カプセルコーポレーションに入社します!   作:ドッカン太郎

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鳥山明先生が亡くなられました。
あまりにショックです。

ドラゴンボールは永遠に不滅です!!!


結婚式準備

 

 

 カプセルコーポレーションで開催される孫悟飯さんとビーデルさんの結婚式にピンチが早速訪れた。250人分の食事を提供するためのお手伝い要因を確保できないのだ。それぞれの班も結婚式関係の業務で追われているようで、人手が避けないのだ。

 俺は早速班全体のチャットでこの件を報告し、相談する。

 

『ケリー:さすがに各班一人もしくは二人ずつって厳しいよな……他の班からも応援を要請するか』

『レベッカ:そうねぇ。もう少し範囲を広げてもいいかもしれないね』

『ケリー:うーん、まあそうするしかないよな。最悪無理なら外注か』

『レベッカ:外注は多分社長嫌がるよ。例によって不思議なお仲間が来るんだから。秘書室でなんとかするしかない』

『スカット:ベンさん、調整ありがとうございます。とりあえず追加のヘルプを手配する必要がありますが、レベッカさんのがおっしゃるとおり、外注はできれば考えたくはないですね。他の班にも手を広げる必要がありますので、とりあえず開発班のロボットを借りられそうか聞いてみてはいかがですか?』

 

 なるほど、ロボットを使うのはありだ。正直この秘書室の人数はそう多くはない。かといって、秘書室以外の人間にヘルプを頼むことはできない。ならば、ロボットに活躍してもらうしかないだろう。

 ……ただ、ライムがこの案件に関わりたいと思うだろうか。彼女はもともと孫悟飯が好きだった。そんな相手の結婚式に協力するなんて、普通は嫌なはずだ。

 けれど、これは仕事だ。ライムがどう思おうと、嫌がろうととりあえず開発班に連絡はしなければいけないだろう。それにライムがこの案件に関わるとは限らない。俺はわかりましたとチャットで即答し、開発班にメールで要請した。

 

 

***

 

 

「ふーん、なるほどねえ……結婚式のヘルプかぁ」

 

 開発班に所属する、金髪のミディアムヘアの小柄な女性・ステイシーは、自身の端末に届いた一通のメールを見て頭を悩ませる。

 開発班の仕事は、ブルマ社長が極秘に開発しているガジェットを整備し、商品化できるものがあれば商品化し、できないものでもメンテナンスを行ったり、社長でなくてもできる範囲のものの開発を行ったりするというものであり、手につけているガジェットの数はかなり多い。もっぱらの案件は、社長の夫ベジータが頻繁に使用する重力室のアップデートで、ついさっき、「300倍から500倍に重力を引き上げろ」と新入社員のライムを介して言われたばかりなのだ。

 しかもこれは、単に数字をいじれば解決する問題ではない。500倍の重力ということは、自分の体重が60キロだとしても、30トンもの質量となる。オスの象ですら6トンであるので、その5体分の重量があらゆる箇所にかかっているので、最低でも30トンもの重さに耐えられる床を作る必要が生じるのだ。現在は硬度の高いダイヤモンドを含む床で300倍の重力を耐えているが、500倍となると、ダイヤモンドの割合を増やしていく必要がありそうだ。当然とんでもないお金がかかるのだが、カプセルコーポレーションの旦那を満足させるためだけでしかなく、利益には全くならないのであらゆる部署から難色を示されるのは間違いないだろう。

 百歩譲って秘書室はいい。みんなベジータの性格を理解しているので、まあしょうがないで通してくれる。問題は新本社にいる予算担当だ。開発する品目に関してはトップシークレットなため詳細を言えないのだが、それにしても毎回要求額が多すぎると指摘を受けてしまっている。最終的にはブルマ社長を召喚して新本社の予算担当を納得させてはいるのだが、毎シーズン必ず起こるので正直萎えてしまう。

 

 そんな状況で来た、結婚式のヘルプ依頼。給仕ロボット及びロボットの整備担当1名を派遣してほしいという内容だ。正直こんな案件に時間も人も割くわけにはいかないし断りたいのだが、ブルマ社長の大切なご友人でなおかつかつてセルから地球を救った英雄・孫悟飯と、世界中の希望のシンボルであるミスター・サタンの娘のビーデルの結婚式とあれば、社として失敗は許されない。低姿勢にパーティー調整班が頼み込んでいるのに無情に突っぱねようものなら、後々のこの班の立場も悪くなる。

