「大変です。クレア様が誘拐されました」
「だれ?」
いやほんと誰?あーいやなんか悪魔付きリストで見かけたような
「何を言っているの、シドのお姉さんよ」
そんなことある?あの頭が光ってること以外問題がないカゲノー男爵がふざけた兵の配置はしてないはずだ
そういえば教団のやつでも居たな酷いくらいに光ってたのが、えーと名前はネズミじゃなくてすけべジジイじゃなくて誰だっけ
「で、誘拐された理由はクレア様に英雄の子孫の疑いがかけられている
模様です」
「それでは教団は例の儀式を行うために?」
「ええそうなるわ」
あと子供とはいえ対象者を傷つけずに運ぶとしたらそこまでの距離はないはずだ
しかし全てを見つけられてはいないはずだがどうしたものか
「場所は?」
「それがどうやら私たちの知らない拠点に連れて行かれた可能性が大きいと考えられます。」
「それとシャドウ様にも報告してから動くべきかと。」
「そうだな、じゃぁ自分はMジャマーの準備をしてくる」
「待って、あれは私たちも魔力が使えなくなるから使わないほうが有利にならないかしら?」
おっと説明するのと渡すの忘れてたかなら実地試験も兼ねて今回使ってみるか。
「一応Mジャマー効果範囲内でも魔力が使えるようになるアーティファクトは作っておいたんだ。その名もMジャマーキャンセラー」
「はいこれ」
「これを着けるだけで本当に使えるようになるの?それにこれ何か動いているけど」
「それは腕時計の機能もついているから時間の確認もそれで出来るよ」
「ただそれ動力魔力だから常に少量の魔力が吸われるけど大丈夫そう?」
「このくらいなら誤差よ」
よかったよかったもしありえないけど問題あったらMジャマー
使えなっちゃうからな今後
「これはセイジが?今ままで見たこともなかったけど」
「うん、試作として7個は作ってみたけどどうかな」
「セイドなんですこれキラキラしてて綺麗です」
「これがあれば時間のことを常に考えずに済みそうですわ」
「これをつけとかないとばれちゃう」
「取り敢えずベータは彼に確認と彼から何か聞けたら聞いてきて」
「残りはここで最後の微調整をしたいから少し手伝ってもらえると助かる」
「わかりましたでは自分はシャドウ様の元へ」
「俺が部屋に入った時には既にこの有様だ」
ダンディな声で親父が言う。顔も悪くない。
「争った痕跡はないが、窓が外からこじ開けられている。クレアも俺も気づけなかった、相当な手練れだな」
ダンディ親父は窓枠に手を添えて遠くの空を見る。片手にウィスキーとか似合いそうだ。
これで髪さえあれば……。 セイドもそう言っていたし
「で?」
凍えるような声がかけられた。
「相当な手練れだから仕方ない、そういうことかい?」
母さんだ。
「そ、そういう訳じゃなくてね、ただ事実を述べたまでで……」
頬に冷や汗を流しながら親父が答える。
次の瞬間、
「このハゲェェェエエエーーーー!!!」
「ひぃ、す、すいません、すいません!!」
ちなみに僕は空気。期待はされてないけど、面倒もかけない、そんな感じのポジションをキープしている。
しかし姉さん割といい人だったのに残念だ。犯行は夜だったからね、僕は廃村でセイドと一緒に修行してたからどうしようもない。
僕は神妙な顔で親父と母のじゃれあいを見守って、隙を見て自室に戻り、姉さんの消えた方に手を合わせてからベッドに転がった。
そして。
「出てきていいよ」
「はい」
声と同時に音もなくカーテンが揺れて、黒いスライムボディスーツに身を包んだ1人の少女が入ってきた。
「ベータか」
「はい」
猫みたいな青い瞳に泣きぼくろの彼女は、僕とアルファに続く3人目のシャドウガーデンメンバーだ。ほどほどにって言ったのに、アルファと最近はセイドが捨てネコ拾うみたいに連れてくるからどんどん増えるんだ。
「アルファとセイドは?」
「クレア様の痕跡を探っています」
「行動早いね、姉さんまだ生きてる?」
「おそらく」
「助けられる?」
「可能ですが……シャドウ様の助力が必要です」
あ、僕のことはシャドウって呼んでもらってる。シャドウガーデンの主だからね、フフフ。
「アルファがそう言ったのそれともセイドが?」
「2人ともです。人質の危険を考えると万全を期すべきだと」
「へぇ」
アルファとセイドは正直言ってもう相当強い。その2人が助力を請うって事は、なかなかの実力者がいると見ていい。 それにセイドは僕と同じ転生者だし
「血が滾るな……」
僕は掌に圧縮した魔力を瞬間的に解放し、大気を震わせる。
特に意味はないが、こういう演出大好き。
ベータも驚いて『さすが……』とか呟いてくれるし。
最近はアルファとかセイドとかベータとかデルタとかもいて練習相手に不足はなかったけど、偶には新鮮さも欲しいし、何よりも陰の実力者プレイしたいしちょうどいい機会だ。
「久しぶりに本気を出すか……」
こうやって陰の実力者っぽい空気感を出すのにも慣れてきた。
それに最近はアルファやベータがかなり設定を煮詰めてきているから盛り上がるんだ。セイドはうん多分2人から頼まれているから乗ってくれてるだけなんだろう
「犯人はやはりディアボロス教団の者です。それもおそらく幹部クラス」
「幹部クラスか……。それで、教団はなぜ姉さんを?」
「クレア様に『英雄の子』の疑いをかけていたのかと」
「ふん、勘のいい奴らめ……」
こんな感じ。
しかも資料とかも集めてきて『やはりあなたの言葉に間違いはなかった……』とか『千年前ディアボロスの子が……』とか『この石碑からはディアボロス教団の痕跡が……』とか、いや古代文字読めないから僕は分からないけどさ。アルファもあんまり分かってないんじゃないかな、それっぽいの並べて、ディアボロス教団の真実に迫っている感が欲しいんだ、多分きっとそうだと思うよ?
「こちらの資料を見てください。我々が集めた最新の調査の中にクレア様がさらわれたと見られるアジトが……」
ベータがそんな感じで膨大な資料を並べはじめたけど、いやわかんないから。半分以上古代文字だし、わけわからん数字やら何やら、いや君たちそれっぽい資料作るのホントに上手いね。その分野ではもう完全に僕を超えているよ。
僕はベータの説明を聞き流すと、投げナイフを取り出し壁にかかった地図に投げつけた。
カッと。
音を立ててナイフがある一点に突き刺さる。
「そこだ」
「ここ、ですか? いったい何が……」
「そこに姉さんはいる」
「ですが、ここには何も……いえ、まさか……!」
ベータは今気づきましたって感じで慌てて資料を漁り出す。
いや、うん、適当に投げたんだけどね。
やっぱ演技上手いよねベータ。あれでしょ、それで僕が指差した所に隠しアジトとかあるんでしょ?
「資料と照らし合わせた結果、 シャドウ様の指摘されたポイントに隠しアジトがあると思われます」
ほら来た。
「しかしこの膨大な資料を一瞬で読み取り、さらに隠されたポイントまで読み解くとは……流石です」
「修行が足りんぞ、ベータ」
「精進します」
いいね、演技だと分かっていてもグッとくる。ツボを押さえているよベータ君。
「至急アルファ様とセイド様に伝えます。決行は今夜で?」
「ああ」
ベータは一礼し去っていった。目とかキラキラしてたな、尊敬してます感出てたよ。アカデミー級の演技に乾杯。