透き通る世界の武器商人さん(ちゃん)   作:狐の行商人

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チャプター0 ブラックマーケット~廃墟街

(...誰かが後を追ってきてやがる、か)

 

何時もの様にハーブを元にした医療品各種をブラックマーケットで薬を売り切り、軽くなった背負子に食糧や雑貨を乗せて仮住まいとした廃屋へと帰路につく最中それに気付いた

 

自分が歩いていくにつれそれを追う様に何人かが後を追い掛けてきている気配を感じれたのは、元々男が同族にさせられたガナード連中やあの教祖共から隠し続けてStranger達に品物を売り続けた際の経験と本人の勘働き、そして此方の世界に来てから前世以上に鋭くなった五感と身体能力の力が大きかった

 

同時に、帰路という周囲の状況を見て回れる余裕が生まれるこの段階まで監視されている気配すら感じなかったという点で既にその辺の不良やチンピラ等と比べると追手はこういう仕事にかなり慣れた相手だというのも理解した...つまり

 

(素人じゃねえな、傭兵かPMC辺りか?どっちにしろ手慣れてる連中が出て来たって事ぁ余程俺の事が気に食わねぇ連中にでも雇われたってとこか)

 

思わず溜息が出ちまいそうになった

こうなる可能性は見越していたのである程度稼いだら本格的な家兼店と多少人手を雇用して他の組織から手出しされにくくしていく計画は立てていたんだが、それを満たしつつある今の時点で仕掛けられたのはかなり都合が悪い

俺はあくまでも武器商人で、何処かの戦闘が得意なエージェントやスパイじゃねえからな

自衛が出来るというのは不良やチンピラ共を蹴散らしてきたんだから出来るが、この世界の上澄み連中に出て来られたら正直逃げに徹した方が最善だろう...逃げる事と重いもんを背負って移動するのには慣れているから余程じゃ無ければ何とかなる筈だ、その為の切り札も用意している

…まぁそれでも駄目な時は

 

(...やるしかねぇよなぁ)

 

今んとこ手持ちの武器はライオットガン以外にも幾つかあるから戦えなくは無いがそれは最後の手段だ、先ずは全力で逃げに徹する為に一度路地に入りそこから一気に走り出す!

追手も俺が全力で逃げ出したのを察したのか追い掛けて来るが、時折路地に置いてあるゴミ箱や積んである木箱なんかを適度にばら撒いたりしながら右に左に急に曲がる事で撒きにかかる

こういう路地裏は前世でも袋小路も多いが村人や信者達相手に逃げるには向いてたんで、もしもに備えて活動する範囲内の地理は頭ん中に叩き込む様になっている

 

(後はここを曲がって真っ直ぐ逃げりゃあデケェ道路がある!其処でトラックなんかに飛び乗るか人混みに紛れ込んで追手をッ!?)

 

かつての経験を生かして逃げ続け、角を曲がり眼下に倉庫街がある小道を走り正面の大きな道路に向かっていた武器商人は、不意に側頭部に大きな衝撃を受けてぐらりと視界と身体が傾く...何が起きたか分からずブレる視界の端、高いビルの屋上からほんの僅かに反射光が見えた

狙撃された、と気付き体勢を立て直さねばと思った時には既に自分の体はよろけたままの勢いで道から脚を踏み外し宙に浮き...そしてそのまま、武器商人は道下にあった古い木造の倉庫の屋根に落ち、大きな音を響かせながら屋根を突き破って中へと落ちていった

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「...危なかったね、社長。ムツキとハルカが追ってたけどもう少しで逃げきられる所だったし」

 

「あはは、まさかハルカちゃんと一緒に指定のポイントまで追い立てる筈があんなに大荷物持って主要道路の傍まで逃げられるとは思って無かったよね~」

 

「で、ですが流石アル様ですね。見事な狙撃でターゲットをこの倉庫の中に追い込む事が出来ました...」

 

「ふ、フフフそうでしょう?メインプランが駄目だった時に備えてのこのサブプランだったからね、これも全て想定内よ...」

(だ、大丈夫かしら?逃げられないように昏倒させようと撃ったら、結果的に結構な高さから此処に落としちゃったけど…)

「それで?ターゲットは逃げていないわよね?」

 

「今の所はね...聞いてる限り中で大きな物音もしてないし、案外気絶してるかも」

 

「なら、ちゃっちゃっとお仕事しちゃおっかアルちゃん?」

 

