狐坂ワカモの扇動を受けてD.U.外郭地区に集まって来ていた不良達は、連邦生徒会長不在による各地の混乱への対応に追われているであろうヴァルキューレ警察学校をあざ笑うかのように好き勝手に暴れ続けていた...建物に損壊を与えても、車両を破壊しても、商品棚に並ぶ品物を簒奪しても文句を言われないし誰も自分達を咎めないし止めも出来ない現状に非常に気を良くしこんな良い状況を教えてくれたワカモに感謝しながら次々と襲撃を繰り返していたのだが、此処で仲間の一人から連絡が入ってきた
―――前方で暴れていたチンピラ達が見慣れない大人の指揮を受けた生徒達によって蹴散らされ、更にそのまま真っ直ぐ此方へと向かって来ている、と
この報告を受けた不良生徒達の首謀者である狐坂ワカモは漸く連邦生徒会がやって来たか?と内心笑みを浮かべた...好き勝手に暴れて簒奪をするのも楽しくはあるが、一方的な破壊と略奪ばかりでは飽きてしまうし自らは矯正局を脱してきたばかりで外の世界は久しぶりなのだ
連邦生徒会長がシャーレの建物の中に運び込んだ代物という極上のメインデッシュを破壊する前に、鈍っていた腕を慣らす為にも多少なり彼女達と戯れるのも悪くはないと考えた彼女は傍に居た不良達のリーダーへと提案する...今こそ『アレ』の出番であり準備が整うまでの間自分も前線に出て時間稼ぎをしてくる、と
一方、シャーレの部室目前まで迫っていた一行も七神リンから首謀者の情報を入手し忠告を受けていた
狐坂ワカモ...百鬼夜行連合学院で停学になった後に矯正局を脱走したその生徒は扇動や大規模な破壊行為といった前科を有する危険人物の為気を付ける様に、との事だった
「オイオイ、そんな奴が脱獄してうろついてるのか?ハァ...こりゃあブラックマーケットも暫くは荒れそうだな」
"アルマはブラックマーケット在住だったんだね...何か訳アリかな?"
「んー、まぁちょいと理由があって俺は特定の学園には所属してねぇ不良生徒みたいなもんなんだよ...」
"学園に所属していない...?"
「ああ。まぁ不便は感じて無いし、俺と同じで休学してたり退学してたりする生徒達を集めて商売を営んでるから暇があれば来てくれよ。歓迎するぜ?」
"......変な店じゃ、ないよね?"
「違うわ!一応正規の組織に立ち入り検査もされて問題ないと太鼓判押されてるし、ゲヘナやトリニティとも真っ当な取引してる店だからな!?」
『そんな店の情報は連邦生徒会には無かった筈ですが...』
「ちゃんとした店舗を開店したのが3カ月ちょい前だから知らんのも無理はねぇだろうよ...おっと話は後だな、今度のはさっきの敵さん達よりかは規模がデカそうだぞ!」
主犯格について話しながらシャーレの部室へと向かっていた俺達の前方で、かなり大規模な不良集団が集まり此方に向けて迎撃の準備を整えつつあった...その中で特に目立つのは、中央奥で此方を伺っている狐の様な面を被り和服めいた衣装を纏う獣耳の少女である
狙撃銃らしき武器を肩に担いだまま未だに様子見といった感じで此方を見ているのだが、この状況下で迫る俺達に対して未だに余裕たっぷりな感じな辺りコイツも自分の腕には相応な自信があるんだろう
"―――姿だけ見せているワカモの事は今は後回しだ!先ずは前方の敵に集中しよう!アルマは敵の前衛をかき乱して!ハスミとスズミはアルマの援護を!ユウカはアルマが作った隙を活かして敵の数を減らすんだ!"
