透き通る世界の武器商人さん(ちゃん)   作:狐の行商人

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チャプター3 アビドス高等学校~アビドス自治区内公園

3000%という急激な金利の上昇、それによってアビドス高等学校に次回請求されるであろう借金の額は9130万円にまで膨れ上がったらしい...その原因となったのは、俺が情報屋(プロフェッサー)から聞かされていたカイザーの基地にホシノ嬢達が調査に向かった事に始まったらしい

と言っても、其処に基地がある事は聞いておらず先生がヒナ嬢から『アビドスの捨てられた砂漠でカイザーコーポレーションが何かを企んでいる』という助言を受けただけという状況から調査に向かってみようという形だったらしいが

その際に一応俺の方にも連絡を入れようとしたが...砂漠地帯を調査してる真っ最中に入れたのか電話が繋がらんかったらしい、間が悪いったらねぇな

 

"...アルマは砂漠の基地の事は知っていたかい?"

 

「いや?俺もついさっき調査してた土地の中で幾つか目ぼしい所を纏めた時、所有権を誰が持ってるか情報屋に聞いて初めて知ったが...其処で何かあったんだな?」

 

「...ん、私達は其処でカイザーコーポレーションの理事に会った」

 

捨てられた砂漠にて大規模な基地を発見したホシノ嬢達は更なる調査の為に接近し、それに気付いた基地の防衛部隊が現れて一触即発の状態になった

丁度そんなタイミングでカイザーPMCの基地に視察に来ていたカイザーコーポレーションの理事が基地内部から出てきた為基地の存在やその兵力規模、目的について問い質した所アビドス自治区内に埋まっているとされる何らかの『宝物』を探しているという返答が返って来た

そしてその『宝物』を探している際に何処かの集団に宝探しを妨害された時の自衛の戦力として基地や兵員を用意しているとの主張をされた、と...

 

「で?今度は向こうから私有地に勝手に侵入した件を問いただされ、カイザーPMC経由でカイザーローンに苦情が行って金利上昇。来月以降は利子の金額が9130万に跳ね上がったと」

 

「...そうなっちゃうねぇ」

 

「アルマさん、何かいい知恵は無いでしょうか...?」

 

「...ふぅむ」

 

ホシノ嬢達や先生、調査に付き合いそのまま対策委員会の部室にやって来ちまった店員ちゃん達の不安げな目線が全部俺に集まる

俺が此処に来るまでの間ホシノ嬢達はホシノ嬢達なりに何か対策を打てないかと論争してたんだろうが、その不安げな目線や表情から察するに”これだ!”という案は...終ぞ出なかったんだろう

 

まぁそれも無理からぬ話か。司法や商法なんぞを一生徒が深く知る訳もねぇしだからこそ、カイザー理事の奴は強気に出てるんだろう...だが残念だったなぁ、流石にここ数日でアビドスに加担する事になった俺の存在は予想の範囲外だろう?交渉事なら俺もちょいとばかし得意だから今度はおもてなしさせて貰うかねぇ、俺のはちょいとお企業さんのとは違って粗いんだがな

 

「この場で今直ぐどうこうは出来ねぇが...対案については俺の方でも用意しておくぜ、場合によっては先生に少しばかり"強引"なアドリブも頼むかもしれんから覚悟はしといてくれ」

 

"分かった、任せるよ...皆もいいかな?"

 

「ん。アルマの事、頼りにしてる」

 

「私の方でももう少し何かないか考えてみますが...アルマさん、宜しくお願いします」

 

「是非是非、良いアイディアをお願いしますねぇ~」

 

「一時はどうにかしないと、って焦っちゃったけど...ホント、アルマが協力してくれる事になって良かったわ」

 

 

 

 

 

「......なぁ、一応俺ってブラックマーケット在住の武器商人だよな?なのに何だこの期待値の高さ?」

 

「え、だって店長って言動がちょっと紛らわしいというか胡散臭い所があるだけで実際は滅茶苦茶いい人じゃないっすか」

 

「うんうん、元不良の私等を正規雇用してくれたり福利厚生?もちゃんとしてくれますし」

 

「後は普段の行いなんじゃないっすか?窮地に駆け付けて助勢したり入れ込む理由あんま無さげな私等やアビドスの連中にもこうしてあれこれ面倒見てくれるんすから当然の評価じゃないんすかね?」

 

「なんで順当っすよ順当」

 

「...別に、好きでやってるだけなんだがなぁ」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

『...ほむ、中々面白い情報ですねぇ?カイザーPMCはアビドスの捨てられた砂漠で"宝探し"をしているのですか』

 

