気が付いたら幼稚園らしいけどここ暗くないか???   作:ぱんのみみ。

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 前回のあらすじ
 
 開いた扉から現れたのは、山羊頭の大蛇だった。仲間が丸呑みされた後、床が崩落し下の空洞へと落とされる。追われつつ暗闇を進むが、背後で音が聞こえた。



70 The cost of a wish

 

 洞穴の暗闇。

 

 振り返った先。

 

 点滅する懐中電灯のライトが、あたりを微かに照らす。

 暗がりの中で、すぐそこまで迫った山羊の頭が、浮かび上がっていた。

 

 

 ―――いいや。聞こえた音は、そのイキモノのものではない。

 

 

 その下、地面。

 駆けてきた何か―――赤い背が、目の前に立っている。

 

 

 

 山羊の頭が唸り声を上げる。

 

 巨大な口が、こちらに飛び掛かった。

 ばくり、と我々はその内側に取り込まれて、世界は閉じられる。

 

 

 

 

 ―――嚙み砕かれる衝撃は、襲ってこなかった。

 思わず瞑った目を開けたとき、視界に映ったのは、やっぱり赤い背中だ。

 力の張った両腕と足が、山羊の歯を掴んで上下に押し広げている。

 その全身で、閉じられようとする歯を食い止めている。

 

 わずかに光の差す視界の向こう、岩壁がガラガラと音を立てて崩れ、流れていく―――

 

 

 彼の名を、私は呼ぼうとした。

 それは、衝撃によって遮られる。

 

 

 暗かった世界に眩い光が差し込む。

 ぱっと視界は開かれた。

 

 

 

 突如、山羊の口から吐き出された私は、宙を舞っていた。

 天地がひっくり返った視界の中で、見覚えのある景色が映る。

 カラフルなブロックの壁、4つに色分けされたエリア。

 ―――プレイルームだ。

 

 高く放り出された体は、くるくると回転しながら落下する。受け身を取る暇もなく、私は床へと叩きつけられた。

 脳が揺れるような衝撃。視界が歪んで息がつまる。

 

 直後、すぐ横の床が重い音を響かせて鳴った。朦朧とする意識の中でなんとかそちらを見やる。

 目の前で、赤い足が床を削るように踏みとどまっている。

 低い姿勢の彼の視線の先には、山羊頭の蛇。プレイルームの明かりが、赤い彼の姿を照らす。

 吊り上がった白い瞳。常より発達した身体。口から覗く牙。―――6Bだ。

 

 

 山羊頭の蛇が咆哮を上げた。

 ぐらぐらと地面が揺れる。

 

 赤い足が地を蹴る。低い姿勢のまま、両手が地面を捉えては、力強く後ろへ掴み飛ばす。

 四脚の獣のように地を駆けたシックスは、相手に飛び掛かった。

 

 山羊の頭は、大きく左右に振られた。掴みかかったシックスの体は、わずかに耐えたもののやがて振り飛ばされて地に落ちる。

 床に緑の線を引いて倒れた赤い体は、しかし一秒と経たず飛び起きた。

 

 襲い来る歯を間一髪で躱す。

 山羊の頭が、駆ける赤い体を追った。大きく振られた巨大な角は音を立てて地面を抉る。しかし四つ足で駆ける小柄な体を捉えるには至らない。

 

 赤い体が、近づいた相手の鼻先に、飛びつく。

 山羊頭の蛇は声を上げてそれを振り払おうとする。左右に大きく振られた小さな体は、その力を使って相手の耳に飛び移った。山羊の頭はもう一度大きく振られ、小柄な体は更に高く真上へ浮かび上がる。

 

 宙を跳んだ赤い体は、落下の勢いを得て、―――弾丸のように、山羊の目に飛び込んだ。

 

 

 山羊の悲鳴が響く。

 緑の液体が噴出する。

 声を上げて身もだえた山羊頭の蛇は……そうして、やがて、動かなくなり……完全に、沈黙した。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 私は、ようやっと立ちあがった。

 

 ぐらつく身体を引き摺って、躓きながら、なんとかそこへたどり着く。

 

