一番星と屑星のふたつ星   作:てへぺろん

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日常回はやっぱりいいですよね。シリアス回続きでは作者のメンタルが辛いので……


それでは……


本編どうぞ!




アイドル様とデート 前編

「どう?おいしい?」

 

「……ああ」

 

「やった♪おかわりいる?」

 

「……いい」

 

「わかった」

 

「……なぁ」

 

「うん?なに?」

 

「……おかしくね?」

 

「?なにが?」

 

「……この状況」

 

「う~ん、おかしくないよ?」

 

「いやおかしいだろ!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんでバカがオレのアパートに居やがるんだ!!?

 

 

 この状況を説明するには少し時間をもらうことになるが……それでも聞いてくれ。

 

 

 オレは久しく帰っていなかったアパートで一夜を過ごした。帰宅したのも夜で埃が積もった部屋を掃除する気にはなれず、ベットだけ埃を払って寝た。朝起きてこんな埃まみれの場所で寝たことを改めて実感して嫌になった時にピンポーンとインターフォンが鳴った。

 

 

 郵便かセールスマンでも来たのかと思った。昨日まで散々な目に遭って面倒だったからが居留守でも使うか悩んでいる間にインターフォンが何度も鳴ってうざったかった。文句を言ってやろうと玄関を開けるとそこには……

 

 

 星野アイ(バカ)がいた……はっ?

 

 

 この時点でおかしい。なんでバカがここにいる?帽子とサングラスで変装しているが明らかにバカだ。間違えるわけがない。手には膨れたスーパーの袋を持っている。中に入っているのは食材らしいが何しに来た?

 

 

 あまりの出来事に硬直しているとバカが押し入ってきた。オレの頭は真っ白状態な為、こいつに逆らう選択肢すら浮かばず、そのまま変装を解いたバカが部屋を見渡してこう言った。

 

 

「汚いね」

 

「いや……お前……もっと言うことがあるだろ?」

 

 

 そう伝えるとバカはハッとした顔をして……

 

 

「あっ、そっか。きちゃった。テヘッ♪」

 

 

 ああ、なんてあざとい表情……じゃねぇよ!!なにがテヘッ♪だっ!?なんでオレのアパートに来てんだよ!!?

 

 

「今日はレッスンもお仕事も入れてないからフリーなんだよ?昨日言ってたよね?」

 

「まぁ知ってたけど……」

 

「だ・か・ら・ね?きちゃった♪」

 

 

 その理屈はおかしい。そもそもなんでお前が教えてもいない住所に来られる?契約書に住所は書かないのかって?そんなの嘘の住所を書いたに決まっているだろ?『苺プロダクション』は事務所という名の監獄、そこに所属している連中は狂っているってオレは知った。本当の住所を教えて来られたら嫌だろ?

 

 

 そう思ってたのによ……えっ?なんで?来られるわけないはずのに!?

 

 

「き、聞くが……なんでここの住所がわかった?契約書にはここじゃなかったはずだが?」

 

「ああ、嘘の住所を書いてたあれ?」

 

 

 このバカにはオレが偽の住所を書いていたことがバレているらしい。

 

 

「コイだからなんかあるなって思って……調べたらコンビニの住所だったし」

 

 

 ……チッ、男と寝たホテルの住所にしようかと思ったが、こいつがそんなところに居たら何かとまずい。偶々立ち寄ったコンビニの住所を思い出して書いたが失敗だった。だがそこは問題じゃない。

 問題なのは嘘だとわかっていても本当の住所は教えていないし、昨日の帰り道も尾行されていないか確認しながら帰った。尾行されていなかったはずだ。なのにどうして?バカがここに来れるわけがないんだ!!

 

 

 その真実を知るのが恐ろしい……だが知らねば恐怖に呑まれた日々を過ごさなければならなくなる。自分自身の息を呑むのを感じられるほど神経が研ぎ澄まされているのを感じる。身構えているとバカの口が動く。

 

 

「だからコイにね……発信器をつけておいたの」

 

「……はっ?」

 

 

 ちょっと待て、今なんて言ったの?

