呪術廻戦ー呪いを斬るー   作:先導

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作戦会議

2006年8月

 

険しい山の中。その山道を額に縫い目のある黒髪の女性、老婆、前髪に薄紫のメッシュが入ったポニーテールの少女が歩いている。

 

「さて、今日から仕事にあたってもらうわけだけど、傭兵が何人か同行するから、仲良くね」

 

「ふんっ、他の傭兵を雇い入れるとはね。いったいどこにそんなコネクションがあるんだか」

 

「知らない方が身のためだよ、おばあちゃん」

 

「また年寄り扱いかい。礼儀がなってないねぇ。ワシが若くて美しかった頃は・・・」

 

年寄りを労わろうとしない女性の態度に老婆は説教を交えつつ自慢話をしようとする。そんな中メッシュの少女はじっと女性を観察する。

 

(・・・この人から殺気はないけど・・・そこが逆に恐ろしい・・・。堂々と私たちの拠点に入り込み、依頼を申し出てきたふてぶてしさ・・・。本当に不気味な女・・・。いや・・・そもそもこいつは本当に人間なのか・・・?)

 

少女は女性から滲み出ている不気味さを感じ取り、冷や汗をかいている。

 

「雑談はこれまで。着いたよ」

 

しばらく歩いていると、3人は木の枝に括り付けてある布の目印を発見する。目的地に辿り着いたと判断し、3人は森のさらに奥へと入っていく。すると森の奥より女性が雇ったとされる傭兵たちが出迎える。ただ彼らの顔は嘲笑しており、老婆たちを完全になめている。

 

「おいおい、この女たちと組むのか」

 

「本当に凄腕なのかよ」

 

「もしかして寝技タイプなのか?」

 

「だったら試してみてぇなぁ」

 

(典型的なやられ台詞・・・)

 

男の傭兵たちの発言を聞いて女性はこいつらは期待できないなと心の中で思った。

 

「しかしババアは何のためにいるんだ?炊事係か?」

 

「ババアじゃないよ。ババラって名前さ」

 

先ほどまで嘲笑していた傭兵たちは老婆の名を聞いた瞬間に、驚愕に満ちた顔になる。

 

「!待て・・・ババラって・・・ババラ・オールベルグ?」

 

「暗殺結社の・・・」

 

 

「うむ。オールベルグの御意見番じゃぞ。誰か殺して証明してやろうか?」

 

 

ぞわ・・・

 

老婆、ババラ・オールベルグから放たれる強い殺気に傭兵たちは気圧され、後退る。

 

「い・・・いや・・・この殺気だけで十分だ・・・悪かった・・・」

 

「まさか実物を見るとは・・・」

 

自分たちの軽率さを反省している傭兵たちにババラは少女を軽く紹介しつつ、警告を言い放つ。

 

「そこのタエコは我がオールベルグが赤ん坊の頃から育てた暗殺者じゃ。ヘタに刺激しない方がいいぞい」

 

「・・・・・・」ゴクンッ

 

少女、タエコに潜んでいる威圧感を感じ取ったのか傭兵たちは固唾を飲んでいる。

 

「さて、ババアの話は置いといて、そろそろ仕事の話といこうか」

 

「今ババアって言わなかったかい?」

 

いらぬ発言をしてババラを怒らせている自分たちの雇い主である女性を傭兵たちはじっと見つめる。

 

(今回の雇い主はただの一般人に見えるが・・・底が見えない。いったい何者なんだ・・・?)

 

傭兵たちは暗殺結社オールベルグまで雇い入れてみせた女性の正体について勘ぐっている。その際に女性にちらっと見られ、得体のしれない寒気を感じ取った。

 

「俺たちは・・・」

 

「その恰好を見るに、傭兵部隊の天狗党だろ」

 

「ああ」

 

「俺たちだけじゃなく伝説のオールベルグまで依頼を出すとは・・・今回の敵はそこまでヤバいのか」

 

「ご理解いただけて、何より」

 

「・・・気を引き締めていかないとねぇ」

 

今回の敵は相当危険だとわかった傭兵部隊、天狗党とババラたちは暗殺者として気を引き締め直した。

 

「で?標的の居場所は?」

 

「・・・それはね・・・」

 

女性は今回のターゲットとなる相手の行き先をここにいる全員に伝えるのであった。

 

 

東京の駅前のチケット売り場。

 

「・・・どう考えても、私たちはいらないでしょう」

 

「そう言うな。来年に向けての予行練習だと思ってくれ」

 

七海は少しこめかみをひくひくさせながら文句を言っている。彼が文句を言っている相手は問題児だが最強の3人、悟、赤女(あかめ)、傑であった。

 

「なーに?言いぐさ?俺ら3人だけで十分なところをお前らも誘ってやったっつーのによぉ」

 

「悟。・・・突然のことですまないね。戸惑っただろう?」

 

「いえ!先輩の役に立てるなんて、自分、感激です!」

 

「お姉ちゃんと一緒ならなんだっていい」

 

「2人ともブレないね」

 