 姿の見えない彼の名を、呼ぼうとした。

 

 

 突如、沈黙していた山羊頭の蛇から、音が聞こえた。

 その口から飛び出してきた何かが、いくつも地面に落ちる。―――見覚えのある姿だ。キティ、セブンティーン、エイト……。

 次々と、飲まれたはずの仲間の姿が落ちてきて、そうして最後に、赤い体が目の前に着地した。

 

「―――彼らが僕について言ってたことは、本当なのかもしれないな」

 

 緑に濡れた、赤い体。瞳は、元の黒に戻っている。

 

「悪魔、怪物……あるいは、そうじゃないのか……。……ああ、エイトたちは無事だ。君の心配は、いらないよ」

 

 彼らの近くに寄って様子を確認していた私は、安堵して脱力した。

 

 

 シックスが、小さく息を吐く。

 彼の力の入っていた体は、疲れたように弛緩した。

 

 

「……説明が、必要だよね。サプライズが終わったら、話をするって約束だった」

 

 

 はっと、私は顔を上げた。

 

 シックスがこちらを見て、ゆっくりと口を開く。

 

 

 

「―――君が、消えるんだと聞いた」

 

 

 彼は言った。

 

「本来の人格の“ぼく”が目覚めるにつれて、もう1日もたたず君の人格は消えるだろうって」

 

 落ちついた声は告白を続ける。

 

「僕は再利用されるだろうって聞いた。6Cの、“ぼく”の方が、都合が良くてふさわしいから」

 

 ぽつり、と言葉が零れる。

 

 

 

「―――どれも、回避できると、思った」

 

 

 

 感情を排した、静かな声が続ける。

 

「フォースは、今夜、6Cを誰にも見つからないよう閉じ込めると言っていた。まるで事故に遭って消えてしまったかのように。そうすれば研究者は諦めて、僕をリーダーのままにしてくれるからって」

「……」

「…だから、僕。…フォースより先に、君たちを隠してしまおうと思った」

 

「……」

「フォースはやり方も僕に話したから。…いま横で倒れてる大きな彼に頼んで、隠れ場所を作ってもらって…。“ぼく”が泣かずに我慢できる程度で済むように…」

「……」

 

「フォースは、“わたし”のことをゲノムのバグだと言っていた。僕は…君が消えてしまうことは変えられなくても、“ぼく”を実験から隠し通せたら。体に残ったジバニウムから、いつか…僕が大きくなって、研究が進んだら…また君を…見つけ、られるかもしれないと、思って…」

「……、」

「……でも、結果は。……酷いことになったね。いや、僕が、したのかな」

「……」

「僕が、欲張った、からだ。……何も払わずに願いを叶えようなんて、都合の良い話、だったね」

 

 彼は、踵を返そうとした。

 

「いつまでもこうしていても、仕方がないな。―――今後のことを、考えなきゃ。ついて、きて」

 

 重たい足が前に進もうとする。私を引っ張って、進もうとする。

 

 

 ―――私は、その手を捕まえた。

 

 

 ぐんと引く。目を合わせる。

 

 

 引き結んだ口を、開く。

 

「私も説明しなきゃ。―――欲張りだと言うなら、それは私だ、シックス」

 

 言葉を探す。

 

「自分がすぐ消えるんだと分かっていたのに。この身体が…“ぼく”が貴方とリーダーの席を取り合うんだと知りながら、仲良くいられないかと道を探ろうとした」

 

 失敗していようが途中だろうが、私はいつか放り出して居なくなるのだと分かっていたはずなのに。

 

 彼が、消える私も計算に入れて追い詰められたなら、私はやはり、伝えなくてはならない。

 

「私が入り込んだことで、余計に状況をかき乱したんだ。そのせいで悩む必要はないよ、シックス」

 

「違うよ。君の存在は関係がない。僕の決定の問題だ。―――君。僕は、僕を知っている。君たちが何者でどんな性質だったとしても。フォースの話を聞いたら、僕はきっと6Cを押しのけてその椅子に座った」

 

 シックスは張り詰めた表情で言った。

 

