東方護郷譚・廻~幻想を護る者達~   作:しがない東方二次創作者

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☢️warning!!☢️

・当作品は『東方project』二次創作です
・作者原作殆ど未プレイ
・オリキャラ多数登場
・旧作勢登場
・キャラ崩壊
・独自解釈、設定多数
・気まぐれ亀更新
・時系列は『東方紅魔郷』開始前から
・お気に入り、感想評価、栞をもらえると作者のモチベがエクステンド


以上が大丈夫な方はどうぞ


【重要】当作品は『東方護郷譚~幻想を護る者達~』のリメイクです。

以下の活動報告で詳しい事情をご覧ください。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=309502&uid=187500





序章~目覚め~
序-1~百年越しの目覚め~


 

 

―――千年以上経った今でも、あの時から始まった旅路の始まりと、その道程は思い出せる。

 

 

―――『...ねぇ、聞いてくれる?』

―――『なんだ?』

―――『――私ね、夢があるの』

 

 

―――()に打ち明けるまで、私の中で強く思う様になった"夢"は否定されてきた。"できるわけがない"、"現実を見ろ"。()()の皆にそう言われ続けてきた。でも、()は否定せず"夢"を聞いてくれた。

 

 

―――『いいんじゃないか?ここでは確かに()()()()()()()()()()()()。その規模を世界一つにまで大きくするのは難しいだろうが、できないことはないだろう』

 

 

―――()は私が妖怪として生まれて以来の、これまでの出逢いの中で最初に"夢"に賛同してくれた。それが、私と()の長い、永い付き合いの―――今の『幻想郷』を創造する為の旅の始まりだった。

 

 

 


 

 

―――『この眺め...これだわ。この眺めに、"人間と妖怪が共存する理想郷"を創るわ!』

―――『呆然としてどうしたのかと思ったが...確かに、様々な環境が在るあの場所は創造に適しているかもしれないな』

 

 

―――『いやァ参った参った!久方振りの()()()()だったとは言え、まさか俺らが負けるとはなァ!――いいぜ、お(めェ)らの()()とやら、詳しく聞かせてくれや』

――『...鬼に勝つなんて、貴方本当に()()?』

 

 

―――『...いいんじゃないかしら。私達の旅はすぐに目的を果たせる訳じゃないし――彼女に興味もあるしね』

―――『そうか。...紫が賛成するなら、その提案を受け入れよう。用心棒として微力を尽くそう』

―――『本当?!...ありがとう!じゃあ、これからよろしくお願いね!』

 

―――『成程、人妖が共存する理想郷ですか...生い先短い私が生きている間の実現は到底無理そうですね。――ですが、創造される際はお呼びください。()()()()()()()()()()()()()()

―――『どういうこと...?』

 

―――『使()()を撃破したと思ったら、まさか次善の手を用意していたなんてね』

―――『()()()()は...疾うに逃げたか。しかし...()()()()にしては使っていた武器や能力が異質だったのが気になるな』

 

 

―――『妖怪か。死ね』

―――『きゃっ?!いきなり何よコイツ?!』

―――『紫、下がれ。ただの人間ではなさそうだな...ん?その顔、初めて見た気がしないな』

 

 

―――『本当にありがとうございます。私はこのまま忘れられていくのかと...』

―――『大したことはしてないわ。寂しそうだったからちょっとお手入れしただけよ』

―――『この道は碌に整備されていない。詣でる者も無ければ存在が消えかけてしまうのは道理だな』

 

 

 

―――彼と共に旅をして、様々な出逢いと経験を得た。

 

 

 

 

―――『...これで、良かったの?あの娘の決断は...正しいことなの?』

―――『さてな。――だが、彼女が()()()()()で決めたことだ。俺達にそれを止める権利はなかった。...この()()()の封印の維持。それが彼女が俺達に託したものだ』

 

 

―――『彼女が()()()()()なんて...やっぱり、私の"夢"は叶わないの...?』

―――『なら、ここで諦めるか?――これまで出逢った、"夢"の実現を受け入れてくれた者達への冒涜になってもいいならな』

 

 

 

―――"現実"を見せつけられ、仲良くなった人と死別して...辛いこともあったけど、その度に()は私を励ましてくれた。

 

 

