一番星と屑星のふたつ星   作:てへぺろん

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ニノとのデートもこれで終了です……が、おや?ニノの様子が……


それでは……


本編どうぞ!




引き立て役とデート 後編

 バカが遠征中にニノに自慢げに語った。黒歴史確定のプリクラ写真を勝手に見せびらかしやがった。おかげでキレた。内心ふざけんなっ!!と思い、雄たけびを上げたかったけど予想外の事態が発生した。

 ニノが遊びに誘ってきた。何故オレなの?他の連中と行けばいいと思ったが、最近こいつとの距離が妙に近い。別にそれはいい、バカよりも断然マシだからな。黒歴史確定の写真の件もあって会いたくなかったので、ニノを優先して誘いに乗ったのはいいが、まさかバカと同じところに行きたいと言うとは思わなかった。あのバカが自慢したからこうなったのだが、いったいどんな意図がそこにあるのか?そこは遊んでいる内にわかればいいと楽観的に考えていた。

 

 

 いつものお気に入りのパーカーを着込みフードで顔を隠して家を出る。念には念を入れて発信器をつけられていないか、尾行されていないか確認しながら待ち合わせの公園に到着。ボケっと煙草を吸って待っているとニノがやってきた。ワンピース姿でおしゃれな服装だった。流石はアイドルだ。視線を釘付けにする術を知っている。バカも服装はいいんだよな……中身はグロテスクで見るに堪えない化け物だけど。

 

 

 ニノと一緒に例のゲームセンターにやってきた。

 

 

 バカはオレと遊んだ内容を詳しく自慢してやがったようで、ニノが何で遊んでどの順番で遊んだか詳細を知っていて後でバカは絶対にぶん殴ってやると決めた。まぁ断る理由もないので希望通りに遊ぶことにした。

 レースゲームからホラー系ガンシューティングゲームなど遊んだ。初心者だったバカとは違って経験がある分、ルールや操作方法を教えなくて楽だった。対戦系や協力プレイもしたが音楽系だけは遊ばなかった。オレが嫌だったからだ。ニノはオレが嫌がると強要することはせずに一人で遊んでいた。感心した。バカのように強要してこないのは高得点に繋がった。

 

 

 ニノが踊っている姿を見て……バカと重なった。確かにバカに劣るけど、楽しそうにしていてこいつも根っこはアイドルなんだなと思った。バカの時とは違い、観客はオレだけだったが独り占めできた。やりきったニノに声をかけられて我に返った。「ボケっとしてどうしましたか?」なんて聞いて来るが、返答せずにニノを連れてさっさとその場から離れた……べ、別に見惚れていたとかそういうのではないから勘違いするなっ!

 

 

 ゴホン……そして黒歴史を作り出したプリクラだったが諦めてくれた。おおっ!?ニノはバカとは違い話がわかるようで更に高得点を上げたくなった。バカもこれぐらいならまだよかった……いや、あいつがこんないい子に育つわけがないからあり得ないなうん。

 そろそろ煙草が吸いたくなってきて、そういえばバカの時もこのタイミングだったな。まぁそれは偶然ということにしておこう。煙草を吸いに行くと伝えると了承してくれた。バカのように不貞腐れることなくて楽でいい。さてと、これでゆっくりと煙草を堪能できるな~♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ君、可愛いね?俺達と遊ぼうよ」

 

「君一人でしょ?だったらいいじゃん」

 

「い、いえ違います。友達がいますから……」

 

 

 煙草を堪能して戻って来てみればなんでバカの時と同じようにニノがナンパされてんの?しかもあのチャラ男も同じ奴じゃん!?相変わらず金持ってなさそうだ。あのチャラ男どもってもしかしてここの常連なのか?

