東方護郷譚・廻~幻想を護る者達~   作:しがない東方二次創作者

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妖々夢五面です。下記リンクの活動報告にて妹紅の妖々夢自機としての妄想設定書いています。その内設定集にも追記する予定です。

リンク:https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=307324&uid=187500



春雪異変-5~友の為、主の為~

~『白玉楼』前 石段~

 

side-妹紅

 

 

「...っ!」

「おっと...それ、お返しだ!」

 

 

 妖夢が楼観剣(長い方の刀)を振り薙いで青い楔弾を刃状に放つ。それを躱しながら背中に紅く揺らめく不死鳥の翼と尾を展開して飛翔する。そしてお返しにと"フェニックスクロウ"を放つ。鳥の爪による斬撃を模した刃状の炎弾を鋭角の扇形でばら撒く。

 

 

「っち...!範囲型か...!」

 

 

 数発掠るものの妖夢はすぐに対応して躱し、私と同じように空中へ飛び上がる。そして刀を数度振り薙いで挟み込む様に楔弾を放って来る。

 

 

「この程度なら...」

 

 

 楔弾を躱し、"フェニックスクロウ"を再度撃ち出す。誘導性能は無いけど扇形の範囲を活かして捉えれば...!

 

 

くっ...?!...この程度の弾幕は普通に避けますか。――では、これなら!」

 

 

餓王剣 「餓鬼十王の報い」

 

 

 妖夢が()()()()()()を切り、刀を納めた刹那―――

 

―――キィン

 

―――()()()()()()()()()様な妙な感覚を感じた瞬間、妖夢は()()()()()()()()()()()。そして、妖夢が元居た位置と繋ぐ直線上で楔弾が次々円形にばら撒かれる。

 

 

「っと...!――今の、抜刀術か?()()()()()()()()()()ぞ」

 

 

 距離を取り、楔弾が拡散して出来た隙間を抜けるが、既に妖夢は刀を納めて二撃目を放つ体勢になっていた。

 

 

―――キィン

 

―――そして、再度反対側へ瞬時に移動しながら刀を振り抜く。今度は()()()()()()()()()様に楔弾の動きが()()()()

 

 

「――成程。原理はよく分からないけど、遅くなる瞬間なら楽に隙間を抜けるチャンスが来るのか」

 

 

 ()()()()()()の特性を理解し、三撃目の構えを取る妖夢に"フェニックスクロウ"を撃つ。範囲は狭いけど、少し射線を合わせれば範囲内に捉えられる。

 

 

「っ...この程度で...!」

 

―――キィン

 

 妖夢は被弾しつつも体勢を崩す事無くまた反対側へ移動しながら刀を振り抜く。遅くなった瞬間に楔弾の隙間を抜けて妖夢を追う。

 

 

「ここは速度を絞って...!」

 

 

 楔弾の弾速が元に戻り、安全に隙間を抜けて躱す為に速度を絞り"フェザーフレイム"に切り替える。羽根を模した炎弾を広い扇形で撃つ。射線を合わせずとも充分捉えられる広範囲の弾幕だ。威力は低いが、無理に妖夢を追わずとも当てられる筈だからこのまま...!

 

 

「なっ、範囲がhぐっ?!

 

 

 炎の羽根を避け切れず被弾を重ねて妖夢は怯む。

 

 

「...手早く撃退して師匠を追おうと考えていましたが、それは無理そうですね」

「おいおい、それは舐め過ぎじゃないか?これでも"幻想郷創造"に貢献したんでね。影政とか(境界の賢者)には劣るかもしれないけど、実力はそれなりにあると自負してるよ。...まぁ、この『弾幕ごっこ』の経験はお前とどっこいどっこいだと思うけど」

 

 

 私を見据えて刀を構え直す妖夢の言葉に少しムッとしつつもそう答える。()()()()故にではあるけど、妖夢より遥かに永い時を生きているお陰で経験は多い。

 しかし、今繰り広げている『弾幕ごっこ』の経験はまだまだ少ない。でも、それは妖夢も同じ筈だ。

 

