憎悪を喰らうはウロボロス   作:とくめ一

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※笑いを意味する『w』が作中に2行のみ存在いたします。ご注意ください。


やめてっ!俺のために争わないで!(笑)

 

「ウルスてめェ!! 待ちやがれ!!!」

「充分ゆっくり走ってるのに追いつけない雑魚がなんか言いましたぁ? ぶはははは!!!」

「ブッ殺す!!!!!」

「出w来wるwモwンwなwらwww」

 

 シャボンディ諸島の隅の隅っこ。

 ゲラゲラ笑いながら煽り散らかす俺を追いかけるのは昔から(腐れ)縁のある海賊。俺がルパンであるならとっつぁんポジとも言える男。

 名前は──

 

「じゃあそろそろ俺行くわ! あばよ、味噌ラーメン!!」

「だからミスラ・イーメルだっつってんだろクソ野郎!!!」

「似合うからいいじゃん!」

「爽やかな笑顔で言いやがって……!!」

 

 と、俺の煽りに味噌ラーメンがわなわなと震えている間に、俺は地面から発生したシャボンに飛び乗った。

 ラーメンのいる場所からでは、きっと間に合わないだろう。

 

「あっおいコラ待ちやがれ!!」

「待てって言われて待つやつはそもそも、逃げません〜! ハイ馬鹿ァ〜!!」

「てンめェ〜!!!」

「あばよとっつぁ~ん!!」

 

 何か騒いでいるが知ったことではない。

 俺はバッグから自作の折り畳みボンチャリを取り出すと、同じく自作のボンチャリ羽を設置しボンチャリにくっつけた。

 

 因みにこの羽はこの近海にいるトビウオの羽を弄くり回したものであり、これを取り付けることで急降下や急上昇の時にボンチャリを傾けすぎなくて済むようになるだけでなく、スピードも大幅に増すように──え? 興味ない? さいですか……。

 

 まぁそれはともかくシャボンディ諸島の中心地までやってきた俺は、人だかりが出来ているのを見ながらボンチャリを空中で停止させて様子を見た。

 

 ……人々が注目している映像電伝虫からの映像に映っているのは、かの有名なポートガス・D・エース。

 

『おれにはおれの冒険がある!!! 

 おれにはおれの仲間がいる!!! 

 お前に立ち入られる筋合いはねェ!!! 

 お前みたいな弱虫が!!! おれを助けに来るなんて……それをおれが許すと思ってんのか!!? 

 こんな屈辱はねェ!!!』

 

「…………」

 

 思わず歪みかけた顔をどうにか笑みで覆い隠して、心の中で呟いた。

 

 

 ──よし、行くか。

 

 

「“空間保存(ブロック)”」

 

 俺はシャボンに能力をかけると、全速力でマリンフォードへと向かうのだった。

 

 □■□

 

「オヤジはおれ達に生き場所をくれたんだ!!! 

 お前にオヤジの偉大さの何が──」

「──分かるわけねェだろバァ~~~カ!!  アッハハハハハハハ!!!」

 

 戦場に響いた大爆笑と同時に叩き付けられた覇王色の覇気に、今戦場で意識のあった人間の内約三分の一が意識を失った。

 残った意識のある人間も、突然の異分子の登場に思わず戦いの手を止める。

 

 ──そうせざるを得ない吸引力が、俺の声にはある。

 

「おどれは……!」

 

 突然のエースと赤犬との間に現れた俺をギロリと睨みつけながらそう呟いた赤犬……のことはそっちのけで、俺は笑顔のまま歩を進め、それから吹き飛ぶ程度の力でエースを蹴り飛ばした。

 

「がッ!?」

「!?」

「エース!!」

「アッハハ、ッヒ、アハハハハハハハハ!!!!! 

 くっだらねェ戦争だなァおい!!」

 

 この戦争の主役を蹴り飛ばしたことなどなかったかのように腹を抱えて笑う俺に困惑しているのは海軍の面々、殺気立ったのは白ひげ海賊団の面々だ。

 だがそれすら今は関係ない。

 

「何が一番下らねェって、お前だよお前!! 火拳のエース!!」

「お、おいやめろ!!」

「殺す気はねェから今は口出してくんな麦わら!!!」

 

 蹴り飛ばされたせいで肋骨辺りが数本逝ったのだろうか。

 何とか起き上がろうとするエースの背を踏みつけて、髪の毛を掴んでぐいとこちらに顔を向けさせた。

 

「さっきは『お前にオヤジの偉大さの何が分かる!!?』とでも言おうと思ったんでちゅかぁ? 

