東方護郷譚・廻~幻想を護る者達~   作:しがない東方二次創作者

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回想話です。全てはこの出逢いから始まった。




幻想閑話-剣士と賢者の追憶~小さな妖の大きな夢①~

~マヨヒガ~

 

side-影政

 

 

「影政様!ようこそおいでくださいました!」

「出迎えありがとう、橙。――紫は来ているか?」

「はい!既に屋敷にてお待ちしております!」

 

 

 空間を創り、隠している結界をすり抜け、草木に覆われた廃村に降り立つと、俺を待っていた橙の出迎えを受ける。

 

―――今朝方、妖夢が幽々子の遣いとして我が家に来た。しかし、紫からついでと伝言を頼まれたらしく、俺は伝言を受けてここ『マヨヒガ』に来ていた。『白玉楼』に向かう前に、紫が俺をここに呼んだ理由は直接彼女に尋ねれば分かるだろう。

 

―――『マヨヒガ』は幻想郷の北東、『妖怪の山』の領域から外れた山の中に在る。()()()()()()()()()()()により、()()()()()()()()()()()()()()()()特異な異空間であり―――幻想郷(人妖が共存する理想郷)の創造を志した始まりの地でもある。

 今は橙の住処兼修行場となっているが、先述の事もあって紫の思い入れが強い地でもある為、橙が守護を任されている。藍の式神となって年数が浅いのに、紫もよく大役を任せたものだ。

 『マヨヒガ』の特性上、()()()()()()()()()()()()()(俺や紫、藍、橙は入る方法を持っているが)為、防御面では安心出来るが...()()()()()()()()()()()()()場合に橙が対処出来るかも修行の一環なのだろう。

 

―――閑話休題。

 

 

「分かった。では、行こうか」

「はい!こちらです!」

 

 

 橙の案内で廃村の奥にある寂れた屋敷に向かう。歩いていると、周りの廃屋から様々な毛色や模様の猫と―――()()()()()()()()()()()()()()()()達が出て来てついて来る。多くは普通の猫だが、何匹かは微量ながら妖力を持ち、妖力を高めつつ十年生きられれば"化け猫"になれるだろう。

 『マヨヒガ』は隠された異空間故に外敵は殆ど無く、猫の楽園となっている。俺と紫、藍は偶にここを訪ねる為、猫達は慣れてよく懐いているが―――

 

 

《にゃー》

《にゃー!》

《にゃーん♪》

「こらこら、足に擦り付くな。歩きにくいだろう」

 

 

―――俺はとりわけ猫達から懐かれている。紫からも羨ましがられているし、目覚めてから『八雲邸』に逗留していた際、百年振りに訪ねたら猫達に一挙に擦り付かれたのを橙に見られて、"私ですらお願いしないと来てくれないのに..."と畏敬の念で呟かれた位には懐かれている。お燐も懐いているし、俺は猫の類に好かれる性質なのかもしれない。

 

 

「相変わらず、皆によく懐かれていますね。私なんて集合命令すら聞いてくれない子ばかりで...」

「猫...というより群れる獣の類全般に言えることだが、命令に従わせたいなら"自分が上位者である"ことを示すことだ。力強い威嚇、狩りを見せる...ただ言葉だけで従わせようとしても難しいだろう。獣の世界は弱肉強食、実力主義だ」

「なるほど...今度やってみます!――あ、着きましたね!」

 

 

 橙に猫を従わせる為のアドバイスをしている内に、廃村の奥に建つ屋敷の前に着く。橙は屋敷の傍の廃屋を直してそこに住んでいる為、本来無人である筈の屋敷には()()()()()がある。初めてここに入った時に調べたが、この屋敷こそが『マヨヒガ』の中心だ。この屋敷に偶然迷い込んだ人間が入ると、()()()()()()()()()()()()を齎す。

 屋敷の中は本来入る度に様相が変わる異空間だが、紫の()()で結界を弄った事により、限られた人物―――紫、藍、橙、そして俺が入ると普通の見た目通りの屋敷として利用できるようになっている。

