一番星と屑星のふたつ星   作:てへぺろん

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遅くなって申し訳ございませんでした。就職活動も区切りがつきましたのでボチボチと投稿をさせていただくことになると思います。


これからもこの小説をよろしくお願いいたします。


それでは……


本編どうぞ!




ダブルデート前編

 燦燦と輝く太陽が地上を照らし、地上の人々は汗を流しながら仕事、遊び、スポーツなどに精を出す。そんな人々の中には今日と言う日を楽しみにしている者もいた。

 

 

「ふ~ん♪ふ~ん♪天野さんまだかな……♪」

 

 

 アイドルグループB小町のメンバーのニノは私服姿だった。B小町のアイドル活動は本日はお休み、彼女は上機嫌で鼻歌を歌いながら公園で誰かと待ち合わせしているっと言っても相手が誰かもうわかっているだろう。

 相手は天野コイ、今日は彼女と2回目のデートを約束しており今か今かと王子様(?)の登場を待ちわびていた。もう少し待っていると後ろからニノを呼ぶ待ちわびた人物の声が聞こえてきた。嬉しさを表情に現しながら振り返るとそこにはコイの姿が……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待たせちゃった?ごめんね()()

 

「………………………………………………なんで居るの」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()

 

 

 そこには気まずそうに視線を逸らすコイとこの場に居るはずもないアイの姿があった。

 

 

 ★------------------★

 

 

「なんでアイが居るの?」

 

「なんでって?それはコイとデートするから♪」

 

「……どういうことですか天野さん?正直に話してください事細かくわかるように」

 

 

 ニノの視線が鋭利な刃のように突き刺さる。その瞳に光は宿っていなかった……ちょ、ちょっと待って!?一から説明させてくれっ!!!

 

 

 そ、そう……あれはこの前のB小町のライブを見た時のこと、バカの母親ことポンコツ女が隣でなよなよしていて世話を焼いた。後半になって落ち着いて冷静にライブを眺めていたが……やっぱり眩しいもんだな。

 誰もが歌と踊り、笑顔に一生懸命と言う汗を流して星々の輝きを放つ。特にバカとニノは眩しくて見ていられないはずなのにあいつらから目が離せなかった。時間があっという間に過ぎ去っていた。オレにとってライブは毒だが、今回ばかりはまぁ……よ、よかったと褒めてやるよ。

 

 

 でだ、この日の帰りはニノを自宅に送り届ける為にオレが付き添ったんだがその時に「デートしてほしい」とお願いされた。なんでデート扱いになってんだよ?別に遊ぶでいいだろうに……ニノからしたらデートなんだろうけどな。まぁそこは置いておくとしてだ、オレは「時間があれば」と曖昧に答えておいた。

 それからバカとアクアとルビーと遊園地に行ってしばらく仕事が続く日々を過ごしていたある日のことだ。近々休みがある。その休みに「デートしてください!!」とお願いされた。

 

 

 楽しみにしていたらしく断られるんじゃないかと不安があるようで目に涙を宿らせていた……が用心しろ。ニノには騙し涙と言う戦法を習得している。これはニノが味を占めたお得意の戦法で、周りの人間を味方に付ける厄介な付与効果持ち、オレはその戦法に騙されたこともあるが、今回ばかりは断る理由もないので了承したんだ。ここまではいい、ここまではな。しかしここからだ。

 

 

 ニノが上機嫌に去ったのを見て安堵のため息を漏らしたが、背後から急に寒気がして恐る恐る振り返るとそこには満面の笑みで手に手錠を握りしめたバカが立っていた。そして察した。

 今までの会話を全部聞かれていたんだ……ちくしょうー!!そんでバカはオレとニノがデートするに付いてくると言った。流石にそれはまずいだろうと思ったが、断れば拉致監禁された時よりも恐ろしい目に遭うかもしれない。日の目を見ることなく一生を終えるんじゃないかとそんな予感が頭に(よぎ)り折れた。べ、別にビビって屈服したわけじゃなくてだな……と、とにかくだっ!そんな経緯でバカも付いて来たわけだ。悪いニノ、この恐ろしい化け物はオレじゃどうしようもできなかったんだ……許して。

 

 

 経緯を説明するとニノが笑った……勿論目に光はない。

 

 

「へ~え……そうなんだぁ……そうなんだぁ」

 

「うん、急にごめんね?でも()()()()()()()の方が面白いよ?だから一緒に遊ぼうね?」

 

 

 バチバチ視線が交わり火花が散る。決して錯覚なんかじゃない……そもそもダブルバカはなんでオレを取られたくないと思うんだ!?オレのどこに執着するほどの価値があるんだよと呆れながら傍でこの光景を見ているだけで滅茶苦茶怖いっ!!