 安い挑発に乗って、口だけで喚き散らかすクソガキを前にしたらそりゃァ分かんねェだろ!! アッハハハハ!!!」

「なに、を──!」

「力もねェくせに口ばっかギャンギャンとよぉ、文句があるならてめェの実力で証明すれば良い話じゃないんですかァ〜?

 あっギャンギャンじゃなくてバブバブでちたかねェ?」

「っ……」

 

 容赦なく煽り散らされ流石に苛立ちを覚えたらしいエースが怒気を孕んだ目でこちらを睨んできたところで笑いを引っ込めて、俺は尚も話を続ける。

 

「さァて。説教垂れても俺には一銭の得にもならねェし、柄にも無く八つ当たりしちまいそうになるからこれ以上余計なこた言わねェが…………マ、言いたいことだけ簡潔に言うか」

 

 俺の声色が煽るようなものではなくなったことに気がついたのだろう。

 怒気の薄れたエースの目をまっすぐに見て、俺はまた口を開いた。

 

「お前の親はさ、絶対鬼なんかじゃなかった。

 自分の死で周りがどれだけ苦しむかって自覚がイマイチ薄いとこはマジで嫌味なくらいお前そっっっくりで、最悪で最高で…………ホント、優しい人だったよ」

「……お前、まさか、」

「ハイ以上! 分かったらさっさとベビーカーに戻りなベイビー!」

 

 ぽかんとした表情で何かを言いかけるエースの首根っこを掴むと、俺はそのままエースを白ひげ海賊団のやつらの方へと投げつけた。

 

「麦わら。てめェも兄貴が心配ならさっさと行ってやれ」

「っおう! ありがとう!!」

「! ……っぶははははは!!!

 兄貴蹴り飛ばして踏んづけたヤツに礼を言うやつがあるか!! さっさと行け!!」

 

 

 ……あぁ。やっぱり、アイツは────。

 

 

「おどれ、こがいなことをして許されるとでも思っちょるんか……!!」

 

 と、不意に背後から殺気を浴びせられて、俺はにまにまと笑いながら殺気の主の方へと振り返った。

 

「……あは、あひ、あっはは、あはははは!! 

 脅し文句は動けるようになってから(・・・・・・・・・・・)言ってくれよ、大将負け犬(・・・)!」

「……おんどれぇ……ッ!!」

 

 既に怒りMAXの赤犬の横を通り抜け、戦場の中心へ中心へ、周り全員を煽るようにのんびりと歩いていく。

 処刑台の方を見れば懐かしい顔もちらほらだ。

 

「……ウルス・ボロネーク……貴様、生きていたのか……!」

 

 やはり動けないままセンゴクさんが発した名前に、海軍達がざわめきだす。

 どうやら名前くらいは知っていたようだ。

 

「よぉセンゴクさん! また老けた?」

「ふざけるな!! ッ貴様は、あの時たしかに……おれの手で……!!!」

 

 変わンねェなぁ~。

 簡単に煽られるのも、感情が昂ると一人称が変わるのも昔のまんま。

 

「海兵千人殺しの、裏切り者の中将が生きててビックリした~ってか? あっはははははは!!!!!!」

 

 狂ったように、壊れたように笑う俺は、さぞ猟奇的に見えていることだろう。そうだ、それでいい。

 

「貴様……!!!」

「まぁ落ち着こうぜセンゴクさん。シワが増えちまうだろ?」

「……!!」

 

 仏のセンゴクなのにすぐ煽られてぶちギレんじゃんワロタwwwwwwwwwww

 ……とか言ったら本題も聞いてくれなさそうなのでやめた。ごめんて。

 

「まぁ真面目な話をするとさァ、取引に来たんだよ」

「取引……?! 誰が貴様などと……!!」

「条件を呑むなら、白ひげの首をやろう」

「!?」

 

 俺の口から出たのが、思いもよらない言葉だったのだろう。センゴクさんは目を見開いた。

 

「逆に条件を呑まないなら、俺は全力で白ひげを守る。まァ守りきれねェ可能性もあるが……さっきの覇気を見ただろ? 

