アイが可哀想で可哀想で……漫画で久々に泣きました。
ハマりにハマってアイをもっと見たいので二次創作の力を借りました。
原作が芸能界の闇に触れているので、マイルドに表現しますが闇に関するお話をよく入れると入れると思いますのでお気をつけてください。
それと未成年の喫煙や飲酒、性に関する話があるので、ご了承ください。
それでは前書きもこの辺で……
本編どうぞ!!
プロローグ
『愛』ってなんだろう?
親子・兄弟などがいつくしみ合う気持ち。
生あるものをかわいがり大事にする気持ち。
特定の人をいとしいと思う心。
互いに相手を慕う情。
ある物事を好み、大切に思う気持ち。
個人的な感情を超越した、幸せを願う深く温かい心。
辞書やネットで調べれば多数の答えが現れる。しかしこの言葉をどう実感すればいいのか?
『愛』は言葉で表すこと自体は簡単だ。
「じゃあ『愛』を見せてよ?」と言われたら……あなたならどうする?
「……くっせぇ」
そう呟いた。鬱陶しく吐き捨てるように。
お湯も少女にとって温かさなど感じられず作業のように浴びた後、風呂場から出た足で冷蔵庫の中から缶ビールを取り出し中身を口にする。喉が渇いていたのかすぐに飲み干すと缶を握りつぶしてそこら辺に捨てた。ゴミ箱があっても気にもする様子もなく膨らんだベッドの傍へ近寄ると上下しており、男が眠っていた……幸せそうに。
「……クソが」
少女はそう吐き捨て、衣服を身につけ机の上の
少女はそこから居なくなった。男を残して……
「……チッ、これぽっちかよ」
光あふれる街の影となる小さな脇道で少女は苛ついていた。折角
少女には似つかわしくないもの……煙草の箱。それを慣れた手つきで一本だけを煙草を取り出しライターで火をつけた。
「ふぅ……」
満足そうに吹かす。この瞬間が祝福だと表情が物語っていた。しばらくその時間を堪能した少女は煙草を道に捨て悪びれる様子もなく街中へと姿を消した。
この時の少女はまだ16歳であった。
宮崎県の地方ある病院に勤める産婦人科医、雨宮吾郎は生粋のアイドルオタク。彼は今、混乱の極みにいた。
アイドルグループ『B小町』その中でも不動のセンターである『アイ』を彼は推していた。しかし現実は非常であった。
「(推しのアイドルが妊娠しとる!!)」
その『アイ』が妊娠していたのである。この時の彼女は16歳であった。
『B小町・アイ 体調不良で活動休止』
ツイッターのトレンドに入っていたそれを少女は路地裏でスマホ片手に画面を眺めていた。
「……活動休止だって?へっ!そのまま誰からも忘れ去られて消えて
憎たらしく、恨めしそうに吐き捨てる。パーカーを着込みフードで顔が隠れた少女は苛ついた様子でポケットから煙草を取り出し火をつけた。煙草を吸っていると先ほどまでの苛立ちが収まっていく。そんな時にスマホにメールが届く。メールを開いた少女の顔に再び苛立ちが現れる。
「あの野郎またか!まぁ、金払いがいいから他の男よりもマシか。仕方ねぇ、今日はたっぷりと金を弾んでもらうか」
吸い終わりかけの煙草を吐き出して少女は路地裏へと消えた。そんな少女が目撃されたのは如何にも金持ちそうな男とホテルへ入るところだった。
『アイってなんで活動休止したんだ?』
『体調不良じゃないの?』
『絶対なんかあると思うんだよね。私の勘がそう告げている』
『もしかして……男?』
『それだったら俺死んじゃう……』
『いやありえないでしょ?まだ子供だぞ?』
『彼氏が出来たならそいつをぶっ〇す』
『やめーや物騒なことは。もし彼氏が出来たんだったらそいつを海に沈めてやる』
『拗らせオタク怖www』
『でも芸能界って闇が潜んでいるからわからんぞ?』
『それに妙な噂があるんだよね』
『噂?』
『アイには男がいるって噂』
『ちょ、マジ!!?』
『どこ情報よそれ!?俺知らないんだけど!!?』
『はぁ!?男マジで!!?うっそだろ!!?』
『そういえば前もアイには複数の男がいるとか噂が小さく流れたこともあったけど……これってマジなやつ?』
『やっぱりアイはビッチだったんだな。あいつには何かあると思ってたんだ。嘘つきめ!!』
『はい出たアンチ!』
