東方護郷譚・廻~幻想を護る者達~   作:しがない東方二次創作者

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紅霧異変-4~図書館の動かない魔女~

~紅魔館 エントランスホール~

 

side-魔理沙

 

 

「...来たか」

「お、影政。無事だったか。...ここが異(・)変(・)の(・)元(・)凶(・)の根城か」

 

 

 館の門の傍で門番っぽいのが座り込んでいた(というより寝ていた)が、迎撃して来なかったのでそのまま館内に侵入すると、影政が居た。門番の服に被弾の痕が結構あったから、状況的に影政があの門番を倒したんだろうな。

 

 

「...静かね。出迎えも無しなんて」

「元(・)凶(・)は奥でふんぞり返って待ってるんだろうな。さっさと懲らしめてやりたいが...この館、空(・)間(・)を(・)弄(・)っ(・)て(・)や(・)が(・)る(・)」

「...このエントランスホールで館の外観にそぐわない広さだ。他も弄っていると見ていいだろう」

 

 

 私の見立てに影政は頷く。館に入った時点で空間が弄られている事に気が付いた。侵入者を惑わせる迷宮(ダンジョン)か、館の外観で油断させて中で大量の戦力を潜ませているか...油断は出来ない。

 

 

「...さて、これからどうしようかしら。三人固まって動くか、バラバラに別れて探すか」

「私は別れて動きたいぜ。どれだけ広いか分からんが、別れた方が元(・)凶(・)の下に辿り着ける可能性は上がると思う」

 

 

 館内の構造、広さが分からない以上固まって行動した方が安全だが、紅(・)い(・)霧(・)は早く止めないとマズい。元(・)凶(・)に辿り着くなら別れて探す目を増やした方がいいと考えて私は別れて探す方を支持した。...上手い事出し抜いて元(・)凶(・)を私だけで倒す栄誉を得る事も狙いだが、言わないでおく。

 

 

「では、別れて探すとしよう」

「じゃ、私はこっちに」

「私はこっちだ。誰が先に元(・)凶(・)見付けて倒しても文句なしだぜ?」

 

 

 影政も別れることに賛成し、私達は各々方向に当たりを付けて動き出す。

 

 

「...お、地下階層もあるのか。本当に広いなこの館...」

 

 

 早速地下に降りる階段を見付けて降りていく。魔法使いとしては、これほどの規模で空間を弄れる事に興味が湧く。空間系(この手の魔法)はあまり好きじゃないが、魔法使いの性(さが)には逆らえない。

 

 

「っと、扉だ。さーて中には何が――」

 

 

 階段を降り切ると、両開きの扉があった。幸い鍵は無かったのでそのまま開けて中に入ると―――目の前に広がる光景に絶句した。

 

 

―――見渡す限りの本棚。隙間なく仕舞われた無数の本。地下のせいか空気が悪い気がするが、それを気にさせないような魔法使いの憧れ(宝の山)がそこにあった。人里にも沢山の本を扱う貸本屋(興味が無いので私はあまり利用しない)があるが、この光景を見るとあの貸本屋がちっぽけに思える。

 

 

「すげぇ...ここを見付けただけでも来た甲斐があったぜ」

 

 

 異(・)変(・)解(・)決(・)優先ではある。あるが...正直、私にとって有望なものを借(・)り(・)て(・)い(・)き(・)た(・)い(・)。私じゃなくても、魔法使い(同業者)ならここで幾らでも時間を潰せるだろう。

 

 

「...異(・)変(・)解(・)決(・)したら、改めてここを漁るか。もしかしたら元(・)凶(・)が居るかもしれないし、ちょっと探索だ」

 

 

 箒に跨り、飛び上がる。良さげなものがあったら借(・)り(・)て(・)いこう。生憎借(・)り(・)る(・)用の道具は手元に無いが、帽子の中やエプロンでも数冊はいける筈だ。

 

 

「お、コイツは...『ヴォイニッチ手稿』?...なんだこりゃ、絵図は兎も角字が全く読めん」

 

「『金枝篇』...魔導書というよりは文化史だが、興味深い魔術もある。って、十三冊もあるな...最初と補遺の巻だけにして、異(・)変(・)解(・)決(・)したら改めて全部借りてくか」

 

「『ソロモンの鍵』...ほう、装丁は新しめだが中身は古い魔術だな。昔のものを復活させたのか...」

 

