夜。自分の家で就寝していた杉沢第三高校の女子高生、佐々木が目を覚ます。彼女の目の前には、五条袈裟を着込んだ額に縫い目がある男・・・羂索が立っていた。
「ごめんね」
「・・・誰?」
「ここに結界を張った術師だ。ここは選ばれたんだ・・・殺し合いの場にね。残念ながら、別に名誉なことではないよ」
「・・・殺し合い・・・⁉うちでそれは、勘弁してもらえませんか・・・?」
「ふ・・・はははは。面白いね、君は」
佐々木の発言がおもしろいからか羂索は愉快そうに笑っている。
「少し離れたところに刑場跡があるんだ。結界の中心はそこだよ。半径5、6キロってとこかな?かなり無理して作った結界だからね。あまり理不尽な条件付けはできないんだ。初めから結界の内側にいる君たちには、結界を出る権利がある。1度だけね。君が望めば、目が覚めたら結界の外さ。どうする?」
「目が覚めたらって・・・これは夢なの?」
「夢と現実の狭間・・・
殺し合いや結界など・・・難しいことを説明されても理解できない佐々木は、これが夢であっても殺し合いに巻き込まれるよりはマシと思い、差し伸べられた羂索の手を掴み、起き上がった。
「気をつけて。ゆっくりだ。外にはもう気の早い連中がいる」
佐々木の手を掴んだ羂索はゆっくりと歩き、彼女を結界の外まで導く。佐々木の目には見えていないが・・・今外で様々な呪霊が活発化し、至る所で暴れまわっている。
「・・・そうだ、言い忘れるところだった」
羂索は思い出したかのように佐々木に顔を向け、こう発する。
「息子と仲良くしてくれて、ありがとう」
・・・き・・・
佐々木・・・
●
「佐々木!」
「!」
誰かの一声で佐々木は気が付く。彼女に声をかけてきたのは、杉沢第三高校の同級生、井口だ。ここに集まってるのは2人だけではない。他にも何人かが戸惑った様子で集まっている。
「井口・・・」
「よかったぁ・・・知ってる奴いて・・・」
「ここ・・・どこ?」
「勾当台と広瀬通の間くらいだ。それより見ろ!どう見るよ?オカ研として」
「どうって・・・」
2人の視界に入ったのは、とてつもなく巨大な真っ黒な結界だ。この中で死滅回游という殺し合いが行われているのだ。そしてこれが張られたのは・・・10月31日を過ぎてすぐのことだ。
11月1日 6時2分 仙台結界前
「・・・夢の話していい?」
「みんなしてるよ。ロン毛で袈裟の男だろ?」
「!じゃあ、井口もされた?息子がどうのって・・・」
「?いや、それは初耳だ」
夢の中で羂索が言っていた息子。その点で真っ先に思い浮かんだのが、かつてオカ研に所属していた1年の後輩の姿であった。
「・・・虎杖・・・?」
●
11月12日。東京の無人ホテルのグリーンの部屋。彼と協力関係を結んだ
「コガネ、さっそくだけど、全
「あいよ!」
グリーンの指示でコガネは体をタブレットに変形させる。
「すげぇ・・・
「新しく追加されたルールだよ。
ルール9、
「・・・あ、こいつじゃないか?ルールを追加した奴」
スクロールしていると、高得点を所持している
「鹿紫雲一・・・こいつ元々200点持ってたのかよ。どういう意図でのルール追加だ?」
「少なくとも40人は殺してるってことだろう?気持ちのいい理由じゃないだろうね」
「けど俺たちはこれで人を殺さずに死滅回游を進められるかもしれない。コガネ、得点が100以上の
「俺は六道グリーンに憑いてるからなぁ・・・」
「ああ、いいよいいよ。彼の言うことは聞いて」
グリーンが許可を出すとコガネは100点保持者のリストアップを開始させる。
「協力体制を取るんだ。こっちの情報も渡しとくよ」
「なるほど・・・思っていた以上に、事態は深刻のようだね」
「ああ。津美紀さんやゲームに消極的な
コガネが100点保持者を絞っている間、
「お前や津美紀さんみたいに巻き込まれた人間は焦って結界から出たがらない限り、受肉した過去の術師には各々思惑があって羂索と契約しただけで必ずモチベーションが高いわけじゃないはずなんだ。鹿紫雲みたいにまだ点を持て余してる奴がいるとしたら・・・」
