「…ああ、お前は成し遂げたんだな?…Stranger」
男は、上方から聞こえた大きな爆発音から少ししてボロボロと指先から崩れ始めた己の体を見て笑みを浮かべる
彼を化物たらしめていた教団の長が男の言う余所者によって討たれれば、こうなる結末は至極当然であった
「そしてその結果は…まあ、これも仕方がねぇ結末だろう」
如何に己が余所者に害意が殆ど無かろうと、如何に理性が残っていようとも、既にこの身体はガナードのそれであり寄生体を用いて生み出された人外の一人なのだ
寄生体の支配者たる教祖が敗れれば、その下で指示に従って活動していた配下のプラーガも崩壊し、連鎖的に滅びていく
ただ、それに己が含まれていただけのくだらない…仕方がない結末なのである
男は崩れていく身体をそれでも何とか動かし、爆破炎上する教団の施設から海が見える断崖へとふらつきながらも歩を進める
この施設は地下の洞窟から海へと水が流れていたと男は記憶していた
きっと彼と彼女は其処から脱出していくだろう…全ての決着をつけたのだから
「だが、そうだな…此処を後にするんだ…一人くらい見送りがいたっていいか…俺も、客商売だからな…それくらいしても罰はあたらんだろうさ」
もう指先の感覚は無い、大方崩れて灰になったか黒い水になって滴り落ちたかのどちらかだろうが…どうだっていい事だ
這いずるかの様にゆっくりと、男は海を見渡せる崖の上まで何とかやって来た…その直後
「…ヒッヒッヒ!あぁ…お前さんどんなアクション映画よりもイカす脱出をするじゃあないか、なあStranger」
爆発を背に、ウォーターバイクで脱出していく男女を見届ける
二人共見る限り大きな怪我もなさそうで男は安堵した
化物にされ、化物になってから後…他に手段が無いからだとしても、必要だったからとしても男は彼等彼女等と取引をして話をしている間はガナードではなく只の武器商人であれた
故に、男が口にした言葉は…
「…ありがとうよStranger…お前等との取引も、お前等との楽しい話も…化物な俺にはどうにも価値の付けられねぇありふれた日常という最高の一品だった…お前さん達のこれからが…せめてこんなバケモンになる未来じゃねえ事を祈るぜ」
感謝と、祈りであった
直後、一際大きな爆発と爆炎が彼の身体を包む
焼かれて朽ちていく男が最後に見上げたのは、太陽と陽の光を浴びて空に浮かぶ雲が美しい空であった
それが、己の最期だった…いや、最期だった筈であった
そうして目を閉じ、深い深い闇の中へと意識が落ち沈んでいったのは覚えている
だが…
(…此処は、何処だ?…)
男が目を覚まして見上げた視界に写ったのは青い空ではなく、灰色のコンクリートらしき天井であった
二度三度と瞬きをし、視界を慣らしてからゆっくりと身体を起こす…崩れて落ちた筈の手足も元通りに…と思ったが、座る形になった自分の目線が自分の身体を見た際にとんでもない間違いが発生している事に気付いた
「………はぁ?…あー、あー?……オイオイ嘘だろ」
化物にされた記憶は男には確かにあった
しかし、何がどうなっているのかくたばったと思ったら自分は今長い白髪で見えている手先とある筈の無い胸の膨らみから恐らく女にされているらしい
自分の声すらも男の物ではなくなってしまっているが、服装と服の下の商売道具はそのままらしい...尤も、今の現状では細かく確認している場合ではない
自分はあの時あの島で確かにくたばった筈だ
島を去る二人を見送り、爆炎に飲まれてそれっきり記憶が途絶えている
...だが、形と結果はどうあれこうして自分はまた生きている
これが自分だけならまだマシだが、あの教祖や取り巻き連中にサラザールのクソガキまで同じ様に生きながらえているなら最悪だ、またあの悲劇が繰り返されるなんざ御免だ
身体が女に作り替えられているが、あの寄生虫がまた仕込まれている可能性はあるし兎に角この建物から出て先ずは医者に診て貰わねぇと...と彼、改め彼女は建物から外に出る
「さて、今は何時、頃だ......???」
今の大まかな時間を確認する為に見上げた昼の空には、彼女の生前の記憶には全く無い奇妙な輪っかが数多空に浮かんでいた
◇◇◇
『ブラックマーケット』
幾千の学園がそれぞれ運営する自治区と、キヴォトス全体の行政を担う連邦生徒会が管理する地域『D.U.』を除いて人口が集まっている地域の一つであるが、ここの治安は他の自治区と比べるべくもない程に悪い
統治するような治安維持組織も法律も存在せず、裏社会を構成する者達が実質的な支配者な場所となっているこの地域においては力こそが全てであり、裏稼業を生業とする者や各地域の学園の不良達、そして表では取引出来ないような商品すら扱うブローカー等が集まってくるのは至極当然の流れであった
其処に何時からは定かではないが、1つの小さな店が開店した
