"ねえアルマ?店に来た時に思ったんだけど、君のヘイローと同じロゴマークが記入された壁が店の周りをぐるりと囲んでいたね?何をしようとしてるの?"
「おっと、あんだけ盛大に工事中だって主張してたらそりゃあ気付くかい?その通りだぜ先生...アンタと一緒にシャーレを奪還した一件以来治安が多少落ち着いて来たんで今の内にちょいとな」
違法部品の情報を保有していそうな店のリストアップを終えた俺が戻ると、一行は早速一店舗目へと向かい始めた。その道中、店の周りを工事しているのを気にしていたのか先生が問い掛けてきた
...まぁ、先生相手に変に誤魔化す話じゃあねえか
「店の周囲は生徒会長失踪時の混乱の時に不良共がやって来て派手に壊されちまってたからな...土地の所有者達と話をして利権を買わせて貰って、今は整地して最優先で防衛設備の設置と医療用ハーブのハウスを作ってる。後々射撃場や鍛錬場、トレーニング設備何かを建てる予定さ」
「け、結構色々建てる予定なのね...」
「おや、気になるかいセリカ嬢?」
「気にならない訳ないじゃない、あれだけ盛大に工事出来る資金を何処から集めたのか~とかさ...」
(...ふむ?)
資金、という言葉に対しセリカ嬢以外のアビドス生徒達も反応して俺の話に聞き耳を立てている様だ
確かアビドスは数十年前から頻発し始めた大規模な砂嵐によって学区の環境は激変してて、学園側で対処したものの好転の兆しが無くて今は徐々に衰退していってるんだったか?
そんな事情がありながらこの子達は未だにアビドスに残り続けてるんだから、相当アビドス高等学校や自治区に愛着があるんだろう。大方復興の為の資金集めの参考になる様な話が無いか?というトコか
参考になるかどうかは微妙だが、店の紹介がてら資金調達法については軽く教えてやるかね
「俺がキヴォトスに来たのはかれこれ約4カ月前位の頃なんだが...そん時は俺は只の行商人でなぁ、たった一人の所から医療品に使えるハーブの加工品を売るところから始めて今じゃ店を持ってゲヘナやトリニティに物を売らせて貰ってるよ...勿論、両校の医療関係者のお墨付きを頂いた上で、だがな。先ずこれがうちの資金調達方法の1つ目だ
で、2つ目として店やネットでの武器販売だな...キヴォトスじゃあ銃の所有は一般的だ、生徒に不良・ヘルメット団に治安組織等々大概の連中は持ってるだろ?勿論セリカ嬢達もな
そして武器というのは戦闘のために製造された道具だからそれ目当てに買いに来る客もいるんだが、こういった武器に希少価値を付ける連中も居る。所謂マニアって奴だな、こういう奴等はそれぞれの美的感覚から銃を求めたりする...あの種類の銃が好きだからとかカスタムされた銃が好きだからなんてのが良い例だな、そういった連中向けの意匠を凝らした銃を組み立てて売ったりもしてるよ
前述の2つの他に店そのもので売ってる雑貨や部品の納品、仕事の依頼の斡旋とかの資金もあるにはあるが今んとここの2つが万屋アルカの資金力の根底ってとこかね」
「成程~...医療品販売と武器の売買が主要な商売内容なんですねぇ」
「俺は何処かの学園に身を寄せるってのはちょいと性分に合わなかったし、こうしてブラックマーケットで商売してる方が好きなんでね。店を持てるだけの資金があっても俺は学園には通わねぇが...ウチの店で働いてる奴等の中でまた学校生活が送りたい奴等なんかが居たら通わせてやりたいと思ってるよ」
「ん、ならアビドスを勧める...アビドスは良い所だから」
「アビドスか...ゲヘナの余りの混沌っぷりやトリニティの陰の部分が無いなら良いかもしれんな、考えとくよ。さて先ず最初の店に着いたぞ」
先ず最初に来たのはウチの店から程近い所にある所だが...さくっとお客様方の欲しい情報がありゃあいいんだがねぇ
「...う~ん、可笑しいですねぇアルマさん?」
「―――ああ、可笑しいなぁヒフミ嬢。俺達が探している違法部品の情報が此処まで隠蔽されてるってのは違和感を通り越して奇妙な感じだ」
「販売ルート、保管記録...全て何者かが意図的に隠しているとしか思えません。そんな気がします」
"何者かが、意図的に...?"
「はい...」
其処から先生やアビドスの面々に私見を述べるヒフミ嬢の言葉は大体俺も感じていたモノと同じであった...この辺りを牛耳っている大企業は大体が自分達が悪事を働いているという自覚を持っているし、悪事を行っている事自体を隠そうともしない。寧ろする必要性も無いと開き直って堂々と悪事を働く連中ばかりで、俺みたいなモンは存在そのものが珍しい程だ
そんな悪の塊みたいな連中が自分達の手柄の様な悪行の数々を語らず、軒並み沈黙して情報を秘匿する様なこの状況が生まれている事自体が可笑しい...