 気温が低下し続けるこの場から気配を消し、音を立てずに逃げ出そうとしたが、バカとニノの手がしっかりとオレを逃がさないと言わんばかりに掴まえていた。

 

 

「天野さんどこに行こうとしているんですか?」

 

「可愛い美少女を残して何で帰ろうとしてるの?ねぇねぇねぇ?」

 

 

 ――ひえっ!!?

 

 

 絶対零度の目で見つめてくるな怖いからっ!!?

 

 

 これはもう逃れられないと確信させられた。

 

 

 バカとニノに寄り添われ、両手に花と言う言葉があるが……こんなの全然嬉しくない。二人とも笑顔だけど目が笑ってねぇもん!!更にはやばい雰囲気を発しているのがわかる。通行人が道を譲るように道を避け、散歩していた犬が飼い主と共に腰を抜かしていた。悪い一般人、ダブルバカが迷惑をおかけしました。だけど誰でもいいからこのオレを救ってください!!と願ってもその思いは誰にも届かない。

 

 

()()()デートすっごい楽しみだよねコイ!!」

 

「今日は思いっきり()()()()一緒に楽しみましょうね天野さん!!」

 

「ハイソウデスネ……」

 

 

 こうして地獄のダブルデートが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわ~!!見てくださいペンギンさんですよ天野さん!!かわいいですね♪」

 

「ああ、そうだな」

 

「家族か……姉妹なら一緒に暮らすべきだと思うなぁ……チラチラ

 

 

 オレ達は動物園にやってきていた。一応ダブルバカはアイドルなので電車よりもタクシーの方がバレる危険性は少ないのでタクシーに乗ってここまでやってきたが、運転手が妙に息苦しそうにしていたのをこの目で見た。運転手にも迷惑かけてんじゃねぇよまったく……このまま動物園について動物や客に迷惑かけるんじゃないかとヒヤヒヤしていたんだが、いざ到着するとバカは楽しみを抑えきれない様子で子供のように「早く見に行こうよ!!」と急かされる。ニノはバカと違って大人ぶっているように見えていたが、小声で「ペンギンさん♪お猿さん♪ライオンさん♪」と動物園に来るのを楽しみにしていたようだ。

 あのままだったら生きた心地がしなかったからこれで良かったんだ。予想していた最悪の事態にならないで一安心した。

 

 

 そういえば動物園も前の遊園地そうだったがクソ親父に連れてもらったなんてこともなく、生きる為に必死だったなぁ。だから……ちょ、ちょっとだけ楽しみにしていた。べ、別に悪いことじゃないだろっ!?

 ゴホン……それはそうとバカの視線がうざったい。期待した目で見てくんじゃねぇよ。へっ、お前と()()だなんてごめんだね。なので無視してやったら頬を膨らませていやがったが知らね。

 

 

 動物園を三人で回っていく。動物と触れ合うことができる触れ合い広場なんてものもあった。飼育している動物に触ることができるのか!?と驚いた。ヤギやカピバラの草食動物がのんびりと黄昏ていて、触る以外にも餌を与えることができた。フワフワしていたし、動物の生きる生命力のような力強さを感じさせられた。

 ここでちょっとしたハプニングがあった。餌を与えようとしたらヤギ達が集まってきて、バカが揉みくちゃにされた。更にはバカの髪を餌と間違えて食べようとした奴もいて、オレはその光景が面白くて噴き出してしまった。幸いなことに髪は食べられることはなかったけど、揉みくちゃにされて髪がボサボサになったバカの姿に笑いが堪えられなくなってオレとニノは腹を抱えて笑いが止まらない。ぷんすかと怒るバカの姿も傑作だった。普段の行いが悪いから天罰が当たったんだな、いい気味だったぜ♪

 

 

 動物園を堪能し、近くのハンバーガー店に入る。そこで昼食を取ることにした。アイドルがハンバーガー店なんてと一昔前ならそう言われていたかもしれないが、昔のアイドルはトイレに行かないとまで偶像な存在でなくてはならなかった。だがこいつらを見ているとそんなことなんてあり得ないとまで思わされる。

 どれも美味しそうな見た目に悩むバカとニノを眺めながら、好きなバーガーセットを選ぶ姿は年頃のただの女の子だった。オレはその背中を見ていつの間にか微笑んでいた。何故微笑んでいたのか自分でもわからない……変な感じだった。

 

 

 不思議な感じに内心で首を傾げつつも席につき、バーガーやポテトを堪能しているとバカがこちらをジッと見つめてくる……なんだ?と思っているとこんなことを言い出した。

 

 

「ねぇ、この後みんなで服を見に行こうよ!!いいよね?」

 

「――ッ!?そういうこと……うん、わたしはいいよ。天野さんいいですよね?」

 

 

 何かを察したのかニノがバカに便乗した。二人が期待した目でオレを見てくるんだが?

