東方護郷譚・廻~幻想を護る者達~   作:しがない東方二次創作者

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紅霧異変-1~闇纏う人食い~

~博麗神社-霧の湖間~

 

side-魔理沙

 

 

「霧がどんどん濃くなるな...これじゃ人里の人間は下手に出られないんじゃないか?」

「慧音なら出させないでしょ。人里の住民が下手な事やらかす前に解(・)決(・)するわよ...ん、美味しいわねこのおにぎり」

 

 

 "霧の湖"に向かう道中、更に濃くなる紅(・)い(・)霧(・)を見ながら霊夢とそんな会話を交わす。霊夢が影政から貰ったおにぎりを頬張ると、美味さに驚いたのか少し眉を上げる。ただ塩を振っただけなのに、米が良いのか随分と美味く感じられた。

 

 

「...二人共、お(・)出(・)迎(・)え(・)だ(・)」

「え、嘘?待ってすぐ...んっく...妖精は相変わらずね!」

「いや、多少妖気の影響は受けてそうだな。兎に角、私達を狙うのなら落とすだけだ!」

 

 

 影政の言葉に前方を見やると、数匹の妖精が私達を狙って青白い光弾の弾幕を放ってくるのが見えた。霊夢は慌てておにぎりの残りを詰め込んで弾幕を躱しにかかる。

 

 射線に入らないように躱しながら妖精を落としていく。

 コイツらは自(・)然(・)から生まれるからな。その自(・)然(・)が無くならない限りは時間が経てば復活する。だからホイホイ楽に落とせるんだが...

 

 

「...!」

 

 

 妖精を落としながら影政を見ると、クナイを模した紅い光弾の弾幕を張って妖精に攻撃している...が、妖精達を気(・)絶(・)させる程度の威力に抑えているようで、消滅せ(ピチュら)ず気絶した妖精が次々落ちていく。

 

 

「...影政、妖精はいくらでも復活するんだ。態々気絶する程度に抑えるのか?」

「復活するとは言え、妖精は生(・)き(・)て(・)い(・)る(・)。その命を無駄に奪うつもりはない。そも『弾幕ごっこ』は殺し合いをする為の手段では無いだろう?」

「まぁ、それはそうなんだが...『命は奪わない』なんてカッコつけて死んだら元も子も無いぜ?」

「そこは弁えている。...昔は余りにも命(・)が(・)軽(・)す(・)ぎ(・)た(・)から尚更、なっ!」

 

 

 唐突に私の方にクナイ光弾を一発撃ったと思いきや、背後に回り込んでいた妖精の眉間に直撃して気絶して落ちていくのが見えた。

 

 

「っと、危なかった...!影政、ありがとな」

「気にするな。それよりも...」

 

 

 影政は前方を見る。釣られて目を向けると、真(・)っ(・)黒(・)な(・)球(・)体(・)が此方に向かってフラフラと漂ってきているのが見えた。...なんだアレ?

 

 

「...よく分からないものはこうよ!」

 

 

 霊夢は一瞬どうするか考えたようだが、すぐに考えるのを放棄して"パスウェイジョンニードル"を球体に撃ちこむ。

 

 

「わぎゃっ?!」

 

 

 すると、球体から間抜けな声が聞こえてきて真っ黒な球体が無くなり、赤い瞳、リ(・)ボ(・)ン(・)ら(・)し(・)き(・)も(・)の(・)を飾った黄髪のボブ、白黒の洋服と黒いロングスカートを身に付けた幼い女の子が姿を現した。

 

 

「...やっぱり、妖怪ね。私達に何か用かしら?」

「イタタ...用なんてないのだー。いつものように食(・)べ(・)れ(・)る(・)人(・)類(・)を探してフラフラしてただけー」

「...あんな真っ黒な球体を出してフラフラしてたら誰も近付かないと思うぜ」

 

 

 そうツッコみつつも警戒は解かない。どうやらコイツは"人食い妖怪"みたいだな。妖怪ってのは見た目じゃ脅威や能力を判別出来ないから恐ろしい。そ(・)の(・)手(・)の(・)性(・)癖(・)持(・)ち(・)ならコイツの見かけに騙されて美(・)味(・)し(・)く(・)い(・)た(・)だ(・)か(・)れ(・)る(・)んじゃないだろうか。

 

 

「お日様は嫌いなのだー。だから闇(・)で自分を覆って移動するのー」

「...今は異(・)変(・)で太陽は出てないわよ」

「およ?...確かに眩しくないのだー!その異(・)変(・)っていいやつなのかー?」

「いや、全く良くない。...霊夢、さっさと倒して進もうぜ?」

「そうね。何だかバカっぽいし、私達が人間だって気付いてないみたいだしね」

「...聞こえてるのだー。人間なんて久しぶりに見たのだー。ねぇねぇ、あなた達は食べt...んー?」

 

 

 ふと、人食い妖怪は不思議そうに首を傾げる。その視線は私達ではなく、影政に向いていた。

 

 

「...あ!影政、久しぶりなのだー!」

「...久しぶりだな、『ルーミア』」

 

 

 人食い妖怪は闇(・)を使うようには見えない、見た目相応の幼い笑顔を見せる。―――って、影政お前...!