「らしいぜ?大方やってるのを隠してる伏せ字の一種だとは思うがな」

 

『何ともまぁ、暇なものですねぇ...態々隠れて基地まで設営して探す程の価値があるものなのでしょうが、私や風紀委員長にその情報が露見している程杜撰な管理体制では大方見つけた所で彼等には扱えぬ無用の長物の可能性すらあるというのに...』

 

「さてな...お前さんはどうだい?一大企業たるカイザーがあれだけ本腰入れて探しているお宝だ、興味はないのかい?」

 

『私はデスクワーク専門なのですよ?あるかないかも分からない上に、使えるかすら定かではない代物に期待して現場に赴く程暇ではありませんし...今はこうして裏から貴女に助力している方が中々と各地の情報を見られて面白いので、暫くは観客席から見届けさせて貰いましょう♪』

 

「ちっ、お前さんがいりゃあ俺ももう少しは楽が出来るってのに...」

 

『残念でしたねぇ...まぁ貴女がいれば今回のアビドスという舞台には私が介入する必要はないでしょう、であれば情報屋は情報屋らしく貴女の欲しがっている情報を仕入れて差し上げるとしましょうか』

 

「それに見合った報酬額は用意しとくぜ」

 

『ふふ。ギブ&テイクをきっちりと果たしてくれる貴女の事は大変評価しておりますので、楽しみにしていますね...ではまた何かお悩み事があれば私にご相談を』

 

「ああ、良い夜をな...」

 

店に残って店長代理をしてくれてるアキ嬢との定期連絡の後に幾つかの裏取りと情報収集の為に情報屋と連絡していたスマホの通話を切り、本体を懐に仕舞い込む

既に日も落ち月明かりが周囲を照らす時刻になりつつある中、アビドス自治区にある小さな公園に呼び出された俺は呼び出した張本人の到着を待っていた...本人からの連絡では夕方に此処に来て欲しい事であったが、日が落ちるまで待たされるとは思わなかったぞ?

 

「うへぇ~...ゴメンゴメン、随分と待たせちゃったねぇ~」

 

「全くだ、まさか日が落ちるまで待たせるとはな...先生にでも呼び止められたか?」

 

「あはは~、正しくその通りだよぉ~...いやぁ~参っちゃうよねぇ~」

 

「あ~...俺も似た様な経験はあるからなぁ、別に怒っちゃいねぇさ」

 

俺を呼び出した張本人、小鳥遊ホシノはペコペコと頭を下げながら漸く待ち合わせ場所である公園へと漸く馳せ参じて来た

どうやら此処に来る途中で先生に呼び止められたらしくかなりの時間拘束されていたらしいが、何があったのかまでは聞かないでおくとしよう

 

「で?俺とサシで話をしたい...だったな?シロコ嬢や先生がいる場じゃあ聞きにくい話なんだろう?こうして俺だけを呼び出すなんてな」

 

「まぁね。要件は2つだけだから多分そんなに時間はとらないよ?」

 

「そうかい...じゃあ其処のベンチにでも座って聞くとするか、俺は飲み物買うがホシノ嬢はどうする?」

 

「奢ってくれるのぉ?うへへぇ、ありがと。温かいココアで宜しくねぇ」

 

 

 

 

 

買って来た温かいココアを手渡し、俺も缶コーヒーの蓋を開けて一口飲んでホシノ嬢が話し出すのを待った

ホシノ嬢もまた一口ココアを飲んだ後にゆっくりと話し始める

 

「ん、じゃあ先ず1つ目の話なんだけど…この前の風紀委員会との衝突の時に皆に加勢してくれてありがとう。あの時シロコちゃんや先生にはああ言ったんだけど、ホントは私ちょっと別件で立て込んでて中々来れそうになくてねぇ…だからアルマちゃんが手を貸してくれて助かったよぉ~」

 

「なぁに気にすんなよ、先生の事は気に入ってるしシロコ嬢達も皆いい子達で将来のお得意様だ...契約上もあの子達の面倒をきちんと見てやるって条件で結んでおいてあそこで知らぬ存ぜぬは俺の信義に反したしな」

 

「―――契約、かぁ...」

 

「...あん?」

 

「い、いやいや何でもないよぉ~?ちょおっとねぇ~、うへへぇ」

 

一瞬『契約』という言葉に何か引っかかった様子のホシノ嬢であったが、直ぐに誤魔化すかのように顔の前に両手を出し小さく左右に振るう。その動きそのものがかなり怪しいんだが、大方俺が今聞いた所で語らねぇだろう

未だ警戒はされているだろうしな...