 

 

「……発信器?」

 

「そっ」

 

「……どこに?」

 

「昨日、腕掴んだでしょ?その時につけたの」

 

 

 すぐさま放り出していたパーカーを調べると腕の袖に何やら小さい物体が引っ付いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――ひえっ!!?

 

 

 人間は本当に恐怖を感じると声が出なくなる。オレは声が出ず、心で悲鳴を上げた。

 

 

「その発信器の信号を辿ってここに来たの」

 

 

 そう言ってバカがスマホの画面を向けてくる。そこにはマップが映し出されて赤い点が発信源。それが今まさにここを示していた。

 

 

「コイったら震えている。もう、そんな恰好しているからだよ?」

 

 

 全身が震えているのは下着のままでいるからじゃない……オレはこいつが怖い。恐怖そのものが目の前にいる。バカが近づくとオレは後ずさる。そのまま逃げ出したい衝動に駆られたが、壁まで追い詰められてバカの顔が近づいてくるのがもの凄く恐ろしかった。

 

 

「……て、手錠に発信器なんて……ど、どうやって手に入れた?」

 

 

 追い詰められても声を出せたことを褒めてほしい。今にも失神しそうになっているのだから。

 

 

「えへへ内緒!」

 

 

 内緒か、それならば仕方ないな……ってなるか!!可愛く言えば押し通せると思ってんのか?可愛いは正義って言葉はあるが、こんな奴が可愛いわけあるか!!内面はグロテスクでできてやがるに決まってる!!

 

 

「ふ、ふざけんな!こんなもの用意できるとかただのアイドルがそんなことできるか!?」

 

「ただのアイドルじゃないよ?星野アイだからできるんだよ?」

 

「そ、そんな適当なことを言って誤魔化す気か?」

 

「もうそんなことよりも先に部屋掃除しよ?そうしないと朝食の準備できないから」

 

「そんなことじゃない!!オレにとっては死活問題なんだぞ!!」

 

 

 オレは叫んだ。このおぞましきアイドルの皮を被った生き物には屈しないと己の意思を表した。

 

 

「掃除……しよ?」

 

「……はい」

 

 

 瞳が不気味に輝いているのを見て、オレは呆気なく屈してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうしてバカが買ってきた食材を使って、オレの為に朝食を作ってくれた。だけどやっぱりこの状況はおかしいと叫んだところだ。

 

 

「もうコイったら気にしすぎだよ?イイじゃん、部屋は綺麗になって食材費も私持ち、そして朝食付きだよ?嬉しいよね?」

 

「お前がストーカー行為をしなければ少しはマシだったかもな」

 

「ストーカー行為なんてしてないよ?」

 

「どの口がほざくか!!?」

 

 

 朝食は美味かった。そう言うとバカは喜んだが、オレはもう疲労で死ぬかもしれない。折角解放されたと思ったのに……今度はなんで恐怖体験をしなければならないんだ!?こっちはさっきので精神擦り切れてんだよっ!!

 

 

「はぁ……もういいだろ。帰れよ」

 

「ヤダ」

 

「何故だ?もう用が済んだろ?」

 

「今日はコイと一緒に過ごすつもり。アクアとルビーのことはミヤコさんに任せているから大丈夫だよ!」

 

 

 自信満々にサムズアップしてきやがった……なんで笑顔なんだ?こっちは恐怖でしかないんだけど?

 

 

「……お前、折角の休日をオレと過ごすとか何考えてんだ?」

 

「え~、姉妹揃って休日過ごすのって変なのかな?」

 

「誰が姉妹だ!誰が!あん!?」

 

「もう怒ると可愛い顔が台無しだよ?」

 

「お前がそうさせたんだろぉ!!?」

 

 

 もうなにこいつ……アイドルやめて寄生虫にでもなったの?それならいい医者を探して取り除いてもらわないと……!