 この戦場で意識のあったやつらの三分の一が、俺にとっては戦う価値もねェ雑魚だったってこった。

 …………白ひげを殺られるまでに、俺は海軍を何人殺せるだろうなァ……?」

「っ……。

 ……条件は」

 

 視線だけで相手を射殺(いころ)しそうな眼力にセンゴクさんの怒りを感じながら、俺は言ってやる。

 

「この戦争を今すぐ終了させること」

「!?」

「具体的には、海軍も海賊もどちらも、ここからはお互いの誰も殺しちゃいけませんよ~ってこと」

「そんな条件、誰が納得する!」

「目的は逃げた。海賊側のテッペンも殺せた。……って状況なら、それ以上何か必要か? 海軍側にとっちゃ差し引きゼロ……いや、海軍大将一人で倒せるガキの代わりに大海賊の首を取れンだから、寧ろ大勝利だ」

「だが海賊側は──!!」

「そこは安心してくれよ。本人に頼めるからさ」

「………………、だが…………」

 

 うーん、これでも折れないか。

 やっぱ俺相手だからかな? あはは。

 

「おいおい頼むぜ“智将”センゴク。

 俺が根っからの有言実行タイプだってことも、今どう判断するのが正しいかも、アンタなら分かるだろ?」

「……………………………………分かった」

「なっ!?」

「元帥、本気ですか!!」

 

 海軍側が騒がしくなったが、まぁセンゴクさんが何とかするだろう。頑張れ! 

 

 心の中でサムズアップを送りながら、相変わらず止まったままの戦場をつかつかと歩き、今度はニューゲートさんの方へと向かう。

 

「久しぶり、ニューゲートさん。変わらないな」

 

 そう声をかけると、ニューゲートさんは特段驚いた様子もなくこちらをしっかりと見ながら返事をした。

 まぁニューゲートさんは俺の力について知ってるし、当たり前か。

 

「……てめェに言われたかねェな。容姿も何もかも、二十そこそこの……あの頃と全く同じじゃねェか」

「えっ昔と同じように若くてぴちぴちでイケメン!? 照れるぜジジイ~!!」

「あァ、羨ましい限りだぜ。ついでにその能力(・・・・)に似つかわしくねぇ気性も変わらねェなァ」

「…………はァ……調子狂うっての。俺に全く煽られてくれねェの、ロジャーさんを抜いたらニューゲートさんくらいなんだぜ?」

「グララララ……てめェみたいな若造の煽りにホイホイ乗せられるほど耄碌(もうろく)しちゃいねェよ」

 

 センゴクさんとのやり取りもニューゲートさんとのやり取りもきっと白ひげ海賊団の面々には届いていないだろうから、恐らく今彼らはこちらの様子を気にしながらもオヤジであるニューゲートさんの命令を守って船に到着した──というところだろうか。

 

「ところでニューゲートさん、俺との約束覚えてるか?」

「あァ、よーく覚えてる。

 ……もう、その時が来たか」

 

 落ち着いたまま目を瞑るニューゲートさんは、俺との約束を守ることに一切の拒否感がないらしい。

 ……本当に、相変わらずだ。

 

 と、ニューゲートさんは白ひげ海賊団がいる方へと声を張り上げた。

 

「てめェら!!! 

 この後俺に何が起ころうと、絶対に帰ってくるンじゃあねェぞ!!!!!」

 

 どよめく白ひげ海賊団。そらそうだ。

 

「これでいいな?」

「話が早くて助かる。

 ……約束は守るから、安心しろよ」

「グララララ……お前が約束を違える男だとは思っちゃいねェさ」

 

 あぁもう、この人は会う度にこれだ。

 煽りガン無視で、俺を信頼しているような、上げるような話し方をしてきやがって。

 

「まァじでニューゲートさんのそういうトコ苦手。ロジャーさんに負けず劣らず苦手」

「お前のそりゃあ褒め言葉だろう」

「うるせぇ。

 ………………はァ、それじゃあな」

「おう」

 

 『学校からの帰り道です』みたいな、そんな挨拶と返事。

 なんでもないような会話の直後、俺はニューゲートさんの首を切り落とした。

 

 手負いの“白ひげ”を、突然現れた誰かが殺した。

 

 きっと遠くにいる白ひげ海賊団の面々はそんな風に思って驚いているに違いない。いやそれどころか、もしかしたら何が起こったか理解することすら出来ていないかもしれない。

 

「あは、は、あっはははははははははははは!!!!!!!!」

 

 そんなやつらに現実を見せるように、俺は笑った。

 ニューゲートさんの首から出る血飛沫にまみれて、げらげらと笑ってやった。

 

 ほら、仇を存分に憎むといい!! 