万屋『アルカ』
食料品や医薬品の販売から始まり、日用雑貨から化粧品の取り扱い…果ては武器弾薬に仕事の仲介まで引き受けるという文字通りのよろずやである
そんな金さえ用意していけば欲しい物を売ってくれる店という学園内での噂を聞いた一人の少女が、怖ず怖ずとしながら店の扉を開けて店内へと入る
「おやおや、ようこそ可愛いお客さん?」
「ひゃうっ!?」
店内に入って早速声を掛けられると思ってはいなかった少女、阿慈谷ヒフミは肩をビクリと跳ね上げる程驚きながら声の方向に向き直る
其処に居たのは真っ黒なロングパーカーをフードまでしっかりと着込み、其処から覗く猫耳の上に八角形の角から輪の中央に向けて八本の線が入ったヘイローを持つ同性店員であった
「ニッヒッヒ、驚かせちまったかなお嬢さん?そりゃ失礼…さて、改めてだ。アルカへようこそ…何か御入り用かな?」
「は、はい!あ…あの、ペロロ様のグッズを探していまして…この店の噂を聞いて、あるんじゃないかと」
「あぁペロロか、中々あのキャラのグッズは希少価値が高いよなぁ…安心しなトリニティのお嬢さん、うちでも多少取り扱いはしているぜ。このまま店の奥の突き当りを左に曲がった先に纏めて配置しているから、手にとって見てくれ。気に入ったのがあれば俺の所まで持って来てくれればお会計するよ」
「ありがとうございます!早速探してみますね!」
「ああ、ごゆっくり……あー、もしもし。便利屋68?万屋の店主のアルカだけど今さ手、空いてる?…あ、空いてる。ちょおっと頼まれてくれねぇかなぁ?駄賃は弾むぜ?」
「まいどあり...いやしかしまさか全部買い占めるなんざ思わなかったぜ」
「いやそうは言いますが店主さん!このペロロ様はたい焼き屋さんとのコラボ商品で1000体限定のレアものでしたし此方は老舗文房具屋さんの限定品ですよ!?まさかお目にかかれるとは思って無くてですね、それと此方の品も」
「近い近い、商品を手に詰め寄らんでくれ熱意はよぉく分かったからよ...しかしそんだけの品物持って無事に帰れそうか?お前さん見る限りトリニティの生徒さんだろ?ここはブラックマーケットで治安も良くねぇし所属する学園がお嬢様学園のトリニティときたもんだ。金目当ての不良が襲って来るだろうに両手が塞がる程の手荷物ぶら下げて逃げれるのか?んん?」
「うっ、そ、それは...」
「ま、それだけ危険を冒して来てくれたお客様だ。気持ちのいい買い占めっぷりもあるから今後も贔屓にして貰いてぇのもあるからよ、初回に免じて護衛を頼んどいたぜ?俺の馴染みの連中でな、信頼してるんだ...トリニティの自治区の傍まで送って貰える様に伝えてあるから安心しな」
「ほ、本当ですか?其処までして貰えるなんて...あ、お、お金もうあんまり無いんですが」
「なぁに、サービスだからお代なんて貰えねぇよ。また来てくれりゃあそれでいいぜ?...あー、名前なんてぇんだい?」
「あ、私阿慈谷ヒフミです。もうお分かりみたいですけどトリニティ総合学園の生徒です...あの、店主さんのお名前は?」
「俺か?俺はな...
萬屋アルマ、しがない商人だが宜しく頼むぜ?
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萬屋アルマ(武器商人)
バイオRE4の世界からどういう訳かブルーアーカイブの世界に来てしまった出身が透き通っていない系の主人公
尚現在の服装はほぼ4のままだが、フード部分に耳が付いておりそこに何処かの元警官が付けていた様な猫耳があるのと口元を隠さなくなったという変化がある
中身は白髪の腰まである長髪にガナード時代同様の金眼をした出るとこ出た美少女となっている(尚身長は全生徒トップクラスの180cm)
何故自分が女になっているのか、どうして此処に居るのかは店を持った現時点でも謎のまま
使用する武器とかは(一応)決めてはいるがそれは後日に
阿慈谷ヒフミ
今後の御贔屓さんその1
ペロロ様の為ならブラックマーケットにも来るアグレッシブ系普通の生徒(普通...?)
最初に遭遇したキヴォトス人ではないが、彼女とも関りを持ったが故にアビドス編では諸々に巻き込まれる事になる
便利屋68
今回は名前だけの登場
アルマが関わり何やかんやあって信頼している朋友達の会社
某警官とは別ベクトルで気に入っており、度々依頼を回す相手である
次回があれば彼女達との関わりについて書く予定
ライブセレクション「カイザーPMC基地正門」
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『このまま対策委員会と進む』表ルート
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『後続部隊を待つ』暗躍(裏)ルート