笠から覗く青空に   作:ひいろの鳥

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サッガ先生に感化された剣契組織員を見かけたので初投稿です。
この幕にてマッチに勝ったら私のバトぺを貰えます(無礼メン並感)。

それとお気に入り数が100を超えて感動で涙が出そうになりました。セルマァ…
それってもう逃げられないってことでは?セルマァ…(恐怖)(失踪の予定は今のところないです)

追記:知らない間にルーキー5位にはいってたらしいです。どうして...?


対峙

「結構怪我してますね...無理はしないでくださいね?」

 

「申し訳ない。」

 

校舎に戻ると、眼鏡の少女から治療を受けた。

完全に治ったわけではないが、応急処置としては完璧だろう。腕の立つ救護役がいるのは頼もしい。

 

「...では改めて、私たちはアビドス対策委員会です。」

 

その後、改めて全員の自己紹介が始まった。

セリカ、アヤネ、ノノミ、シロコ、ホシノ...そして先生と私の自己紹介に移った。

 

”知ってると思うけど、シャーレから来た先生だよ。よろしくね~”

 

「先生の護衛のキムサッガッだ。呼び方は好きにしてもらって構わない。改めて、よろしく頼む。」

 

一礼をして立っていると、セリカが口を開いた。

 

「...さっきから気になってたけど、席に座らないの?まだ空いてる席はあるけど...」

 

「座っていたら有事の時に対応が遅れるからな。また先ほどと同じことが起きないとも限らない。」

 

”徹底してるなあ...”

 

先生の呆れたような声と共に、半ば強制的に座らされた。

何かあった時が怖いが...仕方無いので盾になるように動ける位置に腰を落ち着けることにした。

 

その後は、対策委員会について説明してもらった。

曰く、「アビドスを蘇らせるために有志の作った組織」だという。構成員は彼女ら5人のみで、他は別の場所に出て行ってしまったらしい。

学校にいる生徒の数が少ないせいで、先ほどのような破落戸に目をつけられており、物資が底をつきかけてきたところに丁度先生が現れた...なるほど、先生が彷徨っていたのはこの為だったのか。

 

「...それでも、消耗戦が続くことには変わりありません。いつまでこんなことを続けなきゃいけないんでしょうか...」

 

アヤネがふと、そう溢した。

確かに、物資の追加補給が来たところで、根元を断たなければ物資はまた減る一方だろう。

つまり、今為すべきことは...

 

「そこでおじさん考えたんだけどね、今のこのタイミングでこっちから襲撃すればいいんじゃないかな~。

 今のタイミングが奴らも消耗してるだろうし、こっちには物資もあるしさ~。」

 

どうやら私と同じ考えの人間はもう一人いたようだ。

アヤネは驚愕しているが、他の3人はやる気に満ちている。

 

「せ、先生としてはどうお考えですか...?」

 

”うん、ホシノの言う通り、今仕掛けちゃおっか。”

 

その先生の一言で完全に方針が定まり、襲撃に向かうことになった。

 


 

アヤネの指示に従い、市街地を駆け抜ける。

薄くだが、硝煙の匂いがする。目的地に順調に近づけている証拠だ。

 

「半径15km圏内に、敵のシグナルを多数検知!

 ですが相手にも気づかれたでしょうし、ここからは実力行使です!!」

 

その声を合図として、両者が銃を構えて一斉に衝突する。

 

「先生は下がっていろ。」

 

”キムさんは?”

 

「私の任務はあくまで護衛だ。貴女から離れる訳にはいかない。」

 

”ありがとう、私も指揮に集中できるね。”

 

 

 

 

 

 

戦況は此方が圧倒的に有利だ。

先生の指揮能力は卓越しており、受ける攻撃を最低限に、与える攻撃を最大限にするという理想論を現実のものとしている。

まるで真上から戦況を覗き込んで判断を下しているようだ。

私も奇襲や流れ弾がいつ飛んでくるかを常に警戒していたが、何事もなく無事に鎮圧に成功した。

 

雑談しながら帰路に就く背中を見ていると、威圧感を感じた。

これは...警戒心か。

そしてその気配の主は小鳥遊ホシノ、少女たちの中で最年長の彼女だ。

何か変な動きをした瞬間撃つ、そう背中で警告されているようだ。

先ほどの戦闘の時も思ったが、彼女はこの中で格段に強い。その上、私や先生に対する警戒心ー私に向けられたそれはもはや敵意と言っても差し支えない、その何かが常に感じ取れる。

私は出自からして得体が知れないから警戒されるのは尤もだが、それ以上の何かがある気がしてならなかった。

どちらにせよ敵には回したくないな、とこの世界に来て初めてそう思えた。

 


 

学校に戻ると、アヤネの歓迎を受けながら休憩ムードに入っていった。

 

「火急の案件が終わったし、ようやく他の問題に集中できますね〜☆」

 

「うんうん、これで借金問題にも全力で取り掛かれるわね!」

 

瞬間、場が凍りつく。

借金という単語が出てしまったからだろう。

 

“借金を抱えているの?”

