救護騎士団団長、蒼森ミネ
トリニティを代表する学園内の政治分派の一つである「ヨハネ分派」の首長も兼ねる傑物であり、トリニティの生徒会に相当するティーパーティーへの参加資格を有するとされているもののどういう訳か政治の場からは一歩引いた立ち位置に居る変わり者...と、カヨコ嬢には説明されたが、こういった形で相見えてみると成程と思わざるを得ない
手に持つ校章が描かれたライオットシールドにはしっかりと見ねば分からぬ程の細かい傷が幾つもあり、幾度とも無く鉄火場を渡り歩いてきた風格を醸し出す
更に彼女が所持している銃には見覚えがある...あれは俺が居た世界ではスカルシェイカーの名で知られたショットガンの同系統のものだろうが、此方もかなり使い込んだ跡が見え隠れしてやがるな
(つまりこのミネという生徒は、学園での政治的な事柄により生徒を守るよりかは現場で活動して護るを良しとするタイプの人間か?いいねぇ、そういう人物なら変に策謀なり陰謀なりする様な奴よりか好感が持てるぜ俺は)
しかしそういう立場の人物がウチに乗り込んでくるとは、強ちムツキ嬢の危惧してた可能性が現実になったという意味でもある訳だ...さて、そうなると目的は一体何だ?
「私がこうして店に来ている意味がまだ分からないと?」
「生憎俺は1を聞いて10を知る様な察しがいい様な人間じゃあ無いんでねェ、アンタが来たからって何で来たのかまでは流石に予測出来ねぇよ」
レジの前に正しく仁王立ちといった様子で椅子に座り続けている俺を見下ろすミネは、その返しに何が不満だったのか分からないがニコリともしない表情で話を続ける
「...では貴女に聞きたい事があります
トリニティでこの店の噂を耳にしました。食料品や日用雑貨に化粧品、武器に弾薬更には仕事の仲介をも行う万屋が此処だと」
「ああ、そりゃあ間違いない話だ」
「ええ、此処までならその様な店があるのか...です。しかし、この店では何でも医薬品も売っているのだとか」
「ふむ?確かにうちの店以外の医薬品も取り揃えてるが、一番の自慢はやっぱうちだけのメイン商品の――」
「そう、そのメイン商品です。確認させて頂きたいのですが貴女はそのメイン商品として売られているハーブを用いた医薬品をトリニティ生徒のみならず、ここブラックマーケットにて数多くの生徒の皆さんに販売されたとか」
「...うん?」
おや?何だか良く分からんが雲行きが怪しくなってきた気がするぜ
少なくとも人の話を途中でぶった切る様な要素は...あ、いや確かにハーブというのは明確な定義が存在しねぇもんだから医療関係者的には気になるよなぁ、薬以外にも料理の香り付けや保存料にも使うし防虫効果もあるからグリーンハーブは虫下しとして生で齧れば効果があると聞いた
だが例外として薬効が強過ぎて副作用のあるものや人体に有害なものも確かに存在しているから、その辺が気になって確認しに来たのか救護騎士団団長として。成程理解出来る
「――これは本当の事なのですか?」
「あー、まぁ確かに販売したな...だがまぁ俺のいた地元の話なんだが『そうですか、分かりました』いやちょっと話を」
聞いてくれ、と言おうとした瞬間にミネは手に持ったライオットシールドを勢い良く店の床に突き刺した
いや待て、ライオットシールドを?うちの店の床に?おま、お前...それそんな風に使うもんじゃねぇ、いやその前にコイツうちの店を壊して!?
「――私は悲しいです!!
