一番星と屑星のふたつ星   作:てへぺろん

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アクア達と過ごしたコイ。充実した日々だったがアイも遠征から帰って来る。これで面倒な子守からようやく解放される。その前に彼女は何か残していくようです。


それでは……


本編どうぞ!




ガキどもとの数日間 後編

 アクアとルビーのヲタ芸に付き合わされた日からあっという間に数日が過ぎ、B小町が遠征から帰って来る。そしてバカも帰って来る……憂鬱だ。あいつだけそこらに捨ててきてくれないかな?そんな願望を願っても無駄だとわかってる。現実逃避はこれぐらいにして、ガキどものお守りから解放される……一時的にだけどな。この数日はある意味で地獄だった。

 バカのライブ映像鑑賞会と称して毎晩付き合わされた。更にはヲタ芸の特訓付きだ。オレはそんなことは心底嫌だった。拒んでも何かと理由をつけて煽ってきやがって、特にルビーの「ママの魅力に屈服した?したんでしょw」とか「逃げるの?負けるのが怖くて逃げちゃうんだw」とか非常に腹が立った。むかついたから対抗意識で乗ってしまい、今思えば乗せられていたんじゃないかって思ったりするけど後の祭り……無駄にヲタ芸を憶えてしまった自分が嫌になる。それもガキどもに教えられた挙句、一緒にヲタ芸を披露していた自分の姿を客観的に見た時を想像したら恥ずかしくて死にそうなんだけどっ!?

 

 

 ま、まぁそんなことはどうでもいい……いや、どうでもよくないけど、このことは忘れた方がいいなそうしよううん。

 

 

 ガキどもと過ごした数日間も最後、別に今後の別れでもないがこれでもう最後にしてほしい。バカとは違って頭がいいから楽だと思っていた頃の自分を殴りたい。ガキどもがバカの子供だと言うことを失念していた。何も起こらず無事に一日を終わらせてほしいけど、そんな平穏な日々が今後やってくるのか不明だ。

 今日は日曜日、朝食後の運動と称してバカのライブ映像鑑賞会を繰り広げられて(勿論ヲタ芸付き)こっちはクタクタだ。なのに今もガキどもはライブ映像に釘付けで、こんなに体力があるとは思ってもいなかった。公園で遊んだ時はそうじゃなかっただろ!?ルビーはともかくアクアもバカヲタクだったとは……いや、赤ん坊時代からだったな。なにがともあれ、今日中にやるべきことをやっておかなければいけない。

 

 

 こう見えても掃除洗濯は慣れっこだ……慣れたくはなかったけど。クソ親父が家をゴミ屋敷にするのでオレが全部片づけていたし、服も洗濯していたのは全てオレ。家事全般は大抵できる。このスキルがこんなところで発揮されるとは思ってもいなかったけど、ガキどもの着替えを用意しておく。そして水分補給の為にミルクも用意、タオルも忘れずに準備した。

 ヲタ芸を披露すれば汗だくになる。ライブ映像鑑賞会が終了次第ガキどもを風呂に入れている間に、昼食の準備だ。食事も味は好評で、バカよりも良いんだと。ルビーの奴は絶対に認めないが、これでバカが料理してもオレの味が忘れられずにオレの方が美味しいと口に出せばバカはショックだろうな……そう思うと優越感に浸ることができるし、悔しがる顔を想像すると悪いことばかりではない。へっ、ざまあみろって感じだ!

 

 

 そうそう、おっさんがやってきたがなんだか爽やかな顔だった。自分が育てたアイドルが認知され、活躍しているのが嬉しいだろう。一匹、誘拐犯兼アイドルの皮を被った化け物が潜んでいることに多くのファン達は知らない……可哀想に。そんでおっさんがやってきて時間がある時は四人で食卓を囲んだ。勿論食事担当はオレ、その日は奮発して寿司を握って、ガキどもにはパフェを作ってやって提供してやると全員驚いていた。おっさんが「お前なんでもできるのか?」とか言ってきたがそんなわけない。こっちは仕方なく身に付いたスキル、それを応用しただけだでその言葉も素直に喜べるかよ。おっさんの返答も適当に返して、味は勿論のこと褒められた……べ、別に嬉しいなんて思ってもいないからな!まぁそんなこともあったなとしみじみ思い出していた。