どこまでも元気な灰原とブレないお姉ちゃんっ子の黒女(くろめ)に傑は苦笑する。

 

「というか、今年は結構早い時期にやるんですね。交流会」

 

「ま、そういうこともあるだろうさ」

 

高専の恒例行事である東京・京都姉妹交流会。それは東京校ともう1つの高専、京都校が2日間の間で行われる殺す以外なら何でもありの呪術合戦。競技内容用は東京校、京都校、それぞれの学長が提案した勝負方法が1日に1つずつ行われるのだが、それは建前で初日に団体戦、2日目に個人戦と毎年決まっているのだ。

 

その交流会の開催日は本来であれば呪術師の繁忙期が落ち着く9月の下旬に行われるのだが、今年はなぜか8月上旬に行われることになった。理由は不明。だがそんなことは学生にとっては些細なことだ。

 

「ふーん。でも意外だなぁ。今年は京都校でやるなんて」

 

黒女(くろめ)の関心は開催日よりも開催地に向けられていた。交流会は前年の交流会に勝利した側の高専で行われるのだが、今年は京都でやることになっている。つまりは去年東京校は負けているということだ。

 

「去年私たちは参加しなかったんだ。人数も揃ってたし」

 

「ま、俺らが参加してたら勝ち確だっただろーけどな」

 

交流会は本来であれば2、3年メインのイベント。去年の交流会では悟たち3人は不参加だったのだ。だから本来であれば1年は不参加だったのだが、3年は現在遠征帰りで負傷を追っているためにとてもではないが交流会には参加できる状態ではなかった。そこで人数合わせとして白羽の矢が立ったのが、七海、黒女(くろめ)、灰原の3人なのである。人数合わせならば、1年でも問題なく交流会に参加できるのだ。

 

「おらー、いつまでもぺちゃくちゃしゃべんなー。とっと行くぞー」

 

「なんで硝子先輩まで来るんですか?不参加ですよね?」

 

「治療役員だからだが?」

 

「反転術式が使えるのは硝子だけだからな」

 

呑気にしゃべっている6人を軽く急かしてくるのは今回の交流会の治療役員の硝子である。硝子は6人と違って戦闘員ではないため交流会には参加しないが、治療ができる反転術式を持っているため治療役員として抜擢されて同行が許されているのだ。

 

「ああ、そろそろ乗車の時間か。今行くよー」

 

「僕京都に行くの初めてだよ!どんなところかな?」

 

「あんまいいとこじゃないよ。禪院家もクソ五条家もあるんだから」

 

「それは確かに、穏やかじゃないですね」

 

「そっかー」

 

「ねぇ、今俺の実家ディスったよね?そうだよね?」

 

ワイワイと楽しそうに話しながら一同は京都行きの新幹線に向かって歩き始めた。そんな中、赤女(あかめ)は人混みの中で怪しい気配を感じ取り、一瞬ながら目を細めた。

 

「・・・傑」

 

「ん?」

 

「・・・団体戦が終わったら、京都の街を見に行こう。京都の名産を食い尽くすんだ」

 

昨日も一昨日も言っていた会話内容。いったい何を今さら・・・と思っていた時、傑は彼女の意図に気がつき、目線をちらっと背後に向ける。

 

「・・・はは。そうだね。行くとしたらまずは甘味かな。じゃないと悟が拗ねそうだ」

 

「やっぱり八つ橋からか?」

 

「だろうね。八つ橋はおいしいからね」

 

赤女(あかめ)と傑は笑いながら京都の話で盛り上がり、新幹線に乗車していった。すると人混みから何人かの男たちが出てきた。傭兵部隊、天狗党の傭兵たちだ。天狗党の傭兵たちは傑たちに気付かれないように、後をつけるように新幹線に乗り込もうとする。

 

ガシッ!グイッ!

 

「「「どわあああああああ!!??」」」

 

「おお!!?なんだなんだ⁉」

 

「やだ、何この人たち?」

 

「プーッ、ダサー。転んでやんの」

 

そこへ傭兵たちの足元に呪霊の手が現れ、彼らの足を掴み、引っ張って無理やり転ばせた。呪霊が見えない一般人(そもそも見えないように調整されていた)たちは彼らに驚き、それぞれの反応を示している。同時に、新幹線の扉が閉まり、発車していった。新幹線に乗っている傑はしてやったりといったような笑みを浮かべている。

 

「・・・ちっ・・・」

 

尾行に失敗してしまった傭兵たちは次の一手のために動き出した。

 

 

高専東京校の一同を乗せた新幹線は京都に向かって真っすぐ走っている。

 

「うぇーい!ビンゴ―!俺一抜けなー!」

 

「ずるっ!絶体六眼使ったでしょ!」

 

「使ってませんー、言いがかりですー」

 

「悟、大人げない煽りはよしな」

 

「ほら!次は黒女(くろめ)の番だよ!」

 

「硝子、ここでは吸うなよ?」

 

「さすがに吸わねーよ」

 

(・・・騒がしい・・・)

 

