日常的に騒動が起きるゲヘナ学園であるが、その内容を学園関係という枠組みで振り分ければその騒動の原因や要因は主に6つに分ける事が出来る
万魔殿議長にして本学園の生徒会長たる羽沼マコト・第1校舎をねぐらにしているゲヘナ学園の不良生徒達・温泉開発部・美食研究会・便利屋68...そして給食部の牛牧ジュリの作成した『パンちゃん』の暴走である
そして悲しい事にこの6つの問題に関しては大抵の場合風紀委員長の空崎ヒナが出張らないと手が付けられない場合が多々あり、彼女が来るまでの足止めや後始末等が大半の一般委員が行う活動内容になってしまっている
今回のパンちゃんの暴走に関してもつい先程ゲヘナ学園の郊外にて活動を開始した温泉開発部と、いつも通りに給食部の愛清フウカを連れ去り逃走した美食研究会というゲヘナ恒例の問題児達の鎮圧と捕縛に向かってしまったヒナ委員長や銀鏡イオリ・火宮チナツといった主要メンバーの留守の間に発生した問題だった為、足止めを行っていた風紀委員会第四・第五中隊は既に多数の負傷者を出す有様となっていた
「此方第四中隊!暴走した巨大生物との戦闘により負傷者多数!これ以上の戦闘は...ヒナ委員長の到着はまだですか!?」
『現在温泉開発部の鎮圧と捕縛を終えて其方に急行している最中です、第五中隊と連携し何とかその場に押し留めて下さい!』
「第五中隊も負傷者が多く出ています、救援を早く...ひっ!」
『―――ッ!貴女達、今直ぐ退避を!』
苦戦を余儀なくされ、必死に行政官のアコへと救援要請を発信し続けていた風紀委員達の周りが急に薄暗くなった
何事かと見上げた彼女達の頭上には、間近へと接近してきていたパンちゃんが空へ向けて高く触腕を振り上げ今まさに邪魔者へと振り下ろされようとしていた
これからどうなるかを察した彼女達は思わず顔を青ざめ、悲鳴をあげてしまう...そして、無情にもその剛腕は勢い良く少女達へと振り下ろされた
―――ズズゥン!!
アコの退避命令が出るも、間に合わないと悟ってしまい襲い来るだろう痛みと衝撃を前に思わず目をつぶったまま屈み込んでしまった少女達であったが...地面が揺れたものの何故か痛みも衝撃も襲ってはこなかった
ゆっくりと、彼女達が目を開けると...
「―――レディの扱いがなってねえ辺り、エルヒガンテと同じで知能は低いらしいなぁ...あぁ?」
高い身長の更に頭上で腕を交差させ巨大な触腕の振り下ろし、それを防いだ衝撃で足がアスファルトに少し沈みながらも背筋を伸ばし立ち続けるスーツ服の女性の姿があった
女性は勢いが止まった触腕に対して外套から素早く一丁の銃...『スカルシェイカー』を取り出して右手で掴み、頭上にある触腕に向けて先ずは一発と散弾を至近距離で叩き込む
至近距離で放たれた弾丸の痛みと衝撃とでビクリ、と震えたパンちゃんに構わずそのままスカルシェイカーのレバー部のループに指を入れたまま、銃を一回転させてレバーを動かし装填する。カシャリというリロード音と共に吐き出された空薬莢が地面に落ちて音をたてる最中に、二発目が先程と殆ど同じ個所に叩き込まれて傷を広げていく
再び襲ってきた痛みに、パンちゃんが叫び声をあげて手傷を負った触腕を逃がしもう片方の触腕で今度は薙ぎ払おうとするが
「喧しい、派手に喚くんじゃあねえ!」
―ドゥン!ドゥン!!ドゥン!!!ドゥン!!!!