 

 

 なんてことを本気で考えていたらバカが「どこ行く?」と聞いて来た。こいつ外出する気だな。まぁ元々オレも外出するつもりだったからいいけどこいつと一緒は……な。

 

 

 朝食の片づけをして、オレが出かける準備をしているとバカの追及がうるさく「行先は?」「何しに行くの?」と無視しても止まらない。マジでうざったい……パーカーを着込み、フードで顔を隠す。戸締りを忘れずにして外に出ると当然バカもついてくる。

 変装しているからアイドルだとバレないはずだが、隣でずっと見つめてくるのはやめろ。バカのイカれた本性を知っているオレにとってその可愛い子ぶっている顔をぶっ叩きたくなってくる。

 

 

 道行く一般人どもにも気づかれずに本来の目当ての場所とは違うところにやってきた。本来なら街中で男を物色してホテルへ直行。金を得るつもりだったが、バカがいる。バカがいることを知られるのはヤバい……いや、バカにこのことを知られた方がヤバい気がするのはオレの気のせいじゃないはずだ。

 

 

 本来の目的とは違うが、よく立ち寄る場所にやってきた。

 

 

「ここって」

 

「ゲームセンターだ」

 

 

 気が滅入っている時、男が捉まらなかった時などでの暇つぶしによく立ち寄る場所がここだ。嫌なことも忘れてただ遊ぶ為だけで何度もお世話になっている。

 

 

 横をチラリと見ればバカが建物を見上げて惚けていた。おそらくだがゲームセンターには馴染みがないんだろう。友達もいなさそうだしなっていうか、こいつのイカレ具合からしたら友達なんてできないなうん。

 

 

「入るぞ」

 

「あっ、うん」

 

 

 オレは両替機で千円札数枚を小銭に変え、店内で何で遊ぶか物色する。犬のように付いてくるバカは店内を見まわしていた。

 

 

 よし、最初はこれでいいか。

 

 

「これに座れ」

 

「これは?」

 

「レースゲームだろ。見てわかれよ」

 

 

 車でゴールを目指して競い合うゲーム。単純に見えてゴールするまでに複雑なコーナーや強敵との競い合いの数々が熱い。

 

 

 バカを座らせたがあまりゲームセンター自体来たことがなさそうな素振りを見せていたから、案の定どうしていいのかわからず右往左往していた……世話のかかる奴だ。

 

 

「ここに百円を入れて、ハンドルで画面を操作して……」

 

「う、うん」

 

 

 基本操作と動かし方を教える。慣れていない操作で苦戦していたが、レースが始まるまでには覚えたようだ。そして勝負が始まる。

 

 

 画面上にカウントが表示されていた数値、それが0になった。

 

 

「あっ!ずるい!!」

 

「へっ、出遅れるのが悪い!」

 

 

 スタートダッシュを決めて先に行く。そこは教えていないって言うか短時間で細かいとこまで教えていられるか。それにこれは勝負、勝てば正義なんだよ。バカが横で何か言っているが知ったことじゃないね。

 結果はバカが障害物にぶつかったり、スリップしてオレがゴールしてから大幅に遅れてからゴールした。そもそもこのレースゲームは何度も遊んでいるのでコースもどこに仕掛けがあるかなど既に知っている。経験者と初心者が戦ってどっちが勝つなんて初めからわかっている結果だった。だが負けて悔しいのかもう一回と強請るので、もう一回潰してやった。初心者だからって情けはかけない、それが勝負という奴だからな。

 

 

「むぅ!もう一回しよ!」

 

「そうだな……なら向こうだ」

 

「?何かあるの?」

 

「今度はあれだ」

 

 

 次に向かった先にあるのはガンシューティングゲーム。しかもゾンビや怪物が出てくるホラーありのものだ。意外にもバカはこういったものはあまり恐怖を感じないのか「ゾンビか~」と呟いていた。まぁこいつの方がある意味ではホラーだから当然か……いや、こいつの方が怖いわ。

 こういったガンシューティングはレースゲームのように対戦系ではなく、協力プレイが基本だ。バカは対戦をご所望だったのでわざと協力系にしてやった。これで悔しさが晴れることはないぞ?悔しいだろ?

