酒場での一件があった翌日、ロキ・ファミリアでは猫の話題で持ちきりだった。
「結局あの猫、何者だったんすかねー?」
「モンスターって感じではなかったわよね?モンスターだったら、アイズが真っ先に反応してるはずだし・・・」
「モンスターではないのかもしれませんが、最後に見せたあの魔法?は、何かとても嫌な感じがしましたわ。怖いというか・・・」
「あ、それ分かるかも!なんかこう食べられそう?って感じ?」
先日遠征から帰ってきたばかりだと言うのにホームの雰囲気は猫一色、それはロキやフィン達も例外ではなかった。
「ベートの容体はどうじゃった?」
「いくつか骨は折れてたみたいだけど、概ね大丈夫みたいだよ。」
「サラッと言うとるけど、その怪我の原因が猫ちゅうことが肝心や!最後のあれだけでも推定Lv.5の威力があるっちゅーことやからな!」
「しかもベートからの攻撃で、ダメージを受けた様子もなかった・・・・・・」
「アイズたんが、モンスターではないって言うてたし、大丈夫とは思うけど・・・なんなんやろうな?アレ」
1番の懸念事項は、ファミリアの中でも一際モンスターに敏感なアイズによって否定されていた。
アイズは猫が喋っている内容を理解している様子だったが、なぜ分かったのか本人もよく分からないと言う。
「リヴェリアが心あたりがあると言っていたし、そっちに関しては報告待ちになるね。」
唯一、心あたりがあるというリヴェリアは、書庫にこもって調べている最中だ。
あの猫がオラリオに、一体何をもたらすのか?祝福か?それとも災いか?
(全く何もない・・・ということはないだろうね・・・)
猫を見た時から止まらぬ親指の疼きに、フィン自身、好奇心と得体の知れない恐怖を感じながら、会議は次の議題へと写る・・・・・・
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
吾輩は、猫である。
名前は、タマ・クラネル
「2名様入りまーす。指名はタマでーす!」
「呼ばれたよ!しっかり媚び売ってきな!」
「ナー・・・」
恐らく、オラリオ初の猫カフェの、人気No.1猫である。
ことの発端はつい先日・・・
「そうだ!お金払いに行かないと!」
ベルが駄犬の言葉に悔しさを覚えて、店を飛び出しダンジョンに行った翌日のことだ。
思い出してみれば、お会計をせずに出てきてしまったと思い出したのだろう。
実際には、吾輩が迷惑料まで払っているので心配ないのだが、それを伝えようとしても猫語は通じない。
人語で話しかけてもいいのだが、猫の声帯であれをするのは結構疲れるのだ。
それに小さな時から「ニャー!」だの「ナーオッ!」としか、ベルの前では鳴いていないので、今更改まって話すのがすごく恥ずかしい。
どちらにせよ、店を飛び出したことでシル嬢あたりには、心配もかけていることだろう。
顔を出す口実にもなるし、行くなら早い方がよかろう。
「お金?会計なら、そこの猫がきっちり払っていってくれたよ。」
で店に来て、しっかりと謝ったところまでは良かったのだ。
諸々話が終わった後に、ダンジョンへ行こうとしたところ、
「そこの猫に個人的に用があるんだけど、今日一日借りていいかい?」
という女将の一声に呼び止められた。
ベルは当然のように了承、薄情なことに1人でさっさとダンジョンへと向かってしまった。
女将の用事は、てっきり先日のことだと思ったのだが、全く違った。
なんでも近所の野良猫たちを束ねて欲しいという話だ。
以前から、近隣の店でも猫による盗み食いが多発していたそうで、なんとかしようと対策を試みたが全て不発。
話も通じない野良猫相手に、注意や警告もしようがないので諦めていたところ、話の通じそうな猫が登場。
「なんとかしろ。」
ということで、
「はぁ〜、癒されるわ〜〜」
「タマちゃーん!こっちにおやつあるよー!」
「ちょっと!おやつは卑怯よ!」
なぜか、こうなった。
店の中は、噂が噂を呼びご婦人達で大盛況だ。
接客のために集まった猫は10匹ほど、食糧目当てなので媚びを売るのが本当にうまい。
吾輩も接客しているが、この調子なら明日以降はたまに顔を見せるだけで良さそうだ。
吾輩も、おやつをたんまり溜め込めるし、どんな客が来ても張り切って媚びを売っていくとしよう。
おや?また客が来たな、入り口まで出迎えに行ってやろう・・・驚くべきサービス精神だろう?さあ、貢いでもらおうか?
