追記ー久しぶりに活動報告欄を使って、住古来今編についての報告がありますのでご覧いただけると幸いです。
ファイトクラブトーナメントが終了し、静かになった立体駐車場跡地の各エリアで監視が2名ほど配置しており、辺りを見回っている。
「・・・今日何時間やってんだよ・・・朝からなんも食ってねぇし、腹減ったぁ・・・。はぁ・・・帰ったら何食おうかなぁ・・・」
監視の1人はやる気がなく、愚痴をこぼして柱に入り、見張りをサボって煙草を吸おうと火をつける。あまりにも無防備だったため、背後に回り込んでいたレオーネに気付くことなく・・・
ストンッ!
「あっ・・・!」
彼女に不意を突かれ、手刀を叩き込まれて気絶した。レオーネはその後高く飛んで天井に張り付いて移動し、監視カメラの視覚を避けながらもう1人の監視の沈黙に向かった。
●
別のエリア。ここでも監視が配置がしており、そのうちの1人は次の試合の出場枠について電話で話をしている。
「えぇ・・・でも、でかい方がいいって言いましたよね?その・・・戦わせるなら重い方がいいって・・・。あ、じゃあまた探してまたかけます」
監視が話していると一瞬、彼の影が揺らいだように見える。話を終えた監視は通話を切り、見回りに戻る。
「んん?いねぇし、どこ行った?チッ、めんどくせぇなぁ、便所か?」
監視は面倒くさそうに呟きながら監視カメラの視覚外に入った。その瞬間・・・
バッ!ギュウウウウウ・・・
監視の影に隠れていた恵が彼の首を締め上げ、気絶させた。もう1人の監視は既に恵が気絶させたため、これでこのエリアは無防備となった。恵は監視カメラの視覚を避けて上に向かった。
●
別のエリア。ここの監視2名は非常用階段の見張りを担当していた。その最中で1人の監視はあるものを見つけて少し興奮気味だ。
「おい、見ろよ!」
「ん?」
監視が見つけたあるものとは、タイヤで遊んでいるパンダであった。
「ギョニソ食うかなぁ?」
「いや・・・あいつトーナメント出てたろ?」
「ほ~ら、ギョニソだぞ~」
「パンダはギョニソは食べないだろ」
1人は怪しみながら、1人は餌付けしながらパンダに近づいていく。その瞬間・・・
クワッ!ドゴォ!!
「「ぐわあ!!」」
クワッとパンダは目を見開かせ、監視2人を殴り、蹴とばして気絶させた。
「ギョニソはもらってくぜ」
パンダは魚肉ソーセージをひったくって食しながら非常用階段を堂々を登っていく。
「非常階段はカメラなぁ~し!」
非常用階段を登り切り、パンダは屋上に辿り着き、先に屋上に来ていた恵とレオーネと合流した。
「よっ!」
「お~う!」
「あの・・・レオーネさん。本当に大丈夫ですか?これが原因で後で揉めたり・・・」
「大丈夫大丈夫!さ、さっさとドア前固めちまおう」
3人は誰かがモニタールームに近づかせないようにするために、モニタールームに近づこうとする。が、その最中で下の段で監視に向かおうとする綺羅羅の姿を目撃した。
「ゲッ!綺羅羅!秤と一緒じゃなかったのか⁉」
綺羅羅も3人存在に気が付き、彼らと目を合わせて目を見開く。
(レオちゃんにパンダちゃん⁉・・・と、トゲ頭の子!レオちゃんとパンダちゃんの手引きで侵入したってことは・・・高専の人間⁉ってことは一緒にいたあの子も悠ちゃんも・・・高専の人間!)
恵がパンダと一緒にいるところを見て、彼と悠仁、エスデスに連れ攫われた
(金ちゃんが・・・危ない!!)
綺羅羅は秤に非常事態を知らせるためにこっそりスマホの
「玉犬―――『渾』!!」
綺羅羅が何かしらの行動を移す前に恵は手影絵を作って玉犬『渾』を召喚し、レオーネも段差から飛び降りて術式で獣化し、パンダと共に下段に着地する。玉犬『渾』はまっすぐ突っ込み、綺羅羅を抑え込もうとする。しかし、何かの引力に引っ張られるかのように、玉犬『渾』は恵の元に無理やり引き寄せられる。
「!恵!」
「伏黒!」
引き寄せられて戻ってきた玉犬『渾』と衝突した恵は後退る。
(玉犬が吹っ飛ばされた⁉いや、レオーネさんとパンダ先輩の話から察すると、近づけなかったのか!)
