「―――着いた!」
「はい...周囲の一掃も完了したようです」
『【シャーレ】部室の奪還完了を確認しました。私ももう直ぐ到着予定ですので、建物の地下で会いましょう先生』
「では、我々はその間に周囲の警戒をしておきましょうか...」
シャーレの部室前を占拠していた不良達を蹴散らし、周囲の残敵の有無も確認し終えた一行はそのまま周囲の警戒をする生徒達とシャーレの部室に降りていく先生に別れた...それから少ししてシャーレの部室前にヘリが着陸し、中からリン嬢が降りて先生を追う様に建物の中へと入っていった
「...やれやれ、これで漸くこの一連の騒動が収まる流れになりゃあいいがな」
「本当に...ゲヘナ学園も何時も以上に騒がしく、ヒナ委員長も大忙しなんですから」
「ふぅん...チナツ嬢から見て、ヒナ嬢の体調とかどうなんだい?」
「体調、ですか?特に問題は見えませんよ?寧ろここ最近は普段以上に不良生徒達の鎮圧に邁進している様子ですが...」
「そうか...」
「アルマさん?何か気になる事でも?」
「うんや、何でもないさ...
(表面上は、だろうなぁ。香の定期購入の契約してるから体調はいいんだろうが、精神的にはどうにも色々と抱え込む性分に見えたんだよなぁ。年端もいかねぇ嬢ちゃんだってのに抱え込み過ぎだろ、ったく......今度会ったら愚痴位聞いてやるかねぇ)」
俺の返事に困惑している様子のチナツ嬢から視線を外し、シャーレの部室を見上げる...白を基調とした鏡面ガラスの美しい建物は、下に居る連中がさっきまで騒いでいたのが嘘の様に今日の空模様を反射し澄んだ青空と白い雲を映し出している
(―――
それを乗り越える為のキーパーソンである先生の赴任とシャーレの設立は、彼女の予言通り成されてしまった。これから先、あの先生は嘗てのStranger達の様に数々の苦難に直面する事になるだろう
(折角運良く生き返れたってのに...世界は変われど、世界の危機が発生する世界に居るってのは変わらねぇとはなぁ。俺もつくづく、運がワリィもんだ)
今後起こり得るだろう面倒事を思うと溜息の一つ二つは軽くつきたくもなるが、まだ傍に居るチナツ嬢に悟られるのは今は避けておくべきかと何でもない様に装っておく...今後は更なる騒乱に備えて何時も通りのハーブや武器弾薬の備蓄と増産は元より、新規の武器開発に加えて新たにクラフト能力を活かせる様に多くの素材とレシピの考案に専念せにゃあならんだろうなぁ
「―――貧乏暇なし、か」
「貧乏、って...アルマさん大分儲けてませんか?最近ではハーブ販売だけじゃなくてネットでの武器販売や武器改造も承ってるんでしょう?」
「ありゃ、流石風紀委員会。もう色々見つかっちまったか?」
「この前の一件以来、アコ行政官がアルマさん達の動向にも目を光らせているんですよ...」
「...滅茶苦茶個人的な理由ぅ」
えぇー...個人的な理由で俺の事アレコレ調べてんのかアコ行政官?
