透き通る世界の武器商人さん(ちゃん)   作:狐の行商人

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チャプター0 崩壊する聖域~ブラックマーケット後半の時間軸からの続きとなります、ご了承ください


チャプター1  万屋『アルカ』店内1

「依頼通り、トリニティの生徒は無事に送り届けて来たわよアルマ」

 

「サンキューサンキュー、いやぁアルちゃん達が即座に受けてくれて助かったぜ。俺が送ってやれれば良かったんだが、今日は店員俺だけだから席外せなくてなぁ...ほい、依頼料な」

 

「貴女には色々仕事を融通して貰ってるし、これ位はね。今は依頼も無い時だったから丁度良かったのもあるけど.....えっ、ただの短期護衛依頼なのに何か報酬が多くないかしらこれ?」

 

「急な依頼だったしな、色は付けさせて貰ってるぜ。おっと、もう金は渡しちまったし中身もアルちゃんが確認したんだから減額とか受け取れないとかは無しだぜ?イヒヒ」

 

「あはっ、逃げ道塞がれちゃったねアルちゃん?」

 

「でも今この額の報酬貰えたのは正直助かるから、ご好意に甘えておこうか」

 

「そ、それがいいと私も思いますよアル様...こうなったら梃子でもアルマさんも譲らないですし...」

 

「んん~、ハルカちゃんもそこそこ俺の性格分かって来たなぁ」

 

店に来たトリニティ生徒の阿慈谷ヒフミを送迎して貰う依頼から帰って来た便利屋68に依頼料を入れた茶封筒を渡したんだが、中身に入れておいた金額を見て少しアルちゃんが慌てて確認してきた

一応言っとくが正当な報酬金額だ、急な依頼に対しても迅速に対応してくれたしわざわざ4人全員での護衛依頼だぞ?色もつけるってもんさ...

 

ま、それに今うちで勤務してくれてる店員って実情ほぼ全員アルちゃんが紹介してくれた恩もあるからその辺も加算理由になってたりする

どういう事かというと、今まで便利屋68の依頼で出向いた先で結果的に雇用先から解雇されてしまった生徒だったり不良だったりに新しい就職先としてうちの店を紹介してくれたらしいんだが、彼女の人望あってか今店には短期間ながらかなりの応募者が来てくれた

お陰で此方も各所へ自ら出向いて販路拡大していく際に俺不在の店を任せれる体制が出来そうで非常に助かったよ...やっぱこういうのは人徳ある奴と知り合ってるってのがデカいと思ったよ

 

尚今日誰も店員が居ない原因はD.U.辺りで大きなスイーツイベントがあるって事で雇用した子達全員にボーナスやってイベント当日を休みにしちまった俺の自業自得である

イベント会場が開催と同時に大騒ぎが起きる位賑やか過ぎる世界だ、そういうイベントは楽しめる内に楽しめばいいと送り出したんだが...流行のスイーツの情報は調べてこいって言えば良かったか?まあいいかその辺は後で土産話がてら聞くとするか

 

「にしても、こうしてアルちゃん達と出会って早2月か。時の流れは早いもんだなァ」

 

「私としては、その2月で店を構えて店の噂も広がってる貴女が信じられないわよ。一体全体どうやって資金捻出したのかしら?」

 

「いやぁ~元々店を出す為に資金は集めてたんだが、ヨーンのお陰で大分短縮出来たぜ。そもそもここの土地と建物自体は連中が本拠地にする予定で建築途中だったもんだよ。頑丈な地上部分の5階建てを先に建てといて地下には訳アリ商品を隠すための搬入口付の地下倉庫が建築されてる途中だった良物件!それを他のマフィア共やヴァルキューレの連中がヨーン達からむしり取る前に、こうして俺がしっかりと慰謝料代わりに土地と権利書も合わせて確保した訳だがな!イッヒッヒッ!」

 

「うわ~、あくどいねぇアルマちゃん!...でも、その時に資金も纏めて頂いちゃえば良かったんじゃない?」

 