新幹線の移動の中、悟と傑は黒女(くろめ)と灰原とでトランプ、赤女(あかめ)は硝子と雑談をして盛り上がっている。そんな中で1人読書をする七海はあまりの騒がしさに少しイラついている。

 

「皇拳寺のみんなに会うのは久しぶりだな。どれくらいぶりになるんだ?」

 

「んー、クリスマスくらいの時期だったかな?」

 

「ああ。だいたいそのくらいだよ」

 

皇拳寺という聞きなれない単語に灰原は手を上げて質問する。

 

「はい!先輩質問です!皇拳寺って何ですか⁉」

 

「灰原にとっては知っておいて損はない場所だ」

 

赤女(あかめ)の言葉に続き、傑が灰原の質問に答える。

 

「皇拳寺。後天的に得られる呪術、シン・陰流と並ぶ有名な呪術寺のことだよ。才能がない呪術師からすれば、あそこは注目の的さ。何せ、『術式を使わず呪具と武術で呪いを祓う』をモットーにしているからね」

 

「へぇ~・・・」

 

「今日会う京都校の生徒はその皇拳寺の門下生の中で実力が認められた選抜組のメンバーだ。油断していると痛い目を見るぞ」

 

皇拳寺のエリートが交流会の相手だと知り、灰原はワクワクしたような顔つきになり、七海と黒女(くろめ)は気を引き締めるような顔になる。

 

「まー、気にするほどのことでもないでしょ。俺、最強だし」

 

だが悟の余計な一言で張り詰めた空気が台無しになる。灰原以外の全員悟に向けて白けたような目線を送る。

 

「・・・あ?何?」

 

「悟。それはさすがに相手に失礼だよ。彼らだって頑張ってるんだから」

 

「どうしてお前はそう空気の読めない発言ばかりするんだ」

 

「だって事実なんだしー?」

 

「私やっぱこいつ嫌い」

 

わちゃわちゃとした空気の中、新幹線は順調に京都駅へと向かっている。

 

そんな快適な列車旅を阻もうとする輩がいる。それは天狗党の傭兵たちだ。彼らは鉄道橋がよく見える地点でスナイパーライフルを構えて狙撃態勢に入っている。新幹線が鉄道橋に差し掛かったところで狙い撃ちにするつもりなのだ。

 

「襲撃には持って来いのポイントだねぇ」

 

傭兵たちの最後方にはババラとタエコも控えている。襲撃の準備も整えられている。

 

尤も、その不穏な空気を最強の3人は乗車の時点で感じ取っていたため、対策は万全である。

 

「たくっ、わーったよ。弱い奴に気ぃ遣うのは疲れるねー」

 

「悟」

 

「はいはい」

 

一同に批難の目を向けられている悟は不貞腐れるように顔を逸らし、窓の外の景色を眺める。その最中、彼はサングラスを少しずらし、美しく輝く青い瞳を露見する。

 

「・・・うし!第二回戦やるかー!赤女(あかめ)と硝子、七海はさっさと準備しろ―」

 

「えぇー」

 

「私たちもやるのか」

 

「なぜ私まで」

 

トランプ第二回戦をやると言い出した悟だが、赤女(あかめ)と硝子、七海はあまり乗り気じゃない様子である。

 

「傑―」

 

「ん?」

 

「俺のバック上にあるんだわ。取ってくんね?」

 

「やれやれ・・・それくらい自分で取りな」

 

傑は文句を言いつつも言われた通りに悟のバックを取る。ただ傑には理解している。悟の言葉には裏があることを。互いを信頼しているからこそ成せる意志疎通だ。

 

 

この裏取りが何を意味しているか、すぐに答えが現れる。新幹線が鉄道橋に差し掛かったところ、傭兵たちが狙いを定め、引き金を引こうとした時・・・

 

ズズズ・・・カサカサカサ!

 

「うわあああああああああ!!!」

 

「じゅ・・・呪霊!!?」

 

「敵襲だーーー!!!」

 

傭兵たちの足元よりムカデ型の呪霊がカサカサと嫌な音を立てながら傭兵たちに襲い掛かる。ちょうど鉄道橋に差し掛かった鉄道のてっぺんには呪霊の目玉がうっすらと出ていた。その視線はムカデ呪霊に襲われている傭兵たちに向けられていた。

 

「この騒ぎ・・・もう気づかれて・・・」

 

「思ったより早く仕掛けてきたか」

 

ターゲットが何かしらの行動を起こすだろうとは予想はしていたようだが、その予想より早く仕掛けてきたためにババラとタエコは多少なりとも驚いている。

 

カサカサカサ!

 

「くそ!こいつらいい加減・・・!」

 

グラグラグラ・・・ドオオオオン!!

 

「「「うわああああああああ!!!」」」

 

傭兵たちがムカデ呪霊に気をとられていると、地面が揺れ始め、そこから単眼の巨人呪霊が現れ、傭兵たちを薙ぎ倒していく。

 

「くっ・・・!位置取りを誤ったか・・・!」

 

次々と倒れていく傭兵たちを最後方で見ていたタエコは劣勢を巻き返そうとして加勢に向かおうとする。

 

パァン!