『表出ろよ、久々にキレちまった……!』
『やめろって。バカなアンチ野郎に付き合うよりも情報くれ』
『情報によるとなんでも偶然見かけたらしくてさ。如何にも金持ちですって男とラブホに入っていくのを見たって奴がいるって』
『ラブホ!!?』
『写真あるの?』
『いや、あまりにも驚いて唖然としたとかで写真なんて取る暇なかったって』
『それ嘘じゃね?本当だったらスキャンダルじゃん』
『そう思いたいんだよね……』
『嘘だよね?嘘だと言ってよバーニ〇!!!』
『嘘かどうか知らん。あくまで噂だからな。これ以上のことは俺にはわからん』
『はぁ……もしそれが本当だったら俺死ぬわ』
『同じく』
『でもそんなことしていたら社長とかに怒られない?』
『もしかしてその男が社長?』
『枕営業とかだったりする!?』
『そんなことないと思う……思いたい』
『どちらにせよしばらくアイを見られないのか……つらたん』
「おいクソアイドル、これはなんだ?」
「なんだってなに?」
「なにってお前……これお前じゃないのか?」
苺プロダクションの社長である斎藤壱護は手のスマホを少女に突き付けた。手が震えており滅茶苦茶焦っていた。何故なら目の前にいる妊婦の少女……星野アイに問いただしたいことがあったからだ。
スマホにはネットであれこれアイが何故活動休止したのかという憶測が飛び交っていた。しかしその中で一際注意を引いた
「男とホテルに入っていくのを見たって噂だ」
「なにそれ?私は知らないよ」
「……ホントなんだな?」
「もう、私のこと信じてよ
「斎藤だクソアイドル。まぁ間違いだよな。アイはここにいる」
だがすぐにその焦りは消え失せることになった。何故ならこの情報はアイが宮崎県のある病院にお世話になっている時に流れたものだからだ。だからアイ本人だったらおかしいのだ。
アイドルが、しかも16歳のまだ幼い面影を残した少女が妊娠したなど知られたら終わりだ。だからアイが妊娠していることは公表しておらずそれを知るものは斎藤氏を含めて数人のみ。産婦人科医の雨宮吾郎も事情を知る一人だが、彼もアイの味方だ。
そもそもアイがこの病院を離れたらすぐにわかることだし、妊娠してお腹が服の上からでも膨らんでいるのがわかるのだからそのことに触れていないことは別人なのは間違いない証拠だ。
「しかし傍迷惑なことだな。アイと誰かを間違えるなんてよ」
「もしかしたら私みたいにすっごーい可愛い子なのかも?」
「
「あはははは!」
「笑ってんじゃねぇぞクソアイドル!!」
ただのお騒がせのお話の種となった。しかし後にこの真実を知ることになるとは誰も思いもしないのである。
ネットに憶測が飛び交ったがそれはもう過ぎたこと。そんなことなどあったなぁと懐かしむ程度の時間が経ち、遂に……
活動を再開したB小町、アイの復活である。
アイは子供を産んだ。双子である。
兄の星野アクアマリン、漢字で書けば星野愛久愛海。妹の星野ルビー、漢字では星野瑠美衣。
凄いネーミングである。瑠美衣はまだいい、愛久愛海とは……何も言うまい。
二人は実は転生者。アクアは雨宮吾郎、アイが双子を産んだ産婦人科医の先生だが、訳があってぽっくり死んで転生した。そしてルビーはアイのファンであった天童寺さりな。彼女は雨宮吾郎と強い繋がりがあり、お互いは転生者であることは知っているがそのことを知らない。
前世を持つアクアとルビーの母親となったアイは子供がいることを隠し、再びアイドルとして表舞台へと現れた。
活動休止からのブランクなど感じさせないパフォーマンスを披露し、メディアの露出を増やしていく。同時に人気が上昇していき、やがてアイドル『アイ』の名は多くの人々に知られていくことになった。
「アイ……アイ……」
「この嘘つき……」
「ガキなんてこさえやがって……」
「どうして……」
「……騙したな……」
そんなアイに憎悪を宿す男がいた。
「……噓つきアイドルが!!」
そんなアイを恨めしく思う少女がいた。
フードで顔を隠した少女はスマホに映るアイドルを睨みつけていた……瞳に濁った星を宿して。
「いよいよ来週はドームだ!がははっ!」
「社長上機嫌だねー」