この店で先程買い物をされたと言っていた生徒は両手一杯の商品を持ちながら、自分の好きなキャラクターのグッズを沢山買えた上に危険が無い様にとサービスで送迎までされた店の店主が、まさかその様な暴挙に及んでいると知れば悲しみますよ!」
「オイぃいきなり何の話だ!?てかうちの店の床をお前―――」
「商店なのですから物を売る、これは至極当然の話です...其処に問題はありません」
「おう話聞こうや?なぁ聞いて?聞いてくれませんかぁー!?」
「ですが!ハーブを主に用いたとされる商品にしては"医薬的効果が高過ぎます"!切り傷擦り傷に解毒作用、火傷や虫刺されにも効果を発揮し内服薬として使用すれば胃痛すら直すとは怪し過ぎるにも程があるというものでしょう!これだけの効能、ハーブ以外にも何かしらの薬品か薬物を混ぜ合わせて販売していると思わざるを得ません!それなのに売り手である店主の貴女が表示を偽り顧客に売るなどと...貴女にはどうやら救護が必要なようですね!」
「――ええい効能に関しては言ってる通りだから否定出来ねぇが、ハーブ以外に混入してる証拠もねぇのに疑ってかかるたぁ暴論だろうが!?」
てか何だ救護って、俺怪我してねぇのに必要か!?話も聞いてくれねぇしコイツ一体何なんだよ!?って待てオイ何でライオットシールド掴んでるんだよ!?
「蒼森ミネ、これより救護を開始します!――救護ォ!!」
ミネが叫ぶと共に襲ってきた凄まじい衝撃と痛みにより遠くなる意識の中、あ~これシールドバッシュされたかぁ?アルちゃんの射撃とは別次元の痛さだなぁ~...なんて呑気な考えをしながらも俺は意識を失った
「本当に、申し訳ありませんでした」
「...いや効能に関しちゃあ確かに疑ってかかられても仕方なかったとは思うがなぁ、もうちょっとこう...手心とかは欲しかったんだが」
伸びてしまった俺は、ミネの後について来ていたセリナとハナエという救護騎士団の2人に手当を受けていた
俺をぶっ倒したミネはそのまま後の事をこの2人に任せて俺のビルの上層へと向かい、医薬品を製造していた4Fへと突入して中を捜査していたらしい
が、俺が元々持っていたハーブを栽培して製造の流れを構築していたり新商品の開発を行っている場所だった為当然それ以外の何か怪しいものが出る事は無く、俺が意識を取り戻す頃にはばつの悪そうな顔をしたミネが待っており頭を下げて謝罪してくれた
頭を下げるミネから視線をそらし、自分を看病してくれた2人をちらりと見る
俺の視線に2人が気付いたのを確認し、ミネがまだ頭を下げたままなのも確認してジェスチャーを見せた
...あぁ、うんとても申し訳無さそうな顔して頷く辺り、これが常なのね?大変だな君等
でも此処まで視野狭くなる娘、俺初めて見たよ
「一応聞くけど、疑いは晴れたって事でいいかい?」
「はい。勝手ながら製造スペースをくまなく見せて頂きました、本当にハーブだけを用いた医薬品だったのですね...非礼をお詫びします」
「はぁ~...分かった。店の修理費を其方で負担してくれるのならその謝罪を受け入れるとしよう」
「ありがとうございます」
示談で済む流れとなったのに安堵したのか、ほっと溜息をつくセリナとハナエを尻目に俺は頭を上げたミネに対して問う
「―――で?話はそれだけって訳じゃあねえだろう?」
「...ええ。この様な事をした後ですべき話では無いのかもしれませんが、金さえ用意していけば欲しい物を売ってくれる店という噂も耳にしております。疑いが解消されてからでも商談には乗って頂けるかとも考えていたのは確かにありますね」
「まぁ金を用立ててくれるなら客は選ばねぇが、売るかどうかはしっかりと人となりを見て決めさせて貰ってるよ。初手で暴論かまして殴りかかって来られたのは流石に経験が無いが......救護騎士団だったか、アンタらなら売っていいぞ」
「えっ、いいんですか!?」
セリナだったか、ピンク色の髪の毛に看護婦帽子が驚いた様子で確認してきた
大方あんな事した手前拒否るか渋るかどっちかだと考えてたんだろうな、まぁ一瞬考えたけどもこの話を受けてもいい理由だってちゃんとあるからなぁ
「少なくとも経緯は一先ず50...いや100歩譲って置いておくとしてだ、結果的には救護騎士団の団長自らが部下も引き連れてうちに乗り込んできてこの店のハーブの販売には問題なしと判断してくれたんだ。品質保証としてはかなり信頼性のおける話になるし、此方としても売る際に救護騎士団から検査を受けた上で許可を得ているっていうメリットが出るなら俺がぶん殴られたのと店が若干破壊された問題には......目を、瞑るかぁ」
((今すっごい顔して苦悩してたような...))