 

「...確かにそうですね。――ですが、それでも私は貴女を倒さないといけない」

「――その言葉、そのまま返すよ」

 

 

 刀を構える妖夢の言葉にそう返し、翼をはためかせて身構える。

 

―――片や幽々子(仕える主の異変成就)を守る為。片や影政(親友を止めに行った友人)の邪魔を阻止する為。お互い、譲れないものがある。

 

 

「...ふっ!」

「っと...二連撃か!」

 

 

 妖夢は刀を左右二回振り薙ぎ、交差した青と赤の楔弾が飛んでくる。赤の楔弾は途中で私に反応する様に軌道を変え、此方に飛んで来る。

 

 

「赤が私狙い、青はそのまま...避け方を間違えれば挟まれて被弾しそうだな」

 

 

 青の楔弾を躱せる程度に赤の楔弾を誘導し、赤を躱してすかさず青の楔弾の隙間を抜けて―――

 

 

「――そらっ!

っ?!急に()()()を?!」

 

 

―――()()()()()()()爪を振るう様に腕を振り薙いで"フェニックスクロウ"を撃ち出す。妖夢は咄嗟に刀でいなす様に炎弾を躱す。

 

 

「『弾幕ごっこ』に"接近戦禁止"ってルールは無いからな。こっちの方があまり考えなくて楽なの、さッ!

「くっ...!」

 

 

 足に炎を纏わせ、回し蹴りの要領で"フェニックスクロウ"を振るう。妖夢は飛び退いて蹴り自体は躱すが、刃状の炎弾がそのまま飛んでいき、咄嗟に刀で()()()()様に炎弾をいなす。

 

 

「ならば此方も...!」

うぉっ?!大玉弾か...!」

 

 

 妖夢が刀を袈裟斬りに振るうと、青色の大玉弾が刃状に飛んでくる。至近距離だったものの、嘗て()()()()()鍛えた反射神経でギリギリで躱す。大玉弾はそのまま私の後ろへ飛んでいく。

 

 

「ふっ...!しぃっ...!」

「っと...!そらっ!」

 

 

 妖夢の斬撃と、そこから放たれる大玉弾を躱しながら此方も炎弾を纏わせた拳や蹴りで応える。妖夢の剣撃を注視していると―――動き方の特徴に気付く。

 

 

「ふっ...!(...()()()()()()()()。動作自体は()()だが、それ故に予兆が読める)」

 

 

 袈裟斬りからの斬り上げの予備動作を()()()()身体を捻って斬り上げを躱す。

―――妖夢は次の動きに移る時に、()()()()()()()()()()()()()()()()()()を持っている様だ。型にピッタリ嵌った動作から放たれる剣撃は()()()()()()()()()けど、()()()()()()()()()()。過去に影政と数度手合わせを挑んだ事で、多少剣術の知見も得られていて幸いだった。

 

 

「(...よし、少し試してみるか)...っと...」

 

「っ...!そこ――」

「――隙だらけだッ!」

がッ...?!

 

 

 応酬の最中に()()()怯んだ様に一瞬無防備な体勢を取ると、妖夢は即座に刀を大きく振り翳して迫り―――()()()()()()()()に蹴りと共に"フェニックスクロウ"を撃ち込む。蹴りと炎弾を同時に食らって妖夢は数メートル吹っ飛ぶ。

 

 

「...やっぱりな。妖夢、()()()()()()()()ぞ。ついさっきの体勢が誘い込む為のブラフだと気付かず大振りに動くからカウンターを食らったんだ」

ゴホッ......師匠にも指摘されているので直そうとしているんですが、癖は中々抜けなくて...」

 

 

 腹を抑えて軽く咳き込む妖夢に指摘すると、苦々しい表情を浮かべながら影政からも同じ指摘を貰っていたと答える。流石妖夢の師匠なだけはある。既に妖夢の弱点を見抜いて指摘していた様だ。

 

 