―――『人の身で神を降ろしその力を振るうとは...面白い、気に入った!"妖怪と人間が共存する理想郷"を作ろうというお前達の目的も興味深い。人間は次々神秘を暴き、神の業すら否定しつつある。このまま人間に忘れられる前に、妖怪(人ならざるもの)が生き延びられる場所が必要だ。その目的、私にも一枚嚙ませて貰おうか』

―――『"後ろ戸の秘神"...これ程の神なら...』

 

 

 

―――『地鎮の神官...地震すら仕組みが解明されて神事も少なくなりつつあるなんてね。分かったわ、貴方がたを受け入れましょう。...所で、後ろの方々は?』

―――『受け入れて下さり感謝に堪えません。創造の暁には幻想郷の地震を治めてみせましょう。...あぁ、こちらは名居家の部下である比那名居家。その当代当主の娘と、比那名居家の使用人です』

 

 

―――『...妖怪は、敵。妖怪は、滅びろ...』

―――『...紫、本当にこの娘でいいのか?確かに素質は凄まじいものがあるが』

―――『私に任せて。この娘は幻想郷最初の"博麗の巫女"になる。私がみっちり教育するわ!』

 

 

―――出逢いを重ねる中で時は進んでいき、妖怪(人ならざるもの)の存在が人間の文明発展と共に()()され始めきた中で―――幻想郷(人妖が共存する理想郷)は創造された。

 

 

 

―――『やっと...やっとできたわ!』

―――『喜ぶにはまだ早い。幻想郷は生まれたてだ。早々に崩壊させないように、やるべき事は多い。――だが、今日位は考えず飲み騒いでもいいだろう』

 

 

 


 

 

 

―――『あら、貴女達は...』

―――『噓...どうして...どうして貴女が?!』

―――『これは予想外だな...だが確かに、直接見るべきものだな、これは』

 

 

―――『お久しぶりですね。この度、幻想郷の閻魔"ヤマザナドゥ"を拝命しました』

―――『まさか貴女が閻魔になるなんてね...面白い縁だわ』

―――『あら、知り合いだったの?幻想郷(ここ)に赴任したいって言ってたのはそういう訳だったのねぇ』

 

 

―――『お久しぶりです、紫様、影政様。"稗田阿礼"の身より()()()()、"稗田阿一"と申します。お約束通り、お力添えに参上しました』

―――『転生って...何をやったの彼女は...』

 

 

―――『聖輦船...まさかこの地底に封印されていたなんて』

―――『だが、()()は居なかった。...やはり別の方法で封じられたようだ』

 

 

―――『ちょっと(れい)!魔法の森に住んでる魔女を殺ったってどういうことよ?!彼女何もしてないでしょう?!』

―――『うるさい。ムカついてたから殺っただけよ。"妖怪退治"は巫女の仕事でしょ?』

―――『...本当に大丈夫なのか?』

 

 

―――『貴方達が山を降りるなんて...生まれたてとは言え、この幻想郷は貴方達には気に入らないものなの?』

―――『んな(こた)()ェよ。ただ、前々からコイツは四天王の間で話して決めてたってだけだ。...もう、地上に俺らの眼鏡に適う人間は影政(マサ)以外にゃ居やしねェ。俺ら"鬼"の力が欲求不満で行き場を失う前に、そうなっても良い場所に移住してェんだ。――頼む、俺ら"鬼"と、嫌われ者の妖怪共の()()()()()()、認めちゃくれねェか』

 

 

―――創造当初から、トラブルや事件の連続だった。()に呆れられることもあったけど、私は幻想郷の為に彼と共に奔走した。

 

 

 

―――『さぁ、今こそ復讐を果たすよ!"博麗の巫女"滅ぶべし!』

 

―――『神社が妖怪塗れじゃない!どうなってんのよコレ?!』

―――『...初代の禍根がここで回収されたようね。頑張って神社を取り戻すのよー』

―――『他人事か!』

 

 

―――初代巫女の零が殺った魔女が悪霊と化して博麗神社を占拠したり。

 

 

 

 

―――『悪霊がこんなに...まさか魅魔が!』

―――『いや、これは私じゃないね。現にこうして駄弁っていたんだから。出所は...霧の湖か』

 

 

―――いつの間にか幻想入りしていた、()()()()と幻想郷を繋ぐ館の住人と戦ったり。

 

 

 