 紫は既に入っていると橙は言っていた。恐らく、()()()()で待っているだろう。

 

 

 


 

~廃屋敷 望郷(ぼうきょう)の間~

 

side-紫

 

「紫様!影政様をお連れしました!」

「ご苦労様、橙。...影政も、急なお願いに応えてくれてありがとう」

「気にするな。()()()()()()だからな、それまで時間はある」

《 《 《にゃーん》 》 》

 

 

 『望郷の間』と(私が発案して、勝手に名付けてなし崩し的に)呼ばれている部屋の縁側に座っていると、橙と影政、そして二人について来たらしい猫達が入って来た。二人に振り向き、微笑みながら迎える。

 

 

「橙、お茶を()()()と...そうね、猫達(この子達)のおやつとお水をお願い」

「分かりました!」

 

 

 橙に指示を出し、台所へ向かう彼女を見送る。

 

 

「...変わらないな、ここからの眺めは」

「えぇ。()()()()()()()()()()()のに、まるでその為にできたって思いたくなる部屋よね」

 

 

 影政が隣に座り、猫達も各々寛ぎ始める中で彼の呟きに頷き、縁側から見える景色―――

―――『人里』を中心に、『博麗神社』、『妖怪の山』、『魔法の森』、『迷いの竹林』と言った東西南北の主要な地と、『霧の湖』や『太陽の畑』、『玄武の沢』などの間を埋めるように点在する名スポット―――幻想郷の遠景を眺める。

 『望郷の間』とは、この景色を眺められることから思い付いた名前で、この部屋の縁側に面した所だけ狙ったように山の木々が無い、正に『(幻想郷)望む(眺められる)』部屋である。

 

 

「...ここから、()()()()のよね。今でもハッキリ思い出せるわ」

「あぁ、忘れる訳が無い。―――()()()()()()()()()()のがこの屋敷、この部屋でだったからな」

 

 

 影政の言葉を聞きながら、傍に置いていた一枚の()()()()を手に取り、そこに記されたものを見る。

 

 

「...でも、それより前。影政に拾われたのが()()()()()()()()だったわね」

「...そうだな。――あの状況を見た時は流石に困惑した」

 

 

―――幻想郷なんて形すら無かった、千年以上前。生まれて間も無く今より幼かった私が、()()を上手く扱えず暴走させて気絶していた所を影政に拾われたのが、全ての始まりだった―――

 

 

 


 

 

―――とある古き時代―――

 

 

~名も無き集落 付近の森~

 

side-影政

 

 

「...そろそろか」

 

 

 道など無い森の中。木々に刻まれた()()()()()()()()()が見え始める。これに従えば俺の故郷である『名も無き集落』に着く。

 

―――外の情勢を知り、集落に留まっていては得られない知見を求める為に旅に出て一か月半。()()()()人間と妖怪の関係は何も変わっていなかった。妖怪は()()()()()()()()()()であり、妖怪は人間を脅かし、()()()()()()()()()()()()していた。人間は持てる力を全て出して抵抗していたが、大体は一方的な蹂躙に遭っていた。人間と妖怪の種族差(越えられない壁)はそれほどまでに大きなものだった。

 

 旅の中で雇われ剣士として妖怪の襲撃に対する防衛戦に参加した事が何度かあったが、人間の中でも群を抜いた身体能力を持つ"超人"である俺でも妖怪相手には苦戦を強いられた。だが人間の中でも珍しくまともに妖怪を相手取れるが故に、妖怪に興味を持たれて積極的に絡まれてしまい、その間に防衛線が崩壊していた、という結果に終わった事もあった。―――親父から()()()を引き継げば、そんな事態も防げるだろうか。

 

 

「...親父もいい歳だ。まだ現役を張れるだろうが、身体は流石に――」

 

 

 そんな事を考えながら印に従って進んでいると―――()()()()()を感じた。妖力の質的に()()()()()()()()()。集落を襲いに来た妖怪か、ただうろついているだけの妖獣の類か。刀の鯉口をいつでも切れるように左手を添え、妖力の発生源に近付いていくと―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...きゅぅ...」