「『ラジエルの書』...召喚術か。あんまり好きじゃない分野だが、面白そうだし借りていこう」

 

 

 探索中に気になった本を借(・)り(・)る(・)が、これだけでも宝の山だ。益々さっさと異(・)変(・)解(・)決(・)してじっくり探索したくなる。

 

 

「...しかし、妖精のメイドすら出て来ないな。人手が尽きたってことはないと思うんだが...ん?」

 

 

 静かな図書館内を飛んでいると―――

 

 

「...侵入者ですね」

 

 

 目の前に、赤いショートヘアと赤い瞳、頭と背中に蝙蝠みたいな黒い羽、赤いネクタイを締めた白いシャツに黒いベストを羽織り、ロングスカートを履いた悪魔らしき少女が立ちはだかった。その傍には何冊か積まれた本が浮いている。

 

 

「おう、そうだぜ。外の紅(・)い(・)霧(・)の元凶を倒しに来たんだが、お前がそうなのか?」

「...残念ながら、私は一介の名前も無い使(・)い(・)魔(・)です。私を召喚した主からは『小悪魔』と呼ばれています」

 

 

 使い魔改め小悪魔はそう自己紹介する。見た目は大人しそうな司書っぽい感じだが、悪魔相手なら油断は―――

 

 

「...おや、そのエプロンに包んでいるのは図書館(ここ)の本ですか?...まさか、盗むおつもりで?」

「いやいやそんなつもりは無い!...私は見ての通り魔法使いなんでな。ここは正に宝の山だ。...お、そうだ。司書っぽいし、何冊か借(・)り(・)て(・)っていいか?」

 

 

 小悪魔の言葉を否定する。異(・)変(・)の(・)元(・)凶(・)の根城だし、無断で借(・)り(・)る(・)のも問題無いと思うが、許可を取れるならそれに越した事は無い。

 

 

「...いいですよ。ついでに此方もどうぞ。主と同じような魔法使いの方に出逢えた幸運への餞別です」

 

 

 小悪魔は笑みを浮かべ、積んでいた本の一冊を魔法で浮かせて私に寄越してきた。

 

 

「おっ、サンキュー。お前の主も魔法使いなのか、ソイツは興味が――」

 

 

ボフンッ...

 

 

―――本を開いた瞬間、間抜けな音と共に小さな魔力の爆発が炸裂した。爆風をもろに顔面に受ける。

 

 

「...ぷっ...アッハハハ!!...貴女の様な侵入者にあっさり貸すわけないでしょう?何より我が主は本を大事にするのです、余程仲が良いか信頼出来る方でも無ければ―――」

 

 

恋符「マスタースパーク」

 

 

 

 

 


 

 

 

「...悪魔は名無しでも悪魔だな。油断しちまったぜ」

 

 

 小悪魔が消(・)し(・)飛(・)ん(・)だ(・)のを確認し、撃ち終えたミニ八卦炉を下ろす。小悪魔は腹を抱えて大笑いしていた。それで私の動きを注視出来なかったようで隙だらけだった。

 怒りに任せてうっかりほ(・)ぼ(・)全(・)力(・)でぶっ放したが、防護魔法でも掛けてたのか周りの本棚と本は無傷だった。小悪魔の最後の言葉は事実のようだな。

 

 

「さて、偶然だが使い魔を倒した。恐らく主が出張ってくる筈」

 

 

 誰か出て来ないか、ゆっくり飛びながら辺りを見回すと―――

 

 

「...小悪魔を消し飛ばしたのは貴女のようね」

 

 

 目の前に少女が現れた。長い紫髪の先をリボンでまとめ、薄紫のゆったりとした服を着ている。さらにその上から薄紫の上着を羽織り、ドアキャップみたいな帽子を被っている。また服の各所に青と赤と黄のリボンを飾り、帽子には三日月の飾りが付いている。全体的にゆったりとしたその服装は寝間着にも見えた。眠そうな、面倒臭そうな眼差しで私を見ている。

 

 

「私を騙したからな。威力は最小限だったが乙女の顔を爆破するなんて、失礼な使い魔だったぜ」

「...顔と髪、帽子が煤けているのはそのせいだったのね。侵入者への対処と、悪魔の性で悪戯も仕掛けて一石二鳥を狙ったんでしょうけど...相手が悪かったわね」

 

