小説自体は消えているので、知らなければ、気にせず読んでやってください。
吾輩は、猫である。
名前はある。
年齢は・・・聞かないでくれ、私も最近わからなくなってきたばかりなんだ。
なに?人間みたいに名前があるのが珍しい?・・・・・・まあ、そうだな・・・話せば少し長くなる・・・
まず、先程、自身のことを猫だと紹介させていただいたが、吾輩の種族は“ケット・シー”と呼ばれる猫の妖精らしい。
らしいというのも、吾輩自身、この年になるまで自身が普通の猫であることを疑っていなかったのだが、ある日を境に聞こえるようになった精霊達の声より、そう聞かされたからだ。・・・未だに半信半疑ではあるものの、そう受け止めてしまえば納得がいく事由が幾つかあるので、一応納得はしている。
猫として生まれる前は、この世界とは別の場所で人間をしていた記憶もあるし、異世界転生して普通の猫になった。と考えると、普通とは何か?考えさせられる・・・・・・実に、哲学だ。
まあ、色々あって始まった吾輩の人生?猫生?は、割と序盤から波乱万丈なものだった。
私が生まれた森は、熊や猪だけでなく、ゴブリンなどのモンスターも生息していた森で、猫という種族のヒエラルキーは、よくて中の下あたりだった。
ましてや、そんな森での子育てともなると、計り知れないほどの苦労があったはずだ。
それでも母は、私を含めた兄妹4匹が立派に1匹立ちできるようになるまで育ててくれた。
獲物の狩り方、天敵からの身の隠し方、食べられるものやそうでないもの・・・季節が巡る頃には、一通りの知識を身につけ、いよいよ巣立ちの時が来ようとした時、事件が起きた。
人間の戦争に巻き込まれて、森が燃えてしまったのだ。
幸い、母と兄妹は1匹も欠けることなく生き残ったのだが、住む場所を失った我々は、新天地を求めて東西南北に分かれて、散り散りに巣立ちを迎えた。
それからの数年が本当に大変だった。
初めに行きついた森は、狼の群れが棲みついており、食事のための狩りは愚か、うっかり隙を見せれば自身が狩られてしまうため眠れない日々を過ごした。
2つ目の森は、少し耳の長い人間たちが住んでいた森だったのだが、なんだかお取り込み中だったらしく、親子喧嘩に巻き込まれて氷やら炎の魔法が飛んでくるものだから、慌てて逃げ出した。・・・何気に、初めて魔法を見た瞬間だったかもしれない。
3つ目の森は、うん・・・森というか、鉱山の街だったけど、2つ目の森で見かけた人たちがいらしたから・・・・・・うん、やっぱり逃げたよね。
また魔法が飛んできたら怖いし・・・
それからも各地を転々としたのだが、最後に行きついたのが“ベル・クラネル”という少年と、そのお爺さんが住む農家だった。
きっかけは、本当に偶然だった。
当時5歳くらいだったベルがゴブリンに襲われているところに偶然、吾輩が居合わせ、ベルを咄嗟に庇ってケガをした。
あの時は、特に何も考えずに前に出てしまったため、攻撃をモロに受けてしまい、死を覚悟したほどだ。
結局、ベルのお爺さんが助けに来てくれたのだが、ベル達はケガをした吾輩を治療するため、家へと招き入れてくれた。
治療が終わった後、元々長居するつもりはなかったのだが、猫になったとはいえ一宿一飯の恩は返さなければならない。
穀物を保存する倉庫のネズミ取り、畑の害虫駆除など、猫なりに出来るやり方で、労働をしていたら家族として認められ、名前をつけられた。
それから数年、もう一つの転機が訪れた。
(ようやく出会えましたね。)
喋る本との邂逅だ。
喋る本は、人間だった頃に愛読していた漫画『金色のガッシュ!!』に出てくる本にそっくりで、私がこの世界に来たことで産まれた転生特典なのだそうだ。
そこで初めて、自身がケット・シーであることを聞かされた。
年齢は、猫基準でも人間基準でもないからわからなくなった。
そしてもうひとつ、吾輩が転生した理由・・・この世界での吾輩の使命の話になる。
この世界は、神や精霊が人々に恩恵や力を与えて、様々な脅威に立ち向かっているそうだが、どうも最近、人類は押され気味な感じらしい。
神が善神ばかりなら、こうはならなかったらしいが、降臨した神の中には人類の滅亡や、混沌を望む者たちもいて、色々とヤバいそうだ。
天界の神たちも流石に不憫に思ったらしく、何か出来ないか?と頭を悩ませたそうだ。
そこで喋る本、もとい“魔本”を贈って使って貰おうとなった。
でも悪用されたらヤダよね?なら、案内人をしてくれそうな人を転生させよう!というわけで、私が産まれたらしい・・・・・・なぜ猫に転生させた?
その後もなんやかんやで色々あった。
術を覚えたのが嬉しくて、森でボヤ騒ぎを起こしたり
いつのまにか、尻尾が2つに増えてたり
ベルのお爺さんが、お亡くなりになったり
ベルと2人でオラリオに旅立ち、路頭に迷いかけたり
まあ、これからも色々ありそうだが、今はなんとか暮らしている。
それに、同居人も増えた。
「おはよう、副団長くん。」
「ナーオッ!」
「ごめんよ!今日は少し早めに出ないといけなくてね・・・朝ごはんは、ベルくんと2人で食べてくれたまえ!」
「ナー?」
「あ、もうこんな時間!じゃあ、あとよろしく頼むよーー!」
借金があるらしく、バイトに精を出す神だ。
ベルよ、本当に彼女でよかったのか?と言いたいが、人を見る目はしっかりしているし、ちょいちょいグータラなところに目を瞑れば、善神であることは間違いないだろう。
さて、そろそろベルを起こしてやるか・・・・・・そういえば、自己紹介の途中だったな。
「おはよう、“タマ”。今日も、早いね?」
「ナーッ!」
「神さまは・・・もう出ちゃったか。・・・僕たちも、ご飯を食べたらダンジョンに行こうか?」
「ナーオッ!」
吾輩は、猫である。
名前は、“タマ・クラネル”
ニャンッ!と鳴けば、“ザケル”が使える。
ヘスティア・ファミリアの副団長だ。・・・・・・猫なのに、
読んでいただき、ありがとうございます。
誤字脱字あると思います。
読みにくかったら、ごめんなさい。
ベルに誰の魔本を持たせるか、悩んでます。
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