 

 

―――長い金髪の毛先に赤い紐を結い、()()()()()が点々と付き、洗濯も着換えもしていないのかボロボロにくたびれた紫色の女物の旅装束を纏う幼い少女が目を回して大きな木の枝に干し物のように引っ掛かっていた。

 

 


 

 

~名も無き集落 丘の家~

 

side-紫

 

 

「...ぅ、ん...」

「――おぉ、目覚めたようじゃな」

 

 

―――目を覚ますと、知らない室内の天井が見えた。左から好々爺のような声が聞こえて目を向ければ、禿げた頭で、黒色の着流しを纏う人間の老人が私を見ていた。

 

 

「...ここ、は?私、確か...」

 

 

―――一年くらい前に私は生まれた。いや、()()()()というべきだろうか。気が付いたら薄手の着流し一枚で森の中に横たわっていて、目を覚ましたと同時に自分の名前『八雲紫』と、『境界を操る程度の能力』という名の()()を持っていること、そして―――()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を自覚した。

 ()()で強くなっていた本能で私は人間を襲おうと彷徨い、偶然道を歩く人間の女を見付けて()()()()()()。―――けど、()()を満たしてすぐに()()()()()()()()()()()。身体が震えて、()()()()()()を吐いてしまった。()()は満たせたけど、それ以来()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 着流し一枚では少し寒かったから女が着ていた服を着て、私はあてもなく彷徨った。お腹が空いたら木の実を探したり、見かけた人間に近付いて脅し、食べ物を奪ったりして飢えを凌いだ。

 

 

―――『その髪...よ、妖怪か?!ひ、ひぃ...!来るな...!』

―――『に、逃げろ!荷物なんて捨てろ!喰われるぞ!』

 

 

―――人間を脅してものを奪うことを繰り返し、人間は()()()()()()()()()()ことを知った。中には遠目に様子を伺う私を見付けただけで逃げ出す人間までいた。少なくとも姿形は人間と殆ど変わりない。でも、この地の人間らしからぬ金髪と金色の瞳、私の身体の中に宿る大きな妖力は人間からすれば恐ろしいものらしい。

 

 飢えを凌ぐ為とは言え、脅してものを奪うことが悪いことであるのは分かっていた。でも、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のを見ていると、心に疑問―――"()()()()()()()()()()で在るべきなのか?"という考えが浮かんできた。人間と友好的な妖怪が居てもいいのではないか―――彷徨を続ける内に漠然とそう考えるようになった。

 そんな彷徨の中で、ふと自分の()()がどんなものなのか把握しようと思い立ち、早速発動して―――そこから今の状況になるまでの記憶が無い。

 

 

「ここは集落じゃよ。名前は無いが。――お前さんは、近くの森の木に干し物のように引っ掛かって気を失っていたらしくてな。儂は直に見とらんからどんな状況だったのかは分からんが、()()と言えども気を失ったまま放置も良くないのでな。こうして介抱しておったのじゃ」

 

 

 どうやら私は、()()を発動して暴走か何かさせて気を失っていたようだ。そんな私をこの人間のお爺さんは介抱―――

 

 

「...ま、待って。()()なのに、()()の私が怖くないの?」

「別に怖くないのぉ。見た所お前さん、()()()()()()()()ようじゃし寧ろ可愛いとさえ思うぞ。孫ができたらこんな感じなのかのぉ」

「か、かわっ...?!」

 

 

 人間のお爺さんの言葉に私は戸惑い、恥ずかしくなって頬が上気するのを感じた。変な人間だ。でも、私を見ている黒い瞳に妖怪()への()()は一切感じられなかった。

 

 

()()もそろそろいい歳。早う嫁を見つけて欲しいが...おっと、お前さんには関係無い話じゃな。そう言えば名乗っておらんかったな。――儂は『牙門影信(かげのぶ)』、この集落を纏めておる長的立場にある人間の爺じゃよ」

「...わ、私は『八雲紫』。妖怪なのは解ってるけど、種族は...」

「...ふむ、その反応を見るにお前さん、所謂"唯一種族"というヤツじゃろうな。自分で種族が解らない妖怪は大概そういうものなんじゃよ」

「"唯一種族"...」

 

 

 お爺さん...影信は私の自己紹介からすぐに納得出来そうな推察を挙げた。人間なのに妖怪に詳しいなんて...

