B&T~記憶喪失の転生者、伝説級の暗殺術で異世界ディストピアをぶっ壊す~   作:五島七夫

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宿屋にて クラウディア・アリギエーリの場合

「……というか、それなら私も敬語抜きにしていいですか?」

 

 何やら机の上に小包を置いてから、クラウは呆れたような目でこちらを見ている。

 

「いや、お前はもうちょっと周りを敬った方がいいからそのままで」

「ひどい! 横暴です!」

 

 ぶーぶーとぶー垂れているが、別に本心から気にしている様子ではない。というか、こう適当なのが彼女の良いところである。うん、きっと良いところに違いない。

 

 クラウディア・アリギエーリ、教会から追放されたという、神聖魔法の使い手。そういえば、自分で考えたカッコいい二つ名で大聖堂の異端者とかなんとか言ってた気がするのは、今更ながらにそういうことだったのかと納得する。

 

 とはいえ、悪い奴ではない。追放されたのはその身に二つの魂を宿しているから誤解を受けただけ、らしい。しかし、もう片方の人格――ティアと言うらしいが――には自分はまだ会ったことが無いので、本当にもう一人の人格があるのかは分からないのだが。

 

 今、目の前に居るのはクラウという人格。ひとまず彼女は適当でいい加減、そのうえ絶望的な方向音痴だが、面白くて話しやすいので、会話をしていて楽しい相手だったりもする。

 

「いいですよーだ。せっかく朝食を作ってきてあげたのに。ひどいこと言うアラン君にはあげませんから」

「な、料理とかできたのか」

「え、なんですそんなに意外です? 今度は割と真剣にショックなのですが……」

 

 確かに、今度のリアクションは少々薄い。反応が大げさな時は元気だが、こういう時は割とマジっぽい。更に追い打ちを掛けるように、今は朝の九時、このまま昼飯まで何も食べないでおこうかとも思ったが、確かに腹も減っている時間帯であり、朝食をいただけると大分ありがたいのも確かだ。ここは素直に謝ることにする。

 

「いや、すまん、意外というより、腕っぷしが強いからな。自分で作らなくても、飯にありつけそうじゃないか」

「それはそれ、これはこれ、腕っぷしと料理の腕は関係ないですし、あと女の子に腕っぷしとか言うのもどうかと……まぁ、所詮アラン君の戯言ですからね。私は心が広いので、今回は特別に許してあげます」

「ぐぬ……なんか癪だ」

「ふふーん、お返しですよ。さ、どうぞ」

 

 そう言いながら、クラウは目の前の包みを開ける。中にはバケット風のパンで出来たサンドイッチが入っていた。手に取ってみると、野菜と焼いた鳥肉を挟んだシンプルなサンドではあるものの、野菜の切り方などは綺麗なので、なるほどこれは手慣れている者が作った感じがする。

 

「おう、旨そうだな。いただきます」

「はい、めしあがれ」

 

 サンドに噛り付く。旨い。少々パンは硬いが、そもそもこれはパン屋で買ったものだろうから、クラウに言うのもお門違いだろう。

 

「うん、旨いよ。さすがは銭ゲバの錬金術師」

「なんか色々混ざってる!?」

「錬金術師で思い出したが、薬草は結局どうしたんだ?」

 

 もとはと言えば、ハイデル渓谷に薬草を取りに行ったのが龍の騒動の発端だった。その後、あれよあれよという間にパーティーを組むことになったが、そういえば元々薬草の調達を依頼していた人物すら俺は知らない。

 

「あぁ、アレですか。昨晩なんとか調合して、半分はジャンヌさんに卸しておきました。残りも今晩中に終わる予定です」

「そうか、依頼主はジャンヌさんだったのか」

「はい……それで、報酬はどうしましょう? パーティーなら、財布をある程度まとめておくのも良いかと思うのですが」

 

