東方護郷譚・廻~幻想を護る者達~   作:しがない東方二次創作者

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紅霧異変、はーじまーるよー

多分誤字修正位で済むのでハイペースで更新するかもです。



紅霧異変~空を覆う紅い霧~
紅霧異変~開幕~


~??? バルコニー~

 

side-??

 

「――時は来た」

 

 

 もうすぐ夜明けが来る。地平線が僅かに朝焼けに染まり始める空を眺めながら、我が主『レミリア・スカーレット』お嬢様は呟く。

 

 

「皆に感謝するわ。『幻想入り』を果たし、隠れる事一月。よく耐え、よく尽くしてくれた」

 

 

 お嬢様はそう言って私達に振り向く。バルコニーに通じる廊下には、私を始めとして『幻想入り』してから密かに雇い入れた妖精メイド達と、それを統率するメイド長『十六夜(いざよい)咲夜(さくや)』さん、我が主のご友人にして大図書館司書の『パチュリー・ノーレッジ』様と使い魔兼大図書館司書補の『小悪魔』が並んでいる。

 

 

「...決行前にに思わぬ()()()があったけど特に妨害の意思は無いし、友人(パチェ)()()しないようにと頼んできているから、良しとしましょう」

 

 

 お嬢様はそう言って、私達から少し離れた所に立って様子を見ている青年―――金髪のセミロングをローポニーテールで纏め、白いワイシャツに赤いネクタイを締め、上に黒の袖無しベストを着て、黒いズボンと靴を履き、ベルトには一冊の本を提げている―――を見る。

 

 

「何度も言ったけど、僕は()()()には傍観者だ。幻想郷に敷かれた新たなルール『弾幕ごっこ』による異変解決が成るか否か...見届けさせてもらうよ」

 

 

―――『――っ?!何者だ!()()は機能している筈...!』

―――『これは中々、目に悪い紅さだ。...君は門番のようだね。居るならだけど、()()()に取り次いでくれるかな?()()()()()()()()()()()()()、とね』

 

―――『ルーン・スティルゲイズ』様。一週間程前、『幻想入り』してすぐに咲夜さんとパチュリー様とで構築した姿隠しの結界をいとも簡単に擦り抜けて門前に現れた、魔法使いの青年。

 

―――『...ふむ...いいわ。貴方を賓客としてもてなしましょう。――さぁ、()()()()()()()()わ、掛けなさい』

―――『レミィ、貴女の用事が済んだら図書館に寄越してちょうだいというか可能なら今すぐにでも連れて行きたいのだけど』

―――『ふふ、パチェの()()()を見るのはちょっと久しぶりかしらね』

 

 パチュリー様が同業者(魔法使い)として彼に強い興味を持った事、そして『運命を操る程度の能力』を持つお嬢様が彼に()()()()、彼を賓客としてもてなすように命じられた事から彼の存在は黙認されている。

 

―――『"弾幕ごっこ"、ですか...私達が()()()調()()()限りではそのようなものは無かった筈でしたが...』

―――『幻想郷(ここ)でも最近制定されたばかりでね。普及はまだまだだけど、できることなら"弾幕ごっこ"で以て()()()()()が決する所を見届けたいんだ』

 

 何なら、この幻想郷で制定されたばかりという『弾幕ごっこ』の教授を受けた恩がある。()では色々な勢力から狙われていた為血を流す事は当たり前だったけど、そう言った流血を抑え、()()()()()()()を否定する為のルールだと言う。

 

―――閑話休題。

 

 

レミリア(レミィ)、早く始めなさい。もうすぐ夜明けだし、結界ももうすぐ解けてしまうわ」

「そう急かさないで。――それは建前で、本音は大図書館(根城)ルーン()と話す時間が欲しいんでしょう?昨夜も遅くまで話し込んでいたみたいだし、運命を()ずとも解るわよ」

「...パチュリー様...」

 

 

 お嬢様の言葉に私は思わず呆れた声を零してしまう。お嬢様も珍しいものにご興味を抱く性格だが、パチュリー様はご自身の知識の探究に於いてはお嬢様も簡単に止められない程に貪欲な方だ。お風呂や食事、睡眠以外では専ら大図書館に籠って本を漁り、魔法や知識の探求と実践をしてばかりで、元々喘息持ちなのに更に健康を害さないか心配になる程だ。

 

 

「ふふ、その魔法や知識に貪欲な性格が好きなのよ。そんなパチェ(友人)の要求を満たす為にも――始めましょうか」

 

 

 お嬢様は微笑みながら私達に背を向け――足元に魔法陣を展開する。

 

 

 

『――さぁ、紅い霧よ!憎き太陽を覆え!闇夜の王たる吸血鬼の理想郷を創れ!』

 

 

...サァァァァ...