 

「ちょい待ちな!」

 

「っ⁉」

 

しかし冷静なババラはタエコのお尻を叩き、彼女を制した。

 

「逆さ。ワシらは最後尾で逆によかったのさ。天狗党の奴ら、すごい勢いでやられてるよ!」

 

「・・・!」

 

「呪霊がさらに増える前に、ここはいったん退く!」

 

「・・・了解」

 

自分たちが呪霊にやられる前にババラは撤退する。状況を理解できたタエコもババラに従って撤退するのであった。

 

 

新幹線の中。傑はいったん席を外し、今回の交流会に同行する夜蛾を別車両に連れて行き、何かを報告している。

 

「・・・それは本当か?」

 

「はい。悟と赤女(あかめ)が目撃しました。今私の呪霊が取り押さえているところです」

 

「ふむ・・・すぐに手の空いている術師を派遣しよう」

 

報告内容は自分たちを付け狙う物好きな不審人物・・・つまり天狗党の傭兵たちのことである。そして新幹線の外で傭兵たちを転ばせた呪霊も、狙撃手たちを呪霊で薙ぎ倒した呪霊も、全ては傑の術式によって召喚された呪霊なのである。

 

「何が目的かは知りませんが、彼らは明らかに私たちを狙っていました。京都校にも結界がある以上、さすがに交流会の最中に仕掛けてくるとは思えませんが・・・」

 

「・・・・・・」

 

傑の報告を聞いて夜蛾は腕を組んで思案する顔つきになる。

 

「・・・この件は学長たちに報告しておく。後のことは俺たちに任せておけ」

 

「お願いします」

 

後のことは夜蛾や他の術師たちに任せ、傑は悟たちの元へ戻ろうとする。と、ここで彼は立ち止まってにこやかな笑みを浮かべて振り返る。

 

「あ、そうそう夜蛾先生」

 

「なんだ?」

 

「次期学長になるからって浮かれるのはいいですが、その剃り込みはやめた方がいいですよ。年下に怖がられやすい」

 

「・・・早く戻れ・・・(怒)」

 

傑は一言余計なことを言ってせっせと戻っていく。いらぬことを指摘された夜蛾は怒りが沸き上がり、こめかみをひくひくと引きつらせるのであった。

 

 

呪霊の襲撃より逃げ果せることができたババラとタエコは森の中の使われていない小屋に身を潜める。

 

「ふー・・・ここまで来れば大丈夫じゃろ」

 

「・・・あれはどう見ても自然発生したものじゃなかった」

 

「呪霊は基本生まれた場所から留まるものだからねぇ。となると考えられるのは・・・」

 

「・・・呪霊操術」

 

「使い手も相当手馴れだね。天狗党の奴らもほぼ全滅さ」

 

「・・・天狗党の人たちには悪いことをした」

 

「あいつらも決して弱かったわけではないと思うけどね・・・」

 

「情報通りってところか・・・」

 

天狗党の傭兵たちが呪霊にあっさりやられたことにより、今回の仕事が一筋縄ではいかないものであると2人は改めて実感する。

 

(天狗党をあっさり倒すほどの手練れ・・・。まったく、とんでもない追加条件を出されたものだね・・・)

 

ババラは思案顔で依頼主である女性との任務の説明を振り返る。

 

 

『これが私が集めた現在高専に所属する東京校の学生たちだ』

 

女性は自分が集めた高専の学生名簿を今回の任務の参加者に見せる。

 

『君たちのお仕事はその名簿にチェックを入れている奴を仕留めて遺体を持って帰ってくること。簡単だろう?」

 

『い・・・遺体を持って帰る・・・?』

 

『遺体をどうする気だ?』

 

『君たちが知る必要はないよ。ただ黙って私の言うことに従っていればいい』

 

遺体をどうするのかと問いかける天狗党の傭兵たちを睨む女性の表情はどこか冷たいものを感じさせ、彼らは冷や汗をかく。

 

『チェックが入ってない奴らも、殺して構わないんだね?』

 

『いいけど・・・あまりオススメはできない』

 

『?』

 

『他の連中ならまだどうにかなるけど・・・五条悟がいる』

 

『・・・例の無下限呪術と六眼の抱き合わせのガキかい』

 

『まだ覚醒の段階には入ってはいないものの、あれは十分な化け物さ。現に奴が生まれる前まで活発だった呪詛師が大人しくなってるんだ。それに、五条悟の隣にいる女の特級術師の術式も未知数なんだ。最悪の場合、ここにいる全員が全滅なんてこともありうる』

 

『そんなことを恐れていては商売あがったりだよ。だが職業柄、生き残るためにはそういう臆病さも大事なのも事実。善処はするよ』

 

『頼もしい限りだね。ああ、そうそう、最後に・・・』

 

女性は名簿の写真を1枚取り出し、1つ補足を付け足す。

 

『夏油傑。間違っても彼だけはまだ殺しちゃダメだよ。彼は呪霊操術の使い手だ』

 

ザワッ・・・!

