気が付いたら幼稚園らしいけどここ暗くないか??? 作:ぱんのみみ。
Chapter0の投稿に合わせて必須タグを追加した。戻って確認し、問題がない場合のみ読み進めてください。(更に詳細は活動報告を参照)
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57 Cram
Now loading…analyzed.
Interrupt: 0
Build system : Body‐error
Interrupt : Select Boby‐Case6C‐slight resistance‐clear
Memory‐clear
Soul‐clear
Battery / No consumption …
Continue *
気が付くと、私は知らない場所にいた。
頭が、がんがん痛い。
―――ひどい痛みだが、調子に乗ってドクターのブチ切れラインを見誤った私が悪い。ドリルでぶっ刺されなかったから殺意はないだろうし、秘密を暴かれて相手も慌てていたのだろう。悪いことをした。
痛む場所を押さえようとして……違和感に気がつく。
触り心地が、なんか、こう…。
手を目の前に持ってきて、まじまじと見つめる。
…、…。3つ指で、青くて、なんか、小さい……。
固めの粘土みたいな質感のそれは、私の意思に従って、もにゅもにゅと動いた。
…すぅ~~~…。落ち着こう。まだ慌てるような時間じゃない。
私は自分の身体を改めて見た。
青い。全体的に青い。色はナブナブっぽいが体つきはどっちかっていうとバンバンっぽい。顔は見えないのでわからない、が頭は触った感じ頭頂部に二つの短い突起がある。やっぱバンバンっぽい。人間ぽくない。
おち、落ち着こう、まだ慌てるような時間じゃない。
―――どうしようドクターをブチ切れさせてジバニウム生物に改造されたとかあるか?ノータイムでそういうことするひと…ではないな多分『偉大な計画の一部として』とかなんとかこっちに素晴らしさを長々説明してからやる気がする。
自分の身体を観察した私は、一旦周囲にも目を向けた。
小さな部屋だ。ベッドに棚に机に椅子。それで終わりの、こぢんまりとしたもの。それから壁にモニター。謎のコレクションボードらしきもの。
机に、見覚えのある感じの端末を発見。肩から吊るせるようストラップが付いているが、しかしこれは、翻訳で散々お世話になったあの携帯端末な気が、する…。
画面は暗い―――いや?中央にくるくると円が回っている。…読み込みマーク?薄く『Continue』の文字が見えた気がし、
ぱ、と唐突に画面に表示が現れる。
時計マークだ。アナログ表示。
―――見る間に、そのイラストの時計の針がぐるぐると
超高速で幾度も回転したその針は、唐突に動きを止めると、文字を表示した。
『Past now!』
それきり画面は見慣れたホーム画面に戻った。動きはない。
――――あ??????
端末をひっつかんであちこち触ってみるがもう何の変哲もない――いや写真記録がまっさらになっていた。バッテリー表示は54.6875%。
カメラを起動させて行った自撮りは、ものすごく既視感がある顔が映っていた。―――気絶する直前に見ていた絵。バンバンのイラストの下に描かれた、青いキャラクター…をかなり幼くした感じ…。
…、…全然全く信じたくないが、さっきの端末の表示が幻でないなら、なんだ、今は『過去』だって…?
ドクターに気絶させられた後に、スティンガーフリンに幻覚でも見せられているのだろうか。そういや彼には、彼の過去を見せられたことがあったな…その延長変化球みたいな…もんかなぁ…???
いやでも流石にフリンでも、自分の体験してない別人の記憶を見せるのは難易度高いのでは…。超高性能演算が可能ならできなくはないのか…どうなんだ…?
…、…。
……、……。
考えても…仕方がない…。
ちょっと一旦…結論は置いておこう。情報収集するべきだ。
私は現状理解のため手がかりを探すことにした。
端末から伸びた紐を肩に掛けて、私は部屋を探索してみる。
置かれたシンプルな家具は子供用っぽい色と形だ。この体にはちょうど良い大きさ。自分の身体が変化しているために体感と実際のサイズにはもしかしたらギャップがあるかもしれない。
壁の片側には巨大なモニター。もう片側は大きな窓になっていて隣の部屋が見える。窓の向こうは暗く、誰もいない。目を凝らしてみると、カラフルな家具が置かれている。色が違うだけでこちらと造りはあまり変わらないようだ。
モニターに向き直る。黒い画面に文字が表示されていた。
『毎日のアンケートにようこそ!』
『イエスかノーかの質問をされます』
…説明を読むに、表示された質問に、画面左右にあるボタンで「はい」か「いいえ」を答えれば良いらしい。手掛かりを得るために、私はそれを注視した。
『正確さは極めて重要です』
ぱ、と画面が切り替わる。クエスチョンマーク。はじめの質問だ。
『自分の名前を憶えている?』
名前。
覚えている、私はレイだ。 *―――おぼえてない、ぼくはだれ?