「!そうか、100点以上持ってて、ルール追加をする気がない
「津美紀さんたちが回游を抜けるルールを作れる!」
「出たぜ」
2人が100点保持者の存在に希望を見出した時、ちょうど100点保持者の絞り込みが終わった。モニターに表示された名前は現時点で2つ。
鹿紫雲一 得点100点 変更1回 滞留結界東京第2
日車寛見 得点102点 変更0回 滞留結界東京第1
「よし!もう1人!」
100点保持者がもう1人いたことに
「これで津美紀さんを回游から離脱させることができるかも・・・」
「いや、まずはネックのルール8を逆手に取るルールを追加の方を優先した方がいい」
「?ルール8って、19日以内にポイントの変動がなかったら術式を没収・・・死に至らしめる奴だよな?」
「まずはルールを追加して
「それだけじゃねぇ・・・誰も殺さず、状況によってはポイントを一気に溜め込むチャンスがぐんと上がる!」
「ああ。その後でポイントを消費して死滅回游から離脱できるというルールを作ればいい」
「でもそのままだと死滅回游の永続に抵触するんじゃねぇか?」
「多分ね。でも、非
「なるほど・・・確かに。その辺りはコガネが決めるのか?」
「なんにせよ、やるべき方針は決まったんじゃないか?」
「おう!まずはここを脱出して、100保持者の鹿紫雲一と日車寛見に会って、ルールを追加させる!」
これからやるべき目的は決まった。そのために
●
話し合いがひと段落し、
「やることは決まったけど・・・グリーンはどうするんだ?俺たちと一緒に来るか?」
「いや、僕はここに残って少しでも情報を集めてみるよ。万が一君たちと合流できたなら、少しは情報交換もできるだろう?」
「わかった。後はどっちのコロニーにするか・・・」
「そのことなんだけど・・・僕は東京第1に向かうのがいいと思ってる」
「?第1って日車がいるコロニーだよな?その理由は?」
「・・・コガネ、苗字が六道って名のつく
「あいよ!」
理由を説明するためにグリーンは六道という苗字のついた
六道
六道グリーン 得点5点 変更0回 未宣誓
「君に見てほしいのは、1番上と下だ」
六道ナハシュ 得点25点 変更0回 滞留結界東京第1
六道ポニィ 得点0点 変更0回 滞留結界東京第1
「!この2人・・・」
「僕の義兄妹たちさ。この2人は呪術界から離れていたんだけど、どういうわけか死滅回游の
グリーンはコガネのモニターを閉じさせ、
「
「それはわかったけど・・・呪術界を離れてたってことはこの2人、元々呪術師だったってことだよな?なんで呪術師やめたんだ?」
事情を何も知らない
「・・・いろいろ複雑な事情があるんだよ」
歯切れの悪いグリーンの回答に
「よ、おかえり」
「あ、
「他人事みたいに言いやがって・・・」
「
「えへへ、ごめんね」
茶目っ気たっぷりな
「・・・そういえば
「あ、それは俺も思った」
「う~ん・・・あんまりしゃべるのはよくないってお父さんに言われてるんだけど・・・もう1回見せるだけならいいよ」
そう言って
「おお、やっぱすげぇ・・・」
「念動力・・・じゃあねぇなぁ・・・それだとお湯が沸騰した説明がつかないし・・・」
「術式の開示は術師を強化するのは知ってるけど、こういう風に何も知らないとアドバンテージを稼げるんだってお父さんが言ってたの。だからあまり術式のことは教えられないの。ごめんね」
「ああ、いや、そういうことならしょうがねぇよ」
申し訳なさそうに謝る
(少しでも情報をと思ったけど・・・そう簡単にはいかねぇか)
今後の対策の意味も込めて術式を探ろうとしていたようだが、明かせないならば仕方ないと思い、
「お前たち、私は少し軽めの任務に出るぞ。グリーンと
『!了解!』
(!エスデスが外に出る!抜け出すチャンスかも!)