―――『成程...まさか月に高度な文明が存在していたなんてね。その力が幻想郷(ここ)に向けられたら大変ね。...玉兎同士は何処に居ようと念話できる、という話だったわね。なら、玉兎の会話を盗聴して予兆があるか注視して貰うわ』

―――『...分かりました、引き受けましょう。私は逃亡先を求めて幻想郷へ勝手に侵入した身です。その位はしなければ...』

―――『...辛くなったなら、隠さず打ち明けろよ』

 

―――『何なのよアレ...一方的な()()じゃない...』

―――『これが"月の民"か...強大過ぎるな』

―――『...まさか、本当に地上に攻めて来るなんて...』

 

 

―――幻想郷に逃げ込んだ月の兎をきっかけにして、圧倒的な力を持つ勢力の存在を目の当たりにしたり。

 

 

 

―――『最近魔物とか、魔法を使う人間っぽい奴が多いわね...魅魔、どう思う?』

―――『魔物は魔法の森の真ん中辺りから出てきてる。あそこに何かありそうだねぇ』

―――『魅魔様が往くなら、私も往くわ。魔法の森の中央に一体何があるのか...楽しみね』

―――『あの魔物共、私の花畑を踏み荒らすのよ...ふふ、殴り込みに往きましょうか』

―――『...お目付け役、頼んだわよ。特に()()を死なせないように』

―――『...俺に、アイツらの手綱を取れと?』

 

 

―――魔法の森の奥にあった洞穴に出来ていた"魔界"への門を通って殴り込みに行ったり。

 

 

 

―――『()()()()ッ!!...あの魔物共!!』

―――『...すまないね、()()()。お前を守り切れなかった。まさかウチの愛弟子を殺るとはねぇ...貴様ら、覚悟はできてるかい?』

 

 

―――封印したはずの門から魔物や魔界人が出てきて大規模な戦争になり、歴代でもとりわけ可愛がっていた"博麗の巫女"を喪ってしまったり。

 

 

 

―――『――妖怪の活動を抑える?』

―――『えぇ。先の異変の影響で気が立ってる妖怪が多いの。下手に暴れさせたら人間が減り過ぎる可能性がある。人妖のバランスを維持する対策が必要よ』

―――『なるほどな。...だが、大丈夫か?妖怪が人間を襲えなくなると()()()()を喪いかねない。やり方によっては妖怪全体が弱体化するぞ』

―――『大丈夫、ちゃんと考えているわ。私達()()に任せて』

 

 

―――色々なことはあったけど、それでも楽しかったし、常に()は私を支えてくれた。そうして幻想郷は騒がしくも続いていく―――はずだった。

 

 

 

―――『最早()に我ら妖怪(人ならざるもの)の居場所は無くなりつつある。ここは再起に適した地。我が貴様らを導こう。人間は妖怪に跪け。弱者は強者にただ従い、嬲られればよい。牙を抜かれた強者達よ、我の下に集え――!』

 

 

―――幻想入りした吸血鬼は、次の日には行動を起こした。空を()()()()()()で覆い、私が()()()()()とも話し合って決めた"妖怪の抑制策"で弱体化していた()()()()()()()()してしまった。

 そして、幻想郷が生まれてから最大で最悪の被害を生んだ()()()、『吸血鬼異変』が始まった。

 

 

 

―――『山の妖怪の八割以上が叛乱?!新聞所じゃないわね全く...!』

―――『...不味いな。手が足りない...一人でも強力な戦力が居れば...』

 

―――妖怪の山では住人の八割が()()を起こした。

 

 

 

―――『うわぁ?!地上(うえ)から妖怪が一杯来てるよ!洞穴を埋め尽くしてる!』

―――『...できるだけ、食い止める。...お燐は、さとりか鬼に急いで報告して...!』

―――『わ、分かった!二人共、ヤバくなったら逃げるんだよ!』

 

―――天狗達が抑えられなかった山の妖怪の一部が地底に侵攻した。

 

 

 

―――『河を渡る魂が襲ってくるなんてどうなってんだい?!』

―――『各地獄で魂が叛乱だと?...畜生界は当然大丈夫か。仕方ねぇ、連中の手を借りるか』

―――『恐らく、魂を操っているか、扇動している者が居るはずです。その者を捜しなさい』

 

―――地獄では、魂の多くが叛乱を起こした。

 

 