…、…。
頭の中で反響するような声に、私は一度静かに目を閉じた。
…、…。
……、……。
一旦自分の回答を信じて、「YES」のボタンを押す。
『私たちの予測では、貴方の答えはありえない』
さようで…。
私は画面に表示された不満気な顔のイラストを見つめた。
『回答には正確を期してください』
『自分がどこにいるか知っている?』
わからない。ここはどこだろうか。 *―――わからない、ここはどこ?
再度聞こえたその回答に、私は動きを止めた。
反響するような声は、外からではなく内側から聞こえたものだ。
いる……確実に“中”に誰かいる……!
誰かっていうかこれは、十中八九この体の主だろう。
私は目を閉じた、その相手の声が再度聞こえないか試みた。呼びかける。
―――あの、すみません、ええと。…おじゃま…して、います…。
…、…。しばらく…待ってみたが、声は聞こえない…手ごたえはない…。
でも…なんか…やっぱ…いる…。いる気がする…。居る気がするんだ……。
ふわふわした何かのしっぽを掴めないか、私は、待った。目を瞑ってその存在に指先が触れないかと試みた。
*―――……そうなの…?…ぼくはだれ?…ぼくはれい?
…レスポンスが相当遅いうえに大分ぼんやりした回答に、瞑った目に力が入った。
…、…。……、……。
その声が溶けていってしまわないように、呼びかける。
―――いいえ。貴方は私じゃありません。レイというのは私の名前で貴方の名前ではありません。
その手を掴もうとする。
万が一にも私がそれを塗りつぶしてしまうことがないように、しなければならない。
*―――そうなの…じゃあ…ええと…?ぼ…わたしはだれ?
いやいやいや一人称を引き摺られて変えちゃわないでほしい。
―――貴方は“ぼく”。“わたし”は私です。
*―――ぼくはぼく…あなたがわたし…うん…
危ういなコレ。マジで大丈夫か?
―――貴方がこの体を動かせますか。
*―――……?
…、…物凄く頼りない感じだ。いやまぁ名前も記憶も曖昧な人格と、名前も記憶も有してる別の人格が同居してたら、後者が主導権握っちゃう理屈はよくわかる。わかるけど頑張ってほしい。
*―――ぼくねむい…
寝ないで。頼む。
貴方が主だ、私が借家人だ。…いやまだ不法侵入者猛々しい感じなのでぜひ貴方に頑張ってほしい。このままでは居座り強盗になってしまう。
*―――だいじょうぶ…ねぇ、“わたし”、おねがいね…
おねがいね!?なにを?まってほしい、何をだ!?
必死に呼びかけて答えを得ようとする私をよそに、そのふわんふわんした何者かの返答は途絶えた。
……、一応ちゃんと中に居る。居てこっちをぽわーっと見ている、感じがする。よかったまだなんとかなる…よな…?いつかはっきり起きてくれるよな…??
一旦息を吐く。
…、…。
残された私は……全然全くわからないが……多分、やることが、あると見て、周囲の探索に戻った…。
―――なんで自分がここにいるのかなんて、終わったあとにわかるようなもんだろう、たぶん。
さて、アンケートの続きに戻る。
現在の自分が青いマスコットキャラクター(幼体)だとすると、ここは収容室で、このアンケートは施設から出されているもの…ということだ。
場所がわかるか、という質問に、「NO」のボタンを押す。
画面ににっこりマークが表れる。
『貴方の答えは至極当然だ。貴方はここへ来たことがないのだから』
そうですか…。
にっこりマークはウインクするマークに変わった。
『最初の質問は誤クリックだったと思っておきます』
一回答をそれで片付けてよいのか。データの扱いが結構アバウトだ。
『へんだと感じている?』
間髪入れずに「YES」を押す。
『貴方の答えは至極当然だ。貴方は多くのことを経験してきた』
ぱ、と人の頭部のシンボル…そして脳の部分に二重丸が表示されたイラストが映る。
『貴方は予測より1日早く目が覚めた。頭の痛みは数日続く』
『以前のことを何か覚えているか?』
…、…「YES」のボタンを押す。
画面には、人の頭部のシンボルが表示された。脳の部分に時計のイラストが描かれている。
『貴方の記憶に残っているものは、今後数日のうちに消えていくだろう。それが予測された結果だ』
…、…えマジで…。
……、……。
いや、この身体の主に意識が返るとするなら当然…か…?
