アルマの土地勘を頼りにした幾つかの退路をアヤネがドローンで先行しながら誘導する形でブラックマーケットを走った一行はマーケットガードの封鎖線を掻い潜り、安全地帯まで撤退する事に成功した
「ふぃ~、やっとこさ何時もの格好に戻れたってモンだ...」
「此処まで逃げる間もずっと着てたもんねぇ~...重く無かったのそれ?」
「一応凄く硬いだけの鎧だからな、俺達キヴォトス人なら少し軽めの重しを付けて運動してた程度の話だぞ」
漸く全身を覆っていた西洋鎧を脱ぎ捨てれた俺は、軽く体を動かして柔軟をしながらブラックマーケットの方へと視線を向けた
俺達が居る陸橋から遠目に見える封鎖線では未だに出入りをする車両を封鎖し犯人捜しをしているだろう様子が見て取れるが...俺達は全員揃って既に脱出してしまっているのだから無駄な努力って奴だな。俺は帰りが少しだけ苦労しそうだが、まぁ何とかなるだろう
「さて、先生もヒフミ嬢もいい加減悲観するのはやめときな。割り切れとは言わねぇが、今回はこうするしかいい手が浮かばなかったってのを今後の作戦立案とかに活かして改善した方がいいと俺は思うぜ?」
"...うん、そうだね。いつまでも悲観していられないか、ありがとうアルマ。でも全身甲冑を着てあれだけ全力で動けるのは凄いね、時間稼ぎどころか銀行の警備員を単騎でノしちゃってたみたいだし..."
「イッヒッヒ、あの程度の連中なら不意を突いて頭を潰せれば後は流れで何とか出来るってモンさ!尤もアヤネ嬢の情報収集能力のお陰で上手くいったって所もあるんだがな...さて?例のブツはこれから確認か?」
「そうなるねぇ~、シロコちゃん集金記録は?」
「ん、中身を確認してみたけど此処にちゃんとある...けど、余計なものも入ってるみたい」
"余計なもの?"
「...オイまさか?」
「うん、そのまさか。軽く一億はありそうな現金の山も入ってた」
"「「「「『えぇ~!?』」」」」"
「マジかよ...!」
思わず額に手を当てて天を仰いじまったが、コイツは思わぬ代物である
大方集金記録を求めた際に店員が誤って(銀行強盗に対しては正しい反応とも言えるが)現金をバックに入れちまったが為に俺達は一億円程もあろうかという資金を闇銀行から調達しちまったらしいな
そして、この現金の山をどうするかという流れになるのは自然の流れだろう...
なんせ一億円以上あるのだ、これさえあれば借金の返済(やっぱり借金抱えてたんだな...)が楽になる為返済に当てようといち早く主張したのはセリカ嬢で、ノノミ嬢がこれに賛同。アヤネ嬢は資金を借金の返済に当てるのは反対の立場で先生も当然ながら乗り気ではなかった。現状2対2の意見となったアビドス組と先生の中で残るはシロコ嬢とホシノ嬢の意見である
因みに俺とヒフミ嬢はこの話し合いには借金に関する関係者ではない為積極的に参加せず様子を見るだけとなっていたのでホシノ嬢とシロコ嬢がどんな答えを出すのかと少しだけひやりとしたが...其処は最年長のホシノ嬢だった
彼女は自分達が今必要なのはお金ではなく書類だけであり、奪った金を使ってしまえば自分達はもう後戻りが利かなくなると理解していた
悪人の金だから、犯罪に使われる金だから等という建前の元にまた盗みを働けば最早それは生徒ではなく只の犯罪者となり果てるだろうよ。ホシノ嬢はその事を分かっているし、シロコ嬢もホシノ嬢が反対するからと理解しており結局の所この金は此処に残される流れとなった...俺としても、こんな方法で得た金よりも店の連中と共に切磋琢磨して得た金の方が持ってて気分も心持もいいもんだし賛同させて貰うぜ
―――それに、だ
「...真っ当な方法で借金を返済してぇのなら、俺に幾つか考えがあるぜ?」
「「「「「『―――えっ!?』」」」」」
"本当!?"