 

 紫の少女はそう言って呆れた表情を浮かべる。

 

 

「...使い魔消し飛ばしたってのに怒らないんだな」

「時間が経てば魔界から復活してくるしね。...それに、貴女に興味が湧いたし」

 

 

 そう言って紫色の瞳で私を見つめる。

 

 

「ほう、奇遇だな。私も魔法使い(同業者)としてはお前に興味があるぜ」

「...じゃあ、『弾幕ごっこ』で見極めましょうか。多少は練習したけど、赤の他人相手の実戦は初めてだしね」

「あぁ、いいぜ!私が勝ったらこの帽子とエプロンに入れてる本は借(・)り(・)て(・)いくからな」

 

 

 そう言うと、少女の眉がピクッと上がった。

 

 

「...この図書館は私が管理しているの。そして原(・)則(・)貸出非対応よ。...仮に貸すことを私が認めたとして、貴女はちゃんと返してくれるのかしら?」

「あぁ、勿論。死んだら返すぜ!」

「――そう」

 

 

水符「ベリーインレイク」

 

 

「うぉい?!いきなりかよ...!」

 

 

 少女の背後に魔法陣が展開され、青いレーザーが左右から挟み込むように連射され、そこに青い光弾が扇形で撃ち出され、更に青い大型光弾が扇形の高速で撃ち出される。移動を制限して避けさせた後に大型弾幕の弾幕とか殺意高いな...!

 

 

「...死(・)ん(・)だ(・)ら(・)返(・)す(・)?それは盗(・)み(・)と言うんじゃなくて?」

「盗(・)む(・)つもりは毛頭ないぜ!盗(・)む(・)ことは悪い事だからな。だが、私は死(・)ぬ(・)ま(・)で(・)借(・)り(・)る(・)だけだ。死(・)ん(・)だ(・)ら(・)返(・)す(・)から、盗(・)み(・)にはならないぜ!」

 

 

 ス(・)ペ(・)ル(・)カ(・)ー(・)ド(・)の弾幕を躱し終えると。紫色の瞳を細めて私を睨みながら尋ねてくるが、堂々と言い返す。盗(・)ん(・)だ(・)ものはずっと自分のものになるだろうが、私には死(・)ん(・)だ(・)ら(・)返(・)す(・)意志がある。返す意志があるならそれは盗(・)み(・)じゃない。

 

 

「...そう。貴女の言い分はよく、よーく分かったわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

土&金符「エメラルドメガリス」

 

 

「...一般的にそれは盗(・)み(・)と言うの。魔法使い以前に一般常識が欠けている不埒な侵入者は排除する。東洋魔法の五行"火"、"水"、"木"、"金"、"土"。それに"日"と"月"の精霊魔法を合わせて"七曜"――私の名前は『パチュリー・ノーレッジ』、あの世への土産に覚えておきなさいッ!!」

 

 

 少女改めパチュリーはそう吠えてス(・)ペ(・)ル(・)カ(・)ー(・)ド(・)を切る。ランダムな三方向から緑色の大型弾が飛んできて、それに紛れて緑色の光弾も飛んでくる。エメラルドは鉱石、つまり土行由来だが、それに物を変化させる金行を組み合わせて形を変える事で火力を上げているようだ。

 

 

「属性を組み合わせるとか高度な事を...!魔法使いとしては強敵だな。だが、私は負けるつもりは無いぜ!」

 

 

 大型弾と光弾を躱しながら"イリュージョンレーザー"をパチュリーに撃ち込む。避けようとはしてるがあまり動かないな。体力はそれほどなかったりするのか...?

 

 

「くっ...!やるわね...適正の割に高い火力、相当努力したのね」

「適正?...あぁ、ア(・)イ(・)ツ(・)も"四元素の水が適正"とか言ってたっけ、な!」

 

 

 ス(・)ペ(・)ル(・)カ(・)ー(・)ド(・)を削り取り、パチュリーの言葉に答えながら隙を見せたパチュリーに"イリュージョンレーザー"を撃ち込む。

 

 

「きゃっ?!...隙を見せた私が悪いわね。なら、これで...!」

 

 

日符「ロイヤルフレア」

 

 

 パチュリーは再びス(・)ペ(・)ル(・)カ(・)ー(・)ド(・)を切る。赤い光弾が三方向に緩く弧を描きながら、外側へと拡散したかと思いきや、今度は収束するように配置されて飛んでくる。パターン化されてるが、弾幕の密度が濃くて避けにくい...!