記憶が消える。
記憶を有している私の行き着く先は気になるところだ。どうにも私の存在はイレギュラーっぽいので、常識的に考えれば私が消え去って元の人格のみが残るのが普通か?
…、…。自分の記憶やら意識やらが消えるかもという状況に、流石に焦るべきかもしれないと思っているし実際焦っているのだが、如何せん自分より自我が危うそうなこの身体の主のことが滅茶苦茶気になるし心配である。私がいなくなったら彼は目を覚ませるのだろうか?
…私はまたドクターにぶっ叩かれて気絶したはずの元の身体に戻れたりするだろうか。楽観しすぎ?でも直前の状況から考えて、突然のタイムスリップより幻覚や夢落ちの方がまだ腑に落ちるんだよな…。
それにしたって後数日…と考える私の腰のあたりで端末が震えた。
驚いて手にとって眺める。画面には『Analyze…』の文字。
数秒後、ホーム画面にアプリが表示された。
…目の前のアンケート画面と同じ…頭部と時計のシンボルマーク…。
…、…。そのアプリを開く。
真白い画面にたったひとつ、大きな黒い輪っか。その下部に数字が表示されている。『47:39:58』…いや、末尾の数字は動いている。『58』が『57』へ、そして『56』、『55』、『54』…、…。
すごく…タイムリミットっぽい…なぁ…。
仕組みは全然わからないが、ともかく私は過去の幼稚園のとあるマスコットに意識だけ不法侵入を果たし、あと2日程度で消える定めらしい。その短時間で何をすればいいんだ、でも何かをお願いされてしまったぞ…。
わからん。全然わからん。
幼稚園にふさわしい良いマスコットとして振舞えばいいのか…???
わからないが、ひとまずその線で行ってみよう。
『毎日のアンケートは終わりです』
画面の表示と共に、目の前のテーブルに出現した青いキーカードを受け取る。
『担当者がお迎えに上がります』
―――担当者?と私が思考を巡らす間に、扉の方から声がした。
「―――扉から離れて部屋の奥にいるように。もちろん両手を見える位置に。二度言うつもりはない」
聞き慣れた声だと思った。―――ちょっと高い気がするけれど。
冷静で的確で迷いのない指示の声に、私はすぐ従った。
両手を顔の横に上げて扉から離れて立つ。見つめる先で、扉が開かれる。
赤い姿が見える。
見慣れた姿より小柄な体躯。丸く黒い瞳は落ち着いていたけれど、悪戯気だ。
飄々とした声と顔で、彼は小首をかしげて少し笑ったようだった。
「―――新しいものはいつも簡単に騙されるんだ」
口からちょっと舌が覗いている。
私は破顔した。知った姿でないけれどよくわかった。
彼だ。
彼の、幼い時分だ!
「―――ウスマン」
「えっ?」
「…えっ」
「…僕は
「申し訳ない間違えた。はじめまして。貴方をその…シックスと呼べば、いいんだよ、ね」
動揺しながらもしゃべりかけて、いや、堅苦しくない方が良いかも、となるべく子どもらしい柔らかい言葉選びに修正を加える。微かに聞いただけの”ぼく”の喋りにほんのり寄せる。
「…そうだね?さっきもいったけど、僕はシックス。君のお隣だ」
『シックス』…。
私はその小柄な…といっても現在の所私と同じサイズ感の…赤い姿を見つめた。
特異なことに、私の目には、彼の頭の上にとある文字が浮かんでいるように見えていた。『Case6 ステータス:友達』…わぁすごい、ゲームのステータス画面みたい…。
仕組みは謎だがこの身体には便利な目が付いているようだ…。『友達』…?もう友達なのか我々は…ほんと?反応的には一方的な親しみじゃないか…?