(...此処を牛耳っている連中以上の存在、しかも悪党共を問答無用で黙らせられる程のドデカい組織がアビドスを襲う奴等の頭、って事か?こりゃあ、かなり厄介な問題が起きてるみてぇだなぁ)
高々一学園、それも極々小規模な所をそんな連中が狙う理由は良く分からんが...面倒な問題に首を突っ込んでいるらしい先生には同情するぜ、恐らく最初のシャーレの先生としての活動だろうによぉ
そう俺が考えていた間にヒフミ嬢が今までの見解をざっくりと説明してくれたらしく、道路の向かいに存在する巨大なビルについての話をしている所だった
『闇銀行』...ブラックマーケットにある諸々の建物の中でも一際有名な建物であり、キヴォトスでの犯罪に関わる金融資産の実に15%があそこに流れているらしい。ヒフミ嬢が話している横領や強盗・誘拐等の他にマネーロンダリングや持ち込まれた窃盗品の数々を売り捌く為の闇オークションの開催なんかもやってるんだったな
そしてその金を元に武器や兵器を―――あん?武器や兵器?そういやぁあん時...
「―――あれは、『マーケットガード』!」
ヒフミ嬢の出した驚きの声に、俺は考えに耽って下げていた視界を上げる
其処で目にしたのはブラックマーケットの治安維持組織、その最上位であるマーケットガードに護送された現金輸送車が闇銀行の前に到着し銀行員が担当らしき闇銀行の行員へと資金を渡す一連の流れだったんだが―――
「オイ、ホシノ嬢」
「...何かな、アルマちゃん?」
「アビドス学園に銀行員が集金に来るってのはどういう事情だ?」
「―――話すと長くなるから、言えないねぇ」
「...そうかよ」
行われていた取引は、あの悪名高いカイザーコーポレーションの傘下組織カイザーローンが闇銀行へと『アビドス学園からの返済金』を納めているというものだった
それが借金の返済なのか、それとも融資された資金への返済なのかはホシノ嬢は流石に答えてくれなかった...これは言いたくねぇ、ってとこか。まぁ警戒してる相手にはあれこれと情報を渡したくはねぇわなぁ
だが教えたくねぇ、ってのが一種の答えだろう
(アビドス高等学校は以前から砂嵐の影響を受けてたんだよな...つまり、あの資金はそれの対策に宛がわれていた借金の返済分ってトコか。流石に額までは分からねぇが、闇金に金を借りてるって事はそれ相応の額をたった5人の生徒が返済させられてるってトコか?ろくでもねぇ話だが...その裏でカイザーの連中は何か企んでやがるらしいなぁ?)
キヴォトスじゃあ生徒が理不尽や不条理な目に合う事も間々ある...例えばアルちゃん達とかは色んな所で度々巻き込まれちまってるらしいが、流石にそれと比べてもこの一件は流石に度と規模を越してると言ってもいいだろう。なんせ小規模ながら一つの学園を貶めようと色々裏で動いているんだしなぁ
それだけの事態を何が目的でカイザーローン、或いはカイザーコーポレーションそのものが関わっているかは知らねぇがアビドスで引き起こそうとしているのだ。連邦生徒会が干渉してくる可能性すらあるのにやろうとしてる辺りも含めて何らかの理由と価値があるとしか思えねぇ
思い出してみればシャーレ奪還時に不良共が扱っていた戦車の側面にはカイザーPMCのロゴがそのまま描かれていたのも、きな臭さを増させる理由だ...あん時の戦車は本当に不法に流通してたモンじゃなくて、カイザーPMCが故意に不良共に戦車を流しておいてアビドスで色々やってる間の目そらし目的でD.U.で混乱を引き起こさせて連邦生徒会の動きを妨害しようとしていたとも考えられる。もしそうだったならそれについては残念ながらワカモのお陰で前倒しになり、全て制圧されて台無しになっちまったがな
しかし、だ...そうまでしてアビドスでやってる事を秘匿しておきたい『何か』がアビドスにはあるらしい。この際
(頂いちまうのも、悪くねぇなぁ?)