「アイディアとして考えてはいたが、店の開店時にやるには色々と足りなくて出来なかった計画やブラックマーケットじゃあ難しそうな販売構想は幾つかあったんだよ。ウチはもう武器やハーブでやっていけるし、没になったアイディアの中の幾つかをアビドスに譲渡してもいいぜ?それにうちの店の名前じゃあどうしても怪しさが残っちまうから断念してたが自治を認められてる学校が運営してます、って話なら通用しそうなプランもあるしな...当然、見返りは幾つか求めるけどな」
「...見返り、って何かな?言っておくけど、アビドスに資金は―――」
「欲しいのは資金じゃねえから安心しなホシノ嬢。手始めとしてはさっき言った計画や販売構想の初期投資の為にアビドス自治区内を調べて歩きたいんである程度自由に自治区内を歩く許可が欲しいのと、学校のインフラ設備の状態を見させて欲しいから立ち入りの許可を願いてぇ
色々と調べさせて貰わねぇとこの話そのものが頓挫しかねねぇし其処は絶対に譲れねぇんだが...まぁ不安なら第三者ポジションに居て貰える先生も今此処に居るから俺としては誓約書を書いて渡すのも構わねぇんだが、どうだい?」
"―――その計画が成功する度合いと、調査の必要性...それにアビドス高等学校のインフラの状態を見る理由を最初に教えて欲しいかな、私としては。アルマの事だからちゃんとホシノ達の立場や状況をある程度考えてくれた上でのプランを見繕ってくれてるとは思うけど、一応ね"
「勿論だ。決してホシノ嬢達にも損はさせねぇし、先生も喜んでくれる様なヤツを用意したつもりだぜ?イッヒッヒッヒッ!さぁ、アビドスの方々?楽しい楽しい商談と―――」
『居たー!ちょっと待って~!』
「いこう、って...この声は、アルちゃん?」
"アル、って便利屋68の子!?"
「な、何で便利屋が追っかけて来てるのよ!?追手の来ないルートを選んだんじゃなかったの!?」
『そ、その筈なんですが...このままだとあと1分以内に接触してしまいます!』
「銀行側の追手として雇われたんでしょうか!?」
「追手、ってまさか前にアルちゃんとやり合ったのかよお前等!?」
「今は説明は後だよ!見られると不味いから先生とアルマは隠れてなよ、私達が対応するからさ!」
「―――チイッ、仕方ねぇ...後で事情を聞かせて貰うからな!先生こっちだ!」
"わ、分かった!"
俺達を追ってきたらしいアルちゃんから鎧を脱いで顔が隠せなくなってる俺と同じく顔が割れると立場的にヤバい先生は慌てて傍にある木の陰へと身を隠す...全くヘルメット団だけじゃなくどうやらアビドス組の連中はアルちゃん達便利屋68とも何らかの因縁があるらしいが、アビドスを潰そうとしてる連中にでも雇われたのか?一自治区の学園を潰そうとしてる連中に雇われるとは前の時といい雇い主の引き運悪くねぇか?アルちゃんよぉ
「はぁ、はぁ......あぁ、心配しないで!私は敵じゃないから!」
息を切らせながら追い付いてきたアルちゃんは、敵意が無い事を伝える為か両手を上げて武器を持っていないのをアピールしながらホシノ嬢達へと近付いて来ていた
「...で?アルちゃんのトコと何かあったのか?」
"う、うん。彼女達は以前何処かから依頼を受けてアビドス高校の引き渡しを要求してきてね..."
「学校の引き渡しだと?やれやれ、また上手い事使われてんのか...まぁ、人が良いからなアルちゃんは。其処が嫌いじゃねえんだがよ」
"アルマは彼女達と知り合い?"
「"依頼払い"の話は覚えてるか?不良連中以外にアルちゃんもあのシステムをよく利用してくれる上客でな、個人的な付き合いもある...アウトローになるのに憧れてるんだが断じて悪事に手を染める様な悪い子じゃあねえ、矛盾してるんだが根が良い子だから雇い主に良い様に使われちまう場合が多々あるんで間が悪いというか運が悪いというか...」
"...かなり親しい間柄みたいだね。私もアビドスの皆も彼女達とはあまり争いたくないんだけど、アルマの力でどうにか説得出来ないかな?"
「そりゃ俺に商談から無条件で手を引けってのと同じ意味だぞ、先生?法律と規律に縛られないハードボイルドなアウトローにして金を貰えば何でもこなすのが便利屋68って組織だからな」
"むぅ..."