恵が綺羅羅の術式について考察している間にも、綺羅羅は自分の術式を使用する。すると・・・
ふわっ・・・グイィィ!
「んあっ⁉おおおお⁉」
ドカッ!!
「ぐえ!!?」
突然パンダが宙に浮き、先ほどの玉犬『渾』のように何かに引き寄せられてレオーネに迫り、彼女と衝突する。
「何やってんだパンダ!!邪魔だよどけ!!」
「ち、違うんだ姉さん!身体が勝手に!」
(レオちゃんとパンダちゃんにはマーキング済みだもんね!)
レオーネとパンダが揉めている間にも綺羅羅はモニタールームの前に向かって走り出す。
(モニタールームに!秤のところに戻るつもりか!)
「だああ!!いいからどけって!!」
「うわぁっ!!」
レオーネは本人の意思とは関係なしにくっついてくるパンダを持ち上げ、投げ飛ばすことで無理やり引きはがし、綺羅羅を止めようと走り出す。
「ちょっと待てってキラちゃん!私たちは敵じゃない!秤に頼みごとがあるだけだって!」
「信じらんない!見損なったよレオちゃん!パンダちゃんも!」
レオーネは必死に綺羅羅に追いつこうとするが、どれだけ走ってもどれだけ速く動いても、綺羅羅との距離は全く縮まらない。おそらくこれがモニタールームに近づけなかったという現象だろう。
(全然距離が縮まらない!これ多分私もキラちゃんに近づけないヤツだ!)
綺羅羅がモニタールームに近づこうとするが、玉犬『渾』が綺羅羅の前に立ち塞がる。だがそれ以上は綺羅羅に近づくことができない。
(近づけないのは綺羅羅さんも同じか!)
綺羅羅の術式を考察している恵だったが、突然体が何かに引き寄せて、玉犬『渾』と衝突する。
「恵!」
ドカッ!
「ぐえ!!?」
「ただいま」
レオーネが無理やり引きはがしたはずのパンダが何かに引っ張られて再び彼女と衝突し、くっついてしまう。
(綺羅羅さんに近づけないだけじゃない・・・玉犬と離れられない⁉今起こってるレオーネさんとパンダ先輩と同じ現象!どういう術式だ⁉)
何かに引かれて引力を引き起こしたり、距離を離されたり。綺羅羅の術式がどういったものなのかますますわからなくなり、恵は困惑する。ただわかっているのは、綺羅羅の術式によってモニタールームと綺羅羅に近づくことができないということだけだ。
(膠着状態・・・ちょうどいい!)
恵はこの膠着状態を逆手に取り、綺羅羅に説得を試みる。
「綺羅羅さん!俺たちは今正確には高専側ではありません!東京が現状どうなっているか、知ってますよね⁉」
「・・・・・・」
「各地で発生している結界も無関係じゃない!未曽有の呪術テロがあったんです!秤さんの協力が必要なんです!」
恵の説得に対し、綺羅羅は反発した態度で言い返す。
「そっちが先に私たちをはぶったんじゃん!自業自得でしょ?」
「だから高専側じゃないって・・・。上と何かあったんですか?」
「保守派と揉めたんだ」
3年が停学した理由を知らない恵に、綺羅羅に変わって理由を知っているパンダとレオーネが答える。
「そんで保守派の保守ってのは何も規定に対するスタンスだけの話じゃない。呪術とはこうあるべきって思想があんだよ。釘崎なんかの術式がわかりやすい。保守派好みの呪術らしい呪術だ」
「昔流行った呪いのビデオとか、カメラに映る心霊写真とか、時代が進めば呪術だってニューテクが絡むことだってある。それが術式にまで及ぶと、保守派のバカ共はうるさいんだよ」
「金ちゃんの術式はその典型だからね。上のバカ共もそんなんだから負けるのよ」
自分と秤を停学に追いやった保守派連中に対して綺羅羅は悪態をつく。
「でもさ、あんたらは五条悟やアーちゃん先生にいくらでもケツ拭いてもらえるじゃん?私らに頼る意味がわかんない。ってことは、頼って来たってのは嘘で、他に目的があるって考えるのが普通じゃない?」
綺羅羅のいうアーちゃん先生というのは、3年の担任教師である
「五条先生は封印されました。
嘘偽りのない真実。しかし綺羅羅はこの真実に対して、『何言ってんだこいつ?』みたいな何とも言えない表情を浮かべている。この表情だけで信じてもらえていないことがわかる。
(((ああ~~~~・・・信じてねぇなぁ!!)))