「癖、ねぇ。お前よりも剣術に詳しくない私でも()()()んじゃ不味いと思うよ」

「...そうですね。――異変(こと)が終わったら、改めて癖の改善方法を考え直してみます。()()()()()()()()()()()()()()から」

 

 

 妖夢は宙に飛び上がって抜刀術の体勢を取る。

 

 

「確かにそうだな。まだまだこれから――」

 

―――ふと周りを見回すと、接近戦の応酬で躱した特大丸弾が()()()()()()()()()()()()のが見えた。

 

 

「――接近戦のご指摘に感謝します。でも、これはあくまで『弾幕ごっこ』。接近戦が全てではありません」

 

 

獄神剣 「業風神閃斬」

 

―――キィン

 

 

「なっ――」

 

 

 私には見えない速さの抜刀術で、大玉弾が()()()()様に紫と赤の丸弾、中弾に分裂してばら撒かれ―――

 

 


 

side-妖夢

 

「...やった、か?」

 

 

 大玉弾を()()()ばら撒かれた丸弾と中弾で妹紅さんの姿が見えなくなり―――()()()()()()のを感じて楼観剣を降ろす。流れた丸弾がエネルギーを失って消滅すると―――()()()()()姿()()()()()()。予想外の状況で困惑しながら辺りを見回す。

 

 

「――居ない?」

 

 

―――『弾幕ごっこ』は吸血鬼異変(百年前の異変)の様な惨劇を起こさない為に制定されたルールだと聞いている。殺し合う事が前提では無いけど、それでも撃たれる弾に()()()()はある。

 ルールで()()()()()()()な弾幕を作る事と定められているから私もそれに従って弾幕と()()()()()()を考えている。

 

―――妹紅さん程の方が()()()()とは思えない。師匠、紫様と共に幻想郷創造に携わった方々の一人であり、幻想郷創造以前から永く付き合いがある方が意表を突かれたとは言えまさか―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リザレクション」

 

...ゴォッ!!

 

 

「――っ?!」

「――動きが正直だから性格もそうだと思っていたけど、そういう奇策も使えるんだな。――でも、忘れたか?()()()()()()()()()()()んだぞ」

 

 

炎符「火の鳥飛翔」

 

 

―――目の前で炎が燃え上がり、妹紅さんが姿を現すなり()()()()()()を切る。

 背中の紅く揺らめく翼をはためかせ、飛翔する鳥の形に並ぶ炎弾の弾幕が次々飛んでくる。

 

 

「くっ...!」

 

 

 炎の鳥を躱し、無理なものは楼観剣で()()()妹紅さんの()()()()()()を凌ぐ。

 

 

ヒューッ...奇襲し返したつもりだけど、よく凌いだな」

 

 

 炎の鳥を撃ち尽くして石段に降り立った妹紅さんは軽く口笛を吹いて感心したように言う。

 

 

「危ない所でしたが、どうにか...しかし、妹紅さんが()()()()であること、お恥ずかしながら忘れていました。『弾幕ごっこ』で無ければ()()()()いたでしょう。――しかし、『弾幕ごっこ』で()()()()は勝敗も何も無いと思うのですが」

「分かってるよ。さっきの()()()()()()は被弾したと見なしていい。...被弾が許されるのは後二回って所か」

 

 

 『弾幕ごっこ』は基本的に双方の合意でルールを決めて行う。しかし、()()の様な遭遇戦では話し合う時間は早々取れない。その為―――

 

ボス(仕掛ける側)()()()()()()と弾幕を全て使用、攻略されたら敗北

自機(仕掛けられた側)は攻撃用弾幕と()()()()()()を自由に組み合わせて戦い、()()()()で敗北

 

―――遭遇戦では()()()にこう言ったルールが暗黙の了解で取られる。

 

 このルールのおかげで、妹紅さんの()()()()の特性のせいで此方が気力体力尽きるまでの戦いを強いられる事は無い。

―――しかし、妹紅さんは被弾判定と引き換えに先程の様な奇襲が出来るのが厄介だ。不老不死(妹紅さんの体質)を忘れていた私に非があるけど、気を付けないとまた奇襲を貰いかねない。