調べるのは構わんがそう易々とバレる様な取引方法はしてねぇが...いや逆に、どう誤魔化して各方面と取引するか考えるのも悪くねぇなぁ?時折真っ当な取引をさも怪しげな取引に仕立て上げて揶揄うのも面白いかもしれん
「仕方がねぇから一応気を付けとくよ、チナツ嬢......あぁ、武器改造で思い出したが俺ならチナツ嬢の銃も改造出来るから覚えておくといいぞ?」
「私の銃もですか?」
「チナツ嬢の銃はハンドガンなんだが...威力こそ並のハンドガンより高いんだが集弾性能に難があるだろ?他にも装填速度や連射速度、装填数もやや低めでじゃじゃ馬とは言わないまでも癖がある。この辺は心当たりあるだろ?」
「...まぁ、確かに」
「今後も愛用するなら専用のストックを用立てておくぜ?これがあるだけでも大分戦闘能力は向上するさ...短所としては、ハンドガンにストックを付ける訳だからちょいと持ち方を変える必要性があるし片手で振り回せなくなるから小回りが利き難くなるって点だなぁ」
「成程...少し、考えさせてください」
「勿論。使い方を変えたくないんなら単純に銃そのものの性能を上げるってのもアリだからよぉく考えな、取引の都合上今後も医療品をお届けに行くんだしそん時に声掛けてくれりゃあいいぜ?」
チナツ嬢がどれだけ愛銃を使ってた期間があったかは流石に分からねぇが、長い事使ってた銃の仕様を大きく変えるってのは手に馴染ませたり仕様を確かめたりするのに時間が掛かるからな。内部構造を弄ったカヨコ嬢と違って外付けストックを装着するチナツ嬢は手に持つ感覚は別の銃を持ったかって位には変わっちまうからまぁ慎重になるか...うん?
(待てよ?それならStranger達はなぁんで俺が弄った銃をあんなすんなり使いこなせてたんだ?)
大分直前とは仕様が異なる仕上がりになってた銃もあったんだがな...マチルダとかレッド9とか諸々
ま、まぁ戦闘訓練をちゃんと受けた奴と銃を使える生徒じゃあ流石に練度とか熟練の質が違うんだろ...多分、きっと、恐らく
"皆、お待たせ"
「あっ、先生!サンクトゥムタワーの制御権はどうなりましたか?」
"リンちゃん達連邦生徒会に制御権を移管したから、連邦生徒会長が居た頃と同じ様に行政管理を進められるみたいだよ?確認してみてね"
「本当ですか!?今確認してみます!」
チナツ嬢と会話をしている間に、シャーレのヘリポートへと移動していた連邦生徒会のヘリが再び飛び立ち...それから少しして先生がシャーレの入口へと姿を現した
どうやら目的のブツを確保出来たらしく、サンクトゥムタワーとかいう建物の制御権は連邦生徒会の管理下に移って通常運転を再開できたらしい...その報を受けたユウカ嬢が情報端末を取り出し何処かへと確認の連絡を取っている
「ハスミ嬢は確認とかしなくていいのか?」
「トリニティ総合学園はミレニアムサイエンススクールよりも科学技術面での影響は少なかったですからね、むしろ問題は治安維持の方でしたしこれで少しは問題児達の暴挙が減ればいいのですが...」
「そういう面で言えば、今回アルマさんと顔見知りになれたのは都合が良かったかもしれませんね」
「はい。アルマさん、ブラックマーケットで今後トリニティに対しての怪しい動きがあれば教えて頂けますか?我々としては出所が不明な武器や兵器の不法流通には手を焼いています...その主な流通先であるブラックマーケットにてかなり早い段階で情報が入手出来る貴女の協力があれば対処に動き易くなるのは大きなメリットとなるのですが」
「―――ふむ」
思わぬ話に少し驚いたが、連邦生徒会に意見しに来てた理由の一つだったなブラックマーケットからの出所が不明な武器や兵器の不法流通問題。で、そういう流通に関しての関係者である俺から情報を提供して欲しいという事か
商品の販売の都合上、ティーパーティーは置いておくとして正実との繋がりも持ちたかったし受けるか
ウチとしてもメリットがあるし拒否る理由もあんま無いし、『あの嬢ちゃん』の関係者とは良好な関係を持っておくべきだな。何よりこっち側も情報の共有という点でトリニティの内情を聞ける情報源になるからなぁ
欠点として同業他社を必要によっては売る訳だから反対に店に対するヘイトが上がりそうだが...まぁ、その辺は上手いとこやるとしよう
「...トリニティの救護騎士団にゃあウチの商品も大分卸させて貰ってるし、そっちが動き易くなりゃあ俺としても護衛の負担軽減に襲撃頻度の低下というメリットがあるなぁ。おまけに運搬コストも下げられそうだ、受けるぜその話」
「ありがとうございます、連絡方法はどうしましょうか?」
「そうだなぁ...モモトークで良いか?スズミ嬢にも連絡回せる様に出来るし、グループチャットも必要に応じて出来る様にしといた方がいいだろ」
「ですね、では交換しておきましょう」
3人が三人共連絡端末を取り出してお互いの連絡先を交換しておく...その間に通話していたユウカ嬢にも進展があったらしく、段々と嬉しそうな口調になっていた
「―――そう、了解したわ。じゃあ私もこの後直ぐにミレニアムに戻るから、うん...じゃあね」
"どう?ユウカ?ミレニアムサイエンススクールでも確認出来たかな?"