綺羅羅の何とも言えない表情から信じてもらえてないことがわかった2人と1匹は心の中でムンクに似たような表情をする。とはいえ、3年生は長く高専に在籍していたから悟の実力を知っている。だからこそこの反応は無理もないと言える。
(まぁ、気持ちはわかるけど・・・)
(でもこの人は、1番秤さんに近い人だ。この人を説得すれば、秤さんの交渉が楽に進む!)
綺羅羅を説得する方が後の秤の交渉が有利に進むのは間違いないだろう。だが今のままではまともに話を聞いてもらえないだろう。まずは綺羅羅を大人しくさせる方が先と考え、戦闘態勢に入る。
「脱兎!」
恵は自分たちの周りに数多の脱兎を召喚し、取り囲む。
「ウサギ?」
周りに脱兎が溢れてくると、恵は脱兎の尻に星のマークと何かの文字が書かれていることに気付いた。星に添えられたその文字は、『
(!
脱兎の尻に書かれた
(
(すごい量・・・何のつもりかな?私の術式は呪力にマーキングするから、式神は術師と同一に扱われる。このままだとさっきのワンコみたいに、引き寄せられた自分の式神に押し潰されて窒息するよ!)
召喚された術式の呪力は術師本人のもの。綺羅羅の術式が呪力によってマーキングするものならば、恵へのマーキングは最初の玉犬『渾』にマーキングすることによって完了しており、恵は綺羅羅の術式の術中に嵌まったことになる。ということは、召喚された脱兎も当然、マーキング済み状態になっている。これによって、脱兎は恵に引き寄せられる。
「・・・っ!」
恵は引き寄せられる脱兎に押し潰される前に召喚を解除し、パンダとレオーネに問いかける。
「レオーネさん!パンダ先輩!脱兎どうでした⁉」
「俺の次にかわいかった!!」
「何に近づけて何に近づけなかったか聞いてるんですよ!!」
「!!私たちそっちの2階は問題なくいけてた!キラちゃんとモニタールームの扉はダメだった!」
いらない情報はあったものの、脱兎がレオーネとパンダ、2階に近づけて、逆に綺羅羅とモニタールームに近づけなかったことを聞いて、恵は尤も重要なことを2人に問いかける。
「お2人の体のどこかに、星マークと名前がついてませんか⁉」
「えっ?」
「名前?」
恵の問いに2人はお互いに自分の身体の至る所を探す。するとレオーネはパンダの尻に恵の指摘通りの星と文字を見つけた。書かれた文字は『
「あっ!パンダの尻にImai・・・イマイって書いてあるぞ!」
「えっ?あっ!本当だ!」
パンダの尻に書かれた文字を見つけたレオーネは自身のサラシに近い服装をめくって星と文字がないか探る。すると、胸の谷間にパンダと同じ
「あ、あったぞ!こっちも
(俺もどこかに・・・!)
確信を得た恵は自身の身体にも付いていると思い、服をめくって文字と星を探る。すると自身の腹部にあった文字と星を見つけた。その文字は、脱兎と同じ
(あった!脱兎と同じ
星と関係があることしかわからないが、恵は1つカマをかけてみることにする。
「わかりました!この術式のタネは星座です!」
(そこまでならわかる奴はわかる)
星座と関係していると見破られても、そのモチーフとなっている星座がバレていないため、綺羅羅は動揺していない。
「モチーフの星座は・・・」
恵はハズレ覚悟でモチーフとなっている星座の名を口にする。
「南十字」
「!!」
南十字の名をあげられた綺羅羅は一瞬ながら驚いた表情を見せた。その表情を見逃さなかった恵は『マジか』と言いたげなキョトンとした表情を浮かべた。ハズレ覚悟だった星座が本当に当たるとは思わなかったからだ。カマをかけられた綺羅羅はしまったと言わんばかりに苦渋の表情を浮かべている。
(クソッ!顔に出た!お互いに!マジかって顔したなー!私の術式のモチーフが南十字星だという確信がなかったんだ!けど私もマジかって顔しちゃった!核心を与えちゃった!このまま術式を看破されれば、モニタールームに入られる!ここで足止めをする!)