 

 

 おっと、そうしている間にもガキどもが風呂から上がってくる。しかし一人ずつで一緒に入ろうとしない。バカとは一緒に入るとは聞いたことがあったが、アクアは赤ん坊時代から母乳も嫌がり風呂も抵抗したそうだ。結局はバカとルビーと一緒に入ることになったらしいが、バカがいないとそれぞれ一人ずつ風呂に入る。こっちとしては二人一緒に入った方が楽なんだけど?オレが二人で入れと言ってもお互い恥ずかしがるとはどうなんだ?幼稚園児のくせに……賢いのも考え物だな。

 

 

「ふぅ……さっぱりした~♪」

 

「ミルク用意してあるからさっさと飲め」

 

「……うん」

 

 

 ルビーが風呂から上がってきた。この数日でオレとルビーの距離は縮んだように見えるがそうでもない。ライブ映像鑑賞会中はガキどもがトリップしているからグイグイと絡んでくるが、普段は警戒されている。ただまだマシになった程度だ。やっぱりあのバカを叩いたのが引きずっているようだ。後悔?そんなものあるわけないでしょ?あのバカがむかつくのは本当なんだし、刺されたのもあいつのせいだから後悔なんてない。寧ろ何発も叩いておけばよかったと思う様になった。オレに絡んでからうざ度(うざい度合)がアップしているんだから惜しいことをした。

 

 

 そう思っていると視線を感じた。ミルクを飲み終えたルビーがジッと見つめていた。

 

 

「なんだよ?何見てんだ」

 

「……別に」

 

 

 そういうとそっぽを向いた。

 

 

「そうかよ」

 

 

 何かあるんだろうが、喋らないのならオレは突っ込まない。突っ込んでも良いことがあるとは限らないしな。

 

 

「……アマはなんでママのこと嫌いなの?」

 

 

 そう思っていたが、ルビーの方から突っ込んできた。

 

 

 なんでバカのことが嫌いか……逆に好きになる要素があるのか?と問いたい。

 

 

 容姿が同じで声も同じ。男どもには顔と体が目当て、バカが有名になればオレはその代わりに見られる。中身なんて見てくれない。同じ噓つきなのに、ファン達から愛されて、あのイカレた犯人からも愛されていた。だから代わりに刺されて危うく死ぬところだった。生き残れたけど、最悪の結果が待っていた。オレとバカは姉妹だったとか……認めるかよそんなの!!入院生活中のオレにずっと付きまとい、オレの秘密を勝手に知ったくせして拉致監禁まで行い、アイドルのはずなのに本物の手錠を持っていやがった……なんでっ!?そして何故かアルバイトスタッフ兼ガキどもの子守をしなければならなくなった。その代償でスマホが奴にダメにされたんだ。この恨み忘れてないからねっ!!

 それから発信器なんてつけられてアパートにやってきて……怖かった。まぁ、その日は色々と遊べたことに関しては何も言わない。あれはバカがうざくて仕方なかったから付き合ってやったまでのことだからね。ただプリクラで撮った黒歴史確定の写真を見せたのは許さない!!ニノの奴から叩かれた……あれもバカのせいだ。オレがバカになりきることになったんだからな。

 

 

 パッと上げるだけでもこんなにある。そして何よりもあのバカが輝いている……それが憎い。

 

 

 オレは一生輝けない。もう穢れてしまっているから……性格もこんなのだ。外見だけは良い不良だけど、中身は空っぽで、外見も地味な奴だったら誰も見てはくれなかっただろうね。バカにすらも認知されていたなかったはずだ。名前なんて間違われてあいつから関わる素振りすら見せることなく、オレはまた闇の中に消えていたに決まっている。

 結局はあいつの【双子の姉妹】と言う称号のおかげでオレはここにいるだけ、なんとも惨めな結果だよ。

 

 

 ニノの気持ちがわかるが、オレと同じだとは思っていない。あいつには自分自身の存在の価値がある。オレには無い。外見だけの中身は空っぽで【双子の姉妹】の称号がオレの存在を(こっち)側に引き寄せているだけ。