「あいよ先生、任されたぜ!」
先生の指示を受けて敵陣へと走りながら最初に手に取るのは以前美食研究会との戦闘で使ったブラックテイル...その『キヴォトス式限定仕様改造』後のもので、デザインを一新してよりスマートなデザインへと仕上げている
マウントレールの横溝を2つから3つに増やしてリアサイトをノバックタイプに変更。グリップのフィンガーチャンネルをより握りやすい形にリファインし手のサイズに合わせたグリップの調整も可能にした本銃は長所である装填速度と連射速度はそのままに、最大の欠点であったマガジンの装填数が13から19へと上昇して随分と取り回し易くなった優等生で俺は間近にいた不良生徒二人へと弾丸を放っていく
「ふぎゃっ!?」
「ぐえっ!」
「一人突っ込んでくるぞ!撃て撃てー!」
「このー!」
それぞれの頭にヘッドショットをかまして黙らせていたら、他の連中の銃撃が俺の方へと飛んできた...尤も俺の頑丈さを撃ち抜ける威力は無く、体にビシバシ当たる銃弾を気にせずに俺は攻撃してきた生徒達へと反撃していく
「ちょ...効いてな、きゃんっ!」
「か、固す、ぎぃ!?」
「...さっき庇ってくれた時も思ったけど、あんだけ撃たれてるのに何でケロッとしてるのよ貴女」
「身体の頑丈さにちょいと自信があるだけだが?」
後方から追い付いてきたユウカ嬢に俺の身体の頑丈さに対して疑惑の目線を送られたが嘘じゃないんだよな、巨大生物の物理攻撃だろうとマフィア組織の集中砲火だろうと防御姿勢か攻撃を受ける覚悟さえありゃあ耐えるのは容易なのが俺の自慢だ...ミネのシールドバッシュは除くがね
...それと
「至近距離のショットガンをくらえぶっ!?」
「...フレシェット弾辺りを込めて至近距離からショットガンを撃ち込むって着眼点は悪くねぇが、対策もしてるってえの」
頑丈さが売りの俺の装甲を情け無用で撃ち抜いてくるヒナ嬢の様なバ火力持ちや今の不良生徒の様に頑丈さを抜いてくる貫通力がある攻撃は今の俺にゃあ天敵となる...さっきの生徒は折角瓦礫に隠れてハスミ嬢やスズミ嬢の攻撃をやり過ごせたのに肝心の撃つ前にお喋りしたのが失策だったな、向こうが撃つ前にこっちが袖口から素早く取り出して引っ掴んだスカルシェイカーを叩き込んで黙らせて貰えたか
「―――騒動の中心人物が接近!皆さん対処を!」
ショットガン持ちの不良生徒を返り討ちにしてりゃあ、他の連中を蹴散らせ終えていたらしい...いよいよ首謀者らしい狐耳と尻尾を有した和服姿の嬢ちゃんが新手を引き連れて此方へと向かって来ているのをハスミ嬢が警告してきたな、やれやれ忙しい事だぜ
「...フフ、連邦生徒会の子犬達がやって来ましたか。お可愛らしい事...少々、戯れさせて貰いましょう」
「ちょっ、突っ込んでくるわよ!?」
「はぁ!?狙撃銃を持ってたろ!?何考えて―――」
その首謀者と目される狐坂ワカモは肩にかついでいた狙撃銃を持ち直し...両手を後ろに伸ばし上体をやや前傾させた、飛行機のような独特のフォームで走りながら一直線に俺とユウカ嬢に向けて突っ込んできやがった!コイツ一体何が狙いだ!?
"―――アルマ、ユウカ!気を付けてくれ!彼女の持っている狙撃銃には銃剣が付いていた筈だ!"