今日中にコロニーに突入すると聞き、一同が気合を入れてる中で、
「グリーンと
「「はい」」
「ウェイブ、私が留守の間
「了解!」
(ウェイブか・・・エスデスだって特級呪術師だしな。俺ばっかりに構ってるわけにはいかないか。実力は乙骨先輩のお墨付きらしいけど、エスデスより逃げやすいかな)
「戻ったらコロニーの割り振りを決める。もちろん
「!!?」
自分がエスデスと同じコロニーを担当すると聞かされて、
(できるだけ強者がいるコロニーで私の力を魅せてやるとしよう。腕の見せ所だな)
(こ、これはマズい・・・!エスデスと一緒にコロニーに入っちまったら鹿紫雲や日車に会えないどころか、みんなとの合流も叶わなくなる!チャンスは1度きり・・・エスデスが戻ってくる前に、ここから脱出しねぇと!)
脱出できる機会はおそらくはこれだけ。これを逃せば悠仁たちと合流できないだろう。このチャンスを物にしたい
●
エスデスが任務に出向いた後、残ったウェイブは
「しっかし、エスデスさんの前じゃこんなこと言えないけど・・・お前も大変だよな。何かあれば相談に乗るぜ」
昨日は
「・・・ありがとう。でも大丈夫。こんな方向性の扱い慣れてるから」
「あ・・・何となくわかる」
気苦労が絶えない
「なんかさ・・・俺とお前って似てるとこあるよな」
似てると言われてもピンと来ない
「似てる・・・?似てるってどこが?」
「えっ⁉」
「・・・どう言ったらいいか・・・してきた苦労が同じっつうか・・・これからする苦労が同じっつうか・・・」
「ああ・・・いいよ、わかった・・・俺もなんとなくわかったからいいよ」
高専に在籍中だった頃、悟の奇行に振り回されてきた
「まぁ、せっかくだし、似た者同士仲良くやろうぜ」
「危ねぇ!!」
「うおああ⁉」
呪霊が近づいてきていたことに気付いた
「助かったぜ!借りは返す!」
「何の!」
1体の呪霊がやられたことで他の呪霊が騒ぎに聞きつけてわらわらと現れて群れを成す。
(あれっ?体が動いて当然のように助けちまったけど・・・これは逃げるチャンス!)
わらわらと現れてくる呪霊を見て、戦闘に乗じてうまくやればこの場から離れることができると
「ぞろぞろとお出ましかぁ。まるで魚の群れみてぇだ」
「等級から見ても弱いけど、数だけはいるぜ」
「よぉし!!カカッと片付けるぜ!燃料にしてやる!」
ぞろぞろと自分たちを囲い込む呪霊たちに向かって
●
等級の弱い呪霊がいくら集ったところで、2人の敵ではない。数十分も経たずして、呪霊の群れは全滅した。
「ふぅ・・・こんなもんかな。そっちも片付いたみたいだな、
ウィイブは黒い剣を担ぎ、後ろを任せていた
「あれ?あれれ?」
突然
●
姿を消したその
「乙骨先輩のお墨付きなんだ。普通じゃ逃げられないと思うよな。でも・・・インクルシオの透明化があれば、話は別だろ」
●
1人残ったウェイブは消えた
「おっかしいなぁ・・・。
(まっ・・・まさか・・・逃げた・・・⁉)
「やべぇ!!気持ちはわかるがそうはさせねぇぞ!!俺だって死にたかねぇんだ!!」
尋常でないほどに焦りを見せるウェイブはふと黒い剣に視線を向ける。
「・・・仕方ねぇ!」
(あなたの力を貸してください!)
灰原さん!!
ザンッ!!