 オレは闇の住人、バカは光の住人、その二つは交わらない。こう言っているオレだが、こうしてガキどもの子守を見ているのはなんでだろうな?今の状況を受け入れているのは……もしかしたらまだ(こっち)側に未練があるのかもね。

 

 

 その未練も無くなれば……闇に帰れる。それはきっといつか訪れる結末で決まっている未来だ。焦ることはない、光に居場所はないオレが闇に帰るのは決定事項なんだ。だが今は金の為にも働かないとね。

 

 

 それで話は戻るけど、これで好きになれると思うのか?無理だろ?これで好きになれる奴とかどんな変態野郎なんだ。このことをルビーに言ってもいいが……また「ママの良さを理解できないなんて!」とか言い出すかもしれないし面倒だ。それに絶対暗い話になる。もうすぐアクアも上がって来て昼食なのにこんなの話題にするかよ。

 

 

「嫌いなのは嫌いだからだ」

 

 

 誤魔化してやる。ガキのルビーに話しても子供には辛い話だからな。

 

 

「なにがママのことがそんなに気に入らないの?」

 

「バカのことが好きな奴らは頭どうにかしてる。オレが受けた仕打ち、あのイカレ具合をファンが知ったら裸足で逃げていくに決まってる」

 

「そんなことは……ないと思う」

 

 

 ルビー、お前ですら自信ないじゃねぇか。やっぱり思うところはあったんだな。あれがアイドルやっているのは無理があるだろ?おっさんもなんであんなのをスカウトしたんだよ。見る目あるならもっと詳細の部分まで見てくれよっ!!そのおかげでオレが酷い目に遭っているんだからな!?

 

 

「アマはママのこと……どう思っているの?」

 

 

 オレへの同情心があるからか複雑な表情で見てくる。お前、オレのこと嫌いなんだろ?そんな顔を向ける暇があるならちゃっちゃといつもみたいに噛みつく犬に戻れっての。

 

 

「嫌いだし、うざいし、面倒なアイドルの皮を被った化け物」

 

「ママが化け物とか何言ってんの?天使でしょ?」

 

「あれが天使だったら天国は魑魅魍魎の住処だな!」

 

「はぁ!?ママのこと()()()()()()()()()癖に!!」

 

「バカの奴は化け物なんだよ。それを認めない()()()()()()の方が何もわかっていないな!!」

 

()()()()()()とか言わないでっ!きもいから!!もうやっぱりアマのこと嫌い!!」

 

 

 怒ってオレから背を向けてルビーが部屋の扉を閉めた。もうすぐ昼食だから出て来ないといけないが、それでいいんだよ。いつもの噛みつく犬に戻って安心した。それと()()()()()()()()()と言うがそんなわけないだろ?

 あいつは嘘つきと言う名の化け物なんだよルビー。嘘を吐き続けなければ生きていけない奴だっている。お前はまだ純粋だからわからないだろうが……世の中って言うのは弱者にはとことん理不尽なんだよ。どんなに叫んでも無視されて抵抗すれば暴力で解決される。生きる為には媚びを売らなければならず、時には心を殺さないといけない。それが現実なんだよ……だからルビー、純粋なお前は(こちら)側にやってくるなよ?お前はバカのように輝いている方がお似合いだからな。

 

 

「ふぅ……ん?天野さんどうしました?」

 

「なにがだ?」

 

「なんだか……悲しい顔をしていますよ?」

 

「そんなわけないだろ?さっさとミルクを飲んで飯にするぞ」

 

 

 風呂から上がってきたアクアからホクホクと湯気が立っていた。そんなアクアに指摘されて気づいた。咄嗟に誤魔化したが……オレはまだ悲しい表情が出来たのか。まぁ、そんなのも一時の気の迷いだろう。アクアに頼んでルビーを呼んでもらうとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よしお前ら、もう寝ろ」

 

「ええー!?ママが帰って来るのに……」

 

「ルビー、アイが帰って来るのは真夜中だ。明日は幼稚園もあるから寝るしかない……まだ寝たくないけど」

 