 

 

「おっと...太陽観測(直視はヤバいから魔法で遮光してるぞ!)してると偶に見る炎の柱みたいだな!」

「あら、天体観測もするのね」

「偶に、な!ル(・)ー(・)ン(・)の方が天文関係は詳しいから頼りにしてるぜ...!」

「...ル(・)ー(・)ン(・)?」

 

 

 弾幕を躱しながら答えていると、パチュリーが眉を上げる。...ルーンの事を知ってるのか?

 

 

「...ルーンは私と同じく"魔法の森"に住んでる魔法使い(同業者)だ。...まさか、この館に居るのか?」

「...そうよ。一週間程前、計(・)画(・)の(・)準(・)備(・)中(・)に彼はここを訪ねてきた。"幻想郷の管理者の名代"なんて名乗ってたけど――それ以上に、幻想入りしてすぐに構築した姿隠しの結界をあっさりすり抜けた彼の魔法使いとしての能力が気になって、レミィn...ゴホッゲホッ...!」

 

 

―――突然だった。パチュリーは急に身体をくの字に折って激しく咳き込み、弾幕も魔法陣も消える。

 

 

「ゴホッゴホッ!...あ、しまっ――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《彗星「ブレイジングスター」》

 

 

「っぶねぇぇぇ!!だが、受け止めたぜ!!」

 

 

 パチュリーの浮遊魔法が解けたのか、落下して床に激突する前に昨(・)日(・)出(・)来(・)上(・)が(・)っ(・)た(・)ば(・)か(・)り(・)のスペルカードを切ってパチュリーの真下に滑り込んで抱き留める。そしてすぐにその場に寝かせる。

 

 

「パチュリー、大丈夫か?!その咳き込み、まさか喘息じゃ――」

「ゲホゲホッ!...んっく......はぁ...はぁ...はぁぁ...」

 

 

 何か出来ることは無いかと聞こうとしたが、パチュリーは咳き込みながらも手で私を制する。上着の裏に震える手を入れると、淡い水色の液体が入った小瓶を取り出す。中身を一気に飲み干して数秒、パチュリーの咳き込みが治まった。

 

 

「...ありがとう、魔理沙。発(・)作(・)を(・)治(・)す(・)手(・)段(・)は(・)あ(・)っ(・)た(・)けど、さっきの状態じゃ意味が無くて最(・)悪(・)な(・)事(・)になってたかもしれないわ」

「...どういたしまして。『弾幕ごっこ』以外の要因でそうなる前に止められて良かったぜ」

 

 呼吸が落ち着いたパチュリーのお礼にニカッと笑いながら答える。だが、発作を治す手段ってのは...

 

 

「...ルーンには感謝しないとね」

「その小瓶の事か?魔法薬っぽいが...」

「彼を図書館(ここ)に連れて来てすぐに、"最悪な状況で発作が起きたら飲むように"って渡されたの。一目で私の喘息持ちを見抜くなんてね...」

 

 

 どうやらルーンが渡した魔法薬だったようだ。私も魔法薬の作成は得意だと自負するが、数秒で喘息の発作を治めるような効果を持つものは作れた試しがない。アイツ、"星"が専門だという割には色々な分野に詳しいんだよな...

 

 

「流石ルーンだな。アイツ、一目見て適正とか得意な分野を見抜くからな...そういや、そのルーンの姿が見えないが、どこに行ったんだ?」

「彼が"少し図書館内を見てくるよ"って行ってからしばらくして貴女が来たから、まだ図書館内に居る筈よ」

「お、そうか。じゃあ、戻るがてらちょっと探してみるか。私も一週間位アイツの姿を見てないしな」

「あら、『弾幕ごっこ』は再開しないのね?」

「...する訳ないだろ。目の前で喘息の発作見ちまったらやる気も起きないぜ。魔法使いにとって言(・)葉(・)が重要だってのは分かるだろ?」

 

 

 ス(・)ペ(・)ル(・)カ(・)ー(・)ド(・)のおかげで大分省略出来てるが、本来魔法使いが弾幕を出すにも詠(・)唱(・)が必要だ。詠唱は言葉に魔力を込めて組み合わせて成り立つ。その言葉を上手く紡げないと魔法は失敗する。パチュリーの喘息は、魔法使いとしては致命的とも言える欠点だ。