 

 

「...では、()()()()()も被弾して貰いますよ」

「...ほぅ、言ったな?――やれるものならやってみろ」

 

 

 私の啖呵に妹紅さんは不敵に笑みを浮かべ―――紅く揺らめく翼をはためかせて飛び上がり、"フェニックスクロウ"(爪の斬撃の様な炎弾)を次々撃ち出す。

 

 

「っ...!」

 

 

 軽く息を吐いて感覚を研ぎ澄まし、飛び立って初弾を躱し、すかさず避けられない炎弾を()()()同時に青い楔弾を剣撃の軌跡に合わせて撃ち出す。大きく横薙ぎに()()()事で隙間は広いものの横長に並ぶ楔弾が妹紅さんに飛んでいく。

 

 

「っと...!」

「はっ...!」

 

 

 妹紅さんは楔弾の隙間を抜けて躱し、再度"フェニックスクロウ"(爪の斬撃の様な炎弾)を撃って来る。それを躱して再度横薙ぎに()()()楔弾を撃つ。

 

 

「っと...そら、避けてみろ!」

 

 

 楔弾を躱すなり"フェザーフレイム"(鳥の羽根の様な炎弾)を撃って来る。"フェニックスクロウ"(爪の斬撃の様な炎弾)とは違って扇形の範囲がかなり広い。射線の隙間を見出して躱そうと―――

 

 

 

 

 

「――そうすると思ったよ」

 

 

...ゴォッ!!

 

ぐッ...?!

 

 

―――妹紅さんが()()()()()()()()のは見逃さなかったものの、"フェザーフレイム"(鳥の羽根の様な炎弾)に左右を挟まれていて回避行動を取れず、"フェニックスクロウ"(爪の斬撃の様な炎弾)に次々被弾して軽く吹っ飛んでしまう。

 

 

「範囲が狭いってことは、狙い撃ちがしやすいってことでもある。"フェザーフレイム"の範囲内に居た時点で私の術中だったって訳だ」

「...これはしてやられました。まだまだ半人前ですね。――ですが、半人前なりに全身全霊で貴女に勝つ!

 

 

修羅剣 「現世妄執」

 

 

 ()()()()()()を切り、左右に赤と青の丸弾を展開する。丸弾は今も周りを漂っている霊魂の様に漂い―――

 

 

―――キィン

 

「――うぉっ?!」

 

 

―――縦斬り一閃、妹紅さんの軸線に合わせて一条の()()()の様な軌跡を作る。そこに左右の丸弾が()()()()()様に飛んでくる。

 

 

「まるで灯りに集る蛾みたいだな...!」

 

 

 妹紅さんはひょいひょいと丸弾を躱す。このままなら密度が薄い弾幕だけど、この()()()()()()の本命は―――

 

 

 

 

 

 

 

 

「――未練ある魂よ、尽きぬ生はそこにある」

 

 

―――ブワッ...!

 

 

「――っ?!弾が()()()()()...?!」

 

 

―――丸弾は合図で一気に妹紅さんへと殺到する。

 

 

「っち...!」

 

 

炎符「不死鳥の尾」

 

 

 避け切れないと判断したのか、妹紅さんは()()()()()()を切る。小さな魔法陣を周りに展開し、炎弾が広範囲にばら撒かれて丸弾とぶつかって相殺していく。

 

 

「っと...まだ行きますよ...!」

 

 

―――キィン

 

 

 炎弾を躱し、再度縦斬りの軌跡で妹紅さんの軸線上に()()()を作り出して左右に赤と青の丸弾を展開する。

 

 

「...現世に焦がれる幽世の魂って所か。不老不死の(死ねない)私への当て付け...いや、真面目な妖夢なら偶然か。兎も角()()()()()()の特性は解った...!」

 

 

 ()()()に集まる丸弾を躱しながら撃ってくる"フェザーフレイム"(鳥の羽根の様な炎弾)を躱しながら、再び合図を送って丸弾を妹紅さんに向けて動かす。

 

 

「おっと...最初の奴もまだ残っているのが厄介だが...!」

 

 

 妹紅さんは丸弾に挟まれない様に誘導して躱し、再度"フェザーフレイム"(鳥の羽根の様な炎弾)を撃ち出す。私も避けようとするものの、広範囲で撃たれる炎弾を全て躱す事は出来ず一、二発ずつ被弾していき―――

 

 

ぐっ...!