 

「ステイシーさん、ロボットのメンテナンス、終わりました!」

 今日配属されたライムの報告で一気に現実に戻る。お疲れ様ですと言って、ライムがメンテナンスをしたロボットたちの様子を見る。初日なのにメンテに漏れがなく、完璧にチェックされている。余計な改造も加えていないのもグッドだ。

 

「ライムさん、物覚えいいわね! 明日も引き続き頼むわね」

「はい、ありがとうございます! 次は何をすればいいですか?」

「そうね……あのさ、このメール見てもらえる?」

 

 ステイシーは、パーティー調整班から送られてきたメールをライムに見せる。くりっとした大きな目で覗き込み、なるほどと小さく呟いた。理解が早いなと感じる。

 

「今ね、ブルマ社長の友人の孫悟飯さんとミスター・サタンの娘さんのビーデルさんとの結婚式で、うちのロボットと整備士を貸してくれって言われているの。ライムさんロボのメンテナンス調子いいみたいだし、経験たくさんつめると思うからやってみない?」

「は、はい! うまくできるかどうかわかかりませんが、頑張ります!」

「わかんないことあったらいつでも聞いていいからね。じゃあ私はちょっと班長に相談してみるね!」

 

 思ったよりトントン拍子に進んだ。躊躇されるかなと思ったけど、かなり意欲的だ。これは期待の新人を引いたなと、ステイシーはガッツポーズを決めながら、班長であるレコンのもとへ向かった。

 

(やった……! 孫悟飯くんに会える!)

 

 ライムはステイシーが去ったのを確認して小さくガッツポーズをした。正直、意欲的に仕事を覚えようという気持ちよりも、孫悟飯に会いたい気持ちで引き受けた。

 

 だが、孫悟飯夫妻はすべての打ち合わせをブルマを窓口にしてリモートで行ってしまったので、なかなか会えなかった。というのもビーデルは有名人であり、結婚ということが周囲に悟られてしまったら、マスコミが嗅ぎつけたりして面倒事になりかねない。しかも、新郎側の素性も奇異極まりないものであるので、余計に避けなければいけなかった。ライムは非常に残念がっていたが、こればかりは仕方のない処置であるだろう。

 ただ、そこからライムにいろんな案件が雨あられの降り注いだせいで、そんなことに意識を割く余裕などなかった。

 重力室のアップデートはまだかとベジータさんにせっつかれたり、地球製のものではないボディプロテクターの量産を社長から依頼されたり(主にベジータさんの普段着として使用する)、ドラゴンレーダーの修理のための部品調達をしろと言われたりと、孫悟飯への恋慕の気持ちを忘れて仕事に集中しろと言われているようだった。

 

***

 

 

 俺もまた、時間の流れは本当に早く、気がつけば入社してから1年近く経っていた。

 開発班からロボットを100台と整備員としてライムを借りれたのはいいが、食材の配送が遅れたり、予算を急遽借りなきゃいけなくなったり、マスコミが嗅ぎつけてきたのでその対応とか、諸々の問題を片付けていくうちにもう結婚式前日になっていた。

 その頃には俺もライムも自分の班の仕事をある程度一人でこなせるようになり、戦力として数えられるようにまで成長していた。

 今日は久々にライムと飲みに行くことになっており、入社前の研修のときに入った格安の焼き鳥チェーンに入っていた。

 

「お疲れ様〜!」

「お疲れ様!!」

 

 俺達のグラスが心地いい音でぶつかり、金色に輝くビールを思い切り喉にいれる。瞬間、清涼感が灰色に染まった脳を突き上げ、思わずぷはあと息を吐く。

 

「ベンったら、おじさんみたいだよ」

「そういうライムだって俺以上にプハーって言ってただろ」

「い、いってないもん!」

 

 頬を膨らませながら抗議し、ビールをもう一口呷る。

 

「いよいよ明日だね!」

「そうだな、色々あったなあ……」

「ベンのところ絶対大変だったよね。一番大変だった準備は?」

「やっぱマスコミ関連だったな。どこからか、ビーデルが結婚するなんて話が噂に流れてて、うちに取材に来たことがあって……」

 