 

 

...トントン

<『親父、入るぞ』

 

おぅ、いいぞー。...ちょうどいい、儂の倅を紹介してやろう。お前さんを担ぎ込んできたのが倅じゃしな」

「私を...」

 

 

 部屋の引き戸を軽く叩く音と、影信よりずっと若い声が聞こえてきた。影信は軽く声をあげて入室を促し、私に自分の息子を紹介すると言ってきた。引き戸が開いて―――

 

 

「...目を覚ましたか。干し物のように枝にぶら下がっていたのを見た時は戸惑ったが、大事は無さそうで良かった」

 

 

―――影信(父親)とは正反対に黒く長い髪を頭頂部で結い上げ、皺一つ無い凛々しくも優しさを感じられる顔付きで、白い着物に紅い袴を履いて腰に黒い帯を締めた若い人間が黒い瞳で私を見てそう言った。この人が、私を...

 

 

「旅終わりの整理は済んだようじゃな。さて、紹介しよう。儂の倅――」

「――『牙門影政』。影政と呼んでくれて構わない。一ヶ月半程旅に出ていてな、その帰りでお前を見つけて運んで来た」

「...私は『八雲紫』。紫って呼んで。...その、ありがとう。妖怪の私を拾ってくれて」

「気にするな。状況に戸惑いはしたが、あのまま放置するのも良くなかったからな」

 

 

 私は影政と自己紹介を交わし、お礼を言う。彼は当然だと言いたげな、平然とした表情で影信の隣に座る。

 

 

「...影政も、妖怪の私を見て畏れたりしないのね」

「...確かに、()()()()()()()()()()()()()()ものだな。――だが、この集落の()()()()()を知っているからこそ、妖怪への畏れや忌避感は特には無い」

「...どういう、こと?」

 

 

 影政の言葉に私は首を傾げる。ここは集落の中らしいけど、実際にどんな集落なのかは直接見れていない。()()()()()()()とは違う、()()()()()()()はどんなものなのだろうか...

 

 

「...直に見た方が手っ取り早いか。紫よ、身体は大丈夫かの?」

「...うん、大丈夫」

 

 

 自分の感覚で身体の状態を確かめ、大丈夫だと答える。長く気を失っていたせいか少し怠い感覚はあるけど、出歩けない程深刻なものでは無い。

 

 

「では、外に出ようか」

「うん...」

 

 

 布団から出て立ち上がり、二人について行く。

 

 

~名も無き集落 丘の家の外~

 

 

「...これ、は...」

 

 

<「......ん」

<「おぉ、流石"鬼"。相変わらず新品同然の仕上がりだな!」

 

<「今日も釣果は上々だな。お前の能力でいい釣り場が簡単に見付かってありがたいぜ」

<「ありがと。...はぁ...つくづく"河童"なのに泳げない自分が憎らしいわ。アンタが釣らなくても直接獲れるのに...」

 

 

―――影信と影政の家は丘の上にあったらしい。玄関から家を出てすぐ目の前に現れた、集落を一望できる光景は―――()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ものだった。私が彷徨の中で見てきた人間と妖怪の関係とは真逆で、目の前の光景が一瞬現実なのかと疑った。でも、確かにこの光景は...

