余所から来た者は奴にとっては暇つぶしができるおもちゃだ」

 

「俺もクソつまんねぇ会食で見たけど、ひでぇもんだぜ、あいつの怪我。あのパチンカスのクソさ加減がよくわかるもん」

 

2人の言う男が誰のことかはよくわからないが、証言を照らし合わせることで傑は話の詳細が理解できた。

 

「なるほど。話が見えてきたよ。ひどい目に遭うと理解していながら、条件を呑んだんだね」

 

「私は抗議しようと思ったんだ。だが黒女(くろめ)は負けたくないと言って条件を承諾したんだ。そこに強い気迫があったし・・・何より、黒女(くろめ)の意気込みを踏みにじりたくなかったんだ」

 

「条件に勝ってここに来ることができた代わりに得たのが・・・痛みと共に得た心の傷、か」

 

「禪院家で何が起きたのかは私にはわからない。だが、想像に難しくないことであるのは確かだ」

 

「そりゃ大変だろうな。体に受けた傷は治せても、心の傷は反転術式でも治せない」

 

禪院家でできた黒女(くろめ)の心の傷。それを抱える彼女に3人は何も言えないでいる。それに対して悟は特に変わった様子はなく、軽く口を開く。

 

「まぁー、考えてもしょうがないでしょ。それよりも課題終わった後のことを考えよーぜ」

 

「あのなぁ、悟・・・」

 

「だってどうしようもねーだろ。変にでしゃばったところで余計に傷口が開くだけだぜ」

 

「お前は言わなくてもでしゃばるだろ。引っ込め」

 

「いや~ん、ひどぅ~い」

 

「「キッショ」」

 

赤女(あかめ)の辛辣な発言に悟は需要のない茶目っ気たっぷりな態度をとるが、傑と硝子は少し気分が悪くなった。

 

「とはいえ、悟の言うことも間違ってるとも言いがたい。これは禪院家・・・もとい黒女(くろめ)自身の問題だろうからね」

 

「・・・黒女(くろめ)・・・」

 

禪院家で受けた傷によって仲間と寄り添おうことができない妹に赤女(あかめ)は姉として歯がゆい気持ちでいっぱいになっている。

 

 

目的地である廃小学校に辿り着いた1年生3人は今回の討伐対象である怨霊を探しに廊下を歩いている。廊下を歩くたびにギシギシと軋む音が聞こえてきていかにもな雰囲気が出ている。

 

「・・・灰原、大丈夫ですか?」

 

「大丈夫!むしろお化け屋敷を探検してるみたいでワクワクしているよ!」

 

「そうではありません。黒女(くろめ)さんが言ったことです」

 

「・・・呪術師に向いていないって話?」

 

灰原の問いかけに七海は首を縦に頷く。対して灰原は苦笑する。

 

「あれは本当に大丈夫だよ。高専でも言ったけど、黒女(くろめ)の言ったことは間違ってないよ。でも、僕も間違ってるとは思わない。でもそれだけじゃあ筋を通すことができないんだよね。それもわかってるつもりだよ」

 

「・・・・・・」

 

「だから、僕の筋を通すためにも、今よりももっと強くなるよ!」

 

屈託のない笑みで答える灰原に七海は多少なりとも目を見開いている。

 

「・・・十分強いじゃないですか。そんなこと言えるなんて」

 

「そんなことないよ。僕は難しいことを考えるのは得意じゃないから、ただがむしゃらに前に進んでるだけだよ」

 

「・・・私も見習わないとな・・・」

 

灰原の答えに考えさせられるものがあるのか七海は一言呟いた。

 

「ん?何か言った?」

 

「いえ。別に」

 

しばらく歩いていると、先行していた黒女(くろめ)が足を止める。

 

「?黒女(くろめ)?」

 

「来たよ」

 

黒女(くろめ)の言葉で前方の曲がり角をよく目を凝らしてみる。すると曲がり角から手が現れ、にょろにょろした三つ目もを持った呪霊がひょっこり現れる。

 

【あそ・・・び・・・ましょ・・・】

 

「出たな呪霊!やっつけてやる!」

 

「また迂闊に・・・!」

 

呪霊を見るや否や、灰原は剣の呪具を構え、三つ目の呪霊に向かって突っ込んでいく。七海が止めに入ろうとすると、廊下の壁をすり抜けてきた数体の小鬼のような呪霊が灰原に襲い掛かる。

 

「灰原!」

 

ザンッ!