 

 

「コイツの事知ってたのかよ?!」

「...あぁ。すぐ俺に気付いてくれるかと思ったが、それなりに年月が経ったからな...それに、種族が変わったせいで分からなかったのかもしれない」

「影政はかなり長生きだし、妖怪の寿命の長さも考えれば知り合っていてもおかしくはないわね」

 

 

 影政は申し訳なさそうに頷く。...そういや、影政は幻(・)想(・)郷(・)創(・)造(・)から生きてるんだっけか。数百年を生きるのは人間なのか...いや、今は神(・)だったっけか。なら霊夢の推測も納得だ。

 

 

「影政はどうしてこんな所にいるのー?」

「今、異(・)変(・)が起きていてな。周りを漂う紅(・)い(・)霧(・)がそうなんだが、俺達はそれを解(・)決(・)する為に"霧の湖"に向かっている所だ」

「そーなのかー。...じゃあ、そこの人(・)間(・)二(・)人(・)か、ど(・)ち(・)ら(・)か(・)一(・)人(・)、置いてくのだー。影政には色(・)々(・)恩(・)が(・)あ(・)る(・)から見逃すよー」

 

 

 影政の応答に頷いたかと思いきや、私達を見て赤い瞳を光らせる。

 

 

「...不味いな。封(・)印(・)が(・)緩(・)ん(・)で(・)い(・)る(・)のか?だが今は...」

「影政、何か知って――」

「...魔理沙、影政。先に行ってて」

「れ、霊夢?!」

 

 

 影政が何か意味深なことを呟いたのを尋ねようとしたら、霊夢が私達の前に出てルーミアと対峙する。

 

 

「異(・)変(・)解(・)決(・)が最優先よ。折角三人居るんだし、戦力の自由が利くわ」

「...魔理沙、行くぞ。霊夢の言う通り、ここで三(・)人(・)纏(・)め(・)て(・)足(・)止(・)め(・)さ(・)れ(・)る(・)よりは、一(・)人(・)が(・)足(・)止(・)め(・)し(・)て(・)二(・)人(・)が(・)先(・)に(・)行(・)く(・)のが得策だ。...幼馴染だろ?信頼してここは霊夢に任せてやれ」

「...そうだな。霊夢、私が先に異(・)変(・)解(・)決(・)しちまっても文句言うなよ!」

「あら、それはどうかしらね?こんな妖怪、サクッと蹴散らして追いつくから」

 

 

 影政の言葉に頷き、霊夢にこの場を任せて飛び立つ。ああは言ったが、無事に切り抜けろよ、霊夢...!

 

 

 


 

 

side-霊夢

 

 

―――人食い妖怪『ルーミア』。確か歴代巫女の手記のどれかに載っていた気がする。『闇を操る程度の能力』で自在に闇を操って獲物の視界を奪い、人間を襲って食らうという。

 大妖怪に匹敵する力の持ち主だったけど、名前も中身も忘れた異(・)変(・)を起こして異(・)変(・)解(・)決(・)で封(・)印(・)された...とか書いていた気がする。目の前の小さいのがその封(・)印(・)さ(・)れ(・)た(・)姿(・)なんだろうけど、確かに能(・)力(・)の強力さに反した姿だ。封印される前はどんな妖怪だったんだろうか。

 

 

―――閑話休題。

 

 

「んー?お姉(ねー)さんを食べていいのかー?」

「『博麗の巫女』っていう良薬を食べられるなら、ねっ!」

 

 

 ルーミアの言葉に"パスウェイジョンニードル"を返す。コイツの過去を知るより今は私を食べようとしているのを止める!

 

 

「わわっ?!...抵抗するならこーなのだー!」

 

 

 ルーミアの周りに魔法陣が展開され、直線で並ぶ青い光弾の弾幕を放つ。間を通って肉薄しようとすると角度がついた赤、緑、青の光弾の弾幕を撃って私の射線をずらしてくる。

 

 

「へぇ、バカでもそれなりに出来るみたい...ねっ!」

 

 

 弾幕を躱しつつ、"パスウェイジョンニードル"を撃ち込み続けると、ルーミアのバランスが一瞬崩れる。

 

 

「わっ?!...バカは酷い言い草なのだー!"霧の湖"のア(・)イ(・)ツ(・)の方がバカなのだー!これでも食らえー!」

 

 

 ルーミアはムスッとした表情を浮かべ、一枚のカ(・)ー(・)ド(・)を手に持つ。

 

 

月符「ムーンライトレイ」

 

 

 ス(・)ペ(・)ル(・)カ(・)ー(・)ド(・)が展開され、小さな丸い光弾が円形で撃ち出される。隙間を通って射線を確保しようとすると――

 

 

「これはさっきとは違うのだー!」

「っと...!」

 