見つめる先で、赤い彼は小首を傾げる。
ステータス表示から考えても彼は『Case6』で間違いがないようだが、しかし彼の自己認識は『ウスマン』ではないらしい…。ここが過去、ということを加味すると、彼はCase6ではあるがアダム氏の遺伝子情報によって自己認識がまだ変化する前、ということか。
いずれにせよ、目の前の彼は、頭身と言い丸くて大きい瞳と言い、だいぶ幼い感じに見える。
考え込む私をよそに、彼の目は部屋をぐるりと見回した。
「…君の部屋は僕の部屋より素敵だな。机も観葉植物も棚もある」
するりと視線がこちらに流れる。幼い外見ではあるが、その落ち着きや話しかたは、私の知る彼に通じると感じる。
「―――僕と代わるかい」
こちらを映した黒い瞳に、私は微笑みかけた。
「いっしょに使う?」
「はっ?」
「うん?」
「……。…、…」
質問に質問で返してしまったのがまずかっただろうか。相手はやや視線を逸らした。
「…そうだねまだ混乱しているんだろう。うん、どの部屋を使うかという話はまたあとでしよう。ひとまず僕が君にできることは、この場所に慣れるための案内だな」
「ありがとう、先輩」
「…せんぱい…??」
「さきを歩いているひとのこと」
へぇそう…と納得より困惑の強い返答が返ってくる。その調子で私が『ウスマン』と謎の呼び方をした記憶が薄まってほしい。
「…まぁ確かに君は新入りだ。さっそくキーカードを手に入れたようだね。これからそれを沢山使う事になる―――つまりそれらを管理する道具が要るわけだ」
彼の手にはいつの間にか、あるものが握られていた。
銀色の輪っか…カードリングだ!
「どうぞ、君の物だ」
お礼をいって受け取る。これでカードが増えてもごちゃごちゃしない――過去じゃなくて元居た現在にもこれが欲しいな。
私は貰ったそれを持ち上げて眺めた。純粋に嬉しい。
「キーカードはカードスキャナーにかざして使える。色分けされているから、ライトとカードの色に注目してくれ」
幼体ウスマン改めシックスが説明をしてくれる。…親切だ。私が最初に幼稚園施設に放り出された時にもその説明が欲しかった。
「あまり長くここに居ると何かあったんじゃないかと思われるだろうな。みんなが居るところへ移動しよう。―――案内するよ、こっちだ」
「ありがとうシックス」
「いいえ。リーダーの仕事だからね」
リーダー、と私は彼を見つめた。
「貴方がここのリーダーなのか」
―――ぴた、と彼は歩みを止めて、振り返る。こちらを黒い瞳で見つめ返した。
「そうだよ。僕が今から会うCaseの子たちのリーダーだ」
声は、堂々としていた。それでも緊張と微かな警戒を感じて――幼さ故かそれはむしろわかりやすかった――私は力を抜いてもらえるように柔らかく頷いた。
「わかった。ありがとうリーダー、頼りにしている」
引き締まっていた彼の雰囲気は、ちょっと虚を突かれたように弛緩した。
部屋を出て廊下を進む。
白い壁と床の廊下はそれほど長くない。左右に水色の扉が並んだそこを進んだ先、雰囲気の変わった大き目の青い扉?ゲート?のような場所の前で、シックスは立ち止まった。
「キーカードを試してみてごらん」
促しを受けて扉横を見ると、見慣れたパネル…つまりカードスキャナー…と、見慣れぬ小さなモニターがあった。モニターの黒い画面には6色の丸印が表示されている。画面右側の縦に、赤・濃いピンク・水色。画面左側に同様に、黄緑・黄色・薄桃。で、画面中央に人型が表示されていて、その人型が水色の丸印に近づいたり離れたりしている、のだが。
私はその人型を良く見た。紅くて特徴的な4本腕は見間違えようがない。シリンジョンのシルエットだ。―――過去ではあるが大人な彼は居るようだ。彼はいくつかのCaseを担当していたと言っていたから不思議ではない。
ピコピコ音と共に動く外科医のマークをしばらく見つめていたが、考えても仕方がないかもしれない。つまり水色のキーカードがここで使えることを示しているのだろう。
過去に見てきたものよりだいぶ親切な表示だ。―――設置者はシリンジョンだろうか。
「…ええと、君?僕の話が聞こえているよね。遊んだり眠ったりの繰り返しが人生ではあるけど、もっとも大事なのは『言われたことは全部やること』だというのが、ここの教えだよ」
しびれを切らしている。考え事が多くて申し訳ない。ごめんね、とシックスに謝ってからキーカードをかざした。
『おかえりなさいCase4』と文字が表れる。―――これはつまり、本来ならCase4が使用する想定のもの、ということかもしれない…。
無事に開いた扉の奥は―――広い空間だった。
真四角の吹き抜けの部屋。カラフルな床と自然を模した構造物。ぱっと見、4つのエリアに分かれているように見える。壁には色とりどりの大きな四角いブロックがランダムに埋め込まれているような様相。