 

『なんと・・・あれを使う奴がいたのかい?』

 

『彼もまた特級呪術師の1人だ。特級呪霊はもちろんのこと、数多の呪霊を取り込んでるはずだ。彼が死んでしまったら、取り込んだ呪霊がどうなるかなんて、言うまでもないでしょ?もし夏油傑と戦うことになったとしても、気絶させる程度だけにしてもらいたい』

 

 

(・・・まぁいい。特級と言ってもまだまだ子供。五条のガキにだって遅れは取らない。若い者同士なら、うちのタエコに勝てる奴はいないさね)

 

無理難題ともいえる注文に対し、ババラは自分たち・・・特にタエコの実力に絶対の自信を持っており、任務に支障はないと判断する。

 

「奴らが京都に行くこと自体はわかってるんだ。そこで何をしているのか、若い衆に調べさせる。それまでワシらは待機だよ」

 

「了解。今度はこちらが仕掛ける番だ」

 

充分な休息を終えたババラとタエコは東京校の生徒たちが向かった京都へと自分たちも赴く準備を進めるのであった。

 

 

目的の京都駅に辿り着いた東京校一同は新幹線を降り、京都の高専へと向かって行く。彼らは現在、京都の高専へと続く山道を歩き、京都の高専の校舎を発見する。

 

「あれが・・・」

 

「ああ。あれがもう1つの高専・・・京都府立呪術高等専門学校」

 

京都の高専へと向かって歩いている中、黒女(くろめ)は何とも言えないような顔をしている。

 

「?どうしたの黒女(くろめ)?」

 

「いや・・・本当ならここに通ってたはずだから、なんか複雑な気分」

 

「ここは嫌と言っていたのに何を言ってるんですか」

 

「そうだけどさぁ・・・」

 

「・・・・・・」

 

どうやら禪院家が勝手に決めた進路先であるこの京都校に対して思うところがあったようだ。妹の心情を察した赤女(あかめ)は少し心配そうな顔をしている。そうしている間にも、一同は京都校の正門前まで辿り着いた。正門前で悟は見知った顔を見つけ、ニヤリと笑う。

 

「やっほー、歌姫~。来たよ~」

 

「巫女服、似合ってるぞ歌姫」

 

「お久しぶりです、歌姫先輩」

 

最強3人に声をかけられた黒髪の巫女服の女性は3人・・・特に悟の顔を見て心底嫌そうな顔つきになる。

 

「げっ・・・五条率いるクズトリオ・・・!」

 

呪術高専2級術師 京都校引率、庵歌姫。

 

「げっ、て何よげっ、て。久しぶりに会ってそれはねーだろ」

 

「そんな露骨な態度は傷つくぞ歌姫」

 

「そーだそーだ!謝れ謝れ!!」

 

「お前ら!!私の方が先輩なんだよ!!!」

 

「悟、赤女(あかめ)、あまり歌姫先輩をイジメてやるな。あの人も右も左もわからないわびしい中で教師として頑張ってるんだ。ちょっとは背中を押してやろうじゃないか」

 

「お前が1番歌姫を煽っているだろう?」

 

「あ」

 

「夏油!!あんたねぇ!!!」

 

3人がかりでいじめにかかってくる最強・・・もといクズトリオに歌姫は怒り心頭である。

 

「お前ら、その辺にしとけー」

 

「!硝子!!」

 

「災難ですね、歌姫先輩」

 

「硝子~~~~!!!」

 

クズトリオの後ろから硝子が現れた時、歌姫の顔は明るくなり、大泣きしながら彼女に抱きつく。

 

「硝子!あんただけよ、私の味方は~!!」

 

「ははは。そういえばチェルシー先輩はいないんですね。てっきり一緒に教師やってると思ってたのに」

 

硝子の疑問に歌姫はすっと涙を引っ込め、彼女を抱いたまま答える。

 

「あー・・・柄じゃないって言われて断られたわ。まったく、教え上手のくせして何言ってんだか」

 

「なるほど。それでイライラしていたわけか」

 

「2人は特に仲がよかったからねぇ。離れ離れになってきっと寂しいのさ」

 

「やーねー、それで俺たちに八つ当たりなんて・・・大人げないよー?」

 

「イライラしてんのはお前らのせいだよ!!!!」

 

ヒソヒソと話すクズトリオの的外れな会話を聞いて歌姫はさらに怒りがヒートアップする。

 

「先輩たち、あの先生と仲がいいね!」

 

「いえ、あれは仲がいいのとは違うでしょう」

 

(お姉ちゃんがめちゃくちゃ生き生きしてる・・・)

 

歌姫とわちゃわちゃしている先輩たちを見て灰原は率直な感想を述べる。対し七海は少し呆れ、黒女(くろめ)は歌姫をいじって生き生きしてる姉を見て少々困惑気味である。

 

「はぁ・・・はぁ・・・みんな急いで!夏油君たちもう来てるよ!」

 

「もう!(がい)が寝坊なんてするからよ!」

 

「あっ⁉お前だって寝坊しただろうが!お前には言われたくねーぞ!」

 

「ほら2人とも、喧嘩しない!」

 