 

小鬼の呪霊が攻撃を仕掛けようとした瞬間、黒女(くろめ)が素早く刀を抜き、小鬼の呪霊を全て斬り裂いた。灰原は三つ目の呪霊が放った触手攻撃を剣で切り裂き、勢いをつけた斬撃を放って呪霊を真っ二つに両断する。

 

「よし!」

 

「ふぅ・・・」

 

呪霊を倒し、ガッツポーズを取る灰原とは別に、七海は安堵から一息つく。

 

「これが例の怨霊かな?」

 

「うんん。今のは普通の呪霊。本命はまだ別にいる」

 

「そっか。じゃあ早く探し出して倒しちゃおう!」

 

「灰原・・・もう少し緊張感をもって・・・」

 

無鉄砲な灰原に注意を促そうとする七海は途中で口を止める。

 

「?七海?」

 

「何か聞こえませんか?」

 

七海に言われて2人は耳を澄ましてみる。

 

クスクス・・・クスクス・・・

 

すると、どこからともなく不気味な笑い声が聞こえてきた。

 

「!笑い声・・・」

 

「呪霊は知恵をつけた時、狡猾な罠を貼ることもあります。十分な警戒を・・・」

 

七海が2人に警戒を促すと、黒女(くろめ)は先行して前へ進もうとする。

 

「!黒女(くろめ)さん!」

 

「ちんたらやってたら早く終わるものも終わらない。私が先行する」

 

そう言って黒女(くろめ)は七海の警告を無視して先へと進んでいった。

 

黒女(くろめ)さん!1人で行動は・・・」

 

七海が黒女(くろめ)を引き留めようと前に出た時、天井より呪霊がすり抜け、行く手を阻む。

 

「ちぃ!」

 

呪霊の放った蹴りに七海は咄嗟に転がって躱し、腰の鉈を抜き取り、呪霊の胴体を切り裂いた。しかしそれと同時に天井より呪霊が何体も現れ、2人を覆い囲む。

 

「うわ・・・囲まれちゃった・・・」

 

「・・・クソ・・・今日は厄日か・・・」

 

連帯感がない行動をする黒女(くろめ)や意気込みはいいが猪突猛進な灰原を見なければいけない責任感、さらにわらわらと群がってくる呪霊集団を見て、七海は毒づくのであった。

 

 

一方、1人でサクサクと先へと進んでいく黒女(くろめ)はより強力な呪力が感じられる部屋へと目指している。先へ先へと進んでいくと、その先では陣形を組んで行く手を阻んでいる呪霊がいた。

 

(・・・集団で組むっていう知恵はついてるみたいだけど・・・)

 

目の前の呪霊の集団を見て黒女(くろめ)は刀を抜く。

 

「・・・邪魔!」

 

黒女(くろめ)は刀を構え、呪霊の群れに突っ込んでいった。どれだけいようと関係ない。自分の前に立ちふさがるのならば、斬るのみ。

 

 

私の味方はお姉ちゃんだけ。

 

黒女(くろめ)・・・やっぱり今回のこと・・・』

 

『いいの。私のことは心配しないで。お姉ちゃんは高専に行ってきて』

 

『だが直哉は・・・』

 

『お姉ちゃんはいつか絶対に禪院家の当主になる。こんなことに耐えられないようじゃ、お姉ちゃんの隣には立てない。だから・・・ね?』

 

黒女(くろめ)・・・私は絶対にこの禪院家を何とかしてみせる・・・絶対に・・・絶対にだ』

 

『うん・・・いつまでも待ってる』

 

私は、お姉ちゃんと一緒にいられればそれでいい。

 

『言ってもうたな、赤女(あかめ)ちゃん』

 

『・・・・・・』

 

『で、さっきおもろい話してたなぁ。当主が・・・なんやって?』

 