 要するに、自分が預かったままにしておこうか、と聞いているらしい。銭ゲバと呼ばれているだけあって金銭感覚はしっかりしていそうだし、別に預ける分には問題ないが――しかし、俺だけ財布を預けて他の二人が渋ったら、変な感じになりそうである。

 

「その辺は、四人集まってからでいいんじゃないか? ついでにだけど、ソフィアが宿をどこにしようか考えておいてくれると助かるってさ」

「うーん、そうですねぇ。正式なパーティーになるなら、そうなりますか……」

「ちなみに、クラウはどこで寝泊まりしてたんだ?」

「私は、大聖堂の空き部屋をこっそり使わせてもらってました。ジャンヌさんとは、同じルーナ神を信仰していたよしみがあるので」

 

 そういえば、ジャンヌさんもルーナ神に使えているとか言っていた。同時に、現在はクラウはレム神の加護で魔法を使っているとも。その他、アルファルド神とかの名前もあったが、いかんせんレム神以外に馴染みがない。

 

「なぁ、ちょっと脱線だけど、レム神やルーナ神、というか教会について聞いてもいいか?」

 

 対面で、同じくサンドにかぶりついたクラウに質問してみる。クラウは嚙みながら頷き、飲み込んで後に話し出す。

 

「そういえば、アラン君って記憶喪失なんですよね……いいですよ、かるーくお話ししましょうか」

「あぁ、よろしく頼む」

「えーっと、教会の信仰について全部お話しすると長くなるので、大まかな概要と、ルーナ神とレム神についてお話ししますね。まず、教会は主神と、その僕《しもべ》である七柱の創造神を信仰しています」

「うん? 主神と創造神は別なのか?」

 

 地球の宗教でいえば、創造神と主神は同じ者が兼ねていたような気がするが。

 

「はい、それぞれ別の神です。主神の命に従い、古の悪しき神々を打ち滅ぼし、この惑星レムを作ったのが七柱の創造神、マグニフィセントワンズです。遥か昔、遠い世界で、古の神々の間に激しい戦争があったといいます。

 その際、主神の言いつけを守って戦ったのが七柱の神達です。激しい戦争の末、古の神々が去った後、神々の世界はひどく荒廃してしまいました。そして七柱の神が新しく作った世界がこのレムであり、私たち人類や、動物たちをお創りになられたと。それで、七柱の創造神と呼ばれるわけです」

「ふむ、つまり、ルーナやレムは、その七柱のうちの一柱なんだな?」

「そういうことです。実際、教会の教義的には主神が最上位には置かれているものの、正直あまり人気はありません。その主神の詔は、全て七柱の創造神が受け、それぞれ世界が良くなるよう治められていますので……我々の信仰は、自然と七柱の創造神に集まります。その中で最も人気なのが、月の女神ルーナです」

「へぇ、レムが一番人気じゃないんだな」

 

 馴染みがあるし、惑星や大陸の名前にもなっているくらいだから、レムが一番人気かと思っていたのだが。

 

「はい。レム神も人気なのですが、厳格な神として知られていますので。慈愛の神であるルーナと比べると、大衆人気は落ちる感じですね」

「マジか」

 

 つい驚きが口から出てしまった。しかし、手に『バカがみる』とか書く奴が厳格とは、にわかに信じ難い。まぁ、伝承と実態は違うといったところか。クラウもサンドを食べ終わり、腕を組んで頷いている。

 

「そうですねぇ、実際、ルーナ神の加護が無くなった私に力を貸してくれていますし、レム神はみんなが思っている以上には優しい女神な気がします……まぁ、あの子のことは、やっぱり思い出しますけれど」

「あー……えーと……?」

 

 確か、アガタ、なんちゃらとか――聞いたのが一度では、いや何回か言ってたのかもしれないが、やはり自分の口で言わないと名前というのは覚えられないものだ。

 

「アガタ・ペトラルカ、です。まぁいいんです。あの子とレム神は別なんですから……逆に、ルーナ神のことは、少しわからなくなりました。私のことを愛しているから、力を授けてくださっていると思っていました……」

 

