さて今回はアイから重大な事実を聞かされたニノはというと……
それでは……
本編どうぞ!
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええええええええ!!?」
生まれて初めてだった。わたしもここまでの絶叫を発せられるとは思ってもいなかった。
その日はいつもと変わらない日になるはずだった。
天野さんがアイの自宅に住むことになったことを知ったわたしは羨ましかった。わたしも普段から天野さんと一緒に居たいのに!!姉妹権限だから仕方ないんだろうけどそれでも羨ましい!!でもレッスン後にお邪魔することになった。
大っ嫌いで憧れたアイとまさかこんなただの友人のような関係になれるなんて昔のわたしなら鼻で笑っていたと思う。そんなアイの自宅に招かれるなんて思わなかったから、緊張を隠しながら早くレッスン終わらないかなと思いながらも手抜きせずに時間まで己の欲望に耐え抜いたわたしは偉い!!
そして待ちに待った時間がやってきた。
アイは社長達と同じマンションに住んでいると聞いていた。だから社長達の車にアイと一緒に乗せてもらい、天野さんとは後で合流する流れになっている。社長達を待っていたら遅くなるからアクア君とルビーちゃんを幼稚園まで迎えに行くって。天野さんには失礼ですけど、仕事終わりに迎えに行くお父さんみたいと思ってしまった。何故かお母さんよりもお父さんって感じがしたんですよね……なんでだろう?
マンションに着いた時、アイはいい場所に住んでいるなと思った。高そうなマンションなだけでなく、いつでもアクア君とルビーちゃんに会いに行けるんだから、アイとはもう家族みたいな仲なんだよね。わたしも二人に疲れた時に癒しを求めていたこともあったから羨ましい!!天野さんとも一緒に暮らすことができるアイが恨めしい!!でも希望は残っている。
だからこれはチャンスだと思った。アイの自宅を
なんて思ってた。この時は浮かれていた。でもまさか……
「知っていると思うけど改めて紹介するね。私の子供達の星野アクアマリンと星野ルビーだよ♪」
アクア君とルビーちゃんがアイの子供達だった。
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…………………………
…………
……んっ?
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええええええええ!!?
ちょ、ちょっと待って!?
アイがアクア君とルビーちゃんを産んだ!!?
二人は社長達の養子だって聞いていたのに……ど、どうなっているの!!?
訳が分からなかったけど、社長達が詳しく教えてくれた。
一時的にアイが体調不良でB小町の活動が休止していた時期と重なるからあの時だ。その時でも16歳だったのに既にアクア君とルビーちゃんをお腹に宿していただなんて……気づかなかった。アイをずっといい意味でも悪い意味でも意識していた。時々気分が悪そうにしていたのを知っていたのに気づかなかったなんて笑っちゃう。
アイには辛い過去があって、その影響で家族が欲しかったんだとか。ずっと寂しかったんだ。でもだからって子供作っちゃうかなっ!?アクア君とルビーちゃんを見た時どこかアイと天野さんに似てるなって思ったけど……けどさ、限度超えちゃってない!!?父親のこともそう。アイ以外は父親が誰かは知らないみたい。誰かと聞いても「内緒!!」って言うんだ。けど庇う必要ないよ。社長達が居なかったら一人でアクア君とルビーちゃんを養っていかないといけなくなるんだよ?だから庇わなくていいよ、妊娠したアイを放っておくなんて最低な男、わたしがぶっ飛ばしてやるから!!