「グランシャリオオオオオオオオオオ!!!!!!!」
●
透明化を使って逃亡する
「透明化は時間切れか。でも、ここまで来れば追ってはこれないだろう」
追い越せないとは言っても、他の術師がいるかもしれない。
「!!?」
突如として何者かの殺気を感じ取り、
ドゴォォォン!!
何者かが降りてきて、着地してきたと同時に大きな蒸気が噴出され、地面が抉れて大きなクレーターが出来上がる。
「な・・・なんだこいつ・・・⁉」
「おいおい・・・とんだ大物に出くわしちまったぜ」
立ち込める蒸気の中より現れたのは、顔と体に漆黒の鎧を纏った男であった。
「知ってるぜ、インクルシオ。このグランシャリオのプロトタイプ。そして何より・・・それを着てるってことは、お前、総監部を裏切った呪術師だろ?なるほど、悪魔の巣窟には胡散臭い奴も潜んでるぜ!」
黒い鎧から発せられている声はウェイブであった。
(目的変更!逃げた
ウェイブはインクルシオを身に纏っているのが
(こいつ・・・ウェイブか?それとも別の追手?とにかく・・・!)
自分の正体がバレていようがバレていまいが、
「あっ⁉」
(他の奴らと出くわすと面倒なことになる!早く離脱しないと!)
ドォン!!
「!!?」
逃げ出そうとする
「逃がさないぜ。腹くくって戦いな!」
立ち塞がるウェイブは自身に蒸気を身に纏い、それを噴射して
「よせっ!お前と戦う理由がない!」
対して
「お前になくても、俺にはあるんだよ!」
防御に集中する
「うげっ・・・!」
「渋谷事変でのことは資料で読ませてもらったぜ。お前、総監部を裏切っただけでなく、エスデスさん直属の三獣士を殺したそうだな。おまけに宿儺の器である虎杖悠仁と繋がりがあったらしいじゃねぇか」
どうやら三獣士の死については羂索と繋がりがある上層部が都合の悪いところを隠すようにある程度の事実は改ざんしているようだ。とはいえ、真実も混じっているため、全てが嘘というわけではない。
「何の罪もない渋谷の人たちを皆殺しにした大悪党と一緒にいるんだ。殺されたって文句は言えねぇよ」
宿儺の大量虐殺の真実と悠仁の人柄を知らないウェイブの発言を聞いて
「・・・違う。確かに渋谷でのことは言い訳できない事実だ。けどあいつは、好き好んで宿儺と変わったわけじゃない」
「虎杖悠仁は、悪党なんかじゃねぇ!!」
(!来るか!)
強い殺気を感じ取ったウェイブは何が起きてもいいように身構える。ゆっくりと
『熱いだけじゃ生き残れないぜ』
(!)
その言葉を思い出して
(そうだった・・・!ここは何としても逃げ延びて・・・みんなに情報を・・・!)
逃げ出す
「あくまでも戦わないっていうなら・・・一方的に行くぞ」
(!ヤバい!)
強い殺気を感じ取り、
ウェイブ自身には術式は持っていない。しかし、彼の身に纏う特級呪具、修羅化身グランシャリオにはとある術式が込められており、グランシャリオを身に着けることで初めてその能力を使用できる。呪力を水、術式をボイラーとして蒸気を構築し、それを攻撃に転用するだけでなく、爆発的な身体能力を得られる術式。その名を・・・
蒸気呪法
「グランフォール!!」
ドゴォ!!!ドパアアアアアアン!!!
急降下の勢いに乗った強烈な蹴りを受けた
「手応えバッチリ!川の中に蹴り込んじまったが、決して見失っては・・・」
川の中を凝視するウェイブだったが、川のどこを見回しても
「あれっ⁉いねぇ!どこだ⁉」
倒すべき敵を見失ったことでウェイブは焦りを見出す。
「・・・あ!川の流れに乗って泳いで逃げたのか⁉村1番の海の男にそいつは無謀だぜ!」
泳いで逃げたと思い込んだウェイブは
バシャアン!
