その中にあって新しいタイプがいくつか追加された、みたいな設定です。
ただしこの作品に次代の~とか偽ってオリジナルポケモンは出る予定ないです。
いや、ちょっと出そうかなって思ったけど、現状は特に無いです。
その辺の設定は後々おとくなけいじばん、で語る予定。
この世界に転生して5日目。
ようやく全ての準備を整ったと判断し、朝早くから山を登り、マンキーとケロマツと合流する。
今日で決着をつける、という意気込みを見せるマンキーたちに頷き、さらに山を登る。
ストライクの居場所は昨日のうちに確認しておいた、あのストライクは一度ナワバリを奪うとだいたい一晩くらいはそこで休んで次の日に動き出すらしいので今の時間ならまだ昨日と同じ場所にいるはずだ。
「ケロマツ、作戦は覚えてるね?」
「ケロ!」
「マンキーは……まあ覚えきれないだろうし、ボクちんが細かく指示するから、ケロマツは事前の指示通りに、ね?」
「ケロ」
まだ朝早くと思っていたが思っていたより早起きだったらしいストライクはちょうど山の木々に生えているきのみを食べている様子だった。
つまりあれを終えたらまた移動し始めるのだろう、タイミング的には想定よりもギリギリだったかもしれないがとにかく見つけた以上は問題無い。
ケロマツには昨日の時点で詳細な作戦を教え、どういうことをして欲しいかすでに指示をしている。
野生のポケモンとは思えないほどに頭がキレるので後は任せて大丈夫だろう。
「じゃあ、作戦開始だ」
その言葉を皮切りにケロマツが音も無く動き出す。草木の影にその小さな体が消えていくのを確認しながら後は任せた、と内心で呟き、こちらも動き出す。
隠れることも無くストライクに向かって真っすぐ歩くので当然ながら向こうもすぐに気付く。
まだ距離はあるが、即座に臨戦態勢に入るストライクにこちらもボールを構えて。
「キミの望んだ戦いだ、マンキー」
―――投げる。
「さあ、勝ちに行くよ」
* * *
マンキーはケロマツと違い、群れに馴染めなかったわけではない。
というより野生のポケモンとは思えないほどの善性を宿していたマンキーは群れの仲間たちとも仲良くやれていた。
じゃあどうしてマンキーが群れを離れることになったのかと言えば、それは善性が過ぎたからだ。
善性……或いは人が良いと言えば聞こえは良いが、それも過ぎれば滅私奉公だ。
元より野生というのは過酷な環境で、一見穏やかに見える山もその過酷さから逃れることはできない。
だから野生のポケモンの群れというのは大切な場面で常に『大を生かすために小を捨てる』選択肢を取る。
今の山ではストライクが山の上のほうで多くのポケモンの群れを圧倒しているが、ふらりと入って来た余所者が山を荒らすこと自体は過去に何度もあった。
その度に群れは大きな選択を迫られ、必要だからと犠牲を強いて来た。
それがマンキーにとっては許せなかった、許せなかったから反発し、そしてその過ぎた善性から群れから切り捨てられた。
マンキーという種族は怒りを留めることができない、マンキー自身もまた善なる気質から怒りを抱くこと自体は少なかったがそれでも一度怒れば一瞬で振り切れる。
捨てられた怒りで暴れ回り、けれど怒りは長続きせずやがて萎むと……孤独になった自分だけが残った。
行く当ても無く山を彷徨いながら少しずつ山の下へ下へと落ちていき。
そうしてケロマツと出会った。
* * *
対面する2体のポケモンが互いを『にらみつける』。
ただの視線ではない、技としてのそれは互いの体を委縮させ『ぼうぎょ』を下げる意味を持つ。
それはどれだけ強さの差があろうと、技として成立している以上は強制的だ。
そんな風に明らかに格下の未進化ポケモンに一瞬でも萎縮させられたストライクが怒り、両の鎌を振り上げて威嚇する。
まだ両者の間にはそれなりの距離がある。
故にマンキーに指示を出し、『きあいだめ』をさせる。
マンキーが両の拳を握り、全身に意気を込めれば体から湯気のようにオーラが立ち昇る。
マンキーの体を強化しているだろうことは分かるだろうが、それ以上にそんな大きな隙を野生のポケモンが逃すはずがない。
舐めやがって、とストライクが体を前傾にし、その足に力を込め……ようとした瞬間に。
全く予想外の場所から飛来した泡にマンキーを注視していたストライクは完全に虚をつかれ、その両目にケロマツの泡……ケロムースが張り付き、視界を封じる。
泡自体に重さなど無いに等しいが、前傾姿勢からいきなり両目に泡を張り付けられたストライクが顔を上げ、その勢いにのけぞって数歩、たたらを踏む。
その足元、特性の『へんげんじざい』を流用した技『ほごしょく』によって体色を変化させ完全に擬態していたケロマツがまた移動を始めると、音だけを聞いたストライクが咄嗟にその方向に鎌を振り回すが当然見えてもいない攻撃にケロマツが当たるはずも無く、その小さな体を捉えることも無く鎌は空転する。
そしてその時にはすでに『きあいだめ』を終えたマンキーが走り出しており。
タッタッタ、と小さな体でストライクの足元目掛け疾走し、視界が塞がれて平衡感覚が崩れた上に鎌を空転させて態勢も崩れてしまったストライクのその足に向けて拳を振り上げて……。
―――『うちおとす』!