「・・・おい、なんて言ってたら、来たぞ」

 

2年生が歌姫いじりで盛り上がっていると、京都に所属する高専生、2、3年がやってきた。時間に慌てて走っている者や、マイペースに歩いているのとで分かれている。

 

「遅いわよあんたたち!集合時間はとっくに過ぎてるわよ!」

 

「す、すみません、歌姫せんぱ・・・先生!みんなもごめんね、待たせちゃって・・・」

 

遅れて1番に謝罪の言葉を述べたのは薄茶色の短髪少女だ。

 

呪術高専京都校2年 六道筑紫(つくし) キルナンバー6

 

「いや。歌姫をいじってたからそこまで待ってない」

 

「いじるな!!!」

 

「おーおー、雑魚共が仲良くお揃いで。俺らに負ける作戦でも立ててたかー?」

 

「何をぅ!!?誰が雑魚ですって!!?そう呼んでいいのはチーフだけよ!!」

 

悟の煽りに強く憤慨しているのはオレンジ髪のポニーテールの少女だ。

 

呪術高専京都校2年 六道ポニィ キルナンバー4

 

「悟、あまり煽ってやるな。それより遅かったじゃないか。もしかして、寝坊でもしてたのかい?」

 

「ギクゥ!!」

 

「おい、何で俺を見ながら言いやがるんだ」

 

傑の視線と言動に反応しているのは6人の中で特に大柄で筋肉質な肉体と顎に傷跡を持った茶髪の男だ。

 

呪術高専京都校3年 六道(がい) キルナンバー2

 

「いや?誰も・・・街の博打で金を費やしたり尻軽な女性と夜遊びをして寝坊したなんて、一言も言ってないよ?」

 

(くぅあああ~~~~!!!全部わかってて言いやがったぁ!!!性格わりぃ~~!!)

 

涼しい顔で寝坊の原因を全て言い明かした外道、傑に対し、(がい)は頭を抱えそうな悲痛な顔になる。

 

「いいかい(がい)、バカ正直な奴ほどバカを見ることになる。もっと頭を使わないと。私の言うとおりにすれば、博打で爆勝ちできるよ」

 

「マジか!!?ぜひ教えてくれ夏油!!いや夏油様!!」

 

「こらーーー!!!アホにいらんことを教えるな夏油!!」

 

(がい)に堂々とイカサマを教えようとする傑を叱りつけるのは長い金髪の少女であった。

 

「まったく、油断も隙もありゃしない・・・」

 

呪術高専京都校3年 六道コルネリア キルナンバー3

 

筑紫(つくし)。交流会、正々堂々よろしくな」

 

「もちろん!こっちも負けないよ、赤女(あかめ)ちゃん!」

 

赤女(あかめ)・・・)

 

筑紫(つくし)と握手を交わす赤女(あかめ)を見つめているのは、メガネをかけた黒髪の男だ。

 

「・・・じぃー・・・」

 

「うわっ!!?」

 

赤女(あかめ)をじっと見ている男は目の前にジト目の黒女(くろめ)が現れたことで現実に引き戻す。

 

「初めまして、京都の先輩!今日はよろしくお願いします!!」

 

「よろしくお願いします」

 

「じぃー・・・」

 

「え?あ、あぁ・・・よろしく」

 

現実に引き戻った彼はコホンと咳払いをする。

 

「コホン・・・今年は3年はいないのか。それで1年3人を・・・。これはちょっとハンデがすぎないんじゃないか?」

 

呪術高専京都校2年 六道グリーン キルナンバー5

 

「呪術師を見かけで判断するな、雑魚。1年も2年も関係ない」

 

グリーンの言葉に物申したのはリーダー格である整った顔立ちの金髪の男だ。

 

呪術高専京都校3年 六道ナハシュ キルナンバー1

 

「特に黒髪の女の家系は禪院。どこぞの雑魚よりもよっぽど優秀だ」

 

「あぁん?それ俺に向かって言ってんのか雑魚?」

 

ナハシュの発言に触発された悟は彼に近づき眼を飛ばす。対し、ナハシュも悟に睨み返す。

 

「雑魚のくせによく吠えるよねー。キャンキャンキャンキャンと。犬みてぇ」

 

「負け犬ほどよく吠えるとは真理のようだな」

 

「あ?言ってろ雑魚。去年俺が出てたら勝ってたのはこっちだっつーの」

 

「負け犬の遠吠えにしか聞こえんな。せいぜい吠えていろ雑魚」

 

バチバチバチバチ!