「たかだか建設途中の建物の書類が一枚無くなったのと、資金も合わせて盗んだんじゃあマフィアには恨まれるしヴァルキューレには目を付けられるリスクが上がるだろ?俺がどうしても欲しかったのはあくまで店を開ける建物とその権利だけ、金なんてこれから稼いでいくさ」

 

「何ともまぁ、商魂逞しいね本当」

 

「誉め言葉として受け取るぜ...で、カヨコ嬢の方はどうなんだい?"新調したデモンズロア"の使い心地に違和感とかねぇか?」

 

「全然。前以上に思った所に撃てるし反動も軽減されたし威力まで上がったのに、ちゃんとサプレッサーの消音も効いてるからね...いい仕事してくれたよ」

 

「当たり前だろ、ヨーンの奴は俺がハーブ栽培して医療品売ってるだけの薬売りにしか思ってなかったろうが、俺は武器商人(こっち)が本職だからなぁ」

 

あの日から武器商人としての活動を再開した俺は、打ち上げ翌日から早速行動を開始したのだが…その最初の仕事となったのがカヨコ嬢のハンドガンの改造だった

 

打ち上げの際の話だが、俺と始めて遭遇した倉庫にてカヨコ嬢は偶然にもスピネルを拾ったらしく俺の落とし物かと確認してきたのだ

最初はスピネルをキヴォトスでも見つけられた事に驚いたが、拾ったカヨコ嬢は敵対してた俺のモンかもしれねぇ宝石を売らずに取っておいてたらしく、もし俺のなら返すよと言ってくれた

が、俺としては拾ったのはカヨコ嬢だし好きに使えばいいだろうと思い使い道を色々教えてやったのだが、その中で彼女が興味を持ったのが『武器の特殊改造』だ

 

便利屋68メンバーの中では参謀役として活躍する彼女は、事戦闘となると取り回しこそ効くが戦闘に関してはどうしても他のメンバーの銃の火力に一歩劣るハンドガンが愛銃だ

そこん所を前々から気にはしていたが手に馴染んでいたものを変えるのもな…と思っていたらしい

本来ならスピネル30個とトレードして得た特殊改造チケットを提示し費用を支払ってから改造するのだが、スピネルをキヴォトスでも発見出来るという情報を知れたし今後もスピネルや雇用出来そうな生徒を見つけたらウチに来てくれると約束してくれたので今回に限って大盤振る舞いとしてスピネル1つで改造させて貰った

...決して、Strangerの武器を改造していた頃の勘を取り戻したいが為にカヨコ嬢の銃を弄った訳では無いぜ?本当だぞ?

 

改造の内容としては現在のサプレッサーを取り外して俺がハンドメイドしたものに差し替えて本人の希望である消音機能は出来るだけ維持しつつ、弾の威力を上げ反動を軽減する為にマズル周りもより高性能な物へと変更、更にグリップの骨子はよりカヨコ嬢の手に合うものへと取り換えた

結果的に弾数や射程はほぼ変わりなかったものの、反動も軽くなった上に弾の威力は上振れた良い仕上がりとなっている

 

新しくなったデモンズロアに合わせるように新調したホルスターをポンポンと軽めに触れながら笑うカヨコ嬢を見るに、俺の仕事の出来栄えは上々といった所か。こっちの方面でも今後は客を呼び込めるかもな

 

「カヨコの銃の仕上がり、私も見せて貰ったけれど中々のものね...武器商人が銃のカスタムも出来るものなのかは少し疑問だけれど。

でも、こうしてトリニティからも客が来るようになったのなら、気になるのは貴女の噂が各地に流れてるってとこね…噂が流れてるなら遅かれ早かれゲヘナの風紀委員会にもアルマの情報が届くでしょうね。今のままなら特に問題は無いとは思うけれど、怖いのは何らかのトラブルを起こした場合に風紀委員長に目を付けられるってトコかしらね...あっ、色々昔を思い出したら寒気が...」

 

風紀委員長の話をしながらどんどん顔色が悪くなってきたアルちゃんは余程例の風紀委員長さんがトラウマになってるらしいな...

