・準伝説
オーガポンというポケモンは第9世代スカーレット/バイオレットが初登場のポケモンだ。
カナデの場合、後の第13世代のリメイク作品で登場したのが知る切っ掛けでもある。
基本的な情報として『くさ』単タイプのポケモン。そしていわゆる準伝説枠……プレイヤー側の定義のため人毎に定義がやや曖昧な部分もあるが、つまりゲーム本編で入手は可能だが、基本的に一匹しか手に入らない特別な個体を指す名称であり、当然ながらオーガポンも作中では1体しかゲットすることはできない。
『おめん』ポケモンの名前通り、『仮面』を被るような習性があるらしい。
ただ先日見たオーガポンの仮面は木々の影が暗くはっきりと見えたわけではないのだが、ゲームのそれとは異なっていたように思える。
そもそもゲーム本編で出てきたオーガポンは4つの仮面を持っていたわけだが、あれは過去に村のお面職人に作ってもらったという描写があるのでオーガポンが元々持っていたものでは無いのだろう。
あと強さだ。
ゲームにおいても同じ準伝説枠の強力なポケモンを3,4体ほど単体で倒すほどの強さがあるので、同じ個体でないにして種族的なポテンシャルは相当なものがあると思っていい。
それに掲示板においても発見した準伝説ポケモンに返り討ちにあったという報告ばかりあがっているので、恐らく準伝説枠のポケモンは基本的に初期状態からレベルが高いのだと予想できる。
つまるところ。
「普通にバトルしてゲットってのは無理では?」
相性だけで言えばストライクは相当に相性が良いはずなのだが、現状だと純粋に力負けするだろう。
せめて進化してくれれば……。
「って、9世代縛りついてるみたいだからドラマンティまで進化しないんだよね~」
第14世代にて追加されたストライクの進化先はこの世界においては存在しない。
掲示板でも追加された世界と追加されていない世界があるらしいので多分将来的にも来ないだろう。
一時期はシングル対戦の環境トップに躍り出るくらい強かったのだが、追加されていないのでは仕方ない。
「せめて専用技だけでも覚えてくれれば……無理かな」
進化先と共に追加された専用技は取り合えずこれ全物理アタッカーにくれない? と言ってしまいたくなるレベルの強さであり、環境に『てんねん』持ちやシングルでは受け以外ではあまり採用することの無かった『まもる』持ちが増えた原因ともなるくらいには反則くさい技だった。
「まあ無い物ねだりしても仕方ないか……」
今あるものだけで手を尽くすしかない。
というわけでバトルしてどうにかする、という方向性は無しだろう、勝てる気がしない。
でもどうにかしてゲットしたい。何せ初めての準伝説ポケモンだ。
「それに可愛いしね」
オーガポンはいかついお面をしているが、お面の下はキラキラした目をした可愛らしい感じの素顔だ。
それにゲームの様子を見る限りでも人と暮らすのに不自由が無さそうなのもポイントが高い。
ゲットするということは面倒を見るということなので、例えばカイオーガとか今捕まえたとしてどこに出すの? みたいな話になってしまう。その点オーガポンは全長1.2メートルと非常に小柄、なおかつ人型であり特に問題となるような習性も無い。
「戦力としても十分、一緒に暮らすのにも不自由ない、さらに言えばちゃんと意思疎通もできるしあと可愛い……最強では?」
というわけでどうにかしてゲットしたい、そんな最初の結論に戻る。
「やっぱりバトル抜きとなると友情ゲットしかないかな~?」
友情ゲット。要するに対象のポケモンと仲良くなって自分から仲間になることを望んでもらうようにする方法。アニポケだとこのパターン割と多い。
というかマンキーとケロマツもこのパターンに当てはまる。バトルして無理矢理ゲットしたのなんてストライクくらいだし。
実際のところ、バトルを通してゲットすることでポケモンはトレーナーをある程度認める部分はある。
だがストライクのように自ら望んで来たわけでも無い以上、しこりが残るのもまた事実だ。一緒に過ごす内にそのしこりを溶かしていくのもまたトレーナーの役割と言えばそうだが、最初からしこりなくゲットすることができる友情ゲットはその手間を大きく減らしてくれる。
ただ一緒に行きたいと望んでくれるようになるまで交流し続け、いつ仲間になってくれるのかも、そもそもなってくれるのかも分からない相手に根気強く交友を深めていく必要があるのは大きな手間なのは間違いない。