 クラウは俯いて、自分の体をその両手で抱きしめている。まるで、何かに震える子供のように――とはいえ、きっと彼女もソフィアが魔術にささげたのと同じく、その生涯の多くをルーナ神への信仰に充ててきたのだ。自分を見限ったやつのことなんか忘れればいい、なんて言うのは簡単だが、彼女の今の態度を見るに、そう単純なものでもないのだろう。

 

 しかし、どう慰めたものか――元はと言えば、こっちが神の話を聞き始めたせいで、彼女のスイッチが入ってしまったのだ。落ち度はある意味こちらにあると言えるかもしれない。なんとか元気づけようと頭を巡らせるが、こちらは如何せん、ルーナやアガタとやらについて知らないから、どうもこうも言いようもない。

 

「……まぁ、俺はクラウのこと、良い奴だと思ってるぞ?」

「……は?」

 

 クラウは顔を上げて、目をパチクリさせている。

 

「なんですか、それ、慰めてるつもりです?」

「あーうん、つまり、そういうことになっちゃうかな?」

「やはり所詮アラン君、ですね。慰めるのがへたくそすぎです。むしろ、ごめんなさいね。変な空気にしてしまって」

「お前は普段のほうが空気を変にしている気がするがな?」

「はー、まったくアラン君なんですから」

「おいやめろ、人の名前を罵倒の一種みたくするな!」

 

 クラウは手をひらひらせて、なんのことやら、という表情でこちらの制止を流してしまった。まぁ、元気になったので良しとしよう。そして、ちょっぴりむしゃくしゃする気持ちをサンドの最後の一切れに込めて飲み込んでいるうちに、クラウが手をぽん、と叩いた。

 

「そうだ、アラン君、ティアと話したことないですよね?」

「あぁ、傷を治してくれたらしいけど、まだ話せてないな。ついでにごちそうさん」

「はい。お粗末様でした。それなら、今からちょっと交代しますね……」

 

 クラウはそう言いながら目を瞑った。少したって目を開くと、そこには青い瞳がある――いつもと変わった感じはしない。

 

「……変な話、しないでくださいね?」

 

 まだ交代していなかったらしい。こちらの返答も聞くこともなく、クラウは再び目を閉じた。一瞬、肩の力が抜けたように見え――再び目を開いた時には、今度は瞳の色が青から朱色に変わっていた。

 

「やぁ、アラン君。ボクがティアだよ」

 

 クラウの体なのに、本当に別人のような雰囲気に変わった。ティアと名乗る少女は、気だるげに右手を上げて挨拶してきた。ある意味、クラウ以上にすっとぼけた調子。この一言だけで、なんとなくもう一つの人格の人となりが伝わってくる。クラウがかしましく、その実は割と肩に力が入っているのに対し、ティアとやらは脱力系のすっとぼけらしい。

 

「あぁ、初めまして。傷、治してくれてありがとうな」

「どういたしまして。と言っても、治したいと思ったのはクラウさ。ボクは、クラウの希望を叶えただけ。祈りはクラウのもの。だから、クラウにも礼を言ってあげてくれ」

 

 そこでティアは話を切って、手を口元にあててくすくすと笑い出した。

 

「うん? 何がおかしいんだ?」

「いや、実はね、ボク達は意識を共有していたり、していなかったりする。大体のケースでは、お互いに覚醒状態なのだけれど……ちょっとアラン君と話している間、クラウに眠っていてってお願いしたのさ。だから、変な話はしないでくれと釘を刺されたんだね」

 

 可愛いねぇ、なんて笑いながら、ティアは手をひらひらせた。

 

 しかし、元々解離性人格障害と思っていたのだが、瞳の色が変わる、とまでなるならば、単純な多重人格ではないのかもしれない。それこそ、魔法のある世界なのだ、本当に霊か何かが取り憑いているのかも――。

 

「……ふふふ、アラン君、そんなに真剣な見られたら恥ずかしいよ?」

 