 

「あーあ、まーた始まったよ」

 

「ある意味すごいわよね。互いに雑魚って罵り合えるのあの2人だけだし」

 

「お互いプライドが高いからね。安い挑発でも雑魚なんて、耐えがたい屈辱なのさ」

 

「傑もそう変わらないだろう」

 

「え?そんなことないよ?」

 

「その笑顔が逆に怖いよ夏油君」

 

一触即発な空気が滲み出ている2人に対し、周りは少し呆れた様子である。その間にも両校の学長が正門より出てきた。

 

「ガハハ!開幕早々熱くなってきやがったな!若い奴はこうでなくちゃな!なぁ!楽厳寺!」

 

呪術高専東京校学長、鳳凰院烈

 

「貴様は少し黙れ。騒々しくてかなわん」

 

呪術高専京都校学長、楽厳寺嘉伸

 

「鳳凰院学長、楽厳寺学長」

 

「おう夜蛾!ガキ共の引率、ご苦労だったな!」

 

「いえ。それより、お耳に入れておきたいことが」

 

「まぁ待て。今は祭りだ。野暮な話は合間で聞いてやる。いいな?」

 

「わかりました」

 

髪も髭も長い筋肉質な老人、東京校の学長、鳳凰院烈は夜蛾の報告を生徒の前で言う必要はないと判断し、彼を制して前に立つ。

 

「いよぉーし!!ガキ共!揃ったな!ただいまより・・・東京・京都姉妹校交流会の開催を宣言する!!」

 

 

参加者全員が揃ったところで2日間にわたる年に1度の東京・京都姉妹校交流会が開幕された。まずは1日目、団体戦。競技内容は・・・

 

チキチキ猛攻呪霊叩き

 

チキチキ猛攻呪霊叩きのルールを東京校学長、鳳凰院が説明する。

 

「ルールは簡単だ!競技開始と同時に4級から準1級の呪霊を敷地内に4級から順に一斉に放つ!決着は日没まで!それまでに呪霊討伐ポイントがより多いチームが勝利となる!それ以上のルールはない!討伐ポイントは等級が高ければ高いほど高い!もちろん、相手チームへの妨害も可能だ!ただし!!貴様らはあくまで共に呪いに立ち向かう仲間同士だ!交流会は競い合いの中で仲間を知り、己を知るための祭り!相手を殺したり、再起不能の怪我を負わせることのないように!!」

 

ルール説明中、鳳凰院は悟に絞め技をかけてお仕置きをしている。理由は2つ。

 

ルール説明する前に自分と楽厳寺を煽ってきた。

 

存在自体がムカつく。

 

悟が痛めつけられている光景に夜蛾は呆れ、歌姫はクスクスと笑っている。

 

「以上!開始時刻正午まで、解散!」

 

ルール説明が終わり、各陣営はそれぞれ作戦会議のためにミーティングルームへ向かうのであった。

 

「ちょ・・・俺を置いていくなよー」

 

 

京都校側のミーティングルーム。ナハシュたちは京都校の図面を開き、京都校がどう動くかの作戦会議を始める。

 

「五条の性格から考えて、呪霊に目を向けず真っ先に俺たちを狙いにくるだろう」

 

「げっ・・・あれが・・・まっすぐに・・・?」

 

「全員でかかって全滅というのが1番最悪の事態だ。だから1人だけ、足止めを置いておく。その役目を・・・(がい)、お前に任せる」

 

「おう・・・責任重大だな。やってやる・・・!」

 

悟の足止めを任された(がい)は緊迫した表情で気合を入れている。

 

「勝とうとはするなよ。できるだけ長く時間を潰せ」

 

「ねぇ。私まだ任務で悟と組んだことないんだけど、そんなに強いの?」

 

ポニィの素朴な疑問に3年生3人は冷や汗をかいて顔を俯いている。

 

「・・・強い・・・なんてそんなレベルじゃなかった。あれは間違いなく、化け物よ」

 

「全くだぜ。正直、あれに勝てる方法があるなら教えてほしいくらいだ」

 

(五条君・・・やっぱり強いんだ・・・)

 

悟の強さを聞いた筑紫(つくし)は内心かなりビビっている。

 

「じょ・・・上等よ・・・!もしこっちにきたらか、返り討ちに・・・」

 

「ポニィ、足震えてる」

 

「足止めはいいとして、呪霊刈りと東京側の妨害のチーム分けはどうするんだい?」

 

「そこは考えてある。心配はいらん」

 

グリーンの問いかけに答えるナハシュは少し思案する。

 

(問題は・・・夏油たちがどう動くかだが・・・)

 

 

東京側のミーティングルーム。ソファに寝転がる悟は少し不満を口にしている。

 

「ぶっちゃけさー・・・このルール、めちゃくちゃヒヨってね?相手全滅させた方が勝ちでいいでしょ」

 

「それじゃあ団体戦の意味がないだろう?学長も言っていた通り、交流会は・・・」

 

「あー、はいはい、わかったわかった。みんなで仲良しこよしで競い合いましょーだろ?弱い奴らに合わせんのは疲れるねー」

 

傑の正論を聞く気がない悟は背を向けるようにふて寝を決め込む。

 

「何あれ?本当に嫌な奴」

 

「おい悟・・・」

 

「いいよ、赤女(あかめ)。言ったところであいつは勝手に動く。私たちで話し合おう」

 

自分勝手な悟を置いておいて、傑たちはすぐにでも作戦会議を始める。

 

