シリアスはアイドルパワーに屈するようです。
それでは……
本編どうぞ!
「どうしてこうなった!?」
胸の内を叫んだ。これはオレは悪くない。
「いきなり大声なんか出してどうしたの?」
「いやおかしいだろこの状況!!?」
オレはあのイカレ野郎に刺されて入院し、煙草も酒も飲めない不自由な生活に拘束されることになったが、ようやく退院できる。これで
退院後、オレは連れ去られた。
入院している間に金づるどもから
だが今でも謎なことがある。入院中、オレがスマホをいじっているとどこからともなく感じる視線。部屋には誰もいないはずなのに……幽霊なんかいるわけないのに誰かの視線を感じたんだ。あれはなんだったんだろうか?
そんな不思議な体験も忘れて晴れて自由の身となった。催促されていたし、男とホテルに泊まろうかと思ってスマホを操作しようとしていたら車が隣に停車した。なんだ?と一瞬思い、嫌な感じが全身に伝わった。直感に頼って即座に逃げるなりすればよかった。
車の扉が開き、そこから出てきた腕に引きずり込まれてそのまま車は発進した。
犯人は未だ捕まっていないことは知っていた。ならばその犯人または仲間がいて、オレはその連中に口封じの為に捕まったと思った。だがオレを捕まえた腕は細く女の腕のようだった。その腕を辿り、顔を確認すると……
噓つきアイドル様だった……ふざけんなっ!!
後部座席にオレと噓つきアイドル様がいる。誰が運転しているのか……運転席にはあのおばさんの夫である斎藤壱護だったか?その顔で名前が
こいつらグルだ!?
一体なんでこんなことをしたのかオレは問いただすと「コイの為なんだよ?」とか訳の分からないことをほざきやがる。ちゃんと説明しろ!!
噓つきアイドル
共犯者が言うにはオレがいない間にスマホに着信があって、あろうことかバカが勝手に通話ボタンを押してオレの秘密を知ったらしい。そしてその秘密を知ってしまったバカはオレが退院すればまた金づるどもに関わると共犯者にどうにかできないか相談したようで、一度話し合おうと言うことに……それじゃこの状況はなんだ?と言うことになるが、オレの性格からまともに話し合いができるわけがないと共犯者はわかっていたようだ。
まぁ当然でしょ?誰がバカのこいつと話し合いなんてするか。
そうとわかるとこのバカが話し合いの場にオレを連れ出す作戦を提案。それがオレを車で拉致って話し合いの場に連れて行こう作戦だと……ふざけてる。
当然共犯者はそれを拒否するが、協力してくれなければアイドルやめるとか脅したようで結局共犯者となった。最近のアイドルは誘拐も画策できるようになったのか!?こいつもうアイドルなんかじゃない犯罪者だろ!!
共犯者……もういい、おっさんと呼ぶ。おっさんは申し訳なさそうな表情をしながらこのバカの凶行を止められなかったそうだ。おっさん被害者なんだな……だが同情はしない。実行したんだからおっさんも同罪だ!!
こうなったら暴れて逃げてやる。そしたら警察に駆け込んでこいつら誘拐犯として逮捕され人生終わらせてやる……ってなんだこいつの力は!?強っ!!?
「コイ、ごめんね?少しの辛抱だからね?」
「おいバカやめろ!!手を放しやがれ!!」
「暴れたらダメだよ?走行中の車から出たら危ないから。大丈夫、寝ている間にすぐに着くから」
な、何をするつもりなんだ!?おいそのハンカチはなんだよ!?やめろー!!ハンカチをオレに近づけr……zzz
そうして目を覚ましたオレは今……芸能事務所『苺プロダクション』に居た。
いや、芸能事務所と言う名の監獄だここは。斎藤夫妻が対面に座っており、オレも椅子に腰かけている状態だが、何故か手錠されていた。それも繋がる相手が隣に座っているバカだった。
逃げられない状況にオレはいる。
「俺は……どこで教育を間違ったんだ」
ほんとそれな。アイドルが誘拐事件起こすとかありえないだろ。それにこれって完全に監禁だよね?手錠されている身としてこれが玩具じゃないことぐらいわかる。これってこのバカが用意したのか?それならこいつはヤバい……狂ってる。こんなヤバいアイドルを持ったおっさんに今だけは同情……するわけないだろ?お前には恨みが募ってんだ。警察に駆け込んであることないこと吹き込んでやる!!
「ええと……それでコイさん、うちの社長とアイがご迷惑をおかけしました」
「誘拐されるなんて思ってもいなかった。これって立派な犯罪だよね?それにこれどういうこと?拉致監禁までやってさ、どう責任取るつもり?」
「そ、それは……」
おばさんはまともで助かった。顔面蒼白にまでなっているおばさんに鬱憤をぶつけて迷惑料をぶんどってやる。それぐらいしないと気が済まない……いや、金を得たところでオレはここから生きて帰れるのか?