「――そこだッ!」

がはッ...?!

 

 

―――怯んだ所に"フェニックスクロウ"(爪の斬撃の様な炎弾)を狙い撃ちされて数メートル吹っ飛んでしまう。

 

 

「っく...流石に避け切るのは無理でしたね」

「範囲内に捉えられればそう簡単には避けられない装備だからな。そろそろ()()()()()()も残り少ないだろう?――このまま勝たせてもらうぞ」

「...そうですね。――ですが、例え不利でも勝てる可能性があるなら諦めませんよ!」

 

 

人神剣 「俗諦常住」

 

 

 体勢を立て直し、()()()()()()を切る。妹紅さんが撃って来る"フェザーフレイム"(鳥の羽根の様な炎弾)の範囲を躱して背後に回り込み―――

 

 

 

 

―――キィン

 

 

「うぉっと...って、()()()()()()()()()()()?」

 

 

 妹紅さんの背後を阻む様に横薙ぎ一閃、白く長い剣撃の軌跡を生み出す。

 

 

「――俗人の魂よ、開かれた門より天へと至れ」

 

 

 妹紅さんが困惑している隙に前へと戻り、合図を出して軌跡から青い粒弾を天へ昇っていく霊魂の様にランダムに撃ち出していく。

 

 

「っと、そういうことか!背後からは少し避けにくいが...!」

 

 

 意図に気付いた妹紅さんは粒弾を躱しながら"フェニックスクロウ"(爪の斬撃の様な炎弾)を撃って来る。粒弾の回避と私への攻撃で意識を割かれている今なら...!

 

 

「――されど人のまま、悟らぬまま神に至ること勿れ!」

 

 

―――キィン

 

 

――なっ?!

 

 

―――抜刀術で一閃、赤い中弾の弾幕を展開する。単なる放射状では無く数本を曲げて印の様にしたもので、展開後ばら撒かれていく。新たな弾幕の展開で意表を突かれたのか妹紅さんは一瞬硬直して―――

 

 


 

side-妹紅

 

「――っち!」

 

 

 意表を突かれたが、すぐに持ち直して回避にかかる。背後からバラバラに飛んでくる粒弾を避けながら、妖夢が撃って来る中弾を避けるのは少し大変だが...!

 

 

「ふっ...しまっ――」

 

 

炎符「火の鳥飛翔」

 

 

 粒弾を躱した先に中弾が飛んでいて、咄嗟に()()()()()()を切り、火の鳥を模した炎弾を次々飛ばして弾幕を撃ち消しながら妖夢へ肉薄する。

 

 

「っ!また接近戦を...!」

「っち、逃がすか...!」

 

 

 接近戦に持ち込んで中弾を撃たせまいと図るが妖夢も距離を取ろうと背を向けて飛び出し、火の鳥の炎弾を躱し、斬りながら離れていく。即座に私も"フェニックスクロウ"を撃ちながら追いかける。

 

 

「――はっ!」

 

―――キィン

 

っおぉ?!

 

 

 妖夢は"フェニックスクロウ"を躱し、振り向きざまに抜刀術で横薙ぎの剣撃を放って来る。撃つのを止めて咄嗟に躱すと、そのまま私の背後で止まって粒弾をばら撒き始める。

 

 

「まだ()()()は攻略していないせいか...厄介だ、なッ!

 

 

 粒弾を躱しながら"フェニックスクロウ"を再度撃つ。中弾が展開される前に削り切れれば...!

