それでは……
本編どうぞ!
それは突如として訪れた。
夢のドーム公演日に
何かの間違いだ、そんなことありえないと自分自身に言い聞かせて病院へと駆け込んだ。病室へとたどり着き中に入るとそこには……
ベッドの上で眠る
どうなっているのか理解できない斎藤夫妻はアイから通り魔に襲われていた少女を助けただけだと聞いて自分達と会話している方が本物のアイだと理解した。
その後の流れでは事情聴取の後、アイはファン達の前に姿を現した。
アイドルグループ『B小町』のドーム公演は大成功を収めた。アイが刺されたとの情報はすぐに拡散されてファンの間で様々な意見が飛び交い、不安があったがそれは誤報だったと知りファン達はライブを楽しんだ。
ライブ中はプロ意識で笑顔を振りまいていたが、アイは内心気になっていることがあった。通り魔に刺された子のことだ。
自分と瓜二つ。違いがあるとするならばアイは紫がかった黒髪のロングヘアーに比べて彼女は金髪のショートヘアーなことだろうか。体格もほとんど差異はみられず、アイを髪型と髪を染めたと言われれば百人中百人が納得する容姿だった。
興味を持ったと言えばそうだろうが、アイは胸騒ぎがした。見れば見るほど引き込まれる不思議な感覚、どこか他人とも思えずに意識が向いてしまう。
アイは斎藤夫妻とアクアとルビーと共に病院へと向かった。そこには未だに意識を取り戻さない一人の少女がいた。
「……それでこれはどういうことなのよ?」
「僕にもわからない」
「私も……」
「アイ、お前もこいつのこと知らないのか?」
「……うん」
「そうか……にしても似すぎている。まるで鏡だ」
「そっくりさんと言えばそうかもしれないけど……でもここまで似るのかしら?」
病室で壱護とミヤコ、星野一家は困惑していた。アイに似すぎている少女の存在が彼ら彼女らをそうさせる。
「……」
アイは名も知らぬ少女の手を握る。眠る彼女の体温が手を通して伝わってくる。
眠り姫はまだ目覚めない。
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………………………………………………なんでオレが刺されなきゃいけねぇんだよ!!
腹から痛みが全身に浸透するのを混じる。きもいおかしい奴だと思ったがここまでイカレているとは……やっぱりオレの人生はクソだ。最悪だ。なんでオレがこんなイカレ野郎に刺されなきゃならない。ふざけるな……ふざけるな!!
「ふはっ……痛いかよ?俺はもっと痛かった!苦しかった!」
んなわけねぇ……だろが!!お前の痛みも苦しみなんて知るか。痛いのはこっちだよっ!!
「
なにを言ってんだ……?
「ファンの事を蔑ろにして裏ではずっとバカにしていたんだろ!」
へぇ……そう……なのか。子供がいるのか……
「この嘘つきが!!」
……よくわかってんじゃん。そうさ……
――むかつくッ!!
無性に腹が立って痛みを堪えてでも目の前のイカレ野郎をぶん殴ってやろうと思えば……
「だれかたすけて!!!人が刺されたー!!!」
一番関わりたくない奴の声……オレと同じ声でそいつは叫びやがった。
こんなところに居やがるなんて……偶然にしては出来すぎている。運命ってやつ?だとしたら最悪の巡りあわせだ。わかった、神様はろくでなし野郎ってことが。
あぁ……力が抜ける。立っていられない……
地面に崩れ落ちても痛みは感じなかった。その時に直感した……死ぬんだって。
クソったれの人生がこんな形で終わるのか……あっけなくてダサい。後悔は山ほどあるのに。
あのむかつく嘘つきアイドル様をぶん殴ってやりたかった……
……ちく……しょう……っ!
「だ、大丈夫ですか!?しっかりして!!」
ああ……最後の最期で関わるのか。しかも力が入らず……ぶん殴ることができないだなんて……
「ぐっ……うぅ……」
「大丈夫、大丈夫だからね!?」
痛みに耐えられず唸り声を上げてしまった……心配して……くれている……見ず知らずの赤の他人だからだろ……?お前はオレのことなんて知らないんだからな……!!