 

 

 お嬢様の朗々とした詠唱により、夜明けを迎えようとした空を()()()が急速に覆い始めた―――

 

 

 


 

 

~牙門邸 庭~

 

side-影政

 

...サァァァァ...

 

 

「...空が、()()()()()()()()...」

 

 

 起床後の素振りを終え納刀し、ふと空を見上げると()()()が朝焼けの空を覆っていくのが見えた。そして、視界にも薄っすらと()()()が漂い始める。その霧には、()()()()()()()()()()()が含まれていた。

 

 

「この霧...不味いな。人間では耐えられない濃い妖気を含んでいる」

 

 

 妖気を含んだ()()()。これは間違いなく―――

 

 

「――主様!」

 

 

 そこに、朝食の用意をしていたカニンが駆け寄ってきた。彼女も()()()に気付いたようだ。

 

 

「...カニン、昨日言っていた予定は変更する。間違いなくこれは()()だ」

「分かりました。...朝食はどうなさいますか?」

「おにぎりを...そうだな、三個包んでくれ」

承知しました(Ich habe es)。すぐにご用意します」

 

 

 頷いて台所に戻っていくカニンを見送りながら頭を掻く。俺が()()の解決、もしくはその支援を優先する事は彼女も分かっている筈だが、それでも今日は我が家でゆっくりするという予定を曲げてしまう事が申し訳なかった。

 

 

「...目覚めて早々に()()。しかも『弾幕ごっこ』制定後初めての大きな異変とはな。まずは『博麗神社』に向かうか」

「――主様、どうぞ」

 

 

 数分して、カニンがおにぎり三個と水を満たした竹水筒を持ってくる。

 

 

「ありがとう、カニン。――行ってくる」

「行ってらっしゃいませ。...どうか、ご無事で」

 

 

 カニンの言葉に頷き、空に飛び立つ。途中で人里を眼下に収めて様子を見るが、大通りの住人達が慌てたように走っているのが見えた。恐らく慧音辺りが早急に家に帰るように触れ回っているのだろう。

 

 

 挨拶回りで慧音と妹紅と話していた時に聞いた噂話を思い出す。妖力の流れは北東側から来ている。()()()の出所は恐らく―――

 

 

 

~人里 上白沢塾前~

 

side-慧音

 

 

...サァァァァ...

 

 

「...これは霧、か?だがこれは...」

 

 

 異様な妖気を感じて外に出て見れば、()()()が辺りを覆っていた。畑仕事や仕事場に向かう住民達が大通りで足を止めて異様な霧にざわついている。

 

 

慧音!

 

 

 私を呼ぶ声が聞こえ、振り向くと自警団団長の小兎姫が駆け寄ってきた。

 

 

「小兎姫か!ちょうどよかった」

「この霧は何なの?!紅くて不気味だし、妖気(いやなもの)を感じるしで気分が悪くなりそう...」

住民を全員家に戻して家を出るなと伝えろ!この霧は人間に悪い影響を与える、急げッ!

 

 

 周りの住民にも聞こえるように大きな声で小兎姫に指示を出す。これで私の言葉が伝播して動き出す筈だ。後は混乱を出来る限り抑えれば...!

 

 

「っ!!...分かったわ、自警団も動ける奴は動員する!」

「頼むぞ!私は里の外に出ている者達を呼び戻してくる!」

 

 

 小兎姫が自警団の詰所に向かって駆け出し、私自身も里の外に向かって走り出す。...ふと、視界に()()()の中を飛んでいく見覚えのある人影を捉えた。

 

 

「流石は影政だな...私は人里(ここ)で出来ることをする。――()()()()は任せたぞ、我が友よ」

 

 

 


 

~妖怪の山 大風穴~

 

「...わぁ、()()()なんて初めて見たなー。しかも()()も含んでるみたいだし...今日は帰ろうっと。...()()()()()()()()()がしたのに運が無いなー」

 

―――フッ...

 

「...ん?今『大風穴』に何か...いや、今は状況確認だ。...この()()()()()()()()()()()()()()

 

 

~太陽の畑~

 

()()()...()()()を思い出すわね。――護りを強化しておきなさい」

「承知しました。()()()()にあてられた妖怪が暴れる可能性がありますからね」

 

 

~無縁塚~

 

「...おや、()()()なんて初めて見たな。それに、この()()は...」

「...君は早く帰った方がいい。何なら()まで護衛しよう。この霧は実に良くない」

「もう妖獣がうろつき始めているようです。急ぎましょう」

 

 


 

~霧の湖 廃洋館~

 

side-??