 ニノは怯えていた。見た目があれだし、こういう奴を相手をしたこともあるのかどうか知らないけど苦手なのは確かなようだ。

 

 

「友達?その子も可愛いのかな?」

 

「俺的には君が好みでさ、友達も誘って遊ぼう?後でもっと楽しいところに連れて行ってあげるからさ」

 

「お、お断りします」

 

 

 明らかに遊び以上の展開を期待しているチャラ男だな。ニノもわかっているのか断って早くここから離れたそうにしている。ナンパは間違いなく失敗する。失敗すればこいつらはキレる。前に見たから知っているし、この後の展開が予想できてしまう。

 

 

「……なぁ、俺達が誘ってやっているのに断るつもりかよ?」

 

「ちょっとお話しようぜ?なに、すぐに済むから」

 

「わ、わたしは嫌だって言ってるんです!」

 

 

 ほらキレた。ニノが頑なに断っているのにそれでも引こうとしない……しつこい奴らだ。しつこい奴は嫌われるぞ?以前バカをナンパした時と同じ展開だったからまた茶番劇をしなければならないのかとオレは気を抜いてしまっていた。

 

 

「いいからこっち来いって!」

 

「や、やめて!!」

 

 

 チャラ男が腕を掴んだ。抵抗するがニノでは男の力に逆らえず痛がっている。

 

 

 ……はぁ?ちょっと脅そうかと思ったがやめだ。嫌がっているのに無理やり迫るチャラ男どもなんかに加減なんて知るかっ!!

 

 

おい

 

「はぁ?邪魔すんn……ひぃ!?」

 

 

 何か言おうとしたチャラ男の胸ぐらを掴み、フードから睨みつけるとチャラ男がビビった。

 

 

「お、お前は……あ、あの時の!?」

 

「オレの女に手を上げたな?覚悟はできてんだろうなっ!!」

 

「ま、前の女以外にも手を出してんのかよ!?浮気野郎かよ!!?」

 

「あん!?殴られたいらしいなっ!!」

 

「す、すみません許してくださいそもそも知らなかったんです!!」

 

 

 チャラ男が言い訳するが今更遅い。オレの知り合いだったらそもそもナンパしなかっただろう。相手が知らない子だったからナンパする。それはいい、だけど知らない子だからと拒絶しているのに無理やり誘おうとする態度が余計にオレを苛立たせた。

 

 

 女の子を力で支配するやり方が気に入らない。クソ親父のように暴力で解決しようとするのが腹立たしいんだよっ!!

 

 

「知らなくても知っていても関係ねぇ!怯える女に無理やり迫るやり口なんぞナンパでもなんでもねぇんだよ!!ナンパするなら相手の気持ちを考えながら誘いやがれっ!!」

 

 

 騒ぎを聞きつけて周りの視線が向くが知ったことか。オレはこのチャラ男どもがむかついて仕方ない。片方のチャラ男もオレにビビって腰が引けている。なら胸ぐらを掴んでいる方から殴ってからもう片方も……

 

 

「あ、天野さん!もう離してあげてください!」

 

 

 殴ろうとしたらニノが割り込んできた。それでオレは冷静になれた。こいつはアイドルだ。それも人気上昇中のアイドルグループの一人、こんなことでメディアにでも取り上げられたらヤバい。店側からしても喧嘩が起きればここの評判が下がりその原因であるオレ達は恨まれる。こいつらをぶん殴ってもメリットはどこにもない。

 非常に不服だが、チャラ男を解放してやる。すると慌てて逃げて行った。なんとか暴力沙汰にはならずに済んだが、店側に説明しておかないと通報とかされてしまいかねない。スタッフに事情を話せばわかってくれて一安心。だがこの店側的にも喧嘩を起こしそうになったオレ達を置いておきたくはないだろう。

 

 

 オレとニノはゲームセンターを後にした。これは仕方がないと諦める。しばらくはここには寄れそうにない。

 

 

 チャラ男どもが許せなくてイライラしていたオレに「気分直しに食事でも行きましょう」と提案してきたから乗ることにした。ニノがオレを手招きして後に付いていく。向かう先は……やっぱり例のラーメン屋だった。ニノはここに来たことがあるらしく、バカからこの店の名前が出た時は驚いたそうだ。

 

 

 そしてバカの時と同じ濃厚ラーメンを注文する。ニノも同じものを頼むが、バカみたいに食べられないことにならないかと思った。しかし頼むのは初めてではないらしくいつも完食しているらしい。それを聞いて安心した。出てきた濃厚ラーメンを味わっているといつの間にかイライラしていた気分がリフレッシュされていた。会計を済ませて次に行くところは……公園。バカと立ち寄った場所、ニノは気分も悪くなければ妊婦のように腹が膨れているわけではなかった。だから立ち寄る必要はないが寄りたいようだ。