「僕が何をしようとしたか、わかるかな。―――ねぇ、君。椅子を譲って、消える君。君と、僕は違う。何をどう言っても、僕は、6Cを…“ぼく”を表から押しやろうとした。誰かを落として自分がリーダーでいる。結局、そう判断する、はずだ」

 

 

 ―――私は、その凍りつこうとしている瞳を見つめた。

 

 どう言葉を並べても、彼から責任を奪い取ることはできないのだ、と悟った。彼の抱える重みを分けてもらうことが、私にはできない。

 軽くできないなら、どうするかを考えた。

 

 緑色に染まった疲れた体で、それでも背を伸ばして立とうとする相手を見る。

 

 

 

 そうではないと、言いたいと、思った。

 

 

 

「自分の居場所を守ろうとして、どうして責められるの。他人のために犠牲になれと、どうして誰が言えるの」

 

 目を逸らさず続ける。

 

「怖くて当たり前だよ。逃げようとして当然だ。回避できる方法があったなら、飛びついたとして頷けるでしょう」

 

 それでいい、そうしてほしいと考えたあの時の自分を、私は恥じた。相手の心を取り違えて、より痛みをもたらしただろう自分を省みる。

 

 違う選択をした彼を見つめた。

 

「―――しなかったね、貴方は。ねぇ、シックス。あの分かれ道で逃げたらよかった。目と耳とその鼻を塞いで」

 

 言葉を紡ぐ。

 

「厭わしかっただろう力さえ用いて、貴方の全てを使って助けたね。―――他の誰にもできなかったよ。他の誰にも、全員を引き連れてここまで来られなかった」

 

 握った手に力を込める。伝われ、と願う。

 

「1つの椅子に座りながら、でもそうじゃない方が良いと言ったよね。救える数に限りがあると知りつつ、あぶれた誰かが居る状況を貴方は嫌がって……それでも必要なら決定できる。―――そうして、それで終わりにしなかった」

 

 届け、と祈る。

 

「貴方をそういうリーダーだと信じる」

 

 緑に濡れた両手を握った。こんなに小さいのに、背負わされたものを思う。

 無邪気にかくれんぼで遊ぶこどもが、迫られた決断を思った。

 

 

 彼の中の否定を押し返す。―――貴方は容易な犠牲を選んだのではない。

 

 

「貴方は助けたんだよ」

 

 

 傷を塞げ。

 木っ端でいいから、添え木になれないか。

 

 燃え消える星屑だって、明かりに違いない。

 

 

 

「助けようと、足掻いたんだよ」

 

 

 

 折れないでくれ。

 

 

 

 見つめる先で、シックスは口を開きかけた。

 しかし、そこからは何の音も紡がれず、やがてきつく引き結ばれる。

 

 赤い手は、震えた。

 

 

 ……体ごと倒れ込むように飛び込んできた彼の背へ、腕を回す。

 耳元で、小さな声がした。

 

 

 

「……さよなら、したくないな……」

 

 

「……うん。……ごめんね」

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 いくらも経ったのか。あるいはほんの少しの時間だったのか。

 

 

 

 

「―――今後のための話を、しなくちゃね」

 

 

 未だ少し湿った声で、シックスは言った。でも力強い声だった。

 

「君は隠れなきゃ。こんなことが起きたから、新しいCaseがひとりいなくなったって誰も探さないよ」

「貴方は。他のみんなは?一緒にどこかへ、」

「できない。―――君はもうその体から消える。そのあと起きられるかわからない“ぼく”に、この事態を上手く説明して、責任を逃れる力があると、君は信じられる?」

「―――」

「誰かが残ってやらなくちゃ。と、いうか僕の役割だと思うよ。全員が隠れちゃったら流石に研究員も必死になって探すだろうし、見つかりやすくなる」

 

 …、…。

 

「大丈夫、大人にはうまく言う。…君は知らないかもだけど、僕は得意なんだ。そういうの」

 

 残された、自分の時間を思う。あの後から音沙汰のない“ぼく”を思う…。

 

「…シックス、”ぼく”ね、貴方がリーダーだって言っていた。自分が凄腕エージェントになって隠れて活躍するなら、シックスと一緒にいられるねって」

「…そっか。…そうかぁ。あぁそういう感じだな、君たち」

 