「アクアの言う通りだ。お前ら歯磨きしてさっさと寝ろ」

 

「「はーい」」

 

 

 夜になった。バカが帰って来ると憂鬱になっていたが、オレのスマホが鳴った。確認してみるとおばさんからで交通渋滞に巻き込まれて帰りは真夜中になるとの連絡だ。おばさんはスタッフと共にB小町の連中を自宅に送り届けるつもりで最後はバカと一緒に帰って来る手筈だ。何やらおばさんの機嫌が良いのが電話越しから伝わってくるが、それよりもやった!と内心喜んだ。

 明日は平日、ガキどもは幼稚園があるし子供の夜更かしはいけないこと。バカとガキどもの連携にオレが巻き込まれる可能性が無くなって運がついていると思った。だからこうしてガキどもを寝かしつけるところだ。

 

 

「歯磨きしたな?それじゃ寝ろ」

 

「もうちょっと起きていたい」

 

「僕も同感」

 

「ダメに決まっているだろ。さっさと寝ないとバカのグッズ捨てるからな?」

 

「はぁ!?そんなことしたらぶっ〇す!!」

 

「天野さんでもやっていいことと悪いことがあるの知ってますよね?最悪裁判沙汰にすることも可能ですけど?」

 

 

 うわぁ、キレやがった……怖っ!!ガキのくせして頭がいいから余計に怖い。わかっているよ、そもそも脅しただけなんだから。こいつらにとってバカがどれだけ大事かわかっているつもりだ。だからそんな鬼も逃げ出すような形相で睨まないでっ!?特にアクア、普段怒らない奴が怒ると怖いからやめてくれ!!

 

 

「わ、悪かったよ!だが起きているのはダメだ。明日、目が覚めたらバカが居てくれるから心配するな」

 

「天野さんは帰るのですか?」

 

「当然だろ。オレは仕事でいるだけだからな」

 

 

 そういうとアクアとルビーは少し寂しそうにしている。チッ、そんな顔で見つめてくるなよ……

 

 

「お前らが寝るまで居てやるから安心して寝ろ」

 

「別にアマが居たって……」

 

「もう喋るのも禁止だ。いつまで経っても寝れないだろ。目を閉じて何も考えるな」

 

 

 そう言えば素直に従ってガキどもは目を閉じた。それからしばらくすれば寝息が聞こえてきて確認すれば間違いなく寝ている。寝言で「ママぁ……」とか「アイぃ……」とか言っている。夢の中でもあのバカかよ、どんだけ好きなんだよ?

 こうして見るとアクアもルビーもただの子供なんだな。少し頭のいいガキなだけ、そして母親があのバカか……これから苦労するぞお前ら?あのバカは何かと面倒なことを起こすだろうし、これから先あいつの面倒を見ることになるのはお前らになるかもな。

 

 

 そう言えば母親がバカなら……父親は誰なんだろうな?

 

 

 バカとガキどもを放っておく男……まさかオレのクソ親父のような奴だったら……どうする?

 

 

 いや、オレが考える必要はない。だってオレには関係のない……話だ。そうだ、オレには関係のない……話なんだから。バカやガキどもに問題が発生してもオレには……関係……ない……

 

 

「ママぁ……むにゃむにゃ……」

 

「アイぃ……むにゃむにゃ……」

 

「………………………………………………」

 

 

 ……チッ、明日は幼稚園がある。バカも真夜中だし……用意しておいてやるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ……♪」

 

 

 肌が少し寒い真夜中、パーカーを着込みいつものフードで顔を隠すオレは煙草を堪能しつつ玄関前にいた。

 

 

「今日は運が悪く曇りか。月も星も見えないな」

 

 

 なんてどうでもいい独り言を呟いていると足音が聞こえてきた。そっちの方へ視線を向ければ変装しても遠くからうざったいオーラが見えたのでバカだと言うことはすぐにわかった。バカが帰って来たんだ。だから煙草は消しておく……文句あるか?