―――『ルーンちゃん、大変よー!森の生物が狂暴化してるわ!』

―――『瘴気もどんどん濃くなってる。これが()()()に出たら...絶対ヤバいわね』

―――『...アリス、他の魔法使い達にも伝えるんだ。僕達で食い止める!...できる限り早く鎮圧しないといけない。母さん達にも手伝って貰うよ』

―――『任せて!久しぶりに兄さんと一緒に戦える...!』

 

―――魔法の森では、生物が暴走して瘴気が漏れ始めた。

 

 

 

―――『態々こんな高空まで妖怪が来るなんて、ご苦労様ね。...天界はお前達を歓迎しない。行くわよ、キース』

―――『承知しました、総領娘様。天界に手を伸ばさんとする愚者に、身の程を分からせて差し上げましょう』

 

―――有頂天には、空を飛べる妖怪達が襲い掛かった。

 

 

 

―――『クソッタレ!妖怪共がどんどん来やがるぞ!』

―――『慧音、結界は保つか?!』

―――『大丈夫、ではないな。そろそろ妖力が切れそうだ...!』

―――『人手が足りません。もっと援軍(Verstärkung)があれば...!』

 

―――人里には人間に餓えた妖怪達が大挙して押し寄せた。

 

 

―――私達()()が敷いた策が原因で、妖怪の大半が敵に回ってしまった。私達の...私のせいで...幻想郷が...

 

 

 

―――『紫、前を向け!今起きている異変の解決に全力を注げ!事が終わってから何が間違っていたかを考えろ!...さっき、翔琉から"手が足りない"と急報があった。俺は山に向かう。紫、お前は全体を俯瞰して対応しろ。...()()なんだろ?その知識と経験を活かせ』

 

―――()が、絶望に打ちひしがれていた私に発破をかけてくれた。そのおかげで、私はどうにか立ち直れた。()は私に戦略を任せてくれた。私はそれに応えるべく奔走した。

 

 

 

―――『死神様の援軍だオルァ!』

―――『命か?!テメェ地獄の方はいいのかよ?!』

―――『畜生界の荒くれ共がすぐに鎮圧した!こっちの方がヤバそうだから来てやったぜ!』

 

―――『...慧音、加勢に来たぞ。結界は紫に任せろ』

―――『()()?!援軍はありがたいが、他も危ないんじゃ...』

―――『紫曰く、地底、地獄、有頂天は既に鎮圧済み。魔法の森ももうすぐ終わりそうだとさ。...敵の戦力は人里(ここ)と山に集中している。ここが山場だ』

 

―――『カニンさん、加勢します!』

―――『妖夢さん?!冥界は大丈夫なんですか?!』

―――『無罪()と裁かれた霊魂だけが居ますから、幸い叛乱はありませんでした。――幽々子様の命にて、これより人里の防衛に加わります!』

 

 

 

―――各所の状況を把握して、私も含めて人里に戦力を集めた。()は山の叛乱を治めたと、全体を俯瞰する"目"となった藍が報告してくれた。後は人里を護り抜けば―――そう考えていた時だった。

 

 

―――『紫様!()()()が動き出しました!...進路は妖怪の山です!』

 

 

―――妖怪達を糾合してからは、霧の湖近くの平原で強固な結界に籠っていた異変の首謀者(吸血鬼)が急に動き出した。私は、人里を襲う妖怪を凌ぎ切るまで下手に動けなかった。そのせいで―――

 

 

―――『...そんな?!影政様が単身で吸血鬼に接近しています!まさか...!』

 

 

―――()が単身()()()()()()()に挑んだ時に、援軍に向かえなかった。他の場所でも鎮圧後の後始末と警戒に当たっていて誰もがすぐに動けなかった。―――()に、()()()に吸血鬼の討伐を任せてしまった。今でも、私の采配ミスだったと後悔している。

 

―――『紫の奴、真っ先に飛んで行ったな...スキマを使えばすぐだろうに、それすら忘れる程に動転しているか』

―――『...決戦の場に行きたいものは行け。人里の後始末は私が行おう』

 

―――人里への襲撃を凌ぎ切り、私は真っ先に()の下に向かった。()()の場に着いた時には―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――『これで止め――がっ...?!