 

 

「っく...!この程度で...!」

 

 

―――キィン

 

 

「ちっ...間に合わなかったか!」

 

 

 数発当たって少し怯むが、妖夢は耐え切って抜刀し中弾を展開してばら撒く。射撃を止めて後ろからの粒弾、前からの中弾を躱す事に集中する。展開されてすぐの中弾は曲線で並んで壁になっていて躱せる隙間が限られるが、そちら側に追い込まれない様に粒弾と中弾を躱していく。

 

 

「これでも躱し切りますか...!」

「っと、させるかッ!」

 

 

 中弾が全てばら撒かれ、背後の剣撃の軌跡も消えると妖夢は三撃目を撃つべく納刀して構えの体勢を取る。展開を阻止するべく"フェニックスクロウ"を撃ちながら―――高速で突っ込む様に肉薄する。

 

 

...ゴォッ!!

 

「っ?!速い――」

――これで落ちろッ!!

「がッ?!」

 

 

―――ドゴォン!!

 

 

―――妖夢が吶喊に怯んだ隙を見逃さず蹴りと"フェニックスクロウ"を同時にぶち込む。妖夢も避ける事は出来ず吹っ飛んで石段に叩き込まれる。

 

 

「...今のは運が良かったな。突っ込んだ先に弾があったら()()()()()()と引き換えにしていた所だ」

 

 

 土煙と弾幕の着弾煙に包まれる妖夢の落下地点を見下ろしながら一息()く。賭けに近い吶喊だったが、運が味方して被弾無く攻撃を叩き込む事が出来た。とは言え―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――キィン

 

 

「――まだやれるみたいだ、なッ!」

 

 

―――()()()()()()は攻略出来たが、煙の中から一瞬抜刀術の風切り音が聞こえた刹那、青い中弾が刃状に次々飛んできて途中で楔弾に変化して拡散する。妖夢はまだやれると判断し、楔弾を躱しながら落下地点を警戒する。

 

 

 

 

 

―――フッ...

 

「...また意表を突かれましたね。今のはかなり堪えました」

 

 

 弾幕が治まると、焦げ跡や破れが目立つ服を纏う妖夢が煙を突き抜けて飛び上がって来る。

 

 

「こっちも賭けに近かったんでね、上手く嵌まって一安心だよ。...でも、まだ行けるだろ?」

「えぇ、勿論。――これが最後の()()()()()()ですが、妹紅さんを落として見せます」

 

 

 妖夢は頷き、抜刀術の構えを取って狙い澄ました鋭い眼差しで私を見据える。

 

 

「こっちも影政(友人)の為に負けられないんだ。――やれるものならやってみろ」

 

 

 背中の紅く揺らめく翼をはためかせ、手に炎を纏わせて身構える。

 

 

「――『天魂』『地魂』『人魂』、人が持つ"三魂"。それに内包されるは『喜』『怒』『哀』『懼』『愛』『惡』『欲』の"七魄"。――魂魄が散る色彩、刮目せよ!

 

 

天神剣 「三魂七魄」

 

 

―――キィン

 

 妖夢が抜刀すると、赤い大玉弾が三つ一組で二つ並び、それに続いて緑、黄、橙、赤、紫、青、水色の七色の楔弾が鈴生りに展開される。

 

 

「こりゃまた派手な...」

 

 

 美鈴(紅魔館の門番)の弾幕並みに派手な弾幕に一瞬見惚れ―――

 

 

 

 

 

 

―――ブワッ...

 

 

「――危なッ?!いけないいけない、見惚れている場合じゃない、なッ!」

 

 

―――妖夢の合図で動き出した弾にすぐに気付けず、目の前に迫っていた大玉弾を咄嗟に身体を仰け反らせて躱し、続いてばら撒かれる楔弾を――― 

 

 

―――キィン

 

「っ...!また()()()()感覚か...だが一気に抜けるチャンスだ!」

 

 

 妖夢の抜刀で()()()()()()感覚をまた感じ、その隙に楔弾を一気に抜けて妖夢に近付いて"フェニックスクロウ"を撃ち込む。

 

 

ぐぅ...!――まだ、私はやれるッ!