子ども用のプレイルームのような雰囲気だ。
高く続く壁に視線を這わせて、自然と上に目を向ける。天井は見えない。いや、暗いそこにはピンク色の無数の電球が、……。
……電球…、…。
私はそっと、その、時折ぱちぱちと瞬くピンクのそれらから目を逸らした。
たぶんきがつかなくていいやつ。
前だけを向いたシックスが口を開く。
「ここはいい所だよ。そして最初に君に紹介したい相手がいる」
歩みを進めるシックスの後をついていく。緑の床の区画――壁の表示を見るに『森』のエリア――を歩いた先、そこにはある人物がいた。
「やぁ、
声をかけられて、その人物が振り向く。
真白い体。小さな三角耳。丸い瞳。
「今は駄目。忙しいの」
鈴の鳴るような声で、つん、と返事をした彼女を、私はまじまじと見た。
間違いない。彼女だ。
ピンクリボンの先生の小さい時…なんだけど、でもピンクリボンじゃ、ない…。
私はその、まだ真っ白しろな彼女を見た。
「彼を一目も見ようとしないのかな、セブン?」
「―――はぁ、仕方ない」
くるり、と気が進まない様子の彼女…セブンはこちらを振り向いた。ピンクのアイライナーを引いたような、黒い大きな目が瞬く。頭のてっぺんからつま先まで私を眺める。
「こちらが新入り?―――そう。まるで一人じゃ足りないって具合に増えたんだ。またなんとも頼りない感じだけど」
腰に手を当てた彼女…は興味なさそうな感じでこちらを眺めている。…彼女…だよな…?こう、特徴的リボンが無いうえに気が強そうで堂々としている感じも相まって、中性的にも見える。
「セブン、僕は新しく来た仲間にこの場所の案内をして、キーカードの使い方を教えた。優れたリーダーの仕事だ、でしょう?」
私はシックスを見た。何か一生懸命アピールをしている。
「はぁ、リーダーね」
セブンはそっけない。
「そう、リーダーだ。何度も言ったかもしれないが、僕はみんなの尊敬を受けている、グループのリーダーなんだよ」
「へぇ。なんでもいいけれど」
熱心なアピールを淡泊に躱したセブンは、私に視線を投げた。私は微笑む。
「あの、はじめまして」
続けて自己紹介をしようとした私は―――しかし自分を何と呼称すべきか迷って固まった。セブンが中途半端に言葉を止めた私を見やる。
「…はじめまして新入り君。知っておいてほしいのだけど、私は、特別頭が良くて私と同じくらい知識に興味がある人としかお話しないことにしてる。―――貴方、自分のケース番号さえ分かってないみたいだね」
論外を言い渡されて、私は若干のショックを受けた。
…ちっちゃい先生に拒否された…。心もち項垂れる私をみたシックスは、「忙しい所にお邪魔したねセブン」と言いながら私を別のエリアに引っ張っていった。
「…まぁそう肩を落とさないでよ。僕みたいに彼女と話せなくても仕方がない」
ちゃっかり自分は上手に話せると主張している。
そりゃあ付き合いの期間から言えば私よりシックスの方が仲が良かろう。別にシックスだって特別親しそうではなかったが。
「シックス…私のケース番号って知ってる…?」
「…さて、何かな…君が分からないなら、しばらく”新入り”でいいんじゃないかい。まぁ、セブンの話をあまり真に受けないでね。彼女がひそかに僕を好きなのと同じように、いずれ君のことも好きになるはずだよ」
ちょっとこちらをフォローしてくれてる感じもするけど、どっから来るんだその自信は…???
言葉を探す私をよそに、彼は首をひねった。
「しかし、君…思ったほど評判は良くなさそうだな。そこらを見て回るついでに、友達をつくってみたらどうだい」
私は、新入りに仲間づくりを勧めるその小さな先輩を見つめた。この見た目の幼さに対してかなりの段取り力を感じる。セブンの彼に対する評価は置いておいて…事実、目の前の彼は私(新米マスコットキャラ)を引っ張っていってくれる存在だと思えた。
「…貴方は…」
「僕?―――僕はもう、君の友達だよ」
そうではなく、と私は首を振った。シックス本人もそう扱ってほしそうでもある。素直に頼むことにしよう。
「貴方が一緒だと、心強いな。ねぇリーダー。…いっしょに来てくれたり、する…?」
物凄く視線を彷徨わせた相手は、しかし頷いた。
P1:事態をよくわかっていない。とりあえず良いマスコットとして振舞おうとしている。
過去編が生えた、ゴールはどこだ
青い声の主:まどろんでいる。寝ぼけ眼だがちゃんと見聞きしてはいる。
赤い男(幼体):自分こそがリーダー。自信はあるが、実際周囲から明確にそう扱われるのにはまだ慣れていない。
白い先生(幼体):ちょっとツンが強い。自分の周囲の子はみんな子供っぽいと思っている。
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予定通り、Chapter0の次話投稿は、原作8が出るまで待機。