シャングリラ・フロンティア~人外ゲーマー、神ゲーに挑まんとす~ 作:気分屋トモヤマ
(投稿予定日を)あーイキスギィ!あーイキ杉田!(レポート提出日も)お互いにイキスギました!
これはどっちもイキスギたからOKか……(やけくそ)
「ってー……落下ダメ喰らっただろこれ……」
屋根に穴とか開いてたか?いや招待って言ってたからそういう魔法か?でも普通転移系の魔法って門型か瞬間移動型がセオリーだと思うんだが……
「さてさてどんな集落に到着……はぁ?」
俺は最初、兎の国など小さな集落や村を想像していた。兎の国なのだからもしかするとメルヘンな世界なんじゃね?という予想もあった。だが俺の安易な予想は
眼下に広がるのは小さな集落でも小さな村でもましてやメルヘンな世界でもなく、しっかりとした技術と世界観に合わせたセカンディルをも超えそうな立派な街並みが広がっていた。
「嘘ぉ……」
何処見下ろしても兎、兎、兎!あと豪華な街!メルヘンさ抜いた不思議の国かここは!?というかなんか全員こっち見てない!?結構距離あるよ!?
「申し訳ございません。貴方様のお身体についておられる夜の帝王の呪縛に皆興味津々なのです」
「あ、こりゃ失礼……えーと……」
「自己紹介がまだでしたね。私はジーグル、ラビッツの主である我が父、ヴァイスアッシュの四男でございます」
眼の前のヴォーパルバニーは礼儀正しくお辞儀をしながら名前を名乗った。ラビッツの主ヴァイスアッシュか……すげー強そうな名前だな。
「ご丁寧にどうも……んで、どうしてここに?」
「父上が夜の帝王を喰い返し半身として認められた貴方様と是非話がしたいとのことでして……今回私が派遣されたのです」
「ほほぉ……」
認められた、ねぇ?勝手に呪い付けられて勝手に投げられただけなんだけどなぁ……確かに喰いはしたけどそこまでの事か?
「ああ、そういえばお連れ様は既に父上とお話されております。あの方も帝王の攻撃を避け続け致命の一撃を入れ続けたヴォーパル魂溢れる方でしたね。あの勇ましいお姿は見習いたい限りです」
「ジーグルっつったか、やめとけ。そのヴォーパル魂が何かは知らんが絶対にアイツを見習うのはやめとけ。頭がクソゲーになる」
「??承知しました……」
アカン、アレを見習わせるのだけはダメだ。避けながら狂気じみた笑いする兎なんか見たくねぇ。特にこういう真面目そうなヤツにだけはやめてほしい。まったく教育に悪い……
「さて、そろそろ父上の所へ向かいましょう。お連れ様とのお話も終わっている頃でしょう」
「オッケー。じゃあ行こうか」
兎らしい軽々としたフットワークで階段を登るジーグルの後をついていきながら俺はヴァイスアッシュとやらに会いにいくのであった。
「この先に父上はおられます。こんなことを言うのもアレですが失礼の無いようにお願いいたします。父上は仁義とヴォーパル魂を大切にしていますので」
「オッケー、任せろ」
御殿らしき所へ入りいくらか歩いた後にとある大きな戸の前で止まったジーグルはそう俺に言った。アレだな?話し方ミスると好感度下がる系のキャラだな?余りそういうのは得意ではないが何故か自信がある。まあ最悪ミスってもどうにかなるでしょ!
「カシラ、ジーグルです。件の開拓者様をお連れしました」
「ようやくか、入んな」
「失礼致します。どうぞお入りください」
「失礼しま……す……!?」
戸が開き入るとそこにはリュカオーン程ではないが中々の圧を放っている着物を着た隻眼の灰色の大兎が渋い声を出しながら侍女を周りに置いて鎮座していた。完全にヤのつく自営業の屋敷です本当にありがとうございました!!あと侍女さん達そんなに怯えないでちょっと傷つく。
「唐辛子!?」
「ラック!」
インパクトの強すぎる大兎に気を取られていると名前を呼ばれ、見てみると前に体中に俺と同じような傷を付けた半裸のサンラクが正座をしながらこちらを向いて驚愕していた。なんだその変質者みたいな格好は。着てた緑のタイツはどうした?リュカオーンに壊されたか?
「改めて名乗らせて貰うぜ。
「私はCC唐辛子といいますどうぞよろしくお願いします!」
「!?」
俺は瞬時にサンラクの横に回ると正座をしながら即挨拶をした。これは一度でも返しミスるとヤバい。ミスったら死ぬ。物理的にも精神的にも殺される雰囲気がプンプンする!!
「オメェさんも聞いたぜ。あのワンコロと殺り合って喰った挙げ句アイツに目ぇ付けられたって話じゃねぇか。オメェさんもヴォーパル魂があるじゃねぇかよ」
さっきからジーグルも言ってたけどヴォーパル魂って何!?勇気とか!?そんな感じのやつなの!?
「お、おい唐辛子……その耳に服は……」
ヴァイスアッシュと会話をしているとふと横に座っていたサンラクが体を震わせながら聞いてきた。
「ああこれはな?お前が死んだ後頑張ってリュカオーンに噛みついて喰ったらこうなった」
「喰ったぁ!?アレを!?」
「そう。しかも何が酷いってこの服着てるだけで防御力ゼロなんだよなぁ?見た目だけで意味無し!実質防具縛りだよ!!お前は開き直って半裸プレイか?」
「へ???」
驚いていたサンラクに説明した後愚痴を零した瞬間サンラクが腑抜けた声を出した。どうしたよ?お前も同じだろ?
