キュウリと陰謀   作:布団は吹っ飛ぶのか

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ほのぼのとは何なのだろうか?


待ちわびた我がほのぼの時代
アカ


「此度の戦勝、ともに分かち合いましょうぞ。」

飯綱丸が私の家を訪ねてきて、挨拶云々を行った後に行ったセリフはこれだ。

ちなみにこれを額面上受け入れると少しまずい。

何がまずいかというと妖怪の山が吸血鬼異変を解決したという認識を河童が受け入れるということなのだ。

それは、賢者様のメリット的にも、河童のメリット的にもよろしくないと考えられる。

「ええ、八雲や博麗、天狗に河童と様々な勢力が協力して成しえた結果ですからね。」

 

恐らくこう答えるのがベストだと信じる。

 

「いえいえ、八雲どもが何をやったかと思えば、ただ勝てた戦を引き分けにしただけ。

それに対し、われらは敵の軍の半分を撃破しましたぞ。これらの戦功も妖怪の山の強さを示しているというもの。」

強かだ。そう感じた。

彼女は外交部門の者だ。鞍馬などを始めとする軍事部門の天狗ではなく、外交を専門に行うものだ。

今回の戦争は天狗の外交的敗北であることも当然わかっているのだろう。

 

そして、今回の戦いでは八雲紫が最も大きな利益を得たことも間違いない。

私が思う限りだと吸血鬼も何かしらの形で利益を得たのだろう。

制御しにくい、あるいは制御できない味方を私たちにぶつける程度の利益であの吸血鬼は

動くとは思えなかった。

少なくともあの赤くて深い目からは366年しか生きてはいないと感じ取ることは不可能だった。

 

うーん、そう考えてみたら何が彼女にとっての利益となったのだろうか。

そもそも、彼女の目的というのを私は理解していない。だから行動についても深く分析することが

出来ないのだ。

あ、そうそう話を戻してと。

 

どう回答すべきか。まず、肯定することはあまり良くない結果を生むだろう。

ここは…

 

「いえいえ、われらが倒したのはあの良く分からないノスf…弱小吸血鬼のみです。」

事実を使って強引に押し通る。

「それに、敵の魔法使いも八雲を苦しめた門番も敵の首班も打ち取れておりませぬ。」

「さらにいうなれば、あの時既に河童はかなり損耗していました。とてもではありませんが

追撃など出来る状態になく、途中講和は正直渡りに船でした。」

 

「そうですか…残念です。」

その一言が天狗の失敗の全てを物語っていた。

 

「まあ、過ぎたことは水に流しましょう。我等天狗と河童は私は、いえ私達は共存できると確信

しています。」

 

「取り敢えず一杯いかがですかな?」

そうきたか。

ここでその一杯すら拒絶するということは天狗との決別を意味する。

その結末は、幻想郷のパワーバランスを完全に破壊する行為であると同時に河童という種族の

衰退を意味する。

その為、私には断るなどという選択肢は存在していなかった。

 

「もちろん。」

 

その一言は、天狗と河童のパワーバランスを八雲の理想に近づけた。

 

 

それから長い長い月日がたった。例の大戦のあと、さらに結界が張られ、幻想郷は安定した。

外の世界では元号が3つとか4つ程変わったらしい。

長かった。

 

「にとりー新聞見たー?」

 

「すまん、外の世界の電池のイオン化傾向をいじってて見てない。」

 

「別にMgとCuで良くない?」

 

「何を言っているんだ。性能が高いものはロマンだろ。」

 

「わかる。」

 

「で、新聞だよね。」

殆どの天狗の新聞はあてにならない。

しかし、一部の新聞は作者のポリシーによって信頼性が担保されている。

その中でも知り合いということもあり、私も文文。新聞を購読している。

アイツも大概変わり者で、真実を追求している記者だ。ある程度は信用できる。

まあ、その話は置いておいて、

 