 

 

...サァァァァ...

 

 

()()()...これは間違いなく()()ね」

「だろうねー。中に居ても嫌な妖気を感じるもの、只の人間だったら()たないよ」

 

 

 私の言葉に末妹の『リリカ・プリズムリバー』が頷く。窓から見える『霧の湖』の対岸を見れば、()()()()()()()()()()から()()()が立ち昇っているのが分かる。あの霧の中にはきっと...

 

 

―――一週間程前、この洋館に私達の演奏(セッション)仲間で、"騒霊楽団"のゲスト枠でもあるルーンが訪ねてきた。一か月程前に発生した()()()()()()()()()について調べに来たという。私達は霧が濃くなっていた事しか知らなかったけど、彼はいつも通りの余裕然とした微笑みで感謝してくれた。

 

―――『情報ありがとう。霧の発生時期の裏付けが取れただけでもありがたいよ。それじゃ、僕は件の霧に向かってみるよ』

 

 ルーンはそう言って『廃洋館』を辞した。―――それから今までルーンの姿を見る事無く、今()()が起きた。私の妹で、リリカの姉でもある『メルラン・プリズムリバー』が私の物憂げな表情に気付いて励ますように明るい笑顔を浮かべる。

 

 

「ルーンならきっと大丈夫よ~。"魔法使い"としてかなり強いんだし」

「私達は待つしかない。...この()()が終わって楽しい演奏(セッション)が出来るように、練習して待ちましょう?」

「...そうね、彼を信じましょう」

 

 

 メルランと、会話に加わってきた『廃洋館』に憑く騒霊で、"騒霊楽団"の歌い手(ボーカリスト)の『カナ・アナベラル』の言葉に頷くものの、それでもあの()()()の方に向かったルーンのことを心配せずにはいられなかった。

 

 

 


 

 

~博麗神社 境内~

 

side-影政

 

 

...サァァァァ...

 

 

「...あら、来たわね」

「丁度いいのか悪いのかってタイミングだな。危うく出発する所だったぜ」

 

 

 東端にまで到達した()()()が漂う博麗神社の境内に降り立つと、大幣を手にした霊夢と、箒を担ぐ魔理沙が居た。二人は丁度出発しようとしていたようだ。

 

 

博麗の巫女(霊夢)が動く、ということは()()で確定だな」

「そうね。濃い霧だけだったら洗濯物を干せない程度で済むけど...この霧に含まれる妖気は危険だわ」

「あぁ、普通の人間だったら一時間も経たずに倒れるな。影響を受けやすい妖精やら妖怪なら、血の気が多くなって暴れる可能性もあるぜ」

 

 

 魔理沙が言う()()とは、人里に住む大半の住民のことだ。魔理沙は魔法を修めているため、この妖気にも耐性があるのだろう。

 

 

「影政は『人里』の近くに家があるのよね。様子は見てきた?」

「上空を通った時にちらりと見た程度だが、少なくとも大通りは慌ただしかった。だが、慧音なら下手を打つ事はないだろう」

「随分信頼してるんだな...まぁ、今更人里に向かう余裕は無いが。これ以上濃くなる前に()()をシバくぞ。太陽すら覆ってやがるぜ」

 

 

 時間的に日は昇っている筈だが、()()()はそれすらすっかり覆ってしまっている。

 

 

「さっさと行きましょ。霧の出所は分かっているわ」

「妖気の流れ的にも"霧の湖"近辺であることは確定だな。慧音から聞いた()()()()()()()()の噂...そこだろう」

「原因が分かってるなら幸いだな!行くぞ!」

「――待て。その前に、コイツをやる」

 

 

 飛び立とうとする二人を引き止め、腰に提げていた握り飯の包みを一つずつ渡す。

 

 

「...これ、おにぎりか?」

「時間的に朝飯もまだだろうと思ってな。二人の分も作ってきた」

「あら、気が利くじゃない。『霧の湖』に向かいながら食べましょうか」

「影政、ありがとな!...じゃあ、改めて出発だ!」

 

 

 魔理沙は箒に跨り、俺と霊夢はそのまま空に飛び立つ。

 

―――『弾幕ごっこ』制定以来、初めて発生した()()。『弾幕ごっこ』は果たして()()()()に繋がるか、実戦といこう。

 

 

 

―――to be continued―――

 

 

 

 

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