Limbus Company in Hololive Lovers 作:塩素の音
「あれ…ストーリー進行早いわね?」
「そうだな。でも、私はそれよりも言いたいことがあるんだが。」
「奇遇ね、私もよ。」
「「うp主、更新遅すぎ。」」
……はい、スミマセン。
「へー、都市から来た人だったんだ〜。通りであいつらをボコすのに抵抗ないと思ったよ〜。」
シオンは何かに納得したようで、私たちと雑談している。
厳密には囚人たちと、だけど。
廊下には私たちの足音と、愉快な話し声が響く*1。
「そもそも私たちは、都市とは別の世界があることに対して驚きでしたね。」
「しかもこっちの方の『都市』は『鏡の世界』みたいなモンだと来た。俺はもう訳がわからねぇ」
イシュメールとヒースクリフの言葉に、他の囚人もうんうんと頷く。
そりゃそうだ。あんな地獄みたいな世界で生きるという選択肢しかなかった私たちに比べれば、他の世界に行って、そこで生きるという選択ができる『こっちの方の都市』の住民は幸運だっただろうからね。
「ねぇ、鏡の世界って何?」
「簡単に言えば、可能性の世界です。例えば私たちは『リンバス・カンパニーに所属している』状態ですが、『ホロライブ学園に在学している』という状態があったとしてもおかしくはないでしょう。」
「あーはいはい、世界線の話ね。理解理解」
シオンの疑問に、ファウストが答える。普通には難しいと思うんだけど、何か思い当たるものがあったのかすぐに理解したみたいだね。...『世界線』ってなんだ?
「ところで、先ほどの魔法のような技術はどこの翼が所有するものでしょうか?ファウストの記憶には該当するものはありません。」
「私もまた、そなたの技を探求せまほし。」
「つ、翼...?いや、これはただの『魔法』で...」
「『魔法』と冠せし特異点なりや?」
「まさに文字通りですね。こちらの世界ではM社、もしくは旧M社のものなのでしょうか?」
「あー、えっと〜...」
駄目だこれ。知識人組が完全に興味に駆られてる。でも本当にあれは何なんだろう...?とりあえず質問攻めに遭ってるシオンさんを助けないと...
「管理人、私がどうにかしましょうか?」
<あれ、ウーティス。...そうだな、こう言って二人の注意を引きつけてほしいな。ゴニョゴニョ>
「ふむふむ、かくかくしかじかでそうなる、と。流石は管理人でございます。」
<それじゃ、頼んだよ。>
ウーティスが三人の下に歩み寄る。そして、どこか悪意を醸し出すような視線で、イサンとファウストを見る。
あの様子を見るに、意外とノリノリだなあれ...
「そこの天才二人。」
ーーーいつからそれが特異点であると錯覚していた?*2
「「!!??」」
二人は驚くようにウーティスを見る。*3
「そう、そうよ!これは本物の魔法!!特異点とかでマネした紛い物のおまじないじゃなくて、シオンが作った正真正銘の魔法なの!!」
「!! あなや......」
「それこそ本当のお伽話のようです。管理人、信じられますか?」
<いや、私に訊かれても...... そもそも私は特異点すら現実味がないと思ってるのに、魔法なんて見せられたら本当に理解できないよ。>
いや、本当に特異点とかじゃなくて本物の魔法だったんだ...二人を煽るためのいい言葉が思いついたと思ったのに。
「ふーん、魔法はほぼみんなが使えるものなんだけどな〜?こっちだと義務教育レベルの簡単な魔法とかもあるんだけどな〜、知らないの〜?」
「あ゛!?知るわけねぇだろこのクソガキ!!」
<そりゃこっちには魔法なんてないんだからね。特異点とかの科学技術はお高いし、そんな授業ある訳ない...よね、みんな?>
「あれ?僕はそんな感じの授業受けたことあるんですけど、どうかしたんですか?」
「おぼっちゃま」
「今の話の流れで特異点の話する奴いるんですね」
「特異点くらいだったら私は特色フィクサーから直々に指導を受けてみたかった...!」
「わぁ、皆さん辛辣ですね!」
ホンルのせいでちょっと話がズレたけど、まぁそんな感じで雑談しながら廊下を進む。目的地はというと...
「みんなが入ってきた扉を直す?そんなんシオンの魔法でチョチョイのちょいよ!」
最初に、フブキさんに会ったあの教室。
その扉の修復をシオンさんに頼んだところ、快く引き受けてくれた。いやー助けておいてよかったね*4。
「管理人、到着です。」
「よし、それじゃあ教室に入って、ちゃちゃっと扉直sh」
「「待った」」
ファウストが到着を宣言し、シオンさんが扉*5に手をかけた瞬間、ウーティスとムルソーが待ったをかけた。
「内部に誰かいる。ここから静かに偵察することを推奨。」
「いや、流石にさっきとは違って敵じゃないでしょ?だってここ学校なんだし、都市でもないんだから。」
ムルソーの忠告をガン無視して、ロージャが中を見る。
「ほら、ただの生徒しかいないじゃん?」
「あー、そういえばここ空き教室だったわ。たまに許可とってここで駄弁ってるグループが"1つだけ"いるんだけど、危険な様子はなかった...かな?」
シオンが、ロージャの仮説を補強する。本当に危険じゃなさそうだ。
「それなら...僕もみてみます。流石に急に敵対する訳が.....ヒュッ」
シンクレアが、教室を覗いたその瞬間、シンクレアの息遣いが荒くなる。
「おちびちゃん、どうした...の?」
ロージャがシンクレアに触れようとすると、気づく。
シンクレアは、完全に怯えてしまっている。
「嘘......そんな......」
顔が真っ青だ。目には恐怖の色が見え、肩は大きく上下し、膝が震える。
「シンクレア殿、そんなに興奮しているのならば私と共に先に行こうぞ!」
「いやだ...やめてくれ...」
<ちょっ、ドンキ!?>
まずい、未だにこの新しい空間に浮かれているドンキホーテがシンクレアを掴んで教室に直行する。なんで興奮してると思ったんだよ!
ガラリと、扉が開かれる。
「たのもー!!」
扉が開いたことによって、他の囚人も目視する。
あぁ、こんな絶望はかつてあっただろうか。
「珍しいわね、こんな教室にお客さんなんて。ねぇ、デミアン?」
ある少女は、青いマフラーを巻いた黒髪の少年を『デミアン』と呼んだ。
「そうだね。ここは…補修とかを除くと、僕たち4人組しか使わない教室だから。だよね、ロボ子さん。」
その少年は、人間によく似た機械の少女を『ロボ子さん』と呼んだ。
「そうだね〜。しかもボクたちは作戦会議くらいにしかつかわないし、なんの用事なんだろう、シンクレアくんわかる?」
機械の少女は、少し華奢で、弱気そうな金髪の少年を『シンクレア』と呼んだ。
「わ、わからないかな…でも」
「違うようで同じ、みたいな?でも、別にいいわ。」
そう言った少女は4人の中でも一番威圧感が強く、銀髪の中に、前髪に金色のメッシュが入っていた。
「クロー...マー......」
“こっちの”シンクレアが弱々しく呼んだその名前を聞いて、リーダーと思しき少女は、ゆっくり、深々と、頷いた。
「「ウワァァァァァァァァァァ!!」」
「アイエエエ!?クローマー!?デミアンナンデ!?」
「しれっとロボ子さんいるし本当になんなんだよ!?」
「機人とかN社の特大地雷だと思ったのに、クローマーはなんで…」
「しかも、この4人めっちゃ仲良くないか?」
「それ」
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塩素です。ほぼ失踪してました。
……これがやりたかった。