「えーっと、今日の日付は…

 

 

文文。新聞

第百九季 二の霜月

X月2Y日

スペルカードルールの提案

非常に興味深い提案が博麗の巫女より行われた。

それは、弾幕による決闘という形式を取り、妖怪と人間のパラーバランスを安定させ、

人間にも妖怪にもメリットが存在するようにするという案である。

細かい内容は、裏面に掲載するのでその点は各自確認してほしい。

要約すると、妖怪による異変発生と、人間の解決を簡単にし、実力主義を否定したうえで、

美しさを競い合うという物である。

しかし、これにより本当に幻想郷に秩序をもたらすことが可能なのだろうか?

そもそもルールは執行されるのに力を必要とする。

しかし、妖怪の賢者も賛同の意思を示している。

皆さんも、今一度美しさに目を向けてみてはいかがだろうか?

 

はっはっは^ーはーっはっは、ゴホッゴホッ。」

 

「大丈夫、にとり?」

 

「大丈夫さ。いやー、この発想は無かったなと。」

 

「どういう事?」

 

「おそらくこれで八雲紫達の理念であった美しい幻想郷というのが達成されたのだと

思うと面白い手段すぎてね。」

 

「いや、だから説明を。」

 

「殺し合いからお遊びに変わったのさ。異変の解決方法が。これが意味することは

平和な時代が来るということさ、捕食者と人間が共存する。」

 

「にしてはにとりは不満そうだよね。」

 

おっと、顔に出ていたか。

「このシステムが成立すると人間は恐怖を忘れる可能性がある。そして人間とは

なれる生き物だ。妖怪が人間に危害を与えないと誤認すれば妖怪全体が衰退する可能性がある。」

 

「うーん、純粋に人里に低級妖怪をまとめて定期的に送り込めば解決するんじゃないの?

低級妖怪でこれほどの力があるならば…といった感じで恐怖を生産すれば良いんじゃないの?」

 

「まあ、それでもいいとは思うんだけど。人間が平和ボケしないかどうかが一番不安なんだよねー。」

 

 

そんな中でも日々は続いていく。

 

 

 

 

「にとりー、あの霧について新聞が出てたよー。」

 

「YOKOSE! 」

 

「HIDOI!」

 

文文。新聞

第百九季 八の葉月

T月3Y日

赤い霧の正体!

最近、幻想郷に赤い霧がかかっていた。その正体が判明した。

それは

吸血鬼が出していたものだったのだ。主成分については作成者のパチュリー氏に

聞いて欲しい。

そしてその異変は、博麗の巫女によってスペルカードルールを適用し解決された模様だ。

それについて、妖怪専門家の霧雨魔理沙氏によると、

「良い図書館を見つけたぜ、自由に本を持って行って良いらしいからな、皆も魔法以外の本で

あれば持って行って良いと思うぜ。魔法関係の本の窃盗は私が許さないがな。」

とのことである。

今一度防犯対策に余念を入れたいものである。

 

「へー、スペルカードルールが正式に成功されたんだ。」

 

「そうらしいよ。」

 

広告欄

至急、煉瓦を求む。(紅魔館提供)

 

「これは商売チャンスかもしれないねえ。」

 

「にとりさん顔がゲスくなってますよ。」

 

「ちょっと商談行ってくるわ。」

 

「ちょっと、このCuSO4を処分してから…いっちゃった。」

 

 

にとりは走っていた。同業他社に先を越される前に吸血鬼に煉瓦を売りつける為に。

そして、慢性的な赤字を少しでもマトモにするために。

そしてたどり着いた、赤の宮殿に。

 

「ごめんくださーい。」

 

「何用でしょうか?」

 

おや、前回の戦争で敵対したばかりだから警戒されてる。

 

「新聞で、煉瓦を必要としていると耳にしたのでその商談にと。」

 

「なるほど、分かりました。」

 