 シックスは一度丸くした目をやがて緩め、息を吐いて小さく笑った。

 

「フォースも僕も急ぎすぎたよね」

 

 ……、……。彼らがそうせざるを得なかった状況を思い、唇をかむ。

 自身を含めた大事なものを守るために必死な誰かを、どうして責められるだろう。

 そのくせ大した慰めも思い浮かばず、無力が口惜しくて思わず自分の手に力が入る。

 

 私に何ができるだろう。

 

 

「…、…ねぇ、あのねシックス。聞いてほしい。私、いつか、貴方を手伝える」

 

 

 何かができないかと口を開く。

 

 

「私は人間で、未来に貴方と会うんだ」

 

 懸命に言葉を絞る。

 

「多分待たせるけど、でも、本当だ。約束する、信じてほしい」

 

 シックスの瞳は、はたりと一度瞬く。

 一拍。そしてごく小さく、彼は笑った。

 

「―――はは、は」

 

 緩やかに目尻は下がった。

 

「…それは、いいね。…うん…うん。気長に待とうかな」

 

 冗談だと思われたのかもしれなかった。目の前の無理をした笑いが無性に苦しい。

 どうにかできないかと私は唸った。

 …、…ひとりで背負ってしまうだろう相手の顔を見る。呻く。せめて、

 

「―――シックス、元海賊王にちょっとした話をしているから、彼を頼るのがいいかもしれない」

「待って。誰?」

「元海賊王だよ。え?」

「え?」

 

 我々は互いを不思議なものを見る目で見た。

 

 ちょっとした沈黙が、流れる……。

 

 

「……えっと、オーシャンエリアで舟を使ったごっこ遊びの、海賊王役だったブロブ。それから、かくれんぼで最後まで見つからなかったハイダー」

「…ああ、彼か。そんな呼び名を…まぁともかくわかったよ」

「仲間だから、ちゃんと周りのひとのこと頼ってね」

「君…君のその周囲への信頼は何なんだろうな…。2日のうちに信じすぎじゃない?」

「信じていいひとは分かる。結構外さない」

「へぇ…そう…」

 

 それから、それから、ええと。

 

「―――シックス。シリンジョン…フォースを、あの外科医を頼って」

「ええアイツ…?」

 

 嫌がられてる!ドクター!しっかり!

 

 シックスは首を傾げる。

 

「融通きかないし口悪いし嫌に合理的な奴だけど…」

「融通きかないし口悪いし嫌に合理的で多分倫理観ちょっとズレてそうだけど、貴方たちCaseの敵じゃないからほんとに」

「そこまで言ってないよ」

「今の段階だともしかしたら更に人の心に配慮しなさそうだし自分に他者への情があるとか死ぬ勢いで否定するだろうけど、きっと貴方の味方だから。言葉選びとか出し方が上手くないだけで貴方のこと明らかに贔屓にしてるから」

 

「……そうか……?信憑性が微妙だな…。君、なんというか僕が思いもしない視点で突拍子もない考え方をするからな…」

「…そんなふうに思われてたんだ…。いや待ってほしい。ちゃんと観察と考察と展望があるやつだよこれ」

「そう…?大体にしてさっきの君が囮になる作戦だってそうだ、僕が追いかけなかったらどうしてたの」

「……。追いつかれる前提で時間稼ぎをして…食いつかれたら嘔吐反射を狙えないかと…」

「うん、そういうやつのことだよ」

 

 シックスのサプライズ作戦だって大概…まぁうん…。

 

「…さっきの駄目だったかな…一寸法師作戦…」

「イッスン…何?」

「…ええと。…アニサキス戦法って言って伝わる…?」

「わかったけど嫌な作戦名だな」

 

 伝わるのか…。フォースが親みたいなもんだから知識は医学とか研究寄りなのかな…。

 微妙な気持ちで沈黙する私を、シックスがなぜか半眼で見やる。

 はぁ、と息を吐いて、やがて彼は首を振った。

 