「そもそも会ってくれるかな?」
ゲームだと割と人と会うのを避けていたような描写があったが……はて、あれは過去が原因なのかそれとも性格的なものなのか。
一応本来は好奇心旺盛でいたずら好きな性格らしいが、それも種族的なものかそれとも個人の資質的なものなのか。
「まあ、行ってみるしかないか」
そう結論を出して、スマホ片手に家を出た。
・エイヒツ山の奥地へ
『カナメイ』と『スイナミ』の境目あたりに『エイヒツ山』はあり街からは非常に近い。
ただしそれは昨日行った展望台までの話で、そこから先は人の手が入っていない。
つまり自然の色深く残る山を歩く必要がある。
そんなわけで昨日の調査も考慮に入れながら準備は整えてさっさと展望台広場までやってくる。
広場、というだけあってある程度山が均されている。逆に言えば広場を囲う木柵の範囲を出ればそこから一気に傾斜となる。
「確か昨日は……」
山頂でオーガポンの姿を見たはずだ。
昨日と同じように山頂を観察してみるが、特に何かいる様子もない。
まあそう簡単には見つからないよな、と思いながらも少しがっかりする。
「アニメとかゲームならもう一回会える流れだろ~って話だけどさあ」
残念ながらここは現実だから仕方ない。いや、本当に現実なのか偶に怪しくなる時があるが。
確かイズミはあの山頂はすぐ向こう側が傾斜になっていると言っていた。
山頂自体はそれほど広くも無いと、というかあそこに生えている密集した木々、あれでいっぱいいっぱいなのだとすればあそこに住居があるとは思えない。
ゲームのオーガポンの住居を考えれば洞窟が妥当か?
洞窟でなくとも何がしか屋根のある場所だろうか。
「取り合えず目安にして探してみようか」
ただこの展望台から先は野生ポケモンの領域だ。
この辺りに危険なポケモンがいるという話は聞いていないし、昨日の調査でも大丈夫だろうという結論にはなったが、そもそも過日のストライクのように野生のポケモンというのは割と自分の縄張りに入って来る存在に容赦がないのでそういう意味では普通に危険はある。
「ゲコガシラ、頼んだよ」
「ゲコ!」
なのでボールからゲコガシラを出して斥候を任せることにする。
マンキーはなんかそういうの不得意そうだし、ストライクは喧嘩っ早いので見つけ次第襲いかかりそうな気がする。
消去法ではあるが、隠密もできて視野が広く、そして慎重にことを運べるゲコガシラはこういうことに適任だった……まあそもそも忍者だし。
そうして野生の領域へと踏み出し、進んでいく。
まあまだ午前中で日が昇っているので比較的安全と言える。
夜はちょっと危ない……『ゴースト』タイプがあちこちに出てきたり、獰猛なポケモンは夜の方が多い。
まあそれらも結局縄張りを守って縄張りの外に出てくることはほぼ無いので祭りの時などは基本問題にならないのだが。
それでも途中途中群れで食べ物を探すポチエナの群れやいびきをかきながら眠るリングマなど見つかると厄介なことになりそうなポケモンはいたし、木の陰からぬっとキテルグマが出て来た時など心臓が止まるかと思った。*1
まあそれでもゲコガシラが事前に察知し、こちらに警告してくれるのでそれらに絡まれること無くどうにか進むことができたのだが。
「さすがに疲れて来たなあ」
昨日よりも歩いている時間は短いはずなのだが、歩いている場所が舗装されていない自然そのままの地形なので単純なアップダウンもそうだが何よりも足場の悪さが足の疲労を加速させている。
夏場だけあって草木が覆い茂っており、足元にも雑草が広がっている。歩幅を上げなければ足に引っかかるし、時々草の下から虫が飛び出してきたり、足元が湿っていて土が滑ったりと一々余計な体力を使わされてしまっていた。
家の近く……マンキーたちのいた山は木々は多く並んでいたが雑草に関してはそこまででは無かったので正直そこまで歩きづらいとは思わなかったのだが、こちらはより緑が深いというか足元まで雑草が生え放題になっていた。
「少し休憩したいところだけど」
こんな野生の領域のど真ん中で悠長に休憩できるわけが無いのでどこか良いところを探す必要がある。
「ゲコガシラ……近くにさ~、どこか休めそうなところないかな?」
「ゲコ」
探してくる、と一鳴きしてすっとゲコガシラが姿を消す。
ああいう忍者ムーブを特に教えた覚えも無いのだが、種族的本能で会得できるものなのだろうか?