折角店が出来たのに僅か2ヶ月で土台からぶっ壊されそうになったのは流石に怒りがこみ上げてきていたが、怒りを抑えて商談をすれば出る利が大きいなら何とか我慢するよぉ...でもなぁ店の床に小規模クレーターが出来てレジが全壊した店の出入口周りのド派手な惨状、店員の子達にどう説明しよう?救護騎士団が来たって言えば納得してくれるか?
「さてじゃあお楽しみの取引といこうか?救護騎士団団長ミネ、アンタは何を求めてるんだい?」
「では...例のハーブを使用した医薬品を救護騎士団、いえトリニティにも融通して頂ける様な枠組み作りをお願いします」
「ハーブ栽培の為に種を寄越せとか製造法を聞き出すとかは考えたんだがな...品物だけでいい、と?」
「トリニティにも医薬品を販売しているメーカーや企業があります、例えば専売を約束したり栽培技術を得てそういった所を追い出したりすれば無用な問題を生み出すでしょう...そういったものは望ましくありません。あくまで数ある医薬品の一つとして売り場に置いて頂きたいのです」
「成程な。別に治療に使う品物は俺んとこのハーブありきじゃあなく、きちんと使用する際の用途にあった品物を選んだ方が良いってえのは理解出来るぜ。
例えば風邪薬と総称される薬だな、用途を分けると熱を下げる薬に喉の痛みに効く薬にくしゃみや鼻水に効く薬と色々あるが、複数種の症状に対応出来る薬もあれば単一の症状にスッと効く薬もあるし服用回数に使用可能年齢と眠気なんかのデメリットを誘発する副作用があったりするからうちの店にも複数種類置いているよ。
一見風邪薬なんてどれも一緒に見えるが、蓋を開けてみればきちんと違いがあるってのは薬の奥深さだよなぁ」
「―――ッ!よくお分かりですね、その判断は間違っていません!
例えば此方に置かれている薬は熱がつらい時に飲むもので即効性が高く飲めば効果の発揮まで短い期間で済むのですがその実、眠気を誘発してしまうというデメリットがあるのはご存知かと思います!
対して此方のものは先程の薬より効果の高さはより強いのですが眠気を誘発する以外にも喉の渇きが早くなる上飲めない対象も拡大してしまう欠点があるのです!
副作用が控えめな物もきちんと用意してありますしシンプルな薬効を求めたものも取り揃えられているのは流石に店を切り盛りしている方ですね、そういった違いをご存知でしたか...!」
「アッハイ。一応、店を経営してるもんで...」
医薬品のマニアかこの団長?急に早口で熱弁振るうじゃん、オイ同族見つけた!みたいな目はやめようか団長さんよ。違うぞ?俺はあくまで商売人として品数を取り揃えてるだけで趣味も兼ねて集めてるだろう君とは違うんだぞ?察してくれないかなぁ?
...いや変に修正するのも面倒な事になりそうだし話すり替えるか
「み、店の経営と言えばなんだがよ、最近安定してハーブを栽培出来る様になったから医薬品以外にも加工していこうと考えててなぁ、ハーブティーやアロマなんて方向で試行錯誤してるとこでな」
「!?医薬品にとどまらずアロマやハーブティーにもなるのですか!?何という万能性...アルマさんハーブティーの方は是非完成したら試飲させて貰えませんか?紅茶にした場合のハーブの効能の変化も気になりますが紅茶としての味も非常に興味をそそられますので
何なら今度ティータイムをご一緒しませんか?貴女とは話が合いそうですし、是非ゆっくりとお話がしたいのですがどうでしょうか?」
「分かった分かった今度茶菓子持って紅茶をよばれに行くからそうグイグイ来るな!何トリニティ生徒は趣味に関係する話になるとグイグイ来るタイプ多いのかぁ!?」
駄目だコレは!トリニティでは紅茶が主流っぽいのは団長さんの反応見て分かったが得られる市場情報に比例して何か変にこの団長さんの好感度稼いでる気がする!変に目をつけられてるぅ!