「おま……この……」
「この裏切りもんがぁぁぁぁぁ!!!」
「うるせぇ!?なんだよいきなり!!」
サンラクが更にプルプル震えだしたかと思うといきなり叫びだした。いきなりなんだよ!?情緒不安定か怖えわ!!
「おまっなんでお前だけ許されてんだよ!!おかしいだろ!!ふざけんな!!」
「ふざけてんのはお前じゃボケラク!!お前の事裏切ったことねぇわ!!一体何時裏切ったってんだよ!?」
「
「はぁ??」
えっまさかの装備阻害?たしかになんか呪いの色違うような……えっでもそんな理不尽ある?人によっては引退考えるレベルだぞ?しかも胴体と足ってことは……
「お前ずっとそのオワタ式変質者プレイ縛りってこと……?」
「そうだっつってんだろぉぉぉぉぉ!!!」
これは酷い……いくらオンラインで匿名性があるといっても特定の性癖でもない限り常時半裸プレイは心にクる。周りの目が痛いのだ。更に酷いのは装備の装着によるバフやスキルの恩恵をも得られないのである。別ゲーで「バーサーク・エデン」という簡単に言えば半裸で戦うとバフが貰えるゲームがあるのだが如何せんスキルゲーだったためみんなスキルを使える装備を着ていた。しかも装備による防御力もあったので尚更だ。
それほど装備からの恩恵というのは重要だ。それが着れないというのは……もうなんかご愁傷さまとしか言いようがない。本当に。
「まあ……頑張れよ」
「その哀れみの目をやめろ!!」
「ガッハッハッハッハ!オメェさんらいいコンビじゃねぇか。ライバルがいるのは大事だぜ?」
ヴァイスアッシュの一声で俺たちは即座に争いを辞めて向き直る。忘れてた!今の無礼じゃなかったよね!?大丈夫だよね!?
俺が不安に思っているとヴァイスアッシュはそんなこと関係ないように人参を齧りながら喋りだす。
「サンラクにも話したがよぉ、おめぇらはすぐ強くなってヴォーパル魂を無くしちまうのが気に食わなかったんだ。だがこうもヴォーパル魂溢れる奴らがいるなら俺直々に鍛えるのも一興と思ってな……っつーわけでどうだい?おめぇさんも
時間を預ける……つまり修行か!?リュカオーンレベルのNPCからの修行なんて絶対美味しい。強いスキルとか装備絶対貰える!これはやるしかねぇ!
「喜んでお受け致します。これからよろしくお願いします!カシラ!」
俺が敬意を込めてジーグルと同じ呼び方をすると少し考えた仕草をするとフッと笑いながら人参を飲み込んだ。
「中々礼儀ってもんがなってるじゃねぇか。よし、オメェさんも俺等のこたぁヴァッシュと呼びな!」
「はい、よろしくお願いします!ヴァッシュのカシラ!」
好感度UP成功!こういう時は礼儀が大事って爺ちゃん祖母ちゃんが言ってた。ありがとう。
「よし、そんじゃ決まりだな。エムル!ジーグル!」
「は、はいな!」
「はい」
「オメェさんらにこいつらの案内を任せる!ヘマするんじゃねぇぞ?」
「わかりましたわ!おやーカシラ!」
「承知いたしました。このジーグル、誠心誠意努めさせていただきます」
ヴァッシュからの伝令にエムルと呼ばれたヴォーパルバニーは跳ねて喜び、ジーグルが冷静に聞いているのを横目で観察しながら俺はこれからどうするか考え始める。取り敢えず一旦休憩したいな……流石にぶっ通しでやりすぎた。体が疲れてきたぞ……
「それではCC唐辛子様、ご案内致します」
「ありがとう。それじゃあ早速──」
「おっと待ちな、オメェさんらにこいつを付けてもらうぜ」
部屋を出て行こうとするとヴァッシュに呼び止められ、振り向くと何かをこちらに投擲しており、反射的にキャッチしようとするが腕をすり抜けて首に巻き付いた。
「うおっ!?」
「なんだぁ!?」
『致命魂の首輪を入手しました、自動で装備されます』
強制装備!?絶対にめんどくさいやつだって!もう嫌な予感がプンプンするよ!……取り敢えず能力確認するか……
・致命魂の首輪
致命兎の王が作り出した戒めの首輪、王の許可なくして外れることはない。
取得経験値が半分になる代わりにレベルアップの際に獲得するポイントが2.5倍(小数点切り捨て)になる。
弱者が強さを得るためには、尋常ならざる苦難が必要であるが故に。
は?経験値半分?しかも解除不可?嘘でしょ?
「あの~ヴァッシュのカシラ、これは一体……」
「オメェら開拓者はすーぐ強くなってヴォーパル魂を忘れやがる。だからソイツァ一種の戒めだ。まあ精々頑張んな!ガッハッハッハッハ!」
ヴァッシュは今日一大きく笑いながら侍女を連れながら部屋を出て行った。おいおいおい、これってつまりさ……
「「縛りプレイ追加かよぉぉぉぉぉ!?」」
俺とサンラクは絶望で声を上げるがぴったりと息の合った慟哭が屋敷の中を木霊するだけなのだった……
もう縛りは要らねぇよぉ!?
新勧……テスト……部活……レポート……ダ〇飯……時間がねぇ……!!