 

「そ、それよりも2つ目の話だよ!正直、こっちが私が君に聞きたかった本命なんだよねぇ...」

 

「大抵の事には答えるつもりだが...何だ?」

 

「君はさ、なんで私達を...アビドスを助ける気になってくれたのかな、ってさ」

 

「...」

 

「ブラックマーケットの時はさ、先生に頼まれて情報を提供した後にヒフミちゃんの事が心配でついて来てくれた訳で今回の手助けは君の商売の為だってのは私も知ってるんだけど...それにしてはかなり肩入れが過ぎる様な気がするんだよねぇ。

 

 砂の回収は土地の所有権があって現状採集出来なくなってるし他の案についてもかなり気長な話になるみたいだからアルマちゃんは暫く損をするだけ、なのにきっちりと面倒を見る約束まで契約書に書いたりしてさ...商談の為とは言えちょっと譲歩し過ぎじゃないかなぁ?ってねぇ~...だからさぁ?」

 

それ以外にも何か、理由があるんじゃないのぉ?とでも言いたげな視線を向けられた俺は頭を右手で少しかきつつため息をついた...ホシノ嬢の指摘が、ばっちりしっかりの図星だったからだ

 

「先生がホシノ嬢達を気に掛けてるからってのも...まぁ、あるんだがな。だがそうだな、ホシノ嬢の言う通り他にも理由があるぜ?ただよ、あんま聞いても面白い話じゃあねえぞ?俺がこのキヴォトスに来る前の話だしな」

 

「キヴォトスに来る前...って、アルマちゃんって外の世界に居たの?」

 

「ああ、先生と同じさ...先生と違うのは俺は日陰者で先生は日向で暮らしてたってトコか。まぁ、外の世界で色々とやった御蔭で外には居場所が微塵も無くなっちまったからこうして境遇の似た生徒を集めてのブラックマーケット暮らしになってるんだがな...何だよ?外の話とアビドスを助ける理由になんの繋がりがあるのかって顔してんなホシノ嬢?まぁ聞きな、これから繋がって来るからよ」

 

そう言って大分冷めて来たコーヒーに口を付け、喉を潤しながら『あの時』の事を思い出す...Stranger達が村に来る前の、あの悪夢の事件の前日談だ

 

「...俺もな、外に居た頃に大人に騙されてヒデェ目にあった過去があるのさ」

 

「―――ッ!?」

 

「外の世界で商売をしてた時に取引相手に騙されちまってよぉ...商品の代金は支払われねぇわ、今まで住んでた居場所は失う破目になるわで散々よ。オマケに世話になってた村もそいつ等のせいで滅茶苦茶にされちまってな...いい、村だったんだこれがよ

 

キヴォトスじゃロボやら高層ビルやらと近代的なモンばっかあるが、その村はいかにも自然の中にあるド田舎ってぇ感じの雰囲気でよぉ...武器商人として生きてた俺には全然不釣り合いな所だったさ

農業や酪農を営んでる静かで平和な村でな、何時も立ち寄ると都会では其処ら中で売ってる様な安い品物をさも高級品みてぇに目を輝かせて見に来やがった

 

真新しい農具なんかを買い求める豪快な農家の連中、食べ慣れないあめぇキャンディやチョコなんて菓子の数々にはしゃぐガキ共やそんな様子を微笑まし気に見ながらに割安の化粧品に手を伸ばして買い求めるご婦人方...都会の酒や茶葉を楽しみにしてくれてたご長老衆と、皆気の良い住民だった

 

そんな居心地のいい場所は、悪意ある連中に目を付けられちまってなぁ...そいつ等が好き勝手やってくれたお陰で今じゃあ住人は誰も居ねぇし、里は汚染されて誰も故郷に帰れずに居るらしい。俺もその煽りを受けて住所不定の身元不明、で心機一転の為にこうしてキヴォトスにやって来たって訳よ」

 

...流石にバイオハザードが起きて住民共は皆人の形を残しただけの化け物になっちまったとは例え先生相手でも口が裂けても言えねぇから大分暈しちゃあいるが、大体は本当の事だ

あの教祖やサラザールのクソガキのせいで俺もあの村の連中もヒデェ目に合わされたのは事実だし、ああいう大人共に子供が振り回されるのは気分が悪いもんだしな

だからまぁ、何だ...商売をしてぇのもあるが、大人の悪巧みに振り回されているホシノ嬢達を見過ごすのも元大人として良い気分にゃあなれねぇのさ

 