―――『ただでは死なぬぞ...ゴフッ...貴様は"人間である"ことに誇りを持っていたな...ならば、()()()()()()()()()()()...()()()()()()()()()ッ!』

 

 

 

 

―――()は、()()()()()()()()()()()

 

 

 


 

 

 

~幻想郷某所 八雲邸~

 

side-紫

 

 

「...吸血鬼異変(あの異変)から、もう百年以上経つのね」

「そうですね...来年には、ちょうど()()()()()()を迎えます」

 

 

 思考を止め、縁側で晩夏の晴れ空を見上げながら呟く。

 

―――『吸血鬼異変』として"縁起"に記録された最大最悪の被害を齎した異変から百年。その間は()()すらしないで立て直しに尽力した。人間を護ることはできたけど、()()()()()()()()。残ったのは力ある妖怪か非力で臆病な妖怪ばかりで、()()()()()()()()()が死んだ。私は幻想郷の()に出て、数少ない幻想郷に馴染めそうな妖怪を探して回った。『吸血鬼異変』の二の舞を起こさない為にも、慎重に見定めた。

 

 幻想郷自体の立て直しは藍や各所で()()()()に尽力した、()の友人や知り合い達に任せた。皆よく働いてくれて、私が()から連れて来た妖怪達にも対応してくれた。幻想郷自体の立て直しはすぐに終わったけど、妖怪の人口を増やすのには苦労して数年前にやっと、『吸血鬼異変』で死んだ妖怪の八割程度の人口を回復させた。

 

 

「...十度目、ね。幻想郷創造から六百年。折角の節目なのに()は...()と言えば、橙が身体を拭きに行った?」

 

 

 藍に尋ねる。

 

―――()は、ここ『八雲邸』で眠りについている。『吸血鬼異変』から百年経つものの、()が目を覚ます気配は未だに無い。それでも、いつか目覚めた時に身体が汚れていては良くないだろうから、私達で定期的に身体を拭いたり、布団や寝間着、下着も替えている。―――異性の身体を拭く事に最初は躊躇いもあったけど、()の友人達に責任を持って看病すると宣言した為、それを果たす為に抑えている内に慣れてしまった。

 

 

「はい。...そろそろ橙も一人で行動させて良い頃合いでしょうか」

「そうね。式神としてはまだまだ未熟ではあるけど、一人立ちさせてもいい実力は付いてると思うわ」

 

 

 藍の言葉に頷く。

 

―――橙は、立て直しの百年間の間に藍が式神として使役するようになった"猫又"だ。元が化け猫の類であることと、生ある者を式神にする特性でかなり水に弱いものの、藍と私の修行を経て実力を付けてきた。まだまだ先ではあるけど、橙が式神として成熟したら『八雲』の性を与えるつもりでいる。

 

 

「拠点はやはり、『マヨヒガ』で?」

「そうね。偶然でもなければ入れない空間だし、修行も独力でできる。それに、あそこは私と()の――」

 

 

<にゃあぁぁぁぁぁぁ??!!

 

 

―――突然だった。()が眠る客室の方から橙の悲鳴が聞こえてきた。

 

 

「っ?!橙、一体何が―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<影政様が目を覚ましましたぁぁ!!

 

―――ダッ...!

 

 

「なっ?!紫様―――」

 

 

―――橙の言葉を聞いた瞬間、私は立ち上がって走り出していた。

 

 

 

 

 

―――この百年、ずっと待ち続けた。

 

 

 

 

 

 

―――『吸血鬼異変』で吸血鬼と刺し違えて昏睡状態に陥って、ずっと目を覚まさなかった彼がやっと...!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――スパーンッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「――紫...」

 

 

 客室の襖を開け放つと、真ん中に敷かれた布団の上で上体を起こしている、白い襦袢に身を包んだ、本来はハイポニーテールで結い上げている黒い長髪を下ろしている長身の男―――私の親友であり、幻想郷の護り手。そして...()()()()()()()()()()()()()()()人―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ......おかえりなさい、影政(かげまさ)!!...やっと...ずっと、待ってたのよ?

 

 

 

 

 

 

遅すぎるのよバカぁぁぁぁぁ!!

 

 

 

 

 

東方護郷譚・廻~幻想を護る者達~

 

 

 

 

 

 

 

 





活動報告にて報告しましたが、二度目の書き直しです。

いくつか新規で加える予定話もありますが、しばらくは内容見直しと誤字、描写修正をして上げていくのでペースは早い...筈。
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