 

 

 妖夢はこれまでのダメージが重なって動きにキレが無く次々被弾して怯むが、振り払う様に吼えて二撃目の弾幕を展開する。

 

 

「いい気合いだ。――だが、こっちも決めさせてもらうぞ」

 

 

 そう呟き、展開されて動き出した大玉弾と楔弾へ一気に()()し―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リザレクション」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...えっ、嘘――」

――これで終わりだ!

 

 

炎符「火の鳥飛翔」

 

 

―――()()()()()()()()()()()()し妖夢へ肉薄する。絶句して硬直する妖夢に対し至近距離で()()()()()()を切り、火の鳥を次々飛ばして―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

「...被弾二回。後者は被弾上等で吶喊したのが嵌ったから良かったけど...『弾幕ごっこ』の先達(あの巫女とか白黒魔法使いとか)が見ていたらいい顔はしないやり方になったなぁ」

 

 

 最後の()()()()()()を切った時以上に焦げ跡と破れが増えた状態で倒れ伏す妖夢を見下ろしながら言ちる。正直、あんまり『弾幕ごっこ』らしからぬ戦い方になったと今になって感じてしまった。

 ()()的に私位しか出来ないとは言え、()()()()()()()()()()()()()という意義を無視したやり方だ。ルールは綿密に定められている訳じゃ無いから自由が効くけど...真面目な性格の妖夢には悪い事をしたかもしれない。

 

 

―――スタッ

 

 

「...お?こりゃまた珍しいのが居るじゃないか」

「...確か、『迷いの竹林』の番人だったかしら?筍掘りでお世話になったわね」

「...ん?あぁ、やっぱりお前らも動いてたか。...珍しいのが一人居るけど」

 

 

―――背後に人の気配を三人分感じ、振り向くと『紅霧異変』(前の異変)で影政と共に()()に貢献した二人と―――『紅霧異変』(その異変)では敵側だったヤツが一緒に居て珍しいと眉を上げる。『紅霧異変』(あの異変)以来幻想郷(ここ)の住人となり、『迷いの竹林』での筍掘りや、『人里』での食料やら日用品やらの買い出しで偶に見かけているが、人間(同族)相手でも冷たい所がある印象を私は持っている。今の()()が特に人間に影響を及ぼしているとは言え、そんなヤツが共闘してるのは珍しい。

 

 

「...(ブン屋の天狗)から聞いていたけど、アンタこそ珍しいじゃない。慧音と仲が良いアンタなら人里で動いてそうだと思っていたんだけど」

「本来はそうするつもりだったさ。――でも、友人から"力を貸してくれ"って頼まれたからね。()()()()は初めてだけど、初めてなりに頑張ろうと思ったのさ」

 

 

 眉を上げる霊夢にそう答える。どうやら文は誰かしらから情報を得て私が影政と共に()()()()に出たのを知ったみたいだが、流石に理由までは分からなかったらしい。

 

 

「友人?それって――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴォッ...!

 

 

「っ...!」

「な、何だ?!」

「っ...この気配は...!」

 

 

―――魔理沙の言葉を()()()()()()()()()()()()()()()()の気配が遮り、三人揃って『白玉楼』の方へ目を向ける。

 

 

「...どうやら向こうも正念場みたいだな。――行くか」

 

 

 友人(影政)の方もあの亡霊(異変の首謀者)とのぶつかり合いが佳境に差し掛かったと感じ、気絶した妖夢を担いで飛び上がる。

 

 

「...あ、ちょっ!私達も行くわよ!」

「...あの神力、まさか...!」

「...あの屋敷に居るのが()()()()()()なら...加勢すべきかしらね」

 

 

 私を追うように三人も動き出したのを背後で感じる。妖夢を『白玉楼』の何処かに適当に寝かせて、友人―――影政の所に行かないとな。アイツなら下手は打たないと思うんだが...

 

 

 

―――to be continued―――

 

 

 

 

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