「アイ!その人を寝かせて!腹部か……危ない場所だが、僕が何としても助けないと!」
「アクア……?」
「アイ早く!」
「あ、うん。で、でも先に救急車を呼ばないと……」
「ルビーを起こして呼んでもらっているから大丈夫。それよりもアイにも手を貸してほしい!!」
「う、うん!」
このガキ……こいつがそうなんだ。頭がよさそうだ……アイドル様のお前と違ってな。
へっ、最後に……こんなのを見させられるなんて……かみ……さまは……とことんオレのことが……きらい……らしい……
「……うぅ……」
「――っ!?気が付いた?」
……最後じゃ……なかったの!?
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ドーム公演日、あの日のことが忘れられない。
アクアとルビーの可愛さにきゃわ~~~❤を堪能して、社長達が来るまでに準備をすませようとしていたらいきなりお腹に痛みが走って立てなくなっちゃった。そんな私をアクアは心配してくれたけど、すぐに痛い感じがしなくなって、おっかしいな~?って気のせいだと思った。
けどあの後に聞こえてきた……誰かの声。どこかで聞いたことのある声が頭の中に直接響いた感じがして、玄関が気になった。私はいつの間にか外に出ていて……見つけた。
そこからは……あまり思い出したくないけど、背筋が凍り付くような錯覚を感じさせる流れ出た血に染まった子をアクアと協力して応急処置をした。救急隊の人が来てタンカーであの子が運ばれる際に顔が見えた。
何度も鏡の前で見た顔に私は驚いた。アクアも驚いていた……あれは
完璧な応急処置を施したおかげであの子は一命を取り止め今も眠っている。警察から事情聴取されたけど、あの子のことは知らないし、
血塗れのあの子の姿が頭から離れない。その光景が今でも鮮明に思い出せる。まるで
今日会ったばかりだけどあの子から離れるのが名残惜しい。けど大事なドーム公演日を延期にはできない。得体の知れない不安は嘘で塗りつぶす。嘘で覆い隠してしまえば相手にはわからないけど胸の鼓動が治まることがない。
大勢の人の前での緊張なんかじゃない。私は刺されていないのに死の恐怖が鼓動を乱す……でもアクアとルビーが応援してくれて……ママ頑張っちゃう!!って張り切れた。
ドーム公演は大成功。万々歳だねー♪なんて表面上では表していたけど、祝宴を抜け出してミヤコさんと一緒にあの子のいる病院へとやってきた。ベッドで眠るその顔を見ていると自分がそこにいるような気がする。
私と同じあなたは誰?
そう聞きたかった。赤の他人のようで他人とは思えないあの子に時間が空いていればお見舞いにいった。あれから一週間が経った。
一週間経った今も犯人はまだ捕まっていないって……早く捕まらないかな。そう思いつつ病室を訪れた。今日は社長達とアクアとルビーも一緒だった。私はまた反応を示さない手をそっと握る。
「……うぅ……」
「――っ!?気が付いた?」
その子が何の予兆もなく意識を取り戻した。私はすぐに声をかけた。
眠っていたその子がゆっくりと目を開けた。
その子の瞳を見たとき、体中に電流が走ったような……そんな気がした。
テレビの中でも写真でも見たことがある瞳。
誰からも好感を得られる笑みを浮かべて愛想よく振りまいて、輝いて見えるように見せる。
誰もが目を奪われるように……嘘で自分を塗り固めて。
『完璧で究極のアイドル』を作り上げる。
全てが嘘。
視線、声、表情を操って相手の求める
それが私……星野アイと言うアイドル。
でも……この子は違う。違うのに似ていて……決定的に違うところを見つけた。
この子に宿っていたのは
ミヤコさんの言う通りにそっくり……ううん、まるで鏡から私が出てきたみたい。髪型と金髪なのを抜いたら私だ。でもこの瞳は私じゃない。
どうしたらこんな瞳ができるの?あなたは……誰?なんであなたから目を逸らせないの?色々と聞きたいことができちゃった。けど何から聞こうかな?聞きたいことが多くて困る。
なんでこんなに意識するんだろう?自分でも何故かわからない。似すぎているだけの
この子のことを知りたいと思ってしまう自分がいる。そうだ、一番初めにしないといけないことがあった。
「初めまして、私は星野アイ。あなたのお名前は……?」
自己紹介。芸能界では基本だって
でも……
「「「「――っ!!?」」」」
「………………………………………………えっ?」
……まさかぶたれるなんて思いもしなかったなぁ……