まあそれはさておき、からからに乾いた喉を潤すためにスマホから飲料を出して一息に流し込む。
「ふ~ちょっと回復だね~」
スマホで時間を見やればすでに一時間以上は歩き回っている。
だがオーガポンの姿はおろか痕跡すら見当たらない。
山頂を目印としてその周辺を歩いていたと思うのだが、この辺りにはいないのだろうか?
「帰る時のことを考えると正午には探索終了かなあ~」
多分直線で帰れば20分もかからないとは思うのだが、それも何ごとも無ければ、とつくし体力的なものを考えればどうしても休憩しながらになるだろうから一先ずそこを目安にしておくべきだろう。
そうこうしている内にゲコガシラが戻って来る。
「早かったね、近くにあったの?」
「ゲコ」
一つ頷いて先導するように歩きだすその背を追って山道を歩くと5分もしない内に山の中にぽっかりと空いた洞窟があった。
いや洞窟と呼ぶにはかなり小さいような気もするが、それでも1.5メートルくらいの高さはあるし、横幅もそれなりにあるので座って休む分には十分だった。
「というかここオーガポンいたりとか~?」
なんて思わず呟いたが、まあそう都合よくいるとも思えないので期待しないでおく。
それはともかくようやく休めそうな場所にたどり着いたのでまずは腰を下ろす。
それから電池式のライトを取り出すとゲコガシラに渡す。
「奥の確認お願いできる~?」
「ゲコ」
任された、とゲコガシラが洞窟……というより洞の奥へと向かうのを見やりながら携帯食を咥えて外の様子を見る。
まあさすがに平和な様子だ。正直一応見てはいるがここからいきなりポケモンが襲いかかってくるとは思っていない。
というか狂暴なポケモンの住処にしてはさすがに狭すぎる。
正直ここに住めるのは相当に小柄なポケモンだけだ、多分オーガポンすらも狭いと感じるレベルだろう。
ゲコガシラに頼んで見てもらったが奥に何もいないと思っている。
いや、
「ゲコ」
すっと、いつの間にか奥に向かっていたゲコガシラが戻ってきていた。
「おかえり、ってどうしたの~?」
渡したライトを返してくれるのは良いのだが少し戸惑っている様子だった。
首を傾げるとゲコガシラが洞の奥を指さすのでその仕草におや? となる。
「もしかして奥に何かいた?」
「ゲコ」
うんうん、と頷くゲコガシラの返答に驚くがただ様子からして緊急性は無さそうだった。
そういうわけで少し気になったのでゲコガシラと一緒に洞の奥へ奥へと向かう。
正直どんどん天井が低くなっていくので最終的には中腰で進む必要があったが、洞自体はそれほど奥行きが無かったのか10メートルほど進むと目当てのポケモンがいた。
「あーなるほど」
天井の高さは1メートルちょっと。確かオーガポンが1.2メートルだったはずなので同じくらいか或いはそれより低いくらい。さすがにここまで天井が低い上に真っ暗な場所で生息できるポケモンは相当に限られるが……。
「ぐが、ぐがあ」
恐らく山に生えている木の根っこなのだろうものにかみついたまま多分寝ているのだろう全く動く気配の無いそのポケモンを見て妙に納得した。
「モノズかあ」
そぼうポケモンモノズは洞窟などに生息するポケモンなのだが、全長は確か0,8メートルとかなり小さい。その上でモノズは進化するまでは目が見えないという特徴がある。恐らくこの場所を不便と思っていても目が見えないからどこかに行くという判断もできないのだとしてもおかしくはない。