 

 

「あっ!」

 

 

 オレを見つけて足音が早くなる。嬉しさを抑えきれずに走ってくる……ここでは走るなよ。

 

 

「コイ!久しぶりだね!」

 

「数日ぶりだな、バカのお前がいなくて最高の時間だった」

 

「もう嘘ばっかり、本当は私がいなくて寂しかったでしょ?」

 

「へっ、そんなわけないだろ?頭湧いてんのか?いや、バカだったな悪い」

 

「ひどーい!!」

 

 

 そう言いつつバカは笑顔。声も張りがあって上機嫌の様子だった。そんなにオレに会えたことが嬉しいのかよ?たかがオレ程度に喜びを感じるなんて……やっぱりバカだよお前は。

 

 

「そういえばおばさんはどうした?一緒に帰って来たんだろ?」

 

「ミヤコさんは()()社長と飲むって部屋に帰ってるよ。今回の仕事は上手くいったんだって!」

 

 

 なるほどな、だからスマホに電話がかかってきた時のおばさんの声から機嫌が良いのはわかっていたけどそういうことだったのか。あと()()じゃないって……まぁいいか。

 

 

 こんなところで会話していたら近所迷惑になる。今は真夜中、寝ている住人も多いだろう。だからバカに中に入るように催促するとオレの手を掴んだ。

 

 

「どこ行くの?」

 

「オレは帰る」

 

「まだ居てよ」

 

「嫌だ」

 

「居て」

 

「嫌」

 

「……」

 

 

 どこかで見たやり取りだ。無表情のバカの視線が怖い……だがオレは屈しない。そもそも今日は気分が乗らないんだ。

 

 

「悪い、今日は帰らせてくれ」

 

「……わかった」

 

 

 オレの感情を察して手を離した。こういう時だけは空気が読める。いつもこうなら良かったんだがバカのこいつにはそれは無理な話か。

 

 

「あばよ、バカ」

 

 

 さっさとこの場を離れたかった。()()()()()()にオレがこの場にいるわけにはいかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「折角用意してやったんだ。オレの寛大な心遣いに感謝しろよ?」

 

 

 マンションを見上げてオレは呟いていた。この言葉がバカに届かないとわかっていても……だ。

 

 

 ★------------------★

 

 

ただいま~

 

 

 アイはゆっくりと物音を立てないように部屋へと入った。部屋には電気がついておらず、物音が聞こえないのでアクアとルビーは寝ていることだろうとわかる。二人は寝室にいるので、明かりが入らないように扉が開いてないか確認してリビングの明かりをつけた。

 

 

「えっ?」

 

 

 そこでアイが目にしたのはテーブルの上に置かれていたおにぎり。そしてお茶の入ったペットボトルまで用意され、その傍には一枚の紙が置いてあった。

 

 

 そこには『真夜中の炭水化物で太ってしまえ』と書かれていた。

 

 

 アイはその手紙を見え微笑んだ。そして気がついた。綺麗にたたまれているアクアとルビーの衣服、アイの私服も同じように綺麗に整理整頓されていた。部屋の隅々まで掃除されていて、更にはピピっという電子音を聞こえてきた。何かな?と思ったらお風呂が沸いたと言う知らせだった。こんなことができるのはただ一人だけ。

 

 

「……お姉ちゃん」

 

 

 アイは夕食は既に済ませていた。交通渋滞に巻き込まれたせいでどこか店に入って食事する時間がなく、コンビニのパンで済ませた。彼女は白米には辛い思い出があるが、コイが作ったおにぎりを迷わず口にする。

 

 

「……美味しいっ」

 

 

 お腹も膨れていたはずなのに手は止まらず数分で完食してしまった。おにぎりは美味しかった。出来立てではなく、冷めてしまっていたが胸の奥がとても温かくなった。それからお風呂に入り、さっぱりしたアイは寝室へ向かう。アクアとルビーの寝顔を眺めると自分もベッドに身を落とす。

 

 

「おやすみなさい」

 

 

 仕事の疲れと交通渋滞に巻き込まれたトラブルもあり、アイでも流石に疲れていたがそれもいつの間にか消えてなくなってぐっすりと眠ることができた。

 

 




アイの過去と矛盾が生じた為に内容を修正しました。
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