今度は左手も添えて3発・4発・5発・6発と先程まで無傷だった触腕へとスピンコックによるリロードからの連射が撃ち込まれ、ダメージが増えてきたパンちゃんは怯んだのか女性や風紀委員会からずりずりと後退し距離を開けた
「あ、あの生物が怯んだ...?」
「貴女は、一体」
「俺か?俺は通りすがりのただの武器商人だぜ、ルーキー共。今回は特別に俺が囮を務めながらああいう腕力バカのウスノロの退治の仕方を教えてやる...なぁに、ちぃとばかし古いやり方だがコイツ相手になら通じるだろうよ」
その為にちょいと無線を借りるぜ、と隊長格の生徒が持っていた無線機を拝借したアルマは彼女達の横を通り過ぎてパンちゃんの前へと進みながらスカルシェイカーを一時的に外套へと収納する
そしてお次はこちらの
「さぁ、講義の時間だ...耳の穴かっぽじってよく聞きな、くれぐれも聞き逃すんじゃあねえぞぉ?」
◇◇◇
所々に廃車やバリケードに瓦礫が残されたままになっている高速道路、その上を大急ぎで走り続ける3人の風紀委員...
先程ゲヘナ学園近郊にて最早見慣れきった温泉開発に勤しむ温泉開発部の部長と幹部達を多数の部員達を纏めて捕縛して護送車に押し込んで送り出し、つい数分前には給食部の車両を奪い部長も拉致して逃げていたとの報告があったのに何故かゲヘナ学園の方向へと走って逆走する破目になっていた美食研究会を発見、普段以上に戦意を燃やす彼女達の執念に多少困惑しながらも手加減は無く叩きのめして此方も護送車に乗せる事に成功した空崎ヒナ・銀鏡イオリ・火宮チナツは本日三件目の問題解決へと向かっていた
「アコ、例の給食部の巨大生物の暴走は抑えられているの?」
『―――ええ、不本意ながらですが...』
「不本意ながら、って何だよアコちゃん?」
『巨大生物の鎮圧に向かった第四、第五中隊は現在実質的な半壊状態に陥っていて彼女達だけでアレを抑えきる事が出来て無いから実質的に足止めには失敗しているの!後でやって来た所属不明の生徒が助勢してくれなかったらもう突破されているのも間違いないし他にも色々言いたい事が多いけど実際彼女が加わってからはあの巨大生物の暴走を抑えられているから不本意って意味よ、分かるイオリ!?』
「はぁ!?ちょっと待てよ部外者が勝手にウチの手助けしてるのかよ!?」
「―――もしや、先程美食研究会が口にしていた自称行商人の生徒でしょうか?給食部の車両で移動していたのなら、進路的には重なりますし移動時間から鑑みても彼女達から逃げのびた後にあの巨大生物に鉢合わせていたとしても違和感はないと思いますが」
『概ね間違っていないわ...簡潔に報告をすると、彼女はゲヘナ学園に用があって来たのですがその道中で美食研究会に狙われて逃げ出し、その際に給食部の車両を使って逃げた為に流れでフウカを助ける形になりました。その後あの巨大生物が暴れているのを見つけて手助けが出来ないかと来たとの事です、ヒナ委員長』
「...了解したわ、急ぐわよ二人共」
風紀委員の子達の事も勿論心配であるが、もしもその人物が他校の生徒ならゲヘナの問題に巻き込んだ挙句手を貸してくれた相手に怪我なんてさせようものなら風紀委員会の名折れ...それは不味いと考えたヒナはイオリとチナツを急かして未だに暴れているだろうパンちゃんがいる場所へと走り続け、漸く到着した彼女達が目にしたのは
「いいぞ嬢ちゃん達、高所が取れるんならそうしてガンガン撃ち下ろせ!攻撃してくる触腕は上には届かねぇから粘液飛ばしと陣取ってる建物の耐久性にだけ気を付けてカバー!射線は対象に対して斜め方向から撃てる位置取りになるように、これが基本戦術だ!」
『はっ、はい!』
「―――――ッ!」
周囲にある建物の屋上に陣取りパンちゃんに向けてミニガンやマシンガン・スナイパーライフルといった手持ちの銃で応戦する風紀委員会の生徒達と、パンちゃんの眼前でサブマシンガンらしき銃を撃ちながら注意を引き付ける生徒の姿であった
長身の生徒は建物の上に居る風紀委員が狙われると見るや焼夷手榴弾や強化手榴弾をパンちゃんの足元に投げつけて挑発し、触腕の攻撃や粘液飛ばしに対しては―――
「――おぅるらぁ!そぉらぁ!」
パンちゃんが破壊した道路のコンクリート片や折れた電柱を盾にし、時には壁にした障害物へと回し蹴りを当てて蹴り飛ばし触腕や本体、粘液にぶち当てて動きを封じ相殺するという何とも力技なやり方で解決していた
いくらキヴォトス人にしても蹴りでコンクリートや電柱を吹き飛ばして敵に当てるという芸当をしそうな者は―――居なくは無いだろうが、実際にやるとなると難しいだろうそれをやってのける辺り彼女もまた腕の立つ生徒なのだろう。ただ...