 

先生はすぐに聞いたが、セリカは部外者には話さないといって飛び出してしまった。

言い出したのは彼女なのだが、代わりにホシノが説明することになった。

 

 

 

 

9億円の借金…この世界の貨幣価値を詳しく知らないからどうにも言えないが、眼だとすると相当な額になるな。

先生は驚きすぎて文字通り椅子から転げ落ちてしまったし、9億という額があまりにも莫大すぎるのはこちらでも変わらないらしい。

他に生徒がいないのも、その借金が原因らしい。

そして借金の原因は数十年前から発生し続けている砂嵐だという。

当時のこの学校に金を融資する銀行は悪徳なものしかなく、そこに借りてしまったせいで悪化の一途を辿って行った…額が莫大になってしまったのもそのせいのようだ。

 

「セリカが神経質になってたのも、まともに話を聞いてくれる大人が居なかったから。」

 

「ま、先生は気にしなくてもいいよ〜。私たちで何とかするつもりだったし…。」

 

そう言った彼女たちからは、諦めの感情が見え隠れしていた。

当たり前だろう。学生の身で莫大な借金の返済など、利子分だけでも返せたら十分だと言える。

聞いていた私も、これに干渉する気は……と言うよりも、干渉できる気がしなかった。

勿論先生も諦めるだろう、そう思っていたのだが……

 

“私は皆を見捨てないよ。”

 

私を含めて全員が信じられないような目で先生を見た。

 

「そ、それって………。」

 

「先生も変わり者だね〜。まあ、よろしく頼むよー。」

 

「ん、希望が見えてくるかも知れない。」

 

彼女達は皆喜ばしい反応をしている。一人…小鳥遊ホシノを除いて。

彼女だけは、不信感を発していた。

当たり前だろう。私だって怪しむ。

だが……私に出会った時の先生の態度、あれを信用するなら、きっとこの返答は本心から出ているのだろう。

 

「……本当にいいのか?」

 

“生徒を見捨てる先生なんていないからね。”

 

その答えを聞いて、少し呆れた気持ちになった。

こんな人間、都市では食い物にされて来たせいで絶滅危惧種どころか絶滅してしまっている。

それほどまでにこの世界が透き通っていることの証だろうか。

何にせよ、この純朴さを持ち合わせている先生が羨ましく思えた。

 

“…キムさんこそ、付き合わなくていいからね?”

 

「何度も言うが、私の任務は護衛だ。手伝えることがあるかは分からんが…少なくとも貴女からは離れんよ。」

 

“ふふっ、ありがとうね。”

 

その後は軽く談笑をして解散する運びになった。

肝心の先生は

 

“仕事が終わらなさすぎて持って来ちゃったし……今日はここに泊まろうかな…。“

 

と言っていたので、私もここから離れられなくなった。

 

”あ、そうだキムさん。これを…”

 

そう言いながら、先生は紙製の扇を手渡して来た。

 

「…これは?」

 

“仕事中に私が寝てたらそれで叩き起こして…。”

 

流石に護衛対象を叩こうとは思えないが…声色が結構切実だったので、渋々承諾してしまった。

 


 

時刻は12時を回った。窓から見える望月が、寝静まった街を照っている。

先生は………カフェイン飲料を飲み続けて何とか起きていたが、仕事が終わるや否や3秒後には寝てしまっていた。

結局使わなかった扇は近くにあったゴミ箱に捨てた。

先生は対策委員会の部屋に運び、側にあったソファに寝かせて、そこら辺に落ちていた毛布を掛けた。

にしても夕方ごろから始めて夜中に漸く終わるとは…先生というものは相当大変なようだ。

何故この状態でこの学校の問題まで背負えるのか、いよいよ人間かどうかを若干疑ってしまう。

 

 

 

恐らく来ない奇襲を警戒しながら月を眺めて数刻、その時はいきなりやって来た。

 

気配。

誰かがこの建物内に侵入して来た。

相手は………一人か。

咄嗟に先生を隠し、自らも身を潜める。

 

息を殺し、相手が近づくのを待つ。この間合いなら、例えいきなり撃たれても反応出来る。

対策委員会の部屋に入って来たのは……ホシノだった。

敵ではないことを確認し、警戒を解こうと思ったが…辺りを覆う緊張感がそれを許さない。

恐らくホシノも、私の存在に気づいている。

どちらかが武器を取った瞬間、どちらかが…或いはどちらも、血を流す事になる。

 

「…そこに居るんでしょ?」

 

先に口を開いたのはホシノだった。

 

「…やはり気づいていたか。」

 

私が姿を現すと、目の前の少女は敵意と殺意を露わにしながら、直ぐさま銃を構えた。

それに合わせて、私も腰の得物に手を掛ける。

一触即発の空気が僅か30歩余りの距離の間に流れる中、その目から漸く敵意の正体を悟った。

 

ーきっと、彼女は()()()()()




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