そういうと、何故か分からないが紅魔館の一室に目を飛ばすと、こちらにまた目を向けて、

 

「そのような用であれば、レミリア様も歓迎なさるでしょう。どうぞお入りください。」

 

その瞬間、漫画のコマに突然書き込まれたかのようにメイドが門番の後ろに立った。

 

「私が案内します。」

 

「どうも。」

いやー緊張する。初めての紅魔館だ。それにしても華美だな。異国風でこの辺りではなかなか見ない

作りだが、素人でもわかるくらいには美しい作りとなっている。

 

「椅子におかけになってお待ちください。」

 

さて、ここで何時間私が待たされるかで相手が私をどのように考えているのかがわかる。

ちなみに今までの最長記録は飯綱丸の、10時間である。

10時間たって平然とした様子で部屋に入ってきたときは殺意が漏れ出てしまった。

 

3分間ほど待って、レミリアが入ってきた。

ふむ、10分ほどは待たされると思っていたが、吸血鬼も河童と手を組んで天狗を牽制しようとしているということなのだろうか?

 

「今回の話は、煉瓦の商談だと認識しているけど、相違ないわね?」

 

「勿論。」

 

「はっきり言いましょう。弾幕ごっこの余波で壊れた施設は多数あり、煉瓦はかなりの量が不足している。

あるだけ買いましょう。」

 

ええ、そんなに足りないの…。

 

「わ、分かりました。色の指定などはありますか…?」

 

レミリアが拍手を二回すると、テーブルの上に煉瓦が生成された。いや、置かれた。

 

「この色に合わせて作ってほしいわ。」

あ、やっぱり赤いんだ。

 

「わかりました。こちらが契約書になります。」

外の世界ではA1とかB1とかいう規格があるらしいのでC1という規格の紙を作ってみたのだ。

いやー1;√2という発想は無かった。妖怪の賢者様に泣きついたら教えてくれたけど本当にありがたいわ。

 

「悪魔との契約は信頼できないのかしら?」

 

「え、いえそんなことは…。」

 

「ジョークよ、ジョーク。」

 

そういいながらレミリアは契約書に一通り目を通して問題点が無いことを確認すると、サインをした。

これで契約が成立した。

 

「ありがとうございます。今ある在庫分はすぐに色を塗り替えて送りますので。」

 

「そうしてくれるとありがたいわ。」

疲れた顔でレミリアは言った。

 

にとりはご機嫌であった。ご機嫌すぎて尻子機の改良版をカエルで試してしまうほどにはご機嫌であった。

 

「にとりー売れたの?」

にやりと笑う。

 

「あるだけ持って来いってさ。これが契約書。」

ポイッと投げる。いやー大漁大漁対流圏上層。

 

「でも、これかなり利益が薄くない?安くしすぎじゃない?」

 

痛いところを突いてくるじゃないか。

「いや、大丈夫さ。今回私が売ったのは商品でなくて信用だ。これはすごいぞ。次の商品を売るのにも使えるし、有事の際も使える。」

 

「やっぱりゲスい考えじゃない。」

 

ゲスいというなゲスいと。

 

「取り敢えず手持ちの煉瓦は色を変えて送りつけるとして、簡易的なレンガ工場を建てるぞ。!」

 

「それはいいけど2mol/LのCuSO4があるんだけどそれは…。」

 

「川に流したら水龍様に怒られるだろうしな…とりあえず廃液タンクに突っ込んどいて。」

 

「大丈夫かな…魚入れたら3秒後には骨になるんだけど。」

 

「大丈夫大丈夫。」

自分でもすごいゲス顔な気はするが気にするな。

 

「取り敢えずキュウリでも食べながら図案を考えよう。」

 

「そうしますか。」




今回にとりと話している相方の河童は、東方茨歌仙3巻で霊夢に詰められていたあの黒い髪をしたおかっぱ天狗を想定しています。

今回の話ではアボガドロ定数は6.02×10^23とします。
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