綺羅羅は2人と1匹をモニタールームに入らせないようにするために一歩後退し、モニタールームの前で立ちふさがる。
(再び膠着か・・・。しかしマジで南十字だった・・・津美紀に感謝だな)
綺羅羅を見破ることができたのは、以前津美紀が自分を天体観測に無理やり連れてこられたから少し星座に詳しくなったからだ。偶然とはいえ、きっかけをくれた津美紀に恵は心から感謝している。
(でもこれ以上は何も知らん。つーか南十字座って4つじゃないのか?)
「恵ー!」
「伏黒ー!」
再び綺羅羅の術式の考察に入る恵にレオーネとパンダは二人三脚状態で近づいてきた。
(やっぱり同じ星のレオーネさんとパンダ先輩には近づける)
マーキング済みではあるが、恵はレオーネとパンダには近づけるようだ。
「レオーネさん。南十字座って4つですよね?」
「え?そりゃ十字だし」
「そりゃそうなるよな・・・」
2人と1匹は綺羅羅の術式の攻略の鍵である南十字の星について考察する。
「綺羅羅さんの術式はそれぞれ南十字の星を割り振って、それぞれ適当な距離を取らせるものだと思ったんです。でも綺羅羅さんは扉に近づけるし、俺もお2人同士も近づける」
「単純に俺たちの星と綺羅羅と扉の星が反発するようになってるとか?」
「だったらキラちゃんがモニタールームに逃げ込まないのはおかしいだろ」
「あ、そうか。内側に扉べったりされたら詰むもんな」
確かに仮にパンダの説が正しいのだとしたら綺羅羅はいつだってモニタールームに入ることができるため、そうなってしまったら3人はモニタールームに入ることができず、確実に詰んでしまう。それをしないということは、何か別の法則性があって、綺羅羅はそれを見破って恵たちがモニタールームに入られてしまうことを警戒しているのだろう。
「あ、じゃあこういうのはどう?ある星Aはある星Bに近づけるけど、BからはAに近づけない。こんな感じでそれぞれの星には相性が合って相性がいい星にのみ近づけるジャンケン説」
「でも俺とお2人はお互い近づいても自由に動けますよね?」
「じゃ違うかー」
ジャンケン説が正しいならどちらか片方が必ず距離を離されてしまうため、ジャンケン説もありえない。そこまで考えて、恵は1番有力そうな説をあげる。
「ルートが決められたスタンプラリーみたいに、それぞれに近づける順番があるんじゃないでしょうか?そんで同じ星はくっつく。今のレオーネさんとパンダ先輩の状態がそれと同じように」
「なるほど・・・でも術師本人は術式対象外ってことはないか?」
「それはないです。本人も玉犬と距離取らされてました。今綺羅羅さんは俺たちが何かしら条件を満たして、自分の目の届かないところでモニタールームに侵入されることを警戒している」
「と、なると星は合計で5つ以上、だね」
「はい。スタンプラリー説が正しかったとして、星4つなら俺かお2人は綺羅羅さんに近づけるはずなんで、間に5目の星があって、そこを経由しないと綺羅羅さんには近づけない」
「6つ7つあったらどうするー?」
「さすがにないと信じたいですね・・・十字で5つも意味わかんないのに・・・」
スタンプラリーが正しいのだとすれば、2人と1匹が今やるべきことは、
(バレたなら・・・攻めるでしょ!!)
自分の術式がバレていると踏んだ綺羅羅は軽く跳躍し、近くにあった車に着地し、咄嗟に車から離れる。すると車はふわっと動き出し、レオーネとパンダに迫って突っ込んできた。レオーネとパンダは引き寄せられた車と衝突し、窓を突き破った。
「レオーネさん!!パンダ先輩!!」
「大丈夫だ!問題ない!」
「恵!星を探せぇ!」
「「せぇー・・・のぉ!!」」
レオーネとパンダは息の合った動きで突っ込んできた車を持ち上げ、いっせーの、の要領で息を合わせて車を放り投げる。
「!!投げちゃダメですよ!!」
「え?」
「!まさか・・・」
ドカァ!!
恵の忠告も虚しく、車は引きはがされたと同時に、何かに引っ張られるように動き出し、レオーネとパンダを轢いた。
「お2人と同じ
(最初にパンダが引っ付いてきたのはこれか!)