「いらっしゃいませニャー!あれ?昼に来るのは珍しいニャ?」
「ああ、珍しいことをしてるって聞いてね。個人的にも聞きたいことがあったし・・・こちらの猫を指名してもいいかな?」
前言撤回、お帰りはあちらになります。
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「・・・なるほど、長く引き留めて悪かったね。ミノタウロスの件で迷惑をかけた少年にも、後日お詫びに伺わせてもらえるかな?」
「ナー」
「ありがとう、失礼するよ。」
店に尋ねて来たのは、吾輩が先日ヤッちゃってしまった駄犬が所属するロキ・ファミリアの団長フィン。
てっきり、報復のために来たと思ったのだが、吾輩と対話をするために何人かで探していたらしい。
駄犬は無事と聞いて、素直にしぶといな、と思った。
対話の内容は至ってシンプル。
フィンが質問をした内容に対して、YESなら一鳴き、NOもしくはわからないなら無言で返すこと、それだけだった。
向こうも色々と調べて来たのか、初めから的を得た質問が飛んで来ることもあれば、割と見当違いな質問も飛んでくることもあった。
答えに困る質問は特になかったと思う。
唯一印象的だった質問といえば、
「君は、“王”・・・なのか?」
という質問だけは、何の王かわからなかったので、無言で返しておいた。
なにはともあれ、忙しい1日がようやく終わった。
夜営業に猫の出番はないはずなので、あとはしっかり休もう。
明日こそ、ダンジョンに行くぞ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「ほう、運良く会えたのか・・・して、どうじゃった?」
「リヴェリアが事前に調べてくれていた通りだよ。彼は“ケット・シー”と呼ばれる種族で間違いないらしい。」
時を同じくして、ロキ・ファミリアでは、フィンから猫の件で調査結果が話されていた。
➖“ケット・シー”・・・森に住まう猫の中から稀に生まれる種族。エルフ同様、猫の身でありながら魔法の扱いに長けており、そのことから種族名には妖精の名が冠されている。
前述したとおり、生まれることも稀であると同時に、魔法を使えること以外は普通の猫となんら変わりないため、目撃数は極めて少なく、その生態の多くが謎に包まれている。
一時期はエルフ族と共存していたという話もあるが、真偽のほどは定かではない。
「まあ、なんちゅーか・・・よう分からんっちゅーことが、よう分かったな」
「そうだね・・・リヴェリア、君はどうするんだい?」
「どうする・・・と言うと?」
「書物には、エルフの一族と共存していた。と書いているけど、関係の再構築を目指すのかい?」
「別にどうもしないさ。彼らの存在自体、眉唾物だったからな・・・・・・最後に確認されたのだって400年以上前だぞ?」
質問をされたリヴェリアは、「モンスターや闇派閥のように、オラリオの脅威にならないと分かったのなら充分だろう。」と話を締めくくる。
「やな!触らぬ猫に祟りなし!団員のみんなにもよう伝えたってな〜」
結論は、猫を見守る。要観察というやつだ。
「・・・・・・王か」
会議が終わったあと、1人部屋に残ったフィンは、どうしても気になった一文を見つめ呟く。
➖“ケット・シー”の中には1000年に一度、魔法以外に特別な力を持った“王”と呼ばれる個体が存在する。・・・・・・(続きは掠れて読めないようだ。
昼間の最後の質問、あれはどちらとも取れる内容だったことを思い出していた。
無言、解答がNOかわからない時の返答。
NOだったなら、彼は“王”ではない、しかし“王”と呼ばれる個体が存在する。
わからないだったなら、彼が無自覚なだけで“王”である可能性があり、そもそも“王”と呼ばれる個体は存在しない可能性もある。
(ひとまず、あの猫は怒らせたらマズそうだね。)
そう、自身の中で改めて結論づけ、眠りについた。
というわけで、タマの種族について、ボヤッと書いてみました。
矛盾点とかあるかもしんないですけど、あんまりツッコミすぎると、後の話が書きにくくなるので見逃してください。(既に自分の首を絞めてる状態です。)
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
また次話から、真面目に話を進めていきたいと思ってます。
※アンケートは、R6.3.10 23:59 に締め切ります。
このまま行ったら、多分ビクトリーム様だ・・・・・・
ベルに誰の魔本を持たせるか、悩んでます。
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相性が良さそうな格闘系 テッド
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脚の速さを活かす ウマゴン
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起死回生の自己回復 ダニー
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タマとお揃い? ゼオン
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超大穴 ビクトリーム