ストライクの足の細い部分を狙って拳を打ち下ろす。
ゲームには無い概念かもしれないが、ポケモンが生物である以上生物的な弱点というのは必ず存在する。
4倍弱点となる『いわ』技で足の一番細い部位を撃たれたストライクが絶叫し後ろへと倒れる。
恐らくゲームでの『きゅうしょにあたった』というのはこういうことなのかもしれない、と思いながらもマンキーに即座に離れるように指示を出す。
マンキーが指示通りに退くと直後にストライクが鎌を振り回してけん制する。
倒れこんでいて低い位置での攻撃となっていたのでマンキーがいれば当たっていただろう。
初手は通せたがまだ油断はできない。だが足に大きなダメージを負わせたのは事実だ。
物理的な衝撃でなく技による……『タイプエネルギー』によるダメージなので折れたりはしないだろうが部位に大きなダメージを受けると動きが鈍るのはすでにこの三日の間に試した。
これを即応でどうにかしようとするならば『きずぐすり』などを使うしかない、もしくは『じこさいせい』などの技でも回復できるかもしれないがストライクにそれができないことは分かっている。
これでストライクの片足を十全に使えなくした。これは大きい。
と言っても、ストライクには羽がある。
滅多に飛ばないと言われるくらいには足を使った移動が多かろうが羽があって飛べる以上機動力を削ぎ切ったとは言えない。
だから。
ストライクが痛む足に顔を歪ませながら起き上がった瞬間にその後方にある木に隠れていたケロマツがその羽を狙って『みずでっぽう』を放つ。
背後からの急襲にストライクが反応し振り向き鎌を振るうが『みずでっぽう』の点の攻撃をとらえ切れずにその顔面に水が弾ける。
顔面で弾けた水で視界を塞いでいた泡が流れるが、どうせ手でこすれば落ちる程度のものだ、すでに役割は十分果たした。それに顔にいきなり水がかかってストライクが怯む瞬間を狙ってすでにマンキーを動かしている。
その羽の付け根を狙って『うちおとす』攻撃。
再び受けた背後からの強襲にストライクが押し出されたたらを踏む。
だがダメージを受けた片足には力が入らず、踏ん張りが足りないまま勢いでストライクが崩れ落ちる。
これだけダメージを与えれば十分だろう、と判断し即座に空のモンスターボールを投げこむ。
投げられたボールがストライクに当たり、その体を光と化して吸い込んでいく。
かたり、とボールが揺れる。
かたり、とボールが揺れて。
かたり、とボールが揺れて。
そうして。
―――
* * *
上手くストライクをやり込め、『ひんし』まで追い込んだとして、じゃあその後どうするのか、という問題があった。
どうにかしてストライクを排除しない限り、この問題は消えることが無い。
これに関してはマンキーやケロマツたちに聞いても困惑した様子だった。
ゲームだった頃には絶対に無い思想ではあるが、ポケモンハンターなど一部の職は最終手段として『ポケモンの殺害』を行うこともあるらしいが、マンキー曰くいくら野生環境と言えどそこまでやることは基本無いらしい。
じゃあ負けたストライクが負けを納得して大人しくしてくれるのか、という疑問だがはてそれができるならそもそも暴れてないだろう。
じゃあ山を追いだせば良いのか、と考えてみたがそもそも他所からやってきたポケモンなのだ、他所に追い出したところでまたやってこられたらオタチごっこ*1にしかならない。
となると捕獲してしかるべき機関*2に渡せば良いというカナデの提案にマンキーたちも了承したのでストライクを捕獲することを前提としていた。
「これで捕獲できると思ったんだけどねえ」
ボールから解き放たれ、怒り心頭のストライク。
すでに視界を覆っていた泡も消え去りはしている。だが足と羽に大きなダメージを受けてしまいもうしばらくは上手く動かない様子。さらに二度の弱点技に体がふらついている。
なのに絶対に負けてたまるものか、という意気を感じる。
「いいなあ、こいつ」
そう思ってしまえば、弧を描くようにつり上がる自身の口元を抑えることなどできそうになかった。