狙いが解らず一瞬困惑した俺とユウカ嬢に向けて飛んできた先生の警告で、俺は漸くワカモの狙いを理解した
銃の先端部に装着して槍のような戦い方ができるように工夫された武器である銃剣は自動火器の普及と進化の前に共に衰退こそしたものの、不意の遭遇戦など歩兵が接近戦を行う機会は近現代戦でもまだまだある
...が、それは俺が居た世界であればだ
この場に居るユウカ嬢・ハスミ嬢・スズミ嬢・チナツ嬢もそれぞれが生徒会や治安維持組織に身を置く連中が多く不良の鎮圧や違反行為を行う奴等を取り締まる機会も多々あるだろうが、一部の例外を除き大概その解決方法は銃撃戦の末の鎮圧となるだろう...そう『銃撃戦』だ、懐まで入られての『接近戦』になる事なんざ滅多にないだろうよ
そして大半のキヴォトス人は一発二発程度の被弾では気絶こそすれ怪我を負ったり死んだりは決してしない体をしているのは俺もよぉく知っている...だが『刺突』『斬撃』についてはどうだろうか?撃って効かないんだから刺されたり斬られたりしても果たして問題ないのだろうか?という疑念を抱けばこのワカモという奴の考えは恐怖を煽るには十分すぎる!
「―――ッ!このっ、近付いて来るんじゃないわよ!」
何を目的にして接近してきているのかを俺と同じ様に察したらしいユウカ嬢が慌てて2丁目のサブマシンガンまで取り出して銃撃を放ち、合わせる様に俺もブラックテイルとスカルシェイカーを撃ちまくるがあざ笑うかの様に障害物に隠れたり緩急とフェイントをつけた走りで躱しながら更に接近してきやがった!
オマケに前以て指示を出してたのかハスミ嬢やスズミ嬢・チナツ嬢はワカモが連れて来ていた不良共に邪魔をされていて手が離せそうにねぇか!こうなりゃ俺が何とかするしかねぇ!
「...俺が相手だ狐の嬢ちゃん!」
◇◇◇
(うふふっ、銃撃戦には慣れていても...接近戦に持ち込まれたらという怖さには耐えきれませんでしたね)
お気に入りの狐の仮面の裏で、此方の誘いに威勢よく乗ってきたスーツ服の姿の生徒を見るワカモは自分の思い通りに釣り出された一匹の子猫にほくそ笑んでいた
一緒について来ていた不良達に他の生徒の相手をさせている間に前衛を務めているこの2人を相手しておけば、鈍っていた腕を慣らす序に最低限時間稼ぎという義理は不良達に立てられる...何より
(メインディッシュを頂く前のちょっとした前菜程度には楽しませてくれるでしょう...♪)
高々一般生徒をかき集めただけで自分のお楽しみを止めれると思っている連邦生徒会の蜂蜜よりも甘い考えを粉砕した上に、大事に大事に仕舞い込んでいた代物を破壊出来たならばとそれはどれ程楽しい事だろうかと思えば笑みが止まらなかった
(さて、それでは先ず活きの良さそうな一品目を頂くとしましょうか)
そんなお楽しみの手始めにと、此方にハンドガンを発砲しながら近付いて来る猫耳の生徒に対して今度は本気で刺突を見舞うべく跳躍する...援護の為なのかミレニアムの生徒が放ってきたサブマシンガンの銃弾が自分目掛けて飛来してくるものの、恐怖と性格故なのか狙いが正直過ぎるので前方へと飛び込みながら素早く前転して躱し、そのまま眼前へと辿り着いた猫耳の生徒へと愛銃『真紅の災厄』の銃剣を前転時の勢いを乗せて突き出した!
――ギャリィン!