そのためなら、痛いのも辛いのも我慢できる。

 

『聞いたか?あの呪詛師の話』

 

『ああ。処刑だのなんだのという話だろ』

 

『まったくもって不気味なことだ』

 

『好き好んで近づく奴など、直哉くらいだろう』

 

誰も私を見ようとしない。誰も私を助けてはくれない。

 

お姉ちゃんだけが私を見てくれる。お姉ちゃんだけが私を助けてくれる。そんな優しいお姉ちゃんだから、私はお姉ちゃんの力になりたい。

 

他の奴なんて・・・どうだっていい。

 

仲間なんて・・・いらない。

 

 

黒女(くろめ)は集団の呪霊をものともせず、バタバタと薙ぎ払い、そして最後の1体も刀で斬り祓った。ただ、不自然にも連携の取れた呪霊の猛攻に加え、1人で数えきれない呪霊をさばいたのだ。彼女の顔色に疲労が募っている。

 

「はあ・・・はあ・・・はあ・・・」

 

クスクス・・・クスクス・・・

 

「!」

 

黒女(くろめ)が息を整えていると、彼女の目の前に微妙にウサギとは言えないようなファンシーな見た目の小さなぬいぐるみがそこにちょこんと座り込んでいた。不気味な笑い声もこのぬいぐるみから発している。だがこのぬいぐるみはただのぬいぐるみ・・・いやそもそもぬいぐるみと呼ぶにも不釣り合いな呪力が秘められている。

 

【クスクス・・・クスクス・・・】

 

(この呪力量・・・間違いない・・・こいつだ)

 

黒女(くろめ)はぬいぐるみに帯びている呪力によって、目の前のこれが本命の怨霊であるということを理解した。ぬいぐるみ・・・もとい怨霊が両手を上げると、ポンッと花形の大きなジャムクッキーが複数出現する。だがジャムクッキーの花柄が変形し、鋭利な刃物のように鋭くなった。怨霊は呪力で合図を出し、刃と化したジャムクッキーを黒女(くろめ)に放った。黒女(くろめ)はジャムクッキーの刃を跳躍して躱す。ジャムクッキーの刃は廊下を抉るほどに鋭い切れ味を誇っている。

 

「あんなお菓子、食べられそうにないや」

 

【クスクス・・・】

 

怨霊が軽くジャンプすると床から槍のように鋭いポッキーが出現し、黒女(くろめ)を串刺しにしようとする。対する黒女(くろめ)は刀を振るって迫ってきたポッキー槍をへし折る。だがまだポッキー槍は迫ってくる。黒女(くろめ)空中回転して態勢を整え、目の前の壁を蹴ってポッキー槍を躱し、その勢いで怨霊に迫り、斬撃を放つ。

 

ザンッ!!

 

怨霊は斬撃をまともにくらい、地面に転がる。

 

「食べれないお菓子なんてお菓子じゃない」

 

そう言って黒女(くろめ)は持ってきたお菓子を1つ摘まむ。その直後、またも複数体の呪霊が現れ、黒女(くろめ)に迫ろうとする。

 

「また雑魚呪霊・・・何体いるんだよ・・・」

 

黒女(くろめ)は呪霊の群れに視線を向け、刀を抜こうとする。すると、倒れた怨霊から凄まじい呪力が溢れ出てくる。それを感じ取った黒女(くろめ)はハッと目を見開き、後ろを振り向く。そこには宙に浮き、不気味な笑みを浮かべている怨霊がいた。

 

【ここは先生にとってぇ・・・大事な場所ぉ~・・・。先生の居場所をぉ~・・・】

 

怨霊は言葉を紡いでいき、口を開いた。すると・・・

 

ニュッ・・・ズオオオオオオオオオ!!!

 

「!!」

 

【踏みにじるななななななああああああああ!!!!!】

 

怨霊の口より蛇や鰻のようにとてつもなく長く、巨大な体を持ったメルヘンチックに寄せた顔を持った恐ろしい生物が現れた。驚愕する黒女(くろめ)に恐ろしい生物の大きな口が迫りくる。

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