「社長と呼びなさい!...もう、中に入るわよ。ハルカ、開けて頂戴」

 

「はい、アル様!」

 

薬師が落ちたのは道路に面して倉庫が幾つもある場所であり、その一番奥にある木造の倉庫の前に、屋根に登ってジャンプした便利屋68の四人は集結していた

この倉庫は周囲を高い壁に囲まれており、出入りが出来そうな場所は彼女達が集結したこの出入口のみのようだ

薬師が逃げようとしていた道の出口にて待ち伏せしていたカヨコが真っ先に出入口前を抑えて他のメンバーが集まるまで逃がさない様に待っていたが、今の所中にまだ薬師は居るらしい

 

アルの指示で倉庫の錠前をハルカがショットガンで破壊し、左右の引き戸をムツキとカヨコが開けて中へと入っていく...中は少し埃っぽく、木材や大きなパイプが雑に置かれているが、アル達の真正面の木材の山は何かが上から落ちて来た為か折れたり木片が飛び散った形跡が見えた

そしてその残骸の山の中から出てきた後なのだろう、撃たれた側頭部辺りを撫でながら薬師が立っていた

 

(お、思っていた以上に頑丈な体してるわね...私の狙撃を受けたのに。ま、まぁそれならそれで安心したわ)

「さぁ追い詰めたわよ、薬師さん?...私達の事はご存知かしら?」

 

「いてて...薬師ってのは俺の事か?誰かに追われるような事したかねぇ?身に覚えは、まだあんまないんだがなぁ?」

 

「お生憎様だけど、そうでもなかったみたいだよ?私達に依頼が来る位には貴女は目立っていたみたいだよ」

 

「依頼?依頼で動く4人組でゲヘナの服装......便利屋68か!?成程なぁ生徒には生徒を...ってか?追手にアンタらを差し向けるとは余程俺の排除か身柄にご熱心らしいねぇ、いやぁ参った参った」

 

「!!?わ、私達の事を知ってるの...!?」

 

「そりゃあ、情報ってのは毒にも薬にもなるモンでな。商売柄ブラックマーケットについて調べる時に仕事を出せそうな所や喧嘩を仕掛けて来そうだとか激突しそうな連中なんかは凡そ調べてるのさ

構成員に組織としてのスタンスに最近していた仕事や取引の履歴なんかは俺の今後の商売の為にも色々と必要でな...アンタらはどっちかってぇと前者だったんだが、まぁこういうめぐり合わせになっちまった訳だが」

 

「へぇ~、便利屋68(ウチ)の事もちゃんと調べてくれてたんだぁ~♪やったねアルちゃん、覚えて貰ってるじゃん」

 

「覚えてくれてる相手が、今回の依頼のターゲットじゃ無ければ良かったんだけどね」

 

「うっ...そ、それはそう、だけれど」

 

「......あぁちょいと待ちな。ドンパチする前に一応聞かせて貰いてぇんだが、これの依頼主は誰で目的は確保なのか排除なのかどっちになるんだい?」

 

「ん?依頼主はブラックマーケットの販売メーカーで目的は貴女の排除らしいよ?あはは、私達に狙われるなんて運が無いね~」

 

「......そうかい闇市の販売メーカーが俺の排除が目的でアンタらにね...なら逃がしちゃ、くれねぇわなぁ」

 

「あ、当たり前でしょ!?こっちも依頼で来ているんだから!す、少しやりにくいけど覚悟して―――」

 

 

 

「大人しくアル様の仕事の為に犠牲になってくださいいいいぃぃぃぃ!」

 

 

 

 

「は、ハルカ!?一人だからって油断しちゃ」

 

―カチッ―

 

「えっ?」

 

ドゴォン!!

 

大きな爆発音と共に薬師に突っ込んでいったハルカが吹き飛ばされ、小柄な彼女は爆風と共にゴロゴロとアル達の方へと転がり戻ってきた

幸い爆発によって埃と煙を被っただけで主だった怪我は無いようではあるが、4人とも一瞬何が起きたのか理解出来なかった

 

 

「...ハルカ!?貴女大丈夫!?」

 

「えっ、何でハルカちゃんが吹き飛ばされてるの!?」

 

「分からない...地雷なんて埋める時間も無かった筈だし埋めてたら私が気付くのに...ッ!薬師が居ない!」

 

「ええっ!?」

 

「ニッヒッヒッ…俺は此処だぜ?」

 