 思い返すこと5ヶ月前。ある日突然週刊誌Zの記者がアポ無しでミスター・サタン宅にいたビーデルに突撃し、ビーデルからブルマ社長に抗議の電話が入ったことから、怒涛の調整が始まった。当然犯人探しが始まったが、うちの社員から漏らしたとあれば、懲戒解雇になりかねないので皆その時は怯えていた。

 結果として、情報源はCC社員ではなく、昔ビーデルに逮捕され釈放された犯罪者が、男(しかも孫悟飯ではなく、その父の孫悟空だった)と歩いているところを目撃しタレコミしたというだけだったのだが、特に確証もなくプライバシーを侵害してくれたおかげで嘘だと言い張ることができたのだった。しかし、孫悟空さんが正直見た目的に20代くらいに見えてしまうのもいけないと個人的には思う。

 

「あー、その件か。うちの開発班にもヒアリングがあったね。ヒヤヒヤしたなああのときは」

「まあでもほんとに結婚するから、その時の発表は慎重に考えないとな」

 

 また仕事のことを考えてしまったので、俺はそれを忘れるようにビールを飲む。

 

「なあライム。明日緊張する?」

「え? まあパーティーのスタッフなんて初めてだしね」

「そうじゃなくて、孫悟飯さんと会うことに」

 

 ライムは一瞬だけ顔を曇らせてうーんと苦笑いする。

 

「もう無理だってわかって1年近く経ってるし、流石に諦めはついたよ。むしろね、私の初恋の相手の晴れ姿を見るのが楽しみになってるの。でも、整備としていくから会うのは難しいかなあ」

 

 ライムは寂しそうな表情でそう語る。けれど、もう吹っ切れましたと言わんばかりに微笑んでいる。だが、俺にはまるで、戦場で派手な怪我を追っているくせに想い人にそれを隠して思い切り笑う兵士のように見えてしまった。

 

「……なあ、新郎のロボットって整備はするのか?」

「ううん。新郎お付のロボットに異常がないかどうかはリモートでわかるの。何か異常がないと駆けつけることはないかな」

「なるほどな。そういや俺今日足が痛くてさ。ロボットにぶつけちゃったんだよ」

「え、そうなの? だいじょうぶ?」

「ああ。けど、ロボットって精密機械だしどうだろうな」

 

 ライムは一瞬だけ目を揺らし、ありがとうと小さな声で返してくれた。

 きっと彼女が一番したいことは、孫悟飯の隣に立つことだっただろうが、それはもう叶わない。ならせめて、彼女に悔いが残らないようにと願うしかないだろう。

 最初期にみせてくれた、恋する乙女のような表情に戻った彼女の姿を見て俺は微笑まざるを得なかった。やはり恋している女の子の顔は可愛いのだ。

 

「なあ、ライムは孫悟飯さんのどういうところに惹かれたんだ? 俺、なにげに会ったことないからよく知らないんだよ」

「あ、そっか。直接こっちには来なかったもんね。今はどうかわからないけど、とっても優しい男の子だったよ。体は正直細いんだけど、おじいちゃんは世界の誰よりも強いだろうっていってた」

「そりゃセルを倒しちゃうくらいだもんな。でも、それでいて優しいなんて最強じゃないか」

「将来は学者さんを目指しているって言ってたから、頭もいいと思うよ」

 

 ハイスペック過ぎる。優しくて頭の良い人ならまあそれなりにいるだろうが、セルをも倒してしまえる強さをも併せ持っているなんて、天は何物を与えたら気が済むのだろう。

 

「じゃあ恋愛経験豊富なのかもな。そんだけのハイスペックじゃモテるだろ」

「んー、個人的にはそうは思えないな。最初は冴えない地味な子って印象だったし」

「よかったわ。これでイケメンだったら流石にやりすぎだよな」

「それはそうねっ。いくらなんでもやりすぎよ」

 

 まあそれでもミスター・サタンの娘のハートを射止めているわけだからすでにやりすぎだ。

 

「まあとにかく明日は楽しみ! ベン、ありがとね」

 

 ニコッと笑ってくれたその顔は、何故か今までで一番可愛く思えたが、俺はいつもどおりだと思っていえいえと返す。

 

「とりあえず、明日は成功させようぜ」

「うん! がんばろ!」

 

 俺達は成功を祈ってグータッチをし、その後ケラケラと笑ってから店を出た。

 さあ、いよいよ俺達が作った結婚式だ。

 

 

 

 

 

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