 

 

「うむうむ、驚いておるな。――紫、改めてようこそ。()()()()()()()()()()()へ」

 

 

 呆然としている私の隣で、影信の優しい言葉が心に響く。

 

 

「...外からやって来て、住人になった誰もが、最初は紫と同じような反応だった。――だが、これがこの集落の在り方だ」

「...本当に、人間と妖怪が...」

 

 

―――彷徨の中で漠然と考えていた在り方が、現実に存在していた。食い入るように集落の光景を見つめていると―――

 

 

「――あら、目を覚ましたのね」

 

 

―――物静かで優しい声が聞こえて来た。聞こえた方を見れば、桜色の長い髪と瞳、薄い水色の襦袢を纏う、私より二回りは大人びた少女がふわりと降りて来た。妖力とは違う()()()()を感じるけど、一体...

 

 

「貴女は...?」

「私は『桜守(さくらもり)(ゆう)』。...見ての通り実体はあるけど、"亡霊"よ」

「亡霊...あ、私も自己紹介しなきゃ。私は『八雲紫』、種族は...分からないわ」

「ふぅん、不思議な子ね。――でも、悪い妖怪では無さそうだし、よろしくね」

「う、うん...よろしくね」

 

 

 亡霊だと言う少女―――幽と自己紹介を交わす。彼女から感じる力は妖力とは違うけど、少なくとも妖怪(人ならざるもの)であることは確かだ。

 

 

「幽はあそこに生えておる桜を依代にした亡霊でな。故に"桜守(桜を守る者)"なんじゃよ」

「あの桜が...すごく大きい...」

 

 

 影信が指差す先を見れば、二人の家の背後に大きな桜の樹が聳えているのが見えた。今は咲いていないけど、春になって満開になったらきっと...

 

 

「...影信、その子――紫は新しい住人になるのかしら?」

「まだ分からんが、まぁここからの眺めを見た反応を見るにそうなるじゃろうな」

「...私、集落(ここ)の住人に...なってもいい、の?」

 

 

 影信の言葉を聞いて恐る恐る尋ねる。私は集落の近くの森で気を失っていた所を拾われただけだ。二人も、そして幽も私を()()()様子は微塵も無いけど、部外者の私を早々に住人として迎えようとするなんて...

 

 

「うむ、住人になるなら大歓迎じゃよ。...お前さんがすぐに出て行くというなら、路銀や旅に必要なものは工面して送り出すが。...じゃが、影政がお前さんを見付けた時の状況から考えるに、旅をしていた訳では無かろう?...集落(ここ)に骨を埋めろとは言わん。しばらく過ごして色々学ぶことを儂は勧めるぞ」

「...分かった。...自分の種族も分からない妖怪だけど、その...よ、よろしくお願いします...!」

 

 

 影信の言葉を受けて、私は集落(ここ)でお世話になる事にした。影信達に頭を下げる。

 

―――まだ私が生まれた時の事や、一年間の彷徨について話していないけど、影信は察しているようだった。確かに私は生まれて一年程で、知らない事は多い。集落の住人に受け入れられるか不安だけど、ここでしばらく過ごして、様々な事を学びたい。

 

 

「改めて、よろしくね。...皆に紹介と、集落(ここ)の案内をしないとね。...案内は私がやるわ」

「それは構わんが...珍しいのぉ。お前さん、儂ら含めて皆とちっとばかし距離を取っておるのに...」

「どう付き合おうと構わないでしょう?...この子とは、何だか仲良くなれそうな気がするだけよ」

 

 

 幽の提案に影信が少し驚いたように眉を上げる。どうやら住人ではあっても、付き合いが薄い性格らしい。でも、ここに来て間も無い私とは仲良くなれそうなんて...不思議な亡霊だ。

 

 

「では、案内は幽に任せるとしよう。まずは、皆に紹介せねばな」

「あぁ、そうだな。集められる者は全員集めよう」

「さぁ、行きましょう。...個性的な人が多いけど、皆優しいし人妖の差別もしないわ」

「...うん、分かった」

 

 

 果たして私は集落(ここ)に受け入れられるか不安な気持ちを抱きつつ、幽が差し伸べた手を握る。―――人間や生物とは思えない冷たさだけど、仄かに暖かさもある不思議な感覚だった。

 

 

 

―――to be continued―――

 

 

 

 

 

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