ウェイブがいなくなったタイミングで途端に水飛沫が上がり、何かが地に這いずる。それは、透明化を再度使用してその場をやり過ごした
「お・・・応戦せずやりすごせた・・・。あっちには透明化の機能はないみたいだな・・・」
川から上がってきたはいいが、あまりのダメージで体力に限界が来て
(最後の蹴り・・・すげぇ威力だった・・・防御に専念しなきゃ死んでた・・・。でもこれで・・・やっと離れられる・・・)
ドパアアアアアアアアン!!!
【今日・・・はぁ・・・大漁・・・】
川の中に潜んでいた呪霊が騒ぎを聞きつけて飛び出してきた。呪霊の目には倒れてる
(呪霊⁉くそっ!何つータイミングで!)
応戦しようにも
(・・・ダメだ・・・ダメージがでかすぎて応戦できねぇ・・・やられる!!)
呪霊は大きな口を開けて
グイイイイ!
【たい・・・たい・・・?】
突然呪霊が何かに引っ張られるように
ドゴォ!!
男は突っ込んできた呪霊に拳を叩き込んで、呪霊を祓った。
(え・・・今・・・何が・・・起き・・・)
何が起きたのかわからない
「金ちゃん、この子だよね?」
「ああ。モニタールームで見た奴だ。間違いねぇ」
●
「ん・・・んん・・・」
河川敷の橋の真下で
「ここは・・・」
「お、起きた!」
「大丈夫か?よかったぜ、無事で」
「たくっ、手間取らせるんじゃねぇ」
隣には、必死の思いで合流したかった悠仁と恵、そしてパンダが座っており、
「悠仁・・・伏黒・・・パンダ先輩・・・いっつ⁉」
「あぁ、無理すんなって。まだ傷は癒えてないんだから」
「・・・ここは・・・?」
「河川敷の真下だ。今は綺羅羅の術式で誰も近づけない。心配するな」
「綺羅羅・・・?」
「目ぇ覚ましたか」
何が何だかわからず疑問符を浮かべる
「思ったより元気そうじゃん。安心したよ」
「姉さん・・・隣の人たちは・・・?」
「ああ。こいつらが、高専の3年の秤金次とキラちゃんこと星綺羅羅だ」
「!」
目の前にいる2人が自分たちが仲間に引き入れようとしていた高専の3年生であると理解し、
「安心しな。ちゃんと協力はこぎつけたぜ」
「いやー、ビックリしたよ。大きな音が聞こえたから様子を見に行ってみたらタッちゃん死にかけで襲われそうになってたからね。焦っちゃったよ」
(!そうだ、あの時・・・)
自分が気を失う前に、おぼろげながら呪霊を祓った秤たちの姿を見ていた
「ってことは俺を助けたのは先輩たちってことだよな?ありがとうございました」
「うん、いいよ」
「っにしても派手にやられたじゃねぇか。氷女の仕業・・・じゃねぇんだろうな。あいつだったらその程度で済むわけねぇし。和倉、お前向こうで何があった?」
「・・・えっと・・・話せば長くなるというか・・・」
秤の問いかけに対し、
●
一方その頃、
「・・・あの・・・なんていうか・・・本当に申し訳ありませんでした・・・。このウェイブ、深く反省しております」
任務から戻ってきたエスデスの手によって失態を犯した罰としてパンツ一丁で石抱きの刑に処されていた。
「
「は、はい!えと・・・ごめんね?」
ゴトッ!