「―――但し、だ。状況次第では信頼には信頼で報いる場合もあるからあの子達の雇い主に不義が見られればアル社長の号令の元先生達に味方してくれる可能性もある。悪いが多少面倒を掛けてしまっても許せそうな時は許してやってくれや」
"確約は出来ないけど、アルマがそう言うならもう少し様子を見る事にするよ"
「頼むぜ先生、苦労させた分だけアルちゃん達が味方になってくれた時の頼り甲斐は実際に味わった俺が保証するからよ」
『あ、あの...先生、アルマさん。お話は終わりましたか?』
「一通りはな。で、アルちゃんは何の用事で追っかけて来たんだ?」
『そ、それが...私達の銀行強盗の手際の良さに感銘を受けたとかで、名前を伺っても良いかと今聞かれてます...』
"―――えっ?"
「...あー、アルちゃんはそういう子だったなぁ」
いや銀行強盗の場に居たのかアルちゃん、窓口に短い間しか俺居なかったし伏せてたのか全然気付かなかったけども確かに見てれば憧れちゃうかなぁ?前店で一緒に見た映画のビデオもメッチャ楽しんでたしそりゃ感銘も受けちゃうかぁ
「何というか、ハードボイルドな映画とか小説とかが好きな子でな...自分もいつかそういうアウトローになるのを夢見てるから今回の一件もこう、輝いて見えてたんじゃあねえかなぁ?」
"何となくアルマの言いたい事は伝わってるから大丈夫だよ、心配しないで"
「なら良かった...んじゃあ、俺とは此処でお別れだな。この後はアビドスに帰るんだろ?」
"うん、皆もそろそろ逃げるだろうしね"
「んじゃこれ渡しといてくれ...万屋アルカとアビドスの間の誓約書に今の時点で考えてるプランを同封してる。先生もアヤネ嬢も後でしっかり見といてくれ」
『はい、分かりました...あの、もし成約した場合の連絡先はどうしましょうか?』
「仕事用の電話番号とモモトークの通話先も書いておいたから其処に頼む...先んじて言っとくと支度とかもあるから明日にでも向かうから、それまでに是非の返事だけは宜しくな?」
"お、思ってたよりも早く動いてくれるんだね..."
「イッヒッヒッ、商売の話は俺が一番好きな話だから早めにしときたいんでなぁ♪あ、アビドスお勧めの名物とかあれば返信序に是非教えてくれよ。ウチの店の連中にも薦めるからな」
『なら柴関ラーメンがお勧めですよ?とても美味しいので私達もよく通っていますから』
「ラーメンか...良いねぇ、是非行くとするよ」
"その時は歓迎するよ"
『私達も歓迎しますからね...あっ、先生皆が逃げて来るようです!』
"了解。じゃあアルマ、また今度"
「おう、先生もな」
書類入りの封筒を手にした先生とアヤネ嬢のドローンに別れの挨拶を告げ、俺と先生達はそれぞれの居場所へと帰って行く事にした
「...あれ、ヒフミ嬢何処行った?」
別れてから少しして気が付いたんだが、何故かヒフミ嬢はそのままアビドスの連中に付いていっちまったらしい
...大丈夫かねぇ?セイア嬢やミネの奴を預かってるが為に今のトリニティの内情が結構複雑な事になってるのを知ってるから、あんまブラックマーケットに行ったりアビドスに行ったりして変な疑いをかけられなきゃあいいんだがなぁ...
◇◇◇
(...ホントに砂に都市が埋もれてる感じになってるな、何がどうなったらこんな大災害が起きるんだか)
闇銀行強盗事件の翌日、俺"達"は3台の装甲車に乗ってアビドス高等学校を目指して移動していた
今回はゲヘナの時と違いアビドスでの現地調査も考えていたので俺一人では手が足りないし、前のゲヘナでの一件やつい昨日の騒ぎを知らされたうちの店の子達が俺の護衛にと志願し調査メンバーの子達も合わせて総勢13名という小規模な小隊程の人員で向かう事態になっちまった...ホシノ嬢達に警戒されねぇかなコレ?