 公園のベンチでのんびり過ごす。オレは気になっている。バカと過ごした日と同じ行動……そういう風にニノは行動している。チャラ男どもの件が少し違うところとプリクラを撮らずに済んだのは良かったが、バカと同じ行動をするのはどうしてなのか?そう聞いても「秘密です♪」と言う。機嫌が良いのはなんで?チャラ男どもに絡まれて怖かったはずだ。ラーメンを食べたからか?疑問は尽きないが話さないのであれば無理やり聞き出すこともないので、のんびりと時間だけが過ぎていくはずだったが、ニノが昔話を語り出した……オレは何も言っていないのに関わらずだ。

 

 

 初めは出来立てほやほやのアイドルグループだった。みんなスタート地点は同じでお互い頑張っていこうと親睦会と称してカラオケにもいった。しかしバカがセンターに抜擢されてから何もかも変わった。新しく入ってきたメンバーもバカの才能に嫉妬していじめや悪口を言う様になり、初期メンバーも離されていく実力と周りの視線に耐えかねて二人が脱退。残ったのはバカとニノの二人だけ。そしてニノもいじめに加担していた。そこには嫉妬や羨む気持ちがごっちゃになっていたことをポツリポツリと語った。

 

 

 昔話を語り終わったニノの視線がオレに向く。なんだよ?何期待した目で見てんだ?まさか……この後()()()に連れて行けと?冗談じゃない!!オレは嫌がった。だから強要してこないニノなら諦めてくれると思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ歌いましょう♪」

 

「何故だニノ!?お前裏切ったのか!!?」

 

「裏切ったとは何のことでしょうか?それよりも時間が勿体ないですし歌いましょうよ!」

 

 

 そう思っていた……しかし現状はニノの奴と一緒にカラオケに居た。なんでこうなったの!?いや、ニノなら諦めてくれるはずだったんだけど、オレの手を取ってどこかに向かう。行先を語らずその雰囲気に言葉を交わすことなく歩いていると見覚えのある建物が見えてきた。まさか!?っと思ったら案の定カラオケ店だった。それもバカと過ごした時と同じ店、そうなると黙っていたオレも黙っていられなくなった。手を振り払い「どういうつもりだよ!?」と疑問を投げかけるとニノは悲しそうに……涙を流した。

 ええっ!?な、なんでそうなるの!?オレは混乱した。しかもここは人通りの多い場所だ。通行人には疑いの目で見られているし「別れ話でもしているのか?」「女の子泣かしてる……最低な男ね」とか聞こえてきた。いや別れ話じゃないし、オレは一応女だって!!周りからの視線が気まずくても、ニノはただ涙を流し続けるだけで言葉の一つも話さない。オレは居ても立っても居られなくなり、ひとまずニノを引っ張ってカラオケ店に逃げ込んだ。今思えばなんでカラオケ店に逃げ込んでしまったんだと後悔した。

 

 

 店に入ればニノは涙をスッと引っ込めて「歌う気になってくれたんですね♪」と上機嫌に言うもんだから唖然とした。唖然としている間に受付を済ませて部屋まで連れ込まれた。

 

 

 こいつ演技してやがったんだ。涙は嘘、泣いている演技に騙された。バカの時と同じようにオレに歌わせるつもりらしく、嘘泣きでオレの良心に精神攻撃しやがったんだ!!意外にもやり手だったことを知り、バカとは違うベクトルで恐怖した。そしてマイクを渡されてニノはオレと一緒に歌う気満々だ。

 そ、そこまでして歌わせたいのかよっ!?バカに嫉妬し憧れを持っているのは知っている。だがオレと何の関係があるんだよ?バカの面影を重ねているなら……悪いが歌うことはしない。オレはあいつとは違う、違うんだ。

 

 

 顔が同じ、声も同じ、体格もさほど変わらない。性格は違うけれどそんな内面なんてパッと見てわかるわけがない。わざと髪型をショートカットを維持して髪を金髪に染めた。そうでもしないと天野コイという存在が消えてしまう。そんなのは……認めたくない。