「信憑性は置いといて。…でもまぁ必要なところではフォースをうまいこと頼るのが良いかな。他の大人への説明だって、彼の力を使ったほうがスムーズに行くかもだしね」

 

 舌をちょっと出している彼は、やがておどけたように微笑んだ。

 

 

「大丈夫、うまくやる。僕ならできる。―――さぁ君。かくれんぼの時間だ」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 クローゼット。暗闇の中。

 

 私は目をつぶって内側に声をかける。

 

 ―――ねぇ、“ぼく”。

 

 返事はない。内側からしていた彼の音を、あの瞬間から、私はもう拾えなかった。

 感じるのは、唯そこに居るという微かな気配だけだ。

 

 その考えや心は、もう、分からなかった。

 

 私がこの過去に来て行ったことは、相手の存在や経験や可能性を、踏みつけて奪いとってしまうことだったのかもしれない。搾取と消費が、これの結末かもしれない。

 

 …ねぇ、と私はもう一度、相手へ呼びかけた。言わねばならないと思った。

 

 ―――ねぇ“ぼく”。ごめんね。好き勝手に動いて消えるだろう私を許さないでいい。私が入り込まずに貴方自身で居られたのなら、どうだったんだろうと幾らも考える。

 本当に、申し訳ないけれど。私、貴方と彼が、仲良くできたらと思ったんだ。席を取り合う運命だっただろう貴方たちが、手を取って先へ進む夢を思ったんだ。

 貴方が長く表に出られない未来がこの先決まっていたとしても。それが、少しでも優しいものであればと願ったんだ。

 

 うまく、いかなかった。

 

 

 ごめん、ね。

 

 

 

 ―――ふっと、意識が遠くなる。

 

 しかしそれは、押さえつけられるような隔たりではなくて、微睡むような、柔らかい眠気だ。

 

 それに合わせるように……ぶわりと内側から、今まで聞こえなかった声が返ってくる。

 

 

 それは、まるで、ぎゅうと縮こめていた体をようやく伸ばすような。注意深く抑えていた口から、両の手を離すような。

 

 

 青の奔流が押し寄せる。

 

 

*―――いいえ。

 “わたし”。やさしいきみ。言わなきゃならないのは、ぼくのほう。

 

 本当はぼく、もっと早く、ちゃんと起きられた。でも、やめちゃったんだ。

 きみと話を続けたくて、目が覚めても起き切らないまま、ちょっとでも長く一緒にいようとした。

 

 ぼくが引き留めたから、きみ、怖くてもずっと抑えて、さいごまで一緒にいてくれたね。

 

 ねぇ、きみ。はるかかなた、空から落ちてきたお星さま。

 

 きみの教えてくれたことを忘れないから、ぼくはきっと、大丈夫。

 一緒に遊んでくれてありがとう(Thank you for playing with me!)

 だからね、いいたいのは、さよならじゃなくて。

 

 

 またね、レイ!

 

 

 

 隙間を埋めようとする青色が押し寄せる。私はゆっくりと、意識が、薄れていくのを感じ―――

 

 

 

 そうして、世界は一度、静かに閉じられた。

 

 

 

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⇒Next stage :8 

Continue *




P1:その時その場は全力のつもりだが、もっといい道があったかもしれない。変わらぬ結末には辿り着いた。自分のことへの認識は薄い。
特殊な体のおかげでやり方は分かった。…何度もやれば足が付く。知覚されれば抑えられる。
 やるならここぞの数度だけ。


青い声の主:全力で何かと拮抗していたので浮上する暇がなかった。一応全部見聞きしていて”それは違うよ!””そうだよ!”とその都度主張していたが最終的に何とかなりそうだったので安堵している。消耗したためこの後は一旦しばらく眠る様子。

赤い男(幼体):リーダーたる自負はあるがまだ子どもでもある。やろうとしたこと自体は親とよく似ている。このあと紆余曲折あって自認が変わったり記憶がごちゃついたりする。

丸呑みされていた者たち(幼体):無事救出された。散々シェイクされて、もれなく全員気絶している。

山羊頭の大蛇:大痛手を受けた今回の犠牲者。その掘削の能力は地下施設建設に重用されている。最も割りを食った。
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