 

 

「...そうね。じゃあ、私をベッドまで運んでくれるかしら?今は自力で飛べないから...発作は今(・)治まっただけだから、いつまた起きるか分からないし、ね」

「それくらいお安い御用だ、案内は頼むぜ。さ、乗ってくれ。自力で座るくらいは出来るだろ?」

「えぇ。...箒に乗るなんて初めてね」

 

 

 パチュリーの頼みを引き受け、箒に彼女を乗せた私はゆっくり箒を浮かせた。それからパチュリーをベッドに連れていくまで、魔法やら館の事を聞いた。元(・)凶(・)では無かったが、それ以上に魔法使い(同業者)と新たに知り合えた事、魔法使い(同業者)の宝の山を見付けられたのは大きな収穫だった。

 

 

 


 

 

~紅魔館 地下部屋への階段~

 

side-ルーン

 

 

「...さて、この先には何があるのかな」

 

 

 装飾も無い石の階段を下りながら呟く。そこら中に魔法のトラップがあるが、隠形魔法で潜り抜けていく。...トラップがほぼ全て下(・)り(・)る(・)先(・)に向いているのが妙だな。

 図書館出入口の扉を出て更に奥、そこには壁しか無かった。しかし、偽(・)装(・)を解くと更に地下に降りる階段を見付けた。

 

 

「...(この館に入った時から感じていた強(・)力(・)な(・)魔(・)力(・)。最初はパチュリーや彼(・)女(・)かと思ったけど、ずっと地(・)下(・)で(・)殆(・)ど(・)動(・)い(・)て(・)い(・)な(・)い(・))」

 

 

―――『ルーン、ら(・)し(・)く(・)も(・)な(・)い(・)け(・)ど(・)貴方に頼みたいことがあるの。"霧の湖"の霧(・)が(・)異(・)様(・)に(・)濃(・)い(・)場(・)所(・)のことなのだけど――もし、そこに幻(・)想(・)入(・)り(・)し(・)て(・)間(・)も(・)な(・)い(・)者(・)達(・)が居たら、接触して"弾幕ごっこ"を教授しておいて欲しいの。賢者(私)の名前を使ってもいいから、吸血鬼異変(百年前)までの様なやり方にならないようにしてちょうだい』

 

―――一週間程前。紫(境界の賢者)からの頼みで『霧の湖』の霧(・)が(・)異(・)様(・)に(・)濃(・)い(・)場(・)所(・)へ侵入し、館に入った時から感じていた違和感の正体を突き止める為に、こうして図書館を抜け出して更に地下へ降りている。...あくまで目的は異(・)変(・)解(・)決(・)の成否を見届ける事。異(・)変(・)解(・)決(・)に殴り込んだ者達が元(・)凶(・)の下に辿り着く前に正体を突き止めたい。

 

 

「...ここか」

 

 

 しばらく階段を下りて、遂に行き止まり...両開き扉の前に着いた。見た目は館内で使われているデザインだ。

 

―――内(・)側(・)は(・)防(・)護(・)魔(・)法(・)を(・)幾(・)重(・)に(・)も(・)掛(・)け(・)た(・)鉄(・)、扉(・)自(・)体(・)に(・)大(・)量(・)の(・)防(・)護(・)、(・)封(・)印(・)魔(・)法(・)を(・)幾(・)重(・)に(・)も(・)張(・)っ(・)て(・)い(・)る(・)、扉とその周りに魔(・)法(・)使(・)い(・)で(・)も(・)死(・)に(・)か(・)ね(・)な(・)い(・)ト(・)ラ(・)ッ(・)プ(・)魔(・)法(・)を(・)巡(・)ら(・)せ(・)て(・)い(・)る(・)点を除けば。

 

 

「――随分厳重な扉だ。そうまでして封じ込めたいものが中に居るのかな」

 

 

 隠形魔法を維持し、扉の魔法を一(・)瞬(・)無(・)効(・)化(・)して中に入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...誰?」

 

 

―――薄暗く広い部屋。目の前で一対の虹(・)の(・)七(・)色(・)の(・)水(・)晶(・)が揺れた。

 

 

 

―――to be continued―――

 

 

 

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