でも商売の路線的には間違っていない選択をしたと思ってはいるんだ、幾らなんでも毎日大騒ぎが起きてストレスが溜まるであろうこのキヴォトスで簡単に癒しを求めれるのは何かないかと考えたらアロマの開発は実際有益になると考えてはいる
香りってモンは人間が生きてる上で呼吸をせざるを得ない関係上必ず吸い込まれる訳だが、アロマという形をとる事でウチのハーブの効能を微量でも得られるのは大きいだろうし元々がハーブだから値段は低コストで抑えられるししかもかなりいい香りがするんだコレ、ラクーンシティで料理にも混ぜられてたしハーブティーにして飲んでも大丈夫だろ...多分
しかしこうしてトリニティだけに売るのも問題があるか、確かアルちゃん達の母校であるゲヘナとトリニティはキヴォトスでは有数の大手2大校であると同時に犬猿の仲でいざこざが絶えねぇ筈だから、うちのハーブの有無でそのバランスの天秤が傾いて大抗争に発展したら大戦犯になっちまうなぁ...うーん、駄目元で聞いてみるか
「なぁミネ団長、それとセリナ嬢にハナエ嬢ちょっといいか?
ゲヘナの救急医学部って所に伝手無いかい?トリニティだけに売るのも問題が起きそうだし...いっちょゲヘナにも売り込みに行ってくるわ」
もし伝手があれば楽が出来るんだが...まぁ無くても何とか入れるだろうさ
だが、この格好じゃあ怪しまれるから一応"スーツ"でも用意しとくか
―――――――
萬屋アルマ
温泉開発部や美食研究会を警戒していたら斜め上からブレーキの壊れた救急車がやって来て跳ね飛ばされたアルマさん
多少ぶん殴られてもその分後で儲けが出るなら多少は許容と妥協はする...今回は結構危うかったが
商売上品数を揃える必要性があったし品物の正しい知識は最低限知っておかなければならないと思っていたが為にミネ団長の評価を稼いだ上に彼女が紅茶に関しても詳しく好きであったのも重なり、必要以上に好感度を稼いでかなり慌てている
自分の販売したハーブ医薬品でゲヘナトリニティのパワーバランスが崩れると治安が悪化したり指名手配されかねないのでゲヘナにも売り込みに行く事になった
蒼森ミネ
アルマの弱点その1、体力値が多かろうと防御力がそこそこあろうともスタン値まではまだそこまでないのでミネ団長の膂力であれば防御が間に合わない場合かなりの確率で『救護』されてしまう
精神的にも融通が利かないのでアルマから見れば苦手な部類だが平時だと仲は悪くない...ミネ団長からは一方的に気に入られつつあるが
ミネ団長側からすると
『ハーブにしてはやけに効能が高過ぎて怪しい薬を売る所在地がブラックマーケットで詳細が不明な如何にも怪しい商人』から始まり
『本当にハーブだけを使った商品を主に売る雑貨店の店主』から
『医薬品の違いが分かり、紅茶にも学がある多分同世代らしき人物』へと移りつつあり、あと1つ2つきっかけがあればアルマさん、救護騎士団に興味はありませんか?位は言うかもしれない
救護騎士団
バックにアルマが付いたらヤバくなる組織の一つ、ミネが壊してアルマが製薬し救護騎士団が即座に治すとかいう流れが出来る組織となる
救急医学部よりもアルマの店に早く来るには理由があり過ぎた(大体団長のお陰)
今後は主に救護騎士団を通じてアルマ印の商品を扱う形になるのだが...
ゲヘナ編を経てブルアカのメインシナリオのプロローグ辺りへと入る予定です、本編で活躍するだろうアルマさんはもう少しだけお待ちください
お気に入り登録が気付けば2000を超えておりました、多くの方に見て貰って頂いている様でとても嬉しいです
今後もまったりと続けていきますのでこれからもアルマさんの活躍をお楽しみ下さい
ライブセレクション「カイザーPMC基地正門」
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『このまま対策委員会と進む』表ルート
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『後続部隊を待つ』暗躍(裏)ルート