(...何故いちいち障害物を蹴り飛ばす前に指を鳴らしているのかしら?それに蹴り飛ばした後に一々ネクタイを締め直す様な素振りをする必要があるの?)
一部の行動に意図が読めない動きが混ざっているのは理解出来ないし、先程から全くリロードをしている素振りが無いなど怪しい所は多々あるけれど今はアレをどうにかしないといけないから...話を聞くのは後回しね―――
「―――皆お待たせ、良く抑えてくれたわね。後は任せて」
『ヒナ委員長!』
面倒だから、さっさと終わらせよう
「―――皆お待たせ、良く抑えてくれたわね。後は任せて」
『ヒナ委員長!』
「...委員長?アンタがゲヘナの風紀委員長か?」
新たにやって来た風紀委員らしき3人の増援、その中でも一際大きな漆黒の冠の様なヘイローを有した小柄な少女...便利屋68の面々が心底恐れているという空崎ヒナの姿を初めて見るが、見た目こそこんな小柄な嬢ちゃんなのに手持ちである銃がMG42、いやMG3が元か?どっちにしろ全長120㎝程ある機関銃の筈だが軽々そうに扱っている上に走って来る最中も体の軸が全くブレてない辺りにゲヘナ地区最強と言われるだけの風格と実力を感じさせてくれる...うん、これを振り回し撃ちまくりながら迫ってくる俺以上の高耐久フィジカル強者とかアルちゃん達が恐れる実力者だよなぁ
そんなヒナ嬢は俺が隠れていた瓦礫の山の方へと2人の部下を引き連れてやって来て、ふわふわした白髪を僅かにかき上げながら俺を見上げてきた
「空崎ヒナよ、貴女は...」
「萬屋アルマだ、色々あってさっき知り合った愛清フウカ嬢にアレの鎮圧を頼まれてる」
「...あの子達が高所に陣取って攻撃しているのは貴女の指示?」
「おう。これ以上負傷者が増えるとアレを抑え込む人員すら困りそうだったってのと、被害を抑えつつ数の利を生かして掩護して貰おうと思ってあそこに陣取って貰ってるよ」
『不満はありますが、怪我人が多数出て動ける人員が限られている中で彼女の意見や存在はあの巨大生物を足止めしておくには必要でしたので許可を出しました...不満はありますが』
「二度も言うなよ行政官殿、俺だって越権行為とは思っちゃいる。だがあのまま放置しておく訳にもいかない事情があったのは説明した通りだよ」
『それも解っているから不満なのです!』
「あー、さいですか...」
「それに関しては一旦置いておくわ、あの子達に高所を確保させたのも悪く無い判断ね...」
風紀委員の嬢ちゃん達を建物の上に移動させて支援してくれる様に指示を出したのをヒナ嬢が一応認めてくれてホッとしたぜ
しかしまぁ行政官の嬢ちゃんは部外者の俺があれこれ指示出ししたのがご不満らしい...