「ッ!?」
ワカモが繰り出した銃剣による刺突は、スーツ姿の生徒の胴体目掛けて進み...その最中で彼女が左手に取り出した"何か"によって弾かれてしまった―――更に
「―――オラァ!」
「くっ!」
弾かれたせいで動きが止まってしまった自分に対し、その場で素早く一回転した猫耳生徒の回し蹴りが繰り出された!これを何とか右へと側転する事で回避し、そのまま素早く離脱して一旦距離を取り今一度猫耳の生徒の手元を確認する
「...俺のメレーを躱すとは、やるねぇ」
「...此方こそ驚かされましたわ、まさかナイフをお持ちだったとは」
「接近戦になったら銃よりナイフの方が速いからなぁ、護身程度には嗜んでるのさ」
右手のハンドガンを構えながら此方の様子を伺っている彼女の左手には一振りのナイフが握られており、銃剣による刺突はそのナイフで上手く弾かれてしまったのだと察した...おまけにそのままの流れで即座に回し蹴りを放ってくる辺り、彼女は他の生徒達とは違い多少は実戦慣れした強い相手なのだと認識して思わず嬉しくなってしまう
「―――ふふっ。お遊び程度の戯れにしておこうと思っていたのですが、これは少々本気で相手をしたくなってしまいそう」
「オイオイ、お遊び程度で勘弁してくれねぇか?こちとら急いでるんだが...」
「あら、釣れませんわね...まぁ、最低限の時間稼ぎは出来ましたし、これからメインディッシュもありますので此処は退きましょう。貴女、お名前は?」
「......あー、萬屋アルマだワカモ嬢」
「萬屋アルマ、覚えておきましょう...今度会う時は今日よりも楽しませてくださいね♪」
「いや、せめて普通の客として店に来てくれよ...」
がっくりと肩を落としているアルマを尻目に、時間稼ぎと慣らしを終えたワカモはその場を離れてシャーレへと向かう...メインディッシュである連邦生徒会の物を破壊し尽くした後で、彼女の大事な店から品物を全て略奪して店舗を破壊しつくし、本気となった彼女を返り討ちにして蹂躙するのも面白そうだと邪悪な考えを巡らせるが―――この数瞬後の『運命の出会い』によって、この計画は頭の片隅からも完全に消え去ってしまう事となるとは狐坂ワカモは知る由も無かったのである
―――――――
萬屋アルマ(スーツの姿)
振動属性と重装甲を活かして初戦と2戦目をあっさりと突破し対ワカモ戦を行ったアルマさん
七囚人の脱走の情報を入手し、彼女達が身を潜めそうな場所第一位のブラックマーケットの混沌さが増すんじゃないかと冷や冷やしている模様
相変わらずの頑丈さがあるのでプロローグ編のメイン盾を張っているが、此処まで手動操作以外でのEXスキル発動はさせて貰えていない様子...次回の戦車戦に合わせて詳細なステータスとスキル、手持ちの武器を公開します
RE4におけるナイフパリィやメレー(体術)も習得しており近接格闘も行えるのだが、それが仇となり一時的にワカモに頑丈で面白げな玩具認識されてしまった模様...この後でワカモが先生に一目惚れしてなければガチで店が窮地に陥っていた未来があった、かも?
"先生"・早瀬ユウカ・守月スズミ・羽川ハスミ・火宮チナツ
本編通り先生の指揮の元順調に此処までやって来た
本作においては矢面に立つメンバーが増えているのでそれ以上にあっさり突破してしまった為に1戦目と2戦目は完全カットされた
前衛チームと後衛チームに一時的に分断されSRT特殊学園の精鋭部隊相手でも互角に戦える強者を相手にアルマとユウカは振り回される形となった
ワカモが撤退する直前には後衛チームは不良達を蹴散らしており、ワカモがあっさり引き下がった要因の一つとなっている
狐坂ワカモ
本編よりも微強化されたエネミーキャラ
本作ではあっさり撤退せずにアルマとユウカを翻弄したものの、只の生徒じゃなかったアルマに強襲が通じず一時撤退の流れとなった
が、自分の攻撃を防いだアルマに興味が湧いておりこの後先生と出会わなければシャーレの後にアルマの店が晴れて襲撃対象に選択されえらい事になりかけていた...先生の無意識的なファインセーブである
ブラックテイル(キヴォトス式限定仕様改造)
『威力が1.5倍にアップする』というRE4での限定仕様改造はそのままに短所となっていた装填数を克服した優等生
長所である装填速度と連射速度はそのままに高い集弾性能も相俟って隙が無くなった万能銃となっている
ライブセレクション「カイザーPMC基地正門」
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『このまま対策委員会と進む』表ルート
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『後続部隊を待つ』暗躍(裏)ルート