「ねぇ」
「……なんだよ誘拐犯」
「誘拐犯じゃないよ?星野アイだよ?」
「お前本当に頭湧いてんな!!こんなことしてただで済むと思っていr――」
「そんなことよりお話しよ?」
「は、はぁ?どこかそんなことなんd……」
「お話……しよ?」
こいつの瞳が怪しく輝いたのをオレは見逃せなかった。見逃したかった……今のこのバカはオレの行動次第で何をしてくるかわからない。拉致監禁までしたんだ。殺される……ことはないだろうが、下手したら死ななければ手足ぐらい
身の危険を感じる。だがなんでオレにそこまで
双子の姉妹だとわかった途端にこれだ。姉妹だからか?それならとんだお笑いだね。血の繋がりなんて何の意味もないのに……クソ親父とオレのように。
「……わかった。お前の言うお話に付き合ってやるから手錠はずせ」
「ダメ♪」
「ファ〇ク!!」
その後、オレは色々と質問攻めにあった。おっさんは事情を知っていたが、おばさんは事情を聴かされていなかったらしく、オレの秘密を知ると憐れんだ目で見てきやがった。同情なんていらないね、こっちは金を手に入れることができるし、男は気持ちよくなれる。ギブアンドテイクの関係に憐れみなんか向けんな。芸能界だってそうだろ。
アイドルも所詮商売道具。価値にならなければポイだ。オレは知っている……アイドルを夢見て入ったものの売れずに事務所からも見放され、挙句の果てに男と寝てそのまま表舞台から消えた人間を見てきたんだ。
金にならなきゃ相手にしないし
それでも納得しなさそうな大人達にオレの過去を語った。クソ親父に暴力を振るわれたこと、学校でいじめにあっていたこと、クソ親父から逃げて買われて、そこから男に抱かれ、男を抱くようになったところまでは語ってやった。このバカの部分は……不要だからそこは省いておいた。抱く経緯については男との馴れ初めから生々しく詳細まで語ってやるとおばさんの方は視線を逸らし、おっさんの方は何とも言えない表情をしていた。
人生なんて運なんだ。親ガチャなんて言葉があったがまさにそれだ。オレは外れを引いた。そして今も外れを引き続けている。オレの人生に当たりは……ない。
「どうかな?オレの人生体験談は?」
「お前……それでいいのか?」
「なに?おっさんもしかして同情してんの?それか……お話聞いていてムラムラした?なら一発
「ちょ、ちょっとコイさん何言っているのよ!?」
「ああ、おばさんは一応奥さんだったな。残念だったねおっさん。でも我慢できなくなったら連絡していいよ?金さえ払ってくれたら一発でも二発でも相手してあげるし、この性格が嫌なら
「……お前」
なんだよ?オレの過去を知って同情か?そんな目で見んな。オレはもう穢れている。これ以上汚れても変わらない。オレが穢れたところでお前らには関係ないだろうがぁ!!!
……腹が立ってきた。ここにいる理由もなくなったし、男どもに金せびりに行こ。
「……これでもうお話は済んだ。もういいだろ帰らせてよ?」
隣のバカには視線を向けずに言っても返答はない。しばらく沈黙の時間が続いていると……
「コイは変わりたくないの?」
『ねぇ、おねえちゃんは変わりたい?』
バカの言葉がカラスのガキの言葉と重なった。あの時の事を思い出して体が強張ってしまったオレは……
「……へっ、オレは今の生活が気に入っているんでね。変わるつもりなんてないね!!」
オレは……嘘をついてしまった。あの時とは真逆なことを言った。
「嘘、コイは本当は変わりたいと思ってる」
そんなオレの嘘をバカは見抜く。
「思って……ねぇよ」
強く言えない。このバカの前ではオレは……輝きに焼かれてしまう。
「………………………………………………」
「………………………………………………」
沈黙が流れる。この気まずい空気から出ていきたい……
「そろそろ帰らせろよ。警察に言うぞ?」
「……ちょっと待ってて」
バカはそういうと自分の鞄から財布を取り出す。
なんだ?そう思っているとバカが万札を何枚も取り出して……
「私の家に来て」
「「「………………………………………………はっ?」」」
バカの意味不明の一言で、おっさんおばさんと驚きのタイミングが被ってしまった。
どうやらバカは……オレを買う気だ。
こいつは正真正銘の……バカだったらしい。
『星野アクア(アクアマリン)』
前世は雨宮吾郎。アイの息子として転生した。元大人としてアイとコイを見守ることにした。
『星野ルビー』
前世は天童寺さりな。アイの娘として転生した。アイを叩いたコイを嫌っている。