 オレは天野コイなのに……星野アイに存在を食われてしまう。上書きされて誰にも忘れ去られてしまう……それが怖い。

 

 

 輝く一番星に穢れた屑星が勝てるわけがない。

 

 

 引き立て役?違う、オレはそれにすらなれない憐れなクズだ。

 

 

 心まで汚い卑怯者。

 

 

 なのに足掻こうとする愚者。

 

 

 幸せを得たいと諦めきれないでいる。

 

 

 オレの居場所に光は必要ない。

 

 

 だけどバカがオレを闇から引きずり出して光を与えようとする。

 

 

 迷いが生まれた。

 

 

 バカのせいでまた足掻こうとしてしまう。

 

 

 幸せを求めてしまう。

 

 

 だからオレはバカが嫌いだ。

 

 

 そんなバカとオレを重ねられていると思うと……歌う気力なんて湧くかよ。

 

 

 そう思っているとニノの奴が近づいて来た。顔が近い、ニノもアイドルだから当然可愛い。可愛い程度でオレの心は微塵も動くことはないが、何かを訴える瞳に見つめられて視線を逸らしてしまう。

 

 

「天野さんとアイちゃんを重ねてはいません」

 

 

 いきなり何を言い出すかと思えば心を読んでいるのかと思った。その言葉を聞いた時、オレは反射的に逸らしていた視線をニノに向ける。

 

 

「……お前はオレを……バカと重ねていないだと?」

 

「はい、初めはアイちゃんだと思って……嫌なことを言ってしまいました。別人だとわかってもアイちゃんを見ると怖くなって怯えていました。アイちゃんと久しぶりにまともに話して合って……アイちゃんってどんな子か再認識しました。わたしはアイちゃんのことを知ったつもりになっていたんです。そして天野さんのことは全然知らなくて今日遊んでいてわかりました。天野さんとアイちゃんは違うんだって」

 

「……」

 

「正直言います。あなたを誘ったのはアイちゃんに並びたいから。アイちゃんと天野さんが遊んだ日、アイちゃんは今まで以上に輝いていた。嫌味を言っていたメンバーもわたしも……見惚れていました。何がアイちゃんをこんなに変えたのかって考えました」

 

 

 ニノの言葉をオレは黙って聞く。そこにオレが口を挟むわけにはいかなかったから。

 

 

「そんな時にアイちゃんに自慢されて天野さんと遊んだって知りました。それがきっかけになったと思って、わたしも天野さんと遊べばアイちゃんみたいに輝けるかもって思ったんです」

 

「それでオレを誘ったのか」

 

「はい、遊んでいる内にアイちゃんが強くなった理由がわかりました。すみません、あなたのことを利用していたんです」

 

「別にそこは構わないんだが……あのバカが強くなった……か」

 

「はい、アイちゃんが更に輝きを増したのは天野さんのおかげです。アイちゃんの力だけじゃ決して輝けなかったと思います。アイちゃんに並ぶ為の目標が高くなりましたけど、おかげでわたしも更に強くなれる気がして嬉しくなりました!」

 

「……そうか」

 

 

 目標が高くなって絶望するどころか嬉しいか……強いよ、お前は。流石は初期メンバーの生き残り、伊達じゃないな。

 

 

 ニノならバカに並び立てるんじゃないか、もしかしたら超えてしまうんじゃないかと思った。これは嘘でもない本心だった。そろそろセンター入れ替えの時期になるかもなっと内心笑ってしまった。

 

 

「だからアイちゃんを輝かせてくれた天野さんには感謝しています。けど、それだけじゃありません」

 

「ん?」

 

 

 おや、ニノが何か言おうとしていた。すぐに言葉を発さず二度三度深呼吸をする。

 

 

「ナンパされていたわたしを助けてくれた時の天野さん……とても素敵でかっこよかったです!」

 

 

 ニノが顔を真っ赤にしていた。見えた耳の先まで赤色に染まっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「楽しかったですね♪」

 

「……そうだな」

 

 

 結局ニノと一緒に歌うことになってしまって、また恥ずかしい姿を晒してしまった……歌わないとか言っていたオレってなんだったんだよ。自分が情けない……だが言い訳させてほしい。

 

 