二人三極状態でやっと動けるようになったパンダとレオーネは
(星を着けるには多分対象に触れなければならない。でも俺も脱兎も触れられていない。触れられたのは玉犬だけ!つまり綺羅羅さんは、物ではなく呪力に星を着けてる!扉や車のようなものに星を着けるには、あらかじめ誰かしらの呪力を込めなければならないんじゃないのか?)
そう考えて恵は
(やっぱりだ!車から綺羅羅さん以外の呪力の残穢!術式範囲が広くなるのであれば、もう1つの星の残穢は・・・!)
恵は残穢を察知して隠された星を探す。すると、車に轢かれたパンダとレオーネが街灯をへし折って吹っ飛んできた。しかし不可思議な起きた。吹っ飛ばされた2人が何かに弾かれたかのように上空へ飛んでいった。さらに倒れてきた街灯が何かに支えられてるかのように宙に浮いた。恵がそこに注目して、目を凝らす。そこには車石が置かれており、そこには隠された星が書かれていた。その隠された星は『
(あった!5つ目の星!俺たち以外の残穢はもう見当たらない!綺羅羅さんはもう自分の呪力に星を着けている!腿に俺と同じ
恵は綺羅羅に近づけると踏んで
恵の仮説は正しい。綺羅羅の術式、『
あと少しで恵が
「君すごいじゃん。マジで私の術式のことわかってるんだ」
綺羅羅が立ちふさがったことで、
「レオーネさん!!パンダ先輩!!」
恵は宙に飛んでいるレオーネとパンダに向かって召喚した脱兎を投げ飛ばす。意図を察したレオーネは飛んできた脱兎を片手で掴みとり、狙いを
「パンダ!!私に合わせろ!!」
「合点だぁ!!」
パンダはレオーネが動きやすくするために映し鏡のように彼女と同じ動作を繰り出す。
「おりゃああああああああああ!!!」
パンダと同じ動きに合わせてレオーネは
順序とは、星座の奥行き。円々的に見える星座にも当然奥行きがあり、地球からの距離はそれぞれ異なる。
「でも物わかりがよすぎて、もう飛ばせるものはないと決めつけてたんじゃない?」
綺羅羅がそう言い放つと同時に、
「私の呪力が付いた星、
そう、綺羅羅は車や街灯についた星を外し、恵と同じ
「な・・・にいいいいいいいい!!?」
当然、玉犬『渾』が自分の元に迫ってきたため綺羅羅は驚愕する。
(なんで⁉どこから⁉・・・いや、そうか物か!まだ1度もワンコの式神を解除してなかったんだ!同じ星同士、どっちが惹かれるか見破られた⁉自分と式神の間に壁を挟んで、引き寄せられる式神を壁に突っかけておく!そして私が戦場に立ったらワンコを放つ!)
恵の策にまんまとしてやられた綺羅羅は成す術なく恵に引き寄せられていく玉犬『渾』と衝突する。綺羅羅は玉犬『渾』に取り押さえられ、恵の元に引き寄せられていく。このまま恵の元に向かってしまえば、自分も障害物の衝突に巻き込まれてしまう。
(くっ!
綺羅羅は
バンッ!!
「話、聞いてください」
ドカアアアアアアアンッ!
恵が綺羅羅を取り押さえたと同時に、車は爆発を引き起こした。
「・・・君、本当に今の狙ったの?ワンコと君、どっちに引っ張られるかなんてわかんないじゃん」
「そこは賭けでしたが今わかりました。呪力出力が高い方に引っ張られますよね?初めは俺が玉犬に引っ張られたのに、綺羅羅さんの攻撃を呪力でガードを強化した今回、結果が逆になった」
恵の指摘通り、引力を引き起こしていたものとは、呪力であった。パンダとレオーネの場合、パンダは呪力出量が高いレオーネの方に引っ張られ、恵と玉犬『渾』の場合、最初は玉犬『渾』の方に引っ張られた。そして障害物や車が自分に向かってきた時、それらは全て恵の方に向かった。しかしそれは恵が呪力を肉体強化の方に集中したため、玉犬『渾』の呪力が上回ったため、引力が逆に作用されたのだ。
「・・・君1年生?ホントかわいげの・・・」
綺羅羅が悪態をつこうとした時、恵は拘束を解除して、綺羅羅の前に膝を折り、その場で土下座をする。
「お願いします。時間がありません。話を聞いてください」
プライドも何もかもかなぐり捨てたような土下座。相手が保守派であったのならば絶対にやらない一手だろう。恵のこの姿勢を見て、自分たちの勘違いの可能性があると考慮して、綺羅羅は警戒を解いた。
「・・・わかったよ・・・」
綺羅羅が話に応じようとしたその瞬間・・・
バァァン!!!