「社長はね、自分の育てたアイドルをドームに連れて行くのが夢だったのよ」
ドーム公演を控え、夢が叶うあと一歩の最中のこと。斎藤夫妻と星野一家が集まり団欒を楽しんでいた。
B小町は有名になった。そのセンターのアイの仕事も順調、フォロワーも100万人を超えた。
世間はアイを見ていた。
「大事な時期だ。スキャンダルなんて無いようにくれぐれも父親に会おうとかするなよ」
「
アイは
「あーあ、嘘はいけないことなんだー♪」
誰のことを言っているのだろうか?そんな疑問を思う者などここには誰もいない。いるのは一人の女の子。
時間も遅く、薄暗い公園のベンチで女の子は薄ら笑いを浮かべていた。
その女の子に付き従うように鴉が枝にとまっている。
「かわいそうな嘘つきさん。このままだと……くすっ♪」
なにが面白いのか?女の子はなにかを思い出したように笑みを深めた。
「これは双子の物語。でもそれは【推しの子】に限った話じゃない」
女の子が視線を細めたその先に、煙草の咥えたパーカーを着込んだフードで顔を隠した人物……辛うじて女性だとわかる。彼女はなにかぶつくさと愚痴を吐きながら公園に入ってきた。
「へっ、付き合えだって?ふざけんな!オレはお前の彼女でもなんでもないっての!金払いがいいからちょっと優しくしてやっただけだって……んっ?」
「こんばんわ、おねえちゃん」
「……チッ、ガキか」
パーカーの子はこんな夜中の公園に誰かいるとは思っていなかった。しかも子供でこんな見た目のガラの悪い相手に気安く話しかけてくるとは思うまい。面倒事に発展する未来が待ち受けていそうで女性は苛立ちを覚えた。
傍から見れば子供を連れまわす不審人物に間違われて警察に補導されるかもしれない恐れがあった。だから関わることを避ける選択をし、踵を返して公園を去ろうとした時だ。
「『アイ』って知ってる?」
「――ッ!!?」
女の子の言葉に足が止まる。
『アイ』を『愛』ではなく、一人のアイドルのことを思い浮かべた。
「……知らないね」
「嘘つき」
ズキリと胸に刺さる言葉にイラっとした。
「……知らないって言ってんだろ」
「ふ~ん……あなたにそっくりなのに?」
くすくすと笑い声が背後から聞こえてきて無性に腹が立つ。
「……人違いだ」
「そうだよね。だってあなたみたいに堕落した生き方してないもんね♪」
「――このガキっ!?」
女の子には似つかわしくない相手を苛立たせる不快な言葉に我慢できず激昂した。相手が子供だろうと知ったことか。泣かしてやるとパーカーの子は振り返ったが、目にしたのは女の子の背後に無数の赤い瞳……鴉の群れがこちらを睨んでいる光景だった。
まるでこれから審判を受ける罪人のような錯覚を覚え身体が強張った。
「もしも……があるとするならあなたはどうしたい?」
「……な、なにを言って……?」
「ねぇ、おねえちゃんは変わりたい?」
「……は、はぁ……?」
「自分の生き方を見直してみたい?それともこのまま闇の中に居たいの?」
「……お、お前はいったい……?」
「ねぇ……答えて?」
「……オレ……は……」
パーカーの子は言い
「……オレは……好きでこんな生き方をしているわけじゃ……ない。変われるなら変わりたいさ。でも……オレはもう……穢れている」
「あなたは愛されたい?」
「――っ!!……愛なんて……知らない。これからも知ることはないよ……」
「ふ~ん、そうなんだ」
「でも……」
「……」
「……知ってみたい」
「……くす♪」
女の子は答えに満足したのかベンチから立ち上がって近寄ってきた。
「じゃあ……少し手を貸してあげる♪」
「手を……貸す?」
「くすくす♪おねえちゃん……頑張ってね♪」
「――うわっ!!?」
鴉の群れが舞った。驚いて目を瞑ってしまい、恐る恐る目を開けると女の子の姿はどこにもありませんでした。
静寂が支配する公園でポツンと残され、しばらく呆然としていたが我に返った。
「……
力なくフラフラと公園を離れる後姿を木の上から眺める女の子は……
「本来なら出会うことのない
この選択が一番星の子供達の物語に
これは本来ならありえない物語。
『一番星と屑星のお話が始まる』