一応向かう前に人数と主な人員の簡単なプロフィールに俺達の存在を表す信号の番号もアヤネ嬢に送ってはおいたから大丈夫だとは思うんだがな
「店長、進路はこのままでいいですか~?」
「おう、2号車3号車も後に続いてくれ。調査は長い時間かかりそうだし先ずは腹ごしらえしてからだ...柴関ラーメンとかいう店が薦められたし其処に向かおう。あ、それと全員好きなメニュー頼んでいいからな?替え玉にトッピングもじゃんじゃん頼めよ~、俺が許ぅす」
「「「『『了解~♪』』」」」
奢りと聞いて店員の嬢ちゃん達は御機嫌な様子で車両を進めてくれる...まぁこん位の贅沢はさせてもいいだろう、これから行う調査は結構掛かりそうだし今の内に英気を養わせるのも上の役目だ
「えへへ、噂に聞いてたので楽しみですねぇ~」
「うんうん。外食も久しぶりだし一杯食べるよぉ~!」
「ラーメンだけにぃ?アハハハッ」
「...二杯も三杯も食っても構わねぇが、食い過ぎて身に付けねぇ様になぁ?」
「「「店長それは言わないお約束ぅ!」」」
「イッヒッヒッ!冗談冗談...ま、俺もお前等と飯を食いに行けると思うと楽しみだったんだ。今日はしっかり食っておけよぉ?」
「「「はーい!」」」
―――決して、個人的にこいつ等との外食を楽しみにしてたとかは無いぞ?特盛煮卵追加にチャーシューマシマシの奴を頼みてぇなとかは断じてねぇからな!
―――――――
萬屋アルマ
銀行強盗を終えて一息ついていたら友人が追い掛けて来てて少し慌てた武器商人さん
アビドスと便利屋68が揉めてるのを此処で漸く把握した...ヘルメット団だけじゃなくアルちゃん達も雇われてドンパチしてたのかよ、雇い主の目的は何だ?
アルちゃん達とは仲が良い為余りアビドスとは揉めてほしく無いのが本音である
アビドスの財務状況改善案を現状幾つか用意しており、その前準備をする為にもアビドスに乗り込む事に...勿論今後の商売のネタとなるものを調べる目的も合わせている為提案する内容はかなりホワイト寄りなものになっている。どう使うかは少しだけグレーになる部分に踏み込むかもしれないが、基本的には調べられても問題ない形に落ち着く模様
流れでヒフミとは途中で分かれてしまったが、もしアビドスまで行っていればヒフミの行動を弁護はしてくれた...今のナギサ様がそれを聞いてくれるかは不明だが
このタイミングで柴関ラーメンに行くという事は...?
先生&アビドス組&阿慈谷ヒフミ
本来ならばカイザーローンとヘルメット団が裏で繋がっていた情報を入手出来た程度に終わってしまうのだが、予想外な所から助けが得られそうな流れに
先生としてはお金の話でもあるしアルマに相談するのも視野に入れていたが、それ以上のものが出て来て喜んでいる。アルマだし変な提案はしないだろうという安心もある様子
アビドス組としてもこれからどうするか悩んでいた所に助け船が来た事に驚いているが、借金返済の手段を得れるだけでも大助かりなので皆で相談し受ける事に
誓約書の内容も至極真っ当な内容だったのも後押しした...未だにホシノは警戒しているが、後にこの誓約書による恩恵を一番に受けるのは彼女となる
そして流れでそのままアビドスまで行ってしまったヒフミは本来の流れのままにナギサ様から疑いを掛けられる事に...ど、どうしてですかぁ...
陸八魔アル
アルマが手引きをした為に本来よりもアビドス組が素早く脱出してしまった為少しだけ追い付くのが遅れてしまい覆面水着団幻の№6を見る事が叶わなかった、残念...
アルマの店とは関わり合いが深い上親友にして恩人でもある為かアルマから先生に向けてかなりのフォローが成されている
万屋アルカの店員モブちゃん達
アルマの店の店員モブちゃん達でゲヘナやトリニティに加え最近はブラックマーケットの不良達も交えた混成部隊となっている
今回は戦闘になる可能性も視野に入れられている為動き易いデザートカラーの服装の上に店のボディアーマーを着用するという傭兵や民間軍事会社風スタイルにて参戦
戦闘能力は其処らの不良相手なら同数で圧勝し倍で有利、3倍で拮抗と中々腕が立つがネームド相手にはちょっと手強いモブちゃん程度の実力
士気や忠誠心は高く、アルマが率いている場合只のモブと思うと痛い目を見る事も
武器はAR・SMG・SR・SGが多くサブにHGと応急手当用にハーブ医療品を数個持たされており、中にはRPGを使う子も居たりする
大好きな店長とのお出かけとあり小隊の参加資格は争奪戦となったらしい
結果的にくじで決めたもののアルマの乗る1号車の席は2度目のくじ引きを行わないと殴り合いになる未来になっていたとか
ライブセレクション「カイザーPMC基地正門」
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『このまま対策委員会と進む』表ルート
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『後続部隊を待つ』暗躍(裏)ルート