「モノズ、かあ」
それはさておき、モノズはゲームの対人戦でもちょくちょく見かけるポケモンの進化前であり、強いか強くないかで言えば滅茶苦茶強い。というか現実的に考えるとゲーム時代より強いのではないかという疑惑があるくらい強い。
ただしギャラドスと同じく図鑑説明にはっきりと狂暴と書かれるくらいには進化先が暴力的だ。
「進化して……ちゃんと言う事聞くのかな」
そもそもモノズというポケモンは2回進化する癖に1回目の進化がレベル50とかなり遅い。
2回目の進化もレベル64と歴代でも最遅クラスの進化速度だ。
なのに最終進化しないといまいち強くない。そもそも目が見えないポケモンでどうやってバトルするんだという話ではある。
「うーん」
欲しいか、欲しくないか。
単純な戦力的な意味でいうなら欲しい。こいつの最終進化先は今の手持ちのどれともタイプが被らない、いや正確にはゲコガシラは被るかもしれないが特性を考えれば実質ノーカンとして。
耐性も悪くない、特性も便利だし発展性がある、能力は通常ポケモンの中でもトップクラス。
なので欲しいのは欲しい。
ただ同時に育成難易度が全ポケモン中最高クラスなのも事実だ。
コイキングとどっちかマシかと言われればまだモノズのほうがややマシかもしれないが。
そして進化した時……それを考えて。
「……ま、いいか」
即座に決めて、ボールを投げる。
投げられたボールは無防備に眠るモノズへと当たり、そのままモノズが赤い光となってボールの中へと吸い込まれていく。
かたり、かたり、かたり、と3度ボールが揺れて。
かちん、という音がして、捕獲が完了した。
明日からまた連勤なので日曜か月曜くらいの更新になると思います。
どうでもいい補足説明
カナデくんの世界で第14世代にて追加されたストライクの進化先の話。
ストライク
→マイカマキラ/ダンスライサ(別の世界線での名前):『つるぎのまい』を20回以上使用してレベルアップする。
→ドラマンティ/ダイナマント(別の世界線での名前):りゅうのうろこを持たせて通信進化
種 族:ドラマンティ
タイプ:むし/ドラゴン
特性①:じしんかじょう
特性②:おんみつ(相手の技の追加効果を受けなくなる)
夢特性:きしゅうせん(相手より先に攻撃した時、技の威力を1.5倍にする)
HP110(+40)
攻撃120(+10)
防御 90(+10)
特攻 55(+0)
特防 97(+17)
素早128(+23)
合計:600
マイカマキラから覚える専用技
名称:きりきりまい
タイプ:むし
威力:40
命中:100
効果:優先度+2 場に出てから1度だけ使える。2ターンの間『きりきりまい』状態になる。
状態変化:きりきりまい
毎ターン開始時に『こうげき』が上がる。毎ターン終了時に相手に最大HPの1/16分の『むし』タイプ相性のダメージを与える。
食べ残し持ち『おんみつ』耐久型、球持ち『きしゅうせん』速攻型、食べ残し/球/きのみ/チョッキ持ち『じしんかじょう』全抜き型など色々な型があった。
初手「きりきりまい」を「まもる」されると技が不発するので環境に「まもる」が持ちが増えたり、「てんねん」持ちが増えたりした。
あとドラマンティの技幅が結構広く、基本的に当時ドラマンティより足の遅くて弱点突かれるポケモンは『きしゅうせん』で上から狩られるだけなので真面目に環境を作った使用率トップクラスのポケモンの一体だった(という設定