ともあれ、今はフウカ嬢の頼みを達成する為にヒナ嬢達を手助けさせて貰おうか
「お褒め頂きありがとうよ...ものはついでなんだが、俺もあのデカブツ退治に混ぜて貰っても良いか?」
「貴女も?部外者の貴女が協力する必要は無いけれど...」
「フウカ嬢的にはあれがあのまま暴れたままなのは困るらしいし、俺的にもこの後ゲヘナ学園で用事があるからこのまま俺も手を貸してとっととアレを叩きのめした方が都合がいいんだよ...なぁに、もしそれで怪我しても俺の自己責任だから気にしなさんな」
「.........はぁ、分かったわ。ただ無理はしない様に」
「おう、怪我しない程度にはやるさ」
「―――チナツは下がって負傷者の救護を、私とイオリ達で撃ちまくってさっさと終わらせるわよ。アコは私達の動きに合わせて高所を取ってる子達に指示を出して掩護させて...それで貴女はどうするつもり?」
「ヒナ嬢と...そっちの嬢ちゃんがイオリ嬢か?」
「嬢とか付けなくても良い、銀鏡イオリだ。風紀委員ではスナイパーをやってる」
「イオリね。二人の銃を見る限り、俺がさっきと同じで近距離で注意を引き付けてる間にヒナ嬢とイオリでさっさと倒すのが一番効率的だと思うがどうだい?」
「良いんじゃないか?委員長は?」
「任せるわ...もう一度言うけれど、無理はしない様に」
「あいよ...んじゃ、仕掛けるぜ!」
先ず先んじて俺が瓦礫から飛び出しながら銃を持ち替える...手数の多さや高威力の射撃というのはマシンガンを持ってるヒナ嬢に任せられるし、イオリ嬢の愛銃はKar98Kの特徴を感じさせるスナイパーライフルだから遠距離からの高威力が出せる...なら俺は今の手持ちで一番威力が高い近距離型の怪物銃を出すとするか
「よぉデカブツ、お前さんはゾウよか頑丈かい?いっちょ試させて貰うぜ」
再び外套の下から俺は自慢の商品...その中でも最も火力が出る怪物をホルスターから外して軽く放り上げ、数回回転しながら掴んだその銃を更に手元で回した後に右手を大きく振るう様にして掴みながら巨大生物、パンちゃんの真正面に再び立ち塞がった
―――――――――
萬屋アルマ(スーツの姿)
パンちゃんの触腕振り下ろし<(越えられない壁)<ミネ団長のシールドバッシュの図、今から振り下ろされるのが解れば防御も間に合うし耐えれはする(尚団長のを防げるとは言わない)
簡素ではあるが美食研究会との一連の流れはアコに説明してはいるが、若干疑われている模様...あの美食研究会から逃げ切れた?どうやって...?
前々回のボルトスロワーによるアクション以外にもシカゴスィーパーの特殊リロードの動きに合わせて周囲の物を敵に向けて蹴り飛ばすとかいう脳筋ゴリラ戦術も使う
スカルシェイカー、シカゴスィーパーと来て最後にあの銃を使って決着を付ける事に...
尚今回の一件の後、一部の風紀委員モブちゃんから何やら視線を感じる様になったらしい
空崎ヒナ
ゲヘナ学園風紀委員長にして学園最強の生徒
温泉開発部鎮圧→美食研究会確保→パンちゃんの暴走鎮圧という流れでやって来た
最初はアルマには退避を促そうと思っていたが、本人から自己責任と言い出したしパンちゃんの前で自分達が来るまで戦える程度には腕が立つなら...まぁ、危険が及ぶまでに此方で倒してしまえばいいかぁ、とも思いながら許可を出した
現在少々シナモップ気味らしいが...
天雨アコ・銀鏡イオリ・火宮チナツ
ゲヘナ学園風紀委員主要メンバー
アコは一番最初にアルマと接触する事になったが、あの美食研究会から逃げ切ったと自称するアルマに対して現状は懐疑的な印象を受けている...パンちゃんとの戦いにおいても何処となく手慣れたかの様な指示を出している辺りが益々怪しいですね
イオリは自発的に協力してくれるんならまぁいいか、宜しくなといった状況で次回協力して戦う事に
チナツに関しては次回以降ハーブ医療品という洗礼を受ける事に...
風紀委員達
温泉開発部から始まり、美食研究会の騒動にパンちゃんの暴走と人員が分散されまくっていた
その為主力を欠いた状態でパンちゃんを押し留めざるを得ずに負傷者が多数出ている...おや、商機?
一部の風紀委員モブちゃんからアルマに対して何やら視線が送られているらしい...
何時の間にかUA数が10万を超えていて驚いています...皆さんいつもありがとうございます!
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