「あだだだだだだだだ!!」
エスデスの指示で
「インクルシオならば中身は100人斬りのブラートだろう。強者であるのは間違いないが、だからと言って逃がしていい理由にはならん。
ポタタッ
「ああああづあああああ!!」
「ウェイブ・・・お前の強さの技量は完成されてると疑いはしないが・・・どうやらメンタルの方は甘いようだ。反省することだ」
ウェイブの強さこそ認めてはいるものの、詰めの甘さが目立つ彼に対して、エスデスは呆れてため息をもらす。
「今回は後水責めと鞭打ち程度の御遊戯で済ませてやるが・・・」
(御遊戯⁉)
絶対御遊戯程度で済まされない拷問でウェイブはツッコミを入れたくなるが、エスデスから発せられる威圧感にすぐに押し黙る。
「次に失態を犯したら・・・私自らお前を処罰する。肝に銘じておけ」
ゾッ・・・
「は・・・はい・・・」
彼女から発せられる静かながらも凄まじい殺気を前にウェイブはただ顔を青ざめ、ただ返事を返すことしかできなかった。
「
「一応今も『視覚共有』はしているんですけど・・・こう広いと見つけられなくて・・・」
「ふむ・・・この様子では、望みは薄いかもな・・・」
「エスデスさん・・・その
と、ここで
「先ほどの話ではあいつの目的は五条悟の解放なのですよね?」
「ああ。大胆にも私に協力を仰いできたくらいだからな」
「そうなった場合、
今集まっているメンバーのほとんどは総監部の指示に忠実に従う言うなれば保守派寄りの術師ばかりで総監部の命令は絶対だと思っている。しかし自分たちの上司であるエスデスは
「・・・正直・・・
弱肉強食を理論とする彼女にとって総監部の命令に従った方が都合がいいと考えている。それゆえに、例え敵対関係になるのだとしても、彼女の意思はブレない。いや、むしろそうでなくてはならないとさえ考えている。
「了解しました」
一同がエスデスの命令に了承すると、エスデスは椅子から立ち上がり、
(もし・・・殺されるようならそこまでの男ということだが、お前はそんな弱者じゃないだろう。これは確信だ。あいつには生き延びる強かさを持っている。不思議なものだな・・・
強い者だけが生き残るこの呪いの世界で
●
悠仁たちが身を隠している東京の河川敷の真下。
「・・・以上が、俺が見てきたことの全てだ」
「日下部が言ってた噂は本当だったか・・・キッツいなー・・・」
「確かに、高専には術式を持っていない術師が何人かいる。羂索はそいつらにも目を着けていたのか・・・面倒だな・・・」
「どうして?」
恵が問題視している事態を理解していない悠仁に恵は呆れる。
「術式が目覚めたってことは、そいつらも
「あ・・・!」
恵の指摘に盲点だった悠仁はそれに気が付き、深刻な表情を浮かべる。
「でもグリーンが味方になってくれたのは大きい。あっち側に1人でも味方がいれば、新しい情報が手に入るかもしれん」
「それと、グリーンの言っていた東京第1にいる義兄妹。そいつらの協力をこぎつければ、俺たちの行動も有利に進むかもしれない」
「本当にそいつは信用できるのか?」
パンダと
「あいつには信頼できるほどの熱はある。そこは信用していい。俺が保証する」
「・・・秤さんがそう言うなら・・・まぁ・・・」
秤からのお墨付きもあり、いったんは納得する恵。
「なんにしても、欲しい情報が集まっただけでも大きな収穫だ!よくやったぞ、
ムニュッ!
「んぶ・・・」
「うほっ・・・」
有益な情報を持って帰ってきた
「す・・・少しでも情報が役に立ったなら拉致られた甲斐があったってもんだよ・・・」
「なんだよ拉致られた甲斐って」
思春期真っ盛りな
「で、実際にあいつらの強さはどうだったよ?間近で見たんだろ?」
パンダに質問された時、
「・・・メンバーの実力は多分俺たちと互角か、あるいはアマさんたちと同レベルだと思ってる。けどエスデス・・・あの人の力は別格だ。五条先生と互角レベルと言われるのも納得できるほどだった」
実際にはエスデスの戦った姿は見ていないが、ファイトクラブで拉致された時、
「だろうなぁ。あの氷女は底が知れねぇ。正直アカ先でも勝てるかどうかっていうレベルだ」
「となると、やっぱ来栖
「ああ。獄門疆の封印さえ解けば、五条先生は解放される。そうすれば、死滅回游も一気に片がつく」
「じゃあ、俺たちのやることに変更はないな」
「ああ」
一同のやるべきことが決まり、皆気合が入った表情になる。
「獄門疆の封印を解ける天使と来栖
これで準備は整った。後はコロニーに突入して、各々の役目を全うするのみだ。