「「!!」」
モニタールームにいた悠仁が扉ごと吹っ飛ばされて、両者の間を通過した。
「虎杖⁉」
「・・・伏黒、姉さん、パンダ先輩・・・手ぇ出すなよ・・・」
吹っ飛ばされた悠仁はすっと起き上がり、モニタールームに視線を向ける。悠仁の視界は、自分をぶっ飛ばした本人である秤がモニタールームを出たところを捉えた。
「ナメるじゃねぇか」
バキィ!!!
秤は悠仁に近づき、強烈な拳を悠仁に放った。悠仁は避けることはせず、この一撃を黙って受けた。
「モロッ⁉」
倒れそうになる悠仁は踏ん張って立ち続け、秤と向き合い続ける。
(このガキさっきから・・・避ける気がねぇ)
恵が綺羅羅の相手をしている間、秤は悠仁を殴り続けていたようだが、悠仁は何の抵抗もなく攻撃を受け続けていたようだ。
「イカレてんな」
秤は悠仁に悪態をつく。悠仁が黙って秤に殴られ続けているのは、そうする必要があるからだ。
(これは渋谷での戦いとは違う。秤先輩に俺を認めさせるための・・・いわば儀式だ。もう避けねぇ。反撃もしねぇ!この人が折れるまで!)
悠仁は鼻血を噴き出しつつも、真剣な表情で秤と面を合わせる。その姿勢に秤は悠仁を睨みつける。
「おもしれぇ!話は聞いてやる!お前が立ってるうちはなぁ!」
悠仁にガンを飛ばす秤に綺羅羅が声をあげる。
「金ちゃん!この子たち金ちゃんに助けてほしいんだって!話を聞いてあげて!」
「今聞くっつったろぉ!!!」
バキィッ!!!!
秤は一発目より強烈な拳を悠仁の顔面にぶつけた。拳を顔面からくらった悠仁は吹っ飛ばされつつも、耐えて立ち続ける。
「なあ虎杖!!なんで俺だよ?俺たち初対面だよなぁ!!?アカ先とか他に頼る奴がいんだろ!!なんで俺を頼る⁉」
秤が言うアカ先というのは、やはり3年の担任、
「その
バカ正直に思ったことを口にする悠仁。だがこの返答は術師相手には逆効果だ。それが秤が相手ともなればなおさらだ。
「・・・だと思ったよ」
秤は悠仁の胸倉を掴み上げ、怒声をあげる。
「術師が術師にするお願いは、『一緒に命を賭けてください』が前提だろうが!!てめぇは俺に命を賭けさせるだけの熱を今!!ここで!!伝えなきゃなんねぇんだよぉ!!!それを言うに事欠いて人に言われて来ましただぁ!!?夜蛾のオッサンは何してんだ!!?こういうヘタレを間引いとけよ!!!」
「・・・俺に熱なんてねぇよ」
「あ"あ"?」
悠仁は秤の怒声に対して表情を変えることなく、口を開く。
「俺は部品だ。術師が呪いを祓うためだけの、祓い続けるための、部品」
呪いを祓うだけの部品にすぎない。悠仁のこの返答が、秤の逆鱗に触れてしまう。
「・・・おいおいおい、マジかおめぇ。ちょお~つまんねぇじゃん」
「ヤバい!!秤の逆鱗に触れたぞ!!」
「虎杖もういい!!」
バキィ!!!!!