 憎む余地しかない悪役(ヴィラン)に、思うままに(いか)るがいい!! 

 

 笑いながら海軍側の人間達の拘束を解いてやると、一番にそれに気付いて動き出したのは赤犬だった。

 

「!! 動けるようになっちょる……!! 

 動けるモンは白ひげ海賊団を一人でも多く捕えろ!」

「えっ……、しかし元帥が取引を……」

「わしらにあの取引を受け入れる義理はない!! 海賊どもが罪なき市民に何をしてきたか忘れたか!!」

「…………そうだ、おれ達はあんな取引受け入れない……!」

 

 赤犬の言葉を聞いて、まだ頭に血がのぼったままの海軍達の士気が回復し始めた。

 

「……殺せ、殺すんだ……!!」

「海賊を、悪を一人でも!!」

「最後の一人まで叩き潰せェ!!」

 

 

「──海賊という“悪”を許すな!!!」

 

 

 ……まぁ赤犬の派閥はそうだよなァ、説得されちゃくれねェよなぁ……面倒臭いけど止めるか……。

 と思った所で、赤犬の前に誰かが立ち塞がった。

 

「そこまでだァァ~~~~~!!!!」

 

 ……桃色の髪をした若い海兵。

 なるほどこのタイミングでそうなるか。時間は十二分に稼いだつもりだがそれでも前後するのは……となると、黒ひげは状況を見て仕掛けるのをやめたか。

 

 なんて考える俺をよそに、ここからはまぁトントン拍子にコトが進んだ。

 赤犬に殺されかけるコビー(・・・)と、それを助ける赤……シャンクス。顔が広く実力も名もあるシャンクスのお陰で、その場は何とか上手く収まった。

 

 ……さて、俺もそろそろいくかねぇ。

 

「フッフッフッフ……久しぶりだな、ウルス……!」

「あ、クソダサングラミンゴくんじゃねェの! 元気してたァ?!」

「フッフッフッフッフッフッフッフ……!! 

 毎日毎日元気が有り余りすぎて、いつかお前を殺せる日を待ちきれねェンじゃねェかと思ったぜ……!!」

「えっ……そんな大胆な告白ってアリかよ……!? トゥンク!?」

「フッフッフ……そんなに早く殺されてェか……!!!」

「そんなに熱烈に愛を囁くなよ。ちょ~っと弟さん一人殺しただけじゃん」

「てめェッ!!!」

「あっはははは!!!」

 

 ぶちギレミンゴの攻撃を防いだのはクロコダイルだ。わぁっ、優し~い♡

 

「オイ、そいつを殺すのは俺だ。手ェ出してンじゃねェよ」

「クロコダイルくんありがとぉ~!!♡」

 

 って煽ったらバルハンされかけた。

 

「俺のぷるぷるお肌がガサガサになっちまうだろやめろ!!」

「うるせェ殺す」

「まァだ計画ぶっ潰したの怒ってンのかよ……あ、もしかして今白ひげを殺したことにも怒ってるのかな? あは、あひゃ、はははは!!!」

「殺す……!!」

「あぶねっ」

「フッフッフ、抜け駆けは良くねェなぁ!!」

「おわっ! やめて!! 俺のために争わないで!!」

「じゃあ大人しく死にやがれ!!!」

 

 やだっ、これが噂のハーレムですか!?(違う)

 

 とかふざけてコントしてたら今度は背後からの熱い愛情(マグマ)で胸を貫かれちまった(物理)ぜ!! 

 

 うわぁ熱いっていうか痛い。

 痛いのは子どもの時から慣れてたぜ、家庭の事情でね……みたいなタイプの俺だけど、これは流石に痛い。

 

「……っがふ……ッ……!