 

 ルーミアの両手から青いレーザーが撃ち出され、左右から挟み込むように動く。このままだとレーザーに挟まれて...いや、もしかしたらこれは――

 

 

「...勘が当たったわね」

「むー、バレちゃったのだー」

 

 

 レーザーは途中で消滅し、ルーミアはムスッとしながらも再びレーザーを撃ち出す。レーザーはあくまで移(・)動(・)を(・)制(・)限(・)す(・)る(・)為のもの。なら、ルーミアの前を維持するように光弾を避けながら撃ち込む!...魔理沙なら、ビビッてボム(スペルカード)を切っていたかもしれないわね。

 

 

「『弾幕ごっこ』の言い出しっぺがこの程度で落とされちゃメンツに関わるのよっ!」

「ぎゃん?!」

 

 

 "パスウェイジョンニードル"を撃ち込み続け、スペルカードの耐久を削り取る。

 

 

「イタタ...こ、ここは撤退するのだー」

「逃げるならさっさと...いや、後で背後を襲われても面倒ね。このまま追撃よ!」

 

 

 暗闇の空間が解除され、ルーミアは逃げ出していく。闇(・)を纏っていないと随分速く飛ぶわね...あの闇(・)、発動者(ルーミア)自身の視界も奪うのかしら。

 

 

「また妖精...!魔理沙の言った通り、紅(・)い(・)霧(・)で好戦的になってるみたいね!」

 

 

 私の前に立ちはだかるように赤い服の妖精、青い服の妖精が次々現れて赤や青の光弾の弾幕を展開してくる。"パスウェイジョンニードル"で落としながらルーミアが飛び去った方角へ進んでいく。

 

 

「...居た!」

「あ、もう追いつかれちゃったのだー。...こうなったらここでやってやるー!」

 

 

 しばらくしてルーミアに追い付く。ルーミアは観念したのか、魔法陣を展開して赤い光弾を直線状に並べて連射する。撃ち終わると、青い光弾と白い小さな光弾を混ぜた円形の弾幕を展開してくる。

 

 

「さっきよりはやりにくい弾幕を撃つじゃない。でも、この程度で私は止められない!」

「わっ?!...こ、コイツ強いのだー。じゃあ、これならどうなのだ?!」

 

 

夜符「ナイトバード」

 

 

 ルーミアから闇(・)が展開されて真っ暗になり、青とアクアマリン色の光弾を翼のような円弧状に三波ずつ交互に次々撃ち出す。二種類の光弾が交差して避けにくい...けど!

 

 

「これじゃただばら撒いてるだけね。カード名の通りだけど単純過ぎるわ!」

「ぎゃんっ?!」

 

 

 結局は直接的な並びになるせいで縦の隙間が出来ている。射線を確保して"パスウェイジョンニードル"を撃ち込み続け、スペルカードの耐久を削り取る。

 

 

「イタタ...ま、まだやれるのだー!」

 

 

 服に被弾した焦げ跡が目立ってきたもののまだ戦意はあるようで、明るい緑色の光弾を七発円弧状に連射する。弾速は遅いけど―――

 

 

「それはお(・)と(・)り(・)なのだー!」

「っと...!」

 

 

 弾幕に重ねるように六本の青いレーザーを撃ち出してきた。自機(私)狙いなのはいいけどこの程度なら避けられるわね。

 

 

「むー、まだまだなのだー!」

 

 

 今度は黄色い米粒形の光弾を円弧状に撃ってくる。さっきと違って単純な弾幕ね。ス(・)ペ(・)ル(・)カ(・)ー(・)ド(・)ではない普通の弾幕ならこんなものかしら。

 

 

「わっ?!...こ、これが最後なのだー!」

 

 

闇符「ディマーケイション」

 

 

 青、赤、緑の米粒形の光弾が交差しながら円形で撃ち出される。これまでよりは避けにくいけど――

 

 

「っと!中々やるわね!」

 

 

 青い丸光弾の円弧状の弾幕が自機(私)狙いで曲がって飛んでくる。米粒形の弾幕を躱しながらも自機(私)狙いを撃って妨害させるいやらしい弾幕ね。でも――

 

 

「生憎、付き合う時間は無いのよ!これで決めるっ!!」

 

 

夢符「封魔陣」

 

 

 お札を展開し、十字状に放つ。ルーミアの弾幕が消し飛ばされ――

 

 

「や、やられたのだー...」

 

 

 闇(・)が晴れ、封魔陣が直撃したルーミアがフラフラと落ちていくのが見えた。

 

 

「あれならしばらく大丈夫ね。...私を食べようとしたけど、食べるには苦すぎる良薬(強過ぎる相手)だと気付けなかったのが、あなたの敗因よ」

 

 

 聞こえてるかは分からないけどそう言い残して、『霧の湖』を目指して飛び立つ。魔理沙、影政...きっと大丈夫だと思うけど、急ぎましょうか。

 

 

―――to be continued―――

 

 

 

 

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