 当の本人は全然恥ずかし気ではないが、確かに無為にじろじろ見てしまったのは確か、少し身を引いて謝ることにする。

 

「えーっと、すまない」

「いやいや、いいんだ……うん、君はやはり不思議だね。クラウは気付いていないようだけれど……記憶喪失は嘘でないとしても、君は何か、ボクに近い存在な気がする」

「うん……?」

 

 ティアが机から身を乗り出して近づいてくると、雰囲気が一転する――その瞳の赤が妖しく揺らめいているからだろう、まるで蛇に睨まれたかのような気分になる。

 

 なんとなく、彼女はこちらの深い部分まで見透かしているような気がする。こちらが転生者などとは分かるはずもないのだが、それでもそれに近いところまで、この子は感じ取っているのかもしれない。

 

 しかし、ボクに近い、とはどういう意味だろうか。その真意を聞く前に、ティアは乗り出していた身を背もたれに預け、小さく笑った。

 

「……ごめんよ。ちょっと意地悪してしまったかもしれないね。まぁ、クラウをいじめている分、ささやかなボクからのお返しということで」

「いや、いじめてるんじゃなくて、アイツとは遊んでいるだけだぞ?」

「ははは、面白い。そうだね、クラウもその気みたいだから、いいんじゃないかな。これからもクラウのこと、よろしく頼むよ。それじゃね」

「え、おいちょっと……」

 

 待ってくれ、そういう前に、少女の肩の力が抜けたように見えた。そして目を開いた時には、いつもの青い瞳に戻っていた。戻ってすぐ、ちょっと上目遣いな調子で、クラウはこちらを睨んできている。

 

「……なんか、変な話しませんでした?」

「えーっと、むしろ煙に巻かれて終わったような……?」

 

 クラウはほっ、と胸を撫でおろし、姿勢を正して椅子に座りなおす。

 

「まぁ、ティアはいつもそんな感じです」

「そうか……あぁそうだ、いつもクラウをいじめてるからって、ちょっと仕返しされたぞ」

「おぉ、さすがティア!」

「でも、遊んでるだけだって返したら、クラウもその気みたいだからって」

「ティアー!? ま、まぁとりあえず、挨拶は済んだのようなので良しとしますか」

 

 椅子から乗り出したり落ち着いたり、忙しい奴だ。しかし、忘れる前に、ティアに言われたことをクラウに言わなければ。

 

「なぁ、クラウ」

「はい、なんです?」

「ありがとうな」

「……? はぁ、まぁ私はいつでも清く正しく、礼を言われるように品行方正に生きている美少女ですが」

「美少女なことは別に否定はしないが、鏡を見ろって言いたくはなるな」

「美少女が映るだけですって」

「ハハハ」

「ハハハ」

 

 調子に乗るなと言いたいが、まぁ彼女自身がとぼけて見せているのはありがたい部分もある。エルもソフィアも真面目過ぎるから、彼女のようにいい加減な奴が一人いるくらいが丁度いいだろう。

 

 それに、別にティアに嫌悪感があったわけでもないが、クラウのほうがしっくりくる。ティアとはまた今度、機会があればゆっくり話せばいい。

 

 机に目をやると、クラウが包みを片づけ終え、膝の上に乗せてこちらに向き直った。

 

「さて、話をまきまきと巻き戻しますが……宿の件ですが、私も詳しくはありません。なにせ、ずっとタダで宿泊していたので」

「うーん、それならエルに聞くか?」

「いやぁ、エルさんも詳しくはないと思いますよ? あの人、高級な所に泊ってますもん」

「それだけ稼いでるって証拠じゃないか」

「いえ、勘ですが、アレは宿を探すのが面倒だから、高くてサービスの良いところを選んでるんです。少なくとも、リーズナブルな所は知らないと断言できます」

「確かにな……というか今更だが、別に同じ街の中の近い場所にいるんだし、別に今のまま別々に宿を取ってても良い気もするがな?」

 