 …………ワォ、熱烈ぅ……!」

「ここまで戦場を引っ掻き回した覚悟は当然しちょったなァ、ウルス……!」

「……は、はは……正義の海軍が私情で取引なくして良いんですかァ……?」

「お前を殺しちゃァイカンという条件は提示されとらん」

「うわ性格悪……。

 そんなんだから、俺みたいな部下、に、ぐッ……裏切られ、るンだぜ……負け犬大将……! っげほッ」

「ッおどれェ……!!!」

「あっ゙はは、はははははは……!!!」

 

 さて、そんなこんなで意識が遠ざかっていく。

 

 俺のハートは赤犬くんにプレゼントだ! 

 やったね、おめでとう! 

 

 

 □■□

 

 

 

 □■□

 

 

 ステンドグラスの向こうから降り注ぐ光は、十字架の影を落としながらも室内を美しく照らしている。

 ──その部屋の中には、男が一人。

 

 一目で聖職者だと分かる出立ちで棺の前に跪く彼は、両手を握り合わせ落ち着いた声で神へ祈りを捧げていた。

 

「……主よ、我が声を聞き届け給え。

 我が祈りを聞き届け給え。

 我は主の信徒として、尊き御心を乞い願い奉ります。

 どうか哀れな命に慈悲を。

 哀れな命に愛を。

 ……アーメン」

「──っぶはァ!!!」

 

 直後棺の蓋を自力で開いて出てきたのは、先程死んだ筈のウルス・ボロネーク──俺だ。

 

「………………はぁ~~~。

 …………おはよ、味噌ラーメン……」

「ミスラ・イーメルだっつってんだろ」

「うんおはよミスラ……ふあ……」

 

 欠伸を一つ、それから伸びを一つして、段々と覚醒してくる頭が前回の記憶を呼び起こしてくる。

 …………うんうん、そういえばあぁいう感じで死んだんだっけな。

 

 ……。

 …………。

 ………………。

 

 …………ス~~~~~ッ…………。

 

「…………………………死にたい………………」

「もう死んだだろ」

「あんなに煽らなくて良かったしあんなにエース痛めつける必要もなかったかな……でもあぁでもしないと白ひげ海賊団の人たちが憎しみを抱いてくれないだろうし……でもやりすぎだったかな……いややりすぎたよな……俺はクズです死にたい………………」

「クズなのは間違っちゃいないが話を聞け」

「ニューゲートさんのこともなんか見せつけるみたいに殺しちゃって…………首をはねられるべきは俺です殺してください…………」

「だから!! さっさとその『ニューゲートさん』を呼べって言ってんだよ!!!」

「あ」

 

 そうだった……早く復活させなきゃ……。

 

「でも流石ニューゲートさんだよ……あんな殺し方したとはいえ、余裕で復活させられるくらいの『憎しみポイント』貯まってビビったもんな……」

 

 目を瞑れば出てくる表示を一つ一つ選択していって、サクッとニューゲートさんの蘇生を開始しながらそんな感想を言うと、ミスラは「そりゃ、天下の大家族の家長サマだからな」と呆れたように言ってきた。

 それにしたって、あの人柄がなければここまでポイントは貯まってくれなかっただろう。

 

「はい、準備できた」

「あいよ、じゃあ蘇生はこっちに任せてお前は“子どもたち”の所へ行ってこい。ツリーは後で進めろよ、コラソン達も心配してたから」

「生き返るの知ってるだろうに、ありがたいねェ。……ま、行ってくるわ」

 

 そう言ってのそのそと気だるげに扉の方に向かう俺に、ミスラが声をかけてきた。

 

「おい」

「ん?」

「…………何も、全員から憎まれる選択肢を選ぶ必要はなかったんじゃないのか。

 センゴクのことだってそうだろ。あんな、誤解を助長するような言い方──」

 

 カチン、とスイッチが入る感覚。

 寝起きにも関わらずすぐに切り替えられるくらい、腹が立つ言葉だった。

 

「うるせェな。……は、はは。

 『全員から憎まれる選択肢を選ぶ必要はなかった』?

 …………よりにもよって、『神父海賊』を名乗るお前が……俺にこんな生き方を強制する神を信仰するお前が、それを言うのか……!」

「おれはお前を──!!」

「黙ってろ!!」

 

 分かっている。

 ミスラは俺のことを心配してくれているのだ。

 

 でも、それでも……あれを崇めている人間に俺の生き方に口出しをされることだけは、どうにも許せなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──そうだ。

 全ては、俺の最初の死から始まった。

 

 

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