「ええ。サンクトゥムタワーの制御権を連邦生徒会が取り戻した事を確認しました、各所のシステム関係が復旧しているっていう情報が何よりの証拠ですね」
「首謀者であるワカモは自治区に逃げてしまったのですが...直ぐに捕まるでしょう。私達の共闘も此処で解散ですね、後は担当者に任せます」
「お疲れ様でした、先生。先生の活躍はキヴォトス全域に広がるでしょう。直ぐにSNSで話題になってしまうかもしれませんね?」
"そうかな?まだまだ着任したばかりだからそうでもないと思うけれど...良い話題として取り上げられる様にこれから頑張る事にするよ。じゃあ皆、今日はお疲れ様"
「これでお別れですが、近い内に是非トリニティ総合学園に立ち寄って下さい。先生」
(ぺこり)
「私も、風紀委員会に今日の事を報告しに戻ります。ゲヘナ学園にいらっしゃった時は、是非風紀委員会を訪ねて下さいね」
「ミレニアムサイエンススクールに来て下されば、私も先生とまたお会い出来るかもしれませんね。その時は是非連絡をくださいね、先生!...では、また!」
そうして最後に別れの挨拶を残し、全員がそれぞれの学園へと帰路についていった...俺も別れの挨拶をして帰るとするかねぇ?今の連邦生徒会はまだサンクトゥムタワーの復旧関係でゴタついてるし、ブラックマーケットのあれこれはまた今度に報告を上げるとしよう
「んじゃ、俺もブラックマーケットに戻るとしま―――」
"―――待った"
「はい?」
"アルマは、残って"
「え、俺だけ?一体何で―――」
"さっき君が持っている神秘に関して説明してくれたよね?"
「あー、したなぁ。素材同士を掛け合わせる事で物を構築する力だって」
"うん、私もそう覚えている...その上で聞いておかなきゃいけない所があったんだよね"
「聞いておかなきゃいけない所?神秘に関してか?俺も深くは知らないってさっきも―――」
"商品としてハーブを取り扱ってるんだよね?そのハーブについて、詳しくお話し聞かせて貰えるかな?"
「......スゥ――...ウッス」
"ありがとう。じゃあ長くなりそうだし、シャーレのオフィスでゆっくり話そうか"
「...一応、確認の為に聞きたいんですがね」
"何かな?"
「まぁ、拒否権とかは」
"無いよ?"