ま、その為にも先ずはホシノ嬢達にしっかりと貸しを作っておくとするか...恩は高く多く売っておくに限るからなぁ、イッヒッヒッヒッ♪
◇◇◇
―――カイザーローンがアビドス高等学校から返済されている資金を闇銀行へと運んでいる
この事実に先生とホシノ達は衝撃を受けた
自分達が必死になって集めた金はカイザーローンの銀行員に回収され、そのまま闇銀行へと預けられて犯罪資金として利用されているという現実はそれ程受け入れづらいものだったのだ
だが、彼女達が取引を目撃したといってもそれを裏付ける証拠や根拠は無いに等しく...この悪行を断ずる方法は無い様に思われた
しかし、気落ちする面々の空気は阿慈谷ヒフミの一言で一変した
『集金の際は、受領証明書が出ますよね?その発行の記録が見つかれば証拠になるのでは!?』
その言葉を信じ、犯罪の証拠を手にするべく彼女達はブラックマーケットでも特に強固なセキュリティと多数のマーケットガードを有する闇銀行への襲撃を決意して覆面を被って準備を整えていく
更に、協力者であるヒフミにもたい焼き屋の紙袋を被せて人員に追加したのだが...
「...ごめんアルマ、貴女の分の覆面が無い」
「いや俺も頭数に入れようとしてたんかいシロコ嬢、俺現地民だからな?顔バレが君等よりもリスキーな身分だぞ?お分かり?」
「でも仲間外れは可哀想ですし良くないと思うんですよね...」
「仲間外れとかそういう問題かいノノミ嬢?違うと思うんだが?」
「でも頼りにしてくれても構わねぇ、って言ったのはアルマちゃんだしねぇ~」
「おう言ったよホシノ嬢、だがちょいと準備位はさせてくれや」
「あ、参加はするんだ...」
「いや流石にヒフミ嬢だけ行かせる訳にもいかんだろセリカ嬢...戦闘が起きる可能性だってあるんだから護衛位しないとな」
「あ、アルマさん...!」
「ちゃんと俺も付いて行ってやるから、少し待っててくれやヒフミ嬢。直ぐに支度してくるからよ」
"支度...?"
『支度、って何のでしょうか?』
「仮装だよ、仮装。俺が何処のどいつか分からねぇ様にガッチリ全身着替えてくるぜ」
そしてアルマはそのまま近くの建物の陰へと入り、何やらゴソゴソと物を取り出す音をさせ始める
全員が一体どの様な格好をしてくるのだろうか?とあれこれ想像しながら待っていると―――
「...待たせたな、準備が出来たぜ?」
「おっ、待ってたよー......えっ?」
アルマが準備を終えたらしく、一行に声を掛けてきた
いの一番に返事をして振り返ったホシノが、その場にいた全員の気持ちを代弁したかの様な素っ頓狂な声を挙げる中...アルマは『ガチャガチャという金属音』と共に一行の前へと歩み寄る
其処に居たのは―――
【んじゃあ、行くか】
西洋の騎士が着用する様な銀色の立派な鎧を纏い...フェイスガードを下げ、完全に顔を隠して胴鎧の正面にデカデカと黒いインクで『6』と書いたアルマらしき人物の姿であった
―――――――
萬屋アルマ
レオンのギャング服(PINSTRIPE)にくぼみのある仮面を付けさせるかそれともアシュリー鎧(ARMOR)を着させるか迷った挙句ダイスで50以下なら鎧、50以上ならギャング服とダイスした結果6を運命的に叩き出した為に鎧を着る破目になった主人公...これは記憶に残る大悪党()
前々からアビドスという土地には興味があったらしく、カイザーの動向からアビドスには『何か』があると踏んで見に行くつもりになったらしい。序に商売のタネになりそうなものも探す予定である
銀行強盗に関しては否定はしないし割と乗り気、ただ顔出しNGなのでちゃんとバレない格好にはなる...その結果が鎧甲冑の上に声がボイスチェンジャーで前世の声(RE4のあの声)とかいう斜め方向にぶち抜いているが至って真剣である、これならバレねぇだろ?
小鳥遊ホシノ
アルマの鎧甲冑姿に思わず警戒心がフリーズしかかった...何でそれを選んだのさ...
手助けはちゃんとしてくれてるし皆の問いにはちゃんと答えてくれてはいるけど...何か怪しいなぁ?と未だに一線引いて警戒している様子だが、最後の件で警戒心が少しぐらついている。代わりに変な奴だなとか思い始めた
"先生"・砂狼シロコ・十六夜ノノミ・黒見セリカ・奥空アヤネ
ホシノと同じく鎧甲冑姿のアルマには流石にびっくりした...何でそんな格好...?
アルマの店の規模があれだけ広くなっている理由や資金調達の方法等気になる事が多い
しかし、ハーブそのものや武器の製造技術が無い為参考にはならなさそうである...流石に年季と技術力がね
阿慈谷ヒフミ
後に鎧甲冑の男が護衛に付いているとか、鎧甲冑のロボットを操っているとかの噂もされる伝説の犯罪組織のリーダー
私の事を心配して付いて来てくれるのは嬉しいんですけど、何でそんな恰好にしたんですかぁ...
8/11 23:25:58 6 (1D100)
ライブセレクション「カイザーPMC基地正門」
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『このまま対策委員会と進む』表ルート
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『後続部隊を待つ』暗躍(裏)ルート