読まなくてもストーリーは追えます(小悪魔クルマ持ってたの?ってなりますが)
投稿日時は『パーペチュアルチェック』と『ボクサーサウンドの来訪者』の間なので、作中時系列的にはその辺かもです
「うーん……」
「こんにちは。……小悪魔さん、何
「あ、こんにちは、鈴仙さん。いや、私もクルマを買おうと思ってるんですけど、なかなか悩ましくて」
小悪魔さんはそう言って、広げている雑誌やカタログと向き合っている。
昼下がりの紅魔館図書館。
窓からは柔らかな陽光が差し込み、長テーブルには光の池ができている──ちょうど、椅子に座って突っ伏したとき、頭が置かれるあたりに。
突っ伏して眠る金髪がひとりに、その向かいで黙々と本を読む金髪がひとり。
魔理沙とアリスさんだ。
「アリスさん、こんにちは」
「あら鈴仙、こんにちは。ここで会うのは久々ね。元気にしてた?」
「おかげさまで。元気じゃなかったらお師匠様に『不健康』にされちゃいますよ。あはは」
「……それは笑い事で済むことなのかしら。困ったらうちにいらっしゃい。医療魔法を教えてあげるわ。あなたなら数年あれば立派な医療魔法使いになれるわよ」
「ありがとうございます。ところで魔理沙さんは……」
「……やめとけ鈴仙。アリスの教え方はあれだ、スパゲティ?もかくや、だ」
私が目を向けたところで魔理沙が目を覚ます……なんか顔に「『貸出』常習犯」って書いてあるんだけど。
「それを言うなら『スパルタ』じゃない?魔理沙。というよりあなた顔……」
言いかけたところで肩をつつかれる。
振り向くと上海人形が「言っちゃだめよ」蓬莱人形が「パチュリーが魔法かけたの。一日で消えるわ」とカンペを出している……なるほどね。
「なんだ鈴仙、私の顔がどうかしたのか?」
「……今日も魔理沙はかわいいなって」
「ありがとよ。なんかわからんが、ツラのいいやつに褒められるのはいいもんだ……そうだ。小悪魔!そろそろ決まったか?」
魔理沙が言うと、小悪魔さんはぱたぱたとこちらに駆けてくる……この人いちいち動作が可愛いんだよなあ、羨ましい。
「全然決まりませんよー」
「だから言ってるじゃねえか、シルビアか
「うーん、私は人とかぶりたくないタイプなんですよねえ。アリスさんと鈴仙さんはわかるでしょ?」
「そうね……私も結構そういうとこあるかも。そもそも旧車趣味だからかぶりにくいけど。それに、長く綺麗に乗りたいなら、シルビア系は選ぶのかなり難しいわよ。魔理沙は走りの練習用で乗り換え前提だったから『アレ』*1でよかったけど、小悪魔さんは多分違うだろうし」
「私はかぶりについてはそうでも……ああでも、自分なりのこだわりを出したいとこってどこかあるかも。だからエボⅣのカラーも、あんまり見ないアイセルブルーにしたところありますね」
「そうでしょ?ほらー、アリスさんと鈴仙さんはこう言ってますよ?魔理沙さん、これが乙女心ってやつです」
「ちぇっ、お前ら三人ぶっちぎりの幻想乙女相手じゃ分が悪い……小悪魔、お前『走り』にも興味あんだろ?」
「そうですね。普段は外界で紅魔館のブレラに乗ってますが、走りのグレードだけあって楽しいと思いますし。幻想郷は道交法がないんだから、スピードを競いたい気持ちはありますね」
「そうだよな。それじゃあまず、駆動方式から考えてみるか。鈴仙、アリス、どうだ?」
「いいんじゃない?ちょうど私は四駆乗り、アリスさんはRR。魔理沙はFR通って四駆乗りだし」
「そうね。満足いくクルマ選びにはメーカーやエクステリアも大事だけど、走りならまず駆動方式かも。初めて乗るクルマの駆動方式は後々にも影響するでしょうし」
「……ということだ。駆動方式はどうする、小悪魔」
それを受けて小悪魔さんが手をあげる。
「あのー、そもそも駆動方式ってなんですか?」
「そこからだったか。それじゃあまずはその説明からだな。駆動方式ってのは、エンジンの場所と実際に駆動するタイヤの場所で決まるレイアウトのことだ。ざっくり言えば、エンジンを前・真ん中・後ろのどこかに置いて、タイヤは前二輪・後二輪・四輪すべてを駆動させることになる」
「あれ?タイヤって全部動くんじゃないんですか?」
……そこからだったかあ。
魔理沙が半分呆れた顔をし、アリスさんが補足する。
「小悪魔、『四駆』って言うでしょ?あれは四輪駆動のことね。あなたの乗っているブレラ*2や、鈴仙のエボⅣが四駆ね。魔理沙のRも四駆だけど、これはちょっと毛色が違うわ」
「そうですね。四駆は四輪駆動ってだけの区別なので、四駆にも色々あります。四駆以外はすべて二輪駆動ですね」
「そういうことだ。まあ、まずは二駆から話していくか。歴史順にいこう。マイナーだが、RRからだ。アリス頼む」
「わかったわ。それじゃあ実際に走らせながら解説しましょうか。はい小悪魔、アルピーヌ*3のキーよ。レイクサイド・パークウェイに出ましょう」