 

 

「あん?まぁ……構わないけど」

 

「「やった!!」」

 

 

 なんだこいつら?二人して喜んで……服を買いに行きたかったのか?女はオシャレに気を遣うらしい。だから同じ服をあまり着ないとか聞いたことがある。その為にお金がかかるのだとか言うがオレには関係ない話だ。一応女だけど気を遣う相手もいないし、普段からお気に入りのパーカーで十分、オレは荷物持ちになっちまいそうだな。

 

 

 ……っとこの時は特に深く考えなかった。後でこの選択に後悔することになろうとは思わなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃまずはこれ着て似合うから!!」

 

「こっちの方が似合うと思います!!」

 

「ううん、絶対こっちの方が可愛いって!!」

 

「わたしが選んだ奴の方が可愛いです!!」

 

「コイどっちがいいの!!?」

 

「天野さんこっちがいいですよね!!?」

 

なんでこうなったんだっ!?

 

 

 これは心からの叫びだ。洋服店に辿り着き、二人が真剣な表情で服を選んでいるのを眺めているとオレの下へやってきた。手にはフリフリがついた可愛らしい服に丈が短いスカートでこっちも可愛らしいタイプ、それを持ってきた時に嫌な予感がした。二人がオレの手を取って試着室まで連れていかれて……現在に至る。ほんとなんでこんなことになってんだよっ!!?

 

 

「なんでって?コイってオシャレしないよね?たまにはオシャレしないと!!」

 

「お、オシャレってお前なぁ……!!」

 

「天野さんはいつも同じ服でいますよね?同じ服が家に何着もあると容易に予想できましたよ」

 

「わ、悪いかよ?」

 

「悪くないけど、やっぱりコイも女の子なんだから可愛い服着ないと!!大丈夫、私は可愛いからコイも絶対可愛いの似合うから!!」

 

 

 キラキラした目でオレに詰め寄るダブルバカ……や、やめろ!!オレにそんな可愛いものが似合うわけないだろいい加減にしろ!!

 ダブルバカの威圧に屈服しそうになる。だがオレは負けるわけにはいかない。負ければオレは可愛くされてしまう……それは嫌だー!!!臨戦態勢を取らせてもらうぞ!!!

 

 

「うわ~、コイが猫みたいに威嚇してる……」

 

「それほど嫌なんですね……アイ」

 

「そうだね……ニノ」

 

 

 あん?こいつら何をするつもり……ってぇ!!?

 

 

「ぐすっ……どうしても着てくれないんですか?」

 

「……着てくれるよね?よねよねよね?」

 

 

 ニノは大粒の涙を流し、バカは笑顔のまま手錠を取り出した……こいつらオレを脅迫するつもりだ!?ゲームで『はい』か『YES』の選択肢しかないみたいな展開になってるぅ!!だ、だがオレは屈しない。屈してなるもんか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「きゃわ~~~❤コイったら可愛すぎ~~~❤❤❤」

 

「はぁ……はぁ……天野さんのギャップ萌えが……かはっ!?」

 

ち、ちくしょう……!!!

 

 

 アイドルの皮を被った化け物&天使から堕落した堕天使には勝てなかったよ……

 

 

 ち、ちち……恥辱だ!!こんなのはパワハラだ!!こいつら調子に乗りやがって!!人の弱みに付け込んで意のままに操る悪魔(バカ)どもの仕業に屈して着せ替え人形にされてしまった……お、おいバカ何スマホなんか取り出してやがるやめろ撮るな撮らないで!?ニノも便乗するな!!た、頼むから写真を撮らないで……黒歴史がまた一つ増えてしまうからやめてー!!!

 凛々と星の瞳が輝かせながら興奮状態のバカと小鹿のように足が震わせ息を絶え絶えにしながらも凝視するニノには心からの叫びも通じず、オレの()()()姿()を映した写真が黒歴史となり語り継がれてしまうのだろう……くっ、殺せ!!一思いに殺してくれっ!!!

 

 

 早く一日が終わってくれとこんなに心から思ったことはこれが初めてのことだった。

 

 

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