「ですよねぇ...お手柔らかに」
......何か、ゲヘナでも同じ気持ちになった気がするなぁ?今度からハーブの取り扱いについての証明書、作っとくかなぁ。ハァ
「―――とまぁ、此処までが大まかな流れだったな。その後の先生との話し合いの時にゃあやっぱお前さんとこの救護騎士団と救急医学部に認可得てたのがデカかった、大分説明がし易かったし書面もあったから説得力があったから先生さんからも認めて貰えたよ」
「それは何よりです。私としてもアルマさんの医療品の質の良さは認めていますから、今後各地にも普及し多くの怪我人の救護活動に使って頂きたいですしね」
「...それと今んとこハスミ嬢やスズミ嬢にはお前さん達の所在はまだ黙っておいたが、良かったか?」
「ええ。今はまだ、戻ったとしても問題が多々ありますから」
「そっちの『眠り姫』さんの安全の為にも、だな。了解だ...今後トリニティで何かしらの動きがあれば俺もそっちを優先するが、今んとこ代理のホストになったナギサ嬢が上手い事場を納めてる様子だし自分の動きを優先するが問題ないか?」
「現状ではありませんね。私達を匿っている事が露見せぬ様に普段通りに動き回って貰うのが良いと思いますし、アルマさんには今此処から動けない私達の代わりに外の情報を得て貰うと助かります...ご迷惑をお掛けしますが、何卒宜しくお願いします」
「ティーパーティーのみならずトリニティ総合学園全体に貸しを作れるって話だからな、代金に見合った働きをするだけだ...それにまぁ、友人の頼みを無下には出来んしな」
「!!...アルマさん」
「あん?」
「―――やはり救護騎士団の一員となって、より多くの人々に救護の精神を伝え広めませんか?」
「もう何度目だよその問い!?ならねぇって言ってるじゃねえか!」
「そうですか...残念です。ですが、私は諦めませんよ?貴女の為に救護騎士団団長補佐の席は空けておきますから」
「諦めろやぁ!!」
クッソォ、美味しい儲け話になりそうだからって『こいつ等』匿ったの間違いだったかなぁ!?
―――――――
萬屋アルマ(スーツの姿)
無事にシャーレへと先生を送り届けたはいいものの、その後先生に根掘り葉掘りハーブ関連品について質問攻めにあった模様
武器の収納に関しても聞かれたが、男の子の心を擽る言い訳をして誤魔化している
モブちゃん達の銃の改造は『キヴォトス式限定仕様改造』とは異なり完全に見た目重視の装飾品や一般的なカスタムパーツを流用してデザインだけアルマが好き勝手に変えた代物だが、芸術性が高く銃マニアに好評な模様
正実のハスミ、自警団のスズミとも連絡先を交換しトリニティサイドの情報源をゲット出来て順調だったのだが...最後の最後で『あのBGM』が聞こえて来そうなオチになってしまう
最後の会話?...うんまぁ、この世界線だと彼女達はアルマが匿ってるって事です(治療薬がほぼ無限にある、大きなメリットがあるのならば多少の問題には目を瞑るという信頼、好感度が無駄に高かった等々が理由)
早瀬ユウカ・守月スズミ・羽川ハスミ・火宮チナツ
シャーレ部室奪還後、先生が戻ってくるまで周囲の安全確保をしていた
その間にチナツには強化フラグが建ち、ハスミとスズミとはお互いの連絡先を交換している(但し一部の情報は隠したまま)
尚、チナツがもう少しだけ残っていればアルマへの詰問に対して擁護はしてくれたものの...今回は間が悪かった様である
"先生"
記念すべき?かどうかは不明だが最初の『お話』対象に選ばれてしまった
ミネやセナからの書類を見せて貰って問題なしと判断され誤解は無事解けた模様...盾でぶん殴られた甲斐はあったらしい
武器の収納に関しては『それに関しては企業秘密』と言われ、その上で『秘密な方がカッコいいからなぁ』と説かれた...確かに!
アビドスに旅立つまであと数日...
居候達
極秘裏にアルマが匿っている2人組、一体何騎士団長と何狐なんだ...
あと1~2話チャプター2を入れていよいよアニメにもなったアビドス編となります
さて、此処で3度目のアンケートを取りますのでご協力お願いします
ライブセレクション「カイザーPMC基地正門」
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『このまま対策委員会と進む』表ルート
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『後続部隊を待つ』暗躍(裏)ルート