 

 

 内心嘲笑いつつ、金を入れてスタートする。次から次へと襲ってくるゾンビや怪物の群れを打ちまくる快感がいい。バカも同じの様子で、慣れない銃型のコントローラーに苦戦しつつも倒していく。

 ステージが進めばボスが現れる。こいつは手強い、何度かバカがダメージを受けて、受ける度に「ああっ!?」とか「やったなっ!!」と言葉が出た。徐々にアイドルの皮が剥がれてきて、最終ステージに行く頃には「やった!頭飛ばした♪」や「足取れた!あはは!」なんて時々アイドルらしからぬ言葉が出ていた……それに恐怖してしまったのは秘密だ。

 

 

 そして最終ボスはこれまた手強い。オレも何度かダメージを受けてバカがやられた。カウントが終わるまでに金を投入し、二人でボスを倒してエンディング。爽快な気分だった……やっぱりエンディングまでいくと勝ったって気持ちになれて清々しい。バカも満足そうにしていた。

 

 

 そしてバカが「次は何するの?」と聞いてくるので、オレ達は次のゲームへと向かう。

 

 

 アーケードゲームやメダルゲーム、種類の違うレースゲームやガンシューティングゲームをやった。どれも白熱したが、対戦系ゲームでバカごときがオレに勝てるわけもなくオレが全勝して剝れてやがった。ざまあみろ!オレに勝てるなんて100年早い!!

 ただ音楽系の奴だけは……オレは見ているだけにした。リズムは完璧、後はボタンを押すタイミングさえマスターすればプロの仲間入りになるだろう。そしてダンスゲームがあったが……流石は本職。そこにはアイドルがいた。リズムに合わせてダンスを披露し、気づいたら周りから拍手が起こっていた。

 

 

 見惚れてしまっていた。だが拍手でオレは現実に引き戻され、称えられるバカを引っ張ってその場を離れた。あのままあそこに居れば本物のアイドルだと気づかれる可能性があったからな。

 

 

 そうしているとバカが何かを見つけて立ち止まり、オレも立ち止まった。

 

 

「これって……」

 

 

 バカが見つけたのはプリクラ……プリントクラブの略称らしいが、細かいことは知らん。バカがジッとそれを見つめていて、オレは早く立ち去ろうとすると腕を掴んで「なにするゲーム?」って聞いて来た。プリクラも知らないのかとあまりにも非常識で残念な頭脳の持ち主かと思ったが、バカだったなと納得した。写真を撮ってその場でプリントできる機械でゲームじゃないと説明すると「知ってる」とか言いやがる。知ってるなら説明させんなよっ!!

 更には「やりたい」と言うが、一人で勝手にやればいいと言えば「コイも一緒に撮ろ?」とか言い、写真ならスマホで自撮りでもしてろと言っても「二人でプリクラ撮りたい」と拒否する。オレは嫌なんだよ。

 

 

 誰がバカと写真なんて取るか!!オレはこれが嫌いだ。バカと同じ顔が形として残る……オレは頑なに拒み続けて駄々をこねるバカを引きずってその場を離れた。

 

 

 そろそろ煙草を吸いたくなった。家から持ってきた煙草を吸う為に不貞腐れているバカを放って喫煙所へと向かう。そこでじっくりと堪能し、そろそろ不貞腐れたバカの機嫌がマシになったかと思っていたら……

 

 

「ねぇ、俺達と遊ぼうよ」

 

「君一人でしょ?」

 

「違います。連れがいますから」

 

 

 ナンパされていやがった。見た目がチャラ男の二人組……金はあまり持ってなさそうだ。遊びに来たついでにバカを見つけたから声をかけたってところね。はいはい、そういう奴よくいる。オレもナンパされたことはあったけど、どいつも金がなさそうだったから断ったけど。それにしてもあのバカ不機嫌だな。ああいう連中にも(笑顔)で返せばいいものを……いや、こういう奴はすぐに調子に乗るからやめたほうがいいな。

 

 

「なに?彼氏とかいんの?」

 

「君を置いて一人でどっか行く彼氏よりも俺達と遊ぶ方が楽しいよ?」

 

「……お断りします」

 

 

 おうおう、見るからに不機嫌じゃん。お得意の態度でのらりくらりと躱したらどうなのよ?