 まぁ、もちろん同じ屋根の下というほうが、すぐに一緒に行動しやすいという利点はある。それに、相手は美少女三人なのだから、一緒のほうがテンションは上がる。とはいえ、男の自分はどうせ別部屋だし、とくにクラウとソフィアに取っては寝慣れているベッドもあるのだろうから、わざわざ一緒にする必要もない気もしてきた。

 

「私はソフィアちゃんに賛成ですよ」

 

 考えている途中で、クラウのほうからその一言が飛び出してきたのは意外だった。お金がもったいないからタダの所に泊り続けたい、とクラウこそ言いそうと思っていたのだが。

 

「へぇ、なんか理由はあるのか?」

「単純な理由ですよ。楽しそうだからです」

「……なるほど、それはとっても良い理由だ」

 

 クラウもソフィアも、このパーティーに愛着を感じてくれている。それならば嬉しいし――彼女たち全員、結構重たいものを背負っている子たちだ。もちろん、自分にできることも模索する気だが、同性同士で通じ合うものだってきっとあるはず。そう思えば、ソフィアの件は、自分より彼女のほうが適任だ。

 

「なぁ、ソフィアのことなんだが」

「分かってますよ。敬語禁止の件、彼女が少しでも誰かに甘えられるようにってことですよね? 私も孤児院でお姉ちゃんしている時期もありましたし、お任せください」

「あぁ、頼むよクラウ。お前のほうが歳も近いだろうし、同じ女の子同士だからな」

「言われなくとも。ソフィアちゃん、可愛いですからね……実はお近づきになりたかったんですよ、じゅるり」

「うわ……なるほど、これが事案ってやつか」

「そ、そうですよ? 私はアラン君にそれを伝えたくて、わざと言ったんですからね?」

 

 こほん、と咳払いをして、クラウは立ち上がった。

 

「ん、行くのか?」

「はい、調合を今日中に済ませたいので……宿の件、ジャンヌさんにも聞いてみますね。一応、午後にエルさんも来ると思うので、お金の件とか宿の件とか、色々聞いておいてください」

「あぁ……しかし、あいつまで来るかな?」

 

 エルは面倒見は良いが、どちらかと言えば助けを求められれば助けるタイプで、わざわざ自分からは来ない気がする。そう思っていると、クラウは口元に人差し指をあてて笑った。

 

「きっと来ますよ。昨日別れたあと、結構アラン君の体調、心配してたみたいですから……ただ、私は朝のお祈りがあるので早起きしますが、彼女こそ冒険者なので……」

「なるほど、朝は弱いと」

「はい。それで、多分ソフィアちゃんは昨日のうちに、エルさんは今日の午後に来ると思ったので、私はこの時間を狙ってきたわけです。私たち三人はお互いにそこそこ有名人なのでなんとなく人となりも分かっていますが、アラン君とは少し二人で話したかったので」

 

 確かに言われてみれば、クラウとはまだ三日分程度の付き合いしかない。まぁ、それはエルとソフィアもそう変わらないが――しかし、彼女ら二人とは、一対一で話す時間があったのに対し、クラウとはその時間が無かった。その分、危険な任務を遂行するための仲間として、彼女なりにテストしに来ていたのかもしれない。

 

「改めて、俺と組むのは問題なさそうか?」

「そうですねぇ、一緒のパーティーを組むのに、及第点ってとこでしょうか?」

「手厳しいな。まぁ、今後とも精進するよ」

「はい、改めてよろしくお願いしますね、アラン君。それじゃあまた明日の朝。場所は、ここの食堂に朝九時でいいんでしたっけ?」

「あぁ、そのはずだ。それじゃあ、また明日な」

「はい、それじゃあアラン君、また明日、です」

 

 そう言って微笑む彼女を見て、少しドキ、としてしまう。無駄に喋らなければ清楚な美少女なのだから、ちょっと高揚してしまうのも仕方なしと思いたい。

 

 肝心のクラウは、挨拶だけしてすぐ振り向いていたのが幸いだった。こちらが少し最後に緊張したのを知られずに済んだからである。

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