ゲヘナには便利屋68以外にも温泉開発部に美食研究会といった他校にも(悪い意味で)名が知れた部活があるらしいのだが、これらに対処しているのはゲヘナの生徒会...ではなく風紀委員会らしい

寧ろ生徒会である万魔殿は風紀委員会と仲が悪く常日頃から対立していて、しかも治安維持には消極的で困っているとカヨコ嬢は溜息をつきながら教えてくれた。オイ秩序側のトップ組織どうなってんだ?

まあそんな状況下で、何とかゲヘナ学園が保たれているのはこの風紀委員会、特にその長である空崎ヒナなる人物が影響しているらしいが...

 

「俺としては未だに一個人である風紀委員長が戦力の半数を担ってるとか嘘だろ?って感じなんだよな。一個人がそこまでぶっ飛んだ戦闘能力あるのか?」

 

「本当だよ。各学園には学園を代表する特記戦力と言っても過言じゃない生徒が複数いる…ゲヘナは風紀委員長の空崎ヒナ、トリニティには正義実現委員長の剣先ツルギ、ミレニアムは個人名は分からないけどC&Cなんていう優れた武力組織があるって話は聞いたね。他にも私が知らないだけの隠れた実力者達は大勢居るだろうけど、表立って名前が出てるのはこの辺りかな」

 

「...カヨコ嬢が嘘言うとは、思えねぇな」

 

「私のヘッドショットを受けても平気な顔してたって言えば、アルマも怖さが分かると思うわ...」

 

「うっそだろオイ」

 

アレこのキヴォトスに来てから一番痛かった攻撃だぞ!?俺でも頭に瘤が出来る位には痛かった一撃を平気な顔してる奴に追い掛けられるとか確かにトラウマにもなるわなぁ

 

「でも本当にアルマちゃんも他人事じゃなくなったと思うよ~?ヨーン達の一件やあのハーブを使った医療品なんかの話でゲヘナだけじゃなくてトリニティもミレニアムだって目を付けてる可能性あるんだから。それにさぁ今は店を構えたんだから前みたいに身軽に逃げるって選択もしにくいし、向こうからやって来る目印にもなっちゃってるし」

 

「...まぁな。今となっちゃあ居住地こそブラックマーケットとはいえ店持ち社員持ちの身分だ、簡単に逃げ出す訳にはいかなくなったよ。社員達も食っていかせねぇとならん訳だし、何処かの学園とのコネも作っとかねぇと不味いか...なぁカヨコ嬢」

 

「何?」

 

「ゲヘナとトリニティ、ミレニアムにある部活について知ってる限りでいいから教えてくれねぇか?例え目を付けられたとしても、この店が存続してるのに価値が出てくるなら各学園の治安組織も早々手を出してこれねぇだろ」

 

「いいよ、私の知る限りで教えてあげる。また報酬に色を付けて貰いたいしね」

 

「...ったく、商魂逞しいのはどっちだっての。イヒヒ」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

カヨコ嬢から簡単ではあるが三大校の情報を聞き出し、代わりにアルちゃん達に頼めそうな依頼や仲介可能な幾つかの仕事の依頼書を提示したのだが...時間的にもう夕方だったし今から受けて向かって貰うのも申し訳ないので明日以降にまた来てくれる様な流れになって解散となった

事務所に戻るという彼女達を見送り、夕日が段々と地平線に傾きつつある店頭から店内へと戻る

 

「ゲヘナには生徒会としてパンデモニウム・ソサエティー(万魔殿)、傘下に風紀委員会...名の知れた部活としては殆どテロ組織みてぇな温泉開発部に美食研究会だったか?前者は兎も角として後者はウチと揉めるかもしれんなぁ」

 

店に戻ってギシリ、という音を立てながらレジの傍に置いた椅子に凭れ掛かりながらカヨコ嬢の説明してくれた三大校の大まかな組織図を頭の中で整理する

 