ハルカの方へと全員の意識が向かったそのほんの一瞬の隙に、薬師は自分が落ちてきた天井の穴へと移動し彼女達を見下ろしていた

 

「高いツケを払わされたくはねぇから、今は逃げさせて貰うぜ...Chau(チャオ)!」

 

「っこの!」

 

「逃がすかっ!」

 

ムツキがマシンガンで、カヨコがハンドガンで天井を撃つが落ちて来るのは木片ばかりで薬師の姿は最早其処には無かった

 

「...ゴメン社長、逃げられた」

 

「......はぁ。まぁ、仕方ないわ。ハルカ、大丈夫?立てるかしら?」

 

「あう...すいませんアル様」

 

「いいのよ...ハルカが無事で良かったわ」

 

標的である薬師に逃げられた事に溜息をつきながらも、アルは吹き飛ばされていたハルカに手を伸ばし彼女が手を掴んで立ち上がらせると、服についた泥や埃を軽くはたいて落とし...特に目立った怪我が無いのに安心しながら最後に帽子の向きを整える

 

「でも一体あの爆発は何が原因なんだろう...今度追い詰めた時にまたアレを警戒しないといけないね」

 

「...あ、それ多分これが関係してるんじゃないかな?」

 

ムツキが拾い上げてアル達に見せたのは、筈と羽を残して他が全て砕け散ったような矢…否、ボルトであった

 

「これは、矢かしら?何でこんなものが?」

 

「矢じゃなくてこれボウガンのボルトじゃない?多分これの先に爆弾が付けてあって、ハルカちゃんが近付いた時にドカーンって爆発する仕掛けになってたとか!もしそうなら結構面白いアイディアだよコレ!そういう使い方出来る武器があるんだぁ~♪」

 

「あぁ、だから設置した時に音とかあんまりしなかったんだ...待って、じゃあ天井に移動したのももしかして」

 

「矢に紐かワイヤーとかをつけてそれを巻き取って逃げた...って事ですか?」

 

「えっ、なにそれスタイリッシュ過ぎる...カッコイイ...!」

 

「...ハァ。気持ちは分かるけど社長この後どうするの?逃げられて時間経っちゃったしもう遠くに逃げられちゃってると思うけど、一応追いかける?」

 

「あっ...ま、まぁ今回は小手調べが出来たし新しい情報も仕入れられたから良しという事にしましょう!帰って仕切り直すわよ皆!」

 

いそいそと倉庫から出て行くアルを先頭にして、ムツキとハルカも外に出る

最後にカヨコが外に出ようとして...倉庫の中を一瞥した際に、視界にキラリと光る何かが目に入った

 

「...?」

 

目の錯覚かともう一度光が見えた所に視界を戻すと、やはり何か小さなものがキラキラと光っている

不思議に思ったカヨコはその光を放つ物体に近付きそれを拾い上げる...それは

 

「これは、宝石?」

 

淡いピンク色をした、小さな宝石であった

 

 

 

―――――――

 

 

 

武器商人

 

廃墟から廃屋にお引越し、早く店を開きたいが為に日当たりのよさげな所に移動するだけに留めた

庭先には大量のハーブが栽培されている...緑は兎も角赤と青と少量の黄色のハーブが栽培されている

キヴォトスに来てから稼いだお金で武器を改造している、今回はその1つとDLC「エイダ編(セパレートウェイズ)」におけるとあるアクションの組み合わせで危機を脱出した

 

尚現在の手持ちの武器はRE4のチャプター6(村長撃破後)辺りまで所有している設定です、本編開始後から徐々に強くなります

 

 

 

便利屋68

 

思ってた以上に逃げ足早いし逃げ方上手くて逃げ切られそうになったが何とか追い詰めた…と思ったら逃げられてしまった

自分達の名前を知っていてくれて嬉しいけど今回の仕事の対象なので少し戦いにくいなぁ…と思ってたらこれだよ!

 

カヨコはスピネルを1つ拾いました

 

 

 

スピネル(キヴォトス仕様)

 

武器商人がキヴォトスに来た影響か、スピネルが各地にランダムドロップするように(かなりの低確率だが)

一応売る事も出来るがその真価は…?




圧倒的なブラックマーケット票にびっくりしてます...先生との出会い何処にしようか

あと数話で本編に辿り着くといいなぁ...

ライブセレクション「カイザーPMC基地正門」

  • 『このまま対策委員会と進む』表ルート
  • 『後続部隊を待つ』暗躍(裏)ルート
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