すでに『ひんし』直前……ゲームでいうならばHPが赤く染まっているラインだろう。
故にこのままボールを投げ続ければ捕獲もできる、と思うのだが。
「ニシシ……マンキー」
笑いながらマンキーを呼べばボクちんの意思に答えるかのようにマンキーが拳を握り。
「最後くらい、殴り合おうか」
言葉と共にマンキーがストライクへ向けて走り出す。
動きが鈍いストライクだが、けれど戦意は衰えることも無く鎌を構える。
「まだだぞ……まだ、簡単に行くなよ、まだ……」
互いの距離2メートルほどを保ちながらマンキーを制止させる。
そのままストライクの周囲をグルグルと回らせながら少しずつ少しずつ距離を詰めさせていく。
両者の体格を見ればリーチの差は明らかだ、同じように手を伸ばせばストライクはマンキーの射手の2倍以上の距離からでも届く。
だがストライクは足も羽も今は動かない。つまり立ち止まって攻撃するしかない。
だがマンキーは手も足も十全に動く。故に動きで振り回しながら一撃を掻い潜って大きな一発を当てる。これが重要になる。
ストライクの背後でケロマツがやるか? と視線で問うてくるが首を振って否定する。
すでに決着はついている。ストライクはすでに負けている。距離を空けてボールを投げ続ければそれで終わりだ。
けれどそれでは
マンキーもすでに火が点いた。ストライクの戦意に当てられたか、意思をぶつけあい、向き合おうとしている。
「ああ、楽しいなあ」
ここまでの戦いは一方的にストライクをハメただけだった。
だがここからは互いの意地をぶつけあうだけのバトル。
だからこそ。
「ここからが本当のポケモンバトルだ!」
互いを『にらみつける』両者に笑みが抑えきれない。
互いの体が委縮し、その『ぼうぎょ』はすでに限界まで落ちている。
つまり先に一発届かせたほうが勝ちの戦い。
じりじりと縮まっていく両者の間合い、マンキーの一挙手一投足に緊張が走る。
そうして。
「ラァァァァア!!!」
動いたのはまさかのストライクのほうだった。
痛めたはずの足を無理矢理動かし、痛むはずの羽を無理矢理に羽ばたかせ。
『でんこうせっか』がごときスピードでマンキーへとにじり寄り。
両の鎌で『れんぞくぎり』を放つ。
「『みだれひっかき』!」
『れんぞくぎり』はゲームでは毎ターン1発ずつしか撃てない技だったが現実では両の鎌を光らせて遮二無二に振りまくる連続攻撃だ。
威力なら『うちおとす』が強いかもしれないが、それをやると一発撃ち落としたところで数に押されて負けるだけなので同じく手数で押せる『みだれひっかき』を指示する。
二発、三発と攻撃を相殺していくマンキーにストライクが焦りを見せる。
恐らく無理して動かした足と羽が痛むのだろう。攻撃のために体を揺らすたびに苦痛の表情を見せる、それでも戦意は一切衰えない、いや、寧ろ向上しているようにも思える。
だが意思よりも先に体が限界を見せる。
ストライクの振り下ろした鎌についに支えきれなくなった足から力が抜け、がくんと体を揺らす。
一瞬、けれど明確な隙。
「『うちおとす』!」
飛び上がったマンキーが拳を振り上げる。
後はこの拳を振り下ろせばもうストライクも限界だろう。
そんな一撃が迫る中で。
「ラァァァァァイ!」
ストライクが絶叫しながら無理矢理に足を捻り、体を振り、まだ攻撃していなかったほうの鎌を振り上げ、全てを絞りつくさんばかりの乾坤一擲の一撃を放つ。
「そのまま行けー!!!」
だが関係無い、と叫ぶ。
そのまま、という自身の指示を信じたマンキーが躊躇なく拳を振り下ろす。
その拳を打ち砕き、その体にまで刃を届かせんとストライクの出せる全てをのせた一撃がマンキーの一撃と交差して―――。
―――ストライクの一撃が弾かれ、そのままマンキーの拳がストライクの頬を殴り飛ばした。
* * *
ポケモンの世界においてやる気とか根性とかそういう精神的要素とは重要ではあるが、ボクちんは基本的にそういう精神論的なものを重要視しない。今回のことに関して当然ながら種も仕掛けもある。