俺達の世界のハーブは医薬品として使える傍ら食材として使用しても全く問題ないどころか普通に美味い

俺のヘイローとなっているアンブレラが最初に起こした大規模バイオハザード現場となった『ラクーンシティ』ではハーブを使った料理が名物としても知られており、これを目当てに訪れる観光客も少なくなかったと聞く...とどのつまり、これが食えると知ったら連中が店に襲撃を仕掛けても可笑しくはない話なのだ

うちの店の店員はお世辞にも戦えるとは言い辛い、各地の治安組織の下っ端にも劣るだろう

 

(もっと防衛能力は上げとくべきだな...俺の手持ちの武器もさっさと量産出来る様にして彼女達に支給しちまおうか。アルちゃん達の依頼にうちの店員の戦闘訓練依頼も混ぜといたし、受けてくれりゃあ多少は俺が不在な時にも自衛が利くかな。正直アルちゃん達を用心棒に雇えればいいんだが難しいだろうなぁ、取引の護衛とかは頼めそうだがずっと店には居てくれないだろ)

 

以前調べた傭兵達や不良連中の中から雇用するか?と構想していると店の扉を誰かが開ける音がした

時刻も夕方から夜へと差し掛かってきてるのに来るとは訳アリか?と思った俺が客に目を向けて...予想外の大物がやって来た事に驚いた

 

桃色の十字が刻まれた看護婦帽子を乗せた水色の長い後ろ髪と顔の左右で編まれた三つ編み、髪色と同じく水色を基調とした天使の様な羽根、そして看護婦を思わせる様な服装には不釣り合いなライオットシールドを手に店の中に入ってきた彼女は俺の目線に気付いたのか此方に歩み寄り、レジを挟みながら俺と対面する

 

「ハスミに並ぶとも劣らない高身長に、猫の様な耳を生やしたロングパーカーの生徒...成程、貴女が萬屋アルマですね?」

 

「...トリニティからわざわざブラックマーケット、さらにはうちみたいな新参者の店に直接乗り込んでくるとは驚いたぜ?なぁ...

 

 

 

救護騎士団団長、蒼森ミネ...!」

 

こりゃあ他の店員達を休ませたのは、正解だったかもしれねぇなぁ...

 

―――――――――

 

萬屋アルマ

 

ヨーン達からちゃっかり建物を奪い取って自分の店にしちゃってた武器商人さん

ハーブ以外にも武器の製造スペースを得られたので手持ちの銃火器の量産と一部の上位の火器(RE4チャプター8まで)、武器の改造が可能になった

最初の仕事はカヨコのハンドガン、原作のサプレッサー付きのデモンズロアは魔改造され色はそのままに某アクションスリラー映画のP30Lカスタムの見た目へと変貌している

店を持った事で各方面から目を付けられても逃げる事が出来なくなったのでコネクション作りに専念する模様だったのだが...

 

 

 

便利屋68

 

ヨーンとの一件以来仕事を頼み頼まれたり、店員となる生徒を紹介したりされたりとかなり仲が深まっている

これがもう少し進めば便利屋ルートに分岐していたが今回はブラックマーケットルートのまま進みます

 

カヨコの銃が最初の魔改造の対象となり、HGという銃の都合上火力不足だった攻撃力が上方修正される事となる

今のアルマにとっては貴重な各学園の内情を知る情報源であり、恩義もある為格安で改造を請け負った

 

 

 

蒼森ミネ

 

アルマの店に現れた救護騎士団の団長、その目的は...

 

 

 

万屋アルカの間取り

 

1階部分が店となり2階から3階がアルマと店員となった生徒達の居住スペース、4階は事務所と武器医薬品製造スペースとなっており5階はまだどう使うか決めておらず空きスペース兼物置となっている

屋上には一面ぎっちりと各種ハーブが植えられて増産体制構築中

地下はB1階に店の商品が蓄えられている倉庫があり、この下へと今もなおアルマと店員達の手により秘密裏に拡張工事が続いているらしい

 

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