 恥ずかしい記憶は残っている……が、気になっていることがあった。歌っている最中は気にもならなかったし、一曲目が歌い終わった後になって恥ずかしさに悶絶しながらやっぱり歌うのをやめようとするとニノが泣きそうな顔をする。嘘泣きだろと思っていたが、オレの手を握って「やめないで……」と小さい声で呟くから仕方なしに付き合ってやった。その結果、何回もニノと一緒に歌うことになって恥ずかしくて死にそうになってようやく解放された後、冷静になって思い出す。

 

 

『ナンパされていたわたしを助けてくれた時の天野さん……とても素敵でかっこよかったです!』

 

 

 夜までカラオケで歌っていた。オレ達は帰っている途中でニノを家まで送るつもりだ。アイドルが夜中に一人で帰るのは何かと危ないからな。それはそうと隣を歩くニノを盗み見ると笑みを浮かべて鼻歌を歌っていた。勿論、B小町の曲だ。本当に楽しかったんだろうなっと思いつつ、ニノがカラオケ店で言った言葉を思い出して考えを巡らせる。

 

 

 あの時に見せた表情……顔を真っ赤にしていた。あれってメスの顔じゃね?い、いやそんなわけないじゃん。オレってこう見えても一応女なんだし、女同士で()()()()()()になるわけない。ニノはノーマルだ……たぶん知らんけど。

 オレの考えすぎだな、この考えは流石に失礼だ。あれは素直にお礼を言うのを恥ずかしがっていたに違いない。うん、これで解決した。なんだ、なんでもないことだったな。ちょっと焦った自分が恥ずかしい……そう思っているとニノがここまででいいと言った。この先に家があるらしくここまで送ってもらえたら大丈夫だと。それなら後は帰るだけだな。

 

 

「天野さん、今日はとても楽しかったです。またお誘いしてもいいですか?」

 

「まぁ、暇だったら乗ってやるよ。じゃあな」

 

 

 そうって踵を返そうとしたら腕を掴まれた。

 

 

「ちょっと待ってください」

 

「なんだよ?」

 

「まだやることが一つ残ってますよ?」

 

「やること?」

 

 

 うん?何のことを言っているかわからず首を傾げているとニノはスマホを取り出した。そしてカメラを起動させた……えっ、ま、まさか!?

 

 

「プリクラでは撮れなかったですけどスマホで写真撮りましょう♪」

 

 

 やっぱりだ。プリクラとはもう無縁かと思っていたら写真に縁があるとか……嫌になる。

 

 

「い、嫌だ!」

 

「……っ!」

 

 

 拒否したら泣きそうな顔をする……お前もしかして泣き芸に味を占めたのか!?残念ながらオレが何度もそんな手に乗るわけが……

 

 

……ぐすっ

 

 

 嗚咽が聞こえてくる。そ、そうだ……こ、これは嘘だ。嘘の涙なんだ。だから無視して帰る……帰るぞ……うぐぐっ!!

 

 

「し、しゃあねぇな!撮るならさっさと撮れ!!」

 

「じゃ遠慮なく♪」

 

 

 やっぱり嘘泣きだった!!ちくしょうっ!!オレが騙されるなんてありえない!!こいつもバカと同じ色に染まってきているんじゃないのか!?人の良心に付け込むだなんて……怖いよ、女って怖いよー!!!

 

 

 演技にまんまと騙されてしまい写真を撮ることになった。嫌々ながらだったが、いきなり腕に抱きついてきたのにはビビった。スマホはプリクラとは違い、小さいから密着しないと画面に収まらない。だからって腕に抱きつくのはどうかと思う。パシャリと音を立てて写真を撮られたのだと理解した瞬間、黒歴史確定の写真がもう一枚増えたのかと絶望した。だがこれで終わり、もうさっさと帰って寝よ……

 

 

「あっ、天野さん」

 

「……なんだよ」

 

 

 一気に疲れた。今度こそ帰ろうかとした時にまたニノに呼び止められて振り返ろうとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 チュッ❤

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなリップ音が聞こえ、頬に温かい感触が残っていた。

 

 

「天野さん、また後日会いましょうねっ!!」

 

 

 顔を真っ赤にして走り去っていくニノをオレはただ唖然と見送るしかなかった。

 

 

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