 

 

「……なぁ、さっきから遊ぼうって言ってんのわかる?折角俺達が声かけてやったんだから付き合えよ!」

 

「可愛いからって調子乗るなよ?大人舐めていると痛い目を見るぞ?」

 

 

 ……はぁ、ナンパに失敗すればすぐこれだ。それにお前らの目は節穴か?そいつは20歳でちゃんとした大人だ。いや、ガキっぽいところがあるから間違っていないが……仕方ない、助けるか。こんなところでいざこざを起こされたらオレがおっさんおばさんに怒られる未来しかないからな。まぁそれも相手の出方次第だけど。嫌……マジで嫌だが、ちょっとした茶番劇をするしかない。

 

 

「なぁ、優しく言っている内にだな……」

 

「おい、オレの女になにしている」

 

「はぁ?俺の女だっt……ひぃ!?」

 

 

 フードから睨みつけるとチャラ男がビビった。もうこれは勝ちだ。ビビった時点でお前の勝利はなくなった。

 

 

 オレはバカの傍に近寄り抱き寄せる。バカが「あっ」とか言ったが無視だ無視。

 

 

「これはオレの女だ。まさかお前ら……オレの女に手を挙げるつもりだったのか?なら……相手になるぞ?」

 

 

 挑発の意味も込めて拳を握りしめ、更に睨みつけてやった。

 

 

「い、いえ……ただ迷子なのかなって声をかけただけですので!」

 

「し、失礼します!!」

 

 

 そう言ってチャラ男どもは逃げて行った……見た目だけだったな。オレ程度の睨みでビビったからその程度だと思ったが、拍子抜けだった。まぁ、暴力沙汰にならずに済んでこれで怒られることはなくなったな。

 

 

「……ねぇ?」

 

「あん?やべっ」

 

 

 そうだ、バカを抱き寄せていたんだ……オレは咄嗟に突き放すとめっちゃ睨んできやがった。なんだよ?オレはこんなことするの嫌だったんだからなっ!!

 

 

「……遅いからナンパされたんだけど?」

 

「良かったじゃん。チャラ男にもモテるとかいい御身分ですね?」

 

「まぁ私って可愛いからね。ナンパされるのは当然だよね」

 

 

 うざっ!皮肉ってやったのに……このバカはオレを苛立たせないと気が済まないのかよ!?ああもう、そろそろ帰ろ。結構遊んだし、昼はどこかに食べに行こう……っとしたら何故か腕を掴まれた。

 

 

「プリクラ撮ろ?」

 

「はぁ?嫌だ」

 

「撮ろ?」

 

「絶対嫌だ」

 

「……」

 

「そ、そんな目で見ても嫌だから!」

 

「……っ」

 

 

 睨みつけられて、懇願する目で見られて、そして無表情……怖いわっ!!お、お前まさかこんなところで手錠とか出す気じゃないだろうな?なんでポケットに手を入れているんだよ!?

 

 

「わ、わかったよ!!撮ればいいんだろ撮れば!!」

 

「わかってるじゃん♪」

 

「お前のせいだろがぁ!!」

 

 

 プリクラで写真を撮る為に嫌々ながら機械に入る。スペースは意外と広く、オレはバカと映るのが嫌だったからフードを深く被って顔を見えないようにした。距離も取っていたがバカがフードを払いのけ、肌が合わさりそうなぐらいの至近距離まで近づいてきて驚いた。今でも心臓がバクバクいってやがる。その瞬間を撮られてしまい、驚いた表情のオレと満面の笑みで手でハートを作ったバカの写真が出来上がってしまった。

 

 

 こんなもの、火あぶりにして塵にしてやりたい!!黒歴史確定だ……!!!

 

 

「ほら見て!コイと私とのツーショットだよ!!」

 

「やめろ見せるな!!早くそれ捨てろよ」

 

「ヤダ。アクアとルビーに自慢する!!」

 

「おいそれはマジでやめろよ!!?」

 

「それもヤダ♪」

 

「やめてくれぇ!!!」

 

 

 何が何でもそれだけは勘弁してほしかった。土下座までして……バカは勝ち誇った顔で周りからは奇怪な目を向けられて滅茶苦茶イラついた。何とか写真はまた今度自慢することになったが……結局見せるつもりなの!!?

 

 

 このバカとまだ一緒に過ごさないといけないのか……早く一日が終わってくれとここまで願う日が来るとは思わなかった。

 

 

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