「ま、そんな過去があってな...カイザーの連中に好き勝手されてるアビドスの事はちょいと他人事とは思えねぇ所があって手を貸してるんだ、商売や先生に頼まれた以外の理由としてはそん位かな?どうだい、少しは納得して貰えたか?」

 

「―――ああ、うん、そうだねぇ~。最初に会った時よりは、大分マシになったかなぁ。大分変わった感性の持ち主だとはまだ思ってるけどねぇ」

 

「オイ、酷くねぇか?」

 

「やぁ~、身元がバレない為とはいえ全身甲冑で参加するのはちょおっと常識じゃあないかなぁってさぁ~」

 

「どうせ中に突入する計画だったしあん時はアレで良いじゃあねえか!狭い所で戦うにゃああの頑丈さが有効だったし身元何てあの鎧が全身覆ってたから絶対バレねぇっての!」

 

「だからって普通あれ選ぶかなぁ~?もうちょっとこう、何か無かったのぉ?」

 

「かぁ~、分かってねぇなぁホシノ嬢はよぉ。いいかぁ?あの鎧はちゃんとした由緒がなぁ」

 

「それについては今度ゆっくり聞くよ~、ほらぁ今日はいい時間になっちゃったしねぇ」

 

「何ぃ?...ちっ、確かにもうこんな時間か」

 

「今日は此処までだねぇ、私も聞きたい事も聞けたしここでお開きにしようよ~」

 

「礼を言われて質問されての過去語りをしただけなんだがな、俺は」

 

「まぁまぁ、そう言わずにさ~」

 

「...ハァ、仕方ねぇ。続きは後日だな...ちゃんと今度は最後まで聞いて貰うから覚悟しとけよ?じゃあなホシノ嬢」

 

「...うん、じゃあねぇ~アルマちゃん」

 

結局の所今夜の2人だけのお話はホシノ嬢に礼を言われて過去を掘り出されるだけに終わったな、まぁこれで少しは俺に対しての警戒を解いてくれりゃあいいんだが...

 

 

 

 

 

"明日"にならねぇと分からんなぁ...全く、ままならねぇもんだ

 

―――――――

 

萬屋アルマ

 

どんどん好感度が上がってる先生&シロコ達に対して困惑している武器商人さん...いやまぁ、あの騎士団長よりも緩やかだけどさぁ、俺一応武器商人なんだが...?

 

また今回の話でアビドスへの手助けが何だが手厚いのは自分自身がかつて『ロス・イルミナドス(教え導く者達)』によって非人道的な行為を受けた挙句、あまつさえ付き合いのあった寒村地域一帯を地獄へと変えた"大人"達の事を思い出す為というのも要因の1つである...大人の都合でガキが被害を被るなんてのは、流石に見過ごせねぇよ...

(この辺りに関しては今の所本人は気付いていないが、レオンやアルちゃんの影響も勿論ある模様)

 

馬鹿正直には言えないから誤魔化しはしたが...これでちっとは信頼して貰えたかねぇ?

 

 

 

"先生"・砂狼シロコ・十六夜ノノミ・黒見セリカ・奥空アヤネ

 

現状原作よりも多少は心にゆとりがある面々...カイザー理事のせいでかなり追い詰められてるけど、まだ何とか立て直せる筈!

ブラックマーケットの件以降好感度が上がる事しかしていない(借金返済計画への協力、風紀委員会との戦闘に参加、その後の調査や今回の高額化した借金問題解決への対策の検討等)のでどんどん信頼度が上がっている

 

 

 

情報屋

 

アビドス砂漠にあるお宝に関しては現状興味無し...本当にあるかどうか分からないものなんて、はっきり言って無いも同じです

 

それよりも今はアルマへの興味が強く、給料の支払いはいいし行く先々でトラブルに巻き込まれるし自分の事に関しては不用意に踏み込んでこない所が好ましい様子...ふふふ、これからも私を楽しませてくださいね?

 

 

 

 

モブ店員ちゃん達

 

うちの店長頼りになるでしょ?(後方自慢顔)

 

 

 

 

 

小鳥遊ホシノ

 

先生やアルマにすら隠し通したがアルマの話を聞いたが為に現状メンタルが原作以上に複雑かつヤバい事になってしまっている...聞くんじゃ、なかったかなぁ...?




こういうシリアス?めな話は苦手で何時も以上に時間掛かっちゃいました...楽しみにしていた方、お待たせして申し訳ない

ライブセレクション「カイザーPMC基地正門」

  • 『このまま対策委員会と進む』表ルート
  • 『後続部隊を待つ』暗躍(裏)ルート
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