最初からそうだが、戦意旺盛なストライクはマンキーから受けた『にらみつける』にお返しと言わんばかりに同じように『にらみつける』わけだが、これで互いの『ぼうぎょ』能力が激減していく。
これはお互い様なわけだが、同じように能力が下がっても一つだけ違いがある。
つまりマンキーの特性は『まけんき』であるということだ。
これに関しては偶然だったが、これを知っていたからこそ今回のようなやり方をしたのだ。
多分あのストライクはこちらが『にらみつける』なら同じように『にらみつける』だろうと。
勿論距離が近いのにそんなことをしていては絶好の隙とばかりに殴りかかって来るだろうから、ある程度距離を置いた上で、だが。
最初の邂逅で互いを『にらみつける』ことであの時点でマンキーの『まけんき』によって『こうげき』が2倍になっていた。
だからこそ4倍弱点とは言え、まだ未進化のマンキーの攻撃であそこまで痛手になるわけだ。
と言っても『うちおとす』を2発撃ってまだ耐えられるとは思ってもいなかったが。
ゲーム時代の計算でいうならば『うちおとす』の威力は50。
これにタイプ相性で4倍して200。
さらに『こうげき』が2段階上昇で2倍、『きあいだめ』で急所に入れれば1.5倍。
それを2回。
もし急所に入っていなくてもゲーム時代の計算で言えば威力800くらいは叩き込んでいるはずなのにそれでも耐えているのだ。
しかも『ぼうぎょ』を1段階下げた状態で、だ。
ゲーム時代ならば意味が分からない、というべきなのだろうが、大よその種は分かっている。
現実においてポケモンが生物だというならば足へのダメージで『生命活動』に危機を覚えることは無いのだろう。
つまりポケモンを『ひんし』に追い込むならば胴体や頭などの『活動不能』へと追い込むための一撃が必要になってくるのだ。
さらに羽への攻撃も咄嗟の判断だったのか見えないながらも体を揺らして着弾点を僅かにずらしていた。
羽へのダメージはしっかり通っていたので跳べなくはなっていたが、胴体へのダメージはそれで軽減されていたのだろう。
今後ポケモンバトルをするならばこういう術理の要素も仕込んでいく必要があるのだろう。直撃を受けることと直撃を僅かでも避けることのダメージの総量というのは想像以上に大きいだろうから。
そして最後の攻防だが、先も言ったがマンキーの特性は『まけんき』だ。
つまり互いが互いを『にらみつける』あの段階でマンキーの『こうげき』能力は最大まで上昇しているのだ。
その上であの『れんぞくぎり』には数での対抗が必要だったので『みだれひっかき』を選択したが、最後の一撃はストライクの全身全霊の一発。つまり数ではなく威力を必要としたものだ。
故にこちらも最大の一撃で返せばいくらストライクのほうがレベルが高かろうが『こうげき』種族値が高かろうがあの状況においてはマンキーの足元にも及ばない。
そしてアニポケでもあったが、技にもタイプ相性というものがある。
そう『むし』技の『れんぞくぎり』より『いわ』技の『うちおとす』のほうがタイプ相性で優位になるのだ。
故にストライクの攻撃を弾き飛ばし、マンキーの一撃が決まったというわけだ。
限界を振り絞った一撃を弾かれ、カウンターで入った一撃にストライクが崩れ落ちる。
それを見て即座にもう一度モンスターボールを投げればストライクがボールへと吸い込まれ。
かたり、と揺れる。
かたち、と揺れる。
かたち、と揺れて。
かちん、という音と共に捕獲が完了した。
野生のポケモン戦はいってみれば格ゲーのAI相手に戦ってるようなものなので、パターンさえ読めればけっこうハメ殺ししやすかったりします。
ただしこれはまだレベルが低い=経験値が足りてない……つまりAIレベルが低いためであり、実機のようなレベル60,70の野生ポケモンとか出てきたら格ゲーの最高難易度クラスのAIになります。
80超えたら……? 格ゲー全一探してきてくれレベル。90とかいったらもうTASレベル。100とか出たらもうチートです(