アイを放ってどこかで遊んでいるだろう顔も知らないはずの最低な男を思い浮かべているとアクア君へ視線が固まった。その時、金髪の男の人の顔が浮かんで咄嗟に天野さんへと視線が向く。天野さんもわたしの考えていることがわかるのか視線で『何も言うな』と語っているとわかった。
言葉を飲み込んだ。今は言うべきではないと判断したから。押し黙ったわたしに社長達は同情してくれるけど、社長達もよく耐えたよね。アイドルが妊娠、しかもB小町のアイが妊娠したとか特大スキャンダルにしかなりえないのに、アイは手のかかる子だからそれを今までサポートして来たのは凄いことだよ。素直に感心しちゃった。でも若い子びいきしていたのは素直に引く。
そんな衝撃の事実を知り、わたしを信じて秘密を打ち明けてくれたのは素直に嬉しかった。アイも胸の内は不安だったに違いない。アイの苦しみを気づいてあげられなかったわたしがやれることはこの秘密を共有すること。それがライバルに対する礼儀ってやつだから……
この秘密を知っているのは社長達と天野さん、そしてわたしとなった。それにアイは知らないだろうけど、アイの周りにはあの男の人がうろついている。天野さんがアイと一緒に居ることになった訳も理解した。でも今後何かあるような気がしてならない。不安を宿しながらもわたしはアイの自宅にお泊まりすることになった。
社長達は別室へと戻り、アイ達と一緒に晩御飯を食べたけど味を感じなかった。折角アイが作ってくれたのに頭の中で整理ができていない。アイに「美味しい?」と聞かれてもぎこちなく返答するしか出来なかった。天野さんだけじゃなく、アクア君とルビーちゃんも空気を察してなのか静かな食事だった。
お風呂にも入って、入れ替わりにアイ達がお風呂に入っている。わたしはソファーでボーっとしている天野さんの隣に腰かけた。そこには天野さんのことが好きだから傍に居たいとか邪な感情はなく、気持ちの整理をつけたかったから。そんな私の心境を察してか天野さんが「大丈夫か?」と気をかけてくれた。
「はい……正直言えばまだ混乱しています」
「だろうな、現役アイドルがまさかの子持ち。世間に知られたらスキャンダル間違いなし。更には人気アイドルグループB小町のセンターと来たもんだ。地雷ならぬ核爆弾が埋まっている状態だから仕方ない」
「でもアイはそんな秘密をわたしに教えてもいいと判断したんですよね?それはわたしを信頼しているからってことですよね?」
「それもあるが、バカがガキどものことを自慢したいんだと」
「アイらしい理由ですね」
信頼だけじゃなくて自慢したい為に秘密をばらすなんて……アイらしくて頬が自然に緩んだ。
「アイの子供がアクア君とルビーちゃん……するとアイはお母さんなんですよね」
「いきなりどうした?」
「いえ、わたしもいつかお母さんになるんだろうなぁと思ったりしたことはあるんですけど、そんなの遥か先の未来だと思っていました。そんな未来を描いている隣で既にお母さんになっていたアイって凄いなって思いました。アイドルって売れなきゃ意味のない仕事なのに、地下アイドル時代からずっとセンターで、わたし達のいじめにも耐えて、徐々に知名度もアップしたB小町は人気アイドルグループになって、人気になったらなったでアイドル事業や仕事で忙しい日々なのにアクア君とルビーちゃんの面倒を見ているんですから……本当に凄いなって」
「大体オレかおばさんが子守しているんだけどな。しかもこれが給料は安いんだぜ」
「あはは……天野さんも大変ですね」
「当たり前だろ?あのバカの相手とガキどもの面倒を任されている身にもなれってんだっ!!」
そう言って文句を吐き出す天野さんはめんどくさそうな顔をしていたけど、決して嫌がっているわけではない表情ではなかった。アイやアクア君とルビーちゃんのことを一番に考えてくれる天野さんと愚痴に相槌を打っていたけど本題に入らないといけない。
アイはアクア君とルビーちゃんのことを自慢したいが為に信頼してくれたわたしに秘密を打ち明けた訳だけど、天野さん的にはそれだけじゃない、わたしもわかっていること。
「アクア君とルビーちゃんの父親の件もありますよね」
「ああ、バカの周りに出没している。オレは仕事上バカとガキどもを両立できない時がある。だがお前はバカと一緒に居られることの方が多い。おっさんおばさんだけじゃどうしても無理な時もある。だからメンバーの中にもバカの事情を知っている奴が一人でも居ればと思ったんだ。協力してくれるか?」
「はい、まさかアクア君とルビーちゃんがアイの子供だったことは驚きましたけど、だからってアクア君とルビーちゃんとの関係は変わったりはしません。そしてB小町のセンターになって一番になるんですから、それまでアイが消えるなんて許しません。わたしの実力で正々堂々とアイを倒してみせます!!」
男の人の件がある。何の為に周りをうろついているのか、その人が本当にアクア君とルビーちゃんの父親で間違っていないのか、その他にも色々と思うことはあるけど……秘密の共有者になることを選んだ。アイやアクア君とルビーちゃんにもしものことがないようにわたしにできることなんて僅かだけど、それでもアイ達の行く末を傍で見守ることにした。
それがアイの