「まず悟は言うまでもなく、京都側にまっしぐらに向かうはずだ。でもこの団体戦は呪霊を祓ったポイントが重要であって相手を全滅させても勝利にはならない。悟が暴れている間、私たちは呪霊刈りに専念する。それぞれバラバラで行動した方がいいんだけど・・・京都陣営もそれなり強い。私や赤女(あかめ)ならまだいいんだけど、1年が相手にするには少しリスクが高い。だから1年は3人でまとまって行動してくれ」

 

「はい!了解です!」

 

傑の指示に灰原は元気よく返事をし、七海と黒女(くろめ)は首を縦に頷く。

 

赤女(あかめ)は1年のサポートを頼むよ」

 

「妨害役は傑だけでいいのか?」

 

「ああ。私の呪霊があれば全て事足りるさ」

 

傑の言葉を聞いて、黒女(くろめ)は反応する。

 

「もしかして、呪霊を操れるの?」

 

「うん。言ってなかったっけ?」

 

「傑は呪霊操術を使うんだ」

 

「!呪霊操術・・・」

 

「そ。君の術式の完全上位互換さ。嬉しいよ、ようやく私にも関心を向けてくれて」

 

にこやかな笑みを浮かべる傑の言葉に黒女(くろめ)はそっぽを向く。

 

「あれ、まだまだ好感度が足りなかったかな?」

 

「誰かと鉢合わせした場合は?」

 

「そこは赤女(あかめ)の好きなようにすればいいさ。でも、わかってるとは思うけど、君の術式は使っちゃダメだよ」

 

「武器は木刀にしてある。問題ない」

 

「ならいいんだ」

 

術式を使えばことを有利に運べるものなのは間違いない。それなのに赤女(あかめ)それを使ってはならないという点に七海は疑問を抱く。

 

「なぜ使ってはならないのですか?使えば間違いなく・・・」

 

「簡単なことだ。交流会向けの術式じゃないからだ」

 

「それはどういう・・・」

 

「七海」

 

質問を続けようとする七海に黒女(くろめ)が止めて、首を横に振る。それ以上の追及はやめてほしいと言わんばかりに。いろいろ疑問は残るが、七海は黒女(くろめ)に免じて追及をやめた。

 

「作戦はこんな感じだけど・・・少し面白味がかけるなぁ・・・。何より、私の役目が地味だ」

 

自分で作戦をたてておきながら不満を感じてる傑は少し思案し、しばらくすると何か閃き、含みがありそうな笑みを浮かべる。

 

「せっかくの交流会だ。ここは1つ、盛り上げていこうか」

 

「傑、あくどい顔をしているぞ」

 

 

作戦会議が終わった頃には開始時刻の正午手前になっていた。各陣営、お互いに準備を整えて所定のスタート地点に足を赴く。

 

『開始1分前。各自、所定の位置につけ』

 

「つまんねー進行。早く始まんねーかなー」

 

「悟」

 

「あ?」

 

東京側で夜蛾の進行につまらなさそうにしている悟に傑が声をかける。

 

「遠慮はいらないよ。派手に暴れてきな」

 

「・・・はっ、誰に物言ってんの?そっちこそヘマこくなよ?」

 

「ふっ、誰に物を言ってるんだい?」

 

お互いを理解しあっている悟と傑はニヒルな笑みを浮かべ、十分な意気込みを示す。

 

「雑魚共、自分の役目はわかってるな?」

 

「もちろん!」

 

「へへ、腕がなるぜ!」

 

京都陣営も気合は十分のようだ。

 

『チキチキ猛攻呪霊叩き!始めぇ!!!』

 

夜蛾の大きな合図によって、団体戦、チキチキ猛攻呪霊叩きがスタートした。

 

「行くぞ!」

 

スタートの合図と同時に京都陣営が動き出した。

 

ドゴオオオン!!

 

それと同時に建物が破壊し、土煙の中より白い龍の呪霊が現れる。

 

「何っ⁉」

 

「虹龍⁉」

 

虹龍は動揺するナハシュたちに向かって突っ込んでいった。

 

虹龍が発した土煙は東京陣営側からも見えていた。

 

「相変わらず目立つようなことをする」

 

「だって目立ちたいじゃないか」

 

「やっぱりお前たちは似た者同士だな。悟はもう行ってしまったし」

 

「それは光栄だね」

 

「褒めてない」

 

呑気に言っている間にも、空から鳥型の4級呪霊が飛び回っている。あれは傑が召喚したものではない。本格的に競技が始まったのだ。

 

「あ!鳥だ!」

 

「いや、あれは鳥じゃなくて呪霊・・・」

 

「始まったね。1年はできる限り単独行動は避けてまとまって行動してくれ」

 

「「了解」」

 

「はい!了解しました!」

 

赤女(あかめ)も1年のことを頼んだよ」

 

「傑」

 

「ん?」

 

「交流会、勝ちにいこう」

 

赤女(あかめ)は傑に向けて笑みを浮かべ、勝利の意気込みを語り、1年と共に行動を開始する。

 

「ふっ、当然さ」

 

対し、傑も笑みを浮かべ、勝利に同意し、自分も行動を開始する。交流会団体戦、チキチキ猛攻呪霊叩きの幕開けだ。

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