レオーネと恵がストップをかけようとするが、もう遅い。秤は呪力が込められた1番強烈な一撃を悠仁の顔面に叩き込んだ。直撃をくらった悠仁はその一撃に吹っ飛ばされ、倒れ伏す。
「痛ぇだろ。五条さんが言うにはなぁ、俺の呪力は他の奴よりザラついてるらしいぜ」
つまり秤の一撃は拳に鑢が付いたようなもので、一撃を与えるだけでも通常の打撃よりも痛みが鋭いのだ。
「死んだかぁ?」
悠仁が倒れたことで話は終わりと言わんばかりに秤は3人に向かって声を荒げる。
「おいレオーネ!!パンダ!!それからウニ頭!!さっさと虎杖連れて失せろ!!二度と・・・」
コツッ・・・コツッ・・・
「!!?ああ!!?」
顔を見せるなと言おうとした時、自分の背後に起き上がった悠仁が立っていたことに気付き、驚愕して彼から距離を取る。
「ノーガードで3発だぞ⁉その前にもしこたま殴った!何制だよ、お前は・・・⁉」
全力の3発だけでなく、モニタールームで何度も何度も殴った。それでもまだ立ち上がってくる悠仁に秤は驚きを隠せないでいる。
「俺は部品だ。部品には役割があんだよ。呪いを祓い続ける俺の役割・・・それに秤先輩が必要だっていうなら、あんたが首を縦に振るまで付き纏う」
悠仁はまっすぐに秤に近づき、まっすぐな瞳で彼の目を見て、逆に彼に問いかける。
「先輩。あんたの役割はなんだ?」
(こいつ・・・!)
悠仁の真っ直ぐな瞳に宿る熱。秤は戸惑いつつもそれを感じ取った。
(これが部品の熱かよ・・・!)
何の変哲もないただの部品が自ら熱を帯びるはずがない。だが、自分を部品であると言い切った悠仁の瞳には、呪いを祓い続けるという確固たる決意が込められていた。秤は悠仁のその決意の中に灯る熱い熱を見出したのだ。
「・・・いいぜ、何発でも・・・」
「金ちゃん!熱くなってるんじゃない?」
「・・・っ!」ギクッ
秤が再び悠仁を殴ろうとした時、綺羅羅の言葉に立ち止まる。秤は熱を愛している。それがどんなものであろうと、それが熱であると感じ取れれば、その熱を受け止める。秤は悠仁の熱を感じ取っている。今ここで悠仁を否定して全力でぶん殴れば、彼の信念さえも否定してしまうことになるだろう。
(熱に嘘はつけねぇ・・・!)
秤は悠仁を殴らずに腕を下ろし、恵たちに顔を向ける。
「お前ら、降りてこい!」
「「「!」」」
「取引だ」
秤の言葉に理解が追い付かず、恵はキョトンとしている。
「え・・・解決・・・納得してもらえたんですか?」
「うん」
綺羅羅が首を縦に頷いたということは、秤は悠仁たちの話にきちんと耳を傾けてくれるようだ。
「ありがとうございます・・・」
「いいよ。上の連中は嫌いだけどね、なんやかんや、高専で人助けしてた金ちゃんが1番熱かったから」
悠仁の度胸と、協力に応じてくれた綺羅羅のフォローによって、秤の協力にこじつけることに成功した。これで残る問題は・・・エスデスに攫われた
●
同時刻、新潟の呪術創生研究所の崩壊跡地。
「あーあ、局長も人使い荒いよなぁ。さっさと終わらせて帰ろうぜ・・・」
「ん?おい、ここなんか出っ張ってないか?」
「あん?」
作業を進めていると、1人の研究員がもっこりと不自然に盛り上がっている土砂に気が付く。
「なんかここから変な空気が漏れ出てないか?」
「んんん~~?」
研究が注意深く盛り上がっている土砂に近づくと・・・
ヒュンッ!!ズンッ!!
土砂から何か鋭く鋭利なものが伸びてきて、2人の研究員の脳天を貫いた。脳を貫かれた2人の研究員は血を噴き出し、倒れ伏して息を引き取った。伸びてきた鋭利なものが土砂の中に戻っていく。すると、土砂の中から1人の人間が飛び出してきた。
「ふ・・・ぁぁぁ・・・埋まった埋まったぁ・・・。こういう時、羅刹四鬼のタフな体は便利だねぇ」
土砂の中から出てきたのは、ツクヨミが倒したはずの羅刹四鬼の1人、
「それにしてもあの禍津神・・・ツクヨミちゃんって言ったっけ?私に生き埋めプレイを目覚めさせるなんて・・・見事としかいえないわね」
生き埋めを味合うことになったきっかけを作ったツクヨミに対して、
「いま彼女はどこにいるのかしら?また会ってみたいわね」
任務には失敗してしまったが、今の
前話で
忘れがちになってしまうかもですが、
個人的に、綺羅羅に活躍の場を見せたいので今回このような形を取らせていただきました。
死滅回游泳者ボルスはどこのコロニーに向かった?
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東京第1結界
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東京第2結界
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仙台結界
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桜島結界
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御所湖結界(オリ話)